樹脂製収納容器
【課題】減圧吸収パネルの面積を縮小して外観を向上させ、しかも減圧に対する強度が強く、内容物を冷却等して内部圧力が低下した場合でも、容器形状を保持できる収納容器を提供すること。
【解決手段】樹脂製収納容器において、肩部あるいは底部の横断面形状を正九角形に形成し、肩部あるいは底部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形となる三箇所の角と、横断面形状を六角形に形成した胴部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形を形成する三箇所に位置する角とを、容器の中心線と平行に上下方向に一列に配置して成形した。
これにより、内容物の温度低下などにより容器内の圧力が低下すると、容器の胴部の内部に、胴部が上下方向に一列に配置された角を頂点とする正三角柱状に変形される方向に作用する応力が生じる。すると容器はいずれの方向からの力に対しても強度が高くなり、形状が安定するとともに、座屈に対する高い抗力を有する。
【解決手段】樹脂製収納容器において、肩部あるいは底部の横断面形状を正九角形に形成し、肩部あるいは底部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形となる三箇所の角と、横断面形状を六角形に形成した胴部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形を形成する三箇所に位置する角とを、容器の中心線と平行に上下方向に一列に配置して成形した。
これにより、内容物の温度低下などにより容器内の圧力が低下すると、容器の胴部の内部に、胴部が上下方向に一列に配置された角を頂点とする正三角柱状に変形される方向に作用する応力が生じる。すると容器はいずれの方向からの力に対しても強度が高くなり、形状が安定するとともに、座屈に対する高い抗力を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、容器内部の圧力低下に対する強度と高い形状の保持性とを備えた樹脂製収納容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
飲料水などを収納する筒状の樹脂製容器、例えばＰＥＴボトルなどでは、従来容器側面に減圧吸収パネルなどを設け、容器内に収納された内容物を冷却して容器内の圧力が低下した場合などに、かかる減圧吸収パネルが容器の内側に変位し、容器内部の減圧により容器全体が変形してしまうことを防止していた。
【０００３】
一方近年、容器デザイン上の観点から、上記減圧吸収パネルの面積を縮小させる要望がある。
【０００４】
また、減圧吸収部を容器の中心軸に対して斜め方向に形成した例も知られている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００３−６３５１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら減圧吸収パネルの面積を縮小させると、容器の減圧吸収能力が低下する。すると冷却時に生じる内容物の減容に対応できなくなり、図６に示すように、減圧吸収パネルを側面にそれぞれ備えた八角柱状の容器５０が、図中の二点鎖線で示すように表裏からへこみ断面形状が楕円状に変形したり、図７に示すように、六角柱状の容器５２が、図中の二点鎖線に示すように不規則な断面形状に変形してしまうことがあった。
【０００７】
このような変形が容器に生じると、容器外観を著しく低下させるのみでなく、楕円状に変形して厚みが薄くなった部分では強度が低下し、座屈を生じさせるなど、強度的な面や容器の取り扱い上において問題が生じる。このようにデザインの観点から単に減圧吸収パネルの設置面積を減少させると、内容物を冷却した時などに容器が容器として許容される範囲を超えて変形することが考えられる。
【０００８】
本発明は、減圧吸収パネルの設置面積を縮小してデザイン上の自由度を大きくし容器外観を向上させ、しかも容器内の圧力低下による変形に対して十分な強度を有し、形状を保持できる樹脂製収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、上記課題を解決するため、樹脂製収納容器を次のように構成した。
【００１０】
上部に設けられた口部と、該口部に連続した容器側壁と、容器側壁の下部に設けられた底部とからなる収納容器において、容器側壁を、上下に配置された少なくとも２つのパーツから形成し、各パーツは、容器側壁の中心線に垂直な断面で正３ｎ角形（ｎは２以上の整数。）の形状を有し、かつ隣接したパーツにおける整数ｎは、互いに異なり、かつ互いに素の関係を有している。
【００１１】
更に、少なくとも容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツにおいて、各々のパーツが有する正３ｎ角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角を、中心線と平行な線上に配置して樹脂製収納容器を構成した。
【００１２】
具体的には、樹脂製収納容器の容器側壁に周方向に形成されたリブをいくつか設け、容器側壁を２から４程度（４以上でもよい。）の複数のパーツに分割する。それぞれのパーツには異なる数の角部を設け、断面を正六角形、正九角形、正十二角形など、正三角形以外の３の倍数の角を有する角形に形成する。尚、各パーツは側壁に角部を有すればよく、側壁間を互いに平行にした角柱状でなくともよい。
【００１３】
ここでｎどおしが素の関係を有するとは、例えば２に対しては、３、５、７などの数となることである。
【００１４】
少なくとも容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツとは、パーツのうちの少なくとも一つのパーツが収納容器の肩部、すなわち口部から連続した傾斜部分か、底部に接していることであり、例えば容器側壁を４つのパーツから形成した場合に、容器側壁の最上部分のパーツか底部に接するパーツの少なくとも一方を含むことをいい、隣接したパーツが中央の２つのパーツのみではないということをいう。
【００１５】
また肩部とは、口部から連続して口部の側方に張り出した部分のみを指すのではなく、収納容器の側壁上部を含む意味でも用い、底部とは、収納容器の下面のみでなく収納容器の側壁の下部を含む意味でも用いるものとする。
【００１６】
更に角を中心軸と平行な線上に配置するとは、上下方向に正確に一直線上に配置させるのみではなく、圧力低下による収縮力が容器に生じたとき、後述するように一列に配置された角では角の周囲が容器内側に引き込まれ、角が配列に沿って直線状に突出する折れ線となり、それ以外の角では各角の位置が分散され折れ線が形成されないように配置してあることをいう。
【００１７】
これにより、内容物の冷却などにより容器内の圧力が低下して収納容器に容器側壁を内側に引き込むような力が作用すると、上記上下方向に一列に配置された三箇所の角では、容器側壁とともに肩部あるいは底部に接するパーツの角も容器内側に引き込もうとする。しかしながら肩部は口部に連続し、底部は径方向に平行な底板に連続しているので径方向に容易に移動しない。一方配置位置がばらばらで一列に配置されていない各パーツの角においては、角で受ける力が統一されず、個々に作用するので収納容器の内側に引き込まれ易く、平板状になり易くなっている。
【００１８】
したがって、収納容器に容器側壁を内側に収縮させる力が発生すると、上下方向に角を一列に配置してある箇所では容器側壁を収縮させる力が容器側壁から肩部まで、あるいは容器側壁から底部まで縦一列となって作用するので容易に容器内側に引き込まれることがなく、一方そのような縦一列に配置された角と角の間は、角が分散して配置してあるため内側に引き込まれ易く、縦一列に角が配置された三箇所を三本の柱とした正三角形柱が収納容器に形成されたと同様な応力が容器内部に作用し、収納容器の強度と形状の安定性をともに大きく向上できる。
【００１９】
このように収納容器の内部に作用する圧力が、容器側壁を正三角柱状にするように作用するので、容器はいずれの方向からの力に対しても強度が高くなり、形状が安定するとともに、座屈に対する高い抗力を有する。
【００２０】
収納容器内の圧力が更に低下すると、実際に容器側壁を内側に収縮させる力が働き、上下方向に角が一列に配置されている三箇所の角を柱とし、その柱と柱の間の部分が容器の内側に引き込まれて、各角を頂点とした三角柱状に収納容器が減圧変形するが、実際に収納容器がこのように変形することなく容器側壁がほとんど六角形状を保持した状態で内部圧力の作用により十分に、強度と形状安定性を得ることができる。
【００２１】
より具体的には、収納容器の肩部あるいは底部を正九角形の横断面形状を形成し、肩部あるいは底部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形となる三箇所の角と、横断面形状を六角形に形成した胴部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形を形成する三箇所に位置する角とを、容器の中心線と平行に上下方向に一列に配置して成形する。
【００２２】
殊に肩部と胴部と底部の角を上下方向に一列に配置した場合には、非常に強固に、しかも安定した形状が得られる。
【００２３】
樹脂製収納容器は、ＰＥＴ樹脂からなるボトルとした。
【発明の効果】
【００２４】
本発明の収納容器は、次の効果を有している。
【００２５】
減圧吸収パネルの面積を小さくし、デザイン上の自由度を向上させた樹脂製の収納容器を、ブロー成形等により容易に成形できる。
【００２６】
内容物を冷却して容器内の圧力が低下した時などに、少なくとも容器側壁と肩部あるいは容器側壁と底部にこれらを連続させて正三角柱状に収縮させるような方向の応力が働き、容器側壁の断面形状が楕円形など扁平な形や不規則な形に変形した状態と比較して、形状の安定性や座屈などに対する強度を大幅に向上できる。
【００２７】
収納容器は、従来の収納容器と同様の製法で製造でき、コストを上昇させることなく製造できる。また容器側壁や容器側壁とその上下の部分の角を所定の配置、形状にするだけであるので、容器外観の自由度に大きな制約を加えることがない。
【００２８】
樹脂製収納容器を、ＰＥＴ樹脂から形成するとより好ましい結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
本発明の収納容器の一実施形態について説明する。
【００３０】
図１に収納容器の側面を示す。
【００３１】
収納容器２は、ブロー成形により形成されたＰＥＴ樹脂製容器であり、上部に口部４を備え、口部４の下部に肩部６を有し、肩部６の下部に胴部８、そして胴部８の下部に底部１０を有し、肩部６の一部と、胴部８と、底部１０の一部が収納容器２の容器側壁３を形成している。
【００３２】
口部４の外周面には雄ねじ１２が形成してあり、雄ねじ１２に蓋体３０が密に螺合する。
【００３３】
肩部６は、側面に三角状の凹部２５を九箇所に均等に備え、図２に示すように周囲九箇所に設けられた角７により正九角形に形成してある。肩部６の下部には、収納容器２の直径方向に窪んだリブ２２が形成してある。リブ２２は、収納容器２の中心線に垂直な面で断面した形状（以下、「横断面」とする。）が円形で、リブ２２を介して肩部６と胴部８が連続している。
【００３４】
胴部８は、横断面が図３に示すように周囲六箇所に角９を有する正六角形であり、胴部８の側面のそれぞれに減圧吸収パネル２７が形成してある。減圧吸収パネル２７は、胴部８の側面に縁取られた四角い凹凸部で、収納容器２の内圧が低下すると圧力の低下に応じて収納容器２の内外に中央部分が変位する。
【００３５】
胴部８の下部には、リブ２２と同様直径方向に窪んだ、横断面が円形のリブ２４が形成してあり、リブ２４を介して胴部８と底部１０が連続している。
【００３６】
底部１０は図１に示すように、側面に三角状の凹部２９を均等に備え、周囲九箇所に設けられた角１１により横断面が正九角形に形成してある。
【００３７】
肩部６は、角７により正九角形に形成してあるので、周囲に設けられた９個の角７の中から角と角とを結んだ線が正三角形を形成する３つの角７を選択することができる。選択した角を角７ａとする。同様に底部１０も横断面が正九角形であるので、上記選択された肩部６の３つの角７ａの直下に位置させて、角と角を結んだ線が正三角形を形成する３つの角１１を選択できる。その選択した角を角１１ａとする。
【００３８】
更に収納容器２は、これら角７ａと角１１ａを、胴部８の６つの角９の中から角と角とを結んだ線が正三角形となる選択された３つの角９ａに対して縦に一列に揃うように配置してある。これにより収納容器２は、肩部６の正三角形を形成する３つの角７ａから垂下した３本の線に沿って、胴部８の３つの角９ａと、底部１０の３つの角１１ａがほぼ一列に配置されている。
【００３９】
次に、収納容器２における特徴点を説明する。
【００４０】
収納容器２は、ブロー成形により上記形状に形成される。すなわち、肩部６と胴部８と底部１０を有し、かつそれぞれの正三角形に位置する３つの角を縦方向に一列に揃えた形状である。このように成形した収納容器２の内部に内容物を充填し蓋体３０を口部４に締結し、内部を密閉する。
【００４１】
内容液を例えば冷却し、収納容器２の内部圧力が低下すると、吸収パネル２７が収納容器２の内側に移動し、その凹みにより内部圧力の低下に対応する。そしてそれと同時に、胴部８には胴部８自体を収納容器２の内側に引き込むような力が作用する。
【００４２】
すると、肩部６に正三角形を形成する３つの角７ａは、その直下に胴部８の角９ａが位置し、更に底部１０の角１１ａがその直下に位置しているため、胴部８を収納容器２の内側に引き込もうとする力が収納容器２に作用すると、図５に示すように角９ａに隣接する両側が収納容器２の内側に引き込まれ、角９ａを逆に収納容器２の外側に突き出すような応力がそれぞれの角９ａに発生する。
【００４３】
一方角７ｂ、角９ｂ、角１１ｂでは、胴部８を収納容器２の内側に引き込む力が作用すると、角７ｂ、角９ｂ、角１１ｂは縦方向に一列に揃っていないためそれぞれ収納容器２の内側に容易に引き込まれ、平板状になるように応力が作用する。
【００４４】
このような作用により、内部圧力が低下した収納容器２は、上記選択された３つの角７ａ、角９ａ、角１１ａを頂点とした断面正三角形状の三角柱状（図５の二点鎖線で示す。）に変形される方向に収縮され、不定形に変形されることがない。しかも減圧により三角柱状に収縮された収納容器２は、縦方向からの押圧力に対しても、胴部８の側方からの押圧力に対しても強く、たとえ胴部８の断面がほぼ六角形状であってもその形状を保持し、座屈されたりすることがない。
【００４５】
尚上記実施例として収納容器２は、肩部６と胴部８と底部１０の３つのパーツにて形成したが、本発明では各パーツの数またはそれらの形状等は上記例に限るものではない。また本発明は、ＰＥＴ樹脂からなる容器に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明にかかる収納容器の一実施形態を示す正面図である。
【図２】収納容器の平面図である。
【図３】収納容器のＡ−Ａ線断面図である。
【図４】図１の収納容器を異なる角度から示した図である。
【図５】収納容器の減圧時の応力の状態を示す説明図である。
【図６】従来の容器を示す説明図である。
【図７】従来の容器を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４７】
２ 収納容器
３ 容器側壁
４ 口部
６ 肩部
７、９、１１ 角
８ 胴部
１０ 底部
１２ 雄ねじ
２２、２４ リブ
２５ 凹部
２７ 減圧吸収パネル
３０ 蓋体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、容器内部の圧力低下に対する強度と高い形状の保持性とを備えた樹脂製収納容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
飲料水などを収納する筒状の樹脂製容器、例えばＰＥＴボトルなどでは、従来容器側面に減圧吸収パネルなどを設け、容器内に収納された内容物を冷却して容器内の圧力が低下した場合などに、かかる減圧吸収パネルが容器の内側に変位し、容器内部の減圧により容器全体が変形してしまうことを防止していた。
【０００３】
一方近年、容器デザイン上の観点から、上記減圧吸収パネルの面積を縮小させる要望がある。
【０００４】
また、減圧吸収部を容器の中心軸に対して斜め方向に形成した例も知られている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００３−６３５１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら減圧吸収パネルの面積を縮小させると、容器の減圧吸収能力が低下する。すると冷却時に生じる内容物の減容に対応できなくなり、図６に示すように、減圧吸収パネルを側面にそれぞれ備えた八角柱状の容器５０が、図中の二点鎖線で示すように表裏からへこみ断面形状が楕円状に変形したり、図７に示すように、六角柱状の容器５２が、図中の二点鎖線に示すように不規則な断面形状に変形してしまうことがあった。
【０００７】
このような変形が容器に生じると、容器外観を著しく低下させるのみでなく、楕円状に変形して厚みが薄くなった部分では強度が低下し、座屈を生じさせるなど、強度的な面や容器の取り扱い上において問題が生じる。このようにデザインの観点から単に減圧吸収パネルの設置面積を減少させると、内容物を冷却した時などに容器が容器として許容される範囲を超えて変形することが考えられる。
【０００８】
本発明は、減圧吸収パネルの設置面積を縮小してデザイン上の自由度を大きくし容器外観を向上させ、しかも容器内の圧力低下による変形に対して十分な強度を有し、形状を保持できる樹脂製収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、上記課題を解決するため、樹脂製収納容器を次のように構成した。
【００１０】
上部に設けられた口部と、該口部に連続した容器側壁と、容器側壁の下部に設けられた底部とからなる収納容器において、容器側壁を、上下に配置された少なくとも２つのパーツから形成し、各パーツは、容器側壁の中心線に垂直な断面で正３ｎ角形（ｎは２以上の整数。）の形状を有し、かつ隣接したパーツにおける整数ｎは、互いに異なり、かつ互いに素の関係を有している。
【００１１】
更に、少なくとも容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツにおいて、各々のパーツが有する正３ｎ角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角を、中心線と平行な線上に配置して樹脂製収納容器を構成した。
【００１２】
具体的には、樹脂製収納容器の容器側壁に周方向に形成されたリブをいくつか設け、容器側壁を２から４程度（４以上でもよい。）の複数のパーツに分割する。それぞれのパーツには異なる数の角部を設け、断面を正六角形、正九角形、正十二角形など、正三角形以外の３の倍数の角を有する角形に形成する。尚、各パーツは側壁に角部を有すればよく、側壁間を互いに平行にした角柱状でなくともよい。
【００１３】
ここでｎどおしが素の関係を有するとは、例えば２に対しては、３、５、７などの数となることである。
【００１４】
少なくとも容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツとは、パーツのうちの少なくとも一つのパーツが収納容器の肩部、すなわち口部から連続した傾斜部分か、底部に接していることであり、例えば容器側壁を４つのパーツから形成した場合に、容器側壁の最上部分のパーツか底部に接するパーツの少なくとも一方を含むことをいい、隣接したパーツが中央の２つのパーツのみではないということをいう。
【００１５】
また肩部とは、口部から連続して口部の側方に張り出した部分のみを指すのではなく、収納容器の側壁上部を含む意味でも用い、底部とは、収納容器の下面のみでなく収納容器の側壁の下部を含む意味でも用いるものとする。
【００１６】
更に角を中心軸と平行な線上に配置するとは、上下方向に正確に一直線上に配置させるのみではなく、圧力低下による収縮力が容器に生じたとき、後述するように一列に配置された角では角の周囲が容器内側に引き込まれ、角が配列に沿って直線状に突出する折れ線となり、それ以外の角では各角の位置が分散され折れ線が形成されないように配置してあることをいう。
【００１７】
これにより、内容物の冷却などにより容器内の圧力が低下して収納容器に容器側壁を内側に引き込むような力が作用すると、上記上下方向に一列に配置された三箇所の角では、容器側壁とともに肩部あるいは底部に接するパーツの角も容器内側に引き込もうとする。しかしながら肩部は口部に連続し、底部は径方向に平行な底板に連続しているので径方向に容易に移動しない。一方配置位置がばらばらで一列に配置されていない各パーツの角においては、角で受ける力が統一されず、個々に作用するので収納容器の内側に引き込まれ易く、平板状になり易くなっている。
【００１８】
したがって、収納容器に容器側壁を内側に収縮させる力が発生すると、上下方向に角を一列に配置してある箇所では容器側壁を収縮させる力が容器側壁から肩部まで、あるいは容器側壁から底部まで縦一列となって作用するので容易に容器内側に引き込まれることがなく、一方そのような縦一列に配置された角と角の間は、角が分散して配置してあるため内側に引き込まれ易く、縦一列に角が配置された三箇所を三本の柱とした正三角形柱が収納容器に形成されたと同様な応力が容器内部に作用し、収納容器の強度と形状の安定性をともに大きく向上できる。
【００１９】
このように収納容器の内部に作用する圧力が、容器側壁を正三角柱状にするように作用するので、容器はいずれの方向からの力に対しても強度が高くなり、形状が安定するとともに、座屈に対する高い抗力を有する。
【００２０】
収納容器内の圧力が更に低下すると、実際に容器側壁を内側に収縮させる力が働き、上下方向に角が一列に配置されている三箇所の角を柱とし、その柱と柱の間の部分が容器の内側に引き込まれて、各角を頂点とした三角柱状に収納容器が減圧変形するが、実際に収納容器がこのように変形することなく容器側壁がほとんど六角形状を保持した状態で内部圧力の作用により十分に、強度と形状安定性を得ることができる。
【００２１】
より具体的には、収納容器の肩部あるいは底部を正九角形の横断面形状を形成し、肩部あるいは底部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形となる三箇所の角と、横断面形状を六角形に形成した胴部が有する一部の角で、角と角を結んだ線が正三角形を形成する三箇所に位置する角とを、容器の中心線と平行に上下方向に一列に配置して成形する。
【００２２】
殊に肩部と胴部と底部の角を上下方向に一列に配置した場合には、非常に強固に、しかも安定した形状が得られる。
【００２３】
樹脂製収納容器は、ＰＥＴ樹脂からなるボトルとした。
【発明の効果】
【００２４】
本発明の収納容器は、次の効果を有している。
【００２５】
減圧吸収パネルの面積を小さくし、デザイン上の自由度を向上させた樹脂製の収納容器を、ブロー成形等により容易に成形できる。
【００２６】
内容物を冷却して容器内の圧力が低下した時などに、少なくとも容器側壁と肩部あるいは容器側壁と底部にこれらを連続させて正三角柱状に収縮させるような方向の応力が働き、容器側壁の断面形状が楕円形など扁平な形や不規則な形に変形した状態と比較して、形状の安定性や座屈などに対する強度を大幅に向上できる。
【００２７】
収納容器は、従来の収納容器と同様の製法で製造でき、コストを上昇させることなく製造できる。また容器側壁や容器側壁とその上下の部分の角を所定の配置、形状にするだけであるので、容器外観の自由度に大きな制約を加えることがない。
【００２８】
樹脂製収納容器を、ＰＥＴ樹脂から形成するとより好ましい結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
本発明の収納容器の一実施形態について説明する。
【００３０】
図１に収納容器の側面を示す。
【００３１】
収納容器２は、ブロー成形により形成されたＰＥＴ樹脂製容器であり、上部に口部４を備え、口部４の下部に肩部６を有し、肩部６の下部に胴部８、そして胴部８の下部に底部１０を有し、肩部６の一部と、胴部８と、底部１０の一部が収納容器２の容器側壁３を形成している。
【００３２】
口部４の外周面には雄ねじ１２が形成してあり、雄ねじ１２に蓋体３０が密に螺合する。
【００３３】
肩部６は、側面に三角状の凹部２５を九箇所に均等に備え、図２に示すように周囲九箇所に設けられた角７により正九角形に形成してある。肩部６の下部には、収納容器２の直径方向に窪んだリブ２２が形成してある。リブ２２は、収納容器２の中心線に垂直な面で断面した形状（以下、「横断面」とする。）が円形で、リブ２２を介して肩部６と胴部８が連続している。
【００３４】
胴部８は、横断面が図３に示すように周囲六箇所に角９を有する正六角形であり、胴部８の側面のそれぞれに減圧吸収パネル２７が形成してある。減圧吸収パネル２７は、胴部８の側面に縁取られた四角い凹凸部で、収納容器２の内圧が低下すると圧力の低下に応じて収納容器２の内外に中央部分が変位する。
【００３５】
胴部８の下部には、リブ２２と同様直径方向に窪んだ、横断面が円形のリブ２４が形成してあり、リブ２４を介して胴部８と底部１０が連続している。
【００３６】
底部１０は図１に示すように、側面に三角状の凹部２９を均等に備え、周囲九箇所に設けられた角１１により横断面が正九角形に形成してある。
【００３７】
肩部６は、角７により正九角形に形成してあるので、周囲に設けられた９個の角７の中から角と角とを結んだ線が正三角形を形成する３つの角７を選択することができる。選択した角を角７ａとする。同様に底部１０も横断面が正九角形であるので、上記選択された肩部６の３つの角７ａの直下に位置させて、角と角を結んだ線が正三角形を形成する３つの角１１を選択できる。その選択した角を角１１ａとする。
【００３８】
更に収納容器２は、これら角７ａと角１１ａを、胴部８の６つの角９の中から角と角とを結んだ線が正三角形となる選択された３つの角９ａに対して縦に一列に揃うように配置してある。これにより収納容器２は、肩部６の正三角形を形成する３つの角７ａから垂下した３本の線に沿って、胴部８の３つの角９ａと、底部１０の３つの角１１ａがほぼ一列に配置されている。
【００３９】
次に、収納容器２における特徴点を説明する。
【００４０】
収納容器２は、ブロー成形により上記形状に形成される。すなわち、肩部６と胴部８と底部１０を有し、かつそれぞれの正三角形に位置する３つの角を縦方向に一列に揃えた形状である。このように成形した収納容器２の内部に内容物を充填し蓋体３０を口部４に締結し、内部を密閉する。
【００４１】
内容液を例えば冷却し、収納容器２の内部圧力が低下すると、吸収パネル２７が収納容器２の内側に移動し、その凹みにより内部圧力の低下に対応する。そしてそれと同時に、胴部８には胴部８自体を収納容器２の内側に引き込むような力が作用する。
【００４２】
すると、肩部６に正三角形を形成する３つの角７ａは、その直下に胴部８の角９ａが位置し、更に底部１０の角１１ａがその直下に位置しているため、胴部８を収納容器２の内側に引き込もうとする力が収納容器２に作用すると、図５に示すように角９ａに隣接する両側が収納容器２の内側に引き込まれ、角９ａを逆に収納容器２の外側に突き出すような応力がそれぞれの角９ａに発生する。
【００４３】
一方角７ｂ、角９ｂ、角１１ｂでは、胴部８を収納容器２の内側に引き込む力が作用すると、角７ｂ、角９ｂ、角１１ｂは縦方向に一列に揃っていないためそれぞれ収納容器２の内側に容易に引き込まれ、平板状になるように応力が作用する。
【００４４】
このような作用により、内部圧力が低下した収納容器２は、上記選択された３つの角７ａ、角９ａ、角１１ａを頂点とした断面正三角形状の三角柱状（図５の二点鎖線で示す。）に変形される方向に収縮され、不定形に変形されることがない。しかも減圧により三角柱状に収縮された収納容器２は、縦方向からの押圧力に対しても、胴部８の側方からの押圧力に対しても強く、たとえ胴部８の断面がほぼ六角形状であってもその形状を保持し、座屈されたりすることがない。
【００４５】
尚上記実施例として収納容器２は、肩部６と胴部８と底部１０の３つのパーツにて形成したが、本発明では各パーツの数またはそれらの形状等は上記例に限るものではない。また本発明は、ＰＥＴ樹脂からなる容器に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明にかかる収納容器の一実施形態を示す正面図である。
【図２】収納容器の平面図である。
【図３】収納容器のＡ−Ａ線断面図である。
【図４】図１の収納容器を異なる角度から示した図である。
【図５】収納容器の減圧時の応力の状態を示す説明図である。
【図６】従来の容器を示す説明図である。
【図７】従来の容器を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４７】
２ 収納容器
３ 容器側壁
４ 口部
６ 肩部
７、９、１１ 角
８ 胴部
１０ 底部
１２ 雄ねじ
２２、２４ リブ
２５ 凹部
２７ 減圧吸収パネル
３０ 蓋体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上部に設けられた口部と、該口部に連続した容器側壁と、該容器側壁の下部に設けられた底部とからなる収納容器において、
前記容器側壁は、上下に配置された少なくとも２つのパーツからなり、
各パーツは、前記容器側壁の中心線に垂直な断面で正３ｎ角形（ｎは２以上の整数。）であり、
かつ隣接したパーツにおける前記整数ｎは、互いに異なり、かつ互いに素の関係を有し、
更に、少なくとも前記容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツにおいて、各々のパーツが有する正３ｎ角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角を、前記中心線と平行な線上に配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項２】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
前記肩部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角と、前記胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項３】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角と、底部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項４】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
前記肩部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角と、前記胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角と、底部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項５】
樹脂製収納容器は、ＰＥＴボトルである請求項１〜４のいずれか１項に記載の樹脂製収納容器。
【請求項１】
上部に設けられた口部と、該口部に連続した容器側壁と、該容器側壁の下部に設けられた底部とからなる収納容器において、
前記容器側壁は、上下に配置された少なくとも２つのパーツからなり、
各パーツは、前記容器側壁の中心線に垂直な断面で正３ｎ角形（ｎは２以上の整数。）であり、
かつ隣接したパーツにおける前記整数ｎは、互いに異なり、かつ互いに素の関係を有し、
更に、少なくとも前記容器側壁の上端もしくは下端に配置されたパーツを含む相互に隣接した複数のパーツにおいて、各々のパーツが有する正３ｎ角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角を、前記中心線と平行な線上に配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項２】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
前記肩部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角と、前記胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項３】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角と、底部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項４】
上部に開口した口部と、該口部に連続して設けられ、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する肩部と、該肩部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正六角形を有する胴部と、該胴部と連続し、縦の中心線に垂直な断面で正九角形を有する底部とからなり、
前記肩部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角と、前記胴部が有する正六角形の一部の角で、角と角を結ぶ線が正三角形を形成する三箇所の選択された角と、底部が有する正九角形の一部の角であり、角と角を結ぶ線が正三角形となる三箇所の選択された角とを、前記縦の中心線と平行な線上に各々配置したことを特徴とする樹脂製収納容器。
【請求項５】
樹脂製収納容器は、ＰＥＴボトルである請求項１〜４のいずれか１項に記載の樹脂製収納容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−３１５６９３（Ｐ２００６−３１５６９３Ａ）
【公開日】平成１８年１１月２４日（２００６．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１３７５００（Ｐ２００５−１３７５００）
【出願日】平成１７年５月１０日（２００５．５．１０）
【出願人】（０００００１９０４）サントリー株式会社 (319)
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１１月２４日（２００６．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年５月１０日（２００５．５．１０）
【出願人】（０００００１９０４）サントリー株式会社 (319)
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]