説明

樹皮原料から糖類を製造する方法

【課題】 バイオマスとして未利用資源である樹皮を原料し、比較的穏和な条件下で少ないエネルギーにて、リグノセルロースの酵素糖化を促進することを可能とする前処理方法を提供する。
【解決手段】 樹皮原料を、温水で湿潤処理する温水処理工程、該温水処理工程からの温水処理樹皮を機械的に破砕処理する機械的破砕処理工程、及び該機械的破砕処理工程からの破砕処理樹皮を、アルカリ化合物水溶液を用いて浸漬処理するアルカリ処理工程、及び該アルカリ処理工程からのアルカリ処理樹皮を、酵素で糖化処理する酵素糖化工程からなる各工程を有する、樹皮原料から糖類を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹皮を糖類製造用の原料として利用するための前処理方法及び該前処理樹皮を原料とする酵素糖化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹木は細胞分裂が活発な形成層を境界にその内側の木部と外側の樹皮に分けられる。樹皮は総樹木重量の約10〜15%を占め、若いユーカリでは、樹皮は木部と比べてリグニン含量が比較的に低く、可溶性成分を多く含み柔軟である。さらに、樹皮は死んだ組織の外樹皮と生きている組織の内樹皮に分けられる。
【0003】
外樹皮は主に周皮あるいはコルク層からなり、木材組織を機械的損傷から守るとともに、温度と湿度の変動を小さくしている。
内樹皮は師要素、柔細胞および厚壁細胞からなり、師要素は液体と栄養素の運搬の機能を持ち、柔細胞はデンプン等の栄養素貯蔵の機能を持ち、内樹皮の師要素間に介在する。厚壁細胞は支持組織として機能し、木部の年輪と同じように層状に観察され、形によって靭皮繊維とスクレレイドとに区別される。
【0004】
樹皮組織は、大きく分けて、繊維、コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質からなる。樹皮の繊維は、木部の繊維と化学的に似ており、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンからなる。コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質には多量の抽出成分が存在し、コルク細胞の壁にはスベリン類が、微細物質画分にはポリフェノール類が多い。このように、樹皮は木部と異なり多くの有用な可溶性成分を含有し、その量は乾燥質量の20から40%に達し、しかも繊維画分には木部と同様な繊維質を有しているという優れた性質を有している。しかし、樹皮は、材木用途では使用されず、製紙工程のパルプ化の際には、わずかに混入してもパルプの品質を低下させるため、枝や根とともに植林地で肥料として土壌に戻されるか、製材工場又はチップ工場で剥皮され焼却されており、木質系バイオマスとして有効利用されていない。
【0005】
現在、製紙用パルプ原料としてマツ、アカシア、ユーカリなどが植林されている。その中でユーカリは500種類以上あり、生長が早く伐採期間が7年から10年と短く、乾燥地帯でも生育するため、製紙用材以外にも緑化目的などでも世界中に広く植林されている。
一方、地球温暖化防止の観点から化石燃料由来のCO2排出削減のため、バイオマスの有効利用が注目されている。しかし、近年、トウモロコシ等の食品系バイオマスからのバイオエタノールの製造は食品価格の上昇を引き起こし、発展途上国では食糧不足などの重大な問題を引き起こしている。そこで食料と競合しない木質系バイオマス、すなわちリグノセルロースからのバイオエタノールの製造が注目されている。
【0006】
リグノセルロースを利用する際には、セルロースを単糖であるグルコース等に分解する糖化が重要な段階となる。
現在、リグノセルロースから単糖を生成する方法として基本的には、酸加水分解法、超臨界水による加水分解法、そして酵素糖化法の三つの方法がよく知られている。
酸加水分解法は酸の濃度によって、希酸法と濃酸法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。希酸法では、温度、圧力がともに高く、添加した酸により装置が腐食してしまう。さらに生成した糖類と酸を分離するのが困難で経済的に有効な酸回収方法がない等の問題がある。また、濃酸法は、比較的に温度及び圧力が低いため、安価な反応装置材料が利用でき、グルコースの収率も高い。しかし、希酸法と同様に生成した糖類から経済的
に有効な酸の分離・回収法がないため、多量の廃酸が発生するという問題がある。
【0007】
一方、亜臨界状態又は超臨界状態の水を用いてセルロースを加水分解処理し、オリゴ糖や単糖類のグルコースを生産する超臨界法が提案されている(特許文献3、特許文献4)。超臨界法では、超臨界水の特徴を利用し、短時間でセルロースを完全にオリゴ糖や単糖に分解することが可能であるが、高温、高圧下で反応を行うため、装置が高価になってしまうこと、発生する酸による装置の腐食等の問題がある。
【0008】
酵素糖化法においては、リグノセルロース中のリグニン及びヘミセルロースがセルロースと結合しており、酵素のセルロースへの接触を阻害しているため、グルコース収率が低くなってしまう。そこで、通常、酵素による分解性を促進するため、酵素糖化に先立って加圧熱水処理、蒸煮及び爆砕による物理的前処理、酸やアルカリによる化学的前処理が施される。
【0009】
加圧熱水処理は128〜205℃、1〜2MPaという高温高圧条件で処理する方法が提案されている(特許文献5)。
また、100〜500℃、飽和蒸気圧〜50MPaという高温高圧条件で処理する方法が提案されている(特許文献6)。
【0010】
蒸煮処理としては、158〜225℃、5〜30kg/cmという高温高圧条件で処理する方法が提案されている(特許文献7)。
また、爆砕処理としては、蒸煮処理と同程度の条件下でリグノセルロースを保持した後、瞬時に常圧に戻す方法が提案されている(特許文献8)。
上記した各方法は、いずれも高温高圧で処理することが必要であり、反応装置が高価であり、高温高圧にするための投入エネルギーが大きいという問題がある。
【0011】
酸処理法としては、0.1〜5%希硫酸で140〜230℃の高温で処理した後、湿式粉砕する方法が提案されている(特許文献9)。
アルカリ処理法としては、バイオマスを2〜30%の水酸化カルシウムで処理する方法が提案されている(特許文献10)
【0012】
上記の各提案は、あらかじめリグノセルロースを数mmから数百μmまで粉砕する必要があり、さらに高温高圧下で処理するため、処理に要するエネルギーが大きく、かつ反応装置が高価となる問題がある。一般的に粒径を小さくすればする程、粉砕に多量のエネルギーを要する。しかしながらこれらの提案には粉砕工程に必要なエネルギー量についての記述がない。
現在、様々なバイオマスの前処理法が検討されているが、多くの前処理方法はバイオマスを数mm以下程度まで粉砕しなければ、続く糖化工程での糖化効率が大きく低下するという問題がある。しかし、バイオマスを数mm以下程度まで粉砕するとバイオエタノール製造に要するエネルギーがバイオマスから得られるエネルギーを上回ってしまい、バイオマスからバイオエタノールを製造しても、COの排出削減とはならないという大きな問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開2004−259513公報
【特許文献2】特開2005−63686公報
【特許文献3】特開平5−31000号公報
【特許文献4】特開平10−327900号公報
【特許文献5】特開2006−136263号公報
【特許文献6】特開2007−20555号公報
【特許文献7】特開平10−117800号公報
【特許文献8】特願昭58−75930号公報
【特許文献9】特開2007−124933号公報
【特許文献10】特許3493026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のリグノセルロースの前処理方法は、高温高圧条件下で行わなくてはならないために設備が高価となり、かつ、粉砕に大量のエネルギーを要するため、コスト面からも、またバイオマスからのエネルギー回収面においても問題点があった。
本発明は、バイオマスとして未利用資源である樹皮を原料し、比較的穏和な条件下で少ないエネルギーにて、リグノセルロースの酵素糖化を促進することを可能とする前処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、木部と比べてリグニン含量が低く、可溶性成分を多量に含む樹皮に注目し、以下の各技術手段を選択し採用することによって、少ないエネルギーで原料樹皮の糖化を促進せしめることができることを可能ならしめた「樹皮原料から糖類を製造する方法」の発明である。
【0016】
(1)樹皮原料を、温水で湿潤処理する温水処理工程及び該温水処理工程からの温水処理樹皮を機械的に破砕処理する機械的破砕処理工程及び、該破砕処理樹皮を、アルカリ化合物水溶液を用いて浸漬処理するアルカリ処理工程に従って処理してアルカリ処理樹皮を調整し、該アルカリ処理樹皮を酵素で糖化処理する。
【0017】
(2)前記(1)における温水処理工程が、温水を乾燥樹皮原料1質量部に対して20質量部以下となる割合で使用する浸漬処理工程とする。
【0018】
(3) 前記(1)〜(2)における温水処理工程における浸漬処理温度が50℃〜130℃、好ましくは80〜100℃とする。
【0019】
(4)前記(1)〜(3)における温水処理工程を、温水による樹皮原料の浸漬処理時間が1分〜72時間、さらに好ましくは5分〜3時間である処理工程とする。
【0020】
(5)前記(1)〜(4)におけるアルカリ処理工程を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びアンモニアからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物の水溶液による浸漬処理工程とする。
【0021】
(6)前記(1)〜(5)におけるアルカリ処理工程が、アルカリ化合物の添加量を、乾燥樹皮100質量部に対して0.1〜50質量部となる割合とする、アルカリ化合物水溶液を用いた浸漬処理工程とする。
【0022】
(7)前記(1)〜(6)における樹皮原料を、グランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(Urophylla)種、ダニアイ(dunnii)種及びこれらの交雑種から選ばれるユーカリ(Eucalyptus)属に属する樹木の樹皮の少なくとも1種とする。
【0023】
(8)前記機械的破砕処理工程が、レファイナー、破砕機及び離解機のいずれかを用いて樹皮原料を破砕する処理工程である(1)〜(7)のいずれかにおける樹皮原料から糖類を製造する方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、少ない投入エネルギーで、リグノセルロースを効率的に酵素糖化することができる状態に転化することができる前処理方法を含む「樹皮原料から糖類を製造する方法」が提供されるので、従来、木質系資源として未利用であった樹皮からバイオエタノールを製造する途を拓くものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の「樹皮原料から糖類を製造する方法」について詳述する
本発明で対象となるリグノセルロースは、木本植物の樹皮である。用いる樹皮は、特に限定されないが、好ましくは、ユーカリ(Eucalyptus)属、さらに好ましくはグランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(Urophylla)種、ダニアイ(dunnii)及びこれらの交雑種である。
【0026】
本発明では、樹皮原料を酵素糖化原料とするために、樹皮原料を、温水で浸漬処理する温水処理工程、及び該温水処理工程からの温水処理樹皮を機械的に破砕処理する機械的破砕処理工程、及び該機械的破砕処理工程からの破砕処理樹皮をアルカリ化合物水溶液に浸漬してなるアルカリ処理工程に従って前処理する。
【0027】
樹皮原料は、入手できる状態のままで原料とすることができる。通常、搬送時の取り扱い性等を考慮して数cmに裁断乃至粉砕されている状態のものであればそのまま処理することが好ましい。樹皮原料のサイズは小さいほど処理しやすいが、本発明の方法では、温水処理工程において処理された樹皮は機械的破砕処理により少ないエネルギーコストで容易に微細化できるので、乾燥樹皮原料を過度に微細化処理することは避けることが好ましい。
【0028】
温水処理工程とは、上記で得た樹皮原料を、温水で湿潤処理する工程である。湿潤処理とは、樹皮原料を温水中に浸漬した状態で一定時間保持するか、または水蒸気に暴露した状態で一定時間保持することにより行う。なお、本発明においては、手段を問わず、樹皮原料を加温された湿潤状態で保持することを、温水処理工程という。
乾燥樹皮原料1質量部に対して添加する温水の量は、適宜選択可能であるが、温水の量が多すぎると、加熱に必要なエネルギーコストが増大し、また、温水処理工程後の液分を廃液として処理する際のコストも増大する。従って、20質量部以下が好適である。
浸漬処理温度は、樹皮を柔化せしめる温度であれば特に限定されないが、好ましくは50℃〜130℃、さらに好ましくは80〜100℃である。温水処理は、オートグレーブ等を用いた加圧条件下で行ってもよく、常圧下で行うことも可能である。樹皮を柔化する効果と水の蒸発を考えると、80〜100℃が好適である。
また、浸漬処理時間は、樹皮を柔化せしめるに十分な時間であれば特に限定されないが、好ましくは1分〜72時間、さらに好ましくは、5分〜3時間である。
【0029】
温水に浸漬して処理された樹皮は、そのまま機械的破砕処理に供しても良いが、固液分離により、固形分と液分に分けて固形分のみを機械的破砕処理に供しても良い。固液分離手段としては、フィルター等を用いた常圧下での濾過のほか、加圧濾過、吸引濾過や、遠心分離手段を用いることができる。
【0030】
機械的破砕処理工程で用いる機械は、樹皮を破砕できれば特に限定されないが、レファイナー、破砕機、離解機などが使用できる。
【0031】
本発明においては、上記の機械的破際処理工程に続いてアルカリ処理工程を有する。
アルカリ処理工程で使用するアルカリ化合物としては、樹皮を柔化させ得るものであれば特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニアを用いることができ、好ましくは水酸化ナトリウムを用いることができる。
【0032】
アルカリ化合物の樹皮原料に対する添加量は、樹皮を柔化せしめる量であれば特に限定されない。例えば、乾燥樹皮100質量部に対して0.1質量部以上、好ましくは0.1〜50質量部である。
アルカリ化合物水溶液への浸漬処理温度は、樹皮を柔化せしめる温度であれば特に限定されないが、好ましくは10℃〜300℃、さらに好ましくは25℃〜95℃である。また浸漬処理は、簡易な設備で実施することができ、投入エネルギーも削減できるという点で、常圧下で行うことが特に好ましい。
また、浸漬処理時間は、樹皮を柔化せしめるに十分な時間であれば特に限定されないが、好ましくは10分〜72時間、さらに好ましくは、1時間〜17時間である。
アルカリ処理樹皮は、洗浄後もしくは洗浄せずに所望のpHに調整し、糖化工程で糖化酵素により処理される。
【0033】
酵素糖化処理工程では、機械的破砕処理工程で破砕乃至磨砕された樹皮中のセルロース
成分が糖化酵素に糖化される。
酵素糖化処理工程は、通常のリグノセルロース系バイオマスの糖化処理方法で採用されている酵素の種類や、反応時間、反応温度等の反応条件を採用して行われる。
【実施例】
【0034】
[実施例1]
ユーカリ・グロブラスの樹皮を約4cm角に切断し、以下の試験に用いた。
絶乾600g相当の上記樹皮を、樹皮に含まれる水分も含め計3000gとなるイオン交換水に浸漬し、この混合物をオートクレーブを用いて120℃にて1時間加熱することにより温水処理を施した。なお、温水処理後、篩を用いて樹皮と温水を分離した。
温水処理済み樹皮を、レファイナー(熊谷理機工業製)を用いて、クリアランス1mmにて破砕処理を行った。樹皮の破砕に要したレファイナー動力は電力積算計を用いて計測した。所要動力は実際に樹皮を破砕するのに要した消費電力から空転に要した電力を差し引いた電力として求めた。空転は樹皮を破砕せずにレファイナーを動作させることと定義する。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1]
温水処理を施さず、実施例1と同様にして処理を行った。結果を表1に示す。
表1より、温水処理を行うことにより、レファイナーを動作させるのに要する電力が大幅に減少することが示された。
【0036】
【表1】

【0037】
[実施例2]
実施例1において温水処理及び破砕処理した樹皮絶乾60g相当を、前記樹皮が含有する水分も含めて全体の質量が600gとなるように、所定量の水酸化ナトリウムを含有するアルカリ水溶液に浸漬し、この混合物を95℃にて90分処理することによりアルカリ処理を施した。
篩を用いて樹皮とアルカリ水溶液を分離し、以下の反応組成にて、30℃、反応時間20時間の酵素糖化を行った。
生成したグルコースをバイオセンサーBF4(王子計測機器製)にて測定した。結果を表2及び図1に示す。
<反応液組成>
5%樹皮
5%セルラーゼ(「Multifect CX10L」 ジェネンコア協和社製)
50mM酢酸緩衝液(pH4.5)
【0038】
【表2】

【0039】
図1の結果より、アルカリ水溶液処理により樹皮の酵素糖化が促進されたことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、温水処理した樹皮を機械的破砕処理することにより、低い投入エネルギーで、酵素糖化を促進することが可能になり、バイオエタノールをはじめ様々な発酵産物の原料となる糖を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】糖化処理後の反応液中のグルコース濃度と水酸化ナトリウム添加率との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹皮原料を、温水で湿潤処理する温水処理工程、該温水処理工程からの温水処理樹皮を機械的に破砕処理する機械的破砕処理工程、及び該機械的破砕処理工程からの破砕処理樹皮を、アルカリ化合物水溶液を用いて浸漬処理するアルカリ処理工程、及び該アルカリ処理工程からのアルカリ処理樹皮を、酵素で糖化処理する酵素糖化工程からなる各工程を有することを特徴とする、樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項2】
前記温水処理工程が、温水を乾燥樹皮原料1質量部に対して20質量部以下となる割合で使用する浸漬処理であることを特徴とする請求項1に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項3】
前記温水処理工程における浸漬処理温度が50℃〜130℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項4】
前記温水処理工程は、温水による樹皮原料の浸漬処理時間が1分〜72時間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項5】
前記アルカリ処理工程が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びアンモニアからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物の水溶液による浸漬処理工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項6】
前記アルカリ処理工程が、アルカリ化合物の添加量が乾燥樹皮100質量部に対して0.1〜50質量部となる割合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項7】
前記樹皮原料が、グランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(Urophylla)種、ダニアイ(dunnii)種及びこれらの交雑種から選ばれるユーカリ(Eucalyptus)属に属する樹木の樹皮の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。
【請求項8】
前記機械的破砕処理工程が、レファイナー、破砕機及び離解機のいずれかを用いて樹皮原料を破砕する処理工程であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹皮原料から糖類を製造する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−115171(P2010−115171A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291852(P2008−291852)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】