説明

樹脂パターンの製造方法

【課題】高さの異なる樹脂パターンを同時かつ効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】樹脂パターンの製造方法は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、露光した感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含む。特に光重合開始剤(C)は、下記一般式(c−1)で表される化合物を含有する。


(式中、R1c,R2cはそれぞれ独立に一価の有機基を示し、R3cはハロゲン原子又は一価の有機基を示し、nは0〜4の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は樹脂パターンの製造方法に関し、さらに詳しくは、ハーフトーンマスク又はグレースケールマスクを介して感光性樹脂層を露光することにより、高さの異なる樹脂パターンを同時に製造する樹脂パターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の液晶パネルにおいては、液晶材料を2枚のガラス基板等の透明な基板でサンドイッチする構造を採るため、液晶材料を充填できるように、2枚の基板間にスペーサを形成することが必要である。
【0003】
従来、スペーサを形成するには、基板の全面にスペーサとなるビーズ粒子を散布する方法が採られていたが、画素表示部分にもビーズが付着し、画像のコントラストや表示画質が低下するという問題があった。そこで近年では、このスペーサを感光性樹脂組成物により形成する方法が種々提案されている(特許文献1,2等を参照)。この方法は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、所定のマスクを介して露光した後、現像して、ドット状等のスペーサを形成するものであり、画素表示部分以外の所定の部分にのみスペーサを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−184841号公報
【特許文献2】特開2006−308961号公報
【特許文献3】特開2006−301148号公報
【特許文献4】特開2010−015025号公報
【特許文献5】特開2010−049238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このスペーサは、カラーフィルタ側ではなくアレイ基板側に設けられる場合がある。しかし、アレイ基板には段差が存在するため、基板間の距離を一定に保つにはスペーサ自体の高さを異ならせる必要がある。
【0006】
ここで、特許文献3には、特定の感光性組成物を用いて高さの異なる垂直配向型液晶表示素子の突起及びスペーサを製造する技術が開示されている。この特許文献3の実施例では、高さの異なる突起及びスペーサを同時に製造するため、開口幅の異なるマスクを介して露光している。露光ギャップが一定であれば、開口幅を小さくするほど露光量が低下するため架橋度が低くなり、その結果、ポストベーク時にフローしやすくなるため、高さに差が生じることになる。
また、特許文献3では、突起及びスペーサを形成する他の方法として下記の(1)〜(3)が挙げられている。
(1)放射線透過率の大なる部分と放射線透過率の小なる部分とを有するマスクを介して露光する方法。
(2)パターンの異なる2種のマスクを用いて複数回露光する方法。
(3)塗膜上面からの露光と基板裏面からの露光との双方を行う方法。
【0007】
しかし、開口幅の異なるマスクを介して露光する方法では、高さだけでなく寸法も異なる樹脂パターンしか形成することができないという問題がある。
上記(1)〜(3)の方法にはそのような問題はないものの、上記(2),(3)の方法では複数回の露光又は複数方向からの露光が必要とされるため、効率的な製造方法とは言えなかった。また、本発明者らが検討したところ、上記(1)の方法では高さの異なる樹脂パターンを同時に製造することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、高さの異なる樹脂パターンを同時かつ効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、特許文献4,5に開示されている特定の光重合開始剤を感光性樹脂組成物に含有させることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、露光した前記感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含み、前記光重合開始剤(C)が下記式(c−1)で表される化合物を含有するものである。
【化1】

(式中、R1c,R2cはそれぞれ独立に一価の有機基を示し、R3cはハロゲン原子又は一価の有機基を示し、nは0〜4の整数を示す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高さの異なる樹脂パターンを同時かつ効率的に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1〜4、比較例1〜3におけるハーフトーンマスクの透過率とポストベーク後の膜厚との関係を示す図である。
【図2】実施例5〜8、比較例4,5におけるハーフトーンマスクの透過率とポストベーク後の膜厚との関係を示す図である。
【図3】実施例15,16、比較例20,21におけるハーフトーンマスクの透過率とポストベーク後の膜厚との関係を示す図である。
【図4】実施例17〜19におけるハーフトーンマスクの透過率とポストベーク後の膜厚との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、露光した感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含むものである。
以下ではまず、本発明で用いられる感光性樹脂組成物について説明し、次いで、この感光性樹脂組成物を用いた樹脂パターンの製造方法について説明する。
【0014】
≪感光性樹脂組成物≫
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する。以下、感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0015】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
アルカリ可溶性樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)としては、特に限定されず、スペーサ等の形成に従来から用いられているアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
【0016】
このようなアルカリ可溶性樹脂の中でも、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)又は脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有する樹脂(以下、このような樹脂を「(A1)樹脂」という。)が好ましい。
(A1)樹脂は、さらに、脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a4)を有することが好ましい。
(A1)樹脂が炭化水素系の環式基を含む構成単位(上記構成単位(a3),(a4)、あるいはその他の環式基を有する化合物から誘導される構成単位)を有する場合、現像工程のマージンが良好になるため好ましい。また、当該環式基が脂環式基であると現像工程のマージンがさらに向上するため、特に好ましい。
【0017】
上記構成単位(a1)を誘導するための不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
上記構成単位(a2)を誘導するための脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
上記構成単位(a3)を誘導するための脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a3−1)〜(a3−5)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−1)〜(a3−3)で表される化合物がより好ましい。
【0020】
【化2】

【0021】
【化3】

【0022】
上記式中、R1aは水素原子又はメチル基を示し、R2aは炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R3aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、mは0〜10の整数を示す。R2aとしては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R3aとしては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0023】
上記構成単位(a4)を誘導するための脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a4−1)〜(a4−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a4−3)〜(a4−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a4−3),(a4−4)で表される化合物がより好ましい。
【0024】
【化4】

【0025】
上記式中、R4aは水素原子又はメチル基を示し、R5aは単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R6aは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R5aとしては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R6aとしては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0026】
また、(A1)樹脂は、上記構成単位(a1),(a2),(a3),(a4)以外の他の構成単位を有していてもよい。このような他の構成単位を誘導するための化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0028】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0030】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0031】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0032】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0033】
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート,スチレン類が好ましい。
【0034】
(A1)樹脂中における上記構成単位(a1)の割合は、5〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
また、(A1)樹脂中における上記構成単位(a2)又は上記構成単位(a3)の割合は、20〜95であることが好ましく、40〜90質量%であることがより好ましく、50〜75質量%であることがさらに好ましい。(A1)樹脂が構成単位(a2)と構成単位(a3)とを両方含む場合、構成単位(a2)の割合は、1〜80質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、上記構成単位(a3)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましい。構成単位(a3)の割合を上記範囲とすることで、現像性を適度なものとし、また、硬化後の比誘電率を下げることができる。
また、(A1)樹脂中における上記構成単位(a4)の割合は、0〜60質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
また、(A1)樹脂中における上記他の構成単位の割合は、0〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
各構成単位の割合を上記範囲とすることで、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとし、かつ、硬化後の樹脂パターンの形状や硬度、基板への密着性を良好なものとすることができる。
【0035】
(A1)樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0036】
(A1)樹脂が上記構成単位(a1),(a2),(a3)以外の構成単位を有している場合、(A1)樹脂は公知のラジカル重合法により製造することができる。すなわち、各構成単位を誘導する各化合物、並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0037】
一方、(A1)樹脂が上記構成単位(a1),(a2),(a3)以外の構成単位を有していない場合、通常のラジカル重合法では構成単位(a1)のカルボキシル基と構成単位(a2),(a3)のエポキシ基とが反応し、ゲル化する場合がある。
そこで、このような場合には、まず、不飽和カルボン酸と特定の反応性化合物とを反応させて反応混合物を得て(反応工程)、次いで、この反応混合物と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物及び脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを共重合させる(重合工程)ことにより(A1)樹脂を製造する。必要に応じて最後に精製・洗浄を行ってもよい(精製工程)。
【0038】
まず、反応工程では、不飽和カルボン酸と、下記式(a−1)〜(a−3)で表される化合物(反応性化合物)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、フラスコ等の適当な反応容器に仕込み、加熱撹拌することにより、反応混合物を得る。
【0039】
【化5】

(式中、R7a,R8aはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9aは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。)
【0040】
【化6】

(式中、R10a,R11aはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0041】
【化7】

(式中、R12a,R13aはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、R14aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0042】
上記式(a−1)で表される化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエトキシメタン、ジプロポキシメタン、ジブトキシメタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジプロポキシプロパン、1,1−ジブトキシプロパン、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、2,2−ジプロポキシプロパン、2,2−ジブトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0043】
上記式(a−2)で表される化合物としては、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジプロポキシテトラヒドロフラン、2,5−ジブトキシテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0044】
上記式(a−3)で表される化合物としては、3,4−ジメトキシトルエン、3,4−ジエトキシトルエン、3,4−ジプロポキシトルエン、3,4−ジブトキシトルエン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,2−ジプロポキシベンゼン、1,2−ジブトキシベンゼン等が挙げられる。
【0045】
これらの反応性化合物の中でも、不飽和カルボン酸との反応性の点から、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、1,1−ジエトキシプロパン、及び2,2−ジエトキシプロパンが好ましい。これらの反応性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
不飽和カルボン酸と反応性化合物とのモル比は特に限定されないが、1:0.5〜1:3が好ましく、1:0.8〜1:2がより好ましい。また、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。反応時間は10分間〜10時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。
【0047】
次いで、重合工程では、反応工程で得られた反応混合物と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物及び脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを公知のラジカル重合開始剤とともに重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより、共重合体を得る。
【0048】
最後に、精製工程では、例えば貧溶媒等を用いて洗浄することにより残物を取り除く。
【0049】
(A)成分の含有量は、本発明で用いられる感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。
【0050】
<光重合性モノマー(B)>
光重合性モノマー(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)としては、エチレン性不飽和基を有するモノマーを好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0051】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0052】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの中でも、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の硬度を高める点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、6官能以上の多官能モノマーがより好ましい。その中でも特に、露光量を変化させたときの樹脂パターンの膜厚変化の割合を大きくする観点から、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が好ましい。DPHAと他のモノマーとを組み合わせて用いる場合、DPHAの割合は光重合性モノマー中、90質量%以上であることが好ましい。
【0054】
(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との質量比が50:50〜80:20となる量が好ましく、60:40〜70:30となる量がより好ましい。上記の範囲とすることにより、露光量を変化させたときの樹脂パターンの膜厚変化の割合が大きくすることができる。
【0055】
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)は、下記式(c−1)で表される化合物を含有する。この化合物はオキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではない。下記式(c−1)で表される化合物及び後述の例示化合物は、両方の混合物又はいずれか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定されるものではない。
【0056】
【化8】

【0057】
上記式(c−1)中、R1c,R2cはそれぞれ独立に一価の有機基を示し、R3cはハロゲン原子又は一価の有機基を示す。
【0058】
上記R1c,R2c,R3cで示される一価の有機基としては、R4c,OR4c,COR4c,SR4c,NR5c6c,CONR5c6cで示される基が好ましい。R4c,R5c,R6cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素数2〜20の複素環基を示し、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、及び複素環基の水素原子は、さらにOR7c、COR7c、SR7c、NR8c9c、CONR8c9c、−NR8c−OR9c、−NCOR8c−OCOR9c、−C(=N−OR7c)−R8c、−C(=N−OCOR7c)−R8c、CN、ハロゲン原子、−CR7c=CR8c9c、−CO−CR7c=CR8c9c、カルボキシル基、又はエポキシ基で置換されていてもよい。R7c,R8c,R9cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素数2〜20の複素環基を示す。
上記R4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cで示される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、又はウレタン結合により1〜5回中断されていてもよい。このとき、中断する結合基は1種の基でも2種以上の基でもよい。連続して中断し得る基の場合、2つ以上連続して中断してもよい。また、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよい。
また、R5cとR6c、及びR8cとR9cは、それぞれ一緒になって環を形成していてもよく、R1cは、隣接するベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。
【0059】
上記式(c−1)中、R4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cで示されるアルキル基(置換基を有する場合を含む)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オタタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロポキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cで示されるアリール基(置換基を有する場合を含む)としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスレニル基、上記アルキル基で1つ以上置換された置換フェニル基、置換ビフェニリル基、置換ナフチル基、置換アンスリル基等が挙げられる。
4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cで示されるアリールアルキル基(置換基を有する場合を含む)としては、ベンジル基、クロロベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cで示される複素環基としては、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等の5〜7員の複素環基が挙げられる。
また、R5cとR6cとが一緒になって形成し得る環、R8cとR9cとが一緒になって形成し得る環、及びR1cが隣接するベンゼン環と一緒になって形成し得る環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンチン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環が挙げられる。
また、R4c,R5c,R6c,R7c,R8c,R9cを置換してもよいハロゲン原子、上記R3cで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0060】
これらの中でも、R1cとしては炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、エチル基が特に好ましい。R2cとしては炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R3cとしては、ハロゲン原子、OR4cで示され、かつR4cがエーテル結合により1〜5回中断されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である基、炭素数2〜20の複素環基、又はNR5c6cで示され、かつR5c,R6cがエーテル結合により1〜5回中断されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である基が好ましく、OR4cで示され、かつR4cがエーテル結合により1〜5回中断されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である基、又は炭素数2〜20の複素環基がより好ましい。
【0061】
上記式(c−1)中、nは0〜4の整数を示し、0又は1が好ましい。
【0062】
上記式(c−1)で表される化合物は、下記式(c−2)で表されるように、R2cを介して二量化していてもよい。
【0063】
【化9】

【0064】
上記式(c−2)中、R1c,R3c,nは上記式(c−1)と同義であり、R2c’は上記式(c−1)におけるR2cから水素原子1個を除いて得られる2価の基を示す。
【0065】
上記式(c−1)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記の化合物No.1〜No.15の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
【化10】

【0067】
(C)成分は、本発明の効果が奏される限り、上記式(c−1)で表される化合物とともに従来公知の他の光重合開始剤を含有していてもよい。このような他の光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。
【0068】
(C)成分中の上記一般式(c−1)で表される化合物の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。また、上記一般式(c−1)で表される化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、高さの異なる樹脂パターンを同時かつ効率的に製造することができる。
【0069】
<着色剤(D)>
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤(D)(以下、「(D)成分」ともいう。)を含有していてもよい。この着色剤としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることができる。
【0070】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0071】
また、着色剤としては黒色顔料を用いることもできる。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩等が挙げられる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックや、樹脂被覆カーボンブラックを用いることができる。この樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いという特徴を有する。
【0072】
(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましい。
【0073】
<有機溶剤(S)>
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、塗布性の改善、粘度調整のため、有機溶剤(S)(以下、「(S)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。
【0074】
有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0075】
(S)成分の含有量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感光性樹脂組成物の粘度は5〜500cpであることが好ましく、10〜50cpであることがより好ましく、20〜30cpであることがさらに好ましい。また、固形分濃度は1〜60質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
【0076】
<その他の成分>
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有していてもよい。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0077】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、上記各成分を3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0078】
≪樹脂パターンの製造方法≫
本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、上記感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、露光した上記感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含む。
【0079】
まず、基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて上記感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、感光性樹脂層を形成する。
【0080】
次いで、上記感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する。所望のパターンに応じて異なる露光量で露光するには、ハーフトーンマスク又はグレースケールマスクを介して露光すればよい。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。
露光光はg線(436nm)を含むものが好ましい。より具体的には、i線(365nm)よりも長波長であることが好ましく、可視光領域(380〜750nm)であることがより好ましく、h線(405nm)よりも長波長かつ450nm以下であることがさらに好ましく、g線(436nm)であることが特に好ましい。
露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば25〜300mJ/cm程度が好ましい。
【0081】
次いで、露光後の感光性樹脂層を現像液で現像することにより、樹脂パターンを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、パドル法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0082】
そして、現像後の樹脂パターンにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークの温度は150〜250℃が好ましい。このようにして、高さが異なる樹脂パターンを同時に製造することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
[感光性樹脂組成物の調製]
下記表1に示す各成分を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル=60/40(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度35質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
【0085】
表1中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、括弧内の数値は配合量(質量部)である。また、表1中、λendは光重合開始剤の吸収スペクトルにおける末端の波長を示す。
(A)−1:トリシクロデシルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=9:71:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量11800)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(C)−1:下記式(C)−1で表される化合物
(C)−2:下記式(C)−2で表される化合物
(C)−3:下記式(C)−3で表される化合物
【0086】
【化11】

【0087】
[ハーフトーン特性の評価(1)]
6インチのガラス基板(ダウ・コーニング社製、1737ガラス)上に、上記実施例1〜4、比較例1〜3で調製した感光性樹脂組成物を塗布した後、80℃、10分間の条件でホットプレート上で乾燥させ、膜厚5μmの感光性樹脂層を得た。次いで、透過率が0%,10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%であるハーフトーンマスクを介して、この感光性樹脂層を露光した。露光にはghi混合光源を用い、フィルタを介してh線(405nm)以下の波長の光を遮断した。また、露光量は50mJ/cmとした。次いで、現像液として0.04%KOH水溶液を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行った。振り切り乾燥をした後、現像後の樹脂層に対して220℃、40分間の条件でホットプレート上でポストベークを施し、ポストベーク後の膜厚を測定した。結果を表2及び図1に示す。なお、表2中の数値の単位は[μm]である。
【0088】
[鉛筆硬度の評価(1)]
上記[ハーフトーン特性の評価(1)]と同様にして膜厚5μmの感光性樹脂層を得た後、透過率が100%であるマスクを介して、この感光性樹脂層を露光した。ただし、露光にはghi混合光源を用い、h線(405nm)以下の波長の光は遮断しなかった。また、露光量は50mJ/cmとした。次いで、現像液として0.04%KOH水溶液を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行った。振り切り乾燥をした後、現像後の樹脂層に対して220℃、40分間の条件でホットプレート上でポストベークを施した。そして、三菱鉛筆uniをポストベーク後の樹脂層に押し付け、樹脂層に傷が付いたか否かを光学顕微鏡により確認した。傷が付く直前の鉛筆硬度を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
表1,2及び図1から分かるように、一般式(c−1)で表される化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた実施例1〜4では、ハーフトーンマスクの透過率に略々比例して膜厚を変化させることができ、透過率変化の余裕度が高かった。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も高かった。
これに対して、一般式(c−1)に包含されない化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた比較例1〜3では、ハーフトーンマスクの透過率が100%の場合にも膜厚が大きく減っており、特に比較例3では現像により樹脂層がほぼ溶解除去されていた。
【0092】
<実施例5〜14、比較例4〜19>
[感光性樹脂組成物の調製]
下記表3,4に示す各成分を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル=60/40(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度35質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
【0093】
表3,4中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、それ以外は表1と同じである。括弧内の数値は配合量(質量部)である。また、表3,4中、λendは光重合開始剤の吸収スペクトルにおける末端の波長を示す。
(A)−2:トリシクロデシルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート:メタクリル酸=9:35.5:35.5:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量12000)
(A)−3:トリシクロデシルメタクリレート:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート:メタクリル酸=9:71:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量12200)
(A)−4:ベンジルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=9:71:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量11900)
(A)−5:スチレン:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=9:71:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量11800)
(A)−6:シクロヘキシルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=9:71:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量12200)
(A)−7:トリシクロデシルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=13:71:16(質量比)の樹脂(質量平均分子量12000)
(A)−8:トリシクロデシルメタクリレート:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=17:71:12(質量比)の樹脂(質量平均分子量12100)
OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE OXE02」)
OXE01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE OXE01」)
IR369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 369」)
IR907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 907」)
Tr−PMS:2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン(PANCHIM社製「トリアジンPMS」)
EABF:4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(保土谷化学工業社製「EABF」)
1,5DON:1,5−ジヒドロキシナフタレン
【0094】
[感度の評価]
上記[鉛筆硬度の評価(1)]と同様の条件で、塗布、露光、現像、ポストベークを行った。ただし、露光量については30〜1000mJ/cmの範囲で適宜調整した。ポストベーク後に硬化樹脂層が得られた最小の露光量を「感度」として表3,4に示す。
【0095】
[ハーフトーン特性の評価(2)]
露光量を、上記[感度の評価]においてポストベーク後に硬化樹脂層が得られた最小の露光量としたほかは、上記[ハーフトーン特性の評価(1)]と同様にして、ポストベーク後の樹脂層の膜厚を測定した。結果を表5に示す。なお、表5中の数値の単位は[μm]である。また、実施例5〜8、比較例4,5における結果を図2に示す。
【0096】
[鉛筆硬度の評価(2)]
露光量を、上記[感度の評価]においてポストベーク後に硬化樹脂層が得られた最小の露光量としたほかは、上記[鉛筆硬度の評価(1)]と同様にして鉛筆硬度を評価した。結果を表3,4に示す。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
表3〜5及び図2から分かるように、一般式(c−1)で表される化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた実施例5〜14では、アルカリ可溶性樹脂を様々に変化させた場合であっても、ハーフトーンマスクの透過率に略々比例して膜厚を変化させることができ、透過率変化の余裕度が高かった。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も高かった。
これに対して、一般式(c−1)に包含されない化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた比較例4〜19では、ハーフトーンマスクの透過率が100%の場合であっても、現像により樹脂層がほぼ溶解除去されていた。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も実施例5〜14よりも劣っていた。
また、比較例18,19の結果から、λendの値が大きくてもハーフトーン特性が良好になるとは限らないことが確認された。
【0101】
<実施例15,16、比較例20,21>
[感光性樹脂組成物の調製]
下記表6に示す各成分を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル=60/40(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度35質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
【0102】
表6中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、それ以外は表1,3,4と同じである。括弧内の数値は配合量(質量部)である。
CB:三國色素社製のカーボンブラック分散液(3−メトキシブチルアセテート溶媒中20質量%のカーボンブラック濃度)。なお、表6中の質量部は、CB固形分のみに換算した量を示す。
【0103】
[ハーフトーン特性の評価(3)]
上記[ハーフトーン特性の評価(1)]と同様にして、ポストベーク後の樹脂層の膜厚を測定した。結果を表7及び図3に示す。なお、表7中の数値の単位は[μm]である。
【0104】
[鉛筆硬度の評価(3)]
上記[鉛筆硬度の評価(1)]と同様にして鉛筆硬度を評価した。結果を表6に示す。
【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
表6,7及び図3から分かるように、一般式(c−1)で表される化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた実施例15,16では、カーボンブラックを含有した場合であっても、ハーフトーンマスクの透過率に略々比例して膜厚を変化させることができ、透過率変化の余裕度が高かった。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も高かった。
これに対して、一般式(c−1)に包含されない化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた比較例20,21では、ハーフトーンマスクの透過率が100%の場合であっても、現像により樹脂層がほぼ溶解除去されていた。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も実施例15,16よりも劣っていた。
【0108】
<実施例17〜19>
[感光性樹脂組成物の調製]
下記表8に示す各成分を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル=60/40(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度35質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
表8中、各略号は表1,3,4と同じである。括弧内の数値は配合量(質量部)である。
【0109】
[ハーフトーン特性の評価(4)]
上記[ハーフトーン特性の評価(1)]と同様にして、ポストベーク後の樹脂層の膜厚を測定した。結果を表9及び図4に示す。なお、表9中の数値の単位は[μm]である。
【0110】
[鉛筆硬度の評価(4)]
上記[鉛筆硬度の評価(1)]と同様にして鉛筆硬度を評価した。結果を表8に示す。
【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
表8,9及び図4から分かるように、一般式(c−1)で表される化合物を光重合開始剤として含有する感光性樹脂組成物を用いた実施例15〜17では、他の光重合開始剤を0〜20%混合した場合であっても、ハーフトーンマスクの透過率に略々比例して膜厚を変化させることができ、透過率変化の余裕度が高かった。また、硬化後の樹脂層の鉛筆硬度も高かった。さらに、一般式(c−1)で表される化合物の含有割合の高い方がハーフトーン特性と硬化強度との両立の点で好ましいことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
前記感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、
露光した前記感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含み、
前記光重合開始剤(C)が下記一般式(c−1)で表される化合物を含有する樹脂パターンの製造方法。
【化1】

(式中、R1c,R2cはそれぞれ独立に一価の有機基を示し、R3cはハロゲン原子又は一価の有機基を示し、nは0〜4の整数を示す。)
【請求項2】
前記露光工程では、ハーフトーンマスク又はグレースケールマスクを介することにより異なる露光量で露光する請求項1記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項3】
前記露光工程における露光光がg線を含む請求項1又は2記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項4】
前記光重合開始剤(C)中の前記一般式(c−1)で表される化合物の割合が80質量%以上である請求項1から3のいずれか1項記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物中の前記一般式(c−1)で表される化合物の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(A)及び前記光重合性モノマー(B)の合計100質量部に対して0.1〜30質量部である請求項1から4のいずれか1項記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)又は脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有する請求項1から5のいずれか1項記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、さらに、脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a4)を有する請求項6記載の樹脂パターンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−8205(P2012−8205A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141773(P2010−141773)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】