説明

樹脂シートの表面処理方法

【課題】樹脂シートの送り方向(一方向)と幅方向の多方向に凹凸を付けることができ、樹脂シートの表面に積層する熱可塑性樹脂などの積層材料との接着力に方向性を生じさせることなく、好適に積層材料を接着することを可能にする樹脂シートの表面処理方法を提供する。
【解決手段】樹脂シート2を一方向Mに送りつつ、この樹脂シート2の表面2aを凹凸状に処理する樹脂シートの表面処理方法であって、回転ブラシ7を備えた複数の表面処理装置8をそれぞれ、樹脂シート2の表面2aに直交する方向Tに延びる回転軸15、16周りに回転させながら、各表面処理装置8の回転ブラシ7を樹脂シート2の表面2aに押し当てて、表面2aに凹凸を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートの表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨樋等の建築部材の材料として、耐水性、難燃性、機械的特性に優れ、且つ価格が比較的安価であるため、塩化ビニル系樹脂が多用されているが、例えば、塩化ビニル系樹脂を用いて製造した雨樋は、塩化ビニル系樹脂の線膨張係数が7.0×10(1/℃)と大きいため、雨樋の設置時に伸縮を吸収しうる継手で接続したり、端部を自由端にする必要があった。
【0003】
このため、線膨張係数が低いポリエステル系樹脂シート(樹脂シート)を芯材とし、この芯材に塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂を押出成形によって一体に積層して雨樋などの積層成形体を製造することが提案、実用化されている。また、PETシートなどのポリエステル系樹脂シートをある程度加熱しながら一定方向に引っ張って延伸すると、延伸方向に分子配列が生じて機械的強度を向上させることができることから、引抜延伸したポリエステル系樹脂シートを芯材として用いるようにしている。
【0004】
また、このようにポリエステル系樹脂シートの芯材に熱可塑性樹脂を一体に積層する際には、熱可塑性樹脂との接着強度を高めるため、事前にポリエステル系樹脂シートの表面に凹凸を形成するようにしている。そして、従来、この表面処理方法としては、例えば図5に示すように外周面に所望の粗さパターンで配設された凸部を備える転写ロール1を使用し、この転写ロール1の外周面(凸部)にポリエステル系樹脂シート2の表面2aを押し当てるようにして表面2aを凹凸状にする方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−11208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のように転写ロール1を用いて表面処理を行う場合には、図5に示すように、一方向(ポリエステル系樹脂シート2の送り方向M)に凹凸が規則的に配列された凹凸パターン3が形成されることになり、結果として熱可塑性樹脂との接着力に方向性ができ、ある一定方向の接着強度が弱くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、例えば図6に示すように、ポリエステル系樹脂シート2の表面2aに対して直交する方向(上下方向)に延びる回転軸周りに回転駆動し、この回転軸の端部に取り付けられた円板状の回転ブラシ4を表面2aに押し当てて、ポリエステル系樹脂シート2の表面2aを凹凸状に処理する方法も考えられる。しかしながら、この方法においては、ポリエステル系樹脂シート2の送り方向Mに直交する幅方向Bに形成される凹凸(キズ)がほとんどなく、凹凸パターンが幅方向Bに不均一になってしまう。このため、幅方向Bで凹凸の分布をコントロールすることができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法は、樹脂シートを一方向に送りつつ該樹脂シートの表面を凹凸状に処理する樹脂シートの表面処理方法であって、回転ブラシを備えた複数の表面処理装置をそれぞれ、前記樹脂シートの表面に直交する方向に延びる回転軸周りに回転させながら、各表面処理装置の前記回転ブラシを前記表面に押し当てて前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の樹脂シートの表面処理方法は、請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法において、前記複数の表面処理装置が、前記一方向に直交する前記樹脂シートの幅方向に並び、且つ前記一方向に複数列で配設され、一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、該一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに他の表面処理装置の回転軸が従動して回転して、前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の樹脂シートの表面処理方法は、請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法において、前記複数の表面処理装置が、一つの表面処理装置の回転軸を中心に他の表面処理装置が回動するように設けられ、前記一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、該一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに前記他の表面処理装置の回転軸が従動して回転し、且つ前記一つの表面処理装置の回転軸を中心に前記他の表面処理装置が回動して、前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法においては、樹脂シートを一方向に送りながら複数の表面処理装置の回転ブラシをそれぞれ樹脂シートの表面に押し当てて回転させることにより、連続的に樹脂シートの表面に凹凸を形成することが可能になるとともに、樹脂シートの送り方向(一方向)と幅方向の多方向に凹凸を付けることが可能になる。
【0012】
また、各表面処理装置の回転ブラシの押当力(面圧)を調節することで、所望の凹凸を精度よく形成することが可能になり、さらに、樹脂シートの送り速度や各表面処理装置の回転ブラシの回転速度を調節することで、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸を形成することが可能になる。
【0013】
これにより、従来のように樹脂シートの表面に積層する熱可塑性樹脂などの積層材料との接着力に方向性が生じることがなく、好適に積層材料が接着されるように樹脂シートの表面を処理することが可能になる。
【0014】
請求項2記載の樹脂シートの表面処理方法においては、複数の表面処理装置が、樹脂シートの送り方向(一方向)に直交する樹脂シートの幅方向に並び、且つ送り方向に複数列で配設されているため、各表面処理装置の回転ブラシを樹脂シートの表面に押し当てて、確実に、連続的に樹脂シートの表面に凹凸を形成することが可能になるとともに、樹脂シートの送り方向と幅方向の多方向に凹凸を付けることが可能になる。また、各表面処理装置の回転ブラシの押当力(面圧)を調節することで、所望の凹凸を精度よく形成することができ、樹脂シートの送り速度や各表面処理装置の回転ブラシの回転速度を調節することで、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸を形成することが可能になる。
【0015】
さらに、一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、この一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに他の表面処理装置の回転軸が従動して回転するようにし、一つの表面処理装置の駆動軸から動力を伝達して他の表面処理装置の回転軸を回転させるようにしたことで、例えばギヤ比や軸径を変化させて各表面処理装置の回転数を変えたり、各表面処理装置の回転ブラシの粗さ等の設定を変更するなどし、部分的に凹凸密度に強弱を付け、凹凸の分布を容易に変化させることができる。これにより、効率よく表面処理を行うことが可能になる。また、駆動軸を少なくすることができるため、装置を安価にすることが可能になるとともに、ライン長の短縮を図ることも可能になる。
【0016】
請求項3記載の樹脂シートの表面処理方法においては、複数の表面処理装置が、一つの表面処理装置の回転軸を中心に他の表面処理装置が回動するように設けられているため(他の表面処理装置の回転ブラシが一つの表面処理装置の回転ブラシの周りを公転し、各表面処理装置の回転ブラシが回転軸周りに自転するため)、各表面処理装置の回転ブラシを樹脂シートの表面に押し当てて、確実に、連続的に樹脂シートの表面に凹凸を形成することが可能になるとともに、樹脂シートの送り方向と幅方向の多方向に凹凸を付けることが可能になる。また、幅方向により均一に凹凸を形成することが可能になる。さらに、各表面処理装置の回転ブラシの押当力(面圧)を調節することで、所望の凹凸を精度よく形成することができ、樹脂シートの送り速度や各表面処理装置の回転ブラシの回転速度を調節することで、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸を形成することが可能になる。
【0017】
また、一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、この一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに他の表面処理装置の回転軸が従動して回転するようにしたことで部分的に凹凸密度に強弱を付け、凹凸の分布を容易に変化させることができる。これにより、効率よく表面処理を行うことが可能になる。さらに、駆動軸を少なくすることができるため、装置を安価にすることが可能になるとともに、ライン長の短縮を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂シート表面処理機を示す図である。
【図2】図1のX1−X1線矢視図であり、本発明の第1実施形態に係る樹脂シート表面処理機(樹脂シートの表面処理方法)を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの表面処理方法の実施例(処理結果等)を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る樹脂シート表面処理機(樹脂シートの表面処理方法)を示す図である。
【図5】従来の樹脂シートの表面処理方法を示す図である。
【図6】従来の樹脂シートの表面処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの表面処理方法について説明する。
【0020】
はじめに、本実施形態の樹脂シートは、例えば雨樋などを製造する際に芯材として用いられ、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂が表面に積層成形される延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであり、ポリエステル系樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロールクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が用いられる。
【0021】
この樹脂シート2は、図1及び図2に示すように、ライン上を一方向の送り方向Mに送られ、樹脂シート表面処理機5、6で処理される。本実施形態では、樹脂シート2の送り方向M上流側と下流側にそれぞれ樹脂シート表面処理機5、6が配設され、一方の樹脂シート表面処理機5で樹脂シート2の上面(表面)2aが、他方の樹脂シート表面処理機6で樹脂シート2の下面(表面)2bがそれぞれ、凹凸状に処理される。
【0022】
また、図1に示すように、一方の樹脂シート表面処理機5は、回転ブラシ7を備えた複数の表面処理装置8と、これら表面処理装置8を上下方向Tに進退自在に支持するエアシリンダー9とを備えて構成されている。さらに、一方の樹脂シート表面処理機5は、送り方向Mに送られる樹脂シート2の上方に配設され、エアシリンダー9を駆動して複数の表面処理装置8を下方に進出させ、樹脂シート2を下方に設けられた受け台10との間で挟み込みながら、樹脂シート2の上面2aを処理するように構成されている。
【0023】
他方の樹脂シート表面処理機6は、回転ブラシ7を備えた複数の表面処理装置8と、これら表面処理装置8を支持する支持台11とを備えて構成され、送り方向Mに送られる樹脂シート2の下方に配設されている。そして、エアシリンダー12で上下方向Tに進退自在に支持されて樹脂シート2の上方に設けられた押え板13が、エアシリンダー12の駆動によって下方に進出し、樹脂シート2を下方に押圧する。これとともに、他方の樹脂シート表面処理機6は、押え板13との間で樹脂シート2を挟み込みながら、樹脂シート2の下面2bを処理するように構成されている。
【0024】
また、各樹脂シート表面処理機5、6は、図1及び図2に示すように、複数の表面処理装置8が上下方向T(樹脂シート2の表面(上面2a、下面2b)に直交する方向)に延びる回転軸15、16周りに回転するように構成されている。さらに、本実施形態において、各樹脂シート表面処理機5、6は、複数の表面処理装置8が、送り方向Mに直交する樹脂シート2の幅方向Bに並び、且つ送り方向Mに複数列で配設されている。また、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15が駆動軸とされ、この一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15と他の表面処理装置8(8b)の回転軸16がタイミングベルト17等を用いて繋げられている。これにより、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を回転駆動するとともに、他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が従動して回転するように構成されている。
【0025】
そして、上記構成からなる樹脂シート表面処理機5、6によって樹脂シート2の表面2a(2b)を処理する場合には(本実施形態の樹脂シート2の表面処理方法においては)、各樹脂シート表面処理機5、6の複数の表面処理装置8の回転ブラシ7をそれぞれ樹脂シート2の表面2a(2b)に押し当てて、回転軸15、16周りに回転させると、連続的に樹脂シート2の表面2a(2b)に凹凸が形成される。また、図2に示すように、樹脂シート2の送り方向Mと、この送り方向Mに直交する樹脂シート2の幅方向Bの多方向に凹凸を付けた凹凸パターン3が形成される。
【0026】
さらに、このとき、複数の表面処理装置8が、樹脂シート2の幅方向Bに並び、且つ送り方向Mに複数列で配設されているため、各表面処理装置8の回転ブラシ7を樹脂シート2の表面2a(2b)に押し当てて、確実に、連続的に樹脂シート2の表面2a(2b)に凹凸が形成されるとともに、樹脂シート2の送り方向Mと幅方向Bの多方向に凹凸が付けられる。
【0027】
また、本実施形態では、各樹脂シート表面処理機5、6が、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を駆動軸とし、この一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15が回転駆動するとともに他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が従動して回転するように構成されている。そして、一つの表面処理装置8(8a)の駆動軸15から動力を伝達して他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が回転する。このため、例えばギヤ比や軸径を変化させて各表面処理装置8の回転数を変えたり、各表面処理装置8の回転ブラシ7の粗さ等の設定(回転ブラシの番手など)を変更すると、部分的に凹凸密度に強弱が付けられ、凹凸の分布を容易に変化させることができる。
【0028】
さらに、エアシリンダー9、12の駆動を調節し、各表面処理装置8の回転ブラシ7の押当力(面圧)を調節すると、所望の凹凸が精度よく形成される。また、樹脂シート2の送り速度や各表面処理装置8の回転ブラシ7の回転速度を調節すると、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸が形成される。
【0029】
したがって、本実施形態の樹脂シートの表面処理方法によれば、図2及び図3に示すように、樹脂シート2を一方向の送り方向Mに送りながら複数の表面処理装置8の回転ブラシ7をそれぞれ樹脂シート2の表面2a、2bに押し当てて回転させることにより、連続的に樹脂シート2の表面2a、2bに凹凸を形成することが可能になるとともに、樹脂シート2の送り方向Mと幅方向Bの多方向に凹凸を付けることが可能になる。
【0030】
また、各表面処理装置8の回転ブラシ7の押当力(面圧)を調節することで、所望の凹凸を精度よく形成することが可能になり、さらに、樹脂シート2の送り速度や各表面処理装置8の回転ブラシ7の回転速度を調節することで、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸を形成することが可能になる。
【0031】
これにより、従来のように樹脂シート2の表面2a、2bに積層する熱可塑性樹脂などの積層材料との接着力に方向性が生じることがなく、好適に積層材料が接着されるように樹脂シート2の表面2a、2bを処理することが可能になる。
【0032】
さらに、本実施形態の樹脂シートの表面処理方法においては、複数の表面処理装置8が、樹脂シート2の送り方向Mに直交する樹脂シート2の幅方向Bに並び、且つ送り方向Mに複数列で配設されているため、各表面処理装置8の回転ブラシ7を樹脂シート2の表面2a、2bに押し当てて、確実に、連続的に樹脂シート2の表面2a、2bに凹凸を形成することが可能になるとともに、樹脂シート2の送り方向Mと幅方向Bの多方向に凹凸を付けることが可能になる。
【0033】
さらに、一つの表面処理装置8(8a)の駆動軸15から動力を伝達して他の表面処理装置8(8b)の回転軸16を回転させるようにしたことで、例えばギヤ比や軸径を変化させて各表面処理装置8の回転数を変えたり、各表面処理装置8の回転ブラシ7の粗さ等の設定を変更するなどして、部分的に凹凸密度に強弱を付け、凹凸の分布を容易に変化させることができる。これにより、効率よく表面処理を行うことが可能になる。また、駆動軸15を少なくすることができるため、装置8、処理機5、6を安価にすることが可能になるとともに、ライン長の短縮を図ることも可能になる。
【0034】
以上、本発明に係る樹脂シートの表面処理方法の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、樹脂シート2が、例えば雨樋などを製造する際に芯材として用いられ、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂が表面に積層成形される延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであるものとしたが、本発明の樹脂シートの表面処理方法は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに限定して適用する必要はなく、勿論、他の樹脂シートであっても本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0035】
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの表面処理方法について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態に対し、樹脂シート表面処理機5、6の構成のみが異なる。このため、第1実施形態と同様の構成に対しては、同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施形態の樹脂シート表面処理機5、6は、図4に示すように、第1実施形態と同様、複数の表面処理装置8が上下方向Tに延びる回転軸15、16周りに回転するように構成されている。さらに、本実施形態において、樹脂シート表面処理機5、6は、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を中心に他の表面処理装置8(8b)が回動するように設けられている。また、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を駆動軸とし、この一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15が回転駆動するとともに他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が従動して回転し、且つ一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を中心に他の表面処理装置8(8b)が回動するように構成されている。
【0037】
そして、上記構成からなる樹脂シート表面処理機5、6によって樹脂シート2の表面2aを処理する場合には(本実施形態の樹脂シートの表面処理方法においては)、複数の表面処理装置8が、他の表面処理装置8(8b)の回転ブラシ7が一つの表面処理装置8(8a)の回転ブラシ7の周りを公転し、各表面処理装置8の回転ブラシ7が回転軸15、16周りに自転するため、各表面処理装置8の回転ブラシ7を樹脂シート2の表面2a、2bに押し当てることによって、確実に、連続的に樹脂シート2の表面2a、2bに凹凸が形成される。また、樹脂シート2の送り方向Mと幅方向Bの多方向に凹凸を付けた凹凸パターンが形成され、このとき、第1実施形態と比べ、幅方向Bに、より均一な凹凸が形成されることになる。
【0038】
また、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を駆動軸とし、この一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15が回転駆動するとともに他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が従動して回転するように構成されている。そして、一つの表面処理装置8(8a)の駆動軸15から動力を伝達して他の表面処理装置8(8b)の回転軸16が回転する。このため、例えばギヤ比や軸径を変化させて各表面処理装置8の回転数を変えたり、各表面処理装置8の回転ブラシ7の粗さ等の設定を変更すると、部分的に凹凸密度に強弱が付けられ、凹凸の分布を容易に変化させることができる。
【0039】
したがって、本実施形態の樹脂シートの表面処理方法によれば、複数の表面処理装置8が、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を中心に他の表面処理装置8(8b)が回動するように設けられているため、各表面処理装置8の回転ブラシ7を樹脂シート2の表面2a、2bに押し当てて、確実に、連続的に樹脂シート2の表面2a、2bに凹凸を形成することが可能になる。これとともに、樹脂シート2の送り方向Mと幅方向Bの多方向に凹凸を付けることが可能になる。また、幅方向Bに、より均一に凹凸を形成することが可能になる。さらに、各表面処理装置8の回転ブラシ7の押当力(面圧)を調節することで、所望の凹凸を精度よく形成することができ、樹脂シート2の送り速度や各表面処理装置8の回転ブラシ7の回転速度を調節することで、凹凸の分布を自由にコントロールして凹凸を形成することが可能になる。
【0040】
これにより、従来のように樹脂シート2の表面2a、2bに積層する熱可塑性樹脂などの積層材料との接着力に方向性が生じることがなく、好適に積層材料が接着されるように樹脂シート2の表面2a、2bを処理することが可能になる。
【0041】
また、一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15を駆動軸とし、この一つの表面処理装置8(8a)の回転軸15が回転駆動するとともに他の表面処理装置8(8b)の回転軸が従動して回転するようにしたことで、部分的に凹凸密度に強弱を付け、凹凸の分布を容易に変化させることができる。これにより、効率よく表面処理を行うことが可能になる。さらに、駆動軸15を少なくすることができるため、装置8、処理機5、6を安価にすることが可能になるとともに、ライン長の短縮を図ることも可能になる。
【0042】
以上、本発明に係る樹脂シートの表面処理方法の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、第1実施形態の変更例を含め、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 転写ロール
2 樹脂シート
2a 上面(表面)
2b 下面(表面)
3 凹凸パターン
4 回転ブラシ
5 樹脂シート表面処理機
6 樹脂シート表面処理機
7 回転ブラシ
8 表面処理装置
8a 一つの表面処理装置
8b 他の表面処理装置
9 エアシリンダー
10 受け台
11 支持台
12 エアシリンダー
13 押え板
15 回転軸(駆動軸)
16 回転軸
17 タイミングベルト
B 幅方向
T 上下方向
M 送り方向(一方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートを一方向に送りつつ該樹脂シートの表面を凹凸状に処理する樹脂シートの表面処理方法であって、
回転ブラシを備えた複数の表面処理装置をそれぞれ、前記樹脂シートの表面に直交する方向に延びる回転軸周りに回転させながら、各表面処理装置の前記回転ブラシを前記表面に押し当てて前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする樹脂シートの表面処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法において、
前記複数の表面処理装置が、前記一方向に直交する前記樹脂シートの幅方向に並び、且つ前記一方向に複数列で配設され、
一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、該一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに他の表面処理装置の回転軸が従動して回転して、前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする樹脂シートの表面処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の樹脂シートの表面処理方法において、
前記複数の表面処理装置が、一つの表面処理装置の回転軸を中心に他の表面処理装置が回動するように設けられ、
前記一つの表面処理装置の回転軸を駆動軸とし、該一つの表面処理装置の回転軸が回転駆動するとともに前記他の表面処理装置の回転軸が従動して回転し、且つ前記一つの表面処理装置の回転軸を中心に前記他の表面処理装置が回動して、前記表面に凹凸を形成するようにしたことを特徴とする樹脂シートの表面処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−240657(P2011−240657A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116391(P2010−116391)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】