説明

機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法

【課題】この発明は、H鋼および上部返し車梁を利用して、アンカー打設作業を削減し、所定の吊り上げ高さを確保し、簡易にガイドレールを据え付けることができる機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法を得る。
【解決手段】第2おもり用ガイドレール11の吊り上げに先立って、第1かご用ガイドレール8および第1おもり用ガイドレール9を吊り上げ、それぞれの上端側を上部返し車梁5に固定する。そして、揚重ビーム22に吊設された電動に揚げ装置20により第2おもり用ガイドレール11を最上階まで吊り上げる。その後、上部返し車梁5の奥行き側端部に吊設された手動荷揚げ装置26のフック26bを第2おもり用ガイドレール11に連結し、第2おもり用ガイドレール11を手動荷揚げ装置26の真下位置まで移動させる。ついで、手動荷揚げ装置26により第2おもり用ガイドレール11を所定高さまで吊り上げ、昇降路1壁面に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おもり横落ちタイプの機械室レスエレベータの据え付け工事におけるガイドレールの据え付け工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの据え付け工事では、昇降路天井に固定された吊りフックと昇降路壁に固定されたレールブラケットとの間にチェーンを掛け渡し、このチェーンに電動ウインチを設け、電動ウインチのワイヤロープをガイドレールに取り付けて、ガイドレールを吊り上げていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−112487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータのガイドレール吊り上げ方法では、吊りフックを昇降路天井に固定するためのアンカーを新たに打設する必要が生じる。
また、昇降路天井に固定された吊りフックと昇降路壁に固定されたレールブラケットとの間に掛け渡されたチェーンに電動ウインチを取り付けているので、電動ウインチの位置が低くなる。また、一本目のガイドレールの吊り上げ姿勢の安定性を確保するために、電動ウインチのワイヤロープは1本目のガイドレールの上端側に取り付けられる。そこで、電動ウインチによる昇降行程に限界があり、ガイドレールを十分な高さ位置まで吊り上げることができない。
【0005】
さらに、機械室レスエレベータの据え付け工事では、ガイドレールの据え付け工程に先立って、乗りかごなどの機器を揚重するためのH鋼が両端を昇降路壁面に固定されて昇降路天井に近接して2列に平行に配設され、乗りかごとつり合いおもりとを主ロープで連動させるための上部返し車梁がH鋼に直交するように2列のH鋼に吊り保持される。そこで、上述のガイドレール吊り上げ方法を機械室レスエレベータの据え付け工事に適用すると、H鋼および上部返し車梁が邪魔となり、煩雑な吊り上げ作業となる。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、H鋼および上部返し車梁を利用して、アンカー打設作業を削減し、所定の吊り上げ高さを確保し、簡易にガイドレールを据え付けることができる機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、一対のH鋼が、長さ方向を昇降路の幅方向に一致させて、奥行き方向に所定距離離間して、互いに平行に昇降路の天井に近接して配設され、上部返し車梁が、上記昇降路の幅方向一側に、長さ方向を奥行き方向に一致させて、上記一対のH鋼に吊り保持された機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法であって、揚重ビームを、上記上部返し車梁の昇降路壁面と反対側に、長さ方向を奥行き方向に一致させて、上記一対のH鋼に吊り保持させる工程と、電動荷揚げ装置を上記揚重ビームの上記一対のH鋼による吊り保持位置間に吊設し、該電動荷揚げ装置により第1かご用ガイドレールを吊り上げ、該第1かご用ガイドレールを昇降路壁面に固定すると共に、上記上部返し車梁に固定する工程と、上記電動荷揚げ装置により第1おもり用ガイドレールを吊り上げ、該第1おもり用ガイドレールを昇降路壁面に固定すると共に、上記上部返し車梁に固定する工程と、上記電動荷揚げ装置により第2おもり用ガイドレールを吊り上げる工程と、手動荷揚げ装置を上記上部返し車梁の奥行き側端部に吊設し、該手動荷揚げ装置の索状体を吊り上げられた上記第2おもり用ガイドレールに連結する工程と、上記電動荷揚げ装置により上記第2おもり用ガイドレールを下降させて、該第2おもり用ガイドレールを上記手動荷揚げ装置の真下位置に移動させる工程と、上記電動荷揚げ装置の索状体の上記第2おもり用ガイドレールとの連結を解除し、上記手動荷揚げ装置により該第2おもり用ガイドレールを吊り上げ、該第2おもり用ガイドレールを昇降路壁面に固定する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、電動荷揚げ装置および手動荷揚げ装置がH鋼に吊り保持された揚重ビームや上部返し車梁に吊設されるので、アンカー打設が省略できるとともに、電動荷揚げ装置および手動荷揚げ装置の設置高さ位置を高くでき、所定の吊り上げ高さを確保することができる。さらに、H鋼および上部返し車梁を利用して電動荷揚げ装置および手動荷揚げ装置を設置しているので、吊り上げ作業が簡易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるガイドレール据え付け状態を説明する図であり、図1の(a)は平面図、図1の(b)は正面図、図1の(c)は側面図である。図2はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるかご用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図2の(a)は平面図、図2の(b)は正面図である。図3はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるかご用ガイドレール据え付け工程を説明する側面図である。図4はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図4の(a)は平面図、図4の(b)は正面図、図4の(c)は側面図である。図5はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図5(a)は正面図、図5の(b)は側面図である。図6はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図6(a)は正面図、図6の(b)は側面図である。図7はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図7(a)は正面図、図7の(b)は側面図である。図8はこの発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図であり、図8(a)は正面図、図8の(b)は側面図である。
【0010】
図1において、エレベータ設置用基準型板2が昇降路1の天井に近接して配設され、各構成機器の芯出し基準としてのピアノ線3がエレベータ設置用基準型板2から垂下されている。一対のH鋼4は、両端を昇降路1の壁面に固定されて、長さ方向を昇降路1の幅方向(乗り場出入り口の間口方向)に一致させて、かつ奥行き方向(乗り場出入り口の間口方向と直交する方向)に所定間隔離れて、昇降路1の天井に近接して2列に配設されている。このH鋼4は、機器を揚重するためのものであり、機器全体の荷重がバランスする位置に設置される。上部返し車梁5は、昇降路1の幅方向一側の壁面に近接して、長さ方向を奥行き方向に一致させて、吊り金具6により一対のH鋼4に吊り保持されている。この上部返し車梁5には、乗りかごとつり合いおもりとを主ロープで連動させるための返し車7が取り付けられている。
【0011】
第1および第2かご用ガイドレール8,9が、昇降路1の幅方向に所定距離離れて上下方向に延設されている。第1および第2かご用ガイドレール8,9は所定本数のガイドレール8a,9aを一直線に連結して構成され、ブラケット(図示せず)を介して昇降路1の壁面に固定されている。また、第1かご用ガイドレール8の上端側が上部返し車梁5に固定されている。
【0012】
第1および第2おもり用ガイドレール10,11が、昇降路1の幅方向の一側の昇降路壁面に近接して、かつ昇降路1の奥行き方向に所定距離離れて、上下方向に延設されている。第1および第2おもり用ガイドレール10,11は所定本数のガイドレール10a,11aを一直線に連結して構成され、ブラケット(図示せず)を介して昇降路1の壁面に固定されている。さらに、第1および第2おもり用ガイドレール10,11の上端側が上部返し車梁5に固定されている。また、作業用の上部足場12が、昇降路の上部側に仮設されている。
【0013】
ここで、図示していないが、乗りかごが第1および第2かご用ガイドレール8,9に案内されて昇降路1内を昇降自在に配設され、つり合いおもりが第1および第2かご用ガイドレール10,11に案内されて、昇降路1内の乗りかごの幅方向一側を昇降自在に配設される。つまり、このエレベータは、つり合いおもりが乗りかごの幅方向一側を昇降するおもり横落ちタイプの機械室レスエレベータである。そして、第1および第2かご用ガイドレール8,9および第1おもり用ガイドレール10は2列に配設されたH鋼4間に位置し、第2おもり用ガイドレール11は2列に配列されたH鋼4の奥行き側(乗り場出入り口と反対側)の外側に位置している。
【0014】
つぎに、ガイドレール据え付け工法について図2乃至図8を参照しつつ説明する。
ガイドレールの据え付けに先立って、一対のH鋼4、エレベータ設置用基準型板2および上部返し車梁5が設置される。つまり、上部足場12が昇降路1の上部側に仮設され、一対のH鋼4が昇降路1の天井に近接して配設される。そして、エレベータ設置用基準型板2が設置され、ピアノ線3が垂下される。ついで、上部返し車梁5が一対のH鋼4を利用して揚重され、吊り金具6を用いてH鋼4に吊り保持される。
【0015】
まず、電動荷揚げ装置20をH鋼4に吊設し、揚重ビーム22を吊り上げる。そして、揚重ビーム22を、上部返し車梁5の昇降路1内側に、かつ上部返し車梁5と平行に吊り金具23を用いてH鋼4に吊設する。さらに、H鋼4から外した電動荷揚げ装置20を、図2に示されるように、吊り金具21を用いて揚重ビーム22の一対のH鋼4による吊り保持位置間に吊設する。この時、電動荷揚げ装置20は、第1かご用ガイドレール8の据え付け位置の真上近傍の位置に吊設される。
【0016】
ついで、電動荷揚げ装置20から索状体であるワイヤロープ20aを繰り出し、ピット内まで垂下させる。そして、フック20bを1番目のガイドレール8aの上端側に取り付けたレール吊り金具24に連結する。ついで、電動荷揚げ装置20を駆動して、1番目のガイドレール8aを吊り上げる。この時、1番目のガイドレール8aが所定高さまで吊り上げられると、1番目のガイドレール8aの後端に2番目のガイドレール8aの先端を連結する。このようにして、ガイドレール8aを順次連結して、図3に示されるように、所定本数のガイドレール8aが連結された第1かご用ガイドレール8を吊り上げる。そして、第1かごガイドレール8を芯出しして、ブラケットにより昇降路1の壁面に固定すると共に、その上端部を上部返し車梁5に固定する。
【0017】
ついで、電動荷揚げ装置20を上部返し車梁5から外し、吊り金具21を用いてH鋼4に吊設する。この時、電動荷揚げ装置20は、第2かご用ガイドレール9の据え付け位置の真上近傍の位置に吊設される。そして、同様にして、所定本数のガイドレール9aが連結された第2かご用ガイドレール9を吊り上げ、芯出しした後、ブラケットにより昇降路1の壁面に固定する。
【0018】
ついで、電動荷揚げ装置20をH鋼4から外し、吊り金具21を用いて揚重ビーム22一対のH鋼4による吊り保持位置間に吊設する。この時、電動荷揚げ装置20は、第1おもり用ガイドレール10の据え付け位置の上部近傍の位置に吊設される。そして、同様にして、所定本数のガイドレール10aが連結された第1おもり用ガイドレール10を吊り上げ、芯出しした後、ブラケットにより昇降路1の壁面に固定するとともに、その上端側を上部返し車梁5に固定する。
【0019】
ついで、吊り金具21を揚重ビーム22に沿って吊り金具23まで移動する。そして、シンプルロット25を上部返し車梁5の第2おもり用ガイドレール11側端部(奥行き側端部)に穿設されているロープ綱止め穴に取り付け、手動荷揚げ装置26をシンプルロット25に吊設する。さらに、浮き上がり防止部材27を上部返し車梁5の第2おもり用ガイドレール11と反対側端部(乗り場出入り口側端部)とH鋼4との間に介装する。この状態が図4に示される。
【0020】
ついで、電動荷揚げ装置20からワイヤロープ20aを繰り出し、ピット内まで垂下させる。そして、フック20bを1番目のガイドレール11aの上端側に取り付けたレール吊り金具24に連結する。ついで、電動荷揚げ装置20を駆動して、1番目のガイドレール11aを吊り上げる。この時、1番目のガイドレール11aが所定高さまで吊り上げられると、1番目のガイドレール11aの後端に2番目のガイドレール11aの先端を連結する。このようにして、ガイドレール11aを順次連結して、図5に示されるように、所定本数のガイドレール11aが連結された第2おもり用ガイドレール11を最上階まで吊り上げる。
【0021】
ついで、図6に示すように、手動荷揚げ装置26の索状体であるロープ26aの先端に取り付けられたフック26bをレール吊り金具24にかける。その後、電動荷揚げ装置20を駆動してワイヤロープ20aを繰り出す。これにより、第2おもり用ガイドレール11は、手動荷揚げ装置26のロープ26aが緊張するまで垂下し、その後、下降しながら手動荷揚げ装置26側に移動し、ついには、図7に示されるように、手動荷揚げ装置26の真下位置となる。そして、電動荷揚げ装置20のフック20bを外し、ワイヤロープ20aを巻き取る。
ついで、図8に示されるように、手動荷揚げ装置26によりロープ26aを巻き上げ、第2おもり用ガイドレール11を所定高さまで吊り上げる。そして、第2おもり用ガイドレール11を芯出し、ブラケットにより昇降路1の壁面に固定するとともに、その上端側を上部返し車梁5に固定する。その後、手動荷揚げ装置26のフック26bを外し、ガイドレールの据え付け作業が完了する。
【0022】
ガイドレールを吊り上げる場合、電動荷揚げ装置20をガイドレールの据え付け位置の真上近傍に配置する必要がある。おもり横落ちタイプの機械室レスエレベータにおいては、H鋼4や揚重ビーム22を利用して電動荷揚げ装置20を、第1および第2かご用ガイドレール8,9および第1おもり用ガイドレール10の据え付け位置の真上近傍に配置することができる。
【0023】
しかし、第2おもり用ガイドレール11の据え付け位置は2列に配設されたH鋼4の奥行き側の外側となる。そこで、揚重ビーム22を利用して電動荷揚げ装置20を第2おもり用ガイドレールの据え付け位置の真上近傍に配置すると、揚重ビーム22はH鋼4を支点とした片持ち梁となる。その結果、第2おもり用ガイドレール8の吊り上げ時、揚重ビーム22の電動荷揚げ装置20の吊設位置と逆側、つまり揚重ビーム22の乗り場出入り口側が浮き上がるので、揚重ビーム22を利用しての第2おもり用ガイドレール11の据付は困難であった。
【0024】
この揚重ビーム22の浮き上がりを防止するためには、揚重ビーム22の奥行き側端部を吊り保持するためのH鋼を更に付設するという余分な工事が必要となり、作業負荷およびコストの増大をもたらす。また、この揚重ビーム22を吊り上げ荷重で曲がらない強度部材で作製することも方策も考えられるが、揚重ビーム22の容積が大きくなり、かつ重量が重くなることから、揚重ビーム22の設置/撤去負荷が増大し、作業負荷およびコストの増大をもたらす。
【0025】
この発明では、第2おもり用ガイドレール11の吊り上げに先立って、第1かご用ガイドレール8および第1おもり用ガイドレール9を吊り上げ、それぞれの上端側を上部返し車梁5に固定している。そして、電動荷揚げ装置20を揚重ビーム22の一対のH鋼4による吊り保持位置間の位置に吊設して第2おもり用ガイドレール11を最上階まで吊り上げる。その後、上部返し車梁5の奥行き側端部に手動荷揚げ装置26を吊設し、手動荷揚げ装置26のフック26bを吊り上げた第2おもり用ガイドレール11に連結する。ついで、電動に揚げ装置20により第2おもり用ガイドレール11を下降させて、第2おもり用ガイドレール11を手動荷揚げ装置26の真下位置まで移動させる。ついで、電動に揚げ装置20のフック20bを第2おもり用ガイドレール11から外し、手動荷揚げ装置26により第2おもり用ガイドレール11を所定高さまで吊り上げる。その後、第2おもり用ガイドレール11をブラケットにより昇降路1壁面に固定している。
【0026】
このように、第2おもり用ガイドレール11を最上階まで吊り上げる工程では、電動荷揚げ装置20は揚重ビーム22の一対のH鋼4による吊り保持位置間の位置に吊設されているので、揚重ビーム22は片持ち梁とはならない。また、最上階まで吊り上げた第2おもり用ガイドレール11をさらに据え付け高さ位置まで吊り上げる工程では、手動荷揚げ装置26は、第1かご用ガイドレール8および第1おもり用ガイドレール10の上端が固定されている上部返し車梁5の奥行き側端部に吊設されているので、吊り上げ荷重がブラケットにより昇降路1壁面に固定されている第1かご用ガイドレール8および第1おもり用ガイドレール10で受けられ、上部返し車梁5の乗り場出入り口側の浮き上がりが阻止される。
従って、この発明によれば、アンカー打設を伴うH鋼の付設が不要となり、かつ揚重ビーム22の強度を過度に高める必要が無く、作業負荷を軽減でき、コストの増大を抑えることができる。
【0027】
また、電動荷揚げ装置20および手動荷揚げ装置26がH鋼4に吊り保持された揚重ビーム22や上部返し車梁5に吊設されるので、アンカー打設が省略できるとともに、電動荷揚げ装置20および手動荷揚げ装置26の設置高さ位置を高くでき、所定の吊り上げ高さを確保することができる。さらに、H鋼4および上部返し車梁5を利用して電動荷揚げ装置20および手動荷揚げ装置26を設置しているので、吊り上げ作業が簡易となる。
また、浮き上がり防止部材27を上部返し車梁5の乗り場側出入り口側とH鋼4との間に介装しているので、手動荷揚げ装置26による吊り荷重が浮き上がり防止部材27を介してH鋼4に受けられ、上部返し車梁5の乗り場出入り口側の浮き上がりが阻止される。
【0028】
なお、上記実施の形態では、第1かご用ガイドレール8、第2かご用ガイドレール9、第1おもり用ガイドレール10および第2おもり用ガイドレール11の順に据え付けるものとしているが、第2おもり用ガイドレール11の据え付けが最後であれば、他のガイドレールの据え付け順はこれに限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、H鋼4に吊設された電動荷揚げ装置20を用いて第2かご用ガイドレール9を据え付けるものとしているが、揚重ビーム22を昇降路1の他側で、一対のH鋼4に吊り保持させ、電動荷揚げ装置20を揚重ビーム22に吊設して第2かご用ガイドレール9を据え付けてもよい。
【0029】
また、上部返し車梁5の第2おもり用ガイドレール11と反対側端部とH鋼4との間に介装される浮き上がり防止部材27は、上部返し車梁5とH鋼4との間の隙間と同等の長さの鋼材を用いてもよいし、ジャッキ、油圧シリンダなどを用いてもよい。
また、電動荷揚げ装置20としては、電動ウインチ、電動チェーンブロックなどを用いることができる。
また、手動荷揚げ装置26としては、手動チェーンブロック、レバーブロックなどを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるガイドレール据え付け状態を説明する図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるかご用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるかご用ガイドレール据え付け工程を説明する側面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る機械室レスエレベータにおけるおもり用ガイドレール据え付け工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0031】
1 昇降路、4 H鋼、5 上部返し車梁、8 第1かご用ガイドレール、9 第2かご用ガイドレール、10 第1おもり用ガイドレール、11 第2おもり用ガイドレール、20 電動に揚げ装置、22 揚重ビーム、26 手動荷揚げ装置、27 浮き上がり防止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のH鋼が、長さ方向を昇降路の幅方向に一致させて、奥行き方向に所定距離離間して、互いに平行に昇降路の天井に近接して配設され、上部返し車梁が、上記昇降路の幅方向一側に、長さ方向を奥行き方向に一致させて、上記一対のH鋼に吊り保持された機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法であって、
揚重ビームを、上記上部返し車梁の昇降路壁面と反対側に、長さ方向を奥行き方向に一致させて、上記一対のH鋼に吊り保持させる工程と、
電動荷揚げ装置を上記揚重ビームの上記一対のH鋼による吊り保持位置間に吊設し、該電動荷揚げ装置により第1かご用ガイドレールを吊り上げ、該第1かご用ガイドレールを昇降路壁面に固定すると共に、上記上部返し車梁に固定する工程と、
上記電動荷揚げ装置により第1おもり用ガイドレールを吊り上げ、該第1おもり用ガイドレールを昇降路壁面に固定すると共に、上記上部返し車梁に固定する工程と、
上記電動荷揚げ装置により第2おもり用ガイドレールを吊り上げる工程と、
手動荷揚げ装置を上記上部返し車梁の奥行き側端部に吊設し、該手動荷揚げ装置の索状体を吊り上げられた上記第2おもり用ガイドレールに連結する工程と、
上記電動荷揚げ装置により上記第2おもり用ガイドレールを下降させて、該第2おもり用ガイドレールを上記手動荷揚げ装置の真下位置に移動させる工程と、
上記電動荷揚げ装置の索状体の上記第2おもり用ガイドレールとの連結を解除し、上記手動荷揚げ装置により該第2おもり用ガイドレールを吊り上げ、該第2おもり用ガイドレールを昇降路壁面に固定する工程と、
を有することを特徴とする機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法。
【請求項2】
上記電動荷揚げ装置により上記第2おもり用ガイドレールを下降させて、該第2おもり用ガイドレールを上記手動荷揚げ装置の真下位置に移動させる工程に先だって、浮き上がり防止部材を上記上部返し車梁の乗り場出入り口側と上記H鋼との間に介装する工程を有することを特徴とする請求項1記載の機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−285260(P2008−285260A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130431(P2007−130431)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】