説明

機器のコントローラ

【課題】 機器コントローラから、機器内複数モジュールに設定変更を通知する処理の効率化,コントローラ負荷低減。
【解決手段】 機器使用,機内状態又は動作実績の制御又は管理を行う複数のモジュール104〜108,・・・を有し、複数の動作モードを有する機器MFPの、入力手段5,17の入力に応じて動作モードを設定するコントローラ100であって、動作モードを特定する複数の項目の設定値113および設定値変更の通知要否を各モジュール宛てに表すモジュール特定情報114を記憶する記憶手段112、および、設定値の変更に応じて、該設定値の項目のモジュール特定情報114にある通知要否を検索して通知要のモジュールに、変更を通知する変更通知手段116を備える。モジュール特定情報は、各モジュール宛の通知要否ビットの配列である(表1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の動作モードを有する機器に、ユーザ入力に応じて動作モードを設定するコントローラに関し、特に、動作モードに影響する各種設定項目のパラメータ(設定値)に変更があるときの、機器内の、該パラメータを参照して機器使用,機内状態もしくは動作実績の制御又は管理を行うモジュールへの変更通知に関する。本発明は例えば、これに限る意図ではないが、プリンタ,スキャナ,複写機,ファクシミリ,複合機能プリンタ(MFP)の、印刷,原稿読取り,複写,ファクシミリ受送信,複合機能の各機能などの動作を設定するコントローラに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば複合機MFPなどの各種設定項目のパラメータについて、そのパラメータを利用する機器内のモジュールが主体的に、対象パラメータの現在値を、データベースへ参照しに行き自身で保持している値と比較することによって、パラメータに変更があったかどうかを判断している。従来方式では、パラメータに変更があったことをリアルタイムに認識するために一定期間毎にパラメータを確認する処理が走るのでシステムの処理効率が低下する。
【0003】
従来の方法ではたとえばパラメータの状態の監視をポーリングにより一定の間隔をおいて行うとした場合に、正確なタイミングでパラメータに変更があったことを検知できない。また、機器内のモジュールがある期間で繰り返しパラメータを確認するため処理効率が低下しているという問題がある。
【0004】
上記コントローラには該当しないが、特許文献1には、MFPが機外のネットワークを介して接続されるパソコンPC(ユーザ端末)に、MFP内設定情報の変更を通知する通知方法が記載されている。記憶手段には、設定情報と、通知の要否を表す要否情報とを対応付けて記憶しており、通知が必要な設定値変更があると、管理権限があるユーザ端末に設定変更通知を行う。設定値の項目毎に通知の要否が設定されているが(表2)、項目毎の通知先の特定はなく、通知要の設定値に変更があると、管理権限があるユーザ端末のすべてにメールで変更が通知される。
【0005】
上記コントローラには該当しないが、上記ポーリングによる設定値変更の確認の問題点を改善するものとして、特許文献2には、ネットワーク端末装置同士を接続したネットワークにおいて、一方のネットワーク端末装置(送信端末)に関する設定の変更内容を、他方のネットワーク端末装置(受信端末)に認識させる際に、ネットワークにかかる負荷を低減するために、設定の変更をした送信端末はネットワークから離脱してそれから一定時間後にネットワークに復帰して受信端末に参加通知を行い、この参加通知に応答して受信端末が該参加通知に応答して、該設定の変更内容の送信を送信端末に要求しこれに応答して送信端末が送ってくる変更内容を受信する、UPnPを利用する設定情報送受信システムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2の設定変更通知では、ネットワークに接続されているPCすべてに対して一律に設定変更をおこなうので、ネットワーク接続PCが多いと、ネットワークにかかる負荷が増大する。設定項目ごとに設定変更を通知するPCを設定することは出来ない。
【0007】
本発明は、上述の従来の端末とは異なる、複数の動作モードを有する機器のユーザ入力に応じて動作モードを設定するコントローラから、該機器内の、機器使用,機内状態もしくは動作実績の制御又は管理を行う複数のモジュールに設定変更を通知する際の、通知処理を高効率にしてコントローラの負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)機器使用,機内状態および動作実績の少なくとも1つの制御又は管理を行う複数のモジュール(104〜108,・・・)を有し、複数の動作モードを有する機器(MFP)の、入力手段(5,17)の入力に応じて動作モードを設定するコントローラであって、
前記動作モードを特定する複数の項目の設定値(113)および該設定値の変更の通知要否を各モジュール宛てに表すモジュール特定情報(114)を記憶する記憶手段(112);および、
前記記憶手段(112)にある設定値の変更に応じて、該設定値の項目のモジュール特定情報(114)にある通知要否を検索して通知要のモジュールに、設定値の変更を通知する変更通知手段(116);
を備えることを特徴とするコントローラ(100)。
【0009】
(2)前記モジュール特定情報は、前記複数の項目のそれぞれに1つの配列が宛てられた(表1)、前記複数のモジュールそれぞれに割り当てられた情報ビットの配列(通知先フラグ)であり、前記変更通知手段(116)は、変更された設定値の項目に宛てられた前記配列の各情報ビットを配列順に参照して該情報ビットが通知要であると、該情報ビットが宛てられたモジュール(表2)に、設定値の変更を通知する;上記(1)に記載のコントローラ。
【0010】
(3)前記機器は原稿スキャナであり、前記コントローラは該原稿スキャナの原稿読取りモードを設定するスキャナコントローラである;上記(1)又は(2)に記載のコントローラ。
【0011】
(4)前記機器はプリンタであり、前記コントローラは該プリンタの印刷モードを設定するプリンタコントローラである;上記(1)又は(2)に記載のコントローラ。
【0012】
(5)前記機器は、原稿スキャナおよびプリンタを備える複写機であり、前記コントローラは、前記プリンタおよび原稿スキャナの複写動作を設定する複写システムコントローラである;上記(1)又は(2)に記載のコントローラ。
【0013】
(6)前記機器は、原稿スキャナおよびプリンタを備え、原稿スキャナ単独動作,プリンタ単独動作および複写動作を行う複合機能プリンタであり、前記コントローラは、前記プリンタおよび原稿スキャナの動作モードを設定する複合機能プリンタコントローラである;上記(1)又は(2)に記載のコントローラ。
【0014】
(7)前記機器は、ファクシミリ機能を備え、前記コントローラは、ファクシミリ機能の動作モードを設定する;上記(5)又は(6)に記載のコントローラ。
【0015】
なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【発明の効果】
【0016】
モジュール特定情報が、各モジュール宛の設定値変更の通知要否を表すものであって、設定値変更の通知先が記憶手段において設定項目ごとに特定されているので、変更通知手段による通知先の検索および通知が簡易になり、コントローラによる設定変更通知の処理が高効率になりコントローラの負荷が低減する。
【0017】
また、モジュール特定情報を、各モジュールに1ビットが割り当てられたビット列として、各モジュールからモジュール特定情報(ビット列)の各ビットに、例えばビットフラグ「1」を設定あるいは消去(「0」に)することで、各通知先モジュールに対する変更通知の要否を柔軟に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例である複合機能プリンタMFPの構成の概要を示すブロック図である。
【図2】図1に示すプリンタコントローラ100の、本発明の実施にかかわる機能構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す各モジュールからの設定値入力に応答してプリンタコントローラ100のCPU7が実行する設定値変更処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】図2に示す各モジュールからの通知先(変更通知要)としての登録要求に応答してプリンタコントローラ100のCPU7が実行する、該モジュールを通知先とする登録処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】図2に示す各モジュールからの非通知先(変更通知不要)としての登録要求に応答してプリンタコントローラ100のCPU7が実行する、該モジュールを非通知先とする登録抹消処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【実施例】
【0020】
図1に、本発明の一実施例である複合機能プリンタMFPを示す。読み取り装置1は原稿スキャナであって、CCD光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータとそれらの駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで得る原稿の濃淡情報から、RGB各8ビットのデジタル画像データを生成し出力する。第1画像データ処理装置2は、読み取り装置1からのデジタル画像データに対し、予め定めた特性に統一する処理を施す。統一する特性は画像データをMFP内部に蓄積・再利用する場合に出力先の変更に適する特性である。
【0021】
読み取り装置1から入力され、デジタル化された画像データは、第1画像データ処理装置2内のスキャナγ変換で、反射率を基にした特性から予め定められた特性、例えばγ=2.2にγ特性を変換される。次に第1画像データ処理装置2は、フィルタ処理を施し、読み取り装置1の持つMTF特性などの特性を予め定められた特性に補正する。第1画像データ処理装置2は、読み取り装置1の色空間から予め定められた色空間へと色変換する。つぎに、読み取り装置1から入力された解像度から予め定められた解像度へと変換する。
【0022】
第1画像データ処理装置2で特性を統一された画像データは、バス制御装置3に送られる。バス制御装置3は、第1画像データ処理装置2からのRGB画像データを受け取ると、CPU7を介してメモリ8に蓄積する。メモリ8に展開されたRGB画像データは、再出力に備えるなど必要に応じてHDD6へも蓄積保存する。次にメモリ8に蓄積されたRGB画像データは、CPU7及びバス制御装置3を介して、第2画像データ処理装置4に送られる。
【0023】
バス制御装置3は、画像データや制御コマンド等各種データのやり取りを行うデータバスの制御装置であって、複数種のバス規格間のブリッジ機能も有している。本実施例では、第1画像データ処理装置2,第2画像データ処理装置4,CPU7とはPCI−Expressバス,HDD6とはATAバスで接続し、ASIC化している。
【0024】
第2画像データ処理装置4は、第1画像データ処理装置2で予め定めた特性に統一されたデジタル画像データ、及び、回線I/F装置12や外部I/F装置13を通じて入力される画像データに対し、顕像剤の使用の抑制処理を含んだ画像の調整・加工や、ユーザから指定される出力先に適した画像処理を施す。
【0025】
第2画像データ処理装置4内のフィルタ処理が、RGB画像データの鮮鋭性やS/Nを、プリンタであるプロッタ装置10に出力する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、所望する画像処理を指定するモード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば文字モードでは文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは滑らかに階調性を表現するため平滑化処理を施す。第2画像データ処理装置4は、RGB各8ビットのデータを受け取るとプロッタ装置用の色空間であるCMYK各8ビットに色変換する。このときにユーザが指定するモード情報に従って彩度もあわせて調整する。更に、CMYK画像データの解像度を、プロッタ装置(プリンタ)10の性能に従って解像度変換を行う。つぎに、CMYK画像データのγ特性を、プロッタ装置10のプロセス特性に従ってγ変換を行う。そしてCMYK各8ビットを受け取るとプロッタ装置10の階調処理能力に従った中間調処理を行う。
【0026】
バス制御装置3は、第2画像データ処理装置4からCMYK画像データを受け取ると、CPU7を介してメモリ8に蓄積する。メモリ8に蓄積されたCMYK画像データは、CPU7及びプロッタI/F装置9を介して、プロッタ装置10に送られる。プロッタ装置10は受け取ったCMYK画像データを転写紙に出力する。すなわち用紙上に顕像剤で画像を現す。
【0027】
HDD6は、デジタル画像データおよびデジタル画像データの付帯情報を蓄積する。またHDD6は、MFPのデータベースシステムの主要部となる大型の記憶装置であり、MFPで扱うデータを保存しておくための記憶部として、プリンタコントローラ100の各種設定項目のパラメータ(設定値)とそれに対応する通知先情報(モジュール特定情報)である通知先フラグ(表1)が保存されている。
【0028】
CPU7は、複合機能プリンタMFPの制御全体を司るマイクロプロセッサである。メモリ8は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や、接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータの記憶や、CPU7が本デジタル画像処理装置の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。CPU7は高速処理が求められるため、通常起動時にROM15に記憶されたブートプログラムにてシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ8に展開されたプログラムによって処理を行う。
【0029】
プロッタI/F装置9は、CPU7にインテグレートされた汎用規格I/F経由で送られてくるCMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、プロッタ装置10の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行う。本実施例で使用している汎用規格I/Fは、PCI−Expressバスである。
【0030】
プロッタ装置10は、CMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、転写紙に受け取った画像データを出力する。もちろん、出力に使用するプロセスは任意に選択可能であり、近年パーソナルユースで使われることの多いインクジェットプリンタでも構わない。
【0031】
S.B.14は、サウスブリッジ(South Bridge)と呼ばれる汎用の電子デバイスである。主にPCI−ExpressとISAブリッジを含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したもので、本実施例ではROM15との間をブリッジしている。ROM15は、CPU7が画像処理制御を行う際のプログラム(ブートを含む)を格納したメモリである。
【0032】
操作表示装置5は、MFPとユーザとの間のインターフェースで、LCD(液晶表示装置:液晶タッチパネル)とキースイッチから構成され、装置の各種状態や操作方法およびアナウンスをLCDに表示し、ユーザからのタッチ入力およびキースイッチ入力を検知する。
【0033】
回線I/F装置12は、PCI−Expressバスと電話回線を接続する装置で、この装置により本機MFPは、電話回線を介して各種データのやり取りを行うことが可能である。FAX16は一般的なファクシミリ装置であって、電話回線を介して本デジタル画像処理装置と画像データの授受を行う。外部I/F装置13は、PCI−Expressバスと外部装置を接続する装置で、この装置により本機MFPは外部装置と各種データのやり取りを行うことが可能である。本実施例では、その接続I/Fに、ネットワーク(イーサネット(登録商標))およびUSBを使用する。すなわち本機MFPは外部I/F装置13を介して、ネットワークや外部メディア18(SDカード等)に接続して、外部に画像データを送り、あるいは外部から画像データを読み込むことができる。PC17は、いわゆるパーソナルコンピュータで、パーソナルコンピュータにインストールされたアプリケーションソフトやドライバを介して、ユーザは本機MFPに対して各種制御や画像データの入出力を行う。外部メディア18は、いわゆるコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやSDカード等のメモリデバイスで、画像データを含む各種電子データを記録しており、ユーザは本機MFPとメモリデバイスとの間で画像データの入出力(読み出し,書き込み)を行うことができる。
【0034】
プリンタコントローラ100は、操作表示装置5又はPC17からの、原稿画像読取り(画像配信),印刷(PCドキュメント印刷),複写あるいはファクシミリ送信の指定と、これらの動作内容を定める条件入力(設定項目のパラメータ(設定値)の指定又は入力)およびスタート指示に応じて、それらの指定および入力値に対応する動作モードの画像処理動作を、MFPの画像処理各部に設定し、動作開始を指示する。コントローラ100は、原稿画像読取りに関してはスキャナコントローラであり、印刷に関してはプリンタコントローラであり、複写に関しては複写システムコントローラであり、ファクシミリ送受信に関してはファクシミリコントローラであり、複合機能のすべてを実行する意味においては複合機能プリンタコントローラである。
【0035】
図2に、プリンタコントローラ100の、本発明の実施にかかわる機能構成の概要を示す。データベースシステム102は、図1に示すHDD6,バス制御装置3およびCPU7によって構成され、内部モジュール103は、MFPの使用,機内状態および動作実績などの制御又は管理を行う複数のモジュール104〜108,・・・を含む。これらのモジュールの一部、印刷管理104,機器管理107,カウンタ情報管理108,・・・は、CPU7およびバス制御装置3が管理プログラムに従って実行する管理処理の機能およびHDD6に対する管理データの読み書き機能である。ネットワークI/F105は、回線I/F装置12,外部I/F装置13の通信管理および通信制御を行う。ユーザI/F106は、操作表示装置5が接続したユーザ入出力I/F11およびPC17とネットワークを介して通信する外部I/F装置13のユーザ管理および入出力制御を行う。HDD6には、データベースシステム102の記憶部112が構成され、プリンタコントローラ100の各種設定項目のパラメータ(設定値)113および該パラメータ(設定値)の変更の通知要否を表す各モジュール宛のモジュール特定情報である、通知先フラグ114、が保存されている。
【0036】
本発明を実施するデータベースシステム102は、内部モジュール103の各モジュールから設定値の変更を受け付ける設定値変更受付109,各モジュールから設定値変更通知の要否登録,更新の要求を受け付ける通知先モジュール登録・削除受付110,どの設定項目を対象にしているかを特定する検索111,データベースシステム102で扱うデータを保存しておくための記憶112(HDD6)を含み、記憶112には、プリンタコントローラ100の各種設定項目のパラメータ(設定値)113とそれに対応するモジュール特定情報である通知先フラグ114(表1)がある。データベースシステム102には更に、記憶112にあるパラメータ(現在の設定値:現在値)を、モジュール(例えば105,106)から入力された値と比較し、値に変更があった場合、記憶112にあるパラメータを入力された値に変更する値比較115、および、パラメータ値の変更であると通知先フラグ(通知先情報:モジュール特定情報)を参照して、変更通知要のモジュールを検索して変更通知を出す変更通知116を含む。これらの機能、変更受付109,通知先モジュール登録・削除受付110,検索111,値比較115および変更通知116は、CPU7のパラメータ(設定値)変更処理に含まれるものである。
【0037】
図3に、CPU7のパラメータ(設定値)変更処理の概要を示す。操作表示装置5あるいはPC17から特定の設定項目に対するパラメータ(設定値)の指定又は入力があると、ユーザI/F106又はネットワークI/F105が、該特定の設定項目に対する設定値の変更要求をCPU7に通知する。設定値変更の受付可のタイミングであるとCPU7は、検索11で変更要求の対象があるかどうか、を検索する(s11,s12)。検索の結果、対象の設定項目が見つかった場合、記憶112に保存されている対象の設定値113を取得し、値比較15で現在の設定値と変更要求時に入力された値とを比較する(s13)。比較の結果、値に変更があった場合、記憶112に保存されている設定値を、入力された値に変更し(s14)、その後、記憶112に保存されている、モジュール特定情報である通知先フラグ114の各桁を、最下位桁から1ビットずつチェックし(s15,s16)、通知先フラグがON(フラグの内容が「1」)の場合に(チェックしたビットがONであると)、変更通知116から、内部モジュール103の中の該ONのビットが宛てられたモジュールに、変更した設定値を通知する(s17)。最上位桁ビットについてこれを終了すると、変更処理を終える(s18,END)。
【0038】
以上の手順により、内部モジュール103の中の、変更した設定値の項目に対して、通知先フラグ114に変更通知要(ON)と設定されたすべてのモジュールに、設定値の変更を通知する。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】


s16の通知先フラグのチェックについて、表1に、各設定項目に対する通知先フラグ(モジュール特定情報)の例を、表2には、通知先フラグの各ビット桁番に宛てられたモジュールの例を示す。設定項目名には、表2に示すものの他に多数ある。例えば、原稿読取りや複写に関しては、カラー/モノクロ,読取り解像度(dpi),明るさ,コントラスト,記録濃度,写真/文章処理,変倍その他があり、複写や印刷に関しては、表1に示す用紙サイズ,給紙トレイ,設定枚数(印刷枚数)などもある。
【0041】
この実施例では、各モジュールに1ビットのフラグが宛てられている。すなわち、各モジュール宛のモジュール特定情報(ビット列)上のデータ桁数(ビット数)は1であり、通知先フラグ(モジュール特定情報)は、各モジュール宛て1ビットのビット列である(表1)。
【0042】
例えば表1の項目「用紙サイズ」のパラメータ(設定値)に変更があった場合、変更通知の対象となるモジュールは、表1の通知先フラグ「01・・・111」のビットがON(「1」)の桁番に宛てられている、表2に示すモジュール、つまり通知先フラグの1桁目(最下位ビット)に宛てられた印刷管理部、2桁目に宛てられたネットワークI/F、3桁目に宛てられたユーザI/F、・・・、N−1桁目に宛てられた機器管理部、となる。
【0043】
図4には、通知先(変更通知要)としての登録要求に応答してプリンタコントローラ100のCPU7が実行する、通知要の登録処理、の概要を示す。内部モジュール103からある特定の設定項目に対してあるモジュール(対象モジュール)を通知先とする登録要求が、通知先モジュール登録・削除受付110に来ると、該登録・削除の処理が可能なタイミングであるとCPU7は、検索111で、対象となる設定項目があるかどうか検索する(s21,s22)。検索の結果、対象の設定項目が見つかった場合、記憶112に保存されている該設定項目に宛てられた通知先フラグ(モジュール特定情報)の中の、対象モジュール(が宛てられた桁)の通知先フラグ(1ビット)を取得し、要求時に入力された登録フラグ(ビット「1」)とビット演算(OR)を行い、結果値「1」に、該通知先フラグ(モジュール特定情報)の中の対象モジュール宛のビットを更新する(s23〜s25)。これにより、通知不要(通知先フラグ1ビット=「0」)のモジュールが、新たな通知先として登録されたことになる。
【0044】
図5には、非通知先(変更通知不要)とする通知先抹消要求に応答してプリンタコントローラ100のCPU7が実行する、変更通知不要への変更処理、の概要を示す。内部モジュール103から、ある特定の設定項目に対してあるモジュール(対象モジュール)を非通知先(変更通知不要)とする通知先からの抹消要求が、通知先モジュール登録・削除受付110に来ると、該抹消が可能なタイミングであるとCPU7は、検索111で、対象となる設定項目があるかどうか検索する(s31,s32)。検索の結果、対象の設定項目が見つかった場合、記憶112に保存されている該設定項目に宛てられた通知先フラグ(モジュール特定情報)の中の、対象モジュール(が宛てられた桁)の通知先フラグ(1ビット)を取得し、要求時に入力された削除フラグ(ビット「0」)とビット演算(AND)を行い、結果値「0」に、該通知先フラグ(モジュール特定情報)の中の対象モジュール宛のビットを更新する(s33〜s35)。これにより、通知要(通知先フラグ1ビット=「1」)のモジュールが、変更通知不要(通知先フラグ1ビット=「0」)と登録されたことになる。すなわち、変更通知要が抹消されたことになる。
【0045】
このように、通知先フラグの各桁に対して各モジュールを表2に示すような形で割り当てることで、設定値の変更の際に、変更通知が必要な通知先モジュールを判定でき、変更通知処理の効率化が図れる。
【符号の説明】
【0046】
1:読み取り装置(原稿スキャナ)、2:第1画像データ処理装置、3:バス制御装置、4:第2画像データ処理装置、5:操作表示装置、6:HDD、7:CPU、8:メモリ、9:プロッタI/F装置、10:プロッタ装置(プリンタ)、11:ユーザ入出力I/F、12:回線I/F装置、13:外部I/F装置、14:S.B.(サウスブリッジ(South Bridge))、15:ROM、16:FAX、17:PC、18:外部メディア(SDカード等)、100:プリンタコントローラ、102:データベースシステム、103:内部モジュール、104:印刷管理(モジュール)、105:ネットワークI/F(モジュール)、106:ユーザI/F(モジュール)、107:機器管理(モジュール)、108:カウンタ情報管理(モジュール)、109:設定値変更受付(部)、110:通知先モジュール登録・削除受付(部)、111:検索(部)、112:記憶(部)(HDD6)、113:各種設定項目のパラメータ設定値、114:通知先フラグ(モジュール特定情報)、115:値比較、116:変更通知。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開2007−336077号公報
【特許文献2】特許第3747887号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器使用,機内状態および動作実績の少なくとも1つの制御又は管理を行う複数のモジュールを有し、複数の動作モードを有する機器の、入力手段の入力に応じて動作モードを設定するコントローラであって、
前記動作モードを特定する複数の項目の設定値および該設定値の変更の通知要否を各モジュール宛てに表すモジュール特定情報を記憶する記憶手段;および、
前記記憶手段にある設定値の変更に応じて、該設定値の項目のモジュール特定情報にある通知要否を検索して通知要のモジュールに、設定値の変更を通知する変更通知手段;
を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記モジュール特定情報は、前記複数の項目のそれぞれに1つの配列が宛てられた、前記複数のモジュールそれぞれに割り当てられた情報ビットの配列(通知先フラグ)であり、前記変更通知手段は、変更された設定値の項目に宛てられた前記配列の各情報ビットを配列順に参照して該情報ビットが通知要であると、該情報ビットが宛てられたモジュールに、設定値の変更を通知する;請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記機器は原稿スキャナであり、前記コントローラは該原稿スキャナの原稿読取りモードを設定するスキャナコントローラである;請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記機器はプリンタであり、前記コントローラは該プリンタの印刷モードを設定するプリンタコントローラである;請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記機器は、原稿スキャナおよびプリンタを備える複写機であり、前記コントローラは、前記プリンタおよび原稿スキャナの複写動作を設定する複写システムコントローラである;請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記機器は、原稿スキャナおよびプリンタを備え、原稿スキャナ単独動作,プリンタ単独動作および複写動作を行う複合機能プリンタであり、前記コントローラは、前記プリンタおよび原稿スキャナの動作モードを設定する複合機能プリンタコントローラである、請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記機器は、ファクシミリ機能を備え、前記コントローラは、ファクシミリ機能の動作モードを設定する;請求項5又は6に記載のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−130321(P2011−130321A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288790(P2009−288790)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】