説明

横型回転乾燥機

【課題】 本発明は、排出室に被乾燥物が詰まってしまうという問題点を解決する横型回転乾燥機を提供する。
【解決手段】 円筒状本体1に形成された乾燥物取出部7と、該乾燥物取出部7に隣接して設けた中継室3と、該中継室3に隣接して排出室4を連通して形成し、前記乾燥物取出部7より延長された軸管6の周面に乾燥物b2の掻戻装置2を設け、前記本体1の回転と共に前記掻戻装置2を作動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、粒粉状の製品または原料を加熱乾燥させるために用いられる横型回転乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒粉状の製品又は原料を加熱乾燥させるための横型回転乾燥機が知られている。
この横型回転乾燥機は、円筒状の本体1と、この本体1の一端に設けられる被乾燥物b1を本体1内に供給する供給装置Fと、本体1の他端に設けられた被乾燥物b1を中継する中継室3と、この中継室に隣接して排出室4とから構成されており、その大きさは、例えば、長さ30m、直径4m、運転温度は150℃程度である。
【0003】
更に詳しくは、本体1内には多数の加熱管5が加熱管群として配置されて本体1が形成され、前記本体1に所定の間隔Lを置いてタイヤT1,T2を取付け、このタイヤT1,T2を架台B1,B2上に設けられたローラR1,R2上に、本体1が前記供給装置F側から排出室4側に2°程度の僅かな傾斜角を有するように載置し、前記本体1に取付けられたガースギアG1に駆動装置Mによって回転するピニオンG2を噛み合わせ、この駆動装置Mにより矢印K方向に回転するようになっている。
【0004】
本体1の一端に設けられている供給装置Fは、例えば、スクリューフィーダで構成されており、被乾燥物b1の供給口15aとキャリアガスcの出口16bとが個々に、或いは1つの開口として設けられ、図示しないシール機構を介して本体1に接続されている。一方、本体の他端に隣接して設けられている中継室3は、前記本体1と一体となって回転すると共に軸管6も一体となって回転するようになっており、シール11を介して排出室4に接続されている。前記軸管6は、その筒内に本体1を加熱する熱媒体hを供給及び排出する管路や、キャリアガスcを供給する管路が配置されている。
【0005】
また、本体1内で加熱乾燥処理された被乾燥物b1を中継室3内から効率よく排出するために、この中継室3内の軸管6にスクリュー羽根又はパドル形状の羽根2aが設けられており、図4に示す如く、回転方向Kに対して中継室3内の被乾燥物b1を排出室4に押出すように形成されている。
【0006】
このように構成された横型回転乾燥機において、粒粉状の製品又は原料である被乾燥物b1は、供給装置Fによって本体1内に供給され、この本体1の回転により排出室側に移送される。そしてこの際に加熱管群に供給される加熱媒体hにより加熱・乾燥され、乾燥した被乾燥物b1は中継室3のスクリュー羽根20によって排出室4側の一方向に押込まれながら排出室4内に排出される。
【0007】
ところで、この横型回転乾燥機においては、乾燥物b2を処理する後工程が故障等により停止した場合でも、本体1の回転は停止させないことが望ましく、前記排出室4に乾燥物b2の排出を停止する閉止装置(不図示)を設けて、この閉止装置の動作により排出室4の排出口を閉止して後工程に乾燥物b2が流入しないようにすることがある。
【0008】
しかし、実際には、前記本体1内の乾燥物b2が次々と中継室3のスクリュー羽根20により排出室4内に押し込まれるので、乾燥物b2が排出室4内に短時間に充満して圧縮されてしまい、それが塊状になるという問題がある。
【0009】
一方、後工程の停止と共に本体1を停止した場合は、本体1内の乾燥物b2の攪拌がなされなくなり、本体1内に滞留して塊を形成したり、大量の高温の乾燥物b2が長時間本体1内の一部(下方)に保持されることにより、本体1が変形したり、タイヤT1,T2とローラR1,R2の局部接触や異常摩擦力を生じさせたりすることがあり、塊を除去する労力や機器の損傷が生じることとなる。
【0010】
更にまた、排出室4内の乾燥物b2による詰まりを除去するには、加熱媒体hの供給を停止して装置全体が常温に冷却されるまで待機した後、除去作業を行わなければならないがその冷却に半日は必要とするという問題がある。
【0011】
そして、一般に横型回転乾燥機は大型であり、しかも本体1内が例えば、150℃の高温で運転されるものであるため、これを再起動するためには多大なエネルギーを消費してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、排出室内で乾燥物が塊状になって詰まってしまうという従来の問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明に係る横型回転乾燥機は、
1)円筒状本体1に形成された乾燥物取出部7と、該乾燥物取出部7に隣接して設けた中継室3と、該中継室3に隣接して排出室4を連通して形成し、前記乾燥物取出部7より中継室3まで延長された軸管6の周面に乾燥物b2の掻戻装置2を設け、前記本体1の回転と共に前記掻戻装置2を作動させるように構成したことを特徴とする。
2)前記掻戻装置2は本体1の回転と共に逆に進むように旋回するスクリュー2aあるいは同様の機能を持つパドルであることを特徴とする。
3)前記掻戻装置2は前記排出室4に乾燥物b2が溜まり、その上面が前記軸管6の中心軸近傍に到達したときに乾燥物b2を前記円筒状本体1内に戻すように作用することを特徴とする。
4)円筒状本体1の終端部に形成された乾燥物取出部7に複数個の掻上箱7aと案内部9aが形成されており、該掻上箱7aは本体1の下方位置で乾燥物b2を掬い上げ、該本体1が回転して掻上箱7aが上方に移動したとき、該掻上箱内7aに保持していた乾燥物b2を前記中継室3へ滑らせて排出するように構成されており、該中継室3に配置されたスクリュー2aあるいはパドルはその背面で前記乾燥物b2を受けて排出室4へ送り、腹面に中継室3内の乾燥物b2を前記円筒状本体1内に還流させるように形成されていることを特徴とする。
5)前記掻上箱7aと案内部9aと前記掻戻装置2を形成するスクリュー2aとは連続して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る横型回転乾燥機は、排出室内の乾燥物の上面が上昇した際に、その乾燥物の安息角以上になり中継室3にながれ戻った乾燥物を本体の回転と共に回転する軸筒に形成されたスクリューが本体内に掻き戻すようになっているので、前記排出室内に乾燥物が強く押し込まれ、その結果、乾燥物が塊状になるのを防止する。
【0015】
また、本発明に係る乾燥機は、複数の乾燥物取出部が本体の回転と共に乾燥物b2を掬い上げて中継室に流し込むようになっており、かつ、該取出部と前記中継室の移送装置のスクリューとが連続して形成されているので、本体内の乾燥物を手早く掻き出せると共に取出部内の乾燥物を排出室へ直ぐに排出することができ、横型回転乾燥機の運転効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図1および図2を参照して本発明に係る横型回転乾燥機の実施態様を説明する。これらの図1および図2において、図3と同一符号は同一の部品ないし部分を示す。
【0017】
図1(a)は、本発明に係る横型回転乾燥機の要部側面図であって、円筒状本体1の終端に形成された乾燥物取出部7と、該乾燥物取出部7に隣接して設けた中継室3と、該中継室3に隣接して排出室4を連通して形成し、前記乾燥物取出部7より延長された軸管6の周面に乾燥物b2の掻戻装置2を設け、前記本体1の回転と共に前記掻戻装置2を作動させるように構成されている。
【0018】
また、前記掻戻装置2は本体1の回転と共に逆に進むように旋回するスクリュー2aあるいは同様の機能を持つパドルで構成されている。該掻戻装置2は前記排出室4に乾燥物b2が溜まり、その上面が安息角に到達してあふれ戻ったときに乾燥物b2を戻すように作用することを特徴とする。
【0019】
前記円筒状本体1の終端部に形成された乾燥物取出部7に複数個の掻上箱7aと案内部9aが形成されており、該掻上箱7aは本体1の下方位置で乾燥物b2を掬い上げ、該本体1が回転して掻上箱7aが上方に移動したとき、該掻上箱7a内に保持していた乾燥物b2を前記中継室3へ滑らせて排出するようになっており、該中継室3に配置されたスクリュー2aは前記乾燥物b2を受けて排出室4へ送るように形成されている。前記掻上箱7aと案内部9aと前記掻戻装置2を形成するスクリュー2aとは連続して形成されている。
【0020】
更に詳しくは、前記スクリュー2aは、図2にも示す如く、本体1の回転と共に、中継室3の管路3a内の被乾燥物b1を本体1内に掻き戻すスクリュー2aが形成され、このスクリュー2aの腹面で被乾燥物b1を掻き戻すようになっている。また、前記乾燥物取出部7により掬い上げられた本体1内の被乾燥物b1が、スクリュー2aの腹面から先行するスクリューの背面に滑落するとともに、この背面に案内されて排出室4に排出されるようになっている。更に、前記中継室3の管路3aは、前記スクリュー2aの捩れの略1/3回転する軸方向の長さに対応しており、排出室4内に乾燥物b2がより効率的に案内されて排出されるようになっている。
【0021】
また、前記乾燥物取出部7は、円錐板8からなる案内板と、この円錐板8に乾燥物b2を案内する案内部9aと、掻上箱7aとにより構成されている。
【0022】
更にまた、前記排出室4の排出口15bは、乾燥物b2の排出を阻止する閉止手段が設けられている。
【0023】
このような構成による乾燥機Aにおいて、本体1内で加熱乾燥された乾燥物b2は、本体1の回転と共に乾燥物取出部7に達し、掻上箱7aにより上方に持上げられ、案内部9aと円錐板8とを介してスクリュー2aの腹面に流出し、先行するスクリューの背面に滑落すると共にこの背面に案内されて排出室4内に流れ込むようにして排出される。前記乾燥物b2の排出は、前記スクリュー2aの捩れが1/3周程度の間になされるようになっている。
【0024】
そして、この乾燥機Aの運転中において、後工程の故障等により乾燥物b2の排出を停止する必要が生じた場合は、排出室4の閉止装置を操作して乾燥物b2の排出を停止する。すると、本体1の回転と共に排出室4内に乾燥物b2が順次堆積することになるが、その上面が軸管6の中心軸あたりに到達したときに乾燥物b2を、本体1の回転と共にスクリュー2aが本体1内に掻き戻すことになる。
【0025】
つまり、複数のスクリュー2aは、軸筒6の上方では乾燥物b2を排出するように作用し、下方では本体1内に掻き戻すように作用している。
【0026】
以上詳述したように、本発明に係る横型回転乾燥機は、被乾燥物の排出を停止した場合に、その被乾燥物が排出室に充満して圧縮されないようにしているので、排出室内で乾燥物が塊状となって固まることが防止される。
【0027】
なお、本実施例では軸管にスクリューを形成したものについて説明したが、これに限られるものではない。例えば、螺旋状に配置された板状のものを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る横型回転乾燥機の一実施態様の概略構成図である。(a)は要部平面図であり、(b)は要部側面図である。
【図2】本発明に係る横型回転乾燥機における被乾燥物の排出機構の要部破断斜視図である。図である。
【図3】横型回転乾燥機の実施態様の概略図である。
【図4】従来の横型回転乾燥機の実施態様の要部平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
2 掻戻装置
2a スクリュー
3 中継室
3a 管路
4 排出室
5 加熱管
6 軸管
7 乾燥物取出部
7a 掻上箱
8 円錐板
9a 案内部
11 シール
15a 被乾燥物の供給口
15b 被乾燥物の排出口
16a キャリアガス供給口
16b キャリアガス出口
K 回転方向
b1 被乾燥物
b2 乾燥物
c キャリアガス
h 熱媒体
F 供給装置
T1、T2 タイヤ
B1、B2 架台
R1、R2 ローラ
G1 ギア
G2 ガースギア
M 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状本体に形成された乾燥物取出部と、該乾燥物取出部に隣接して設けた中継室と、該中継室に隣接して排出室を連通して形成し、前記乾燥物取出部より中継室まで延長された軸管の周面に乾燥物の掻戻装置を設け、前記本体の回転と共に前記掻戻装置を作動させるように構成したことを特徴とする横型回転乾燥機。
【請求項2】
前記掻戻装置は本体の回転と共に逆に進むように旋回するスクリューあるいは同様の機能を持つパドルであることを特徴とする請求項1記載の横型回転乾燥機。
【請求項3】
前記掻戻装置は前記排出室に乾燥物が溜まり、その上面が前記軸管の中心軸近傍に到達したときに乾燥物を前記円筒状本体内に戻すように作用することを特徴とする請求項1記載の横型回転乾燥機。
【請求項4】
円筒状本体の終端部に形成された乾燥物取出部に複数個の掻上箱と案内部が形成されており、該掻上箱は本体の下方位置で乾燥物を掬い上げ、該本体が回転して掻上箱が上方に移動したとき、該掻上箱内に保持していた乾燥物を前記中継室へ滑らせて排出するように構成されており、該中継室に配置されたスクリューはその背面で前記乾燥物を受けて排出室へ送り、腹面に中継室内の乾燥物を前記円筒状本体内に還流させるように形成されていることを特徴とする横型回転乾燥機。
【請求項5】
前記掻上箱と案内部と前記掻戻装置を形成するスクリューとは連続して形成されていることを特徴とする請求項4記載の横型回転乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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