説明

機器の筐体構造

【課題】 屋外に設置される機器のブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベルへの雨だれによる汚れを防止できるようにした機器の筐体構造を提供する。
【解決手段】 機器の筐体1にブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベル2を貼り付けて屋外に設置される機器の筐体構造であって、機器の筐体に前記表示ラベルの上部前方に突出する突部が設けられてなる構成にした。これにより、前記表示ラベル2の表面に雨だれの跡(汚れ)が残らないようになって、同表示ラベル2の美観性および文字の判読性を維持できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機のように屋外に設置される機器の筐体構造に係わり、より詳細には、機器のブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベルへの雨だれによる汚れを防止できるようにした構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室外機(機器)は、外装体(筐体)表面に表示ラベルが直接貼り付けられていることから、雨天時には表示ラベルの表面を直接汚れた雨水が流れるため、雨が乾くと雨水や雨水によって流された汚れが水垢となってこびりつき、外観性を著しく損ねるようになっていた。また、その汚れによって能力表示などの表示内容が読み難い状態担っていた。
【0003】
そのため、上述した表示ラベルの汚れを防止するとともに、視認性に優れた表示ラベルの取付構造として、例えば図6(A)および図6(B)に示すような構成にすることが考えられた。
【0004】
すなわち、機器のパネル面1’に、該パネル面1’よりも突出する立体形状をなす非磁性材料からなる表示ラベル取付部材3’を取り付け、この表示ラベル取付部材3’に、表示ラベル5’を取り付ける窪み11’を形成し、その窪みの底面を前記パネル面に対して傾斜させた構成が開示されており、例えば前記機器が屋外に設置される空気調和機の室外機であるとしたような場合に、前記表示ラベル取付部材3’の窪み11’に前記表示ラベル5’を取り付けることで、同表示ラベル5’への雨だれによる汚れを防止できる構成とすることが期待できる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、その場合、空気調和機の室外機の外装体(筐体)に対し、別部材からなる前記表示ラベル取付部材3’のフランジ部7’を固定手段9’(ねじ)で取り付けるようにした構成になることから、同表示ラベル取付部材3’を別部材として製作するためコスト高になったり、前記外装体(筐体)に取り付けるための作業工数が生じてしまうといった問題点を有することになる。
【特許文献1】特開2001−34176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、屋外に設置される機器のブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベルへの雨だれによる汚れを防止できるようにした機器の筐体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0008】
機器の筐体にブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベルを取り付けて屋外に設置される機器の筐体構造であって、
機器の筐体に前記表示ラベル全幅の上部前方に突出する突部が設けられてなることを特徴としている。
【0009】
また、前記突部の両側が前記表示ラベルの外側に延出されてなることを特徴としている。
【0010】
また、前記突部の上面両側が中央部よりも下方に傾斜するように形成されてなることを特徴としている。
【0011】
また、前記突部の上面後部および両側面後部に溝部が形成されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示ラベルの上縁に対応して、同表示ラベル全幅の前方に突出する突部が設けられてなる構成にしたので、簡便な構成で雨だれが直接に同表示ラベルに流れ落ちないようにして、雨だれによる同表示ラベルの汚れを防止できるようにした屋外に設置される機器の筐体構造を提供できる。
【0013】
また、前記突部の両側が前記表示ラベルの外側に延出されたことで、同表示ラベルの両側部よりも外側に雨だれが流れ落ちるようになって、雨だれによる同表示ラベルの汚れを効果的に防止できるようになる。
【0014】
また、前記突部の上面両側が中央部よりも下方に傾斜するように形成されたことで、同突部の上面にかかった雨水がその両側に向けて流れやすくなる。
【0015】
また、前記突部の上面後部および両側面後部に溝部が形成されたことで、この溝部をつたって雨水がより円滑に流れやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明による機器の筐体構造を示す外観斜視図であり、図2は本発明による機器の筐体構造を示す要部説明図で、(A)は斜視図、(B)は(A)に示すA−A’断面図、(C)は雨だれの流れを示す斜視図であり、図3は実施例1の説明図で、(A)は第一例を示す正面図、(B)は(A)に示すB−B’断面図、(C)は第二例を示す正面図、(D)は(C)に示すC−C’断面図、(E)は第三例を示す正面図、(F)は(E)に示すD−D’断面図であり、図4は実施例2の説明図で、(A)は第一例を示す正面図、(B)は(A)に示すE−E’断面図、(C)は第二例を示す正面図、(D)は(C)に示すF−F’断面図、(E)は第三例を示す正面図、(F)は(E)に示すG−G’断面図であり、図5はその他の実施例を示す説明図で、(A)は幅が広く高さが低い表示ラベルの場合を示し、(B)は幅が広く高さが高い表示ラベルの場合を示し、(C)は幅が狭く高さが低い表示ラベルの場合を示し、(D)は幅が狭く高さが高い表示ラベルの場合を示し、(E)は幅が突部よりも広い表示ラベルの場合を示す。
【0018】
本発明による機器の筐体構造は、図1と、図2(A)乃至図2(C)とに示すように、機器の筐体1(外装体)にブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベル2を貼り付けて、例えば空気調和機の室外機のように屋外に設置されるものであって、機器の筐体1に前記表示ラベル2全幅の上部前方に突出する突部3が設けられてなることを特徴とした構成になっている。
【0019】
前記突部3は、前記筐体1が例えば合成樹脂製でなる場合(または板金製でなる構成であってもよい)、同筐体1と一体的に形成されるようにした構成になっており、これによって、上述した背景技術における表示ラベル取付部材のように別部材として製作する必要がないことからコスト的に有利になり、また、前記筐体1に取り付けるための作業工数が生じてしまうということがない。
【0020】
前記突部3の両側部は、図2(A)に示す延出部aのように、前記表示ラベル2の両側端の外側に延出した構成になっており、また、図2(B)に示す突出部bのように、前端部が前記表示ラベル2全幅の前方に突出した構成になっている。
【0021】
これにより、図2(C)に示す矢印cのように、前記筐体1に降り注がれた雨水の一部は、前記表示ラベル2に流れ落ちるのを避けるような形で、庇状に形成された前記突部3に沿った雨だれAとして前記表示ラベル2の幅方向の外側に流れ落ちるようになることから、雨天時に前記表示ラベル2の表面を直接汚れた雨水が流れなくなり、雨が乾いた際、雨水や雨水によって流された汚れが水垢となって前記表示ラベル2にこびりつかないように防止できる。
【0022】
その際、雨量が多い場合には、前記突部3および前記表示ラベル2に多量の雨水が降り注ぐことになるが、とくに、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないようになり、同表示ラベル2の水垢による汚れを防止できるようになって、美観や文字の判読性を維持できるようになる。
【0023】
また、前記突部3は、その下面(水平面)に前記表示ラベル2の上端を当接させることで、同表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)で取り付け(貼着)できるように、正確に位置決めするためのガイドとしての機能を有している。
【実施例1】
【0024】
ここで、実施例1として示す図3(A)乃至図3(F)に基づいて、前記突部3の構成について詳細に説明する。
【0025】
実施例1の第一例として図3(A)および図3(B)に示すように、前記突部3は、その上面が前端を低くした傾斜面で左右はストレート型で形成される一方、下面が水平面で形成されることにより、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように前記傾斜面によって流れ落ちるようになって、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【0026】
また、実施例1の第二例として図3(C)および図3(D)に示すように、前記突部3は、その上面が前端を低くした傾斜面で形成されるとともに、両側端を中央部よりも低くしたアーチ型の曲面で形成される一方、下面が水平面で形成されることにより、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように、上面にかかった雨水をその両側に向けて効率よく流れ落として、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【0027】
また、実施例1の第三例として図3(E)および図3(F)に示すように、前記突部3は、その上面が前端を低くした傾斜面で形成されるとともに、両側端を中央部よりも低くした山型の面で形成される一方、下面が水平面で形成されることにより、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように、上面にかかった雨水をその両側に向けて効率よく流れ落として、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【実施例2】
【0028】
次に、実施例2として示す図4(A)乃至図4(F)に基づいて、前記突部3の構成について詳細に説明する。
【0029】
実施例2の第一例として図4(A)および図4(B)に示すように、前記突部3のストレート型の上面後部および両側面後部には溝部4が形成される一方、下面は水平面で形成されることにより、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように、前記溝部4をつたって前記突部3の両側端に向けて円滑に流れ落ちるようにして、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【0030】
また、実施例2の第二例として図4(C)および図4(D)に示すように、前記突部3のアーチ型の上面後部および両側面後部には溝部4が形成される一方、下面は水平面で形成されることにより、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように、前記溝部4をつたって前記突部3の両側端に向けてより円滑に流れ落ちるようにして、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【0031】
また、実施例2の第三例として図4(E)および図4(F)に示すように、前記突部3の山型の上面後部および両側面後部には溝部4が形成される一方、下面は水平面で形成されることにより、上述した第二例と同様に、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないように、前記溝部4をつたって前記突部3の両側端に向けてより円滑に流れ落ちるようにして、同表示ラベル2の汚れを防止し、美観および文字の判読性を維持できて、前記表示ラベル2を傾きのない姿勢(角度)に位置決めできる。
【0032】
次に、その他の実施例として、図5(A)乃至図5(E)に基づいて、前記表示ラベル2の寸法形状に対応する前記突部3の事例について以下に説明する。
【0033】
その他の実施例の第一例として図5(A)に示すように、前記表示ラベル2の幅が広く高さが低い場合に対応して、前記突部3は前記延出部aの寸法を小さめに形成すればよく、また、第二例として図5(B)に示すように、前記表示ラベル2の幅が広く高さが高い場合に対応して、第一例と同様に、前記突部3は前記延出部aの寸法を小さめに形成すればよく、これによって、上述したように、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが前記表示ラベル2にかからないようになる。
【0034】
また、第三例として図5(C)に示すように、前記表示ラベル2の幅が狭く高さが低い場合に対応して、前記突部3は前記延出部aの寸法を大きめに形成してもよく、同様に、第四例として図5(D)に示すように、前記表示ラベル2の幅が狭く高さが高い場合に対応して、前記突部3は前記延出部aの寸法を大きめに形成してもよく、これによって、最も汚れた流れはじめの前記雨だれAが更に前記表示ラベル2にかかりにくくなり、何れの場合にも、前記突部3の幅寸法よりも前記表示ラベル2が狭ければ、同表示ラベル2の表面に前記雨だれAによる汚れの跡が付かなくなるので、前記表示ラベル2の幅の広さと高さは自由に設定できることになる。
【0035】
また、第五例として図5(E)に示すように、前記表示ラベル2の汚れを気にしなくてもよい場合は、前記突部3は、単に前記表示ラベル2を貼り付ける時の位置決め用のガイドとして活用すればよく、したがって、前記表示ラベル2の両側がはみ出し部a’のように前記突部3からはみ出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による機器の筐体構造を示す外観斜視図である。
【図2】本発明による機器の筐体構造を示す要部説明図で、(A)は斜視図であり、(B)は(A)に示すA−A’断面図であり、(C)は雨だれの流れを示す斜視図である。
【図3】実施例1の説明図で、(A)は第一例を示す正面図であり、(B)は(A)に示すB−B’断面図であり、(C)は第二例を示す正面図であり、(D)は(C)に示すC−C’断面図であり、(E)は第三例を示す正面図、(F)は(E)に示すD−D’断面図である。
【図4】実施例2の説明図で、(A)は第一例を示す正面図であり、(B)は(A)に示すE−E’断面図、(C)は第二例を示す正面図であり、(D)は(C)に示すF−F’断面図であり、(E)は第三例を示す正面図であり、(F)は(E)に示すG−G’断面図である。
【図5】その他の実施例を示す説明図で、(A)は幅が広く高さが低い表示ラベルの場合を示し、(B)は幅が広く高さが高い表示ラベルの場合を示し、(C)は幅が狭く高さが低い表示ラベルの場合を示し、(D)は幅が狭く高さが高い表示ラベルの場合を示し、(E)は幅が突部よりも広い表示ラベルの場合を示す。
【図6】従来例による表示ラベル(銘板)の取付構造を示す説明図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 筐体
2 表示ラベル
3 突部
4 溝部
A 雨だれ
a 延出部
b 突出部
a’ はみ出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の筐体にブランド名やロゴ・マーク等の表示ラベルを取り付けて屋外に設置される機器の筐体構造であって、
機器の筐体に前記表示ラベル全幅の上部前方に突出する突部が設けられてなることを特徴とする機器の筐体構造。
【請求項2】
前記突部の両側が前記表示ラベルの外側に延出されてなることを特徴とする請求項1に記載の機器の筐体構造。
【請求項3】
前記突部の上面両側が中央部よりも下方に傾斜するように形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筐体構造。
【請求項4】
前記突部の上面後部および両側面後部に溝部が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の筐体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−166337(P2008−166337A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351110(P2006−351110)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】