説明

橋梁構造物における足場とその組立方法

【課題】 橋梁構造物における床版下方の空間部に組立てられた、床版下面の塗装作業が能率よく行える広い面積を有するデッキ状の足場と、その足場を正確に且つ容易に組み立てることができる組立方法を提供する。
【解決手段】 橋梁構造物の床トラス中弦材からなる隣接する水平構造部材間の空間部に、多数本のビーム材を並設状態に敷き詰めることによって形成された足場であって、橋梁構造物の一側端部に設けている通路を通じてビーム材を搬入し、このビーム材を吊り上げて、上記隣接する水平構造部材に沿って配設されている梁上の既設のレール上間に吊り下ろし、ビーム材の両端部下面に取付けている車輪をレール上に載せた状態にして順次、レールの一端側から他端側に向かって移動させることにより水平構造部材間の空間部に多数本のビーム材からなるデッキ状足場を組み立てるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁構造物における車両走行路を形成している床版下面の塗装等を行う際に使用する足場とその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吊橋等の橋梁構造物における床版下面や、この床版を支承している主構上弦材、中弦材等の水平構造部材の塗装を行う場合、床版を支える梁や内面点検台車用のレールとその受梁等を利用して足場用パイプを組み、その上に足場板を並べて塗装用足場を形成していた。例えば、床版下方のトラス構造物の塗装を行うための足場としては、特許文献1に記載しているように、トラス構造物である上弦材や中弦材等の水平構造部材の上面に長さ方向に所定間隔毎に水平支持フレームをその長さ方向の両側部が水平構造部材の両側面から外側方に突出させた状態で固着すると共に各支持フレームの両側端に垂直支持フレームを固着し、両側の垂直支持フレームの上端間や下端間に足場架設用パイプを連結して水平構造部材の長さ方向に隣接する足場架設用パイプ間に足場板を架設した構造が知られている。
【特許文献1】特開2002−61116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような足場によれば、水平構造部材に対する多数本の水平支持フレームの固着作業や該水平支持フレームの両側端に対する垂直支持フレームの連結、固定作業、足場架設用パイプの配設作業、足場板の架設作業等の多くの煩雑な作業を必要とし、組立作業が長期間に亘ると共にコストがかかるといった問題点がある。さらに、高所における危険な作業であるから安全性の確保に問題があると共に、このような足場の組立作業は専門の足場職人に頼らざるをえないといった問題点がある。さらに、このような問題点は足場の解体、撤去作業においても生じることになる。
【0004】
その上、上記足場は、基本的には吊り足場構造となっているため、強風時における浮き上がりや飛散防止策が講じ難く、予想される風の強さによって、足場板の一部又は全てを撤去して足場にかかる風圧の低減を図っているのが現状である。また、作業中に物を落とすと、足場からさらに下方に落下して危険である。さらに、このような足場構造では橋梁構造物の床版下面を全面的に塗装するための足場として使用することが困難である。
【0005】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、橋梁構造物の床版下方に、何等の熟練を要することなく短時間で能率よく組立、解体が可能で且つ、該床板下面の塗装等を全面的に行うことができる安定した強固な足場とその組立方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の橋梁構造物における足場は、請求項1に記載したように、橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間の空間部に張設した足場であって、上記水平構造部材に沿って敷設されているレール上間に一定長さを有するビーム材を多数本、隣接するビーム材同士の対向面を互いに接合させた状態で横並び状に且つレールの長さ方向に移動可能に載架してデッキ状に構成している。
【0007】
このように構成した橋梁構造物における足場において、請求項2に係る発明は、上記各ビーム材の両端部下面に車輪を取付け、この車輪を水平構造部材に沿って敷設されているレール上に該レールの長さ方向に移動可能に乗せていることを特徴とし、請求項3に係る発明は、該ビーム材を数本一組としてその長さ方向の上面中央部を連結材によって一体に連結していると共にこの連結材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して吊支させた構造としている。また、請求項4に係る発明においては、この連結材と梁間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結していることを特徴とする。
【0008】
請求項5に係る発明は上記足場の組立方法であって、橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間に、これらの水平構造部材の長さ方向の一端側から一定長さを有するビーム材を、その長さ方向を水平構造部材の長さ方向に直角に向けた状態にして送り込んで該ビーム材の長さ方向の両端下面をこれらの水平構造部材に沿って敷設しているレール上間に架設したのち、該ビーム材を水平構造部材の他端側に向かってこれらのレール間上で移動させ、次いで、次のビーム材を上記同様にしてレール間上に架設したのち、水平構造部材の他端側に向かって移動させることにより先に送り込んだビーム材に接合させ、この作業を繰り返し行って上記水平構造部材間に多数本のビーム材を敷き詰め状に並設してデッキ状の足場を形成することを特徴とする。
【0009】
この足場の組立方法において、請求項6に係る発明は、上記両水平構造部材の一端側の上方にチェーンブロックを配設し、これらのチェーンブロックの下方にまで橋梁構造物の一側方の通路を通じてビーム材を送り込んだのち、該ビーム材の両端部上面を上記チェーンブロックに吊り上げて両水平構造部材の一端部間上に送り出し、さらに、吊り下ろすことによってビーム材の両端部下面に取付けている車輪を両水平構造部材に沿って敷設しているレールの一端部間に載架させ、しかるのち、該ビーム材の両端部を送り出し手段によって水平構造部材の他端側に向かってレール間上を所定距離だけ移動させることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項7に係る発明は、上記両水平構造部材間に送り込まれた数本のビーム材を一組として、各組のビーム材をその長さ方向の中央部上面間を連結部材によって連結したのち、この連結部材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して支持させると共に該梁と連結部材間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結することを特徴とする。
【0011】
また、請求項8に係る発明は、上記両水平構造部材の一端部側にビーム材引張装置を配設し、レール間上に最初に載架されたビーム材の両端にこれらのビーム材引張装置から繰り出されるロープの先端を連結しておくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の橋梁構造物における足場は、橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間に多数本のビーム材を敷き詰め状態に並設してなるものであるから、所定長さ部分の床版下方における水平構造物間の空間部を全面的に塞いだデッキ状の足場構造に構成することができ、この足場上を利用して床版下方のトラス構造物に対する塗装作業等が容易に行えるのは勿論、該足場上を移動するローリングタワー等を使用して足場上方の床版下面に対する塗装作業等を該床版下面の全面に亘って確実に行うことができる。さらに、全てのビーム材の両端部は、上記水平構造部材に沿って敷設されているレール上間に該レールの長さ方向に移動可能に載架しているので、レール上間に整然と且つ安定した架設状態で確実に支持された作業面積の広い足場を構成することができるものであり、その上、作業中に物を落としてもこの足場から下方に落下するのを確実に防止することができ、また、ビーム材をレール上に沿って移動させることにより、組立てや解体、撤去作業が円滑且つ確実に行える足場を提供することができる。
【0013】
このように構成した足場において、請求項2に係る発明は、各ビーム材の両端部下面に車輪を取付けて、この車輪を水平構造部材に沿って敷設されているレール上に該レールの長さ方向に移動可能に乗せているので、足場の組立てや解体時におけるビーム材の並設、回収作業がビーム材の横振れやガタツキなどの妄動を生じさせことなく正確に且つ能率よく行える。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明によれば、レール上間に架設された上記ビーム材を数本一組としてその長さ方向の上面中央部を連結材によって一体に連結しているので、数本のビーム材によってあたかも一枚の大版サイズの足場板を形成することができると共に、上記連結材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して吊支させているので、一本の吊支具によって複数本ビームを下方への撓みを防止した安定した状態に吊支することができる。従って、水平構造部材間に敷き詰めてなる多数本のビームによって形成された広い面積を有する足場の上面を全面的に平坦な面に保持して作業性の良好な安定した足場を構成することができる。
【0015】
その上、請求項4に記載したように、上記連結材と梁間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結しているので、全てのビーム材の両端部下面をレール上に押し付けた状態に保持しておくことができ、強風時に下面に風圧を受けても浮き上がるのを防止することができる。
【0016】
また、上記のように構成した足場の組立方法は、請求項5に記載したように、まず、橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間に、これらの水平構造部材の長さ方向の一端側から一定長さを有するビーム材を、その長さ方向を水平構造部材の長さ方向に直角に向けた状態にして送り込んで該ビーム材の長さ方向の両端下面をこれらの水平構造部材に沿って敷設しているレール上間に架設するので、レールとして橋梁構造物における床版下面の梁等の内面点検台車用の既設のレールをそのまま使用して、ビーム材を、その長さ方向を水平構造部材の長さ方向に直角に向けた状態にして順次、送り込むことにより、レール上間に容易に載架させることができる。
【0017】
さらに、レール上間に載架したビーム材を水平構造部材の他端側に向かって正確にレール上を移動させることができると共に、先に、送り込んだビーム材に次のビーム材を接合させる作業を繰り返し行って上記水平構造部材間に多数本のビーム材を敷き詰め状に並設するので、煩雑な作業を必要とすることなく且つ何等の熟練を要することなく、短時間で床版下方における水平構造物間の空間部に、床版の下面に対して隅から隅まで確実且つ容易に塗装作業等が可能な広い面積を有するデッキ状の足場を組み立てることができる。
【0018】
上記足場の組立方法において、請求項6に係る発明によれば、両水平構造部材の一端側の上方にチェーンブロックを配設し、これらのチェーンブロックの下方にまで橋梁構造物の一側方の通路を通じてビーム材を送り込んだのち、該ビーム材の両端部上面を上記チェーンブロックに吊り上げて両水平構造部材の一端部間上に送り出すので、殆ど人手を要することなく、ビーム材を順次、両水平構造部材の一端部間上に正確に送り出して該ビーム材の両端下面に取付けている車輪をレール上に載架させることができ、しかるのち、該ビームの両端部を送り出し手段によって水平構造部材の他端側に向かってレール間上を所定距離だけ移動させるので、人手によることなくビーム材を両レールの一端部上に次々と載架させながら且つ先行するビーム材に後続するビーム材を互いに対向面を接合させながら両水平構造部材間に能率よく敷き詰めることができる。
【0019】
さらに、請求項7に係る発明によれば、両水平構造部材間に送り込まれた数本の並設ビーム材を一組として、各組のビーム材を、その長さ方向の中央部上面間を連結部材によって連結したのち、この連結部材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して支持させると共に該梁と連結部材間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結するので、両水平構造部材間に沿って配設されているレール間のスパンが長いにもかかわらず、撓みや浮き上がりを防止した安定性と作業性に優れた足場を構成することができる。
【0020】
また、請求項8に係る発明によれば、上記両水平構造部材の一端部側にビーム材引張装置を配設して、レール間上に最初に載架されたビーム材の両端にこれらのビーム材引張装置から繰り出されるロープの先端を連結しておくので、足場の組立時には、レール間上に順次、送り込まれるビーム材を離間させることなく、互いにその対向面を常に接合させた状態で他端側に移動させることができ、足場の解体時には、ロープを巻き取りながらその引張力で引っ張ることによって人手を要することなくビーム材を自動的に両水平構造部材間の一端部側に順次、引き戻すことができ、その位置で、両水平構造部材の一端側の上方に配設している上記チェーンブロックによって、順次、回収、撤去を行うので、解体作業が円滑に能率よく短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1、図2において、Aは橋梁構造物Bの床版B1の下方のトラス構造物B2における床トラス中弦材からなる水平構造部材1、1間の空間部に張設した足場であって、一定長さを有する中空角筒形状のアルミニウム製ビーム材2、2・・・を多数本、互いに対向する横長長方形状の垂直な面2a、2aを接合させた状態で横並び状に並設してなるものである。具体的には、上記トラス構造物B2の床トラス中弦材からなる水平構造部材1は、橋梁構造物Bの橋軸方向に所定間隔毎(例えば、12.3m毎)に設けられてあり、橋軸直交方向に向けている各水平構造部材1の長さは上記間隔よりも大きく、例えば、30mの長さに形成されている。
【0022】
さらに、水平構造部材1、1・・・の両側端部上には橋梁構造物Bの橋軸方向に連続した所定幅を有する通路3A、3Bが設けられてあり、橋軸方向(前後方向)に隣接する水平構造部材1、1とこれの両側通路3A、3Bによって囲まれた各空間部における任意の空間部に上記多数本の並設ビーム材2からなる足場Aを組立、解体可能に張設されている。
【0023】
即ち、各前後に隣接する水平構造部材1、1の前後対向面には、該水平構造部材1、1の長さ方向(橋梁構造物Bの幅方向)に一定間隔毎に複数の受梁片4、4・・・が水平に突設してあり、これらの受梁片4の先端部上面に水平構造部材1、1の長さ方向に沿って点検台車レール用梁材5、5をそれぞれ支持された状態で固定していると共に、該梁材5、5上にレール6、6を両側通路3A、3Bの対向面間に亘ってそれぞれ互いに平行に敷設している。なお、この前後レール6、6間の間隔は、上記前後水平構造部材1、1間の間隔が12.3mの場合には、10.7mに形成されてあり、上記各ビーム材2は幅が350mm 、高さが175mm 、長さが11.5m、肉厚が3.5mm に形成されている。
【0024】
そして、各ビーム材2には、その長さ方向の両端部下面において上記前後レール6、6と同一間隔を存した部分に、図8に示すように幅方向に小間隔を存してそれぞれ一対の車輪7、7を回転自在に軸支してあり、これらのビーム材2を多数本(図においては60本)、その両端部下面の車輪7、7を前後のレール6、6上に移動可能に乗せた状態で掛け渡すと共に前後に隣接するビーム材2、2の対向面2a、2aを密接状態に接合させて前後レール6、6の全長に亘り横並び状に敷き詰めることにより、広さが21m×11.5mのデッキ状の足場Aを形成している。
【0025】
さらに、各ビーム材2の長さ方向の両端部のみが上記前後レール6、6間上に架設されていてレール6、6間の長さ部分は何等、支持されていないので、前後レール6、6を支点として下方に撓みが生じることになる。この撓みを防止するために、ビーム材2の長さ方向の中央部上面を図3〜図6に示すように、橋梁構造物Bの床版下方に橋軸方向に配設している天井梁Cに吊支具8を介して吊支している。
【0026】
この吊支構造を詳細に説明すると、全てのビーム材2にはその長さ方向の中央部上面に、該ビーム材2の長さ方向に小間隔を存して前後一対の垂直な突片9a、9a' を突設していると共にこれらの突片9a、9a' にピン挿通孔9b、9b' を設けている。そして、並設した数本(図においては6本)のビーム材2を一組としてこの一組のビーム材2を連結材10によって引き揃え状態に一体に連結している。
【0027】
連結材10は上記一組のビーム材2の幅に等しい長さを有し、且つ、上記前後一対の垂直な突片9a、9a' 間に挿入可能な幅を有する小径角筒形状に形成されてあり、その前後の垂直な横長長方形状の壁面には上記各ビーム材2に設けている突片9a、9a' のピン挿通孔9b、9b' に同一中心線上で連通するピン挿通支持孔10a 、10a'が設けられていると共に長さ方向の両端には上端部中央に門形状に屈曲してなるシャックル11b の取付用孔を設けた垂直な連結板片11a 、11a'を固着してなり、一本の連結材10を並列した数本のビーム材2の上記突片9a、9a' 間に挿し込んで各ピン挿通支持孔10a 、10a'間にビーム材2の突片9a、9a' に設けているピン挿通孔9b、9b' を通じてピン12を抜き取り可能に挿通することにより、数本一組のビーム材2を一体に固定して大版サイズの広幅の足場板形状に形成している。
【0028】
この一組のビーム材2を複数組(図においては10組)、互いに隣接する組の前後に対向するビーム材2、2を接合させた状態にしてこれらの組のビーム材2を連結している連結材10、10の対向端面に固着している垂直な連結板片11a 、11a'同士を突き合わせ状に接合させ、ボルト・ナット13によって一体に連結している。そして、このボルト・ナット13によって互いに接合、固着している連結板片11a 、11a'の上端中央部に設けているシャックル取付用孔にシャックル11b を支軸14によって取付け、各シャックル11b に対向して上記天井梁Cから吊り下げている上記吊支具8によってシャックル11b を吊支している。
【0029】
具体的には、この吊支具8は、上記天井梁Cに着脱自在に取付けた取付金具8aに一定長さのワイヤロープ或いはチェーン等の索条物8bの上端を連結していると共に該索条物8bの下端に長さ調整可能なレバーブロック8cの上端を連結し、さらに、このレバーブロック8cの下端にフック8dを取付けてなり、該フック8dを上記シャックル11b に係脱可能に引っ掛けて各組のビーム材2の長さ方向の中央部を下方に撓まないように支持している。
【0030】
さらに、上記各連結材10の長さ方向の中央部上面とこの中央部上方の上記天井梁C間に長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱15を介在させ、この支柱15の上下端部を天井梁Cと連結材10の中央部上面とに着脱自在に連結することによって、複数本、並設したビーム材2からなる各組が強風時において浮き上がるのを防止している。
【0031】
また、上記数本一組とするビーム材2の長さ方向の両端部上面は、上記連結材10と同じ長さのアングル材16によって着脱自在に連結していると共に、隣接する組のアングル材16の対向端面に一体に固着している連結片16a 、16a'同士を接合させた状態でボルト.ナット17により着脱自在に連結している。さらにまた、足場Aを構成している多数本のビーム材2において、数本毎のビーム材2の両端部に、図7に示すように、上記支柱15と共に強風によって足場Aが浮き上がるのを防止する浮き上がり防止装置18を装着している。
【0032】
この浮き上がり防止装置18は、ビーム材2の両端部に、螺子棒18a を上下面間に貫通した状態で配設していると共にビーム材2の上面から突出したこの螺子棒18a の上端部に蝶ナット18b を螺合させる一方、ビーム材2の下面から突出したこの螺子棒18a の下端に係止フック18c を一体に設けてなるもので、この係止フック18c をレール6、6を敷設している梁材5のフランジ部に係止させ、蝶ナット18b を締め付けることによってビーム材2の両端部下面に装着している車輪7、7を積極的にレール6、6上に押し付けた固定状態を維持させているものである。
【0033】
次に、このように構成した足場Aの組立方法とこの方法を実施するための装置について説明する。上記両側通路3A、3Bにおける一方の通路3Aには、その幅方向の中央部に、図1及び図8に示すように、一本のビーム材2をその長さ方向を通路3Aの長さ方向に向けた状態で載置して互いに平行な隣接する前後水平構造部材1、1の一端部の延長上間に搬入する台車19の走行用レール20が敷設されていて該通路3Aをビーム材2の搬入通路に形成していると共に、該搬入通路3Aの上方には搬入されたビーム材2を吊り上げて各隣接する前後水平構造部材1、1の対向面間に沿って平行に配設している上記レール6、6の一端部上間に吊り下ろすチェーンブロック21からなるビーム材吊り上げ装置を前後方向に往復移動可能に配設している。
【0034】
詳しくは、このビーム材吊り上げ装置は、各前後レール6、6の一端部延長上における上記搬入通路3Aの外端側、即ち、上記台車走行用レール20の外側方の通路部上に、この搬入通路3Aに対して直交方向に向いている上記前後レール6、6間の間隔よりも僅かに短い前後間隔を存して一定高さの柱材22、22を立設し、この柱材22、22の上端から上記前後レール6、6の一端部の上方に亘って水平ガイド部材23、23を突設してこれらの水平ガイド部材23、23に上記チェーンブロック21、21を往復移動可能に配設していると共に、該チェーンブロック21、21のフック21a 、21a をビーム材2の長さ方向の両端部上面に固着しているリング状係止金具2b、2bに係脱可能に係止させるように構成している。
【0035】
さらに、前後レール6、6の一端部側、即ち、搬入通路3Aからのビーム材2の受け入れ側において、これらの前後レール6、6を敷設した梁材5、5の一端部を支持している上記受梁片4、4の基端部上面間に、図9〜図11に示すように水平作業台24を固定し、この水平作業台24上にビーム材2を前後レール6、6上で一端側から他端側に向かって送り出す送り出し手段を配設している。
【0036】
このビーム材送り出し手段は、上記水平作業台24上に前後レール6、6と平行する方向に伸縮するビーム材送り用油圧シリンダ25、25を設置すると共に、これらの油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a の先端に、水平作業台24上に立設したガイド板26に設けている水平ガイド突条26a に往復摺動自在に支持された垂直板片25b を一体に連結し、この垂直板片25b に上下方向に伸縮するピン昇降用油圧シリンダ27を固定して、そのロッド上端のピン27a をビーム材2の長さ方向の両端部下面の所定部分に設けている係合孔2b2c係脱自在に係止させるように構成してなるものである。従って、前後レール6、6に平行して配設されているこれらの前後ピン昇降用油圧シリンダ27、27のピン27a 、27a 間の間隔はビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2c、2c間と同一間隔となるように構成されている。
【0037】
また、前後梁材5、5の一端部と上記搬入通路3Aとの間の前後方向に細長い空間部上に図1、図8に示すように架設デッキ28が敷設されてあり、この架設デッキ28の前後両端側に巻取りドラムからなるビーム材引張装置29、29が配設されている。そして、このビーム材引張装置29、29から繰り出されるロープ30の先端を、前後レール6、6間に最初に送り込まれるビーム材2の両端面に連繋するように構成していると共に、該ロープ30を常に一定の引き戻し力でもって巻き取る方向、即ち、ビーム材2を搬入通路3A側に引き戻す方向に付勢している。なお、前後レール6、6間に最初に送り込まれるビーム材2には手摺り31が取付けられている。また、上記架設デッキ28に代えて落下防止用セイフティネットを張設しておいてもよい。
【0038】
次に、このように構成した足場組立装置によって、上記前後水平構造部材1、1間の空間部に足場Aを張設する方法について説明すると、まず、前後梁材5、5の一端部と上記ビーム材2の搬入通路3Aとの間の空間部上に架設デッキ28を設けたのち、搬入通路3A内に敷設したレール20上を走行する台車19上に一本のビーム材2をその長さ方向を搬入通路3Aの長さ方向に向けた状態にして載置し、水平ガイド部材23、23にチェーンブロック21、21を往復緯度氏材に配設している柱材22、22間にまで走行したのち、その位置で停止させる。次いで、図8に示すように、この台車19上のビーム材2の両端部上方に待機しているチェーンブロック21、21のフック21a を降下させてビーム材2の両端部上面に取付けているリング状の係止金具2b、2bに係止させたのち、フック21a 、21a を引き上げることによりビーム材2を吊り上げる。
【0039】
ビーム材2を吊り上げたのち、該チェーンブロック21、21を水平ガイド部材23、23に沿って前後水平構造部材1、1に平行に配設している梁材5、5の一端部上方にまで移動させることにより、ビーム材2を横送り、即ち、その長さ方向を前後水平構造部材1、1の長さ方向に直角に向けた状態にして前後水平構造部材1、1の一端部間上に送り込み、その位置で吊り下ろして該ビーム材2の両端部下面に装着している車輪7、7を前後レール6、6上に載せることにより、これらの前後レール6、6間に該ビーム材2を載架した状態にする。
【0040】
この際、ビーム材2の車輪7、7を正確に且つ迅速にレール6、6上に載せるために、作業員が水平作業台24上でチェーンブロック21、21によって吊り下げられているビーム材2を前後左右に移動させて該車輪7、7をレール6、6上方に位置させたのち、吊り下ろすことによって図9に示すように車輪7、7をレール6、6上に載せる。しかるのち、図10に示すようにビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a に装着しているピン昇降用油圧シリンダ27のピン27a にビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2cを係止させる。この係止作業は、まず、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a を伸長させてピン昇降用油圧シリンダ27をビーム材2の降下位置に待機させておき、その位置でピン昇降用油圧シリンダ27を伸長させてピン27a を上昇させてビーム材2の係合孔2cに挿入、係止させる。
【0041】
この時、前後レール6、6上にビーム材2の車輪7、7が載置されると、該ビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2c、2cはピン昇降用油圧シリンダ27、27のピン27a の移動経路上に配置された状態となるので、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a を移動させるだけで、ピン27a を容易に且つ正確に係合孔2cの垂直下方に位置させることができる。
【0042】
こうして、ビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2c、2cをピン昇降用油圧シリンダ27、27のピン27a 、2aに係止させると共に、前後レール6、6間に最初に載架されるこのビーム材2の両端面にビーム材引張装置29、29のロープ30を連繋する。しかるのち、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a を収縮させて、ビーム材2の係合孔2c、2cに係止しているピン27a 、27a を前後レール6、6の他端側に向かって一定長さだけ往動させることにより、前後レール6、6上で車輪7、7を回転させながら該ビーム材2をビーム材2の幅よりも大きい距離(約400mm )だけ移動させて、前後レール6、6の一端部間に次のビーム材2を受け入れる空間部を形成する。この時、ビーム材2の移動によって該ビーム材2の両端面に連繋しているロープ30がその移動量に応じてビーム材引張装置29から引き出される。
【0043】
次いで、2本目のビーム材2を上記同様にして搬入通路3A側で台車19により前後チェーンブロック21、21間の下方にまで搬入したのち、該チェーンブロック21、21により吊り上げてその車輪7、7を前後レール6、6上に載せたのち、最初に送り込んだ上記ビーム材2の係合孔2cからピン昇降用油圧シリンダ27、27のピン27a を下降、離脱させることによって係止を解き、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a を伸長させてピン27a を上記2本目のビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2c、2cの下方に位置させたのち、該ピン昇降用油圧シリンダ27、27を伸長させることによってピン27a 、27a を係合孔2c、2cに挿入、係止させる。
【0044】
この時、最初に送り込んだビーム材2の係合孔2c、2cから上記のようにピン27a を離脱させると、該ビーム材2はビーム材引張装置29、29の引き戻し力によって2本目の上記ビーム材2側に向かってレール6、6上を僅かに後退し、その長手方向の垂直な一側面を2本目の上記ビーム材2の対向面に密接状態に接合させると共に、さらに、これらのビーム材2、2が互いに接合、並設した状態で上記ビーム材引張装置29、29の引き戻し力により一体的に後退して2本目のビーム材2の一側面を上記架設デッキ28の端面に当接、受止させる。このように、レール6、6の一端部間上に送り込まれたビーム材2は、架設デッキ28の端面に当接、受止されるので、その係合孔2c、2cの位置は常に一定位置となり、従って、上記ビーム材送り用油圧シリンダ25、25の伸長によるピン27a 、27a の移動量は一定となって、ビーム材2がレール6、6上に送り込まれる毎に位置合わせすることなく、簡単且つ確実にピン27a を係合孔2cに挿入、係止させることができる。
【0045】
2本目のビーム材2の係合孔2c、2cに対するピン27a 、27a の挿入、係止後、再び、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25のピストンロッド25a を収縮さることによって、これら2本のビーム材2、2を一体的に前後レール6、6の他端側に向かって該前後レール6、6間に掛け渡した状態で上記と同じ一定長さだけ移動させ、その移動によって形成された前後レール6、6の一端部間の空間部に3本目のビーム材2を上記同様にして搬入通路3A側からチェーンブロック21、21によって送り込み、2本目のビーム材2の係合孔2cに係止しているピン27a を該係合孔2cから離脱させてこれらの最初と2本目のビーム材2を上記ビーム材引張装置29、29の引張力によって一体的に上記3本目のビーム材2側に後退させて2本目のビーム材2の一側面を3本目のビーム材2の対向側面に密接させると共に、これらの3本のビーム材2を並設した状態で上記引張装置29、29の引張力により一体的に後退させて3本目のビーム材2を架設デッキ28の端面に当接、受止させ、この状態にしてピン昇降用油圧シリンダ27、27のピン27a を上記3本目のビーム材2の両端部下面に設けている係合孔2c、2cに係止させたのち、ビーム材送り用油圧シリンダ25、25を収縮させることによって3本のビーム材2を一体的に前後レール6、6の他端側に向かって一定距離だけ移動させる。
【0046】
以下、同様にしてビーム材2を搬入通路3A側からチェーンブロック21、21によって順次送り込み、前後レール6、6の一端部上間に数本(図においては6本)敷き並べ状態で接合、載架されると、図4に示すように、これらのビーム材2の長さ方向の中央部上面に突設している互いにビーム材2の幅方向に連通した前後一対の突片9a、9a' 間に、これらの数本のビーム材2の幅に等しい長さを有する上記連結材10を挿嵌してピン12を連結材10に設けているピン挿通支持孔10a 、10a'間に各ビーム材2の上記突片9a、9a' に設けているピン挿通孔9b、9b' を通じて挿通させることにより、これらの数本のビーム材2を一体に連結すると共に、これらのビーム材2の長さ方向の両端部上面間も上述したアングル材16によって一体に連結して大版サイズの足場板A1を形成する。
【0047】
そして、この足場板A1の形成に引き続いて、上記同様にしてレール6、6の一端部間上に数本のビーム材2を順次、送り込むことによって次の数本一組とする足場板A1を形成して該足場板A1を先に形成した上記足場板A1にビーム材送り用油圧シリンダ25、25とピン昇降用油圧シリンダ27、27の作動によって接合させた状態で前後レール6、6の他端側に向かって一定距離だけ移動させると共に、これらの足場板A1、A1の上面中央部と両端部とに固定した上記連結材10、10の連結板片11a 、11a'同士と、アングル材16、16の連結片16a 、16a'同士とをそれぞれ突き合わせた状態にしてボルト・ナット13、17により一体に連結する。
【0048】
以下、数本のビーム材2を一組とする足場板A1を前後レール6、6の一端部間上で次々と形成しながら前後レール6、6の他端側に向かって移動させると共に順次、連結することによって図1に示すように、数枚(図においては10枚)の足場板A1で前後レール6、6の全長に亘り敷き詰めた広さが21m×11.5mのデッキ状の足場Aを形成する。この状態におていは、前後レール6、6の最も他端側に配設されているビーム材2の両端に連繋したロープ30、30は前後レール6、6の一端部側に設置しているビーム材引張装置29、29によって一定の引張力で引き戻し方向に引っ張られている一方、前後レール6、6の最も一端部側に配設されているビーム材2は、架設ゼッキ28の端面に当接、受止されている。
【0049】
この足場Aの組立後、隣接する足場板A1、A1間を連結している互いに接合した上記連結材10、10の連結板片11a 、11a'のシャックル取付用孔にシャックル11b を取付け、この上方の天井梁Cから吊り下げている吊支具8におけるレバーブロック8cの下端フック8cを係止させたのち、該レバーブロック8cを操作してフック8cを引き上げることにより、図3に示すように、足場板A1を構成しているビーム材2の中央部の下方への撓みを矯正すると共に撓みの発生を防止して足場Aを平面度を向上させる。
【0050】
さらに、各足場板A1の上記連結材10の長さ方向の中央部上面とこの中央部上方の上記天井梁C間に長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱15を介在させ、この支柱15の上下端部を天井梁Cと連結材10の中央部上面とに着脱自在に連結することによって、足場板A1が強風時において浮き上がるのを防止している。また、足場板Aを構成している多数本のビーム材2において、数本のビーム毎にその両端部に装着している浮き上がり防止装置18の螺子棒18a を操作して、その下端の係止フック18c をレール6、6を敷設している梁材5の上側フランジ部に係止させ、蝶ナット18b を締め付けることによってビーム材2の両端部下面に装着している車輪7、7をレール6、6上に積極的に押し付け、足場Aの両端部の浮き上がりを防止する。
【0051】
こうして、前後レール6、6の全長に亘って多数本の並設ビーム材2からなる足場Aを組立てたのち、この足場A上に図2に示すようにローリングタワーDを配設してこのローリングタワーD上に作業員が乗って該ローリングタワーDを足場A上で移動させながら足場A上の橋梁構造物Bの床版B1の下面に全面的に塗装作業を行うと共にトラス構造物B2に対する塗装作業を行う。この際、ローリングタワーDの移動の邪魔になるのは、足場Aの中央部に設けいる上記吊支具8と浮き上がり防止防止用支柱15のみであるから、これらの吊支具8と浮き上がり防止防止用支柱15の両側方の足場A上にそれぞれローリングタワーD、Dを配設することよってローリングタワーDを自由に移動させながら円滑に能率よく塗装作業を行うことができる。この足場Aを利用した塗装作業が終了すると、該足場Aを分解、回収して次の隣接する水平構造部材1、1間の前後レール6、6間上に上記同様にして組立てる。
【0052】
足場Aの解体、撤去作業は、上記組立作業と逆の順序によって行われる。即ち、まず、浮き上がり防止装置18の蝶ナット18b を緩めて梁材5のフランジ部からの係止フック8cの係止を解くと共に浮き上がり防止用支柱15を取り外し、さらに、吊支具8におけるレバーブロック8cの下端フック8dを隣接する足場板A1、A1間を連結した上記連結材10、10の連結板片11a 、11a'に取付けているシャックル11b から取り外したのち、連結材10、10同士の連結を解くと共に該連結材10を足場板A1から取り外し、且つ、足場板A1の両端部上面間を連結しているアングル材16、16同士の連結も解くと共に該アングル材16を足場板10から取り外すことによって各足場板A1を形成している数本のビーム材2間の連結を解く。
【0053】
こうして、足場Aを構成している全てのビーム材2の連結を解いたのち、前後レール6、6の一端部間に架設されて架設デッキ28にその垂直な一側面を当接させている最端側のビーム材2の上面両端部に突設した係止金具2b、2bにチェーンブロック21、21のフック21a を引っ掛け、該ビーム材2を吊り上げると共に搬入通路3A上にまでチェーンブロック21、21を移動させ、しかるのち、吊り下ろすことによってその下方に待機している台車19上に載置する。
【0054】
一方、前後レール6、6間上に最初に送られて前後レール6、6の他端側の最端部に配設されているビーム材2には、上述したように、その両端面に上記架設デッキ28の前後両端側に配設しているビーム材引張装置29、29から引き出されたロープ30が連繋されていて該ビーム材2に連なる全てのビーム材を上記前後レール6、6の一端部側に向かって一定の引張力でもって引っ張っているので、前後レール6、6の一端部における最端側の上記ビーム材2がチェーンブロック21、21によって吊り上げられて前後レール6、6から離脱すると、該ビーム材2の幅に相当する長さだけビーム材引張装置29、29のロープ30が巻き戻されて前後レール6、6間上に存在する全てのビーム材2が互いに接合した状態でその両端部下面に取付けている車輪7、7を前後レール6、6上で転動させながら一本のビーム材2の幅に相当する長さだけ搬送通路3A側に移動し、次のビーム材2が架設デッキ28の端面に当接して停止した状態となる。なお、ビーム材2を受止するには、この架設デッキ28によることなく、架設デッキ28から、或いは、搬入通路3A側から受止部材を突設しておき、この受止部材によって受止させるように構成しておいてもよい。
【0055】
このように、ビーム材2の撤去時には、ビーム材引張装置29、29のロープ30の巻取り力によって全てのビーム材2を搬送通路3A側に自動的に引き寄せるので、人手を要することもなく、さらには、上記ビーム材送り用油圧シリンダ25、25やピン昇降用油圧シリンダ27、27を作動させることなくビーム材2の撤去作業を行うことができる。
【0056】
台車19上に載置されたビーム材2は、台車走行用レール20上を前後に隣接する水平構造部材1、1間の次の足場組立場所にまで搬入され、このビーム材2を上記同様にしてこれらの水平構造部材1、1に沿って互いに平行に敷設している梁5、5上のレール6、6の一端部間上に、この位置における柱材22、22の水平ガイド部材23に往復移動自在に配設しているチェーンブロック21、21により吊り下ろしてピン昇降用油圧シリンダ27、27を備えているビーム材送り用油圧シリンダ25、25やビーム材引張装置29、29を使用して足場Aの組立てを行うものである。
【0057】
このように、台車走行用レール20は、橋梁の一側端部に橋軸方向(長さ方向)に連続して設けられた通路3Aに敷設されてあり、この通路3Aの内方に、橋梁の橋軸方向に順次一定間隔毎に水平構造部材1がその長さ方向を該通路3aの長さ方向に直角に向けた状態で配設されているので、通路3Aを通じて、各隣接する水平構造部材1、1間に上記多数本のビーム材2による足場Aの組立て、解体が順次、円滑に行うことができる。なお、台車19上に1本のビーム材2を載せて足場の組立位置まで搬入してもよいが、数本のビーム材2を載置して組立位置まで搬入してもよい。
【0058】
また、上記ビーム材2を2本、予め、引き揃えた状態にして溶接することにより、幅広いビーム材に作製しておいてもよく、この場合には、足場Aの組立時間を一層短縮させることができる。さらに、ビーム材2の両端部下面に車輪7、7を取付けておき、この車輪7、7を前後レール6、6上で転動させることによりビーム材2を前後レール6、6の長さ方向に移動させるように構成しているが、上記車輪7、7に代えて、ビーム材2の両端部下面に前後レール6、6に係合しながら該レール6、6上を摺動する滑り板を固着しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明足場の簡略平面図。
【図2】その一部を省略した簡略斜視図。
【図3】吊支具と浮き上がり防止用支柱の取付部分の簡略正面図。
【図4】その一部の平面図。
【図5】吊支具と浮き上がり防止用支柱の側面図。
【図6】ビーム材と連結材との連結構造を示す簡略縦断側面図。
【図7】浮き上がり防止装置の簡略縦断側面図。
【図8】ビーム材吊り上げ装置部分の正面図。
【図9】ビーム材送り出し手段部分の縦断側面図。
【図10】その正面図。
【図11】平面図。
【符号の説明】
【0060】
A 足場
B 橋梁構造物
B1 床版
1 水平構造部材
2 ビーム材
3A ビーム材搬入通路
6 レール
8 吊支具
10 連結材
15 浮き上がり防止用支柱
19 台車
20 台車走行用レール
29 ビーム材引張装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間の空間部に張設した足場であって、上記水平構造部材に沿って敷設されているレール上間に一定長さを有するビーム材を多数本、隣接するビーム材同士の対向面を接合させた状態で横並び状に且つレールの長さ方向に移動可能に載架してデッキ状の足場に形成していることを特徴とする橋梁構造物における足場。
【請求項2】
各ビーム材の両端部下面に車輪を取付けてあり、この車輪を水平構造部材に沿って敷設されているレール上に該レールの長さ方向に移動可能に乗せていることを特徴とする請求項1に記載の橋梁構造物における足場。
【請求項3】
ビーム材は数本を一組としてその長さ方向の上面中央部を連結材によって一体に連結していると共に該連結材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して吊支させていることを特徴とする請求項1に記載の橋梁構造物における足場。
【請求項4】
連結材と梁間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結していることを特徴とする請求項3に記載の橋梁構造物における足場。
【請求項5】
橋梁構造物の床版下方に設けている互いに平行な水平構造部材間に、これらの水平構造部材の長さ方向の一端側から一定長さを有するビーム材を、その長さ方向を水平構造部材の長さ方向に直角に向けた状態にして送り込んで該ビーム材の長さ方向の両端下面をこれらの水平構造部材に沿って敷設しているレール上間に架設したのち、該ビーム材を水平構造部材の他端側に向かってこれらのレール間上で移動させ、次いで、次のビーム材を上記同様にしてレール間上に架設したのち、水平構造部材の他端側に向かって移動させることにより先に送り込んだビーム材に接合させ、この作業を繰り返し行って上記水平構造部材間に多数本のビーム材を敷き詰め状に並設してデッキ状の足場を形成することを特徴とする橋梁構造物における足場の組立方法。
【請求項6】
両水平構造部材の一端側の上方にチェーンブロックを配設してあり、これらのチェーンブロックの下方にまで橋梁構造物の一側方の通路を通じてビーム材を送り込んだのち、該ビーム材の両端部上面を上記チェーンブロックに吊り上げて両水平構造部材の一端部間上に送り出し、さらに、吊り下ろすことによってビーム材の両端部下面に取付けている車輪を両水平構造部材に沿って敷設しているレールの一端部間に載架させ、しかるのち、該ビームの両端部を送り出し手段によって水平構造部材の他端側に向かってレール間上を所定距離だけ移動させることを特徴とする請求項5に記載の橋梁構造物における足場の組立方法。
【請求項7】
両水平構造部材間に送り込まれた数本の並設ビーム材を一組として、各組のビーム材をその長さ方向の中央部上面間を連結部材によって連結したのち、この連結部材を橋梁構造物の床版下方に配設している梁に吊支具を介して支持させると共に該梁と連結部材間を長さ調整可能な浮き上がり防止用支柱によって連結することを特徴とする請求項5に記載の橋梁構造物における足場の組立方法。
【請求項8】
両水平構造部材の一端部側にビーム材引張装置を配設してあり、レール間上に最初に載架されたビーム材の両端にこれらのビーム材引張装置から繰り出されるロープの先端を連結しておくことを特徴とする請求項5に記載の橋梁構造物における足場の組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−46356(P2007−46356A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232750(P2005−232750)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(592185585)株式会社ブリッジ・エンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】