説明

樹脂組成物、及びシート

【課題】 シートの表面のカーボンの凝集に起因するブツ(塊)の発生を低減でき、外観の悪化を防止できるとともに、ブツ(塊)による電子部品包装容器を製造する際の成形不良を低減することができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物であって、原材料として粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂100質量部と、かさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラック10〜60質量部を用いた樹脂組成物及びシート。樹脂組成物を溶融混練した物質100質量部と、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂15〜100質量部を用いた樹脂組成物及びシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物、及びそれを用いたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の複雑化、精密化、小型化が進み、これに伴い電子部品の包装及び実装の高速化も進み、機械的強度を向上させた電子部品包装用の導電シートが望まれている。そこで、優れた耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性を有したポリカーボネート樹脂にカーボンブラックを添加した樹脂組成物から作製される導電シートが用いられている。しかし、導電性を得るためにカーボンブラックを含有させたシートは、表面にカーボンの凝集に起因するブツ(塊)が発生し、その表面の外観を悪化させる場合があり、ポリカーボネート樹脂にカーボンブラックを添加した場合も例外ではなかった。また、外観を悪化させるのみならず、得られたシートにさらに微細な加工を施す場合には、ブツは成形不良を生じさせる原因となる場合があった。この改善方法として、例えば特許文献1、2および3のようにカーボンブラックの種類を特定する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−210846号公報
【特許文献2】特開2004−204006号公報
【特許文献3】特開2004−323551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、カーボンブラックの分散性を改良した樹脂組成物、及ぶそれを用いたカーボンブラックの凝集したブツ(塊)の少ないシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物であって、原材料として粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂100質量部と、かさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラック10〜60質量部を用いた樹脂組成物。
(2)カーボンブラックがアセチレンブラックである前記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記(1)又は前記(2)に記載の樹脂組成物を溶融混練した物質100質量部と、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂15〜100質量部を用いた樹脂組成物。
(4)前記(1)及至前記(3)のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたシート。
(5)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、またはポリカーボネート樹脂からなる基材層と、前記(1)及至前記(3)のいずれか一項に記載の樹脂組成物の導電層からなるシート。
(6)前記(4)又は前記(5)に記載のシートからなる電子部品包装容器。
(7)前記(4)又は前記(5)に記載のシートからなるキャリアテープ。
(8)ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物であって、原材料として粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂100質量部と、かさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラック10〜60質量部を用いた樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明の樹脂組成物を用いて得られたシートは、シートの表面のカーボンの凝集に起因するブツ(塊)の発生を低減でき、外観の悪化を防止できるとともに、ブツによる電子部品包装容器を製造する際の成形不良を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂とは、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネートで、通常はエンジニアプラスチックに分類されるものである。ポリカーボネート樹脂は、一般的なビスフェノールAとホスゲンとの重縮合又はビスフェノールAと炭酸エステルの重縮合により得られるものを用いることができる。これは、ビスフェノールを主原料とし、ホスゲン法又はエステル交換法により製造され、また、原料として使用されるビスフェノールには、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA)、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メチル−ブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンなどがある。ホモポリカーボネート、カルボン酸を共重合したコポリカーボネート又はこれらの混合物を用いることもできる。
【0007】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の粒度は、JIS標準ふるい規格(細目用)にある各種ふるいを用いて通過した粒子量から求めた値である。ポリカーボネート樹脂の粒径(直径)0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるものである。さらに全粒子の粒度範囲が粒径(直径)で0.2〜3mmにあるものが好ましい。本発明でポリカーボネート樹脂ペレットとは、JIS標準ふるい規格(細目用)で呼び寸法(目開き)2380μm、メッシュ#8(タイラーメッシュ#8)を用いて、該当物をふるいにかけた場合に該当物が、全く通過しないものを指す。
ポリカーボネート樹脂にペレットのような粒径が3mmより大きいものを用いると、カーボンブラックとの分散性が悪く、粒径0.2mm未満のような微粉体を用いる場合はハンドリング性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明で導電性を付与させるために用いているカーボンブラックの種類としては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラックがあげられるが、中でもアセチレンブラックが、不純物の少ない高純度のカーボンブラックであり、電子部品等を搬送する導電シートとして用いるにあたって、腐食等の問題を起こしにくいため好ましい。アセチレンブラックの形状としては、通常の粉状品、粉状品を圧縮して密度を高くしたプレス品、粉状品を直径0.3〜1.5mmの粒状にした粒状の3タイプがあげられるが、本発明に用いるアセチレンブラックとしては、粒状品が好ましい。これは粒状品が他に比べて、かさ密度が大きいためである。かさ密度とは体積既知の容器に粉体を一定方法で充填し、粒子間の空隙も含めた体積で、粉体の質量を除した値であり、この数値が低いほど空隙が大きくなる。本発明の樹脂組成物に用いるアセチレンブラックは粒状であり、かさ密度が0.20〜0.35g/mlであることが好ましい。かさ密度が0.20以上にあるアセチレンブラックとポリカーボネート粒子との分散性は良好であり、それからなる樹脂組成物を用いて得られたシートの表面はカーボン凝集に起因するブツが発生しにくい。
【0009】
樹脂組成物中のカーボンブラックの配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して10〜60質量部、好ましくは20〜50質量部である。カーボンブラックの配合量が10質量部未満では十分な表面抵抗値が得られない可能性がある。また、60質量部を超えると流動性が低下し、その結果、樹脂組成物を成形することが困難になるとともに得られるシートの機械的強度も低下しやすい。
静電気による電子部品の破壊を防止するためにはシートに成形した状態での表面抵抗値が10〜1013Ωであることが好ましく、さらに好ましくは10〜1010Ωである。
【0010】
粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂とかさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラックを上記の配合で混合することにより、樹脂組成物を用いて得られたシートの表面のカーボンの凝集に起因するブツ(塊)を低減することできる。
ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックの混合方法は特に限定されるものではないが、公知の混合機、例えばタンブラー、ヘンシェルミキサー、マゼラー等を用いて一括に混合する方法や、重量フィーダー等を用いて、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックを別々に1軸又は2軸押出機に供給して溶融混練する方法があげられる。
【0011】
本発明の樹脂組成物は単層の導電シートとすることができる。シート厚さは、30μm〜3mm、好ましくは50μm〜2mm、さらに好ましくは100μm〜1mmである。この範囲外においては、シートへの成形が難しくなり、また、包装容器等に二次加工することも難しくなる。
【0012】
本発明の樹脂組成物を表層とし、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂やポリカーボネート樹脂を基材層としたシートにすることができる。また、基材層には本発明の目的を害さない範囲で他の成分を含有することもできる。
【0013】
基材層に用いるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂とは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの三成分を必須的に含む共重合体を主成分とするものであり、市販のものを用いることができる。例えば、ジエン系ゴムに芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体から選ばれる一種類以上の単量体をブロックあるいはグラフト重合して得られた共重合体、又はその共重合体とのブレンド物があげられる。ここでのジエン系ゴムとはブタジエンを成分として重合した重合体であって、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンやアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等がある。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン又は各種アルキル置換スチレン等があげられる。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル又は各種ハロゲン置換アクリロニトリル等があげられる。上述の共重合体及びその共重合体とのブレンド物の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体やアクリロニトリル−スチレン二元共重合体にポリブタジエンをポリマーアロイ化したものがあげられる。また、ゴム成分を含まないアクリロニトリル−スチレン二元共重合体も含まれる。
【0014】
基材層に用いるポリカーボネート樹脂とは、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネートで、通常はエンジニアプラスチックに分類されるものである。ポリカーボネート樹脂は、一般的なビスフェノールAとホスゲンとの重縮合又はビスフェノールAと炭酸エステルの重縮合により得られるものを用いることができる。これは、ビスフェノールを主原料とし、ホスゲン法又はエステル交換法により製造され、また、原料として使用されるビスフェノールには、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA)、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メチル−ブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンなどがある。ホモポリカーボネート、カルボン酸を共重合したコポリカーボネート又はこれらの混合物である。
【0015】
本発明の樹脂組成物には、さらにポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂を混合することができる。混合する方法としては、樹脂組成物に直接、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂を混合する方法の他に、樹脂組成物を二軸押出機を用いて溶融混練した後に、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂を混合する方法があげられる。さらに、混合する量としては、上記樹脂組成物100質量部に対して15〜100質量部、さらに好ましくは20〜80質量部の範囲が好ましい。100質量部を超えると、静電気による電子部品の破壊を防止するために十分な表面抵抗値が得られにくいおそれがあり、15質量部未満であると流動性を高める効果が得られにくい可能性がある。
これらを混合する方法としては公知のもの、例えば、タンブラー、万能混合機、プラネタリーミキサー、自公転式ミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、ボールミル、リボンブレンダー、高速ミキサー、ミキシングロール等の混合機を用いることができる。
【0016】
樹脂組成物に混合するポリエステル樹脂としては、グリコール成分として1,4−ブタンジオールを用いたポリブチレンテレフタレートが好ましく、市販品を使用することができる。またグリコール成分にとして、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のモノマーを共重合したポリブチレンテレフタレートを使用することもできる。共重合モノマーとしては1,4−シクロヘキサンジオールが好ましい。
【0017】
樹脂組成物には更に必要に応じて滑剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤などの各種添加剤を添加することができる。
【0018】
本発明のシートは押出機、カレンダー成形機等を用いた公知の方法によって製造することができる。基材層にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、表層に本発明の樹脂組成物を用いたシートにするには、各層をそれぞれ別々の押出機により導電シート若しくはフィルム状に最初に成形した後、熱ラミネート法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等により段階的に積層することが可能である。あるいは、予め成形したシート基材の上に押出コーティング等の方法により積層することも可能である。そして、より安価に製造するには押出法が好ましく、中でもマルチマニフォールドダイやフィードブロックを用いた多層共押出法により積層シートを得る方法は一工程で積層シートが得られる点でさらに好ましい。
【0019】
基材層にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、又はポリカーボネート樹脂、表層に本発明の樹脂組成物を用いたシートとした場合の全体のシートの厚さに占める表層の割合は2%〜80%であることが好ましく、2.5%〜60%がさらに好ましい。表層が2%以上となると導電性が安定して得やすく、80%以下となると力学的特性が安定するとともに圧空成形、真空成形、熱版成形等の成形がしやすくなる。シート全体の厚さが0.1mm以上でシートを成形して得られる容器としての強度が得やすく、また、3.0mm未満で圧空成形、真空成形、熱版成形等の成形が容易となる。
【0020】
本発明の樹脂組成物を用いたシートは、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法等といった公知の熱成形方法によって、用途に応じた形状に成形することが出来る。
【0021】
本発明の樹脂組成物を用いたシートは、IC等の半導体、ICを用いた電子部品包装容器の材料として、真空成形トレー、マガジン、エンボスキャリアテープ、及びエンボスキャリアテープに電子部品を収納し、その上面にカバーテープをヒートシールした電子部品包装体等に使用することができ、特にエンボスキャリアテープに好適に使用できる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
表1〜表4に示される各配合に従って、二軸押出機設備;直径30mmの二軸押出機(神戸製鋼所製KTX−30)を用いてシリンダー温度240℃にて溶融混練し、樹脂組成物溶融物ペレットを得た。次に、表1、2に示される配合で下記の設備にて単層および積層のシートを作製した。単層の場合にはシートの厚さを70μmとした。積層シートの場合には上下の両面にある表層を70μm、中芯層を110μmとし、全体の厚さを250μmとした。
単層設備;直径40mm押出機(スクリュー径40mm、一軸)ダイ:Tダイ、リップ幅250mmの押出設備を用いた。
積層設備;メイン押出機からフィードブロックに供給される基材樹脂が中芯層となり、サブ押出機からフィードブロックに供給される樹脂が表層(両面)となるように構成された、メイン押出機(スクリュー径65mm、一軸、ベント付き)、サブ押出機(スクリュー径40mm、一軸)、フィードブロック:2種3層分配、ダイ:Tダイ、リップ幅650mmを用いた。
(実施例1,2,3,4,5,6,7、比較例1,2)
樹脂組成物溶融物ペレットを用いて単層設備にて、単層シートを作製した。
(実施例8,9,10,11、比較例3,4,5)
樹脂組成物溶融物ペレットに後添加樹脂としてポリカーボネート樹脂ペレット(PC−2)を混合し、単層設備にて、単層シートを作製した。
(実施例12、比較例6,7,8)
樹脂組成物溶融物ペレットに後添加樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)ペレットを混合し、単層設備にて、単層シートを作製した。
(実施例13,15、比較例9,10)
積層設備にて、メイン押出機にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)ペレット、サブ押出機に上記の樹脂組成物溶融物ペレットを用いて積層シートを作製した。
(実施例14)
積層設備にて、メイン押出機にポリカーボネート樹脂ペレット(PC−2)樹脂、サブ押出機に上記の樹脂組成物溶融ペレットを用いて積層シートを作製した。
(実施例16、比較例11,12,13)
積層設備にて、メイン押出機にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)ペレット、サブ押出機に上記の樹脂組成物溶融物ペレット、ポリカーボネート樹脂ペレット(PC−2)を混合したものを用いて積層シートを作製した。
(実施例17、比較例14,15,16)
積層設備にて、メイン押出機にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)ペレット、サブ押出機に上記の樹脂組成物溶融ペレット、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)ペレットを混合したものを用いて積層シートを作製した。
【0023】
実施例及び比較例に使用した樹脂およびカーボンブラックは、次のとおりである。
PC−1:粒状ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製;商品名 パンライトL−1225WP、粒度分布範囲が0.2〜3mm、粒径0.4〜0.8mmの粒子が80質量%)
PC−2:ポリカーボネート樹脂ペレット状(帝人化成社製;商品名 パンライトL−1225、粒度分布範囲3〜4mm)
PC−3:粒状ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製;商品名 パンライトL−1225WPを篩いにて選別して、粒度分布範囲を0.2〜3mm、粒径0.4〜0.8mmの粒子を50質量%に調整)
PC−4:粒状ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製;商品名 パンライトL−1225WPを篩いにて選別して、粒度分布範囲を0.2〜3mm、粒径0.4〜0.8mmの粒子を100質量%に調整)
CB−1:アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名 デンカブラック粒状 かさ密度0.2〜0.3g/ml)
CB−2:アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名 デンカブラック100%プレス品 かさ密度0.12〜0.18g/ml)
CB−3:アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名 デンカブラックHS−100 かさ密度0.35g/ml)
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品名:ノバデュラン5010R8M)
ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(電気化学工業社製;商品名 SE−20)
【0024】
実施例及び比較例において、コンパウンド化・シート製膜化が可能であったものを○、不可能であったものを×とし、表1〜表4のコンパウンド化・シート製膜性の欄に示す。
【0025】
得られたシートの試験片10cm角(100cm)あたりのブツの個数を目視により数えて評価した。ブツは形状が円、楕円、四角等の各種形状で、シートの平面の最長の長さが0.1mm以上、又はシートの厚さより10%以上厚い突起物とした。これを表1〜表4のブツ量の欄に示す。
評価は、下記の基準で行った。
50個以下を○ ・・・・・良好
50〜100個を△ ・・・・・若干悪い
100個以上を× ・・・・・劣る
【0026】
得られたシートの表面抵抗値をACL 800 - Surface Resistance and ResistivityTester Kitを用いて測定した。これを表1〜表4の表面抵抗値の欄に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】



【0031】
本発明により提供される樹脂組成物はカーボンブラックの分散性が良好であり、樹脂組成物を用いて得られたシートは、シートの表面のカーボンの凝集に起因するブツ(塊)を低減することができた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物であって、原材料として粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂100質量部と、かさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラック10〜60質量部を用いた樹脂組成物。
【請求項2】
カーボンブラックがアセチレンブラックである請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物を溶融混練した物質100質量部と、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂15〜100質量部を用いた樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1及至請求項3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたシート。
【請求項5】
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、またはポリカーボネート樹脂からなる基材層と請求項1及至請求項3のいずれか一項に記載の樹脂組成物の導電層からなるシート。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のシートからなる電子部品包装容器。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載のシートからなるキャリアテープ。
【請求項8】
ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物であって、原材料として粒径0.4〜0.8mmの粒子がポリカーボネート樹脂全体の50〜100質量%を占めるポリカーボネート樹脂100質量部と、かさ密度0.20〜0.35g/mlのカーボンブラック10〜60質量部を用いた樹脂組成物の製造方法。


【公開番号】特開2008−94984(P2008−94984A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279234(P2006−279234)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】