説明

橋の免震構造及び免震化工法

【課題】既存橋脚の水平免震化工事に伴う橋の通行規制を緩和可能にする。
【解決手段】既存橋脚20を水平免震化すべく前記橋脚20の下部に追設される橋1の免震構造であって、前記橋脚20の既設フーチング22の上部を覆って一体に形成される新設の下部フーチング30と、該下部フーチング30の上に、水平支承部材40を介して水平方向に相対移動可能に支持されるとともに、前記橋脚20と一体に形成される新設の上部フーチング50と、を備えている。前記水平支承部材40の水平支承面42に沿って前記橋脚20が切断されることにより、前記上部フーチング50に固定される前記橋脚20の部分が、前記下部フーチング30及び前記既設フーチング22から分離している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の橋を水平免震化するための免震構造及び免震化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、既存のビル等に対する耐震補強工事が順次進められている。この耐震対策は、河川に渡された橋や、道路や鉄道を跨ぐ高架橋等についても例外ではなく、例えば、橋脚に補強シート等を巻き付ける補強工事や基礎地盤の改質工事等が行われている。
【0003】
ここで、このような耐震補強を行うよりも水平免震化した方が、費用面で有利な場合がある。そして、この水平免震装置としては、例えば、橋脚とフーチングとの間に免震層を介装する構成が開示されており、この免震層によって、地盤の振動を橋脚に伝えないようにしている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−293157号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、このような免震層を既存の橋に追設するには、橋脚をジャッキ等により持ち上げる作業が必要となり、当該作業に伴って、対象の橋を長期に亘って通行止めしなければならない虞がある。
【0005】
しかしながら、このような長期の通行規制は周辺交通への影響も大きいことから、その実施に際しては、費用面で不利な場合でも、水平免震化に代えて上記の耐震補強工事を選択せざるを得なくなってしまう。
【0006】
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、既存橋脚の水平免震化工事に伴う橋の通行規制を緩和可能な橋の免震構造及び免震化工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
既存橋脚を水平免震化すべく前記橋脚の下部に追設される橋の免震構造であって、
前記橋脚の既設フーチングの上部を覆って一体に形成される新設の下部フーチングと、
該下部フーチングの上に、水平支承部材を介して水平方向に相対移動可能に支持されるとともに、前記橋脚と一体に形成される新設の上部フーチングと、を備え、
前記水平支承部材の水平支承面に沿って前記橋脚が切断されることにより、前記上部フーチングに固定される前記橋脚の部分が、前記下部フーチング及び前記既設フーチングから分離していることを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に示す発明によれば、既存橋脚の水平免震化工事に際し安全上の理由から橋の通行規制が必要となる作業は、前記橋脚を切断する作業のみである。つまり、これ以外の作業たる前記下部フーチングの新設作業や前記上部フーチングの新設作業並びに前記水平支承部材の新設作業は、何れも当該橋の強度低下を伴うような作業ではなく、もって、上述の下部フーチング等の新設作業中においては橋の強度も既存レベルに維持されて、橋としての通行上の安全性は十分に確保されている。また、これら下部フーチング等の新設作業は、何れも橋桁から遠方の下方において行われ、橋上の通行の妨げとなるものでもない。よって、前記橋脚を切断する作業以外の期間については橋の通行規制を行わずに済み、その結果、橋の通行規制を緩和することができる。
【0009】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の橋の免震構造であって、
所定レベル以上の地震動を受けるまでは、前記上部フーチングと前記下部フーチングとの前記相対移動を規制するとともに、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降は、前記相対移動を許容する橋脚移動規制部材を有することを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に示す発明によれば、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降は、前記上部フーチングと前記下部フーチングとの相対移動が許容される。つまり、前記地震動を受けた時点及びその後においては、前記上部フーチング側の既存橋脚は、前記下部フーチング側の地盤から相対移動可能に縁切りされる。よって、地盤の振動の前記橋脚への入力は抑制されて、前記橋脚の倒壊を有効に防ぐことができる。
【0011】
他方、前記所定レベル以上の地震動を受けるまでは、前記上部フーチングと前記下部フーチングとの相対移動が規制される。よって、日常的に生じ得る風や車輌等の通行等に起因して前記橋脚が地盤に対して水平振動することを、前記橋脚移動規制部材は抑制し、もって、前記所定レベル以上の地震動の無い平穏状態(平時)においては、橋は通行し易いものとなる。
【0012】
請求項3に示す発明は、請求項2に記載の橋の免震構造であって、
橋桁の桁長方向に互いに間隔を隔てて並ぶ一対の前記橋脚に、前記橋桁の両端部のうちの一端部及び他端部がそれぞれ支持されているとともに、前記一端部は、水平方向に相対移動可能に橋脚に支持されている一方、前記他端部は、水平方向に相対移動不能に橋脚に支持されており、
前記所定レベル以上の地震動を受けるまでは、前記一端部の前記相対移動を許容するとともに、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降は、前記一端部の相対移動を規制する橋桁移動規制部材を有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項3に示す発明によれば、前記所定レベル以上の地震動を受けた後に通行し易く、且つ、前記所定レベルの地震動を受けるまでにおいては、橋桁の破損を有効に防ぎ得る橋にすることができる。詳しくは以下のとおりである。
【0014】
前記橋桁の一端部を前記橋脚に対して水平方向に相対移動可能に支持した場合に、橋に大きな振動が入力されると、橋脚に対して前記橋桁の一端部が大きく相対移動する虞がある。すると、当該橋桁の一端部と、この一端部が前記橋脚において桁長方向に隣り合う別の橋桁との位置ずれが大きくなって、つまり、これら橋桁同士の間に大きな隙間が形成されて、結果、当該橋は通行し難くなる。また、最悪の場合には、橋脚から橋桁が脱落する虞もある。
【0015】
この点につき、前記橋桁移動規制部材によれば、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降には、前記橋桁移動規制部材が、前記橋脚と前記橋桁の一端部との相対移動を規制するので、桁長方向に隣り合う前記別の橋桁との位置ずれは抑制され、その結果、当該橋は、前記所定レベル以上の地震動を受けた後でも、通行し易いものとなる。また、橋脚からの橋桁の脱落も有効に防止される。
【0016】
ちなみに、前記所定レベル以上の地震動においては、前述したように、橋脚移動規制部材により橋脚の下部フーチングに対する相対移動が許容されていることから、当該橋は橋脚にて免震され、これにより橋桁への地盤の振動の入力も抑制されて、橋桁の破損は有効に防止される。但し、前記所定レベル未満の地震動にあっては、前記橋脚移動規制部材によって橋脚は下部フーチングに対する相対移動を規制されているので、橋脚を介して橋桁に地震動が入力される虞があり、更には、橋桁は、その両端部を前記一対の橋脚に支持されている。このため、地震による前記一対の橋脚同士の振動の位相が一致していない場合には、橋桁は前記一対の橋脚によって両端部を引っ張られたり圧縮されたりして、その結果、橋桁が破損する虞がある。
【0017】
この点につき、前記橋桁移動規制部材によれば、前記所定レベル以上の地震動を受けるまでは、橋脚と橋桁の一端部との相対移動を許容する。よって、前記所定レベル未満の地震動によって前記一対の橋脚に掛け渡された前記橋桁に引っ張り力又は圧縮力が作用しても、これらの力は、橋桁の一端部と橋脚との相対移動によって柔軟に吸収され、これにより、橋桁の破損は確実に防止されることになる。
【0018】
請求項4に示す発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の橋の免震構造であって、
前記水平支承部材は、前記上部フーチング側の滑り板の水平な下面と、前記下部フーチング側の滑り板の水平な上面とが当接しつつ滑ることにより、前記橋脚を前記水平方向に相対移動可能に支持する滑り支承部材であり、
前記下部フーチング側の滑り板は、前記橋脚の切断用のワイヤーソーを配置するための隙間を前記橋脚の周囲に形成すべく、前記橋脚から所定距離までの範囲には配置されないことを特徴とする。
【0019】
上記請求項4に示す発明によれば、前記橋脚の周囲に切断用のワイヤーソーを配置するための隙間が形成される。よって、前記水平支承部材として滑り支承部材を使用しながらも、前記水平支承部材の水平支承面としての前記上部フーチング側の滑り板の水平な下面に沿って、前記橋脚の切断を確実に実行することができる。
【0020】
また、滑り支承部材によれば、滑り板同士の当接面積を広く確保できるので、上部フーチング及び下部フーチングによって橋脚よりも上方の構造物を確実に支持可能となる。
【0021】
請求項5に示す発明は、橋の免震化工法であって、
既存橋脚の既設フーチングの上部を覆って、該既設フーチングと一体に新設の下部フーチングを形成する下部フーチング新設ステップと、
該下部フーチングの上に、水平支承部材を介して水平方向に相対移動可能に支持される新設の上部フーチングを、前記橋脚と一体に形成する上部フーチング新設ステップと、
前記橋脚を、前記水平支承部材の水平支承面に沿って切断することにより、前記上部フーチングに固定される前記橋脚の部分を、前記下部フーチング及び前記既設フーチングから分離する橋脚切断ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0022】
上記請求項5に示す発明によれば、安全上の理由から橋の通行規制が必要となる作業ステップは、前記橋脚切断ステップのみである。すなわち、これ以外のステップたる下部フーチング新設ステップや上部フーチング新設ステップにあっては、何れも当該橋の強度低下を伴うような作業ではなく、もって、これらの新設ステップにおいては、橋の強度も既存レベルに維持されて、橋としての通行上の安全性は確保されている。また、これら下部フーチング新設ステップや上部フーチング新設ステップの作業は、橋桁から遠方の下方において行われ、橋上の通行の妨げとなるものでもない。よって、前記橋脚切断ステップ以外については橋の通行規制を行わずに済み、その結果、橋の通行規制を緩和することができる。
【0023】
請求項6に示す発明は、請求項5に記載の橋の免震化工法であって、
前記水平支承部材は、前記上部フーチング側の滑り板の水平な下面と、前記下部フーチング側の滑り板の水平な上面とが当接しつつ滑ることにより、前記橋脚を前記水平方向に相対移動可能に支持する滑り支承部材であり、
前記下部フーチング側の滑り板は、前記橋脚の切断用のワイヤーソーを配置するための隙間を前記橋脚の周囲に形成すべく、前記橋脚から所定距離までの範囲には配置されないことを特徴とする橋の免震化工法。
上記請求項6に示す発明によれば、上記請求項4と同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
請求項7に示す発明は、請求項6に記載の橋の免震化工法であって、
前記上部フーチング側の滑り板が前記下部フーチング側の滑り板の上に配置される前に、前記ワイヤーソーは前記下部フーチング上に配置されていることを特徴とする。
上記請求項7に示す発明によれば、前記ワイヤーソーは、前記上部フーチング側の滑り板を前記下部フーチング側の滑り板の上に配置する前に、予め前記下部フーチング上に配置されるので、前記上部フーチング側の滑り板と前記下部フーチングとの間に形成される前記隙間にワイヤーソーを通す作業を行わずに済み、もって、ワイヤーソーの配置作業性に優れる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の橋の免震構造及び免震化工法によれば、既存橋脚の水平免震化工事に伴う橋の通行規制を緩和可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る橋の免震構造及び免震化工法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、水平免震化前の既存の橋1の側面図である。この既存の橋1は、例えば連続高架橋である。つまり、橋桁10の桁長方向に沿って複数の橋脚20が並んで配置されているとともに、桁長方向に隣り合う橋脚20,20同士には、対応する橋桁10が掛け渡されて前記橋桁10を両端支持しており、これにより、桁長方向に複数の橋桁10が連なって一つの高架橋1をなしている。
【0028】
各橋脚20の下部は、橋脚20毎に対応して配置されたフーチング22(以下、既設フーチングと言う)の上面22aに一体に連結されており、また既設フーチング22の下部には杭24が一体に設けられている。これら既設フーチング22及び杭24は地中Gに埋まっており、これにより橋1の基礎として機能する。なお、橋脚20及び既設フーチング22は、それぞれ、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造等のコンクリート製であり、杭24は、プレストレスコンクリート製や鋼製である。
【0029】
各橋桁10は、その桁長方向の両端部10a,10bが橋脚20の上面20aに載置されて両端支持されている。ここで、各橋桁10の桁長方向の前端部10aは、回転支持部材12を介して橋脚20の上面20aに支持され、これにより桁長方向及び桁幅方向に相対移動不能に支持されている。これに対して、同後端部10bは、移動支持部材14を介して橋脚20の上面20aに支持されており、これにより桁幅方向には相対移動不能であるが桁長方向には相対移動可能に支持されている。よって、橋桁10の前端部10aを支持する橋脚20と同後端部10bを支持する橋脚20との間で、互いに桁長方向の振動の位相が異なる場合であっても、橋桁10の後端部10bが橋脚20に対して相対移動することによって、橋脚20から橋桁10に作用する桁長方向の引っ張り力や圧縮力を吸収し抑制するようになっている。ちなみに、橋桁10も、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造等のコンクリート製である。
【0030】
図2A乃至図3Bは、上記の既存の高架橋1に追設される本実施形態の水平免震構造の説明図である。図2A及び図2Bには、追設前の橋脚20の下部の正面視縦断面図及び前記断面図中のB−B断面図をそれぞれ示している。また、図3A及び図3Bには、追設後の橋脚20の下部の正面視縦断面図及び前記断面図中のB−B断面図をそれぞれ示している。
【0031】
これらの図2Aと図3Aの比較からわかるように、追設後は、追設前と以下の点で相違している。先ず、既設フーチング22の上面22aを覆って、下部フーチング30が新設されている。また、この下部フーチング30の上には、滑り支承部材40を介して水平方向に相対移動可能に上部フーチング50が新設されているとともに、この上部フーチング50は既存の橋脚20と一体に形成されている。更には、滑り支承部材40の滑り面42b(水平支承面に相当)に沿って、橋脚20は切断されており、これにより、橋脚20において上部フーチング50に固定されている部分は、下部フーチング30及び既設フーチング22から分離している。
【0032】
従って、下部フーチング30側の地盤Gが振動しても、その振動は上部フーチング50側の橋脚20へは入力され難くなっており、これにて、高架橋1は水平免震される。
【0033】
ちなみに、上部フーチング50及び下部フーチング30の側方には、下部フーチング30に対して相対移動した上部フーチング50を復位させるための復位用バネ60も追設されている。この復位用バネ60は、例えば、これら上部フーチング50と下部フーチング30とに連結された積層ゴム等の弾性体60である。
【0034】
このような水平免震構造の高架橋1に対する追設は、以下の免震化工法によって達成される。図4A乃至図4Cは免震化工法の手順の説明図であり、何れの図も、上段には正面視縦断面図を示し、下段には平面図を示している。
【0035】
先ず、図4Aの地面を掘削して、地中Gに埋まっている既設フーチング22の上面22aを露出させる。そうしたら、この上面22aを覆って一体に新設の下部フーチング30を形成する。すなわち、橋脚20の下部を側方から囲いながら型枠を既設フーチング22の上面22aに配置するとともに、これら型枠の内側に不図示の補強筋やアンカー部材等を配した後にコンクリートを打設し、当該コンクリートの硬化後に脱型し、これにより下部フーチング30を新設する。
【0036】
次に、この新設された下部フーチング30の上面30aに、滑り支承部材40の構成部品の下側滑り板41を固定する。下側滑り板41は例えば平坦な上面を有するテフロン板であり、当該平坦な上面が水平になるように配置固定される。なお、ここでは、下部フーチング30の上面30aと比べて小さな面積の複数の下側滑り板41が、互いの間に適宜間隔を隔てつつ配置されており、そして、特に橋脚20の周囲には、その全周に亘って下側滑り板41が配置されない領域が設定されている。この領域には、ワイヤーソー65が載置され、すなわち、当該領域の上方空間は、この後で下側滑り板41の上に上側滑り板42が載置された際に、ワイヤーソー65の配置用隙間になる(図4Bを参照)。なお、ワイヤーソー65は、この免震化工法の最後に行われる橋脚20の切断作業に使用される。
【0037】
このようにして下側滑り板41やワイヤーソー65を下部フーチング30の上面30aに配置したら、次に、図4Bに示すように、下側滑り板41の上面に、滑り支承部材40の構成部品の上側滑り板42を載置する。上側滑り板42は、下側滑り板41の全配置範囲を覆う面積の板材であって、且つ、下側滑り板41との滑り抵抗が小さい素材の板材である。ここでは、下側滑り板41がテフロン板である関係上、これとの摩擦係数が低いステンレス板が使用されているが、何等これに限るものではない。
【0038】
また、上側滑り板42の上面42aには、この後でコンクリートが打設されて上部フーチング50が形成されることから(図4Cを参照)、当該上側滑り板42には、橋脚20の横断面形状の切り欠き部42cが形成されているとともに、当該上側滑り板42を橋脚20の側方から配置可能にすべく、前記切り欠き部42cを横断する分割線42dにより2つ以上(図示例では2つ)の分割片42,42に分割されている。そして、切り欠き部42cの内側に橋脚20が位置するように位置調整しつつ上側滑り板42,42を下側滑り板41の上に載置する。なお、この時、切り欠き部42cと橋脚20との間に形成される隙間が大きい場合には、当該隙間をシーラント等のシール剤によってシールし、これにより、この後で打設する上部フーチング50用のコンクリートの漏れを防止しても良い。
【0039】
そうしたら、橋脚20を囲いながら型枠を上側滑り板42の上面42aに配置するとともに、これら型枠の内側に適宜な補強筋等を配した後にコンクリートを打設する。なお、この時には、上側滑り板42は、埋め殺しの下面側の型枠として機能する。そして、当該コンクリートの硬化後に脱型したら、図4Cに示すように、滑り支承部材40を介して下部フーチング30の上に、新設の上部フーチング50が支持された状態になる。
【0040】
なお、この上部フーチング50は、水平免震化後における橋脚20の基礎として機能することから、橋脚20と一体化していなければならない。よって、上述のコンクリートの打設前においては、橋脚20の外周部にスタッドボルト等の不図示の定着部材が植設されるとともに、コンクリートの打設中には、これらスタッドボルトも上部フーチング50用のコンクリート中に埋没され、これにより、上部フーチング50は橋脚20に定着一体化される。
【0041】
次に、上部フーチング50と下部フーチング30とに跨るように、その周囲に前記復位用バネ60を配置する。
【0042】
そうしたら、最後に、上側滑り板42の下面42bたる滑り面に沿って橋脚20を切断し、これにより、上部フーチング50に固定された橋脚20の部分を、下部フーチング30及び既設フーチング22から分離する。すなわち、上述したように、橋脚20の周囲の隙間には予めワイヤーソー65が配置されており(図4Bを参照)、このワイヤーソー65によって上側滑り板42の下面42bと下部フーチング30の上面30aとの間の部分を切断する。そして、これにより、上側滑り板42と下側滑り板41とが相対移動可能な状態となって滑り支承として機能し、以上をもって、水平免震化工事が終了する。
【0043】
ところで、上述の説明から明らかなように、この免震化工法において安全上の理由から高架橋1の通行規制が必要となる作業は、最後に行われた橋脚20を切断する作業のみである。つまり、これ以外の作業は、何れも当該高架橋1の強度低下を招くような作業ではなく、高架橋1の強度も既存レベルに維持されて、高架橋1としての通行上の安全性は十分に確保されている。また、いずれの作業も橋脚20の下部という橋桁10から遠方の下方の位置において行われ、橋上の通行の妨げとなるものでもない。よって、上述の免震化工法によれば、橋脚20を切断する作業以外の期間については高架橋1の通行規制を行わずに済み、その結果、高架橋1の通行規制を緩和可能となる。
【0044】
===第1変形例===
図5A及び図5Bは、免震構造の第1変形例の説明図であり、図5Aには、橋脚20の下部の正面視縦断面図を示し、図5Bには、図5A中のB−B断面図を示している。
【0045】
上述の実施形態との対比においては、この第1変形例では、滑り支承部材40に対してストッパー70(以下、第1ストッパーと言う)が追設されている点で相違する。すなわち、この第1ストッパー70以外の構成は、上述の実施形態とほぼ同じなので、同一の構成についての説明は省略する。
【0046】
この第1ストッパー70は、レベル2以上の地震動を受けるまでは、上記の滑り支承部材40を機能させないようにする部材である。つまり、レベル2以上の地震動を受けるまでは、上部フーチング50と下部フーチング30との相対移動を規制するとともに、レベル2以上の地震動を受けて以降は、前記相対移動を許容するものである。ちなみに、ここで、レベル2の地震動とは、例えば「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」(社団法人 日本道路協会編)等に示されている「レベル2地震動」のことである。
【0047】
図5A及び図5Bに示すように、第1ストッパー70は、上部フーチング50の側方に固定されたブラケット71と、このブラケット71に対応させて下部フーチング30の側方に固定されたブラケット72とを備えている。そして、これらブラケット71,72の互いに対向する水平なフランジ部71a,72aには、シャーピン73を通すための貫通孔Hが各々形成されており、シャーピン73の両端には、これら貫通孔Hからシャーピン73が抜け落ちないようにするためのナット等の抜け止め部材74,74が設けられている。
【0048】
そして、このような第1ストッパー70を少なくとも2カ所以上設置すれば、上部フーチング50と下部フーチング30とは、並進移動だけでなく回転移動も不能な概ね完全に相対移動不能状態に拘束されるようになる。そのため、この図5Bの例では、第1ストッパー70は、上部フーチング50及び下部フーチング30の周囲の4カ所に設けられている。
【0049】
ここで、シャーピン73の剪断強度は、レベル1の地震動では破断しないが、レベル2の地震動を受けた際には、4カ所の全てのシャーピン73が破断するような強度に設定されている。
【0050】
よって、レベル2以上の地震動を受けるまでは、シャーピン73は破断されず、上部フーチング50と下部フーチング30との相対移動は規制される。その結果、日常的に生じ得る風や車輌等の通行等に起因して橋脚20が地盤Gに対して水平振動することを、第1ストッパー70は抑制し、もって、レベル2以上の地震動の無い略平穏状態(略平時)においては、高架橋1の揺れは小さくなって高架橋1は通行し易いものとなる。
【0051】
他方、レベル2以上の地震動を受けて以降は、シャーピン73が破断されて第1ストッパー70は機能しなくなり、それに伴って滑り支承部材40が機能するようになって、上部フーチング50と下部フーチング30との相対移動が許容されるようになる。つまり、レベル2以上の地震動を受けた時点及びその後においては、上部フーチング50側の橋脚20は、下部フーチング30側の地盤Gから相対移動可能に縁切りされ、これにより、レベル2以上の地震動の橋脚20への入力は抑制されて、橋脚20の倒壊を有効に防止可能となる。
【0052】
===第2変形例===
図6及び図7は、免震構造の第2変形例の説明図である。何れの図も、上段には高架橋1の平面図を示し、下段には同側面図を示している。なお、図6及び図7では、図の錯綜を防ぐべく橋桁10の移動支持部材14を省略している。
【0053】
この第2変形例は、上述の第1変形例において、更に、橋桁10の後端部10bにストッパー80(以下、第2ストッパーと言う)を追設したものである。すなわち、図1で前述したように、橋桁10の後端部10bは、移動支持部材14によって桁長方向に相対移動可能に橋脚20に支持されていたが、この第2変形例では、レベル2以上の地震動を受けるまでは、第2ストッパー80は、前記後端部10bの相対移動可能な状態を維持するが、レベル2以上の地震動を受けて以降は、図7に示すように、前記後端部10bの相対移動を規制するようになっている。
【0054】
そして、このような機能の第2ストッパー80によれば、レベル2以上の地震動を受けた後において通行し易く、且つ、レベル2の地震動を受けるまでにおいては、橋桁10の破損を有効に防ぎ得る高架橋1にすることができる。詳しくは以下のとおりである。
【0055】
高架橋1にレベル2の大きな地震動が入力されると、橋脚20に対して橋桁10の後端部10bが桁長方向に大きく相対移動する。つまり、図8Aの状態から図8Bの状態になる。すると、当該橋桁10の後端部10bと、この後端部10bが橋脚20において後方に隣り合う橋桁10の前端部10aとの位置ずれが大きくなって、つまり、これら橋桁10,10同士の間に大きな隙間Sが形成されて、結果、当該高架橋1は通行し難くなる。また、最悪の場合には、橋脚20から橋桁10が脱落する虞もある。
【0056】
この点につき、この第2変形例によれば、レベル2以上の地震動を受けて以降には、図7に示すように、第2ストッパー80が橋桁10の後端部10bと橋脚20との相対移動を規制するので、同じ橋脚20上において桁長方向の後方に隣り合う橋桁10の前端部10aとの隙間Sの拡大は抑制され、その結果、当該高架橋1は、レベル2以上の地震動を受けた後でも通行し易いものとなる。また、橋脚20からの橋桁10の脱落も有効に防止される。
【0057】
なお、このレベル2以上の地震動においては、図5Aで前述したように、第1変形例の前記第1ストッパー70が破断していて、図7に示すように橋脚20の下部フーチング30に対する相対移動が許容されていることから、当該高架橋1は橋脚20にて免震され、これにより橋桁10への地盤Gの振動の入力も抑制されて、橋桁10の破損は有効に防止される。但し、レベル2未満の地震動にあっては、図6に示すように、前記第1ストッパー70によって橋脚20は下部フーチング30に対する相対移動を規制されているので、橋脚20を介して橋桁10に地震動が入力される虞があり、更には、橋桁10は、その両端部10a,10bを、橋桁方向の前後に隣り合う一対の橋脚20,20に支持されている。このため、例えば地震による前記一対の橋脚20,20同士の振動の位相が一致していない場合には、橋桁10は前記一対の橋脚20,20によって両端部10a,10bを引っ張られたり圧縮されたりして、その結果、橋桁10が破損する虞がある。
【0058】
この点につき、当該第2変形例に係る第2ストッパー80は、レベル2以上の地震動を受けるまでは、橋脚20と橋桁10の後端部10bとの相対移動を許容する。よって、レベル2未満の地震動により、前記一対の橋脚20,20に掛け渡された前記橋桁10に引っ張り力又は圧縮力が作用しても、これらの力は、橋桁10の後端部10bと橋脚20との相対移動によって柔軟に吸収され、これにより、橋桁10の破損は確実に防止されることになる。
【0059】
このような機能の第2ストッパー80の具体的構成としては、例えば、図6に示すように、前記橋桁10の後端部10bに固定されたブラケット81と、ブラケット81を上下に貫通する貫通孔に挿抜自在に差し込まれ、下端部を橋脚20の上面20aに当接支持されたピン部材82と、前記橋脚20の上面20aにおいて、橋桁10の後端部10bの相対移動の許容限度に相当する位置に形成された落とし穴83と、を備えた構成が挙げられる。なお、上記の相対移動の許容限度というのは、レベル2の地震動を受けた際に生じ得る橋脚20と橋桁10との間の想定変位量であり、適宜な計算手法により算出される。
【0060】
そして、このような構成によれば、橋脚20に対して橋桁10の後端部10bが相対移動すると、許容限度の相対移動量に達するまでは、図6に示すように前記ピン部材82は橋脚20の上面20aに下端部を摺動しつつ支持されて橋桁10の後端部10bとともに橋脚20に対して相対移動するが、前記許容限度の相対移動量に達すると、図7に示すように、その位置に形成された落とし穴83に前記ピン部材82が落下して、落とし穴83にピン部材82の下部が引っかかり、その際には、ピン部材82の上部はブラケット81の貫通孔に差し込まれている。よって、ピン部材82は、ブラケット81と落とし穴83の両者に係合することになり、これをもって橋桁10の後端部10bはそれ以上の相対移動を規制されることとなる。
【0061】
ちなみに、このような第2ストッパー80は、橋桁10毎に設けられている。よって、レベル2以上の地震動を受けて以降は、図7に示すように、第2ストッパー80によって全ての橋桁10の後端部10bは、対応する橋脚20に固定され、その結果、全ての橋桁10及び橋脚20は連結一体化されて、そして当該連結一体化状態で各橋脚20の下部の滑り支承部材40において水平免震される。ここで、この連結一体化状態においては、高架橋1における全ての橋桁10及び橋脚20が一つの大きな質点として振る舞うので、高架橋1の振動周期は長周期化されてゆっくり振動するようになり、その結果、当該振動中でも高架橋1を通行し易くなる。
【0062】
図9A及び図9Bは、上述の第2ストッパー80の変形例の側面図である。上述の第2ストッパー80では、図7に示すように、ピン部材82が橋桁10の後端部10b及び橋脚20の両者に直接係合することにより、前記後端部10bの橋脚20に対する相対移動を規制していたが、図9A及び図9Bの変形例では、橋桁10の後端部10bと、この後端部10bの後方に隣り合う橋桁10の前端部10aとに第2ストッパー90が係合し、前記後端部10bと前記前端部10aとを連結してこれらの離間を阻止するとともに、この離間の阻止に加えて更に、前記前端部10aが前記回転支持部材12により橋脚20に対して相対移動不能であることを利用して、間接的に前記後端部10bの橋脚20に対する相対移動が規制されるようになっている。
【0063】
詳しくは、図9Aに示すように、後端部10bの相対移動量が許容限度内の場合には、橋桁10の後端部10bと、その後方に隣り合う橋桁10の前端部10aとに跨って、第2ストッパー90の両端部90a,90bが掛け渡されて支持されている。すなわち、この第2ストッパー90の桁長方向の両端部90a,90bは、それぞれに、橋桁10の後端部10bの受け台92及び橋桁10の前端部10aの受け台92に載置支持されている。また、これら橋桁10の後端部10b及び橋桁10の前端部10aにおいて第2ストッパー90の下方に位置する部分には、それぞれに、上方を向いた凹部94,94が形成されているとともに、第2ストッパー90の下面には、これら一対の凹部94,94に対応させて一対の凸部96,96が形成されている。
【0064】
よって、後端部10bが相対移動して前記許容限度の相対移動量に達すると、第2ストッパー90の後端部90b及び前端部90aが前記受け台92,92から外れて下方へと落下する。そして、地震動などによって前記後端部10bが桁長方向に振動する過程において、後端部10bの相対移動量が元の零近傍に戻った際には、図9Bに示すように、前記2ストッパー90の凸部96,96が、前記後端部10b及び前記前端部10aの凹部94,94に嵌合し、これにより、橋桁10の後端部10bと橋桁10の前端部10aとが連結されて、これ以上の後端部10bの前端部10aとの離間を規制するが、ここで、前記前端部10aは回転支持部材12により橋脚20との相対移動不能に規制されていることから、この回転支持部材12を通して、前記後端部10bの橋脚20に対する相対移動が間接的に規制されることとなる。ちなみに、前記凹部94及び前記凸部96の形状としては、頂部が下方を向いた円錐や三角柱等の形状を例示することができる。
【0065】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0066】
(a)上述の実施形態では、水平支承部材の一例として滑り支承部材40を例示したが、何等これに限るものではなく、所謂転がり支承部材(プレート部材と、このプレート部材の水平面に当接して転動する球体や円柱体等のコロ部材等のコロ部材とを備えたもの)でも良い。
【0067】
(b)上述の実施形態では、橋の一例として連続高架橋1を例示したが、何等これに限るものではない。すなわち、複数の橋桁10が連続するものではなくて一つの橋桁10でも良いし、道路や線路でなく河川に渡された普通の橋でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】水平免震化前の既存の橋1の側面図である。
【図2】図2A及び図2Bは、それぞれ、本実施形態に係る水平免震構造を追設前の橋脚20の下部の正面視縦断面図及び前記断面図中のB−B断面図である。
【図3】図3A及び図3Bは、それぞれ、本実施形態に係る水平免震構造を追設後の橋脚20の下部の正面視縦断面図及び前記断面図中のB−B断面図である。
【図4】図4A乃至図4Cは免震化工法の手順の説明図であり、何れの図も、上段には正面視縦断面図を示し、下段には平面図を示している。
【図5】図5A及び図5Bは、免震構造の第1変形例の説明図である。
【図6】免震構造の第2変形例の説明図である。
【図7】免震構造の第2変形例の説明図である。
【図8】図8A及び図8Bは、高架橋1にレベル2の大きな地震動が入力された際に、橋脚20に対して橋桁10の後端部10bが桁長方向に大きく相対移動することを説明するための図である。
【図9】図9A及び図9Bは、上述の第2変形例に係る第2ストッパー80の更なる変形例の側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 高架橋、10 橋桁、10a 前端部、10b 後端部、
12 回転支持部材、14 移動支持部材、20 橋脚、20a 上面、
22 既設フーチング、22a 上面、24 杭、
30 下部フーチング、30a 上面、40 水平支承部材(滑り支承部材)、
41 下側支承板、42 上側支承板、42a 上面、
42b 下面(水平支承面)、42c 切り欠き部、42d 分割線、
50 上部フーチング、60 復位用バネ、65 ワイヤーソー、
70 第1ストッパー(橋脚移動規制部材)、71 ブラケット、
71a フランジ部、72 ブラケット、72a フランジ部、73 シャーピン、
74 抜け止め部材、80 第2ストッパー(橋桁移動規制部材)、
81 ブラケット、82 ピン部材、83 落とし穴、
90 第2ストッパー(橋桁移動規制部材)、90a 前端部、90b 後端部、
92 受け台、94 凹部、96 凸部、G 地盤、H 貫通孔、S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存橋脚を水平免震化すべく前記橋脚の下部に追設される橋の免震構造であって、
前記橋脚の既設フーチングの上部を覆って一体に形成される新設の下部フーチングと、
該下部フーチングの上に、水平支承部材を介して水平方向に相対移動可能に支持されるとともに、前記橋脚と一体に形成される新設の上部フーチングと、を備え、
前記水平支承部材の水平支承面に沿って前記橋脚が切断されることにより、前記上部フーチングに固定される前記橋脚の部分が、前記下部フーチング及び前記既設フーチングから分離していることを特徴とする橋の免震構造。
【請求項2】
請求項1に記載の橋の免震構造であって、
所定レベル以上の地震動を受けるまでは、前記上部フーチングと前記下部フーチングとの前記相対移動を規制するとともに、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降は、前記相対移動を許容する橋脚移動規制部材を有することを特徴とする橋の免震構造。
【請求項3】
請求項2に記載の橋の免震構造であって、
橋桁の桁長方向に互いに間隔を隔てて並ぶ一対の前記橋脚に、前記橋桁の両端部のうちの一端部及び他端部がそれぞれ支持されているとともに、前記一端部は、水平方向に相対移動可能に橋脚に支持されている一方、前記他端部は、水平方向に相対移動不能に橋脚に支持されており、
前記所定レベル以上の地震動を受けるまでは、前記一端部の前記相対移動を許容するとともに、前記所定レベル以上の地震動を受けて以降は、前記一端部の相対移動を規制する橋桁移動規制部材を有することを特徴とする橋の免震構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の橋の免震構造であって、
前記水平支承部材は、前記上部フーチング側の滑り板の水平な下面と、前記下部フーチング側の滑り板の水平な上面とが当接しつつ滑ることにより、前記橋脚を前記水平方向に相対移動可能に支持する滑り支承部材であり、
前記下部フーチング側の滑り板は、前記橋脚の切断用のワイヤーソーを配置するための隙間を前記橋脚の周囲に形成すべく、前記橋脚から所定距離までの範囲には配置されないことを特徴とする橋の免震構造。
【請求項5】
既存橋脚の既設フーチングの上部を覆って、該既設フーチングと一体に新設の下部フーチングを形成する下部フーチング新設ステップと、
該下部フーチングの上に、水平支承部材を介して水平方向に相対移動可能に支持される新設の上部フーチングを、前記橋脚と一体に形成する上部フーチング新設ステップと、
前記橋脚を、前記水平支承部材の水平支承面に沿って切断することにより、前記上部フーチングに固定される前記橋脚の部分を、前記下部フーチング及び前記既設フーチングから分離する橋脚切断ステップと、を備えていることを特徴とする橋の免震化工法。
【請求項6】
請求項5に記載の橋の免震化工法であって、
前記水平支承部材は、前記上部フーチング側の滑り板の水平な下面と、前記下部フーチング側の滑り板の水平な上面とが当接しつつ滑ることにより、前記橋脚を前記水平方向に相対移動可能に支持する滑り支承部材であり、
前記下部フーチング側の滑り板は、前記橋脚の切断用のワイヤーソーを配置するための隙間を前記橋脚の周囲に形成すべく、前記橋脚から所定距離までの範囲には配置されないことを特徴とする橋の免震化工法。
【請求項7】
請求項6に記載の橋の免震化工法であって、
前記上部フーチング側の滑り板が前記下部フーチング側の滑り板の上に配置される前に、前記ワイヤーソーは前記下部フーチング上に配置されていることを特徴とする橋の免震化工法。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−30243(P2009−30243A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192317(P2007−192317)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】