説明

樹木の植栽・育成用コンテナおよび樹木の植栽・育成方法

【課題】 樹木の生産から植込みまでだけでなく、植込み後の育成から撤去に到るまで一貫して使用可能であり、生産および運搬効率、作業効率の向上、ならびに、樹木への負担の低減が可能なコンテナを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる樹木の植栽・育成用コンテナ100は、底面120と、生分解性を有し側面を構成する2重の不織布110A、110Bと、2重の不織布110A、110Bの少なくとも一方を補強する非生分解性のベルト130と、不織布110A、110Bに沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部140と、マチ部140の少なくとも1つに挿入される、内部に空隙を有するエアレーションパイプ150と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木の生産から植込みまでだけでなく、植込み後の育成から撤去に到るまで一貫して使用可能な樹木の植栽・育成用コンテナ、および樹木の植栽・育成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市中心部の気温が郊外の気温に比べて高くなる現象である、ヒートアイランド現象が問題とされている。かかるヒートアイランド現象の原因としては、空調システム、電気機器、燃焼機器、自動車などの人間活動より排出される人口排熱の増加、緑地・水面の減少および建築物・舗装面の増大による地表面の人工化が挙げられている。
【0003】
上記ヒートアイランド現象への対策の一つとして、都市中心部の緑化が推進されている。植物は、体内の水分を水蒸気として体外に排出する現象である、蒸散を行っている。そして、植物から蒸散された水蒸気が気化する際、その気化熱によって周囲の温度を低下させる。このような効果を蒸散効果という。したがって、都市中心部の緑化を推進することにより、かかる蒸散効果によって気温を低下させ、ヒートアイランド現象を緩和するという試みが為されている。
【0004】
一般に、人為的に植栽される樹木は、生産施設にて生産される。生産された樹木は、出荷に際して土中から掘り起こされる。このとき、土中に広がっている根は部分的に切断される(根回し)。そして、根回しによって切断された根との蒸散のバランスを保つため、樹木の枝部分の剪定を行う。
【0005】
次に、運搬の際に根鉢が崩れないように、掘り起こした根の部分を根巻材で巻き上げ、根巻きされる。ここで、根鉢とは、根の部分に土を付けて掘り取られた根部であり、根鉢が崩れてしまうと、根が傷み衰弱してしまう。
【0006】
その後、樹木を運搬しやすくするために、枝を縄等でまとめ、枝折る(しおる)。このように運搬用に処理された樹木は、植栽地まで運搬される。そして、あらかじめ土中に掘られた穴に根鉢を入れ、植栽(植え込み)される。
【0007】
このような植栽に用いる樹木として、例えば特許文献1には、植栽基材中にネット材を埋設したコンテナ樹木が開示されている。特許文献1によれば、樹木の根がネット材に絡みつくため、根が十分に成育しなくても基材と一体構造を形成することができる。これにより、コンテナ樹木の早期出荷が可能であるとしている。
【0008】
また特許文献2には、生分解性プラスチックで成形された植木鉢が開示されている。特許文献2によれば、植木鉢は土中でやがて分解して消失するため、植物を植木鉢ごと埋設することで植替え完了し、植物の根切れの発生による枯死を避け、植替え作業を簡単にして使用者側の省人化を達成するとともに、生産から出荷までの荷扱いの自動化を可能にして生産者側の省人化を達成できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−215452号公報
【特許文献2】特開平06−276862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、都市中心部には露出した地面が極めて少ない。ほとんどの土地には余すことなくビルや住宅が高効率に建設され、各区画に樹木を植えるために充分な面積をとる余裕はない。また都市中心部では土地利用者の移り変わりも頻繁であるため、植物も撤去を余儀なくされる場合もあり、大木が強固に根付いてしまうと撤去作業に過大な労力と費用がかかるという問題がある。これらのことから、都市中心部においては、狭小な面積にいかに効率よく植栽し、またその植栽および撤去作業をいかに軽減するかが課題となる。
【0011】
特許文献1にかかるコンテナ樹木は、植栽の際にコンテナ内から抜き取られ、植栽地に植え込まれる。そして、植え込まれた樹木は植栽地にて育成される。かかる育成時において、樹木の根は成長方向を抑制されていないため、根は土中に縦横無尽に張りめぐる。また特許文献2にかかる植木鉢においても、植木鉢が消失した後は、植物が単に植栽されたことと同様の状態となる。
【0012】
このとき、当該樹木の植栽地が、敷地面積が広く、土中の埋設構造物等がなく、育成後の樹木を撤去することがない場所であれば、樹木の根の成長による問題は生じない。しかしながら、都市中心部の植栽地では、土地利用者の移り変わりや建築物の建替等により、育成後の樹木が不要となった場合、樹木を撤去しなくてはならない。また当該樹木が枯死した場合においても、撤去の必要が生じる。このような樹木の撤去においては、土を深く掘り起こして土中に張りめぐった側根や直根を切断し、樹木を掘り起こさなければならず、撤去時に多大な労力が必要となる。また深く掘り起こすためには作業場所を広く取る必要があるが、住宅街やビル街などの狭小地では作業場所の確保が困難となるおそれがある。
【0013】
さらに、上述した都市中心部の植栽地では、建築物が狭小な植栽地に隣接して立ち並び、かかる建築物の基礎や水道管、ガス管等の配管が土中に多く埋設されている。すると、成長した根、特に樹木を中心として土中を円周方向に成長する側根によって、建築物の基礎に悪影響を与えたり、配管等が押し上げられて損傷したりするといった問題が生じる。
【0014】
そこで本発明は、樹木の生産から植込みまでだけでなく、植込み後の育成から撤去に到るまで一貫して使用可能であり、生産および運搬効率の向上、ならびに、樹木への負担の低減が可能な樹木の植栽・育成用コンテナおよび樹木の植栽・育成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかる樹木の植栽・育成用コンテナの代表的な構成は、底面と、生分解性を有し側面を構成する2重の不織布と、2重の不織布の少なくとも一方を補強する非生分解性のベルトと、不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、コンテナが土中に埋設された場合、コンテナの側面である不織布は、所定の年月が経過すると生分解され、消失する。したがって、コンテナにて育成した樹木を、コンテナから抜きとることなく、コンテナごと植栽し、土中でさらに育成することが可能である。
【0017】
また、上記構成によれば、樹木の生産から植栽において、樹木の根回しを行うことなく、植栽地に植栽することができる。これにより、根の切断による樹木へのダメージが減少するため、植栽地における樹木の活着率を向上させることも可能となる。
【0018】
上記のように、出荷時に根回しは不要であるが、樹木の形状を整えるなどの目的で剪定作業は必要である。しかしながら、コンテナによって根の成長範囲が制限されているため、樹木のサイズは大きくなりすぎない。したがって、従来より剪定量は減少し、剪定の手間が軽減され、剪定によって樹木に与えるストレスを軽減することが可能である。
【0019】
とりわけ、コンテナ側面として用いられる不織布は、生分解されるだけでなく、水分と酸素を透過するため、樹木の根は、土中にコンテナを埋設する前から、土中に直接に植栽した樹木の根と同様に、健全に成長可能である。
【0020】
なお、不織布は、生分解に要する期間が3〜5年程度であるのが好ましい。これは、樹木の育成から出荷および植栽までにかかる期間がおよそこの程度であり、コンテナ側面を構成する不織布が出荷前に生分解によって消失すると、樹木の培地である土が散失してしまうからである。
【0021】
また、上記構成によれば、2重になっている不織布の間隙に防根シートを挿入可能である。防根シート挿入後に土中にコンテナを埋設することにより、樹木の根は、防根シートが設けられた方向には成長が抑制されるが、防根シートが設けられていない、水や酸素が透過する方向には成長可能である。
【0022】
かかる構成により、樹木の根、特に側根の成長方向を抑制することが可能となる。例えば、植栽地において、コンテナの設置箇所付近に配管等がある場合、配管等に隣接する側面に防根シートを装着することにより、かかる側面方向への側根の成長方向を抑制することができる。すなわち至近距離に土中埋設物の存在が予測される狭小地において、根の成長方向を制御することにより、植物による土中埋設物に対する影響を排除することができる。
【0023】
また上記構成によれば、コンテナ側面を構成するのが柔軟性を有する不織布であることから、コンテナは実質的に布袋であり、使用前は平坦に折り畳むことが可能である。したがってストックするスペースを要さず、大量にストックしやすい。
【0024】
また上記構成によれば、不織布が生分解した後も、不織布を補強していたベルトは非生分解性であり、経年劣化に耐性がある素材とすることにより、土中に残留する。したがって樹木を撤去する際には、ベルトを持ち上げて植物の撤去作業を軽減し、または再利用(リユース)する際にベルトを利用することができる。かかる移植時には、根切り→根巻き→掘り上げ、の各工程を行い、ベルトは根回しの補強あるいは吊り上げのための手掛けとなる。なお、樹木を吊り上げるとき、現地の土もそのまま樹木ごと持ち上げる。これは土を落としてしまうと今後の樹木の生育上好ましくないこと、また土を落としてベルトだけで根を持ち上げてしまうと、根崩れしやすいことによる。コンテナは、このように、樹木の植栽および撤去・リユースのための運搬時においても、ベルトを備えていることから耐荷重が高く、樹木を植え込んだままで運搬することができる。したがって広い作業場所を確保する必要がなく、狭小地における作業性を向上させることができる。
【0025】
さらに、ベルト外に伸長した側根等の切除後は、上記のように樹木を植え込んだままコンテナ(ベルト)ごと撤去(回収)することができるため、コンテナごと移設場所に植栽することも可能である。また、コンテナにより根の成長範囲を制限しているため、一般樹木と比べて根切りが少なく、樹木へのダメージを低減できることから、撤去後の樹木を効率よく再利用することが可能である。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明にかかる樹木の植栽・育成用コンテナの他の代表的な構成は、底面と、生分解性を有し側面を構成する不織布と、不織布を補強する非生分解性のベルトと、不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によっても、不織布の外側に防根シートを取り付けることによって、2重構造のコンテナと同様の作用効果が得られる。
【0028】
当該樹木の植栽・育成用コンテナは、上記のマチ部の少なくとも1つに挿入される、内部に空隙を有する通気通水管をさらに備えてもよい。
【0029】
上記構成によれば、筒状のマチ部に通気通水管を挿入し、コンテナごと土中に埋設するという簡単な作業によって、土中の根へのエアレーション(通気)および灌水を行うことが可能となる。
【0030】
当該樹木の植栽・育成用コンテナは、上記のベルトに接続された把持部をさらに備えてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、ベルトに接続された把持部は、樹木を引き抜くときの手がかりになる。把持部を把持して引っ張り上げることにより、残留したベルトもろとも樹木を撤去(回収)することが可能である。
【0032】
上記の通気通水管は下端部にネジ溝が形成されていて、上端部において開口し、多数の小孔を有するとよい。かかる構成によれば、下端部のネジ溝によって、通気通水管を回転させながら土中へ容易に捻じ込み、あるいは土中から容易に引き抜くことができる。また土中の根へのエアレーション(通気)および灌水を容易に行うことができる。したがって、植栽後の樹木の育成における、エアレーションおよび灌水等のメンテナンスにかかる労力を低減し、また狭小地においても水と空気が不足することがない。したがって、植栽後も良好に育成を行うことができると共に、管理工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0033】
例えば、通気通水管の上端部の開口に水を注ぎ込むと、かかる水は通気通水管内部の空隙に流入する。そして、水はかかる空隙から多数の小孔を通じてコンテナ内の培地である土に供給される。これにより、コンテナ内の樹木の根に灌水することができる。
【0034】
上記の通気通水管としては、金属製またはプラスチック製等の中空管を用いることができる。これにより、通気通水管内に容易に空気を送入または水を注入することが可能となる。
【0035】
また、かかる中空管内部に、毛細管状素材や多孔質素材を充填することができる。かかる多孔質材料や毛細管状素材は、多数の小孔を有している。例えば、通気通水管として中空管を用い、中空管内部に多孔質材料である軽石を充填することにより、通気通水管の水の保持力が向上する。したがって、コンテナ内の培地である土に、緩やかに水を浸透させることが可能となる。
【0036】
さらに、上記の通気通水管の他の例として、当該通気通水管自体を軽石等の多孔質材料や毛細管状素材で形成することもできる。これにより、通気通水管全体にエアレーションおよび灌水の機能を備えさせることが可能となる。例えば、通気通水管自体を軽石で形成し、通気通水管全体にエアレーションおよび灌水の機能を備えさせ、かかる通気通水管を不織布やメッシュシート等で被包することにより、通気通水管の空隙および小孔への土の侵入を防止することができる。
【0037】
上記の通気通水管は、当該コンテナの側面の高さより長いとよい。かかる構成によれば、通気通水管は、地面に掘削したコンテナ用の穴よりさらに深くまで打ち込み可能であり、これによって、通気通水管は、樹木の支線用アンカを兼用可能である。
【0038】
当該樹木の植栽・育成用コンテナは、天面が開放された略直方体の形状を有し、その略直方体の4つの高さ方向の稜線に相当する部分にマチ部が設けられていてよい。
【0039】
上記の構成によれば、直方体の4隅の角部に通気通水管を挿入可能となり、均等な通気および灌水が可能となる。
【0040】
またコンテナを略直方体とすることにより、運搬時の省スペース化を図ることができるし、植栽時にも、例えば帯状(線状)の狭小地に植栽ができ、限られた空間を有効利用することができる。都市中心部は狭小地が多く、植栽地においても面積が狭小である可能性があり、敷地の境界線に外構として、または建築物の外壁等に沿って植栽されることが想定されるからである。
【0041】
また、かかる形状により、複数のコンテナを隙間なく並設することができ、植栽地の面積を有効利用することが可能となる。さらに、上記形状により、樹木はほぼ等間隔に設置されることとなる。したがって、樹木間の間隔の計測等をすることなく、外観に優れた植栽を容易に行うことができる。
【0042】
上記の2重の不織布を備える樹木の植栽・育成用コンテナは、2重の不織布の間隙に挿入される平板状の防根シートまたは断面略コの字型の防根部材をさらに備えてよい。一方、上記の不織布を備える樹木の植栽・育成用コンテナは、不織布の外側に取り付けられる平板状の防根シートまたは断面略コの字型の防根部材をさらに備えてよい。
【0043】
上記の構成によれば、防根シートまたは防根部材を自由に組み合わせ、コンテナの側面だけでなく、通気通水管が設けられている4隅の角部に向かって根が成長することを防ぐことができる。樹木の根は、コンテナの4隅にて通気および灌水を活発に行っている通気通水管に向かって成長しがちである。仮に通気通水管の両隣の側面に平板状の防根シートが挿入されていても、かかる成長は生じてしまうおそれがあるため、上記の断面略コの字型の防根部材を設けることにより、防根をより確実に行うことが可能となる。
【0044】
上記課題を解決するために、本発明にかかる樹木の植栽・育成方法の代表的な構成は、底面と、生分解性を有し側面を構成する2重の不織布と、2重の不織布の少なくとも一方を補強する非生分解性のベルトと、不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備え、培地である土が投入され、樹木が植え込まれた樹木の植栽・育成用コンテナを用い、マチ部の少なくとも1つに、内部に空隙を有する通気通水管を挿入し、少なくとも1つの側面において2重の不織布の間隙に防根シートを挿入し、樹木の根の成長を抑制すべき方向に防根シートが面するよう、地面に掘削した穴に樹木の植栽・育成用コンテナを埋設することを特徴とする。
【0045】
上述した樹木の植栽・育成用コンテナにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該樹木の植栽・育成方法にも適用可能である。
【0046】
上記課題を解決するために、本発明にかかる樹木の植栽・育成方法の他の代表的な構成は、底面と、生分解性を有し側面を構成する不織布と、不織布を補強する非生分解性のベルトと、不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備え、培地である土が投入され、樹木が植え込まれた樹木の植栽・育成用コンテナを用い、マチ部の少なくとも1つに、内部に空隙を有する通気通水管を挿入し、少なくとも1つの側面において不織布に防根シートを取り付け、樹木の根の成長を抑制すべき方向に防根シートが面するよう、地面に掘削した穴に樹木の植栽・育成用コンテナを埋設することを特徴とする。
【0047】
上記の構成によれば、不織布を2重にすることなく、防根シートを不織布に取り付けるという作業によって、防根が可能である。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、樹木の生産から植込みまでだけでなく、植込み後の育成から撤去に到るまで一貫して使用可能であり、生産および運搬効率の向上、ならびに、樹木への負担の低減が可能なコンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるコンテナを説明する図である。
【図2】図1のコンテナの構造を説明する図である。
【図3】図1および図2の植栽・育成用コンテナを折り畳んで積み重ねた様子を示す図である。
【図4】図2に示した樹木の生産から撤去までの工程を説明する図である。
【図5】図4の植込工程におけるコンテナの状態を示す図である。
【図6】図4の植込工程の詳細を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるコンテナを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に関係のない要素は図示を省略する。
【0051】
[第1実施形態]
図1は、本発明にかかる樹木の植栽・育成用コンテナの第1実施形態を説明する図である。図1(a)はコンテナの組立図、図1(b)は図1(a)の不織布のバリエーション、図1(c)は図1(a)のように組み立てたコンテナに後述の防根シートやエアレーションパイプを挿入する様子、図1(d)は図1(c)のエアレーションパイプの部分拡大図をそれぞれ示す。図2は図1のコンテナの構造を説明する図である。図2(a)は樹木が植え込まれたコンテナ、図2(b)はコンテナのA−A断面図、図2(c)はコンテナのB−B断面図である。
【0052】
(生分解性の不織布からなるコンテナ)
本実施形態にかかる植栽・育成用コンテナ100は、生分解性を有し側面を構成する2重の不織布110A、110Bを備える。これら不織布110A、110Bはいずれも天面が開放された略直方体の形状を有し、図1(a)に示すように、外側の不織布110Aの中に内側の不織布110Bを入れ、縫製等の方法で組み立てられ、図1(c)に示す植栽・育成用コンテナ100となる。外側の不織布110Aには底面120が設けられている。
【0053】
なお、図1(a)の不織布110Aは、後述のマチ部140も1枚の不織布110Aによって連続的に形成しているが、図1(b)に示すように、別体の不織布を縫製したマチ部140を形成してもよい。
【0054】
水分も酸素も透過しない例えばビニール製のコンテナに包囲された樹木の根は、水と酸素を求めて曲がりくねって成長し、いわゆるルーピングを生じてしまう。しかし、本実施形態のコンテナ100の側面として用いられる不織布110A、110Bは、生分解されるだけでなく、水分と酸素を透過する。コンテナ100は後述するように、培地122ごと土中に埋設して樹木の育成を継続可能なものであるが、不織布110A、110Bが水分と酸素を透過するので、樹木の根は、土中にコンテナ100を埋設する前から、土中に直接に植栽した樹木の根と同様に、健全に成長可能である。
【0055】
コンテナ100が土中に埋設され、所定の年月が経過すると不織布110A、110Bは生分解され、消失する。したがって、コンテナ100にて育成した樹木を、コンテナ100から抜きとることなく、コンテナ100ごと植栽し、土中でさらに育成することが可能である。
【0056】
また、樹木の生産から植栽において、樹木の根回しを行うことなく、植栽地に植栽することができる。これにより、根の切断による樹木へのダメージが減少するため、植栽地における樹木の活着率を向上させることも可能となる。
【0057】
上記のように、出荷時に根回しは不要であるが、樹木の形状を整えるなどの目的で剪定作業は必要である。しかしながら、コンテナ100によって根の成長範囲が制限されているため、樹木のサイズは大きくなりすぎない。したがって、従来より剪定量は減少し、剪定の手間が軽減され、剪定によって樹木に与えるストレスを軽減することが可能である。
【0058】
不織布110A、110Bは、生分解に要する期間が3〜5年程度であるのが好ましい。これは、樹木の育成から出荷および植栽までにかかる期間がおよそこの程度であり、コンテナ100の側面を構成する不織布110A、110Bが出荷前に生分解によって消失すると、樹木の培地122が散失してしまうからである。
【0059】
(ベルト・把持部)
内側の不織布110Bには、これを補強する非生分解性のベルト130が枠体として取り付けられている。ベルト130は、布製のコンテナ100のいわば骨組みの役割を果たし、剛性を有しない不織布110A、110Bを組み立てても図1(c)のように立設した状態に保つことができる。ただしベルト130も剛性を有するわけではなく、強度の高い布製であって、不織布110A、110Bに縫製等によって取り付けられる。
【0060】
ベルト130は本実施形態では内側不織布110Bの内面に存在するが、2重の不織布110A、110Bのうち少なくとも一方を補強していればよく、内面または外面のいずれの側から補強してもよい。
【0061】
植栽・育成用コンテナ100は、上記のベルト130に接続された把持部170をさらに備えている。これによれば、ベルト130に接続された把持部170は、樹木を引き抜くときの手がかりになる。把持部170を把持して引っ張り上げることにより、残留したベルト130もろとも樹木を撤去することが可能である。
【0062】
把持部170はベルト130と同素材とするとよい。その場合、不織布110A、110Bが生分解した後も、不織布110A、110Bを補強していたベルト130および把持部170は非生分解性の同素材であり、土中に残留する。したがって樹木を撤去する際には、把持部170を把持してベルト130を持ち上げて植物を容易に撤去、または再利用(リユース)することができる。
【0063】
そして、樹木の植栽および撤去・リユースのための運搬時においても、ベルト130を備えていることから耐荷重が高く、把持部170を把持して樹木を植え込んだままで運搬することができる。したがって広い作業場所を確保する必要がなく、狭小地における作業性を向上させることができる。また付け加えて、コンテナ100を用いていることで、根のサイズが制限され、樹木サイズも合わせて制限されている。これにより、リユース時の施工性が向上する効果も得られる。
【0064】
さらに、ベルト130外に伸長した側根等の切除後は、上記のように樹木を植え込んだままコンテナ100(ベルト130)ごと撤去(回収)することができるため、移設のための運搬時においても樹木の根回しや剪定等をする必要がなく、また、コンテナ100ごと移設場所に植栽することも可能である。したがって、植栽地にて不要となった樹木への移設時のダメージを低減し、移設場所における樹木の活着率を向上させることができるため、撤去後の樹木を効率よく再利用することが可能である。
【0065】
また、把持部170により、育成中の樹木の可搬性が高まるため、例えばイベント会場に樹木を運搬すれば、コンテナ100を配列するだけでイベント会場を緑化可能である。植栽までは行わないため、イベント終了後には、迅速に樹木を撤去することが可能である。いわば「可動式の緑化」が可能になる。
【0066】
(マチ部)
植栽・育成用コンテナ100はまた、不織布110Aに(組立後は不織布110Bにも)沿って高さ方向に設けられる1つ以上(本実施形態では4つ)の筒状のマチ部140と、マチ部140の少なくとも1つに挿入される、内部に空隙を有する通気通水管としてのエアレーションパイプ150(本実施形態では最大4本)とを備える。マチ部140の孔は上下に貫通していて、エアレーションパイプ150も十分に長いため、コンテナ100の下端を通過して土中にまで挿し込むことが可能である。
【0067】
具体的には、図1(c)に示すように、略直方体のコンテナ100の4つの高さ方向の稜線に相当する部分にマチ部140が設けられている。言い換えれば直方体の4隅の角部にエアレーションパイプ150を挿入可能であり、これによって均等な通気および灌水が可能となっている。
【0068】
(エアレーションパイプ)
エアレーションパイプ150は図1(c)に示すように下端部にネジ溝180が形成されていて、上端部において開口150Aを有し、多数の小孔150Bを有する。小孔150Bは、マチ部140にほぼ等しい高さにわたって分布し、コンテナ100への灌水に利用される。下端部のネジ溝180によって、エアレーションパイプ150は、回転させながら土中へ容易に捻じ込み、あるいは土中から容易に引き抜くことができる。具体的には、エアレーションパイプ150の上端部を拡大した図1(d)に示すように、上端部近傍には横穴190が設けられていて、これに棒状のハンドル200を挿入し、エアレーションパイプ150を回転させることが可能である。
【0069】
また、エアレーションパイプ150の上端部の開口150Aに水を注ぎ込むと、かかる水はエアレーションパイプ150内部の空隙に流入する。そして、水はかかる空隙から多数の小孔150Bを通じてコンテナ100内の培地122に供給される。これにより、コンテナ100内の樹木の根に灌水することができる。
【0070】
したがって、植栽後の樹木の育成における、エアレーションおよび灌水等のメンテナンスにかかる労力を低減し、また狭小地においても水と空気が不足することがない。つまり、植栽前はもちろん、植栽後も良好に育成を行うことができると共に、管理工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0071】
上記のエアレーションパイプ150としては、金属製またはプラスチック製等の中空管を用いることができる。これにより、エアレーションパイプ150内に容易に空気を送入または水を注入することが可能となる。
【0072】
なお、第1実施形態においては、エアレーションパイプ150の中空部分に多孔質材料である軽石152が充填されている(図2(c)参照)。これにより、エアレーションパイプ150の水の保持力が向上し、コンテナ100内の培地122に、緩やかに水を浸透させることが可能となる。
【0073】
また、エアレーションパイプ150は4つのマチ部140それぞれに挿入可能であるから、最大4本挿入可能であり、何本挿入してもよい。あるいは、植栽前のコンテナ100に灌水を行う必要がない環境下では、エアレーションパイプ150を1本も挿入しなくてもよく、これに代えて、単純な杭状の部材をマチ部140に挿入し、土中に捻じ込んでもよい。
【0074】
かかるコンテナ100には、培地122が投入され、樹木102が植え込まれ育成され(図2(a)参照)、樹木102の根102aは培地122中で成長する(図2(b)参照)。
【0075】
(防根シートおよび防根部材)
2重になっている不織布110A、110Bの間隙には、図1(c)に示すように、平板状の防根シート160または断面略コの字型の防根部材162を挿入可能である。防根シート160または防根部材162挿入後に土中にコンテナ100を埋設することにより、樹木の根は、防根シート160または防根部材162が設けられた方向には成長が抑制されるが、防根シート160または防根部材162が設けられていない、水や酸素が透過する方向には成長可能である。
【0076】
かかる構成により、樹木の根、特に側根の成長方向を抑制することが可能となる。例えば、植栽地において、コンテナ100の設置箇所付近に配管等がある場合、配管等に隣接する側面に防根シート160または防根部材162を装着することにより、かかる側面方向への側根の成長方向を抑制することができる。すなわち至近距離に土中埋設物の存在が予測される狭小地において、根の成長方向を制御することにより、植物による土中埋設物に対する影響を排除することができる。
【0077】
上記の防根シート160または防根部材162は、非生分解性材料等の防根性を有する材料であればよく、例えば、プラスチック板や鉄板等を要求される強度に応じて使い分けることが可能である。
【0078】
また、防根シート160または防根部材162を自由に組み合わせることにより、コンテナ100の側面だけでなく、エアレーションパイプ150が設けられている4隅の角部に向かって根が成長することを防ぐことができる。樹木の根は、コンテナ100の4隅にて通気および灌水を活発に行っているエアレーションパイプ150に向かって成長しがちである。仮にエアレーションパイプ150の両隣の側面に平板状の防根シート160が挿入されていても、かかる成長は生じてしまうおそれがある。そこで、断面略コの字型の防根部材162を設けることにより、防根をより確実に行うことが可能となる。
【0079】
(コンテナの折り畳み)
図3は図1および図2の植栽・育成用コンテナ100を折り畳んで積み重ねた様子を示す図である。コンテナ100の側面を構成するのが柔軟性を有する不織布110A、110Bであり、これらを補強するベルト130も布製であることから、コンテナ100は実質的に布袋であり、使用前は平坦に折り畳むことが可能である。したがってストックするスペースを要さず、大量にストックしやすい。
【0080】
一方、底面120は、図3に示すように、折り畳み時に折り曲げられないため、剛性があってもよい。コンテナ100を地面においたまま樹木を2〜3年育成する場合には、底面120は防根シート160にするなど、非生分解性の素材とするとよい。側面と同様に、不織布などの生分解性の素材で底面120を構成すると、植栽時には生分解されてぼろぼろになっているおそれがあるからである。
【0081】
底面120が防根性を有し、かつ生分解性を有しないことにより、植栽後の樹木の根、特に直根の成長方向を抑制することができる。これにより、直根の長さはコンテナ100の高さ以内となるため、成長後の樹木の撤去時には、土中をコンテナ100の高さまで掘り下げればよく、労力を軽減することができる。この点においても、広い作業場所を確保する必要がなく、狭小地における作業性を向上させることができる。
【0082】
(植栽・育成方法)
図4は図2に示した樹木の生産から撤去までの工程を説明する図である。植栽地に植栽される樹木102は、生産施設(図示せず)にてコンテナ100内で育成されて生産される(生産工程)。そして、出荷可能な状態まで成長した樹木102は、トラック等によって植栽地に運搬される(運搬工程)。コンテナ100が略直方体であることにより、運搬時の省スペース化を図ることができる。植栽地に運搬された樹木102は、コンテナ100ごと土中に植え込まれる(植込工程)。
【0083】
図5は図4の植込工程におけるコンテナの状態を示す図である。4隅のマチ部140には図5(a)に示すようにエアレーションパイプ150を挿入し、図1(d)に示したようにハンドル200を横穴190に挿入して回転させ、ネジ溝180を利用して図5(b)のように土中に捻じ込む。
【0084】
エアレーションパイプ150は、コンテナ100の側面の高さより長い。かかる構成によれば、エアレーションパイプ150は、図5(b)に示すように、地面に掘削したコンテナ100用の穴よりさらに深くまで打ち込み可能である。これによって、エアレーションパイプ150は、樹木102の支線用アンカを兼用可能である。具体的には、横穴190を設けたエアレーションパイプ150の上端部だけを地上に露出させ、この横穴190に張力を保った支線210を係止し、樹木102に結び付けて樹木102を支持することが可能である。
【0085】
なお、コンテナ100を地面に埋設する以前の、例えば生産工程において、灌水用にエアレーションパイプ150をマチ部140に挿入することもある。その場合、マチ部140の下方に延出したエアレーションパイプ150だけが土中に埋設されることとなるが、エアレーションパイプ150はコンテナ100の高さより長いため、埋設される長さは十分であり、樹木102の支線用アンカを兼用可能である。
【0086】
図4の植込工程で植え込まれた樹木102は、エアレーションおよび灌水等のメンテナンスをされることにより、成長する(管理工程)。この管理工程における樹木102の育成中に、コンテナ100の側面の不織布110A、110Bは生分解され、所定の年月が経過すると消失する。したがって、樹木102の根102aのうち、側根は側面方向に成長する。一方、底面120に防根シート160を用いた場合には消失しないため、直根の成長方向は抑制され、成長後の直根の長さはコンテナ100の高さ以内となる。
【0087】
育成後の樹木102が不要となった場合、または枯死した場合、当該樹木の撤去を行う(撤去工程)。このとき、管理工程において直根の成長方向を抑制しておいたことにより、直根の長さはコンテナ100の高さ以内であるため、撤去工程時はコンテナの高さまで掘削すればよい。したがって、撤去工程時の掘削の労力を軽減することができる。
【0088】
また、上記の撤去工程において、ベルト130外に伸長した側根等の切除後は、樹木102を植え込んだままコンテナ100(ベルト130)ごと撤去することができるため、コンテナ100ごと移設場所に植栽することも可能である。また、コンテナ100により根の成長範囲を制限しているため、一般樹木と比べて根切りが少なく、樹木へのダメージを低減できることから、撤去後の樹木102を効率よく再利用することができる。
【0089】
図6は、図4の植込工程の詳細を説明する図である。図6(a)は、植栽地の詳細を説明する図である。図6(a)の植栽地は、敷地の境界線の外構であるブロック塀202を撤去した後の帯状(線状)の狭小地である。かかる植栽地において、まず、ブロック塀202およびその基礎204を砕壊し、土中をコンテナ100の高さまで掘削する。
【0090】
そして、掘削した土中にコンテナ100を埋設する。なお、当該植栽地においては、建築物220および配管206が既設されているため、コンテナ100のこれらに隣接する面には防根シート160(または防根部材162)を2重の不織布110A、110Bの間隙に挿入する。図6では便宜上、防根シート160を可視化して示している。言い換えれば、樹木102の根の成長を抑制すべき方向に防根シート160が面するよう、地面に掘削した穴にコンテナ100を埋設する。
【0091】
これにより、かかる面方向への側根(根102a)の成長を抑制し、建築物220および配管206へ及ぼす影響を排除することができる。また、コンテナ100が略直方体であるため、複数のコンテナ100を隙間なく並設することができ、図6(a)のような狭小な植栽地においても、植栽地の面積を有効利用することが可能となる。さらに、上記形状により、樹木はほぼ等間隔に設置されることとなる。したがって、樹木間の間隔の計測等をすることなく、外観に優れた植栽を容易に行うことができる。
【0092】
このように、樹木102はコンテナ100内に植えたままで育成から運搬、植栽作業まで行うことができる。すなわち、コンテナ100ごと植栽できるため、樹木102の出荷時に根回しを行う必要がない。また、コンテナ100内で樹木102を育成することにより、樹木102の根は略直方体のベルト130の内部に納まる範囲で成長することからも、樹木102の根を刈る必要がない。これにより、根の切断による樹木102へのダメージを減少し、植栽地における樹木102の活着率を向上させることができる。
【0093】
一方、出荷時に剪定は必要となるが、生育時にコンテナ100によって根の成長範囲が制限されているため、樹木のサイズは大きくなりすぎず、小規模な剪定で済み、樹木に与えるストレスも軽減可能である。
【0094】
底面120は、非生分解性材料で構成され、防根性を有する。かかる構成により、植栽後の樹木102の根、特に直根の成長方向を抑制することができる。したがって、成長後の直根の長さはコンテナの高さ以内となり、樹木102の撤去時における掘削の労力を軽減できる。また、これにより、作業場所の確保が難しい狭小地においても、作業性を向上させることが可能である。
【0095】
さらに、図6(b)に示すように、複数の樹木102に支柱212を差し渡し、その両端において支線210をエアレーションパイプ150の上端に固定することも可能である。これにより、自立が不安定である樹木102の傾倒を防止することができる。
【0096】
[第2実施形態]
図7は、本発明にかかる樹木の植栽・育成用コンテナの第2実施形態を説明する図である。本実施形態のコンテナ300の第1実施形態との相違点は、不織布が2重になっていない点である。図7(a)に示すように、本実施形態は、図1の不織布110Aの外側にベルト130を設けたものに相当する。
【0097】
上記の構成によっても、不織布110Aの外側に防根シート160(または防根部材162)を取り付けることによって、2重構造のコンテナと同様の作用効果が得られる。防根シート160または防根部材162は、例えばホチキス留めすることによって取付可能である。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない、当業者であれば、特許請求の範囲内に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、樹木の生産から植込みまでだけでなく、植込み後の育成から撤去に到るまで一貫して使用可能な樹木の植栽・育成用コンテナ、および樹木の植栽・育成方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
100、300 …植栽・育成用コンテナ
102 …樹木
110A、110B …不織布
120 …底面
122 …培地
130 …ベルト
140 …マチ部
150 …エアレーションパイプ
160 …防根シート
162 …防根部材
170 …把持部
180 …ネジ溝
190 …横穴
200 …ハンドル
206 …配管
210 …支線
220 …建築物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、
生分解性を有し側面を構成する2重の不織布と、
前記2重の不織布の少なくとも一方を補強する非生分解性のベルトと、
前記不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、
を備えることを特徴とする樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項2】
底面と、
生分解性を有し側面を構成する不織布と、
前記不織布を補強する非生分解性のベルトと、
前記不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、
を備えることを特徴とする樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項3】
前記マチ部の少なくとも1つに挿入される、内部に空隙を有する通気通水管をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項4】
前記ベルトに接続された把持部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項5】
前記通気通水管は下端部にネジ溝が形成されていて、上端部において開口し、多数の小孔を有することを特徴とする請求項3に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項6】
前記通気通水管は、当該コンテナの側面の高さより長いことを特徴とする請求項3または5に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項7】
天面が開放された略直方体の形状を有し、該略直方体の4つの高さ方向の稜線に相当する部分に前記マチ部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項8】
前記2重の不織布の間隙に挿入される平板状または断面略コの字型の防根シートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項9】
前記不織布の外側に取り付けられる平板状または断面略コの字型の防根シートをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の樹木の植栽・育成用コンテナ。
【請求項10】
底面と、
生分解性を有し側面を構成する2重の不織布と、
前記2重の不織布の少なくとも一方を補強する非生分解性のベルトと、
前記不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備え、
培地である土が投入され、樹木が植え込まれた樹木の植栽・育成用コンテナを用いる樹木の植栽・育成方法において、
前記マチ部の少なくとも1つに、内部に空隙を有する通気通水管を挿入し、
少なくとも1つの側面において前記2重の不織布の間隙に防根シートを挿入し、
前記樹木の根の成長を抑制すべき方向に前記防根シートが面するよう、地面に掘削した穴に前記樹木の植栽・育成用コンテナを埋設することを特徴とする樹木の植栽・育成方法。
【請求項11】
底面と、
生分解性を有し側面を構成する不織布と、
前記不織布を補強する非生分解性のベルトと、
前記不織布に沿って高さ方向に設けられる1つ以上の筒状のマチ部と、を備え、
培地である土が投入され、樹木が植え込まれた樹木の植栽・育成用コンテナを用いる樹木の植栽・育成方法において、
前記マチ部の少なくとも1つに、内部に空隙を有する通気通水管を挿入し、
少なくとも1つの側面において前記不織布に防根シートを取り付け、
前記樹木の根の成長を抑制すべき方向に前記防根シートが面するよう、地面に掘削した穴に前記樹木の植栽・育成用コンテナを埋設することを特徴とする樹木の植栽・育成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−233520(P2010−233520A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86216(P2009−86216)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(501382111)尾瀬林業株式会社 (3)
【出願人】(508084423)株式会社背景計画研究所 (2)
【Fターム(参考)】