説明

樹脂ビーズ溶着装置

【課題】 アイロンを用いずに、簡単な作業で樹脂ビーズを容易に溶着することができる樹脂ビーズ溶着装置を提供する。
【解決手段】 軸線を上下方向に向けて平面上に配列される複数の円筒形の樹脂ビーズ11を溶着させ、一体化させる樹脂ビーズ溶着装置10であって、複数の樹脂ビーズ11を下方から支持するための支持体30と、支持体30の上方に設けられる加熱体と、支持体30と加熱体を互いに接近・離間させる操作手段51と、を有し、操作手段51を操作することで、支持体30と加熱体を接近させて加熱体を前記複数の樹脂ビーズに当接させ、隣り合う樹脂ビーズ11同士を溶着させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ビーズ溶着装置に関し、より詳細には、複数の円筒形の樹脂ビーズを溶着させ、一体化させる樹脂ビーズ溶着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の円筒形のビーズ(以下、樹脂ビーズという)を並べ、並べた樹脂ビーズをアイロンで溶着するアイロンビーズと呼ばれる技術が知られている。アイロンビーズでは、様々な形や色のアクセサリー等を作ることができる。従来、アイロンビーズに関する各種の技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、透明な平板に複数の柱状突起を設け、平板の下に種々の絵が描かれたパターンシートを設けてなるビーズパズルが開示されている。使用者は、パターンシートの絵に合わせてビーズを柱状突起に嵌める。そして、シリコン紙を介してビーズにアイロンを押し当て、ビーズを溶かして一体化させる。これにより、パターンシートの絵に相当するビーズパズルが出来上がる。
【0004】
また、特許文献2には、小円筒体(樹脂ビーズ)を任意に配列させるための複数の凸状体を有する基板と、この基板を開閉自在に覆う蓋体とを備える溶着ビーズ玩具が開示されている。この溶着ビーズ玩具では、蓋体を閉じることで、凸状体からの小円筒体の脱落を防止できる。これにより、使用者は、作りかけの小円筒体を崩すことなく保存することができる。
【0005】
ところで、アイロンビーズでは、並べた樹脂ビーズを次のような要領で溶着する。まず、アイロンを適温に加熱した後、アイロンを樹脂ビーズの上端(実際にはアイロンペーパ等)に当てる。樹脂ビーズ同士がしっかりと溶着するまでアイロンを当てた後、アイロンを樹脂ビーズから離し、所定の場所に置く。次に、ビーズの溶着が十分であるかどうかを確認する。溶着が不十分である場合は、アイロンによる溶着を再度行う。このように、樹脂ビーズの溶着には、アイロンを当てたり置いたりする面倒な作業が伴う。また、幼少の作業者がアイロンを使用する際には危険性を伴う。このため、樹脂ビーズを容易にかつ安全に溶着できる技術が望まれている。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示される技術は、樹脂ビーズの配列および保管に関する技術である。したがって、特許文献1および特許文献2の技術は、上述した問題を解消するものではない。
【0007】
そこで、アイロンを用いずに、樹脂ビーズを溶着できる技術が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0008】
特許文献3の溶着ビーズ玩具は、粒状ビーズを保持する基板と、この基板の上に設けられる挟圧部材とを有する。使用者は、基板上に粒状ビーズを並べ、粒状ビーズに水分を供給した後、基板と挟圧部材の間で挟圧する。次に、基板、挟圧部材および複数の粒状ビーズを電子レンジで加熱する。これにより、相互に溶着した粒状ビーズが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第301286号公報(図1)
【特許文献2】特開2005−34429号公報(図1)
【特許文献3】特開2011−139820号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3の溶着ビーズ玩具においては、特許文献3の段落番号[0024]に、「かかる溶着ビーズ玩具1を、電子レンジに収容して所定時間(例えば、600Wで3分)マイクロ波を照射する」と記載されるように、粒状ビーズの溶着に要する時間が長い。また、電子レンジの加熱時間を適正に設定する必要があり、面倒である。さらに、粒状ビーズに水分を供給する手間もかかる。したがって、アイロンを使う必要がなく、しかも樹脂ビーズの溶着に手間がかからない溶着技術が望まれる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アイロンを必要としない作業で、容易に樹脂ビーズを溶着できる樹脂ビーズ溶着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、軸線を上下方向に向けて平面上に配列される複数の円筒形の樹脂ビーズを溶着させ、一体化させる樹脂ビーズ溶着装置であって、前記複数の樹脂ビーズを下方から支持するための支持体と、前記支持体の上方に設けられる加熱体と、前記支持体と前記加熱体を接近・離間させる操作手段と、を有し、前記操作手段を操作することで、前記支持体と前記加熱体を接近させて前記加熱体を前記複数の樹脂ビーズに当接させ、隣り合う樹脂ビーズ同士を溶着させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記発明は、前記複数の樹脂ビーズの位置を正規の位置に合わせるための位置合わせ手段を有することを特徴とする。
上記発明は、前記支持体と前記加熱体の接近を阻止する阻止手段と、所定の条件で前記阻止手段を解除し、前記支持体と前記加熱体の接近を可能にする解除手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記発明は、前記複数の樹脂ビーズを上面に配列させ、かつ、前記支持体と前記加熱体の間に挿入されて下面が前記支持体に載置されるプレートを有することを特徴とする。
上記発明では、前記プレートは、前記樹脂ビーズに嵌合する複数の突起を有することを特徴とする。
上記発明では、前記プレートの表裏両面のうち一方の面は、前記複数の突起を有し、他方の面は、一体化した複数の樹脂ビーズを上下反転させて載置可能な平坦部を有することを特徴とする。
上記発明は、前記プレートには、前記複数の突起で構成される領域が複数設けられ、前記複数の領域は、互いに離間し、かつ、各々が固有の形態を有することを特徴とする。
【0015】
上記発明では、前記位置合わせ手段は、前記支持体の載置面から立ち上がる壁であって、挿入される前記プレートの外周部に当接して前記プレートを正規の位置に合わせる規制壁であることを特徴とする。
上記発明では、前記阻止手段は、前記規制壁に設けられる可動体であり、前記可動体は、前記規制壁の内側から壁面側に向けて常時付勢されると共に、前記規制壁の内側に没入したときは、前記支持体と前記加熱体の接近を可能にする機能を有し、前記解除手段は、前記プレートの外周部に設けられる凸部であり、前記凸部は、前記プレートが正規の位置に挿入されたとき、前記可動体に当接して前記可動体を前記規制壁の内側に没入させる機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の樹脂ビーズ溶着装置によれば、操作手段を操作するだけで、複数の樹脂ビーズを容易に溶着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる実施形態の樹脂ビーズ溶着装置の斜視図である。
【図2】プレートの構成を説明する図であり、(a)は表面側を示す図、(b)は裏面側を示す図である。
【図3】プレートの変形例の構成を説明する図であり、(a)は第1変形例のプレートの平面図、(b)は第2変形例のプレートの平面図である。
【図4】プレート、樹脂ビーズおよびシートの断面図である。
【図5】樹脂ビーズ溶着装置の正面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】可動体および加熱体の作用を説明する図であり、(a)は加熱体の下降が阻止されている状態を示す図、(b)は加熱体の下降が可能である状態を示す図、(c)は加熱体が下降する状態を示す図である。
【図8】図5のB−B線断面図である。
【図9】(a)はプレートに対する規制壁の作用を説明する図、(b)は第1変形例のプレートに対する規制壁の作用を説明する図、(c)は第2変形例のプレートに対する規制壁の作用を説明する図ある。
【図10】プレートの使用方法を説明する図であり、(a)は樹脂ビーズの配列方法を示す図、(b)はプレートにシートを被せる方法を示す図、(c)はプレートの挿入方法を示す図である。
【図11】樹脂ビーズ溶着装置の使用方法を説明する図であり、(a)は樹脂ビーズの溶着方法を示す図、(b)はビーズの周辺構造を示す断面図、(c)は一端が溶着された樹脂ビーズの斜視図である。
【図12】プレートの裏面の使用方法を説明する図であり、(a)は樹脂ビーズを裏面に載せる方法を示す図、(b)はビーズの周辺構造を示す断面図、(c)は上下両端が溶着された樹脂ビーズの斜視図である。
【図13】第1変形例のプレートの使用方法を説明する図であり、(a)は樹脂ビーズの配列方法を示す図、(b)は樹脂ビーズの溶着方法を示す図、(c)は溶着された樹脂ビーズの平面図である。
【図14】第2変形例のプレートの使用方法を説明する図であり、(a)は樹脂ビーズの配列方法を示す図、(b)は樹脂ビーズの溶着方法を示す図、(c)は溶着された樹脂ビーズの平面図である。
【図15】プレートの変更例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0019】
図1に示すように、本発明にかかる実施形態の樹脂ビーズ溶着装置10は、複数の樹脂ビーズ11を溶着させるための装置本体20と、複数の樹脂ビーズ11を上面に任意に配列させるプレート70と、配列された樹脂ビーズ11の上に被着されるシート12と、を有する。
【0020】
装置本体20は、プレート70および樹脂ビーズ11を支持するための支持体30と、支持体30の後部を覆うように設けられるカバー体50と、を有する。支持体30の側部には、電源スイッチ21、電源ランプ22および適温ランプ23が設けられる。電源ランプ22は、電源スイッチ21がONされたときに点灯する。適温ランプ23は、加熱体(後述)の温度が適正な範囲にあるときに点灯する。また、カバー体50の上部には、加熱体を下降させるための操作手段51が設けられる。操作手段51の後側には、カバー体50内の熱を外へ放出する複数の放熱穴52が設けられる。なお、装置本体20の内部構成の詳細については、後述する。
【0021】
次に、プレート70、樹脂ビーズ11およびシート12の構成を図2〜図4に基づいて詳細に説明する。
図2(a)に示すように、プレート70は、円盤状である。プレート70の表面(一方の面)には、周方向に並ぶ複数(ここでは、60°の角度ピッチで並ぶ6個)の領域A1〜A6が互いに離間して設けられる。領域A1〜A6は、各々、等間隔に並ぶ複数の突起71を有し、固有の形態を有する。たとえば、領域A1は帽子形に形成され、領域A2は星形に形成され、領域A3は丸形に形成され、領域A4は壺形に形成され、領域A5はハート形に形成され、領域A6は四角形に形成される。これにより、使用者は、樹脂ビーズ11(図1参照)を並べるだけで、様々な形のアクセサリー等を簡単に作成することができる。
【0022】
また、プレート70の外周部には、複数(ここでは6個)の凸部(解除手段)72が半径方向に突出して設けられる。複数の凸部72は、半円形状であり、領域A1〜A6と同じ角度ピッチで配置される。複数の凸部72のそれぞれの近傍には、互いに異なるマークM1〜M6(ここでは、丸付き数字の連番)が設けられる。なお、領域A1〜A6の大きさは、符号57で示す加熱体(後述)の加熱面と同程度またはそれよりも若干小さく設定される。
【0023】
図2(b)に示すように、プレート70の裏面(他方の面)は、一体化した複数の樹脂ビーズ11(図1参照)を上下反転させて載置可能な複数の平坦部73を有する。複数の平坦部73は、領域A1〜A6に対応するように周方向に並んで設けられる。
【0024】
続いて、プレート70の変形例について説明する。
プレート70では、複数の領域A1〜A6を離間して設けたが、この他、図3(a)に示す第1変形例のように、1つの円環状の領域A7を設定してもよい。このプレート80では、複数の突起71を円周方向に等間隔に並べ、このように円周方向に並ぶ複数の突起71を、同心円状に複数配置する。このように突起71を配列することで、樹脂ビーズ11を円環状あるいは円弧状あるいは扇状に規則的に並べることができる。
【0025】
第1変形例のプレート80は、複数(ここでは10個)の凸部72を外周部に有する。複数の凸部72の近傍には、互いに異なるマークM1〜M10(ここでは、丸付き数字の連番)が設けられる。なお、領域A7の半径方向の幅は、符号57で示す加熱体(後述)の1辺の長さと同程度またはそれよりも若干小さく設定される。
【0026】
さらに、図3(b)に示す第2変形例のように、プレート90を正方形状に形成し、正方形状の領域A8を設け、領域A8に複数の突起71を等間隔に並べるようにしてもよい。このプレート90では、対向する2つの辺部のそれぞれに、2個の凸部72を設ける。合計4個の凸部72の近傍には、互いに異なるマークM1〜M4(ここでは、丸付き数字の連番)が設けられる。なお、領域A8の1辺の長さは、符号57で示す加熱体(後述)の1辺の長さの2倍程度に設定される。
【0027】
図4に示すように、樹脂ビーズ11は、円筒形であり、軸線を上下方向に向けて突起71に嵌合される。突起71の高さhおよび外径dは、樹脂ビーズ11の高さHおよび内径D1に応じて、樹脂ビーズ11を安定的に保持するように適正な寸法に設定される。また、突起71のピッチPは、樹脂ビーズ11の外径D2と同程度またはそれよりも若干大きく設定されることが好ましいが、プレート70,80,90に求められる仕様に応じて任意に設定可能である。
【0028】
なお、樹脂ビーズ11は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で成形される。また、シート12の材質は、紙を含む任意の材料から選択可能である。また、プレート70,80,90の材質は、ポリカーボネートに代表される耐熱性の高い材料から選択されることが望ましい。
【0029】
次に、装置本体20の各部の構成を図5、図6に基づいて詳細に説明する。
図5に示すように、装置本体20は、支持体30とカバー体50を主要素とする。支持体30は、略箱型に形成される。また、支持体30の前壁32の中央には、プレートのマークM1〜M10(図2、図3参照)と合わさるマーク33が設けられる。さらに、支持体30には、載置面31から立ち上がる規制壁(位置合わせ手段)34が設けられる。この規制壁34は、プレート70,80,90(図2、図3参照)の外周部に当接して、プレート70,80,90を正規の位置に合わせる機能を有する。
【0030】
図6に示すように、支持体30の底部には、電池ボックス35が設けられており、電池ボックス35には、電池(ここでは8本の乾電池)36が交換可能に収納される。また、支持体30の内部には、温度検出器37および制御手段38が設けられる。制御手段38は、温度検出器37で検出される温度が所定温度以上であるとき、電源を切って加熱体(後述)および電池36の過熱を防止する。
【0031】
カバー体50は、下方に開放した椀状の本体部53と、本体部53の下端開口を塞ぐ蓋部54と、を有する。本体部53の前端と載置面31は、プレート70を挿入させる挿入口55を形成する。蓋部54の中央には、開口部56が設けられる。開口部56は、横断面が正方形の筒状に形成される。この開口部56には、加熱体57が配置される。加熱体57は、正方形状の加熱面を有し、たとえば、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属材料で構成される。加熱体57の内部には、加熱体57を加熱するためのヒータ(たとえば、電熱線ヒータ)58が設けられる。ヒータ58は、バイメタル等の温度制御手段によって温度制御される。ヒータ58の温度は、装置の使用時において、たとえば、110〜120℃の範囲に収まるように制御される。
【0032】
加熱体57は、開口部56の内面に沿って昇降可能である。加熱体57の上面は、中間部材59を介して操作手段51に連結される。操作手段51は、圧縮コイルばね61で上方に向けて常時付勢される。操作手段51の上位置は、本体部53のリブ62によって位置決めされる。なお、加熱体57は、挿入口55よりも可及的に遠い位置で、かつ、蓋部54の下面よりも上方位置に配置される。また、挿入口55の上下方向の寸法も可及的に小さく設定される。
【0033】
規制壁34の中央には、凹溝34aが設けられる。凹溝34aには、可動体(阻止手段)39が設けられる。可動体39は、前後に摺動可能であり、かつ、規制壁34の内側から壁面側に向けて圧縮コイルばね41で常時付勢される。可動体39は、切り欠き42を上部に有しており、切り欠き42は、加熱体57を支持する。可動体39は、切り欠き42で加熱体57の下降を阻止する一方、凸部72(図2参照)に押されて規制壁34の壁面から内側に没入すると、切り欠き42を加熱体57から離脱させる。
【0034】
なお、装置本体20の構成部品の材質は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂を含む合成樹脂材料等から、任意に選択可能である。但し、加熱体57に近接する蓋部54や中間部材59は、耐熱性を有する合成樹脂材料(たとえば、ポリエチレンテレフタレート)で構成されることが望ましい。
【0035】
ここで、可動体39および加熱体57の作用を図7に基づいて説明する。
図7(a)に示すように、可動体39は、通常は、切り欠き42で加熱体57の下降を阻止している。この状態では、操作手段51を押しても加熱体57を動かすことはできない。これに対し、図7(b)に示すように、プレート70の凸部72に押されると、可動体39が後退し、切り欠き42が加熱体57から離脱する。結果、加熱体57が下降可能になる。この状態で使用者が操作手段51を下方に押すと、図7(c)に示すように、加熱体57は、下降し、シート12を介して樹脂ビーズ11に当接し、隣り合う樹脂ビーズ11同士を溶着させる。
【0036】
次に、規制壁34の構成を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、規制壁34は、左右方向に沿って形成される奥壁43と、奥壁43の左右両端に連なり、前後方向に沿って形成される左右の側壁44と、を有する。
【0037】
奥壁43の中央には、凹溝34aが設けられる。左右の側壁44の前端には、第1凹部44aが設けられる。第1凹部44aは、第1変形例のプレート80(図3(a)参照)を位置決めするための凹部である。また、奥壁43には、左右1対の第2凹部43aが設けられる。第2凹部43aは、第2変形例のプレート90(図3(b)参照)を位置決めするための凹部である。
【0038】
このように構成される規制壁34の作用を図9に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、プレート70の場合、左右の側壁44に、左右の凸部(ここでは、マークM4,M6の凸部72)を合わせると、先端中央の凸部(ここでは、マークM5の凸部72)が可動体39を後退させる。これにより、プレート70を正規の位置に容易に挿入することできる。また、左右の側壁44によって、プレート70の回転が防止される。
【0039】
また、図9(b)に示すように、プレート80の場合、左右の第1凹部44aに左右の凸部(ここでは、マークM4,M8の凸部72)が嵌まると、先端中央の凸部(ここでは、マークM6の凸部72)が可動体39を後退させる。これにより、プレート80を正規の位置に容易に挿入することできる。また、左右の第1凹部44aによって、プレート80の回転が防止される。
【0040】
図9(c)に示すように、プレート90の場合、プレート90の一側(ここでは、右側)の側端を側壁44に寄せると、左右2つの凸部のうち、1つの凸部(ここでは、マークM4の凸部72)が可動体39を後退させ、残る1つの凸部(ここでは、マークM3の凸部72)が第2凹部43aに嵌る。これにより、プレート90を正規の位置に容易に挿入することできる。また、第2凹部43aによって、プレート90が左右方向にずれることを防ぐことができる。
【0041】
以上に述べた樹脂ビーズ溶着装置10の使用方法を図10、図11に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、使用者は、まず、プレート70の好きな絵柄(領域)を選び、ピンセット13を使って樹脂ビーズ11を突起71に嵌めていく。ここでは、領域A5のハート形の絵柄に合わせ、樹脂ビーズ11を並べる。
【0042】
図10(b)に示すように、樹脂ビーズ11を並べ終わったら、次に、シート12をプレート70の上に被せる。シート12は、プレート70と同じ外形に予め切断しておく。次に、図10(c)に示すように、電源スイッチ21をONにして加熱体57(図6参照)を昇温させる。適温ランプ23が点灯したら、プレート70を支持体30とカバー体50の間に挿入し、載置面31に置く。
【0043】
次に、図11(a)に示すように、プレート70のマークM2をマーク33に合わせ、プレート70を押し、先端の凸部72を可動体39(図6参照)に押し当てる。一方の手でプレート70を押したまま、他方の手で操作手段51を下方に押す。すると、図11(b)に示すように、加熱体57が下降し、加熱体57の下端が、シート12を介して、樹脂ビーズ11の上端に当接する。結果、図11(c)に示すように、樹脂ビーズ11の上端(一端11a)が溶けて潰れ、隣り合う樹脂ビーズ11同士が溶着する。
【0044】
次に、樹脂ビーズ11の他端11bを一体化させる2回目の溶着作業を行う。他端11bの溶着に先立ち、複数の樹脂ビーズ11をプレート70から取り、プレート70の表裏を反転させる。
【0045】
プレート70の表裏を反転させたら、図12(a)に示すように、他端11bを上に向けて(上下反転させて)、複数の樹脂ビーズ11をプレート70の裏面の平坦部73に置く。そして、1回目の溶着作業と同じ要領で、樹脂ビーズ11の他端11bを溶着する。
【0046】
ここで、樹脂ビーズ11の高さの変化に着目する。
図12(b)に示すように、樹脂ビーズ11は、1回目の溶着によって、高さH1が初期の高さよりも(H−H1)だけ低くなっている。したがって、2回目の溶着では、加熱体57のストローク長によっては、加熱体57を他端11bに当接させることができない場合がある。
【0047】
この点、実施形態では、プレート70の表裏を反転させ、裏面の平坦部73に複数の樹脂ビーズ11を置くようにした。これにより、突起71の高さhだけ、樹脂ビーズ11の他端11bの位置を高くすることができる。したがって、加熱体57を樹脂ビーズ11に当接させることができる。結果、図12(c)に示すように、樹脂ビーズ11の他端11b同士をしっかりと溶着することができ、良好に一体化したハート形のアクセサリー14を得ることができる。
【0048】
続いて、第1変形例のプレート80の使用方法を図13に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、好きな絵柄になるように樹脂ビーズ11をプレート80の突起71に並べる。ここでは、大小2つの円の上に、樹脂ビーズ11を並べる。次に、図13(b)に示すように、シート12をプレート80に被せ、プレート80を支持体30とカバー体50との間に挿入し、載置面31に置く。そして、マークM1をマーク33に合わせ、プレート80を押し、マークM6の凸部72を可動体39(図6参照)に当てて後退させる。
【0049】
一方の手でプレート80を押したまま、他方の手で操作手段51を下方に押して、加熱体で溶着可能な領域(図13(a)中、符号57で示す)の樹脂ビーズ11を溶着する。次に、プレート80を押している手を緩めて、プレート80を回転させ、マーク33にマークM2を合わせる。そして、溶着していない隣接する領域の樹脂ビーズ11を、マークM1を合わせたときと同様の手順で、溶着する。さらに、プレート80を回転さながら、マークM3〜M10を用いて、溶着作業を順次繰り返す。すると、図13(c)に示すように、複数の樹脂ビーズ11からなる円環状のアクセサリー15を得ることができる。
【0050】
続いて、第2変形例のプレート90の使用方法を図14に基づいて説明する。
図14(a)に示すように、好きな絵柄になるように樹脂ビーズ11をプレート90の突起71に並べる。ここでは、色の異なる2種の樹脂ビーズ11,11Aを用いて、動物の顔を模した形に樹脂ビーズを並べる。次に、図14(b)に示すように、シート12をプレート90の上に被せてから、プレート90を支持体30とカバー体50との間に挿入し、載置面31に置く。次に、マークM1をマーク33に合わせる。同時に、プレート90を一方の側壁(ここでは右側の側壁)44に寄せて、プレート90を押し、マークM4の凸部72を可動体39(図6参照)に当てて後退させる。
【0051】
次に、一方の手でプレート90を押したまま、他方の手で操作手段51を下方に押して、加熱体で溶着可能な領域(図14(a)中、符号57で示す)の樹脂ビーズ11を溶着する。そして、プレート90を押す手を緩めて、プレート90を横方向(ここでは左方向)に移動させ、マーク33にマークM2を合わせ、溶着していない隣接する領域の樹脂ビーズ11を、マークM1を合わせたときと同様の手順で、溶着する。さらに、プレート90の前後を反転させた後、マークM3,M4を用いて、同じ作業を繰り返す。すると、図14(c)に示すように、2色の樹脂ビーズ11,11Aからなる動物の形のアクセサリー16を得ることができる。
【0052】
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
本実施形態によれば、操作手段51を操作するだけで、複数の樹脂ビーズ11を容易に溶着することできる。
【0053】
また、規制壁34の奥壁43、側壁44および第1・第2凹部44a,43aによって、プレート70,80,90を正規の位置に合わせることができるため、溶着したい樹脂ビーズ11を確実に溶着することができる。
【0054】
また、プレート70,80,90を挿入しないと、操作手段51が操作できないため、加熱体57の不要な下降を防ぐことができる。加えて、溶着作業を両手操作による作業としたので、安全性をより高めることができる。
【0055】
また、多数の樹脂ビーズ11を数回に分けて溶着できるので、加熱体57を小さく構成できる。よって、装置本体20の起動時の消費電力を抑えることができる。結果、電池36の本数を減らすことができる。
【0056】
次に、プレートの変更例を図15に基づいて説明する。
前述したプレート70,80,90は、1個の部品で構成したものであるが、この他、プレートは、複数の部品で構成してもよい。この変更例のプレート70Aでは、複数の突起71を有するプレート本体75と、プレート本体75の外周に嵌合する環状の枠体76と、を有する。プレート70Aの使用に際しては、プレート本体75にシート12を被せた後、シート12を挟むようにして枠体76をプレート本体75に嵌める。このように構成されるプレート70Aによれば、シート12の被せ忘れを防ぐことができる。また、シート12がプレート本体75に固定されるため、プレート70Aを装置本体20(図6参照)から外せば、加熱体57(図6参照)からシート12が確実に離れる。結果、シート12が加熱体57に接着することを防ぐことができる。
【0057】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0058】
たとえば、実施形態では、押しボタン式の操作手段により、加熱体を支持体に向けて下降させるように構成したが、たとえばペダル式の操作手段により、支持体を加熱体に対して上昇させてもよく、支持体と加熱体を接近・離間させるための構成は、任意である。また、プレートの挿入口にシャッターやカバー等の開閉手段を設け、プレートが挿入されるときにのみ、挿入口が開くように装置本体を構成してもよい。また、装置本体の任意の箇所に空冷手段を設けてもよい。また、実施形態では、樹脂ビーズが円筒形になっているが、これに限らず、星筒形、多角筒形などの樹脂ビーズを用いてもよい。このように、本発明にかかる装置本体の構成は、実施形態に格別に限定されるものではなく、任意の手段から選択可能であり、かつ、改良可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 樹脂ビーズ溶着装置
11,11A 樹脂ビーズ
20 装置本体
30 支持体
31 載置面
34 規制壁(位置合わせ手段)
39 可動体(阻止手段)
51 操作手段
57 加熱体
70,80,90,70A プレート
71 突起
72 凸部(解除手段)
73 平坦部
A1〜A6 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を上下方向に向けて平面上に配列される複数の円筒形の樹脂ビーズを溶着させ、一体化させる樹脂ビーズ溶着装置であって、
前記複数の樹脂ビーズを下方から支持するための支持体と、
前記支持体の上方に設けられる加熱体と、
前記支持体と前記加熱体を接近・離間させる操作手段と、を有し、
前記操作手段を操作することで、前記支持体と前記加熱体を接近させて前記加熱体を前記複数の樹脂ビーズに当接させ、隣り合う樹脂ビーズ同士を溶着させるようにしたことを特徴とする樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項2】
前記複数の樹脂ビーズの位置を正規の位置に合わせるための位置合わせ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項3】
前記支持体と前記加熱体の接近を阻止する阻止手段と、
所定の条件で前記阻止手段を解除し、前記支持体と前記加熱体の接近を可能にする解除手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項4】
前記複数の樹脂ビーズを上面に配列させ、かつ、前記支持体と前記加熱体の間に挿入されて下面が前記支持体に載置されるプレートを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項5】
前記プレートは、前記樹脂ビーズに嵌合する複数の突起を有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項6】
前記プレートの表裏両面のうち一方の面は、前記複数の突起を有し、他方の面は、一体化した複数の樹脂ビーズを上下反転させて載置可能な平坦部を有することを特徴とする請求項5に記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項7】
前記プレートには、前記複数の突起で構成される領域が複数設けられ、
前記複数の領域は、互いに離間し、かつ、各々が固有の形態を有することを特徴とする請求項5または6に記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項8】
前記位置合わせ手段は、前記支持体の載置面から立ち上がる壁であって、挿入される前記プレートの外周部に当接して前記プレートを正規の位置に合わせる規制壁であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の樹脂ビーズ溶着装置。
【請求項9】
前記阻止手段は、前記規制壁に設けられる可動体であり、
前記可動体は、前記規制壁の内側から壁面側に向けて常時付勢されると共に、前記規制壁の内側に没入したときは、前記支持体と前記加熱体の接近を可能にする機能を有し、
前記解除手段は、前記プレートの外周部に設けられる凸部であり、
前記凸部は、前記プレートが正規の位置に挿入されたとき、前記可動体に当接して前記可動体を前記規制壁の内側に没入させる機能を有することを特徴とする請求項8に記載の樹脂ビーズ溶着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−85766(P2013−85766A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230122(P2011−230122)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名「東京おもちゃショー2011」(主催社名「社団法人 日本玩具協会」、共催「東京都」、後援「経済産業省」、開催日「2011年6月16日から2011年6月19日まで」)
【出願人】(597047130)株式会社ウィズ (19)
【Fターム(参考)】