説明

機械ユニットの配置システム

【課題】本発明は、圧縮機ユニット及び膨張機ユニットの配置をより簡素化して機械全体の信頼性のみならず、メンテナンス性の面からも非常に有効な機械ユニットの配置システムを提供する。
【解決手段】蒸気タービン10の両側に低圧側及び高圧側圧縮機11A,11bを2台に分けて配置し、これらの低圧側及び高圧側圧縮機11A,11bの外側に低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bを2台に分けて配置すると共に、前記蒸気タービン10と低圧側及び高圧側圧縮機11A,11bと低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bを単一軸からなるロータ軸で連結して各ロータ軸でのトルク配分を最適にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機ユニットや膨張機ユニット等の機械ユニットの配置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
あるプロセスガスを圧縮する圧縮機(ユニット)と処理された後の排気ガス等を利用して動力を回収する膨張機(ユニット)を同一軸で共通トレインとして配置する場合、従来ではギアドタイプ(増速歯車式)の圧縮機、膨張機が考えられ、例えば図2に示すように、1トレイン当たり、各1台の圧縮機、膨張機及び駆動機(ユニット)で構成される(特許文献1参照)。
【0003】
図2に示す機械列(トレイン)はある化学プラントにおけるもので、1台の駆動機(蒸気タービン及び凝縮機)100と1台のギアドタイプの(多段)圧縮機101と1台のモータ/発電機102と1台のギアドタイプの(多段)膨張機103とを有し、個々のユニットは互いに連結され、1つのベースフレーム、つまり機械テーブル104上に取付けられており、この機械テーブル104の下方に複数の冷却器、1つの凝縮器、施設の運転に不可欠なその他の機器がある。
【0004】
この機械列は、蒸気が存在する限り、駆動機100としての蒸気タービンで始動することができる。その場合、モータ/発電機102はモータの同期回転数以降に機械列の駆動を引き受ける。化学プロセスが開始され、プロセスからの排ガスまたは排蒸気が膨張機103を駆動して以降にはじめて、当該膨張機103は出力を発生する。こうしてエネルギーの一部を回収することができる。
【0005】
また、機械列はモータ/発電機102で始動させることもできる。始動後に化学プロセスが経過する結果として蒸気がはじめて発生されると、蒸気タービンは駆動機100として機械列をさらに駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−200531号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図2に示すような機械列にあっては、各ユニットが1台ずつのトレイン構成のため、伝達動力が大きく、それを満足する軸剛性が必要となり、シャフトや回転機そのものが大きくなる。因みに、ギアドタイプはその構造から複数軸となり、その複雑性から2台に分けることは通常しないのである。
【0008】
また、ギアドタイプは前述のとおり複数軸であり、また、圧縮機と膨張機の使用温度条件の違いから、軸アライメントの考慮は非常に難しくなる。
【0009】
そのため、機械全体の信頼性のみならず、メンテナンス性の面からも不安があるという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、圧縮機ユニット及び膨張機ユニットの配置をより簡素化して機械全体の信頼性のみならず、メンテナンス性の面からも非常に有効な機械ユニットの配置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
斯かる目的を達成するための本発明に係る機械ユニットの配置システムは、
駆動機ユニットの両側に圧縮機ユニットを配置し、これらの圧縮機ユニットの外側に膨張機ユニットを配置すると共に、前記各ユニットを単一軸からなるロータ軸で連結して各ロータ軸でのトルク配分を最適にしたことを特徴とする。
【0012】
また、
前記駆動機ユニットと圧縮機ユニットと膨張機ユニットが載置された機械テーブルの下方に、各ユニットに対応する熱交換器をその対応するユニットの直下に位置してそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0013】
また、
前記少なくとも駆動機ユニットと圧縮機ユニットの熱交換器は、前記ロータ軸と直角な方向に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る機械ユニットの配置システムによれば、一軸多段構造の圧縮機ユニットと膨張機ユニットを適用することにより、当該圧縮機ユニットと膨張機ユニットを2台以上に分割することが容易となり、各ロータ軸でのトルク(伝達動力)配分を最適化でき、ロータ軸、回転機をコンパクトにできる。また、一軸多段の単一ケーシング構造では軸中心位置で簡単にサポートできる上、単一軸からなるロータ軸のため、軸アライメントの考慮も容易である。
【0015】
これらの結果、圧縮機ユニット及び膨張機ユニットの配置をより簡素化して機械全体の信頼性のみならず、メンテナンス性の面からも非常に有効な機械ユニットの配置システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す機械ユニットの配置システムの説明図である。
【図2】従来の機械ユニットの配置システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る機械ユニットの配置システムを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明の一実施例を示す機械ユニットの配置システムの説明図である。
【0019】
図1に示すように、機械テーブル20上には、駆動機ユニットとしての蒸気タービン10の両側に位置して一軸多段構造で2セクションからなる遠心式の圧縮機が低圧側の圧縮機(ユニット)11Aと高圧側の圧縮機(ユニット)11Bとに2台に分かれて配置され、これらの圧縮機11A,11Bの外側に位置して同じく一軸多段構造で2セクションからなる半径流式の膨張機が低圧側の膨張機(ユニット)12Aと高圧側の膨張機(ユニット)12Bとに2台に分かれて配置される。
【0020】
そして、前記蒸気タービン10と低圧側及び高圧側圧縮機11A,11Bと低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bとは、図示しない所要のカップリングを介して単一軸からなるロータ軸(図中鎖線参照)で連結され、前記各ロータ軸でトルク(伝達動力)配分が最適になるよう設定されている。
【0021】
一方、機械テーブル20の下方(厳密には機械テーブル内)には、蒸気タービン10から排出された蒸気を水で冷却して復水するシェル&チューブ型のコンデンサ(熱交換器)13が蒸気タービン10の直下に位置してロータ軸と直角な方向にそれぞれ配置されると共に、低圧側及び高圧側圧縮機11A,11B用の2セクション分のシェル&チューブ型のガスクーラ(熱交換器)14a,14b及び15a,15bがそれぞれ対応する低圧側及び高圧側圧縮機11A,11Bの直下に位置してロータ軸と直角な方向にそれぞれ配置される。
【0022】
また、低圧側及び高圧側膨張機12A,12B用の2セクション分の箱型の熱交換器(シェル&チューブ型のガスクーラ(熱交換器)でも良い)16a,16b及び17a,17bがそれぞれ対応する低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bの直下に位置してそれぞれ配置される。熱交換器16a,16b及び17a,17bはロータ軸と直角な方向に縦列配置される。
【0023】
このように構成されるため、蒸気タービン10に図示しない蒸気源から蒸気が供給されると、この蒸気タービン10に単一軸からなるロータ軸で連結した低圧側及び高圧側圧縮機11A,11Bと低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bが回転駆動される。
【0024】
そして、低圧側圧縮機11Aに供給されたプロセスガスは2つの圧縮機セクションにより圧縮されるが、この際圧縮ガスは各セクション毎にガスクーラ14a,14bで冷却される。低圧側圧縮機11Aを出たプロセスガスは高圧側圧縮機11Bに供給され、この高圧側圧縮機11Bにおいても2つの圧縮機セクションにより圧縮されると共にその圧縮ガスは各セクション毎にガスクーラ15a,15bで冷却される(以上図中の鎖線で示した配管参照)。高圧側圧縮機11Bを出たプロセスガスは、所要の処理設備に供給される。
【0025】
一方、高圧側膨張機12Bに供給された処理済みの高圧のガスは2つの膨張機セクションにより吸込・膨張されて動力を回収するが、この際膨張ガスは各セクション毎に熱交換器17a,17bで熱源として利用される。高圧側膨張機12Bを出た膨張ガスは低圧側膨張機12Aに供給され、この低圧側膨張機12Aにおいても2つの膨張機セクションにより吸入・膨張されて動力を回収すると共にその膨張ガスは各セクション毎に熱交換器17a,17bで冷却される(以上図中の破線で示した配管参照)。
【0026】
このように本実施例では、一軸多段構造の圧縮機ユニットと膨張機ユニットを適用することにより、低圧側及び高圧側圧縮機11A,11Bや低圧側及び高圧側膨張機12A,12Bを2台以上(図示例では2台)に分割することが容易となり、各ロータ軸でのトルク(伝達動力)配分を最適化でき、ロータ軸や回転機をコンパクトにできる。また、各ユニットは一軸多段の単一ケーシング構造を実現でき、これにより軸中心位置で簡単にサポートできる上、単一軸からなるロータ軸のため、軸アライメントの考慮も容易となる。
【0027】
また、低圧側及び高圧側圧縮機11A,11B用のガスクーラ14a,14b及び15a,15bや低圧側及び高圧側膨張機12A,12B用の熱交換器16a,16b及び17a,17bもコンパクトとなるため、これらは全て回転機の直下に効果的に配置することが可能となる。
【0028】
これらの結果、圧縮機ユニット及び膨張機ユニットの配置をより簡素化して機械全体の信頼性のみならず、メンテナンス性の面からも非常に有効な機械ユニットの配置システムが実現される。
【0029】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で圧縮機及び膨張機の台数変更(3台以上)や各圧縮機及び膨張機におけるセクション数変更等各種変更が可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る機械ユニットの配置システムは、あるプロセスガスを圧縮する圧縮機と処理された後の排気ガス等を利用して動力を回収する膨張機を備えた化学プラント等に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 蒸気タービン
11A,11B 低圧側及び高圧側圧縮機
12A,12B 低圧側及び高圧側膨張機
13 凝縮器
14a,14b 低圧側圧縮機用ガスクーラ
15a,15b 高圧側圧縮機用ガスクーラ
16a,16b 低圧側膨張機用熱交換器
17a,17b 高圧側膨張機用熱交換器
20 機械テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機ユニットの両側に圧縮機ユニットを配置し、これらの圧縮機ユニットの外側に膨張機ユニットを配置すると共に、前記各ユニットを単一軸からなるロータ軸で連結して各ロータ軸でのトルク配分を最適にしたことを特徴とする機械ユニットの配置システム。
【請求項2】
前記駆動機ユニットと圧縮機ユニットと膨張機ユニットが載置された機械テーブルの下方に、各ユニットに対応する熱交換器をその対応するユニットの直下に位置してそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1記載の機械ユニットの配置システム。
【請求項3】
前記少なくとも駆動機ユニットと圧縮機ユニットの熱交換器は、前記ロータ軸と直角な方向に配置されることを特徴とする請求項2記載の機械ユニットの配置システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−43071(P2011−43071A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189671(P2009−189671)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(310010564)三菱重工コンプレッサ株式会社 (45)