説明

樹木の保護方法

【課題】 コスト高を招来することなく、マツ枯れやナラ枯れの発生、害虫によるサクラやモミジへの加害を未然に防止できるようにした樹木の保護方法を提供する。
【解決手段】 保護樹木に対して病原体を媒介する昆虫又は保護樹木に加害する昆虫の飛来・付着を少なくすることによって、保護樹木の萎凋又は保護樹木への加害を予防するようにした方法であって、媒介昆虫又は加害昆虫の活動時期に保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することにより、媒介昆虫又は加害昆虫の誘因による飛来・付着の可能性を少なくするようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹木の保護方法に関し、特にコスト高を招来することなく、マツ枯れやナラ枯れの発生、害虫によるサクラやモミジへの加害を未然に防止できるようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの気象変動、社会構造の変化による山林、里山、海岸林の放置、樹木の老齢化などの複合的な要因に加え、昆虫が媒介する病原体や昆虫の加害によって樹木が集団で枯れる被害が多発しており、自然環境を守るためにもその対策が急務となっている。
【0003】
例えば、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツ、リュウキュウマツ等のマツ属樹木について、マツ材線虫病の被害、いわゆるマツ枯れが、青森県と北海道を除く全国各地に広がっている。マツ枯れとはマツノザイセンチュウ(Bursaphelenchusxylophilus Nickle)がマツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus Hope)の後食(咬み傷)から感受性マツに侵入し、樹脂滲出が停止し、次いで仮道管の閉塞によって材の通水障害が生じ、最終的に萎凋枯死に至る萎凋病である。
【0004】
これに対し、マツノザイセンチュウを殺虫する目的で健全なマツに殺虫剤を注入(樹幹注入)して予防する方法、健全なマツに殺虫剤を噴霧してマツノマダラカミキリを殺虫する方法、感染木を伐採して殺虫剤又は燻蒸によってマツノマダラカミキリを殺虫する方法、健全なマツを網目の小さいネットで覆ってマツノマダラカミキリの侵入を阻止する方法、などが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
また、ブナ科樹木についてはナラ枯れが日本海側の森林を中心に発生し拡大している。ナラ枯れとはブナ属を除くコナラ属、シイ属、クリ属などのナラ類生立木に対し、かびの一種である病原菌(ラファエレラ・クエルキボーラ、Raffaelea quercivora)がカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)を媒介としてナラ類生立木に侵入し、孔道を伝って伸長し、感染木は導管の通水障害を生じ、カシノナガキクイムシの侵入密度が大きいと萎凋枯死に至る萎凋病である。
【0006】
これに対し、カシノナガキクイムシの合成ホルモンや集合フェロモンを用いてカシノナガキクイムシを捕殺する方法、天敵糸状菌を用いてカシノナガキクイムシを駆除する方法、増殖防止剤で病原菌の繁殖を防止するようにした方法などが提案されている(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−25347号公報
【特許文献2】特開2007−209329号公報
【特許文献3】特開2006−22537号公報
【特許文献4】特開2008−220234号公報
【特許文献5】特開2006−117617号公報
【特許文献6】特開2009−184930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1〜6記載の方法では特殊な殺虫剤、燻蒸剤、捕殺用フェロモン、天敵糸状菌、増殖防止剤などを必要とし、環境への悪影響が懸念されるばかりでなく、コスト高になり、又一旦、広範囲にわたってマツ枯れやナラ枯れが発生すると、感染拡大の防止に十分な効果をあげるのが難しいのが実情である。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、コスト高を招来することなく、マツ枯れやナラ枯れの発生を未然に防止できるようにした樹木の保護方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る樹木の保護方法は、保護樹木に対して病原体を媒介する昆虫又は保護樹木に加害する昆虫の飛来・付着を少なくすることによって、保護樹木の萎凋又は保護樹木への加害を予防するようにした方法であって、媒介昆虫又は加害昆虫の活動時期に保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することにより、媒介昆虫又は加害昆虫の誘因による飛来・付着の可能性を少なくするようにしたことを特徴とする。
【0011】
本件発明者がマツ枯れやナラ枯れの対策を行っていたところ、マツノマダラカミキリやカシノナガキクイムシ(媒介昆虫)の後食、産卵などの活動時期、例えばマツノマダラカミキリは4月〜10月頃、カシノナガキクイムシは6月〜10月頃には、マツ属樹木や、ブナ属を除くブナ科樹木が発する樹木成分による特有の雰囲気が生立木の周囲に形成され、媒介昆虫が誘因されることを知見するに至った。
【0012】
本発明の特徴の1つは保護樹木の生立木の周囲に、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を形成するようにした点にある。これにより、媒介昆虫は活動時期になっても保護樹木に誘因されて飛来し付着する可能性が少なくなる結果、マツノザイセンチュウやナラ枯れの病原体(ラファエレラ・クエルキボーラ)がマツ属やブナ科の樹木に侵入する機会が少なくなり、マツ枯れやナラ枯れを予防できる。
【0013】
マツ枯れを予防する場合、マツ属樹木と異なる雰囲気を形成するために、クスノキ、ヒノキ又はサンショウの樹木を採用することができる。また、ナラ枯れを予防する場合、ブナ属を除くブナ科樹木と異なる雰囲気を形成するために、クスノキ、ヒノキ、マツ又はサンショウの樹木を採用することができる。
【0014】
本件発明者は、本発明の考え方を公園や庭園のサクラに対するコスカシバ、リンゴアナアキゾウムシ又はニホンキクイムシによる加害、モミジに対するゴマダラカミキリ又はアオカミキリの加害についても同様に適用できることを確認するに至った。
【0015】
この場合、保護樹木と異なる雰囲気を形成するために、クスノキ、ヒノキ、マツの樹木を用いることができる。
【0016】
保護樹木と異なる種類の樹木の木片を保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付けあるいは粘着によって取り付けるか、又は保護樹木と異なる種類の樹木の木片、木粒、木粉、葉、花、実又は種子の1又は複数を通気性の袋に入れて保護樹木の生立木に吊り下げ、紐、テープ、布の巻付けあるいは粘着によって取り付けることによって、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することができる。
【0017】
また、保護樹木と異なる種類の樹木の木粒又は木粉を澱粉糊で固め、大きさの異なる団子や硬さの異なる団子を作り、保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付けあるいは粘着によって取り付け、あるいは生立木の周囲に置くことによって保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することができる。これらの団子は雨水で崩壊するが、大きさや硬さ、糊の固着強さに応じて順番に崩壊し、保護効果を長期に維持できる。
【0018】
また、保護樹木と異なる種類の樹木の木粒又は木粉を種類の異なる土壌、例えば砂、赤土、粘度などと混練して団子とすることによって上記と同様の効果が得られる。さらに、炭や珪藻土を焼いて固めたイソライト(イソライト工業株式会社製:製品名)を混ぜることによって効果を長期間保つことができる。また、紫外線劣化樹脂袋に木粒又は木粉を入れ、劣化によって袋が破れると、木粒又は木粉の成分が周囲に飛散するようにしてもよい。
【0019】
また、クスノキ精油、日本薬局方d−カンフル(天然樟脳)、日本薬局方dl−カンフル(合成樟脳)、ヒノキ精油、ヒノキチオ−ル、パラジクロベンゼン、ナフタリン、イソチオシアン酸アリル、ジペンテン及びシトネラール含有サンショウ精油、サンショウアミド、芳香精油を、担体に担持させて保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付けあるいは粘着によって取り付けるか、又は保護樹木の生立木に塗布し又は噴霧し、あるいはアルコール又は精製水などの希釈剤で希釈して、保護対象樹木の樹幹に穴を複数あけて樹幹注入することによって、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することができる。
【0020】
また、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成する前に又は形成作業時に、保護樹木が発する成分の雰囲気を遮蔽するコーティング剤、例えばメイカコートBG(明成化学工業社製:商品名)やカシナガブロック(アース製薬社製:商品名)を保護樹木に噴霧し又は塗布するようすると、保護樹木の成分の発散を遮断し、保護樹木と全く異なる樹木などの雰囲気を形成することができる。
【0021】
(吊下げ)
保護樹木と異なる種類の樹木の木片を保護樹木の生立木から吊り下げる。また、異なる種類の樹木の木片、木粒、木粉、葉、花、実又は種子の1又は複数を通気性の袋、例えば不織布袋、ネット袋に詰めて生立木から吊り下げる。さらに、樹木抽出成分又はその合成品をスポンジ、ガーゼ、不織布などの担体に担持させ、これを保護樹木から吊り下げる。
【0022】
(取付け)
異種樹木の木片、あるいは木片、木粒、木粉、葉、花、実又は種子の1又は複数を通気性の袋、例えば不織布袋、ネット袋に詰めたものを、樹木とともに紐やテープによって巻回して保護樹木の生立木に取り付ける。さらに、樹木抽出成分又はその合成品をスポンジ、ガーゼ、不織布などの担体に担持させ、これを樹木とともに紐やテープによって巻回して保護樹木の生立木に取り付ける。さらに、紐やテープに代えて両面粘着テープや粘着剤を用いて保護樹木の生立木に取り付けることもできる。
【0023】
(塗布)
樹木抽出成分又はその合成品を刷毛などを用いて保護樹木の生立木に塗布する。
【0024】
(噴霧)
樹木抽出成分又はその合成品を希釈して噴霧器を用いて保護樹木の生立木に噴霧する。

【0025】
雨水に濡れると、溶解し、分解し、昇華が懸念される場合には下方が開放された防水袋や防水容器によって雨水の濡れを防止する。また、吊り下げたもの、取り付けたもの、塗布・噴霧した後にビニールシートなどを巻回して密封するようにしてもよい。
【0026】
カシノナガキクイムシの活動時初期に、ブナ属を除くブナ科樹木への雄のカシノナガキクイムシの侵入があったときに、ブナ科樹木の雰囲気と異なる雰囲気をブナ科樹木の生立木の周囲に形成するとともに、侵入孔の周縁に酸化チタン水溶液を噴霧して雄のカシノナガキクイムシの発する集合フェロモンを光触媒作用によって分解すると、それ以後のカシノナガキクイムシの侵入を予防できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(マツ枯れ対策)
マツ枯れの激甚発生地域において、天然樟脳(日本精化学株式会社製商品名:藤沢樟脳)、合成樟脳(株式会社白元製商品名:パラゾール)、クスノキ、ヒノキ及びサンショウの木片をアカマツ及びクロマツに吊り下げた。これらの対策を行ったマツを、これに隣接して対策を行わなかったマツと3年間比較観察したところ、対策を行わなかったマツについてはマツ枯れが発生したのに対し、対策を行ったマツにはマツノマダラカミキリが誘因されず、マツノザイセンチュウの被害を受けないことが確認された。
【0029】
(ナラ枯れ対策)
天然樟脳(日本精化学株式会社製商品名:藤沢樟脳)、合成樟脳(株式会社白元製商品名:パラゾール)、クスノキ、ヒノキ及びサンショウの木片を、アラカシ、ウバメカシ、コナラに吊り下げた。これらの対策を行ったアラカシなどを、対策を行わなかったアラカシなどと、カシノナガキクイムシの発生期である6月から6カ月間、捕獲トラップや粘着テープによってカシノナガキクイムシの誘因阻止効果を検証したところ、対策を行わなかったアラカシなどでは多数のカシノナガキクイムシが捕獲粘着され、秋にナラ枯れの被害が発生した。これに対し、対策を行ったアラカシなどでは数匹のカシノナガキクイムシが捕獲粘着されただけで、ナラ枯れの被害は全く発生しなかった。
【0030】
特に、カシノナガキクイムシは主幹の高さ5m以下の部位に侵入することが多数確認されたので、主幹の高さ5m以下の部位に上述と同様の対策を行ったところ、1年ではあるが、90%の予防効果を確認できた。
【0031】
また、カシノナガキクイムシの活動時初期には雄のカシノナガキクイムシの侵入があったときに、侵入数が軽度(1m2あたり1箇所以内)であれば、上述の対策を行うとともに、侵入孔に酸化チタン水溶液を噴霧して雄のカシノナガキクイムシの発する集合フェロモンを光触媒作用によって分解すると、以後のカシノナガキクイムシのマスアタックをほとんど防止できることが確認された。
【0032】
(サクラ、モミジの加害対策)
公園や庭園のサクラやモミジについて、天然樟脳(日本精化学株式会社製商品名:藤沢樟脳)、合成樟脳(株式会社白元製商品名:パラゾール)、クスノキ、ヒノキの木片を吊り下げた。これらの対策を行ったサクラ及びモミジを、対策を行わなかったサクラに対するコスカシバ、リンゴアナアキゾウムシ又はニホンキクイムシによる加害、対策を行わなかったモミジに対するゴマダラカミキリ又はアオカミキリの加害についても2年間比較検証した。対策を行った場合に害虫による加害がほとんど予防されることが確認された。特に、2m以下の高さに対策を行うと、1年の検証ではあるが、70%の予防効果があることが確認された。
【0033】
木片の紐やテープの巻付けあるいは粘着による取り付け、木片、木粒、木粉、葉、花、実又は種子の1又は複数を通気性の袋に詰めたものの吊り下げ、紐やテープの巻付けあるいは粘着による取付けについても確認を行ったところ、媒介昆虫や加害昆虫の誘因を阻止してマツ枯れやナラ枯れ、あるいは害虫によるサクラやモミジへの加害を予防できることも確認された。
【0034】
また、クスノキ精油、ヒノキ精油、ヒノキチオ−ル、パラジクロベンゼン、ナフタリン、イソチオシアン酸アリル、ジペンテン及びシトネラール含有サンショウ精油、サンショウアミド、芳香精油を、担体に担持させて保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付け又は粘着によって取り付けるか、又は保護樹木の生立木に塗布し又は噴霧することによっても、同様に媒介昆虫や加害昆虫の誘因を阻止してマツ枯れやナラ枯れ、あるいは害虫によるサクラやモミジへの加害を予防できることも確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護樹木に対して病原体を媒介する昆虫又は保護樹木に加害する昆虫の飛来・付着を少なくすることによって、保護樹木の萎凋又は保護樹木への加害を予防するようにした方法であって、
媒介昆虫又は加害昆虫の活動時期に保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成することにより、媒介昆虫又は加害昆虫の誘因による飛来・付着の可能性を少なくするようにしたことを特徴とする樹木の保護方法。
【請求項2】
保護樹木がマツ属樹木であり、媒介昆虫がマツノマダラカミキリであり、保護樹木と異なる雰囲気をクスノキ、ヒノキ又はサンショウの樹木によって形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項3】
保護樹木がブナ属を除くブナ科樹木であり、媒介昆虫がカシノナガキクイムシであり、保護樹木と異なる成分の雰囲気をクスノキ、ヒノキ、マツ又はサンショウの樹木によって形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項4】
保護樹木がサクラであり、加害昆虫がコスカシバ、リンゴアナアキゾウムシ、ニホンキクイムシであり、保護樹木と異なる成分の雰囲気をクスノキ、ヒノキ又はマツの樹木によって形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項5】
保護樹木がモミジであり、加害昆虫がゴマダラカミキリ、アオカミキリであり、保護樹木と異なる成分の雰囲気をクスノキ、ヒノキ又はマツの樹木によって形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項6】
保護樹木と異なる種類の樹木の木片を保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付け又は粘着によって取り付けるか、又は保護樹木と異なる種類の樹木の木片、木粉、葉、花、実又は種子の1又は複数を通気性の袋に入れて保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付け又は粘着によって取り付け、あるいは保護樹木と異なる種類の樹木の木片又は木粉を糊又は土と混合して団子とし又は紫外線劣化性袋に入れて保護樹木の生立木の周囲に置くことによって、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項7】
クスノキ精油、日本薬局方d−カンフル(天然樟脳)、日本薬局方dl−カンフル(合成樟脳)、ヒノキ精油、ヒノキチオ−ル、パラジクロベンゼン、ナフタリン、イソチオシアン酸アリル、ジペンテン及びシトネラール含有サンショウ精油、サンショウアミド、芳香精油を、担体に担持させて保護樹木の生立木に吊り下げ、紐又はテープの巻付け又は粘着によって取り付けるか、又は保護樹木の生立木に塗布し又は噴霧することによって、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項8】
松脂を、ブナ属を除くブナ科樹木、サクラ又はモミジの樹木の生立木に塗布し又は噴霧することによって、保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。
【請求項9】
保護樹木が発する成分の雰囲気と異なる雰囲気を保護樹木の生立木の周囲に形成する前に又は形成作業時に、保護樹木が発する成分の雰囲気を遮蔽するコーティング剤を保護樹木に噴霧し又は塗布するようにした請求項6〜8のいずれかに記載の樹木の保護方法。
【請求項10】
カシノナガキクイムシの活動時初期に、ブナ属を除くブナ科樹木への雄のカシノナガキクイムシの侵入があったときに、ブナ科樹木の雰囲気と異なる雰囲気をブナ科樹木の生立木の周囲に形成するとともに、侵入孔に酸化チタン水溶液を噴霧して雄のカシノナガキクイムシの発する集合フェロモンを分解するようにした請求項1記載の樹木の保護方法。