説明

橋梁用の規制部材及びその設置方法並びに橋梁用の連結支柱

【課題】吊り具の取り付け、取り外しを省略して規制部材等の設置の作業性を向上させる。
【解決手段】橋梁の上部構造2と下部構造3との間に設けられるとともに、下部構造3に対する上部構造2の位置を規制するための規制部材1であって、下部構造3に固定される中空状で棒状の本体部4と、上部構造2に固定されるとともに、下部構造3に対して上部構造2が変位したときに、本体部4に当接して、下部構造3に対する上部構造2の変位を規制する規制部5とを備え、本体部4の内面側に、本体部4を吊り上げるための吊り部11が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁等からなる上部構造と、橋脚等からなる下部構造との間に設けられ、地震等の場合に、下部構造に対する上部構造の許容量以上の変位を規制する橋梁用の規制部材(ストッパともいう)、およびその設置方法、並びに上部構造と下部構造とを連結するための橋梁用の連結支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の橋梁用の規制部材としては、橋脚等からなる下部構造に固定される中空状の棒状体と、橋桁等からなる上部構造に固定されるとともに、棒状体の一端部を所定の隙間をもって覆う箱体とを有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この規制部材は、箱体を棒状体に対して所定の位置で仮固定する仮固定具と、棒状体に対して着脱自在に取り付けられる吊り具とを有する。
【0004】
この規制部材は、以下のようにして、橋梁の上部構造と下部構造の間に設置される。
【0005】
すなわち、規制部材は、まず、仮固定具によって箱体を棒状体に仮固定した状態で、棒状体に取り付けられた吊り具を介して下部構造の上方位置まで吊り上げられる。その後、下部構造に設けられている箱抜き孔に棒状体の下端部を嵌入し、この箱抜き孔にコンクリートを打設して棒状体を下部構造に固定する。
【0006】
上記のように棒状体を下部構造に固定した後、吊り具を棒状体から取り外し、棒状体の
上端部に形成された開口部を介して、その内部にコンクリートを打設し、その後、棒状体の上端部の開口部を蓋体で閉塞する。
【0007】
その後、上部構造の下面と箱体の下面とが面一となるように、上部構造の型枠を組み、型枠にコンクリートを打設して、箱体が一体となった状態で上部構造を形成する。
【0008】
なお、仮固定具は、箱体が棒状体に対して所定の隙間を有した状態で、この箱体を棒状体に仮固定しているが、上部構造のコンクリートが固化するとき等に上部構造が収縮し、このときの剪断力に応じて剪断破壊され、これによって仮固定を解除するようになっている。
【0009】
以上によって、規制部材は、箱体と棒状体とが所定の間隔を有して位置した状態で、橋梁の上部構造と下部構造との間に設置される。
【0010】
例えば地震等が生じたとき、その振動によって、上部構造が下部構造に対して変位したときに、許容量を超えると(箱体と棒状体との隙間よりも大きく変位すると)、箱体が棒状体に当接して、それ以上変位しないように上部構造の位置が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−152650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の規制部材では、規制部材を設置する場合に、吊り具を棒状体に取り付け、棒状体を吊り上げて下部構造に固定した後に、この吊り具を再度取り外す必要があったため、設置作業が煩わしいものであった。
【0013】
そこで、本発明は、吊り具の取り付け、取り外しを省略することで、設置の作業性を向上できる橋梁用の規制部材及びその設置方法を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の他の課題は、吊り具の取り付け、取り外しを省略することで設置の作業性を向上できる橋梁用の連結支柱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためのものであって、橋梁の上部構造と下部構造との間に設けられるとともに、下部構造に対する上部構造の位置を規制するための規制部材であって、下部構造に固定される中空状で棒状の本体部と、上部構造に固定されるとともに、下部構造に対して上部構造が変位したときに、本体部に当接して、下部構造に対する上部構造の変位を規制する規制部とを備え、本体部の内面側に、本体部を吊り上げるための吊り部が設けられてなることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、本体部の内面側に吊り部を設けているので、この吊り部を本体部から取り外すことなく、内部にコンクリートを打設すればよい。これによって、吊り部を本体部から取り外すという作業を省略することができ、規制部材の設置の作業性を向上させることが可能になる。
【0017】
また、本発明に係る規制部材は、前記本体部が、内部にコンクリートを打設できるように、その上部に開口部を有することが望ましい。また、本発明に係る規制部材は、前記本体部が前記上部構造と下部構造との間に設けられた状態において、内部にコンクリートが打設されてなることが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、開口部から本体部の内部にコンクリートを打設することにより、本体部を所望の強度を有する構造体として構成することができる。
【0019】
また、本発明に係る規制部材は、規制部を本体部に仮固定するための仮固定具を備えることで、規制部と本体部とを所定の位置関係を維持した状態で設置することが可能になる。
【0020】
また本発明は、上記のような規制部材を上部構造と下部構造との間に設置する方法であって、本体部の上端部に対応する位置に規制部を配置して本体部に規制部を仮固定した後に、本体部の吊り部を介して本体部を下部構造の上方位置に吊り上げ、本体部を固定するために下部構造に形成される凹部に吊り上げられている本体部の下端部を挿入し、本体部と凹部との間にコンクリートを打設することによって、本体部を下部構造に固定し、規制部を上部構造に一体に固定した後に、本体部に対する規制部の仮固定を解除することを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、本体部の内面側に吊り部を設けているので、この吊り部を本体部から取り外すことなく、内部にコンクリートを打設すればよい。これによって、吊り部を本体部から取り外すという作業を省略することができ、規制部材の設置作業の作業効率を向上させることが可能になる。
【0022】
また、本発明は、橋梁の上部構造と下部構造とを連結して支持する連結支柱であって、中空状の本体部を有し、この本体部の内面側に本体部を吊り上げるための吊り部が設けられてなることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、本体部の内面側に吊り部を設けているので、この吊り部を本体部から取り外すことなく、内部にコンクリートを打設すればよい。これによって、吊り部を本体部から取り外すという作業を省略することができ、連結支柱の設置の作業性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、吊り具の取り付け、取り外しを省略して設置作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る規制部材の側面図である。
【図2】規制部材の別の角度からの側面図である。
【図3】仮固定具によって規制部を本体部に仮固定した状態を示す部分拡大側面図である。
【図4】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図5】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図6】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図7】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図8】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図9】規制部材の設置方法を説明するための側面図である。
【図10】本発明に係る連結支柱の側面図である。
【図11】連結支柱の別の角度からの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る容器を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図9は、本発明の規制部材及び規制部材の設置方法の一実施形態を示す。規制部材1は、橋梁の上部構造2と下部構造3との間に設けられるとともに、下部構造3に対する上部構造2の変位を許容量以下になるように規制するためのものである。
【0027】
図1及び図2に示すように、規制部材1は、下部構造3に固定される本体部4と、上部構造2に固定されるとともに、下部構造3に対して上部構造2が変位したときに、本体部4に当接して、下部構造3に対する上部構造2の変位を規制する規制部5と、規制部5を本体部4に仮固定するための仮固定具6とを備える。
【0028】
本体部4は、金属製で、四角柱状(直方体状)又は棒状に構成されている。本体部4は、中空状に構成されており、その一端部(下端部)が閉塞されている。本体部4は、下部構造3に固定される前において、その他端部(上端部)が閉塞されずに、開口部7を有する。本体部4には、開口部7を介して内部にコンクリートCが打設されるようになっている。
【0029】
本体部4には、規制部5が本体部4に当接したときに、その衝撃を緩衝するための緩衝部材8が設けられている。この緩衝部材8は、本体部4の上部外面を周方向に亘って全て覆うように、筒状(例えば四角筒状)に構成されている。緩衝部材8の材料としては、クロロプレンゴムその他の弾性体が使用される。本体部4は、内部にコンクリートCが打設された後に、蓋体(以下「第1蓋体」という)9によってその上端部の開口部7が閉塞される。第1蓋体9は、例えば、クロロプレンゴムその他の弾性体で構成される。
【0030】
本体部4は、内面側に、この本体部4を吊り上げるための吊り部11を有する。本実施形態では、本体部4の内側に2つの吊り部11が設けられている。2つの吊り部11は、四角柱状(四角筒状)の対向する2つの側壁部4a,4bにそれぞれ設けられている。これによって、2つの吊り部11は、互いに対向するように配置される。
【0031】
各吊り部11は、金属製で、板状に構成されている。各吊り部11には、板厚方向に貫通する貫通孔12が形成されている。
【0032】
本体部4の中途部の外面には、仮固定具6を取り付けるための取付部(以下「第1取付部」という)13が設けられている。この第1取付部13は、金属製で板状に構成されるとともに、本体部4の中途部の外面から外方に突出するように形成されている。第1取付部13は、その板厚方向に貫通する貫通孔14を有する。
【0033】
規制部5は、本体部4の上部側面を覆う両端開放状の筒状体21と、この筒状体21の一端部(上端部)を閉塞する蓋体(以下「第2蓋体」という)22とを有する。
【0034】
筒状体21は、本体部4の四角柱状(四角筒状)に対応して、四角筒状に構成されている。この筒状体21は、本体部4の外周部を所定の間隔(隙間)を有して覆うことができるように、本体部4よりも大きく構成される。具体的には、この筒状体21は、本体部4の側部外面と筒状体21の内面との間に隙間(間隔)が生じるように、その四角形の1辺が、本体部4の四角形の1辺よりも大きくなっている。
【0035】
筒状体21の下部外面には、規制部5を本体部4に仮固定する際に仮固定具6が取り付けられる取付部(以下「第2取付部」という)23が設けられている。この第2取付部23は、この筒状体21の周方向にわたるフランジ部となっている。この第2取付部23は、筒状体21の全周にわたって形成されているので、平面視において四角形状に構成される。
【0036】
この第2取付部23には、上下方向に貫通する4つの貫通孔24が形成されている。4つの貫通孔24は、平面視四角形状の筒状体21の対向する側壁部に対応して、第2取付部23において互いに対向する2辺に2つずつ振り分けられて設けられている。
【0037】
この貫通孔24は、仮固定具6によって規制部5を本体部4に仮固定する場合に、本体部4の第1取付部13の貫通孔14と一致すべく、第2取付部23に位置づけられている。
【0038】
第2蓋体22は、平面視四角形状の天板26と、この天板26の周縁部から板厚方向の一方側に突出する側板27とを有する。天板26の一方の面には、この天板26を吊り上げるための吊り部28が設けられている。吊り部28は板状に構成されるとともに、板厚方向に貫通する貫通孔29を有する。
【0039】
側板27は、第2蓋体22が筒状体21の端部を閉塞するときに、筒状体21の上部側面の外周を覆うべく、四角形の枠形状に構成されている。側板27の一部には、この側板27の板厚方向(横方向)に貫通するねじ孔30が形成されている。筒状体21の上端部の外側面には、規制部5を本体部4に仮固定した状態で、この側板27のねじ孔30と一致する位置に凹部21aが形成されている(図4等参照)。
【0040】
第2蓋体22は、筒状体21の上端部に被せられ、ねじ孔30にねじ31を螺合させ、ねじ31の先端を筒状体21の凹部21aに入れることにより、筒状体21に対して一体に固定される。
【0041】
図3に示すように、仮固定具6には、ボルト6a及びナット6bが使用されている。この仮固定具6は、本体部4の第1取付部13と規制部5の筒状体21に設けられた第2取付部23とを連結することにより、規制部5を本体部4に仮固定する。
【0042】
具体的には、規制部5の筒状体21の内部に本体部4を挿入し、本体部4の第1取付部13の貫通孔14と筒状体21の第2取付部23の貫通孔24とを一致させ、第1取付部13の貫通孔14から第2取付部23の貫通孔24へとボルト6aを通し、ボルト6aの先端を第2取付部23の上方に突出させ、この先端にナット6bを螺合させることにより、第1取付部13と第2取付部23とを連結する。
【0043】
図3に示すように、規制部5を本体部4に仮固定する場合には、第1取付部13と第2取付部23との間に、スペーサ32が設けられる。スペーサ32は、例えばPTFE、クロロプレンゴム等の合成樹脂による弾性体により板状に構成されている。このスペーサ32には、板厚方向に関する複数(本例では2つ)の貫通孔33が形成されている。この貫通孔33には、仮固定具6のボルト6aが挿通される。
【0044】
このスペーサ32は、本体部4に対して規制部5が移動したときに、規制部5(第2取付部23)がこのスペーサ32に沿って摺動するように第1取付部13と第2取付部23の間に配置されている。このスペーサ32は、摩擦係数が低く設定されており、規制部5の第2取付部23がスペーサ32上を摺動する際に大きな摩擦力が生じることもない。
【0045】
以下、規制部材1を橋梁の上部構造2と下部構造3との間に設置する方法について説明する。
【0046】
規制部材1を設置するにあたり、事前に、規制部5を本体部4に仮固定する。具体的には、規制部5の筒状体21を、本体部4が内側に入るように、この本体部4に被せる。そして、本体部4の第1取付部13と第2取付部23の間にスペーサ32を介在させて、第1取付部13の貫通孔14、スペーサ32の貫通孔33、及び第2取付部23の貫通孔24を一致させてこれらにボルト6aを挿通した後、ナット6bで締結することで、これら連結固定する。このとき、本体部4には、第1蓋体9が取り付けられておらず、筒状体21には、第2蓋体22を取り付けられていない。
【0047】
規制部5の筒状体21を本体部4に仮固定した後、本体部4をクレーン等の搬送機械によって吊り上げる。このとき、本体部4の内部側に設けられている吊り部11の貫通孔12に、搬送機械に備えられている吊り上げ用(玉掛け用)治具(フック、玉掛け用ワイヤ等)を掛止させる。
【0048】
そして、搬送機械によって本体部4を橋梁の下部構造3の上方位置まで吊り上げる。下部構造3はコンクリートC駆体により構成されるとともに、その上面に、本体部4の下端部を入れるための凹部(箱抜き孔)3aが形成されている。
【0049】
次に、吊り上げられている本体部4の下端部を下部構造3の凹部3aに挿入する。そして、吊り上げ用の治具を吊り部11から取り外す。凹部3aは本体部4よりも大きく形成されており、本体部4をこの凹部3aに入れた状態では、凹部21aの側壁面と本体部4の外面との間に若干の隙間が生じる。図4に示すように、この隙間にコンクリートCを打設して本体部4を下部構造3に固定する。
【0050】
次に、図5に示すように、本体部4の開口部7を介してその内部にコンクリートCを打設する。これによって、本体部4内に設けられている吊り部11はコンクリートCに埋設される。このコンクリートC打設により、本体部4は、上部構造2の変位を規制するために十分な強度を備えた構造体となる。
【0051】
次に、図6に示すように、本体部4の開口部7に第1蓋体9を嵌めて閉塞する。その後、図7に示すように、第2蓋体22によって筒状体21の上端部を閉塞する。第2蓋体22は、その吊り部28を介して搬送機械によって吊り上げ、筒状体21の上端部に載せることができる。
【0052】
第2蓋体22を筒状体21の上端部に載せる場合には、枠状の側板27の内側に、筒状体21の上端部が入るようにする。その後、第2蓋体22のねじ孔30にねじを螺合させ、ねじの先端を筒状体21の凹部21aに入れ、第2蓋体22を筒状体21に固定する。
【0053】
次に、上部構造2を構成するとともに、規制部5をこの上部構造2に一体化させる。すなわち、上部構造2の下面と、規制部5の筒状体21の下端部(第2取付部23の下面)とが一致するように型枠36を組み、この型枠36にコンクリートCを打設する。このコンクリートCが固化することにより、規制部5は、上部構造2と一体化される。
【0054】
最後に、仮固定具6のボルト6aを抜き取って、仮固定を解除する。なお、仮固定具6を構成するナット6bは、上部構造体の駆体内に埋設されるため、取り外す必要はない。このようにして規制部5の本体部4に対する仮固定を解除すると、規制部5は、その内面が、本体部4の外面に対して所定間隔離間し(隙間が生じ)、本体部4を覆った状態で上部構造2に保持される。
【0055】
以上により、規制部材1の設置が完了する。
【0056】
図10、図11は、本発明に係る連結支柱の一実施形態を示す。この連結支柱41は、橋梁の上部構造2と下部構造3とを連結して支持するためのものである。連結支柱41は、中空状で棒状の本体部42を有する。本体部42は、金属製でその一端部(下端部)が閉塞され、他端部(上端部)が閉塞されずに、開口部43となっている。この本体部42は、その内面側に本体部42を吊り上げるための2つの吊り部44を有する。
【0057】
本体部42の上部外面には、本体部42の上部の全周を覆う緩衝部材45が設けられている。緩衝部材45は、合成樹脂(例えば、クロロプレンゴム)その他の弾性体により筒状に構成される。
【0058】
本体部42の開口部43は、この本体部42にコンクリートCが打設された後に、蓋体46によって閉塞される。
【0059】
この連結支柱41を上部構造2と下部構造3の間に設置するには、まず、本体部42の内部に設けられている吊り部44にクレーン等の搬送機械の吊り上げ用治具を掛止させ、下部構造3の上方位置まで吊り上げる。
【0060】
その後、下部構造3の上面に形成されている凹部3bにこの本体部42の下端部を挿入し、本体部42と凹部3bとの隙間にコンクリートCを打設して、本体部42を下部構造3に固定する。
【0061】
次に、本体部42の上部位置にて、この本体部42の上部が上部構造2に含まれるように、上部構造2を構成するための型枠を組み、この型枠にコンクリートCを打設する。
【0062】
以上によって連結支柱41の設置が完了する。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る規制部材1及びその設置方法によれば、規制部材1の本体部4の内面側に吊り部11を設けているので、この吊り部11を本体部4から取り外すことなく、内部にコンクリートCを打設すればよい。これによって、吊り部11を本体部4から取り外すという作業を省略することができ、規制部材1の設置の作業性を向上させることが可能になる。
【0064】
規制部材1は、本体部4が、内部にコンクリートCを打設できるように、その上部に開口部7を有し、上部構造2と下部構造3との間に設けられた状態において、内部にコンクリートCが打設されるため、本体部4を軽量化して吊り上げ作業を容易に行うことができるようになる。
【0065】
また、規制部5が、上部構造2側に固定されるとともに、本体部4の上部を所定の間隔(隙間)を有して覆い、かつ、上部構造2が下部構造3に対して所定の間隔以上に変位しようとしたときに、本体部4に当接することで、上部構造2の変位を規制するように構成されることにより、確実に上部構造2を規制することができる。
【0066】
また、本体部4の外面には弾性体からなる緩衝部材8が設けられているため、規制部5が本体部4に当接したときの衝撃を吸収することができる。同様に、本体部4の開口部7を閉塞する第1蓋体9の弾性体によって構成されているため、上部構造2が上下に振動して規制部5の第2蓋体22が、第1蓋体9に当接した場合に、その衝撃を吸収することができる。
【0067】
また、規制部材1及び連結支柱41は、本体部4,42がその上端部に開口7、43を有しており、この開口7,43を介して本体部4,42内にコンクリートCを打設した後に、蓋体9、46によって開口部7,43を閉塞するように構成されているため、開口部7,43の開口面積を可及的に大きくすることが可能である。したがって、本体部4,42内へのコンクリートCの打設作業を効率良く行うことができる。
【0068】
また、連結支柱41は、本体部42の内面側に吊り部44を設けているので、この吊り部44を本体部42から取り外すことなく、内部にコンクリートCを打設すればよい。これによって、吊り部44を本体部42から取り外すという作業を省略することができ、連結支柱41の設置の作業性を向上させることが可能になる。
【0069】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0070】
例えば、上記の実施形態では、本体部4が四角柱状に構成された例を示したが、これに限定されず、円柱状、多角柱状その他の棒状に構成されてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、本体部4の内側に設けられる吊り部11として、板状に構成し、貫通孔12を形成したものを例示したが、これに限定されず、吊り部11は、本体部4の内面から突出して吊り上げ用治具を掛止可能な形状であればよく、鉤状のものやその他の形状を採用してもよい。また、本体部4の内面に、凹部を形成し、この凹部に吊り上げ用のフックを掛止させて吊り上げるようにしてもよい。
【0072】
また、ヒンジ手段を介して吊り部11を本体部4の内面側に連結し、吊り部を使用しない場合には、このヒンジ手段を介して吊り部11を本体部4の内面に近接するように畳むことができるようにしてもよい。
【0073】
上記の実施形態では、本体部4内に2つの吊り部11を設けた例を示したが、これに限定されず、本体部4内に1つ、又は3つ以上の複数の吊り部を設けるようにしてもよい。吊り部11を1つにする場合には、例えば、本体部4の対向する側壁部4a,4b間に吊り部11を掛け渡すようにして固定する構成を採用してもよい。
【0074】
上記の実施形態では、仮固定具6として、ボルト6a、ナット6bを例示したが、これに限らず、仮固定具6は、第1取付部13と第2取付部23とを強固に連結することが可能であればよく、継ぎ手類や、第2取付部23にねじ孔を形成し、このねじ孔にボルト6aを螺合して連結する等の種々の連結手段を採用できる。
【符号の説明】
【0075】
1…規制部材、2…上部構造、3…下部構造、3a…凹部、3b…凹部、4…本体部、4a…側壁部、4b…側壁部、5…規制部、6…仮固定具、6a…ボルト、6b…ナット7…開口部、8…緩衝部材、9…第1蓋体、11…吊り部、12…貫通孔、13…第1取付部、14…貫通孔、21…筒状体、21a…凹部、22…第2蓋体、23…第2取付部、24…貫通孔、26…天板、27…側板、28…吊り部、29…貫通孔、30…ねじ孔、31…ねじ、32…スペーサ、33…貫通孔、36…型枠、41…連結支柱、42…本体部、43…開口部、44…吊り部、45…緩衝部材、46…蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の上部構造と下部構造との間に設けられるとともに、下部構造に対する上部構造の位置を規制するための規制部材であって、
下部構造に固定される中空状で棒状の本体部と、上部構造に固定されるとともに、下部構造に対して上部構造が変位したときに、本体部に当接して、下部構造に対する上部構造の変位を規制する規制部とを備え、
本体部の内面側に、本体部を吊り上げるための吊り部が設けられてなることを特徴とする規制部材。
【請求項2】
前記本体部は、内部にコンクリートを打設できるように、その上部に開口部を有する請求項1に記載の規制部材。
【請求項3】
前記本体部は、前記上部構造と下部構造との間に設けられた状態において、内部にコンクリートが打設されてなる請求項1又は2に記載の規制部材。
【請求項4】
規制部を本体部に仮固定するための仮固定具を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の規制部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の規制部材を上部構造と下部構造との間に設置する方法であって、
本体部の上端部に対応する位置に規制部を配置して本体部に規制部を仮固定した後に、本体部の吊り部を介して本体部を下部構造の上方位置に吊り上げ、
本体部を固定するために下部構造に形成される凹部に吊り上げられている本体部の下端部を挿入し、本体部と凹部との間にコンクリートを打設することによって、本体部を下部構造に固定し、
規制部を上部構造に一体に固定した後に、本体部に対する規制部の仮固定を解除することを特徴とする規制部材の設置方法。
【請求項6】
橋梁の上部構造と下部構造とを連結して支持する連結支柱であって、中空状の本体部を有し、この本体部の内面側に本体部を吊り上げるための吊り部が設けられてなることを特徴とする連結支柱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−219933(P2011−219933A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87640(P2010−87640)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(592001447)株式会社巴製作所 (5)
【Fターム(参考)】