説明

横主管用掃除口構造とその敷設方法

【課題】処理槽に至るまでの横主管内に堆積するゴミを円滑に除去できる横主管用掃除口構造を提供すること。
【解決手段】横主管用掃除口構造Sは、処理槽に排水を導く横主管8の内部に堆積されたゴミを除去するために設けられる。掃除口構造Sは、横主管8の周壁9における上側部位11に設けられて開口する掃除口15と、掃除口15を開口可能に閉塞する蓋体21と、蓋体21の外周縁21aを掃除口15の周縁14に当接させつつ、蓋体21によって掃除口15を閉塞させた状態で、蓋体21を横主管8の外周面10側に押圧して取り付けるクランプ25と、を備えて構成されている。掃除口15の周縁14には、掃除口15の閉塞時における蓋体21の外周縁21aの位置決めを可能とする位置決め用目印19が、配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層の集合住宅等の処理槽に排水を導く横主管内に堆積されたゴミ(特に、卵や貝の殻)を、除去するために設けられる横主管用掃除口構造とその敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高層集合住宅等では、家庭内の生ゴミは、ディスポーザにより粉砕して、台所流し系統の排水とともに、処理槽に流入させ、そして、処理槽において、曝気処理・沈殿処理等を行って、下水に流していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ディスポーザで粉砕したゴミの内、卵・貝・蟹等の殻(これらを総称して卵殻とする)が含まれていると、排水立て管を経た後における処理槽に至るまでの横主管の部位で、卵殻が堆積することが避けられず、横主管の排水性能を低下させたり、横主管を詰まらせてしまう場合があった。
【0005】
なお、ディスポーザを設けた台所流し系統の配管の清掃においては、例えば、横主管に連なる排水枡付近から、後方噴射ノズルを横主管内に挿入し、後方噴射ノズルから噴射する洗浄水を利用して、横主管内を洗浄し、ついで、横主管に連なる台所流し系統の所定数の排水立て管内に、排水立て管に設けた掃除口から前方噴射ノズルを挿入し、前方噴射ノズルから噴射する洗浄水を利用して、排水立て管を洗浄する。その後、再度、排水枡付近から、後方噴射ノズルを横主管内に挿入し、後方噴射ノズルから噴射する洗浄水を利用して、横主管内を洗浄して、ディスポーザを設けた台所流し系統の配管の清掃を行っていた。
【0006】
しかし、上記のように、横主管内に挿入した噴射ノズルから洗浄水を流しても、あるいは、横主管より排水の上流側となる排水立て管等の掃除口の部位から洗浄水を流しても、ヘドロ状の物質が流されるだけで、堆積された卵殻自体は、サラサラとなった状態で、横主管内に堆積された状態を維持することとなり、簡単に、横主管から排出させ難く、横主管を詰まらせたり、横主管の排水性能を低下させる事態を招き易かった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、処理槽に至るまでの横主管内に堆積するゴミを円滑に除去できる横主管用掃除口構造とその敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る横主管用掃除口構造では、処理槽に排水を導く横主管の内部に堆積されたゴミを除去するために設けられる横主管用掃除口構造であって、
横主管の周壁における上側部位に開口する掃除口と、
掃除口を開口可能に閉塞する蓋体と、
蓋体の外周縁を掃除口の周縁に当接させつつ、蓋体によって掃除口を閉塞させた状態で、蓋体を横主管の外周面側に押圧して取り付ける締結手段と、
掃除口の周縁に配設されて、掃除口の閉塞時における蓋体の外周縁の位置決めを可能とする位置決め用目印と、
を備えて構成され、
蓋体の外周縁を、位置決め用目印を基準に、位置決めしつつ、掃除口の周縁に当接させて、蓋体によって掃除口を閉塞させた状態で、締結手段を締め付けて蓋体を横主管の外周面側に押圧することにより、掃除口が閉塞されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る横主管用掃除口構造では、ゴミを除去する際、締結手段を緩めて、蓋体を横主管から外せば、掃除口を開口させることができる。そして、掃除口は、横主管の周壁における上側部位に開口されており、横主管内に排水自体が残っていても、その排水を溢れ出させず、すなわち、周囲を水浸しすること無く、ゴミを除去することが可能となる。なお、ゴミの除去には、掃除口から挿入するバキュームホースの吸引を利用したり、あるいは、手やスコップ等を利用して、ゴミを掬ったりして、行うことができる。
【0010】
そして、ゴミの除去後は、蓋体の外周縁を、位置決め用目印を利用して位置決めしつつ、掃除口の周縁に当接させ、蓋体によって掃除口を閉塞させた状態で、締結手段を締め付けて、蓋体を横主管の外周面側に押圧させれば、掃除口を、精度良く配置された蓋体によって、的確に閉塞させることができて、その後に、各住居からの排水が集合されて横主管を通過することとなっても、円滑に、処理槽まで排水を導くことができる。なお、掃除口は、横主管の周壁における上側部位に開口されており、蓋体を横主管の外周面側に押圧する際、単に、蓋体を下方に押圧するだけでも、蓋体の外周縁を、容易に、掃除口の周縁となる横主管の外周面側に押圧することができて、蓋体による掃除口の閉塞状態を、安定して確保することができる。
【0011】
したがって、本発明に係る横主管用掃除口構造では、処理槽に至るまでの横主管内に堆積するゴミを円滑に除去でき、また、除去後には、円滑に、処理槽まで排水を導くことができる。
【0012】
そして、本発明に係る横主管用掃除口構造では、掃除口を、既設の横主管に形成する構成として、
位置決め用目印を、既設の横主管に貼着させる型紙シートに配設するとともに、
型紙シートに、既設の横主管に掃除口を孔開け加工する際の孔開け位置を規定する孔開け用目印、を設けて構成することが望ましい。
【0013】
このような構成では、既設の横主管に掃除口を形成する際、横主管の上側部位に型紙シートを貼着させ、ついで、型紙シートの孔開け用目印を基準として、位置決め用目印を残した状態で、横主管に孔開け加工して、掃除口を形成すれば、既設の横主管に対し、掃除口と、蓋体を配置させる際の位置決め用目印と、を、容易に設けることができる。
【0014】
そして、上記のような横主管用掃除口構造の敷設方法では、横主管に掃除口を形成する際の孔開け位置の案内と、開口した掃除口を蓋体で閉塞する際の蓋体の位置決めと、を一枚の型紙シートを利用して、簡単に行え、既設の横主管に、製造コスト・工数を低減して、横主管用掃除口構造を敷設することができる。
【0015】
さらに、上記のような横主管用掃除口構造とその敷設方法では、型紙シートを利用して、既設の横主管に、ゴミを除去できる掃除口を、卵殻の堆積しやすい箇所に、的確に、配置させることができて、既設の集合住宅における処理槽への卵殻の流入や横主管の詰まりを、容易に、防止することができる。
【0016】
さらにまた、上記のような横主管用掃除口構造とその敷設方法では、型紙シートを掃除口を設ける横主管の上側部位に貼着させ、そして、型紙シートの孔開け用目印を基準として、横主管の上側部位に掃除口を開口させることから、孔開け加工時、極めて多量の排水が横主管を流れない限り、孔開け中の掃除口から排水が溢れ出ることは無く、高層集合住宅等において、断水せずに、掃除口構造を敷設することも、可能となる。
【0017】
そして、本発明に係る横主管用掃除口構造とその敷設方法では、締結手段は、横主管の周方向に沿って配置されて、蓋体とともに横主管の外周面側に当接させ、かつ、内周面を縮径可能な円環状の複数のクランプ、から構成するとともに、
クランプを、それぞれ、ヒンジで相互に連結された半割り円筒状の一対の把持杆を備えるとともに、一対の把持杆におけるヒンジから離れた開放端側相互をねじ止めして、内周側を縮径させるヒンジクランプから、構成することが望ましい。
【0018】
このような構成では、各ヒンジクランプが、一対の把持杆の開放端側相互を、スペーサを間にして、あるいは、直接、当接させるように、ねじ止めすれば、縮径に伴う蓋体の外周縁における掃除口の周縁への圧接力を、配置された各部位で均等にできて、その結果、各ヒンジクランプに締め付けられた蓋体が、安定した水密性能を発揮して、掃除口を閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の掃除口構造が敷設される部位を説明する概略斜視図である。
【図2】実施形態の掃除口構造が敷設される部位を説明する概略平面図である。
【図3】実施形態の掃除口構造を説明する概略部分正面図である。
【図4】実施形態の掃除口構造の概略断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態に使用する掃除口の閉塞状態を説明する図である。
【図6】実施形態に使用する型紙シートの平面図である。
【図7】実施形態の掃除口構造を敷設する工程を説明する図である。
【図8】実施形態の掃除口を開口させて卵殻を除去する作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の掃除口構造Sが敷設される部位(敷設部位)13は、図1,2に示すように、台所流しにディスポーザを備えた高層集合住宅1の横主管8の部位であって、この横主管8の敷設部位13は、各戸でのディスポーザで粉砕したゴミを流すこととなる台所流し系統の専用の部位であって、台所流し系統専用の複数の排水用立て管3からの排水が集合される部位であり、そして、その排水が集合されてから処理槽5に流れるまでの部位としている。さらに、実施形態の場合、横主管8の掃除口構造Sを設けた敷設部位13は、高層集合住宅1の配管ピット2のエリアに、設けられて、エントランスE付近から鉛直方向の下方に流下し、そして、屈曲されて水平方向に排水を流す際のその屈曲部位7の近傍で、卵殻C(図8参照)が堆積し易いエリアに配置されている。なお、図1の符号4は、脚部継手、図2の符号6は、排水桝である。
【0021】
そして、実施形態の掃除口構造Sは、図3〜5に示すように、横主管8に開口する掃除口15と、掃除口15を開口可能に閉塞する蓋体21と、掃除口15を閉塞する蓋体21を横主管8に締結するための締結手段24と、を備えて構成されている。さらに、掃除口構造Sは、掃除口15の周縁14に配設されて、掃除口15の閉塞時における蓋体21の外周縁21aの位置決めを可能とする位置決め用目印19、を備えて構成されている。
【0022】
横主管8は、呼び径を125〜200φ程度としたパイプ材から形成されている。実施形態の場合、横主管8は、呼び径を150φとした塩ビ管が使用されている。そして、掃除口15は、図3〜5,7に示すように、横主管8の周壁9における横主管8の中心Oより高い位置となる上側部位11(図4参照)、に設けられて、横主管8の軸方向ADに沿って延びるような略長方形(略長円形)に開口している。
【0023】
この掃除口15は、図5のAに示すように、横主管8の軸直交断面において、横主管8の中心Oの直上部位11aを中央とし、かつ、横主管8の中心Oからの開口角度θを、90〜120°の範囲内として、開口されている。実施形態の場合、開口角度θは約100°としている。
【0024】
この開口角度θは、開口させた掃除口15を利用して、ゴミを吸引したり掬ったりする清掃作業を行い易い開口幅Bを確保できるように、90°以上とし、かつ、締結手段24としてのクランプ25を利用して、蓋体21を横主管8の外周面10に押圧する際、蓋体21の外周縁21aにおける両縁側の下縁21ab,21abが、円滑に、掃除口15の周縁14に押圧されるように、120°以下として、設定されている。
【0025】
また、掃除口15の前後方向の長さ寸法L2(図8参照)は、短かすぎてはゴミの清掃作業が行い難く、長すぎては蓋体21の閉塞性能を低下させる虞れも生ずることから、長すぎない範囲で、開口幅Bより大きくすることが望ましい。ちなみに、実施形態の場合、長さ寸法L2を220mmとし、開口幅Bを113mmとしている。
【0026】
さらに、横主管8における掃除口15の周縁14には、閉塞時の蓋体21の配置位置を規定するための位置決め用目印19が配設されている。実施形態の場合、位置決め用目印19は、長方形状の型紙シート17の外周縁17aから形成され、蓋体21による掃除口15の閉塞時には、蓋体21の外周縁21aの全周をを、位置決め用目印19の内側に配置させるように位置決めしつつ、蓋体21を配置させることとなる。
【0027】
なお、実施形態の場合、掃除口15は、横主管8自体と、貼着された型紙シート17とを貫通するように配設され、蓋体21の外周縁21aが当接する掃除口15の周縁14は、実際には、型紙シート17自体の掃除口15の周縁14としている。
【0028】
型紙シート17は、蓋体21の閉塞時の位置決めを行う位置決め用目印19を備えるとともに、既設の横主管8に、掃除口15を孔開け加工する際の孔開け位置を規定するものであり、図6に示すように、長方形状として、上面側に、孔開け用目印18を設けている。孔開け用目印18は、一部を相互に重ねて型紙シート17の長手方向に並設させた二個の円弧マーク18a,18aと、円弧マーク18a,18aの重複部分の幅方向の両縁側に位置する三角状マーク18c,18cと、から構成されている。型紙シート17は、耐水性を有したポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等の合成樹脂、布、紙等のシート材から形成されて、裏面側に横主管8の周壁9に貼着(接着)可能な粘着材が配設されている。
【0029】
さらに、型紙シート17には、上面側の周縁に、横主管8への貼着時に位置決めをする貼着用目印17b,17cが形成されている。実施形態の場合、各貼着用目印17b,17cは、周縁の各辺の中央位置に、短い線状に描かれている。
【0030】
この型紙シート17を使用して、既設の横主管8に掃除口15を形成する際には、まず、図7のAの実線に示すように、掃除口15を設ける横主管8の敷設部位13に、型紙シート17の貼着用目印17b,17cに対応した中心線等の貼着用目印32(図例の場合は中心線である)を描き、ついで、図7のBに示すように、裏面側の所定の離型紙を剥がして、粘着材層を露出させ、貼着用目印17b,32相互を一致させつつ、型紙シート17を横主管8の敷設部位13に貼着する。ついで、図7のC,Dに示すように、ホルソT等の孔開け加工機により、掃除口15を開口させる。その際、型紙シート17の上面側には、孔開け用目印18の二つの円弧マーク18a,18aが形成されており、それらの中心18bを基準に、ホルソTを利用して、二つの円弧マーク18a,18aに沿った円形の開口を開け、ついで、二つの三角状マーク18cの部位を、電動サンダー等で削れば、略長円形に開口した掃除口15を形成することができる。なお、円弧状マーク18a内の切り取られた部位は、ホルソTに付着されることから、横主管8内に落下せず、また、三角状マーク18cの切り取られる部位も、予め、ガムテープ等の連結材によって周囲の部位と連結させておけば、切り取り後に、連結材を利用して、落下した横主管8内から引き上げることができて、掃除口15の孔開け加工時に、切り取られる残材を横主管8内に放置することを防止できる。
【0031】
蓋体21は、掃除口15を閉塞可能な半割り円筒状に形成されて、横主管8と同様に、塩化ビニルから形成されている。蓋体21は、下面21bの全域に、クロロプレン等のシールゴム22を固着させている。そして、実施形態の場合、蓋体21は、外径寸法を横主管8と同一とし、かつ、肉厚を横主管8より薄肉とした塩ビ管から、掃除口15を閉塞可能な大きさとして、切り出して、形成されている。そのため、掃除口15への蓋体21の配置当初、図5のAに示すように、蓋体21は、横主管8から浮き上がった状態として配置され、その後、締結手段24としてのクランプ25によって締め付けた際に、図5のB,Cに示すように、蓋体21の外周縁21aのシールゴム22が、掃除口15の周縁14に、圧接されることとなる。なお、実施形態の場合、蓋体21の長さ寸法L1(図8参照)は、掃除口15の長さ寸法L2より大きな280mmとしている。また、掃除口15を適正に閉塞した状態では、蓋体21は、その外周縁21aの全周を、位置決め用目印19の内側で、かつ、位置決め用目印19から略均等な距離を開けて、配置されることとなる。
【0032】
締結手段24は、蓋体21を横主管8に取り付けるものであり、複数(実施形態では蓋体21の前後両端付近に配置させる2個)のクランプ25から構成されている。各クランプ25は、横主管8の周方向CDに沿って配置されて、蓋体21とともに横主管8の外周面10側に当接させ、かつ、内周面を縮径可能な円環状としている。さらに、実施形態の場合、クランプ25は、ヒンジクランプとして、ヒンジ26で相互に連結された半割り円筒状の一対の板金製の把持杆27,28を備えるとともに、一対の把持杆27,28におけるヒンジ26から離れた開放端27a,28a側相互をねじ29止めして、内周側を縮径させるように構成されている。開放端27a側には、ねじ29に対応するナット30が配置されている。
【0033】
また、各クランプ25には、把持杆28の開放端28a側における開放端27a側の面に、スペーサ31が配設されている。このスペーサ31は、ねじ29止め時における開放端27a,28a相互の離隔距離を一定にするためのものである。そして、実施形態の場合、ねじ29の開口端28a側からの脱落を防止可能に、スペーサ31は、ねじ29に螺合するナットから形成され、ねじ29を回転可能として、開放端28aをスペーサ31とねじ29の頭部29aとの間で挟持するように、配設されている(図4の二点鎖線参照)。
【0034】
実施形態の掃除口構造Sでは、卵殻(ゴミ)Cを除去する際、締結手段24としてのクランプ25のねじ29を緩めて、蓋体21を横主管8から外せば、図8のAに示すように、掃除口15を開口させることができる。そして、掃除口15は、横主管8の周壁9における上側部位11に開口されており、横主管8内に排水自体が残っていても、その排水を溢れ出させず、すなわち、周囲を水浸しすること無く、堆積した卵殻Cを除去することが可能となる。なお、卵殻Cの除去には、掃除口15から挿入するバキュームホースVHの吸引を利用したり、あるいは、手やスコップ等を利用して、卵殻Cを掬ったりして、行うことができる。なお、バキュームホースVHを利用する清掃では、掃除口15が小さな開口としていても、容易に、横主管8の下側部位12に堆積した卵殻Cを、吸引して除去することができる(図8のB参照)。
【0035】
そして、卵殻Cの除去後は、蓋体21の外周縁21aを、位置決め用目印19を利用して位置決めしつつ、掃除口15の周縁14に当接させ、蓋体21によって掃除口15を閉塞させた状態で、ナット30を利用して、ねじ29締めし、締結手段24としてのクランプ25を締め付けて、蓋体21を横主管8の外周面10側に押圧させれば、掃除口15を、精度良く配置された蓋体21によって、的確に閉塞させることができて、その後に、各住居からの排水が集合されて横主管8を通過することとなっても、円滑に、処理槽5まで排水を導くことができる。なお、掃除口15は、横主管8の周壁9における上側部位11に開口されており、蓋体21を横主管8の外周面10(掃除口15の周縁14)側に押圧する際、単に、蓋体21を下方に押圧するだけでも、蓋体21の外周縁21aを、容易に、掃除口15の周縁14となる横主管8の外周面10側に押圧することができて、蓋体21による掃除口15の閉塞状態を、安定して確保することができる。
【0036】
したがって、実施形態の横主管用の掃除口構造Sでは、処理槽5に至るまでの横主管8内に堆積するゴミCを円滑に除去でき、また、除去後には、円滑に、処理槽5まで排水を導くことができる。
【0037】
なお、実施形態では、掃除口15を、横主管8の軸直交断面において、横主管8の中心Oの直上部位11aに配置させた場合を示したが、開口時の掃除口15から排水が溢れ出ないように、掃除口15の全域が、横主管8の軸直交断面における横主管8の中心Oより上方となる上側部位11に、配設されれば、掃除口15は、横主管8の軸直交断面において、直上部位11aから周方向CDにずれて、中心Oから斜め上方向となる位置に、配設させてもよい。
【0038】
そして、実施形態の横主管用の掃除口構造Sでは、掃除口15が、既設の横主管8に形成される構成として、位置決め用目印19を、既設の横主管8の上側部位11に貼着させる型紙シート17に配設するとともに、この型紙シート17には、既設の横主管8に掃除口15を孔開け加工する際の孔開け位置を規定する孔開け用目印18が、を設けられている。
【0039】
すなわち、このような構成では、既設の横主管8に掃除口15を形成する際、まず、図7のAに示すように、横主管8の敷設部位13に貼着用目印32を付け、図7のBに示すように、貼着用目印17b,32相互を合わせつつ、横主管8に型紙シート17を貼着させる。ついで、図7のC,Dに示すように、型紙シート17の孔開け用目印18を基準として、位置決め用目印19を残した状態で、横主管8に孔開け加工して、掃除口15を形成すれば、既設の横主管8に対し、掃除口15と、蓋体21を配置させる際の位置決め用目印19と、を、容易に設けることができる。
【0040】
そして、上記のような掃除口構造Sの敷設方法では、横主管8に掃除口15を形成する際の孔開け位置の案内と、開口した掃除口15を蓋体21で閉塞する際の蓋体21の位置決めと、を一枚の型紙シート17を利用して、簡単に行え、既設の横主管8に、製造コスト・工数を低減して、横主管用の掃除口構造Sを敷設することができる。
【0041】
さらに、上記のような横主管用掃除口構造とその敷設方法では、型紙シート17を利用して、ゴミを除去できる掃除口15を、既設の横主管8における卵殻Cの堆積しやすい箇所(例えば、水平曲り部位の近傍)に、的確に、配置させることができて、既設の集合住宅1における処理槽5への卵殻Cの流入や横主管8の詰まりを、容易に、防止することができる。
【0042】
さらにまた、上記のような横主管用掃除口構造とその敷設方法では、型紙シート17を掃除口15を設ける横主管8の上側部位11に貼着させ、そして、型紙シート17の孔開け用目印18を基準として、横主管8の上側部位11に掃除口15を開口させることから、孔開け加工時、極めて多量の排水が横主管8を流れない限り、孔開け中の掃除口15から排水が溢れ出ることは無く、高層集合住宅1等において、断水せずに、掃除口構造Sを敷設することも、可能となる。
【0043】
そして、実施形態では、締結手段24が、横主管8の周方向CDに沿って配置されて、蓋体21とともに横主管8の外周面10に当接させ、かつ、内周面を縮径可能な円環状の複数のクランプ25、から構成するとともに、クランプ25が、それぞれ、ヒンジ26で相互に連結された半割り円筒状の一対の把持杆27,28を備えるとともに、一対の把持杆27,28におけるヒンジ26から離れた開放端27a,28a側相互をねじ29止めして、内周側を縮径させるヒンジクランプから、構成されている。
【0044】
そのため、実施形態では、各ヒンジクランプ25が、一対の把持杆27,28の開放端27a,28a側相互を、スペーサ31を間にして、当接させるように、ナット30を利用して、ねじ29止めすれば、縮径に伴う蓋体21の外周縁21aにおける掃除口15の周縁14への圧接力を、配置された各部位(蓋体21の前後端付近)で均等にできて、その結果、各ヒンジクランプ25に締め付けられた蓋体21が、安定した水密性能を発揮して、掃除口15を閉塞することができる。
【0045】
なお、実施形態では、ねじ29止め時、一対の把持杆27,28の開放端27a,28a側相互を、スペーサ31を間にして、当接させる場合を示したが、スペーサ31を介在させること無く、直接、開放端27a,28a側相互を当てるように、ねじ29止めしてもよい。
【0046】
また、実施形態では、図2に示すように、配管ピット2に敷設された横主管8の上流部位側に、掃除口構造Sを設けた場合を示したが、図2の二点鎖線に示すように、卵殻Cが堆積し易い部位であれば、センターコアの近傍や排水枡6の近傍の横主管8の部位に、掃除口構造Sを設けても良い。
【0047】
さらに、実施形態では、蓋体21の閉塞位置を規定する位置決め用目印19を、型紙シート17の外周縁17aから形成したが、他に、印刷等により型紙シート17の表面側に、記号や線図等による位置決め用目印19を、設けても良い。
【0048】
勿論、型紙シート17を利用せずに、既設の横主管8に掃除口15を孔開け加工して形成してもよく、その際には、掃除口15の形成後、あるいは、形成前に、掃除口15を閉塞できる位置に的確に蓋体21を配置できるように、別途、掃除口15の周縁14となる位置に、位置決め用目印19を設けてもよい。
【0049】
さらに、実施形態では、蓋体21の下面21bにシールゴム22を設けずに、型紙シート17自体を、ゴム状弾性体から形成して、型紙シート17自体によって、閉塞時の蓋体21における掃除口15の周縁14に対する水密性能を発揮できるように、構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
5…処理槽、
8…横主管、
11…上側部位、
14…周縁、
15…掃除口、
17…型紙シート、
18…孔開け用目印、
19…位置決め用目印、
21…蓋体、
24…締結手段、
25…クランプ、
26…ヒンジ、
27,28…把持杆、
27a,28a…開放端、
29…ねじ、
C…卵殻、
S…掃除口構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に排水を導く横主管の内部に堆積されたゴミを除去するために設けられる横主管用掃除口構造であって、
前記横主管の周壁における上側部位に開口する掃除口と、
該掃除口を開口可能に閉塞する蓋体と、
前記蓋体の外周縁を前記掃除口の周縁に当接させつつ、前記蓋体によって前記掃除口を閉塞させた状態で、前記蓋体を前記横主管の外周面側に押圧して取り付ける締結手段と、
前記掃除口の周縁に配設されて、前記掃除口の閉塞時における前記蓋体の外周縁の位置決めを可能とする位置決め用目印と、
を備えて構成され、
前記蓋体の外周縁を、前記位置決め用目印を基準に、位置決めしつつ、前記掃除口の周縁に当接させて、前記蓋体によって前記掃除口を閉塞させた状態で、前記締結手段を締め付けて前記蓋体を前記横主管の外周面側に押圧することにより、前記掃除口が閉塞されていることを特徴とする横主管用掃除口構造。
【請求項2】
前記掃除口が、既設の前記横主管に形成される構成として、
前記位置決め用目印が、既設の前記横主管に貼着させる型紙シートに配設されるとともに、
前記型紙シートが、既設の前記横主管に前記掃除口を孔開け加工する際の孔開け位置を規定する孔開け用目印、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の横主管用掃除口構造。
【請求項3】
前記締結手段が、前記横主管の周方向に沿って配置されて、前記蓋体とともに前記横主管の外周面側に当接させ、かつ、内周面を縮径可能な円環状の複数のクランプ、から構成されるとともに、
該クランプが、それぞれ、ヒンジで相互に連結された半割り円筒状の一対の把持杆を備えるとともに、一対の把持杆におけるヒンジから離れた開放端側相互をねじ止めして、内周側を縮径させるヒンジクランプから、構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の横主管用掃除口構造。
【請求項4】
処理槽に排水を導く横主管の内部に堆積されたゴミを除去するために設けられる横主管用掃除口構造の敷設方法であって、
前記横主管用掃除口構造が、
前記横主管の周壁における上側部位に開口する掃除口と、
該掃除口を開口可能に閉塞する蓋体と、
前記蓋体の外周縁を前記掃除口の周縁に当接させつつ、前記蓋体によって前記掃除口を閉塞させた状態で、前記蓋体を前記横主管の外周面側に押圧して取り付ける締結手段と、
前記掃除口の周縁に配設されて、前記掃除口の閉塞時における前記蓋体の外周縁の位置決めを可能な位置決め用目印と、
を備えて構成され、
前記蓋体の外周縁を、前記位置決め用目印を基準に、位置決めしつつ、前記掃除口の周縁に当接させて、前記蓋体によって前記掃除口を閉塞させた状態で、前記締結手段を締め付けて前記蓋体を前記横主管の外周面側に押圧することにより、前記掃除口が閉塞される構成として、
前記掃除口が、既設の前記横主管に形成される構成とし、
前記位置決め用目印が、既設の前記横主管に貼着させる型紙シートに配設されるとともに、
前記型紙シートが、既設の前記横主管に前記掃除口を孔開け加工する際の孔開け位置を規定する孔開け用目印、を備えて構成され、
前記横主管に前記掃除口を形成する際、前記横主管に前記型紙シートを貼着させ、ついで、前記型紙シートの孔開け用目印を基準として、前記位置決め用目印を残した状態で、前記横主管に孔開け加工して、前記掃除口を形成することを特徴とする横主管用掃除口構造の敷設方法。
【請求項5】
前記締結手段が、前記横主管の周方向に沿って配置されて、前記蓋体とともに前記横主管の外周面側に当接させ、かつ、内周面を縮径可能な円環状の複数のクランプ、から構成されるとともに、
該クランプが、それぞれ、ヒンジで相互に連結された半割り円筒状の一対の把持杆を備えるとともに、一対の把持杆におけるヒンジから離れた開放端側相互をねじ止めして、内周側を縮径させるヒンジクランプから、構成されていることを特徴とする請求項4に記載の横主管用掃除口構造の敷設方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−21278(P2012−21278A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158034(P2010−158034)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(390013516)株式会社小島製作所 (19)
【Fターム(参考)】