説明

樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法

【課題】樹脂被覆後の強度低下を最小限に抑えつつ、成形性を確保するとともに、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質を向上させることができる、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるとともに、270℃で20秒間の熱処理を施した後の耐力が225〜255N/mmであり、かつ、耳率が5%以下であるアルミニウム合金板であって、冷間圧延後の当該アルミニウム合金板の酸素濃度について、10.0質量%以上である領域が板表面から板厚方向に0.08μm以内であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法に係り、特に、DI缶やボトル缶(以下、DI缶やボトル缶を総称する場合は「アルミ缶」という)に適用可能な樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板より製造されるアルミ缶、たとえば3ピースボトル缶は、通常、アルミニウム合金板に様々な成形加工が施されることにより製造される。詳細には、まず、アルミニウム合金板の両面に熱可塑性樹脂被膜の層を形成して潤滑剤を塗布したものを打ち抜いてブランクを得る工程と、このブランクに絞り加工を行ってカップ状の成形品を得る工程とを行う。次いでこのカップ状の成形品に対して再絞り加工とストレッチ加工又はしごき成形(DI成形)を行って胴体部が小径化及び薄肉化された有底円筒状の缶を得る工程と、次いで、この有底円筒状の缶の底部側に絞り加工を複数回行うことにより肩部と未開口部とからなる口部を有する缶を得る工程とを行う。続いて洗浄及びトリミング等を行い、その後、この缶の胴体部に印刷及び塗装を施す工程と、引き続いて前記口部を開口してカール部及びネジ部を形成し、更に前記ネジ部の反対側の部分にネック加工とフランジ加工とを施した後、シーマによって別途成形した底蓋を巻き締めする工程を行うというものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、この樹脂被覆に用いられるラミネートフィルムは、その種類が増大している。それに伴い、樹脂被覆工程でのラミネートフィルムをリメルトする温度範囲が拡大しており、一般的には200〜280℃の範囲で熱処理が行われている(例えば、特許文献2参照)。この温度範囲拡大に対応するため、高い耐熱性を備えることで、樹脂被覆後の強度が低下しないアルミニウム合金板が要求されている。
【0004】
そこで、樹脂被覆後の強度低下を最小限に抑え、かつ、成形性の向上を目的として、H19の調質が施された3004合金(3004−H19、JIS H4000に規定)の使用が提案されている。このH19の調質は、アルミニウム合金板に熱間圧延、冷間圧延の各工程を順次施すものである。具体的には、アルミニウム合金を、溶解・鋳造して鋳塊とし、当該鋳塊を面削した後、570℃〜620℃の均質化熱処理を行い、その後、300℃以上の巻き取り温度の熱間圧延、および、80〜90%の圧延率の冷間圧延を行うという樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−162344号公報(段落番号0027〜0028、図2)
【特許文献2】特開2004−238653号公報(段落番号0032)
【特許文献3】特開2006−070344号公報(段落番号0011〜0015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記アルミニウム合金板の製造方法では、高温で均質化熱処理を行うため、アルミニウム合金板の表面に酸化皮膜が厚く形成される。樹脂被覆を施さないでDI成形するタイプのアルミ缶の場合は、しごき成形時に缶胴部に新生面が出てくるので、酸化皮膜は缶胴表面の品質にさほど影響しない。しかし、樹脂被覆を施した後にDI成形するタイプのアルミ缶の場合は、元板表面としごきダイス表面が直接接触しないため、元板表面の酸化皮膜による影響が缶胴成形後も残り、フローマーク状の表面不具合が目立つ傾向があった。
【0007】
また、アルミ缶の表面品質については、要求されるレベルが下がることはなく、常に市場のニーズに合わせて上昇し続けている。よって、従来では問題とされていなかったような軽微な表面不良であっても、現在は、問題視されるようになっており、そのような軽微な表面不良を有するアルミ缶は製造工程の中でリジェクトの対象となる。したがって、アルミ缶の表面品質の向上は、生産性という面においても重要な要素となっている。
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、その課題は、樹脂被覆後の強度低下を最小限に抑えつつ、成形性を確保するとともに、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質を向上させることができる樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明者らは、アルミニウム合金板の板表面の酸化皮膜の成長を抑制することができる条件について種々の検討を行った。その結果、Cu、Mg、Mn、Fe及びSiの含有量を適切なものとしたうえで、均質化熱処理温度及び時間を調整し、また熱間圧延及び冷間圧延の条件をコントロールすることで、前記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、前記目的を達成するための本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるとともに、270℃で20秒間の熱処理を施した後の耐力が225〜255N/mmであり、かつ、耳率が5%以下であるアルミニウム合金板であって、冷間圧延後の当該アルミニウム合金板の酸素濃度について、10.0質量%以上である領域が板表面から板厚方向に0.08μm以内であることを特徴とする。
【0011】
このように、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、アルミニウム合金の成分を特定の範囲に限定することにより、樹脂被覆後の熱処理による強度低下を最低限に抑えることができる。また、耐力・耳率を特定の範囲に限定することにより、容易に所望するアルミ缶の形状に成形でき、かつ、そのアルミ缶の形状へ成形した後でも缶強度が適切に維持されるものとなる。さらに、所定以上の酸素濃度となる領域について特定の範囲に限定することにより、アルミニウム合金板の板表面から厚み方向内における表面不良に影響する酸化被膜の成長を抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係る前記樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金を溶解・鋳造して鋳塊を作製する溶解・鋳造工程と、前記溶解・鋳造工程において作製されたアルミニウム合金の前記鋳塊に480〜540℃で10時間以上、均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、前記均質化熱処理工程において均質化熱処理が施されたアルミニウム合金の前記鋳塊を熱間圧延し、巻き取り温度を320℃以上にして巻き取る熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程において熱間圧延が施されたアルミニウム合金板に、冷間加工の圧延率を80〜90%に設定して冷間圧延する冷間圧延工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
このように、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、均質化熱処理の温度が特定の範囲に限定されるとともに、所定時間以上とすることにより、アルミニウム合金板の板表面における酸化被膜の成長を抑制することができる。
また、熱間圧延・冷間圧延を特定の条件とすることにより、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質が十分に維持され、且つ、缶特性も良好な樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法によれば、樹脂被覆後の強度低下を最小限に抑えつつ、成形性を確保することができる。また、均質化熱処理の際の酸化皮膜の成長を最小限に抑えることができるため、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質に優れた樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の一例の3ピースボトル缶を模式的に示す斜視図である。
【図2】従来の一例のDI缶を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板について評価を行う際の、当該樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆したラミネート材からの3ピースボトル缶の作製方法を模式的に示す模式図である。
【図4】(a)は、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の酸素濃度と板表面からの深さの関係を示すグラフである。(b)は、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法の実施するための形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
[樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板]
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるとともに、270℃で、20秒間の熱処理を施した後の耐力が225〜255N/mmであり、かつ、耳率が5%以下である。加えて、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、冷間圧延後の前記アルミニウム合金板の酸素濃度について、10.0質量%以上である領域が前記アルミニウム合金板の板厚方向に板表面から0.08μm以内というものである。
次に、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれる各合金成分、熱処理後の耐力及び耳率、さらに、冷間圧延後の酸素濃度について数値限定した理由を説明する。
【0018】
(Cuの含有量:0.10〜0.35質量%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれるCuは、材料強度に寄与する元素である。このCuの含有量が0.10質量%未満では充分な材料強度が得られず、熱処理後の耐力と成形したボトル缶のネジ座屈強度が不足する。一方、Cuの含有量が0.35質量%を超えると材料強度が高くなり過ぎて、熱処理後の耐力が高くなり、しごき成形性が低下する。従って、本発明ではCuの含有量を0.10〜0.35質量%とする。
【0019】
(Mgの含有量:0.80〜1.60質量%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれるMgは、前記したCuと同じく材料強度に寄与するとともに、缶胴成形後の表面品質に影響を及ぼす元素である。このMgの含有量が0.80質量%未満では所要の材料強度が得られず、熱処理後の耐力と成形したボトル缶のネジ座屈強度が不足する。一方、Mgの含有量が1.60質量%を超えると加工硬化が大きくなって、熱処理後の耐力が高くなり、しごき成形性が低下する。加えて、均質化熱処理時に酸化皮膜が成長しやすくなり、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質が悪化する。従って、本発明ではMgの含有量を0.80〜1.60質量%とする。
【0020】
(Mnの含有量:0.80〜1.30質量%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれるMnは、前記したMgと同じく材料強度に寄与する元素である。このMnの含有量が0.80質量%未満では、充分な材料強度が得られず、熱処理後の耐力と成形したボトル缶のネジ座屈強度が不足する。一方、このMnの含有量が1.30質量%を超えると、材料強度が過度に高まり、胴切れ(しごき成形時の破断)に繋がる。従って、本発明ではMnの含有量を0.80〜1.30質量%とする。
【0021】
(Feの含有量:0.35〜0.70質量%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれるFeは、熱間圧延時の再結晶挙動に影響を及ぼす。このFeの含有量が0.35質量%未満では、熱間圧延工程における再結晶が充分に生じなくなり、粗大な結晶粒の混在、材料強度の上昇が生じて、しごき成形性が低下する。一方、Feの含有量が0.70質量%を超えると、0°−180°耳が高くなり、フランジ部の寸法不良(フランジ部の欠けなど)を生じやすくなる。従って、本発明ではFeの含有量を0.35〜0.70質量%とする。
【0022】
ここで、耳は、アルミニウム合金板でカッピング成形を行って得られた円筒容器の側面に形成された山と谷である。そして、耳率は、次の式を用いて算出される。
耳率(%)={(円筒容器の底面(圧延方向)を基準とした、45°方向4箇所の高さの平均値−円筒容器の底面を基準とした、0°、90°方向4箇所の高さの平均値)/(円筒容器の底面を基準とした0°、45°、90°方向8箇所の高さの平均値)}×100
なお、前記「0°耳」とは、圧延方向に対して0°の方向に形成された山をいう。
【0023】
(Siの含有量:0.10〜0.35質量%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に含まれるSiは、前記したFeと同じく熱間圧延時の再結晶挙動に影響を及ぼす。このSiの含有量が0.10質量%未満では、0°−180°耳が高くなりフランジ部の寸法不良を生じやすくなる。一方、Siの含有量が0.35質量%を超えると、熱間圧延工程における再結晶が充分に生じなくなり、粗大な結晶粒の混在、材料強度の上昇が生じて、しごき成形性が低下する。従って、本発明ではSiの含有量を0.10〜0.35質量%とする。
【0024】
(不可避的不純物)
なお、本発明の樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、不可避的不純物として、Crが0.1質量%以下、Znが0.5質量%以下、Tiが0.3質量%以下、Zrが0.5質量%以下、Bが0.3質量%以下含有されても、本発明の効果が妨げられるものではなく、このような不可避的不純物の含有量は許容される。
【0025】
(Ti:0.3質量%以下)
前記不可避的不純物において、TiおよびBは、鋳塊組織を微細化する作用を有する。通常、Tiを添加する場合には、Ti:B=5:1の割合とした鋳塊微細化剤(TiB)を、ワッフル状あるいはロッド状の形態で溶湯(溶解炉、介在物フィルター、脱ガス装置、溶湯流量制御装置のいずれかに投入された、スラブ凝固前の溶湯)に添加するため、含有割合に応じたBも必然的に添加されることとなる。Tiの添加量で0.005質量%以上の添加により、鋳塊の結晶粒が微細化され、アルミニウム合金板の成形性が向上する。このため、Tiの含有量を0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.015質量%以上とするのが好ましい。一方、Tiの含有量で0.3質量%を超えた含有量となると、粗大な晶出物が形成され、DI成形時に亀裂が発生するので、アルミニウム合金板の成形性が低下する。このため、Tiの含有量は0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下とする。
【0026】
(Zn:0.5質量%以下)
本発明の樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の特性に影響のない範囲内であれば、ブレージングシート用アルミニウム材の屑を配合(添加)しても良い。この場合は、前記Siの規定範囲の上限、或いは、前記不可避不純物として記載したZnの含有が許容される範囲の上限(0.5質量%)のいずれかを目安に添加しても良い。
【0027】
(270℃、20秒間の熱処理を施した後の耐力:225〜255N/mm
前記アルミニウム合金板に樹脂被覆を施した後に、絞り、しごき成形を施す際の成形性については、前記アルミニウム合金板に対して樹脂被覆を施す際の熱処理に相当する270℃で、20秒間の条件の熱処理を施した後の耐力が重要な指標となる。
【0028】
前記アルミニウム合金板に270℃で20秒間の熱処理を施した後の耐力が225N/mm未満では、充分な材料強度が得られず、成形したボトル缶のネジ座屈強度が不足する。一方、前記耐力が255N/mmを超えると、アルミ缶の成形性、特にしごき成形性が低下し、破断の発生により生産性が阻害される。従って、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板では、270℃で、20秒間の熱処理を施した後の耐力を225〜255N/mmとすることが好ましい。
【0029】
(耳率:5%以下)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の耳率は、フランジ部の寸法に影響を与える。耳率が5%以上であると、フランジ部の寸法不良が著しく生じやすくなる。従って、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板では、耳率を5%以下とすることが好ましい。
【0030】
(酸素濃度が10.0質量%以上の領域:板表面から0.08μm以内)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の表面の酸素濃度は、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質に影響を与える。この酸素濃度は、冷間圧延後のアルミニウム合金板について、例えば、高周波グロー放電発光表面分析装置により測定する。
この酸素濃度について図4(a)(b)を参照して説明すると、アルミニウム合金板の酸素濃度について、10.0質量%以上である領域が板厚方向に板表面から0.08μm以内の場合は(例えば、(a)太線の場合)、缶胴成形後のアルミ缶の表面に目立った不具合は存在しない。一方、酸素濃度が10.0質量%以上となる領域が板表面から0.08μmを超える場合は(例えば、(a)細線の場合)、缶胴成形後にフローマーク状の表面不具合が目立つようになる。従って、本発明では酸素濃度について、10.0質量%以上の領域が板表面から0.08μm以内であることとする。
【0031】
次に、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
[樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法]
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、本発明で合金組成を規制したAl−Mn系合金を用いて製造される。つまり、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されたアルミニウム合金を用いて、DC鋳造処理(Direct−chill casting)により鋳塊を製造する(溶解・鋳造工程)。そして、このアルミニウム合金の鋳塊を480〜540℃で10時間以上均質化熱処理し(均質化熱処理工程)、その後、この鋳塊を熱間圧延して巻き取り温度320℃以上で巻き取り、アルミニウム合金板を製造する(熱間圧延工程)。続いて、このアルミニウム合金板を圧延率80〜90%で冷間圧延して所望の板厚とする(冷間圧延工程)。このような製造方法とすることにより、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を製造することができる。
【0032】
次に、当該製造方法において規制した各条件について説明する。なお、アルミニウム合金の成分の数値限定の理由については、前記した樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の合金成分と同一であるので省略する。
【0033】
(均質化熱処理温度:480〜540℃)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法では、前記アルミニウム合金板に施す均質化熱処理の温度は、480℃未満であると、後の熱間圧延工程で再結晶が充分に生じなくなり、粗大な結晶粒の混在、材料強度の上昇が生じて、しごき成形性が低下する。また、耳率が高くなり、フランジ部の寸法不良を生じやすくなる。一方、540℃を超えると、均質化熱処理時に酸化皮膜が厚く形成され、缶胴成形後のアルミ缶の表面品質が低下する。従って、本発明では、均質化熱処理の温度を480〜540℃とする。
なお、前記アルミニウム合金板の均質化熱処理は、通常600℃前後で行われる。600℃近い高温で均質化熱処理を行うことによって、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物が適度に形成される。樹脂被覆を施さずにDI成形するタイプのアルミ缶の場合、前記金属間化合物は、DI成形の際にしごきダイスと素材との間に堆積(ビルドアップ)したアルミを除去する役割を担う。その結果、堆積したアルミが原因で発生する缶胴表面の疵(焼付き)や缶胴割れを抑制し、しごき成形性が向上する。
均質化熱処理温度が本発明で規制するような低い温度(480〜540℃)だと、前記金属間化合物は十分に形成されないが、樹脂被覆を施した後にDI成形するタイプのアルミ缶については、しごきダイスと素材が直接接触しないため、前記金属間化合物の形成は必須ではない。よって、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板では、前記の通り缶胴成形後の表面品質を向上させるため、均質化熱処理の温度を前記のような温度範囲(480〜540℃)とした。
【0034】
(均質化熱処理時間:10時間以上)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法では、前記アルミニウム合金板に施す均質化熱処理の時間は、10時間未満であると、再結晶を阻害する微細析出物が多く分布し、熱間圧延時に再結晶が充分に生じなくなる。その結果、粗大な結晶粒の混在、材料強度の上昇が生じて、しごき成形性が低下する。また、耳率が高くなり、フランジ部の寸法不良を生じやすくなる。従って、本発明では、均質化熱処理の時間を10時間以上とする。
【0035】
(熱間圧延工程の巻き取り温度:320℃以上)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法では、前記アルミニウム合金板に施す熱間圧延工程の巻き取り温度は、ホットコイルの再結晶状態を左右し、なおかつ材料強度にも影響を与える重要な要素である。
【0036】
すなわち、この熱間圧延処理の巻き取り温度が320℃未満であると前記アルミニウム合金板における再結晶が充分に生じなくなり、その結果、粗大な結晶粒の混在、材料強度の上昇を招き、しごき成形性が低下する。また、耳率が高くなってフランジ部の寸法不良を生じやすくなる。従って、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法における熱間圧延の巻き取り温度は320℃以上とすることが必要である。
【0037】
(冷間加工の圧延率:80〜90%)
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法に含まれる冷間加工の圧延率は、材料強度及び成形性に寄与する因子である。すなわち、この冷間加工の圧延率が80%より低いと充分な材料強度が得られず、熱処理後の耐力と成形したボトル缶のネジ座屈強度が不足する。更に、0°−180°耳が高くなり、フランジ部の寸法不良を生じやすくなる。また、この冷間加工の圧延率が90%を超えると、耐力が高くなるとともに耳率が過度に高くなり、フランジ部の寸法不良を生じやすくなる。従って、本発明では、冷間加工の圧延率が80〜90%であることが必要である。
【0038】
以上説明した本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、図1に示すような従来の一例の3ピースボトル缶や、図2に示すような従来の一例のDI缶等に好適であるとともに、従来の種々のアルミニウム合金のラミネート材にも好適な素材である。
【0039】
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を、図1に示すような従来の一般的な3ピースボトル缶1に適用する場合には、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に対してカップ成形やDI成形等の缶体成形を施して有底円筒状の缶(胴体部2)を形成する。続いて、この有底円筒状の缶の底部にネッキング加工を施してネック部3を形成する。
【0040】
なお、図1に示す3ピースボトル缶1のネック部3には、口部4が開口されたのちキャップ取り付け用のネジ切り加工が施されてネジ部が設けられる。またこれに対向する開口部(図示せず)には、ネック加工とフランジ加工を施した後、シーマによって別途成形した底蓋5が巻き締められ、3ピースボトル缶1を製造することができる。
【0041】
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を、図2に示すような従来の一般的なDI缶11に適用する場合には、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に対してカップ成形やDI成形等の缶体成形を施して胴体部12を形成する。続いて、この胴体部12にネッキング加工を施してネック部13を形成し、引き続いてこのネック部13のエンド部に開口部14を形成するとともにこの開口部14の口径が胴体部12の径に比べて小さくなるように加工することで、DI缶11を製造することができる。
【0042】
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を、従来の一般的なラミネート材に適用する場合には、従来公知のラミネート材に適用されている各種の樹脂フィルムを、接着剤等を介して貼り合わせた後、その樹脂フィルムの融点以上で熱処理が施される工程等を経て、ラミネート材が作製される。
【実施例】
【0043】
次に、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
【0044】
まず、表1に示すような合金組成を備えたアルミニウム合金を溶解・鋳造し、この鋳塊に、表1に示す均質化熱処理温度及び時間で均質化熱処理を施した。続いて、熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延を順次行って熱間圧延板を作製した後、表1に示すような巻き取り温度でこの熱間圧延板を巻き取って、ホットコイルとした。そして、このホットコイルに、表1に示す加工率の冷間圧延を施して、厚さ0.32mmの樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板とした。
【0045】
【表1】

【0046】
また、前記樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に対し、高周波グロー放電発光表面分析装置(堀場製作所製 JY5000RF)を用いて、板表面の酸素濃度の測定を行い、得られた測定結果から、酸素濃度が10.0質量%となる深さを求めた。
【0047】
さらに、前記樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に、硝石炉(ソルトバス)を用いて、樹脂被覆の際の熱処理とほぼ同じ熱履歴である270℃、20秒間の熱処理を施した後に、JIS Z 2241に準じて耐力(0.2%耐力)を測定して得られた測定結果を、熱処理後の耐力とした。
【0048】
そして、前記樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を用いて、φ66.7mmのブランクを作製し、このブランクをφ40mmのポンチで絞ってカップを作製した。このカップを用いて、後記耳率の測定方法に準じて測定を行い、得られた測定結果を、耳率とした。
耳率(%)={(円筒容器の底面(圧延方向)を基準とした、45°方向4箇所の高さの平均値−円筒容器の底面を基準とした、0°、90°方向4箇所の高さの平均値)/(円筒容器の底面を基準とした0°、45°、90°方向8箇所の高さの平均値)}×100
【0049】
実施例1〜6は、いずれも本発明で規制した条件を満足するものである。
【0050】
比較例1はCuの含有量が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の下限値未満のものである。比較例2はCuの含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0051】
比較例3はMgの含有量が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の下限値未満のものである。比較例4はMgの含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、冷間圧延後の酸素濃度が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0052】
比較例5はMnの含有量が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の下限値未満のものである。比較例6はMnの含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0053】
比較例7はFeの含有量が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。比較例8はFeの含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0054】
比較例9はSiの含有量が本発明で数値限定した範囲の下限値未満のものである。比較例10はSiの含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えたものであるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0055】
比較例11は均質化熱処理の温度が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、更に、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。比較例12は、均質化熱処理の温度が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えるとともに、冷間圧延後の酸素濃度が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0056】
比較例13は均質化熱処理の時間が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0057】
比較例14は前記熱間圧延における巻き取り温度が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0058】
比較例15は、冷間圧延工程における冷間圧延率が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の下限値未満のものである。比較例16は、冷間圧延率が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えるとともに、熱処理後の耐力が数値限定した範囲の上限値を超えたものであり、さらに、耳率が数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
【0059】
このようにして製造された本発明に係る実施例1〜6及び本発明で規制した条件を満足しない比較例1〜16の樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に、アルカリ洗浄及びリン酸クロメート処理を施し、その後厚さ16μmの樹脂フィルムを両面に被覆し、さらに、270℃で20秒間の熱処理を施して、ラミネート材とした。以下、図3を参照して、前記ラミネート材について行った評価方法について説明する。図3は、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板について評価を行う際の、当該樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆したラミネート材からの3ピースボトル缶の作製方法を模式的に示す模式図である。
【0060】
ラミネート材21を用いてカップ成形を行い、カップ22を作製した。一般に、アルミニウム合金板のラミネート材を、従来の通常のDI成形のように開口部までしごいた場合、この上端部の先端部では樹脂フィルムが剥離したり、ダイスにビルドアップしたりするなど、加工上の不具合が生じ易くなる。このため、本発明では、前記アルミニウム合金板から製造されたラミネート材21を従来の通常のDI成形のように上端部の先端部までしごかずに、フランジ部22aを適宜残して成形する。
【0061】
ラミネート材の成形評価では、カップ成形ののち白色のワセリンを塗布して絞り成形及びしごき成形(DI成形)を施し、得られたアルミ缶の底部にネッキング加工及びネジ切り加工を施した。DI成形では被覆した樹脂フィルムの剥離を抑えるべくフランジ部22aを残した成形を行った。そして、得られたアルミ缶にネック加工とフランジ加工とを施した後、別途成形した底蓋5を巻き締めし、3ピースボトル缶1を作製した。
【0062】
(しごき成形性)
しごき成形性は、連続成形で10000缶製缶したときに破断(胴切れ)が発生した回数が、0〜3回のものを「○(良好)」とし、4回以上のものを「×(不良)」とした。
【0063】
(フランジ部寸法)
フランジ部寸法は、しごき成形時に上端部に残しているフランジ部22aの形が真円に近いものを「○(良好)」とし、四角形やフランジ部22aが欠けているものを「×(不良)」とした。
【0064】
(表面品質)
トリミング後の缶において、板の圧延方向に対し90°方向の上端部を目視観察し、上端部から20mmの範囲におけるフローマーク状の黒い筋が3本以下のものを「○(良好)」とし、4本以上のものを「×(不良)」とした。
【0065】
(ネジ座屈強度)
成形した3ピースボトル缶1に軸方向の圧縮荷重を負荷し、ネジ部が座屈したときの荷重を5サンプルについて測定して、平均値をネジ座屈強度とした。なお、このネジ座屈強度は、1500N以上であれば実用上問題がないことから、1500N以上のものを「○良好」とし、1500N未満のものを「×(不良)」とした。
以上の評価結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示すように、本発明で規制した条件を全て満たす実施例(実施例1〜6)では、前記評価項目の全て(しごき成形性、フランジ部寸法、表面品質、ネジ座屈強度)を良好に満足するという結果となった。一方、本発明で規制した条件を満足しない比較例(比較例1〜16)では、前記評価項目の全てを良好に満足するものは得られなかった。
【0068】
比較例1はネジ座屈強度が実用上問題のない水準に達しておらず、比較例2はしごき成形性が「×(不良)」であった。また、比較例3はネジ座屈強度が実用上問題のない水準に達しておらず、比較例4はしごき成形性が「×(不良)」であるとともに表面品質が「×(不良)」であった。
【0069】
比較例5はネジ座屈強度が実用上問題のない水準に達しておらず、比較例6はしごき成形性が「×(不良)」であった。そして、比較例7はしごき成形性及びフランジ部寸法が「×(不良)」であり、比較例8はフランジ部寸法が「×(不良)」であった。
【0070】
比較例9はフランジ部寸法が「×(不良)」であり、比較例10はしごき成形性及びフランジ部寸法が「×(不良)」であった。
【0071】
比較例11はしごき成形性及びフランジ部寸法が「×(不良)」であり、比較例12は表面品質が「×(不良)」であった。また、比較例13及び比較例14はしごき成形性及びフランジ部寸法が「×(不良)」であった。
【0072】
比較例15はフランジ部寸法が「×(不良)」であり、比較例16はしごき成形性及びフランジ部寸法が「×(不良)」であった。
【0073】
なお、比較例12のアルミニウム合金板は、特許文献に記載された従来のアルミニウム合金板を想定したものである。本実施例で示したように、この従来のアルミニウム合金板は、表面品質について一定の水準を満たさないものである。従って、本実施例によって、本発明に係るアルミニウム合金板が従来のアルミニウム合金板と比較して、優れているのが客観的に明らかとなった。
【符号の説明】
【0074】
1 3ピースボトル缶
2 胴体部
3 ネック部
4 口部
5 底蓋
11 DI缶
12 胴体部
13 ネック部
14 開口部
21 ラミネート材
22 カップ
22a フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるとともに、270℃で20秒間の熱処理を施した後の耐力が225〜255N/mmであり、かつ、耳率が5%以下であるアルミニウム合金板であって、
冷間圧延後の当該アルミニウム合金板の酸素濃度について、10.0質量%以上である領域が板表面から板厚方向に0.08μm以内であることを特徴とする樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板。
【請求項2】
Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.60質量%、Mnを0.80〜1.30質量%、Feを0.35〜0.70質量%、Siを0.10〜0.35質量%それぞれ含有し、残部がAl及び不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金を溶解・鋳造して鋳塊を作製する溶解・鋳造工程と、
前記溶解・鋳造工程において作製されたアルミニウム合金の前記鋳塊に480〜540℃で10時間以上、均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、
前記均質化熱処理工程において均質化熱処理が施されたアルミニウム合金の前記鋳塊を熱間圧延し、巻き取り温度を320℃以上にして巻き取る熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程において熱間圧延が施されたアルミニウム合金板に、冷間加工の圧延率を80〜90%に設定して冷間圧延する冷間圧延工程と、
を含むことを特徴とする樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−208258(P2011−208258A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79169(P2010−79169)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)