説明

横桟付きベルトコンベア、ベルトコンベア用横桟および横桟付きベルトコンベアの製造方法

【課題】横桟付きのベルトコンベアにおいてローラ径をより小さくできるようにする。
【解決手段】 ベルトに固定される基板部と、この基盤部の表面から立ち上がる受け板部とからなる横桟を有するベルトコンベアにおいて、前記基板部が前記受け板部の付け根より後方位置において長手方向に沿った切断面により分離させることで、ローラ上において基板部の分離した各面は互いに応力をかけ合うことなく、ローラに沿って異なる方向を向くことができるので、基板部が一体の場合に比較してよりローラ径を小さいものにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は横桟を設けたベルトコンベアに関し、特に、ローラー径を小さくすることに資する横桟を設けたベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
横桟を設けたベルトコンベアには、縦方向に対象物を運ぶための手段として広く使用されている。一般的に、この横桟はベルトコンベアのベルトに固定される板状の基板部と、基板部から立ち上がる対象物を受けるための受け板部とから構成される。基板部は受け板部が受ける対象物の加重を支持する必要があるために、ある程度の幅が要求される。
しかし、基板部の幅を大きくすると、ローラー径を大きくしないと基板部がローラー上を通過するときに大きな負荷となったり、横桟やベルトが破損してしまうことになる。このような問題を解決するものとして、下記特許文献には、基板部の受け板部の付け根の裏面に長手方向に凹部を設けることが示されている。これにより、ローラー上を移動する際の基板部の変形量を多くすることができ、基板部の幅を大きくしながらローラー径を小さくすることができる。
【特許文献1】特開昭57−48510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように基板部の受け板部の付け根の裏面に凹部を設けるだけでは、ある程度のローラー径の縮小は実現できるが、凹部を挟んだ基板部の設置面同士は凹部の上方で連結しており、互いに作用を及ぼし合うためにローラー径の縮小に限界がある。
そこで、本発明は横桟付きのベルトコンベアにおいてローラー径をより小さくできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、ベルトに固定される基板部と、この基盤部の表面から立ち上がる受け板部とからなる横桟を有するベルトコンベアであって、前記基板部が前記受け板部の付け根より後方位置において長手方向に沿った切断面により分離しているものである。なお、「付け根より後方」とは横桟の想定される進行方向を前方とした場合の受け板部の後ろ面よりも後方を意味する。
請求項2に記載の発明は、ベルトコンベアのベルトに固定される板状の基板部と、この基板部の表面から立ち上がる受け板部とからなるベルトコンベア用の横桟であって、前記基板部の前記受け板部の付け根より後方位置に長手方向に渡って切れ込みを設けたものである。
請求項3に記載の発明は、前記ベルトコンベア用横桟において、前記基板部の前記切れ込み位置の裏面側に凹部を長手方向に渡って設けたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のベルトコンベア用桟において、前記切れ込みを裏面側に形成したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載のベルトコンベア用横桟を、ベルトコンベアのベルトに固定する横桟固定工程と、固定されたベルトコンベア用横桟の前記切れ込みに沿って、前記基板部を長手方向に切断する基板部切断工程とを有する横桟付きベルトコンベアの製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、基板部が分離しているので、ローラー上において基板部の分離した各面は互いに応力をかけ合うことなく、ローラーに沿って異なる方向を向くことができるので、基板部が一体の場合に比較してよりローラー径を小さいものにすることができる。また、前記受け板部の付け根より後方位置において基板部が分離しているので、ベルトが平らな状態においては、受け板部が受ける荷重を分離した後方の基板部も受けることができ、耐荷重量をほとんど減少させる必要がない。
請求項2の発明は、請求項4における上記のような横桟付きベルトコンベアの製造方法において、分離すべき位置に切り込みが入れてあるので、まず、基板部をベルトに固定し、この切れ込みに沿って基板部を分離することで、分離される両基板部の位置決めを確実に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、切り込みの位置の裏面側に凹部を設けることで、切り込みに沿って分離する際に、ベルトを傷つける確率を減らすことができる。特に、凹部側から切り込みに沿って分離することでベルトを傷つけることをほぼ回避することができる。また、凹部を設けることで基板部のベルトに接する面の幅が減るので、よりローラー径を小さくすることができる。
請求項4に記載の発明は、凹部側から切れ込みに沿って分離する際に、切れ込みが凹部側にあり、切れ込み内に刃物等を挿入しながら切断できるので確実に切れ込みに沿った分離を行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれかのコンベア用横桟をまず固定した後に、切れ込みに沿って分離することで、分離される両基板部の位置決めを確実に行うことができ、製造効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係るベルトコンベア用横桟Xの斜視図を示す。このベルトコンベア用横桟はベルトコンベアに固定する前のものであり、ゴムにより形成されている。なお、ベルトコンベア用横桟Xの材質はある程度の可撓性と強度を有するものであればどのようなものでも採用することができる。ベルトコンベア用桟Xは、ベルトコンベアのベルトに固定される板状の基板部10と、この基板部の表面から立ち上がる受け板部20とからなる。受け板部20は想定される進行方向に向ってやや斜め方向に立ち上がっている。基板部10の受け板部20の付け根より後方位置すなわち想定される進行方向に対する裏面の付け根位置には長手方向に渡って切れ込み11が設けられており、基板部10の切れ込み11の位置の裏面側には凹部12が長手方向に渡って設けられている。
次に、このベルトコンベア用桟Xを用いた、横桟付きベルトコンベアの製造方法について説明する。まず、図2(a)に示すようにベルトコンベア用横桟Xの基板部10の裏面を、桟の付いていないベルトコンベアのベルト面Aの所定位置に溶着、融着、接着などにより順次固定していく。次に、図2(b)に示すようにベルト面Aに固定されたベルトコンベア用横桟Xの切れ込み11に沿って、カッターやこて等により基板部10を分離する。分離された後方の基板部を後部基板部10a、前方の基板部を前部基板部10bとする。これにより、基板部10が受け板部20の付け根より後方位置において分離した横桟を有する横桟付きベルトコンベアYが完成する。
以上のような構成を有するベルトコンベアYの作用について以下に説明する。まず、横桟が対象物Wを支持しながら平らなベルトに沿って移動している際は、図3(a)に示すように、後部基板部10aと前部基板部10bは接触し、受け板部20を有する前部基板部10bにかかる荷重は接触面において後部基板部10aも受けることができるのでで、分離されていない基板部10とほとんど変わらない荷重を受けることが可能である。そして、ローラーAr上にベルトコンベア用横桟Xが移動してくると、後部基板部10aと前部基板部10bとは分離し、小さな曲率のローラーArに対してもスムーズに移動することができる。
すなわち、本実施の形態に係るベルトコンベア用横桟Xを使用してベルトコンベアを構成することで、横桟の耐荷重をほとんど犠牲にすることなく、ローラー径を小さくすることができ、ベルトコンベアを設置するスペース上の制約をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係るベルトコンベア用横桟を示す斜視図である。
【図2】(a)(b)ともに、ベルトコンベア用横桟を用いて横桟付きベルトコンベアを製造する工程の一部を示す拡大側面図である。
【図3】(a)(b)ともに、実施形態に係る横桟付きベルトコンベアの動作を示す拡大側面図である。
【図4】切れ込み位置を裏面に設けたコンベア用横桟を示す側面図である。
【符号の説明】
【0008】
X ベルトコンベア用横桟
Y 横桟付きベルトコンベア
10 基板部
11 切れ込み
12 凹部
20 受け板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトに固定される基板部と、この基盤部の表面から立ち上がる受け板部とからなる横桟を有するベルトコンベアであって、
前記基板部が前記受け板部の付け根より後方位置において長手方向に沿った切断面により分離している横桟付きベルトコンベア。
【請求項2】
ベルトコンベアのベルトに固定される板状の基板部と、この基板部の表面から立ち上がる受け板部とからなるベルトコンベア用の横桟であって、
前記基板部の前記受け板部の付け根より後方位置に長手方向に渡って切れ込みを設けたベルトコンベア用横桟。
【請求項3】
前記ベルトコンベア用横桟において、
前記基板部の前記切れ込み位置の裏面側に凹部を長手方向に渡って設けた請求項1に記載のベルトコンベア用横桟。
【請求項4】
前記切れ込みは裏面側に形成される請求項3に記載のベルトコンベア用横桟。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のベルトコンベア用横桟を、ベルトコンベアのベルトに固定する横桟固定工程と、
固定されたベルトコンベア用横桟の前記切れ込みに沿って、前記基板部を長手方向に切断する基板部切断工程とを有する
横桟付きベルトコンベアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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