説明

横型多段プレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造並びにそれらを用いた横型多段プレス装置

【課題】 処理枚数の大規模化にも対応して、設備費やエネルギー消費の増大を抑制でき、汎用性の高い横型多段プレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造と、それらを用いた横型多段プレス装置を提供する。
【解決手段】 搬入側回動軸線O1(搬入側回動軸216)が、搬入ローラフレーム212における被処理板材W1の導入終了側(奥側)に搬送方向に沿って配置されている。被処理板材W1の導入開始側(手前側)において、左右一対の搬入側油圧シリンダ217L,217Rが、搬入ローラフレーム212と立設フレーム204L,204Rとの間に設置され、ロッド217aの伸縮により搬入ローラコンベヤ210の導入開始側を昇降調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理板材を加熱加圧する横型多段プレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造に関し、またそれらを用いた横型多段プレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード、ベニヤ単板等の板材(被処理板材)を加熱加圧して所定の板厚に成形する多段プレス装置(ホットプレス)において、起立状態に保持された複数の板材を複数配置された熱板の間に搬入して加熱加圧する横型方式が知られている。この横型方式(横型ホットプレス)は、水平方向に保持された板材と熱板とを上下方向に交互に積み重ねて加熱加圧する縦型方式(縦型ホットプレス)に比して、板材や熱板自身の重量の影響による成形ムラ(板厚の不揃い)が発生しにくい利点を有する。
【0003】
そして、本願出願人はこのような横型ホットプレスにおいて、多数の被処理板材を積み重ね状の水平状態(倒伏状態)から所定間隔で並ぶ垂直状態(起立状態)に連続的に姿勢変更させる供給装置(ローダ棚)を提案した(特許文献1参照)。特許文献1によれば、多数の被処理板材を短時間で姿勢変更でき、起立状態に整列された被処理板材をホットプレス部(加熱加圧部)の熱板間へ一斉に搬入することが可能となり、作業能率の向上を図ることができる。
【0004】
【特許文献1】特公平3−77761号公報
【0005】
しかし、特許文献1では、昨今の被処理板材の処理枚数の大規模化に対応できないおそれがある。例えば、従来では一度に数十枚程度を加熱加圧する機種が一般的であったが、最近では百枚を超える機種が多くなり、しかも長尺化によって一度に搬送する重量はますます増加傾向にある。これに伴って、多量の被処理板材をホットプレス部へ搬入するために搬入部が巨大化して設備費やエネルギー消費が増大するおそれがある。なお、処理済板材をホットプレス部から搬出するための搬出部についても同様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、処理枚数の大規模化にも対応して、設備費やエネルギー消費の増大を抑制でき、汎用性の高い横型多段プレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造と、それらを用いた横型多段プレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の横型多段プレス装置の板材搬入構造は、
搬入側において倒伏状態から起立状態に姿勢変更された複数の被処理板材を加熱加圧部の個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材搬入構造であって、
前記被処理板材を前記搬送方向に沿って起立状態で所定間隔に保持して前記搬送体に移送するために、その搬送体の搬送面と同じ高さに維持可能な搬送面を有する搬入体と、
その搬入体へ前記搬送方向と交差する導入方向から前記被処理板材を導入するとともに、その被処理板材を倒伏状態から前記搬送方向に沿う起立状態に姿勢変更するための複数のローダ棚がそれぞれ起伏可能に架設された一対の搬入無端体と、
前記搬入体を前記搬送方向に沿って配置された回動軸線の周りで回動調節するための搬入体回動機構とを備え、
前記搬入体回動機構により前記回動軸線の周りで前記搬入体を回動調節することによって、前記搬入体の搬送面が、前記起立状態の被処理板材の下端面を支持するために前記搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡及び前記搬送体の搬送面と所定の位置関係を保持することを特徴とする。
【0008】
このような板材搬入構造では、搬入体(例えば搬入ローラコンベヤ)を回動軸線の周りで回動調節するための搬入体回動機構(例えば搬入用油圧シリンダ)を備えることにより、構造の簡素化を図り、設備費やエネルギー消費の増大を抑制して、汎用性を高めることができる。例えば、搬入体を載置するフレームの全体を昇降調節する場合には4本の搬入用油圧シリンダを搬入フレームの四隅に設ける必要があったが、このような回動式にすることによって支持する荷重を減少(分散)させて、搬入用油圧シリンダの本数削減(例えば半減)や小型化が可能となる。
【0009】
しかも、搬入体回動機構の回動調節によって、搬入体の搬送面と、搬入無端体(例えば搬入チェンコンベヤ)のローダ棚に形成された支持面の軌跡と、搬送体(例えばローラコンベヤ)の搬送面との相対的な位置関係を保持(維持)することができる。したがって、搬入無端体のローダ棚によって倒伏状態から起立状態に姿勢変更された被処理板材を搬入体へ受け継ぎ、さらに搬送体に受け渡すことができ、ホットプレス部への被処理板材(ワーク)の供給を滞りなく円滑に行うことができる。なお、搬入体回動機構の駆動源として、油圧シリンダ以外に、エアシリンダ等の流体圧シリンダ(リニア駆動源)や油圧モータ等の流体圧モータ(回転駆動源)を用いることができる。
【0010】
そして、搬入体回動機構の回動軸線が搬入体における被処理板材の導入終了側に配置され、搬入体は搬入体回動機構による回動調節によって被処理板材の導入開始側を昇降調節可能であることが望ましい。このように、搬入体回動機構の回動軸線を搬入体における被処理板材の導入終了側に配置することによって、搬入体の奥側(導入終了側;導入方向下流側)を中心に手前側(導入開始側)を昇降調節できる。したがって、搬入無端体等の搬入部への被処理板材の導入(供給)のために、搬入体の手前側(導入開始側;導入方向上流側)を下降変位すれば、被処理板材の導入・搬入が円滑に行なえる。
【0011】
具体的には、搬入体回動機構による回動調節によって、搬入体の導入開始側が下降変位したとき、搬入体の搬送面は、搬送体の搬送面よりも低位に維持されるとともに、搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して少なくとも部分的に低位に位置していることができる。つまり、搬入無端体のローダ棚によって被処理板材を倒伏状態から起立状態に姿勢変更させて所定間隔で整列させる際に、搬入体回動機構による回動調節によって、被処理板材の整列状態を乱さない位置に搬入体を退避させておくことができる。これによって、搬入体と搬入無端体とを、互いの干渉を避けつつ重なり合うように配置することができ、板材搬入構造の簡素化を図ることができる。
【0012】
また、搬入体回動機構による回動調節によって、搬入体の導入開始側が上昇変位したとき、搬入体の搬送面は、搬送体の搬送面と同じ高さに維持されるとともに、搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して全体が高位に位置していることができる。つまり、搬入無端体のローダ棚によって倒伏状態から起立状態に姿勢変更され所定間隔で整列された被処理板材を、搬入体回動機構による回動調節によって、搬入体に移し替え、さらに搬送体に移送することができる。これによって、搬入体と搬入無端体とを、互いの干渉を避けつつ重なり合うように配置することができ、板材搬入構造の簡素化を図ることができる。
【0013】
一方、上記課題を解決するために、本発明の横型多段プレス装置の板材搬出構造は、
搬入側において倒伏状態から起立状態に姿勢変更された複数の被処理板材を加熱加圧部の個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧した後、前記搬送体により前記搬入径路に沿って搬出された複数の処理済板材を搬出側において起立状態から倒伏状態に姿勢変更する横型多段プレス装置の板材搬出構造であって、
前記処理済板材を前記搬送方向に沿って起立状態で所定間隔に保持して前記搬送体から移送するために、その搬送体の搬送面と同じ高さに維持可能な搬送面を有する搬出体と、
その搬出体から前記搬送方向と交差する導出方向へ前記処理済板材を導出するとともに、その処理済板材を起立状態から前記導出方向に沿う倒伏状態に姿勢変更するための複数のアンローダ棚がそれぞれ起伏可能に架設された一対の搬出無端体と、
前記搬出体を前記搬送方向に沿って配置された回動軸線の周りで回動調節するための搬出体回動機構とを備え、
前記搬出体回動機構により前記回動軸線の周りで前記搬出体を回動調節することによって、前記搬出体の搬送面が、前記起立状態の処理済板材の下端面を支持するために前記搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡及び前記搬送体の搬送面と所定の位置関係を保持することを特徴とする。
【0014】
このような板材搬出構造では、搬出体(例えば搬出ローラコンベヤ)を回動軸線の周りで回動調節するための搬出体回動機構(例えば搬出用油圧シリンダ)を備えることにより、構造の簡素化を図り、設備費やエネルギー消費の増大を抑制して、汎用性を高めることができる。例えば、搬出体を載置する搬出フレームの全体を昇降調節する場合には4本の搬出用油圧シリンダを搬出フレームの四隅に設ける必要があったが、このような回動式にすることによって支持する荷重を減少(分散)させて、搬出用油圧シリンダの本数削減(例えば半減)や小型化が可能となる。
【0015】
しかも、搬出体回動機構の回動調節によって、搬出体の搬送面と、搬出無端体(例えば搬出チェンコンベヤ)のローダ棚に形成された支持面の軌跡と、搬送体(例えばローラコンベヤ)の搬送面との相対的な位置関係を保持(維持)することができる。したがって、搬送体から搬出された処理済板材を搬出体へ受け継ぎ、さらに搬出無端体へ受け渡して、そのアンローダ棚によって起立状態から倒伏状態に姿勢変更することができ、加熱加圧部からの処理済板材(ワーク)の引取を滞りなく円滑に行うことができる。なお、搬出体回動機構の駆動源として、油圧シリンダ以外に、エアシリンダ等の流体圧シリンダ(リニア駆動源)や油圧モータ等の流体圧モータ(回転駆動源)を用いることができる。
【0016】
そして、搬出体回動機構の回動軸線が搬出体における処理済板材の導出開始側に配置され、搬出体は搬出体回動機構による回動調節によって処理済板材の導出終了側を昇降調節可能であることが望ましい。このように、搬出体回動機構の回動軸線を搬出体における処理済板材の導出開始側に配置することによって、搬出体の奥側(導出開始側;導出方向上流側)を中心に手前側(導出終了側;導出方向下流側)を昇降調節できる。したがって、搬出無端体等の搬出部への処理済板材の導出(引取)のために、搬出体の手前側(導出終了側)を下降変位すれば、処理済板材の搬出・導出が円滑に行なえる。
【0017】
具体的には、搬出体回動機構による回動調節によって、搬出体の導出終了側が下降変位したとき、搬出体の搬送面は、搬送体の搬送面よりも低位に維持されるとともに、搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して少なくとも部分的に低位に位置していることができる。つまり、搬出無端体のアンローダ棚によって処理済板材を起立状態から倒伏状態に姿勢変更させて導出する際に、搬出体回動機構による回動調節によって、処理済板材の整列状態を乱さない位置に搬出体を退避させておくことができる。これによって、搬出体と搬出無端体とを、互いの干渉を避けつつ重なり合うように配置することができ、板材搬出構造の簡素化を図ることができる。
【0018】
また、搬出体回動機構による回動調節によって、搬出体の導出終了側が上昇変位したとき、搬出体の搬送面は、搬送体の搬送面と同じ高さに維持されるとともに、搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して全体が高位に位置していることができる。つまり、搬送体から移送された処理済板材を搬出体に移し替え、さらに搬出無端体のアンローダ棚によって起立状態から倒伏状態に姿勢変更して導出することができる。これによって、搬出体と搬出無端体とを、互いの干渉を避けつつ重なり合うように配置することができ、板材搬出構造の簡素化を図ることができる。
【0019】
次に、上記課題を解決するために、本発明の横型多段プレス装置は、
以上のような板材搬入構造を搬入側に備えるとともに、
以上のような板材搬出構造を搬出側に備え、
搬入側において、前記一対の搬入無端体のローダ棚により倒伏状態から起立状態に姿勢変更するとともに、前記ローダ棚の支持面で下端面を支持する複数の被処理板材を、前記搬入体及び搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧した後、前記搬送体及び搬出体により前記搬入径路に沿って搬出された複数の処理済板材を、搬出側において、前記一対の搬出無端体のアンローダ棚の支持面で下端面を支持するとともに、前記アンローダ棚により起立状態から倒伏状態に姿勢変更することを特徴とする。
【0020】
このように、搬入体(搬出体)を回動軸線の周りで回動調節することによって、設備費やエネルギー消費の増大を抑制することができるので、被処理板材(処理済板材)の処理枚数の大規模化にも対応して、汎用性の高い横型多段プレス装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る板材搬入構造及び板材搬出構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図、図2はその正面図である。図1及び図2に示す横型多段プレス装置1は、合板、化粧板等のように、複数枚のベニヤ単板を接着剤で積層し、矩形板状となした水平状態の多数の被処理板材W1を、ローダ部200(搬入部)で起立状態に保持してホットプレス部100(加熱加圧部)へ搬入する。ホットプレス部100で所定時間加熱加圧して、所定の厚みに成形された処理済板材W2を、アンローダ部300(搬出部)で再び水平状態に戻して搬出する。
【0022】
ホットプレス部100には、上下方向(起立方向)及び左右方向(搬送方向)に各々所定の間隔を隔てて配置された各一対の上下の横梁101L,101R、102L,102Rを介して、前後方向(押圧方向)に一対の固定フレーム103F,103Bが配設されている。上方の横梁101L,101Rに敷設された軌条104L,104Rには、移動ローラ105L,105R(移動部材)が取り付けられている。軌条104L,104R間には、移動ローラ105L,105Rを介して、多数段の熱板130と前後方向に一対又は単一(図1では1個)の押圧盤140が吊下げ支持されている。固定フレーム103Fには、所定の間隔を隔てて複数(例えば2個)の油圧シリンダ150L,150R(駆動シリンダ)が挿通され、そのラム151L,151Rの先端が押圧盤140に取り付けられている。なお、この例では他方の固定フレーム103Bは対向側の押圧盤を兼ねている。
【0023】
熱板130の下方には、起立状態の被処理板材W1を下側から支持して、ローダ部200からホットプレス部100へ搬入するローラコンベヤ160(搬送体)が配置されている。ローラコンベヤ160は、被処理板材W1を搬入するために、すべての搬入径路K(図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ161を備え、下方の横梁102L,102Rに掛け渡された機枠108に配設されている。ローダ部200からローラコンベヤ160で搬入された被処理板材W1は熱板130で加熱加圧された後、処理済板材W2となって再びローラコンベヤ160でアンローダ部300へ搬出される。
【0024】
ホットプレス部100の搬入側(搬送方向の上流側(後方側))には、ローダ部200が配設されている。ローダ部200には、架台201上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ202L,202R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ202L,202Rにはローダ棚203が設けられている。架台201上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160へ起立状態の被処理板材W1を受け渡すための搬入コンベヤ210(搬入体)が配置されている。搬入コンベヤ210は、すべての被処理板材W1(搬入径路K;図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ211を備えている。
【0025】
ホットプレス部100の搬出側(搬送方向の下流側(前方側))には、アンローダ部300が配設されている。アンローダ部300には、架台301上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ302L,302R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ302L,302Rにはアンローダ棚303が設けられている。架台301上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160から起立状態の処理済板材W2を受け取るための搬出コンベヤ310(搬出体)が配置されている。搬出コンベヤ310は、すべての処理済板材W2に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ311を備えている。
【0026】
次に、図3はプレス構造の一例を示す平面図、図4はその側面図、図5はプレス閉鎖状態を示す側面図である。図3に示すホットプレス部100(加熱加圧部;プレス構造)には、水平方向における前後位置に固定フレーム103F,103Bを固定配置し、固定フレーム103F,103B間の上部に、平行状態で上方の横梁101L,101Rを設けてある。横梁101L,101Rに設けられた軌条104L,104Rには、前後方向に移動自在な複数の移動ローラ105L,105R(移動部材)を設けている。移動ローラ105L,105Rは、周知のごとくコロの転動状態や、面接触による摺動状態で移動するものであり、要するに水平方向に直線的に移動可能な手段であればよい。
【0027】
各移動ローラ105L,105Rは、プレス閉鎖時に上下方向に起立した被処理板材W1を間に挟んで加熱するために、熱板130の上方側が連結され、これら複数の熱板130は、前後方向に並設状態で吊持されて熱板群を構成する。またプレス開放時には、被処理板材W1が熱板群における熱板130の間に介挿できるように、隣り合う熱板130は搬送方向に平行に位置して所定間隔を保つようにしている。なお、熱板130の内部に、蒸気、熱油などを給排し、その温度を被処理板材W1の種類に応じて維持している。
【0028】
また、熱板群の熱板130に連繋し、熱板130を前後方向に移動し、プレス閉鎖およびプレス開放を行うようにした前後一対の押圧盤140F,140Bを備えている。押圧盤140F,140Bは、熱板群における前後方向の両側に位置するそれぞれの熱板130に対向して配設され、押圧盤140F,140Bの上方側を移動ローラ105L,105Rに連結して前後方向に移動自在に吊持する。また、押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに設けられる油圧シリンダ150L,150Rのラム151L,151Rと連結し、ラム151L,151Rによって前後方向に往復動自在となしている。なお、図3の押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに対していずれも前後方向に往復動する。
【0029】
熱板群における熱板130相互間、及び両端部の熱板130と押圧盤140F,140Bとは、プレス開放時に所定の前後間隔を保持するために、それぞれ間隔規制具131で連繋されている。間隔規制具131は門型に形成され、熱板130、押圧盤140F,140Bの上方側で隣接するブラケット132相互に架け渡し、その一端をブラケット132に取り付け、他端を自由端とする。プレス開放時に、間隔規制具131の自由端がブラケット132に係止され、熱板130、押圧盤140F,140Bにおける前後の間隔が一定の幅で規制される。
【0030】
また、吊持している熱板群における熱板130の下方には、被処理板材W1を上下方向に起立させた状態で搬入し、支持し、搬出する爪付きローラ161を複数並列に設けたローラコンベヤ160を配置し、複数の爪付きローラ161上面を搬送面となしている。
【0031】
次に、図6は本発明に係る板材搬入構造の平面図、図7はその正面図、図8は左側面図、図9は図8の要部拡大図である。図6に示すように本発明の板材搬入構造は、ホットプレス部100(加熱加圧部)の搬入側に設置されたローダ部200(搬入部)により主として構成されている。具体的には、板材搬入構造200は、搬入ローラコンベヤ210(搬入体)、左右一対の平行状の搬入チェンコンベヤ202L,202R(搬入無端体)、導入コンベヤ205(導入無端体)及び補助搬入チェンコンベヤ220(補助搬入無端体)を備えている。この板材搬入構造200は、架台201の左右端から立ち上がって(図7参照)前後方向に延出配置された(図8参照)一対の立設フレーム204L,204Rに保持されて、ホットプレス部100に配設された既述のローラコンベヤ160(搬送体)へ被処理板材W1を搬入する。
【0032】
搬入ローラコンベヤ210は、既述の通り、起立状態の被処理板材W1を前後方向に所定間隔(熱板130間隔)で搬送方向に沿う形態で保持してローラコンベヤ160へ受け渡すための複数(例えば5本)の爪付きローラ211を有している。これらの爪付きローラ211は、立設フレーム204L,204R上に載置されて搬入体回動機構215の搬入側回動軸線O1(回動軸線)周りで回動調節可能な矩形枠状の搬入ローラフレーム212(搬入支持フレーム)に、搬送方向に所定の間隔で前後方向に沿う形態で架設されている。具体的には、搬入側回動軸線O1(搬入側回動軸216;図8,図9参照)が、搬入ローラフレーム212における被処理板材W1の導入終了側(奥側;導入方向下流側)に搬送方向に沿って配置されている。また、被処理板材W1の導入開始側(手前側;導入方向上流側)において、左右一対の搬入側油圧シリンダ217L,217R(搬入側リニア駆動源)が、搬入ローラフレーム212と立設フレーム204L,204Rとの間に設置され、ロッド217aの伸縮により搬入ローラコンベヤ210の導入開始側を昇降調節する(図8,図9参照)。なお、各爪付きローラ211は単一の電動モータ213(回転駆動源)により複数(例えば3本)の駆動チェーン214を介して同期回転する(図7参照)。
【0033】
左右一対の搬入チェンコンベヤ202L,202Rは、上記搬送方向と交差(例えば直交)する導入方向手前側(上流側)から搬入ローラコンベヤ210へ被処理板材W1を導入する。各々の立設フレーム204L,204Rの前方側において、搬入チェンコンベヤ202L,202Rを駆動する駆動軸202aの両端側を回転自在に支持する一方、各々の立設フレーム204L,204Rの後方側において、搬入チェンコンベヤ202L,202Rに追従する従動軸202bの両端側を回転自在に支持している。各搬入チェンコンベヤ202L,202Rは、駆動軸202a及び従動軸202bに固定されたスプロケットにチェンを掛け回し、駆動軸202aを単一の駆動モータ202c(回転駆動源)に連結(直結)することによって回転駆動される。
【0034】
また、左右の搬入チェンコンベヤ202L,202Rの間には、被処理板材W1を倒伏状態(例えば水平状態)から搬送方向に沿う起立状態(例えば垂直状態)に姿勢変更するための複数(熱板130と同数)のローダ棚203がそれぞれ起伏可能に架設されている(図8参照)。したがって、搬入ローラフレーム212(搬入ローラコンベヤ210)が下降変位したとき、左右の搬入チェンコンベヤ202L,202Rは、その回転に伴ってローダ棚203により被処理板材W1を倒伏状態から起立状態に姿勢変更するとともに、ローダ棚203の支持面203aで被処理板材W1の下端面を支持する(図8参照)。さらに、熱板130(搬入径路K)の間隔と一致する形態でローダ棚203(搬入チェンコンベヤ202L,202R)が停止すると、上昇変位した搬入ローラコンベヤ210により一斉に被処理板材W1をローラコンベヤ160へ搬入できる(図7,図9参照)。
【0035】
ローダ棚203は、搬送方向の前方側(下流側;ホットプレス部100側)に位置して半径方向へ広く長く突出する主ガイド板203bと、搬送方向の後方側(上流側)に位置して半径方向へ狭く短く突出する副ガイド板203cと、搬送方向に沿って配置されて両ガイド板203b,203cを連結する連結板203dとを含む。また、副ガイド板203cと連結板203dとはL字状に屈曲したガイド枠203eで連結され、ガイド枠203eのうち導入方向に沿う辺は、補助搬入チェンコンベヤ220の延長線近傍に位置するように配置されている。
【0036】
なお、導入コンベヤ205は、前方側からローダ棚203(搬入チェンコンベヤ202L,202R)へ倒伏状態の被処理板材W1を導入するために、複数(例えば4本)の互いに平行状の平ベルトコンベヤを有している。各々の立設フレーム204L,204Rの前方側において、各導入コンベヤ205を駆動する駆動軸205aの両端側を回転自在に支持する一方、各々の立設フレーム204L,204Rの後方側において、各導入コンベヤ205に追従する従動軸205bの両端側を回転自在に支持している。各導入コンベヤ205は、駆動軸205a及び従動軸205bに固定されたプーリに平ベルトを掛け回し、駆動軸205aを単一の駆動モータ205c(回転駆動源)に連結(直結)することによって回転駆動される。
【0037】
補助搬入チェンコンベヤ220は、左右の搬入チェンコンベヤ202L,202Rの間に平行状に、かつ搬送方向後方側(左側;上流側)の搬入チェンコンベヤ202L側にオフセットして(偏って)配置されている。したがって、補助搬入チェンコンベヤ220は、搬入チェンコンベヤ202L,202Rによる倒伏状態から起立状態への姿勢変更の際に導入方向に対して左右に傾いた被処理板材W1の下端面を支持して後方側に搬送可能である(図7参照)。
【0038】
また、補助搬入チェンコンベヤ220は、5本の爪付きローラ211のうち、搬送方向後方端側(左端側;上流端側)の2本のローラの間に設けられている。これにより、搬入チェンコンベヤ202L,202R及び補助搬入チェンコンベヤ220から爪付きローラ211への被処理板材W1の受け継ぎが円滑に行え、姿勢変更時や搬入径路Kへの搬入時に被処理板材W1の傾きが防止できる。
【0039】
補助搬入チェンコンベヤ220は、搬入チェンコンベヤ202L,202Rの駆動軸202a(共通駆動軸)及び従動軸202bに固定されたスプロケットにチェンを掛け回し、単一の駆動モータ202c(搬入駆動源)によって同軸駆動されて、伝動構造の簡素化が図られている。なお、補助搬入チェンのリンクピッチを搬入チェンのリンクピッチよりも小(例えば約半分)として、補助搬入チェンコンベヤ220と搬入チェンコンベヤ202L,202Rの移動速度(すなわち、被処理板材W1の導入スピード)を等しく設定してある。
【0040】
主として図8,図9に示すように、搬入ローラコンベヤ210の爪付きローラ211の上縁を連ねた搬送面210aは、搬入体回動機構215による回動調節に伴って、搬入チェンコンベヤ202L,202Rのローダ棚203の支持面203aの軌跡や、ローラコンベヤ160の爪付きローラ161の上縁を連ねた搬送面160aに対して、相互の位置関係を変化させる。その概要は次の通りである。
【0041】
すなわち、搬入側油圧シリンダ217L,217Rのロッド217aが縮小して、搬入ローラフレーム212(搬入ローラコンベヤ210)の導入開始側が下降変位したとき、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aは、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも低位に位置している。このとき、図9(b)に示すように、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aは、ローダ棚203の支持面203aの軌跡に対し、導入終了側(奥側)の一部を残して低位に位置している。したがって、搬入チェンコンベヤ202L,202Rの回転に伴ってローダ棚203により被処理板材W1を倒伏状態から起立状態に姿勢変更するとともに、ローダ棚203の支持面203aで被処理板材W1の下端面を支持して後方側(奥側)に順次導入できる。
【0042】
一方、搬入側油圧シリンダ217L,217Rのロッド217aが伸長して、搬入ローラフレーム212(搬入ローラコンベヤ210)の導入開始側が上昇変位したとき、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aはローラコンベヤ160の搬送面160aと同じ高さに維持される(図7参照)。このとき、図9(a)に示すように、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aは、ローダ棚203の支持面203aの軌跡に対し、全体が高位に位置している。したがって、搬入ローラコンベヤ210の回転に伴って、搬送面210aで被処理板材W1の下端面を支持して搬入径路K(ローラコンベヤ160)に一斉に搬入できる。
【0043】
図6〜図9に示す板材搬入構造200の作動について説明する。まず、搬入側油圧シリンダ217L,217Rのロッド217aが縮小して、搬入ローラフレーム212(搬入ローラコンベヤ210)の導入開始側を下降変位すると、図9(b)に示すように、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aの大部分は、ローダ棚203の支持面203aの軌跡よりも低位に位置する。次に、駆動モータ205c,202cを駆動して、導入コンベヤ205、搬入チェンコンベヤ202L,202R及び補助搬入チェンコンベヤ220を回転させる。倒伏状態の被処理板材W1を前方側の導入コンベヤ205から導入すると、搬入チェンコンベヤ202L,202Rのローダ棚203により被処理板材W1を倒伏状態から搬送方向に沿う起立状態に姿勢変更するとともに、ローダ棚203の支持面203aで被処理板材W1の下端面を支持して後方側に順次導入する。このとき、補助搬入チェンコンベヤ220によって、姿勢変更の際に導入方向に対して左右に傾いた被処理板材W1の下端面を支持する。所定数(例えば100枚)の被処理板材W1を熱板130(搬入径路K)の間隔と一致する形態でローダ棚203間に収容したら、駆動モータ205c,202cを駆動停止する。
【0044】
その後、搬入側油圧シリンダ217L,217Rのロッド217aが伸長して、搬入ローラフレーム212(搬入ローラコンベヤ210)の導入開始側を上昇変位すると、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aがローラコンベヤ160の搬送面160aと同じ高さに維持される(図7参照)。次に、電動モータ213を駆動して、搬入ローラコンベヤ210を回転させる。このとき、図9(a)に示すように、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aの全体は、ローダ棚203の支持面203aの軌跡よりも高位に位置しているので、その搬送面210aで全被処理板材W1の下端面を支持して搬入径路K(ローラコンベヤ160)に一斉に搬入して(図7参照)、電動モータ213を駆動停止する。
【0045】
ところで、図6のように、搬入ローラコンベヤ210を搬入側回動軸線O1の周りで回動調節するための搬入側油圧シリンダ217L,217Rを備えることにより、構造の簡素化を図り、設備費やエネルギー消費の増大を抑制して、汎用性を高めることができる。つまり、このような回動式にすることによって支持する荷重を減少(分散)させ、従来のように油圧シリンダを搬入ローラフレーム212の四隅に設ける必要がなくなるので、搬入側油圧シリンダ217L,217Rの本数を半減させて小型化できる。
【0046】
しかも、搬入体回動機構215の回動調節によって、搬入ローラコンベヤ210の搬送面210aと、搬入チェンコンベヤ202L,202Rのローダ棚203に形成された支持面203aの軌跡と、ローラコンベヤ160の搬送面160aとの相対的な位置関係を保持(維持)することができる。したがって、搬入チェンコンベヤ202L,202Rのローダ棚203によって倒伏状態から起立状態に姿勢変更された被処理板材W1を搬入ローラコンベヤ210へ受け継ぎ、さらにローラコンベヤ160に受け渡すことができ、ホットプレス部100への被処理板材W1の供給を滞りなく円滑に行うことができる。
【0047】
次に、図10は本発明に係る板材搬出構造の平面図、図11はその正面図、図12は左側面図、図13は図12の要部拡大図である。図10に示すように本発明の板材搬出構造は、ホットプレス部100(加熱加圧部)の搬出側に設置されたアンローダ部300(搬出部)により主として構成されている。具体的には、板材搬出構造300は、搬出ローラコンベヤ310(搬出体)、左右一対の平行状の搬出チェンコンベヤ302L,302R(搬出無端体)、導出コンベヤ305(導出無端体)及び補助搬出チェンコンベヤ320(補助搬出無端体)を備えている。この板材搬出構造300は、架台301の左右端から立ち上がって(図11参照)前後方向に延出配置された(図12参照)一対の立設フレーム304L,304Rに保持されて、ホットプレス部100に配設された既述のローラコンベヤ160(搬送体)から処理済板材W2を搬出する。
【0048】
搬出ローラコンベヤ310は、既述の通り、起立状態の処理済板材W2を前後方向に所定間隔(熱板130間隔)で搬送方向に沿う形態で保持してローラコンベヤ160から受け取るための複数(例えば5本)の爪付きローラ311を有している。これらの爪付きローラ311は、立設フレーム304L,304R上に載置されて搬出体回動機構315の搬出側回動軸線O2(回動軸線)周りで回動調節可能な矩形枠状の搬出ローラフレーム312(搬出支持フレーム)に、搬送方向に所定の間隔で前後方向に沿う形態で架設されている。具体的には、搬出側回動軸線O2(搬出側回動軸316;図12,図13参照)が、搬出ローラフレーム312における処理済板材W2の導出開始側(奥側;導出方向上流側)に搬送方向に沿って配置されている。また、処理済板材W2の導出終了側(手前側;導出方向下流側)において、左右一対の搬出側油圧シリンダ317L,317R(搬出側リニア駆動源)が、搬出ローラフレーム312と立設フレーム304L,304Rとの間に設置され、ロッド317aの伸縮により搬出ローラコンベヤ310の導出終了側を昇降調節する(図12,図13参照)。なお、各爪付きローラ311は単一の電動モータ313(回転駆動源)により複数(例えば3本)の駆動チェーン314を介して同期回転する(図11参照)。
【0049】
左右一対の搬出チェンコンベヤ302L,302Rは、上記搬送方向と交差(例えば直交)する導出方向後方側(上流側)から搬出ローラコンベヤ310へ処理済板材W2を導出する。各々の立設フレーム304L,304Rの前方側において、搬出チェンコンベヤ302L,302Rを駆動する駆動軸302aの両端側を回転自在に支持する一方、各々の立設フレーム304L,304Rの後方側において、搬出チェンコンベヤ302L,302Rに追従する従動軸302bの両端側を回転自在に支持している。各搬出チェンコンベヤ302L,302Rは、駆動軸302a及び従動軸302bに固定されたスプロケットにチェンを掛け回し、駆動軸302aを単一の駆動モータ302c(回転駆動源)に連結(直結)することによって回転駆動される。
【0050】
また、左右の搬出チェンコンベヤ302L,302Rの間には、処理済板材W2を搬送方向に沿う起立状態(例えば垂直状態)から倒伏状態(例えば水平状態)に姿勢変更するための複数(熱板130と同数)のアンローダ棚303がそれぞれ起伏可能に架設されている(図12参照)。したがって、搬出ローラフレーム312(搬出ローラコンベヤ310)が上昇変位したとき、熱板130(搬入径路K)の間隔と一致する形態にてアンローダ棚303(搬出チェンコンベヤ302L,302R)が停止した状態で、ローラコンベヤ160から搬出ローラコンベヤ310へ一斉に処理済板材W2を搬出できる。さらに、搬出ローラコンベヤ310を下降変位すると、左右の搬出チェンコンベヤ302L,302Rは、その回転に伴ってアンローダ棚303により処理済板材W2を起立状態から倒伏状態に姿勢変更するとともに、アンローダ棚303の支持面303aで処理済板材W2の下端面を支持する(図12参照)。
【0051】
アンローダ棚303は、搬送方向の後方側(上流側;ホットプレス部100側)に位置して半径方向へ広く長く突出する主ガイド板303bと、搬送方向の前方側(下流側)に位置して半径方向へ狭く短く突出する副ガイド板303cと、搬送方向に沿って配置されて両ガイド板303b,303cを連結する連結板303dとを含む。また、主ガイド板303bと連結板303dとはL字状に屈曲したガイド枠303eで連結され、ガイド枠303eのうち導出方向に沿う辺は、補助搬出チェンコンベヤ320の延長線近傍に位置するように配置されている。
【0052】
なお、導出コンベヤ305は、アンローダ棚303(搬出チェンコンベヤ302L,302R)から前方側へ起立状態の処理済板材W2を導出するために、複数(例えば4本)の互いに平行状の平ベルトコンベヤを有している。各々の立設フレーム304L,304Rの前方側において、各導出コンベヤ305を駆動する駆動軸305aの両端側を回転自在に支持する一方、各々の立設フレーム304L,304Rの後方側において、各導出コンベヤ305に追従する従動軸305bの両端側を回転自在に支持している。各導出コンベヤ305は、駆動軸305a及び従動軸305bに固定されたプーリに平ベルトを掛け回し、駆動軸305aを単一の駆動モータ305c(回転駆動源)に連結(直結)することによって回転駆動される。
【0053】
補助搬出チェンコンベヤ320は、左右の搬出チェンコンベヤ302L,302Rの間に平行状に、かつ搬送方向後方側(左側;上流側)の搬出チェンコンベヤ302L側にオフセットして(偏って)配置されている。したがって、補助搬出チェンコンベヤ320は、搬出チェンコンベヤ302L,302Rによる起立状態から倒伏状態への姿勢変更の際に導出方向に対して左右に傾いた処理済板材W2の下端面を支持して前方側に搬送可能である(図11参照)。
【0054】
また、補助搬出チェンコンベヤ320は、5本の爪付きローラ311のうち、搬送方向後方端側(左端側;上流端側)の2本のローラの間に設けられている。これにより、爪付きローラ311から搬出チェンコンベヤ302L,302R及び補助搬出チェンコンベヤ320への処理済板材W2の受け継ぎが円滑に行え、搬入径路Kからの搬出時や姿勢変更時に処理済板材W2の傾きが防止できる。
【0055】
補助搬出チェンコンベヤ320は、搬出チェンコンベヤ302L,302Rの駆動軸302a(共通駆動軸)及び従動軸302bに固定されたスプロケットにチェンを掛け回し、単一の駆動モータ302c(搬出駆動源)によって同軸駆動されて、伝動構造の簡素化が図られている。なお、補助搬出チェンのリンクピッチを搬出チェンのリンクピッチよりも小(例えば約半分)として、補助搬出チェンコンベヤ320と搬出チェンコンベヤ302L,302Rの移動速度(すなわち、処理済板材W2の導出スピード)を等しく設定してある。
【0056】
主として図12,図13に示すように、搬出ローラコンベヤ310の爪付きローラ311の上縁を連ねた搬送面310aは、搬出体回動機構315による回動調節に伴って、搬出チェンコンベヤ302L,302Rのアンローダ棚303の支持面303aの軌跡や、ローラコンベヤ160の爪付きローラ161の上縁を連ねた搬送面160aに対して、相互の位置関係を変化させる。その概要は次の通りである。
【0057】
すなわち、搬出側油圧シリンダ317L,317Rのロッド317aが伸長して、搬出ローラフレーム312(搬出ローラコンベヤ310)の導出終了側が上昇変位したとき、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aはローラコンベヤ160の搬送面160aと同じ高さに維持される(図11参照)。このとき、図13(a)に示すように、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aは、アンローダ棚303の支持面303aの軌跡に対し、全体が高位に位置している。したがって、搬出ローラコンベヤ310の回転に伴って、搬送面310aで処理済板材W2の下端面を支持して搬入径路K(ローラコンベヤ160)から一斉に搬出できる。
【0058】
一方、搬出側油圧シリンダ317L,317Rのロッド317aが縮小して、搬出ローラフレーム312(搬出ローラコンベヤ310)の導出終了側が下降変位したとき、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aは、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも低位に位置している。このとき、図13(b)に示すように、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aは、アンローダ棚303の支持面303aの軌跡に対し、導出開始側(奥側)の一部を残して低位に位置している。したがって、搬出チェンコンベヤ302L,302Rの回転に伴ってアンローダ棚303により処理済板材W2を起立状態から倒伏状態に姿勢変更するとともに、アンローダ棚303の支持面303aで処理済板材W2の下端面を支持して前方側(手前側)に順次導出できる。
【0059】
図10〜図13に示す板材搬出構造300の作動について説明する。まず、搬出側油圧シリンダ317L,317Rのロッド317aが伸長して、搬出ローラフレーム312(搬出ローラコンベヤ310)の導出終了側を上昇変位すると、図13(a)に示すように、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aがローラコンベヤ160の搬送面160aと同じ高さに維持される(図11参照)。次に、電動モータ313を駆動して、搬出ローラコンベヤ310を回転させる。このとき、図13(a)に示すように、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aの全体は、アンローダ棚303の支持面303aの軌跡よりも高位に位置しているので、搬入径路K(ローラコンベヤ160)から一斉に搬出される全処理済板材W2の下端面を搬送面310aで支持し(図11参照)、電動モータ313を駆動停止する。
【0060】
その後、搬出側油圧シリンダ317L,317Rのロッド317aが縮小して、搬出ローラフレーム312(搬出ローラコンベヤ310)の導出終了側を下降変位すると、図13(b)に示すように、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aの大部分は、アンローダ棚303の支持面303aの軌跡よりも低位に位置する。次に、駆動モータ305c,302cを駆動して、導出コンベヤ305、搬出チェンコンベヤ302L,302R及び補助搬出チェンコンベヤ320を回転させる。搬出チェンコンベヤ302L,302Rのアンローダ棚303により処理済板材W2を搬送方向に沿う起立状態から倒伏状態に姿勢変更するとともに、アンローダ棚303の支持面303aで処理済板材W2の下端面を支持して前方側に順次導出する。このとき、補助搬出チェンコンベヤ320によって、姿勢変更の際に導出方向に対して左右に傾いた処理済板材W2の下端面を支持する。倒伏状態の処理済板材W2を前方側の導出コンベヤ305から導出して、駆動モータ305c,302cを駆動停止する。
【0061】
ところで、図10のように、搬出ローラコンベヤ310を搬出側回動軸線O2の周りで回動調節するための搬出側油圧シリンダ317L,317Rを備えることにより、構造の簡素化を図り、設備費やエネルギー消費の増大を抑制して、汎用性を高めることができる。つまり、このような回動式にすることによって支持する荷重を減少(分散)させ、従来のように油圧シリンダを搬出ローラフレーム310の四隅に設ける必要がなくなるので、搬出側油圧シリンダ317L,317Rの本数を半減させて小型化できる。
【0062】
しかも、搬出体回動機構315の回動調節によって、搬出ローラコンベヤ310の搬送面310aと、搬出チェンコンベヤ302L,302Rのアンローダ棚303に形成された支持面303aの軌跡と、ローラコンベヤ160の搬送面160aとの相対的な位置関係を保持(維持)することができる。したがって、ローラコンベヤ160から搬出された処理済板材W2を搬入ローラコンベヤ210へ受け継ぎ、さらに搬出チェンコンベヤ302L,302Rへ受け渡して、そのアンローダ棚303によって起立状態から倒伏状態に姿勢変更することができ、ホットプレス部100からの処理済板材W2の引取を滞りなく円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る板材搬入構造及び板材搬出構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】プレス構造の一例を示す平面図。
【図4】図3の側面図。
【図5】プレス閉鎖状態を示す側面図。
【図6】本発明に係る板材搬入構造の平面図。
【図7】図6の正面図。
【図8】図6の左側面図。
【図9】図8の要部拡大図。
【図10】本発明に係る板材搬出構造の平面図。
【図11】図10の正面図。
【図12】図10の右側面図。
【図13】図12の要部拡大図。
【符号の説明】
【0064】
1 横型多段プレス装置
100 ホットプレス部(加熱加圧部;プレス構造)
130 熱板
160 ローラコンベヤ(搬送体)
160a 搬送面
200 ローダ部(搬入部;板材搬入構造)
202L,202R 搬入チェンコンベヤ(搬入無端体)
202a 共通駆動軸
202c 駆動モータ(搬入駆動源)
203 ローダ棚
203a 支持面
210 搬入ローラコンベヤ(搬入体)
210a 搬送面
212 搬入ローラフレーム(搬入支持フレーム)
215 搬入体回動機構
216 搬入側回動軸
217L,217R 搬入側油圧シリンダ(搬入側リニア駆動源)
300 アンローダ部(搬出部;板材搬出構造)
302L,302R 搬出チェンコンベヤ(搬出無端体)
302a 共通駆動軸
302c 駆動モータ(搬出駆動源)
303 アンローダ棚
303a 支持面
310 搬出ローラコンベヤ(搬出体)
310a 搬送面
312 搬出ローラフレーム(搬出支持フレーム)
315 搬出体回動機構
316 搬出側回動軸
317L,317R 搬出側油圧シリンダ(搬出側リニア駆動源)
K 搬入径路
O1 搬入側回動軸線(回動軸線)
O2 搬出側回動軸線(回動軸線)
W1 被処理板材
W2 処理済板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入側において倒伏状態から起立状態に姿勢変更された複数の被処理板材を加熱加圧部の個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材搬入構造であって、
前記被処理板材を前記搬送方向に沿って起立状態で所定間隔に保持して前記搬送体に移送するために、その搬送体の搬送面と同じ高さに維持可能な搬送面を有する搬入体と、
その搬入体へ前記搬送方向と交差する導入方向から前記被処理板材を導入するとともに、その被処理板材を倒伏状態から前記搬送方向に沿う起立状態に姿勢変更するための複数のローダ棚がそれぞれ起伏可能に架設された一対の搬入無端体と、
前記搬入体を前記搬送方向に沿って配置された回動軸線の周りで回動調節するための搬入体回動機構とを備え、
前記搬入体回動機構により前記回動軸線の周りで前記搬入体を回動調節することによって、前記搬入体の搬送面が、前記起立状態の被処理板材の下端面を支持するために前記搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡及び前記搬送体の搬送面と所定の位置関係を保持することを特徴とする横型多段プレス装置の板材搬入構造。
【請求項2】
前記搬入体回動機構の回動軸線は、前記搬入体における前記被処理板材の導入終了側に配置され、
前記搬入体は、前記搬入体回動機構による回動調節によって前記被処理板材の導入開始側を昇降調節可能である請求項1に記載の横型多段プレス装置の板材搬入構造。
【請求項3】
前記搬入体回動機構による回動調節によって、前記搬入体の導入開始側が下降変位したとき、
前記搬入体の搬送面は、前記搬送体の搬送面よりも低位に維持されるとともに、前記搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して少なくとも部分的に低位に位置している請求項2に記載の横型多段プレス装置の板材搬入構造。
【請求項4】
前記搬入体回動機構による回動調節によって、前記搬入体の導入開始側が上昇変位したとき、
前記搬入体の搬送面は、前記搬送体の搬送面と同じ高さに維持されるとともに、前記搬入無端体のローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して全体が高位に位置している請求項2又は3に記載の横型多段プレス装置の板材搬入構造。
【請求項5】
搬入側において倒伏状態から起立状態に姿勢変更された複数の被処理板材を加熱加圧部の個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧した後、前記搬送体により前記搬入径路に沿って搬出された複数の処理済板材を搬出側において起立状態から倒伏状態に姿勢変更する横型多段プレス装置の板材搬出構造であって、
前記処理済板材を前記搬送方向に沿って起立状態で所定間隔に保持して前記搬送体から移送するために、その搬送体の搬送面と同じ高さに維持可能な搬送面を有する搬出体と、
その搬出体から前記搬送方向と交差する導出方向へ前記処理済板材を導出するとともに、その処理済板材を起立状態から前記導出方向に沿う倒伏状態に姿勢変更するための複数のアンローダ棚がそれぞれ起伏可能に架設された一対の搬出無端体と、
前記搬出体を前記搬送方向に沿って配置された回動軸線の周りで回動調節するための搬出体回動機構とを備え、
前記搬出体回動機構により前記回動軸線の周りで前記搬出体を回動調節することによって、前記搬出体の搬送面が、前記起立状態の処理済板材の下端面を支持するために前記搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡及び前記搬送体の搬送面と所定の位置関係を保持することを特徴とする横型多段プレス装置の板材搬出構造。
【請求項6】
前記搬出体回動機構の回動軸線は、前記搬出体における前記処理済板材の導出開始側に配置され、
前記搬出体は、前記搬出体回動機構による回動調節によって前記処理済板材の導出終了側を昇降調節可能である請求項5に記載の横型多段プレス装置の板材搬出構造。
【請求項7】
前記搬出体回動機構による回動調節によって、前記搬出体の導出終了側が下降変位したとき、
前記搬出体の搬送面は、前記搬送体の搬送面よりも低位に維持されるとともに、前記搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して少なくとも部分的に低位に位置している請求項6に記載の横型多段プレス装置の板材搬出構造。
【請求項8】
前記搬出体回動機構による回動調節によって、前記搬出体の導出終了側が上昇変位したとき、
前記搬出体の搬送面は、前記搬送体の搬送面と同じ高さに維持されるとともに、前記搬出無端体のアンローダ棚に形成された支持面の軌跡に対して全体が高位に位置している請求項6又は7に記載の横型多段プレス装置の板材搬出構造。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の板材搬入構造を搬入側に備えるとともに、
請求項5ないし8のいずれか1項に記載の板材搬出構造を搬出側に備え、
搬入側において、前記一対の搬入無端体のローダ棚により倒伏状態から起立状態に姿勢変更するとともに、前記ローダ棚の支持面で下端面を支持する複数の被処理板材を、前記搬入体及び搬送体により搬送方向に平行な複数の熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧した後、前記搬送体及び搬出体により前記搬入径路に沿って搬出された複数の処理済板材を、搬出側において、前記一対の搬出無端体のアンローダ棚の支持面で下端面を支持するとともに、前記アンローダ棚により起立状態から倒伏状態に姿勢変更することを特徴とする横型多段プレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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