説明

機械式駐車装置のリフト

【課題】4本柱形式のリフトにおいて、昇降部材の昇降駆動機構を簡素化し、リフトの平面積を圧縮する。片軸の駆動モータを採用し、その据え付け及び保守点検作業の負担を低減し、併せてコストダウンを図る。
【解決手段】駆動モータ25を昇降路20の任意の片側一方でかつ下部に設置するとともに、駆動側スプロケット227、228、駆動チェーン245、246、及びカウンタウェイト23を昇降路20の任意の片側一方に配置して、昇降フレーム3を昇降駆動する昇降駆動機構を昇降路20を画する4面のうち任意の1面に集約する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械式駐車装置のリフトに関し、特に4本柱形式のリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式駐車装置において、リフトを、昇降路の四隅に4本の柱(昇降ガイド)を立て、各昇降ガイド上に設置された複数のスプロケットを介して複数の昇降チェーンを巻き掛けて、各昇降チェーンの一端に自動車を載せる昇降部材(昇降フレームや昇降台など)を連結し、他端にカウンタウェイトを吊り下げ、減速機付きの駆動モータにより昇降駆動する形式で設置する場合、一般に、昇降部材を4本の吊りチェーンで、つるべ式に吊り下げて、これら吊りチェーンを片軸の駆動モータで回転駆動する形式や、昇降部材を4本のエンドレスチェーンで吊り下げて、これらエンドレスチェーンを両軸の駆動モータで回転駆動する形式が採用される。この種のリフトの、特に前者の形式が特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1のリフトの場合、前後いずれか一方の2本の各柱の上方に2連式の駆動側スプロケットが設置され、他方の2本の各柱の上方に従動側スプロケットが設置され、各2連式の駆動側スプロケットの一方のスプロケットと各従動側スプロケットとの間にそれぞれ吊りチェーンが1本ずつ掛け渡されるとともに、各2連式の駆動側スプロケットの他方のスプロケット上にそれぞれ吊りチェーンが1本ずつ巻き掛けられる。これら合計4本の吊りチェーンの一端に昇降部材が連結され、他端にカウンタウェイトが吊り下げられる。また、各駆動側スプロケットは駆動軸により作動連結され、その駆動軸に、各駆動側スプロケットに近接して設置され、駆動モータに直結された減速機の出力軸が連結される。このようにして駆動モータの正回転駆動により、駆動軸が正回転駆動され、駆動側スプロケットとともに従動側スプロケットが正回転されると、各吊りチェーンが同方向に回転されて、昇降部材が上昇される一方、各カウンタウェイトが降下される。反対に、駆動モータの逆回転駆動により、駆動軸が逆回転駆動され、駆動側スプロケットとともに従動側スプロケットが逆回転されると、各吊りチェーンが同方向に回転されて、昇降部材が下降される一方、各カウンタウェイトが引き上げられる。
【特許文献1】特開平10−37510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のリフトで、昇降部材を4本の吊りチェーンでつるべ式に吊り下げる形式では、4本の吊りチェーンの一端に昇降部材が連結され、他端にカウンタウェイトが吊り下げられるため、この吊り方では、昇降路の(前後)両側にカウンタウェイトが配置され、少なくともこれらカウンタウェイトの昇降に必要なスペース分だけリフトの平面積が拡大せざるを得ないという問題がある。さらに、この吊り方では、駆動モータをリフトの下部に設置することができないため、このつるべ式のリフトの、大容量の駆動モータをリフトの最上部に設置せざるを得ず、その据え付け作業、及び保守点検作業を高所で行う他なく、作業が容易でなく、コストも増大するという問題がある。また、昇降部材を4本のエンドレスチェーンで吊り下げる形式では、4本のエンドレスチェーンを両軸の駆動モータで回転駆動するため、4本のエンドレスチェーンの駆動に必要な駆動モータを含む各機能部がリフト(昇降路)の両側に設けられるために、昇降部材の昇降駆動機構が複雑になり、リフトの平面積が拡大せざるを得ないという問題がある。さらに、両軸の駆動モータでは、ブレーキ調整や交換に多大の手間がかかるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種(4本柱形式)の機械式駐車装置のリフトにおいて、昇降チェーンの駆動に必要な各機能部を昇降路の片側一方に集約して、昇降部材の昇降駆動機構の簡素化を図り、リフトの平面積を圧縮すること、さらに低出力の片軸の駆動モータを採用し、リフトの下部に設置して、その据え付け及び保守点検作業の負担を軽減するとともに、全体としてコストダウンを図ること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の機械式駐車装置のリフトは、昇降路の四隅に4本の昇降ガイドを立て、前記各昇降ガイド上に設置された複数のスプロケットを介して複数の昇降チェーンを巻き掛けて、前記各昇降チェーンの一端に自動車を載せる昇降部材を連結し、他端にカウンタウェイトを吊り下げ、減速機付きの駆動モータにより昇降駆動する形式の機械式駐車装置のリフトにおいて、前記複数のスプロケットは、前記4本の昇降ガイドのうち、前記昇降路の任意の片側一方の各昇降ガイドの上方にそれぞれ、片側他方に立設された各昇降ガイドに向けて配置された一対の2連式の従動側スプロケットと、前記片側他方の各昇降ガイドの上方にそれぞれ、前記各2連式の従動側スプロケットの一方に対向して配置された一対の従動側スプロケットと、前記片側一方に立設された各昇降ガイドの下方にそれぞれ、前記各2連式の従動側スプロケットと同じ向きにして配置され、前記駆動モータにより駆動される一対の駆動側スプロケットとを備え、前記複数の昇降チェーンは、前記片側一方及び片側他方の各昇降ガイドの上方に対向して配置された前記各従動側スプロケット間に巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に上方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに上方から連結される一対の装架吊りチェーンと、前記片側一方の各昇降ガイドの上方に配置された前記各2連式の従動側スプロケットの他方に巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に上方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに上方から連結される一対の吊りチェーンと、前記片側一方の各昇降ガイドの下方に配置された前記各駆動側スプロケットに巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に下方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに下方から連結される一対の駆動チェーンとを備え、前記駆動モータを前記昇降路の任意の片側一方でかつ下部に設置するとともに、前記駆動側スプロケット、前記駆動チェーン、及び前記カウンタウェイトを前記昇降路の任意の片側一方に配置して、前記昇降部材を昇降駆動する昇降駆動機構を、前記昇降路を画する4面のうち任意の1面に集約したことを要旨とする。また、この場合、昇降路を画する4面のうち、他の3面の方向から選択的に任意の1方向又は複数方向に自動車の移送経路又は入庫若しくは出庫経路が形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の機械式駐車装置のリフトは、上記各構成により、4本柱形式でありながら、昇降チェーンの昇降駆動に必要な各機能部を昇降路の片側一方に集約して、昇降部材の昇降駆動機構を簡素化し、リフトの平面積を圧縮することができ、さらに低出力の片軸の駆動モータをリフトの下部に設置して、その据え付け及び保守点検作業の負担を軽減することができ、併せて全体としてコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお、この実施の形態では、機械式駐車装置に、地上1階を自動車の入出庫階とする地下式の多層形水平循環式駐車設備を例示する。図1に示すように、この駐車設備1は、地上1階に設置された図示されない自動車の入出庫部と、地下の設置空間に2階層にして形成された自動車の格納階層B1、B2とを備える。
【0009】
この駐車設備1の場合、自動車の入出庫部は端部乗込方式になっており、自動車の格納階層B1、B2において形成される第1のトレー横行路101の一端部の上方に設置される。したがってこの自動車の入出庫部と第1のトレー横行路101の一端部との間にリフト2が据え付けられることになる。
【0010】
各格納階層B1、B2にはそれぞれ、トレー循環路100が形成され、このトレー循環路100上に自動車を載せる複数のトレーТが配置される。トレー循環路100は、第1、第2のトレー横行路101、102と、第1、第2のトレー縦行路103(第2のトレー縦行路は図示省略のため符号なし)とを備える。第1、第2のトレー横行路101、102は、第1、第2の一対のトレー横送りレール11、12と、第1、第2のトレー横送り装置11D、12Dとにより構成される。なお、ここで第1、第2のトレー横送り装置11D、12Dは、第1、第2の一対のトレー横送りレール11間、12間に設置され、両端に各トレーТ下面中央の図示されないガイドに係合可能なローラを有するクランクアームと、クランクアームを水平方向に旋回駆動する駆動部とを対にして備える。一対のクランクアームの旋回運動により、各クランクアーム両端のローラを交互に各トレーТ下面中央のガイドに係合離脱しながら各トレーТを横送りする。これら第1、第2のトレー横行路101、102上に、各トレー横行路101、102の端部にトレー1台分の空きスペースが設けられて、複数のトレーТが横列に、相互に隣接するトレーТ間がトレーТの縦方向及び上下方向の移動により係脱可能なカップラにより連結されて配置され、第1、第2のトレー列Т1、Т2が形成される。第1のトレー縦行路103は、第1、第2のトレー横送りレール11、12の一端部間に直角に交差する第1のトレー縦送りレール13と、第1のトレー縦送り装置13Dとにより構成される。なお、ここで第1のトレー縦送り装置13Dは、第1のトレー縦送りレール13の外側に近接して設置され、モータ駆動の駆動側のスプロケット、従動側のスプロケット、これらのスプロケット間に巻き掛けられたエンドレスチェーン、エンドレスチェーンに上方に向けて突設された一対の係合ピンなどにより構成される。通常、各係合ピンは各トレー横行路101、102に沿って配設された図示されないガイドレールの延長上に設定された停止位置に待機され、第1のトレー縦送り装置13Dの1動作毎に各係合ピンが一方の停止位置から他方の停止位置まで周回移動される。第1、第2のトレー列Т1、Т2の横送りによりトレーТが第1のトレー縦行路103に移動されることにより、トレーТ下面の一端に設けられた図示されないガイド対の一方に係合ピンが係合され、この係合状態から係合ピンの周回運動により、トレーТを縦送りする。なお、第2のトレー縦行路は、第1、第2のトレー横送りレール11、12の他端部間に同様にして構成される。
【0011】
なお、この駐車設備1に使用するトレーТはすべて同一の構成を有する。ここでは特に図示を省略しているが、トレーТの下面に、その略四隅に横向きに軸支され、各トレー横送りレール11、12上を走行可能な4輪構成の横行車輪と、各横行車輪の内側に近接して縦向きに軸支され、トレー縦送りレール13上を走行可能な4輪構成の縦行車輪とを備える。さらにこの下面の前側で各横行車輪及び縦行車輪の外側にそれぞれ、所定の長さでトレーТの幅方向に向けて配置され、各トレー横行路に沿って設置されるトレーТの横行ガイドと第1、第2のトレー縦送り装置の係合ピンに係合可能な溝形(断面略逆U字形)のガイド対と、この下面の中心に所定の長さで、トレーТの長手方向に向けて配置され、各トレー縦行路に沿って配置されるトレーТの縦行ガイドと第1、第2のトレー横送り装置11D、12Dのクランクアーム(のローラ)に係合可能な溝形(断面略逆U字形)のガイドとを備える。また、各トレーТの左右両側部には、トレー列として横方向に隣接する各トレーТ同士を連結するために、カップラが設けられる。このカップラは、平断面が略U字形の被係合部を有する雌連結金具と、平断面が略逆U字形の係合部を有する雄連結金具とからなる。各トレーТの左側部の前側及び後側に雌連結金具が取り付けられ、右側部の前側及び後側に雄連結金具が取り付けられる。
【0012】
このような駐車設備1に、リフト2は自動車の入出庫階と各格納階層B1、B2との間に据え付けられる。このリフト2の据え付けに当たり、昇降路20は自動車の入出庫階と各格納階層B1、B2との間に、トレー循環路100を中断して貫通形成される。この駐車設備1の場合、端部乗込方式が採用されているので、昇降路20はトレー循環路100のうち、トレーТを横送りする第1のトレー横行路101の一端部に設定され、その横行路101及び第1のトレー縦行路103の一部が中断されて貫通される。
【0013】
リフト2は4本柱形式で、図2に示すように、昇降路20に立ち上げられた4本の柱、すなわち4本の昇降ガイド21と、これら昇降ガイド21上に設置された複数のスプロケット22と、これらのスプロケット22に巻き掛けられて、各昇降ガイド21に沿って配置され、一端に自動車を載せたトレーТを支持昇降する昇降フレーム3が吊り下げられ、他端に昇降フレーム3と対称的に昇降運動される共通のカウンタウェイト23が吊り下げられた複数の昇降チェーン24と、昇降チェーン24を昇降駆動する減速機付きの駆動モータ25とを備える。
【0014】
このリフト2の場合、4本の昇降ガイド21は、昇降路20の略四隅に、自動車の入出庫階の直下の高さまで立ち上げられる。複数のスプロケット22は、一対の2連式の従動側スプロケット221、222と、一対の従動側スプロケット223、224と、一対のガイドスプロケット225、226と、一対の駆動側スプロケット227、228とを備える。なお、これらのスプロケット22はすべて共通のスプロケットで構成される。一対の2連式の従動側スプロケット221、222は、4本の昇降ガイド21のうち、昇降路20の任意の片側一方、この場合、第1のトレー横行路101の一端部(の終端)で第1のトレー縦行路103に沿って立設された外側前後の各昇降ガイド211、213の上方にそれぞれ、片側他方に立設された内側前後の各昇降ガイド212、214に向けて配置される。一対の従動側スプロケット223、224は、昇降路20の片側他方、すなわち内側前後の各昇降ガイド212、214の上方にそれぞれ、各2連式の従動側スプロケット221、221の内側一方(のスプロケット)に対向して配置される。一対のガイドスプロケット225、226は、前側の各昇降ガイド211、212間及び後側の各昇降ガイド213、214間に架け渡された梁上に、各2連式の従動側スプロケット221、222の内側一方(のスプロケット)と各従動側スプロケット223、224との間で各2連式の従動側スプロケット221、222に近接する位置に、各従動側スプロケット221・223、222・224に対向して配置される。一対の駆動側スプロケット227、228は、外側前後の各昇降ガイド211、213の下方にそれぞれ、各2連式の従動側スプロケット221、222と同じ向きにして配置される。併せて減速機付きの駆動モータ25が、外側前後の各昇降ガイド211、213間で昇降路20の下部に設置され、この駆動モータ25と各駆動側スプロケット227、228が駆動軸26を介して作動連結される。複数の昇降チェーン24は、一対の装架吊りチェーン241、242と、一対の吊りチェーン243、244と、一対の駆動チェーン245、246とを備える。一対の装架吊りチェーン241、242は、前側の各昇降ガイド211、212の上方に対向して配置された2連式の従動側スプロケット221の一方(のスプロケット)と従動側スプロケット223との間、及び後側の各昇降ガイド213、214の上方に対向して配置された2連式の従動側スプロケット222の一方(のスプロケット)と従動側スプロケット224との間に、ガイドスプロケット225、226を介して略M字形に巻き架けられ、一端が昇降フレーム3に上方から連結され、他端が共通のカウンタウェイト23に上方から連結される。一対の吊りチェーン243、244は、外側前後の各昇降ガイド211、213の上方に配置された各2連式の従動側スプロケット221、222の他方(のスプロケット上)に巻き掛けられて、一端が昇降フレーム3に上方から連結され、他端が共通のカウンタウェイト23に上方から連結される。一対の駆動チェーン245、246は、外側前後の各昇降ガイド211、213の下方に配置された各駆動側スプロケット227、228に巻き掛けられて、一端が昇降フレーム3に下方から連結され、他端がカウンタウェイト23に下方から連結される。
【0015】
このようにして駆動モータ25が昇降路20の任意の片側一方でかつ下部に設置されるとともに、一対の駆動側スプロケット227、228、一対の駆動チェーン245、246、及び共通のカウンタウェイト23が昇降路20の任意の片側一方に配置され、昇降フレーム3を昇降駆動する昇降駆動機構が、昇降路20を画する4面のうち、任意の1面に集約される。
【0016】
また、このリフト2の場合、図1に示すように、昇降フレーム3に、昇降フレーム3から離脱可能に配置され、各格納階層B1、B2の昇降路20上でトレー循環路100上の中断部を連絡する連絡フレーム32と、トレーТを旋回するトレー旋回装置33とを併せて備える。この場合、昇降フレーム3は、前側の各昇降ガイド211、212間及び後側の各昇降ガイド213、214間にそれぞれ配置され、両端に各昇降ガイド211、212、213、214上を転動可能なガイドローラを有する昇降杆を有する一対の本体フレーム30と、これらの本体フレーム30上にそれぞれ所定の高さを有する一対の支柱が取り付けられ、これら一対の支柱間に架け渡された一対の支持フレーム31とにより構成される。なお、この昇降フレーム3の各昇降杆の上下に、既述の各昇降チェーン24の一端が連結される。
【0017】
連絡フレーム32は、連絡フレーム32の基材となるベースフレーム320と、第1のトレー横行路101上の第1のトレー横送りレール11に連絡可能なトレー横送り経路レール321と、第1のトレー縦行路103上の第1のトレー縦送りレール13に連絡可能なトレー縦送り経路レール322とを備え、全体が略井桁状に組み立てられる。この連絡フレーム32は昇降フレーム3の一対の支持フレーム31上に配置され、上方向に離脱可能に搭載される。なお、連絡フレーム32は昇降フレーム3の各支持フレーム31上に搭載されるために、連絡フレーム32又は各支持フレーム31のいずれか一方に係合部材を具備し、他方にその被係合部材を具備し、これら係合部材と被係合部材との係合により連絡フレーム32が各支持フレーム31上に位置決めされるとともに、連絡フレーム32の水平方向の移動を規制される。この実施の形態では、連絡フレーム32下面の左右両側に係合部材として2つの係止突起が設けられ、各支持フレーム31上にその被係合部材として2つの係止凹部が設けられる。
【0018】
また、この連絡フレーム32には、レベルロック装置4が設置される。このレベルロック装置4は水平方向に進退可能な4本のアーム41とその駆動装置42として4個のリニアドモータとを具備し、それぞれベースフレーム320の左右両側の前後に取り付けられて、4本のアーム41が連絡フレーム32の外側方向(左方向又は右方向)に向けて進退可能に構成される。併せて自動車の入出庫階、及び各格納階層B1、B2にこのレベルロック装置4の4本のアーム41が係合可能な溝形の又は凹状の4つのアーム受け部40が取り付けられる。この場合、自動車の入出庫階には、4つのアーム受け部40が図示されないフロアに形成されたトレーの昇降口の開口縁部(ここでは左側縁部及び右側縁部の前後)の所定の位置に取り付けられる。これらのトレー受け部40により連絡フレーム32が支持されて、この連絡フレーム32がトレーТの受け座をなす。すなわち、連絡フレーム32のトレー横送り経路レール321上にトレーТが各横行車輪を乗せて支持され、トレーТ上面の自動車の載置面が自動車の入出庫階のフロア上に設定された自動車の乗込レベルに合わせられる。また、自動車の格納階層B1、B2には、昇降路20を挟んで片側一方の第1のトレー横送りレール11(端部)間に固定フレームが架け渡されてこの固定フレームの前後に2つのアーム受け部40が取り付けられ、同様にこれに対向する片側他方の、すなわち外側前後の各昇降ガイド211、213間に固定フレームが架け渡されてこの固定フレームの前後に2つのアーム受け部40が取り付けられ、これら各格納階層B1、B2の各トレー受け部40により連絡フレーム32が、トレー横送り経路レール321を各格納階層B1、B2の第1のトレー横送りレール11に連続的に配列可能に、トレー縦送り経路レール322を各格納階層B1、B2の第1のトレー縦送りレール13に連続的に配列可能に支持される。また、この連絡フレーム32と自動車の入出庫階及び各格納階層B1、B2のレベルロックはリフト2の昇降動作に協働して実行される。すなわち、連絡フレーム32はリフト2の昇降フレーム3に搭載され、昇降フレーム3と一体に昇降されるので、連絡フレーム32がレベルロックされる階層に対して上方所定の高さから当該階層に向けて下降中に、連絡フレーム32の各アーム41が各アーム受け部40に対して係合可能な位置まで前進駆動され、連絡フレーム32が当該階層に到達すると同時に、各アーム41が当該階層の各アーム受け部40に支持されることにより、連絡フレーム32が当該階層に受け渡しされ、そのレベルにロックされる。なお、この連絡フレーム32にはさらに、トレーТに係合してトレーТの水平方向の移動を規制するトレーロック装置が具備される。
【0019】
トレー旋回装置33は、旋回フレーム331と、旋回フレーム331を旋回駆動する旋回駆動装置332とを備える。この場合、旋回フレーム331は、昇降フレーム3上の連絡フレーム32、特にトレー縦送り経路フレーム322間を通り抜け可能な平行な2本の長い支持部材と、これら長い支持部材の両端部間に固定された2本の短い支持部材とにより形成される。旋回駆動装置332は、旋回ベアリングと、これを旋回駆動する旋回駆動部とを具備する。旋回ベアリングは2重構造のギヤ付きベアリングからなり、一方のギヤ付きベアリングがリフト2の昇降フレーム3上に取り付けられ、他方のギヤ付きベアリングに旋回フレーム331に取り付けられる。これらのギヤ付きベアリングが係合され、旋回フレーム331が昇降フレーム3の一対の支持フレーム31上で旋回可能に取り付けられる。旋回駆動部は旋回用モータと旋回ギヤとを備え、旋回用モータがリフト2の昇降フレーム3上に旋回ベアリングに近接して設置され、旋回ギヤが旋回ベアリングに歯合される。
【0020】
次に、リフト2の動作及び機能について説明する。このリフト2では、図2に示すように、昇降路20を画する4面のうち任意の1面に集約された昇降駆動機構により、各吊りチェーン243、244、各装架吊りチェーン241、242を回転駆動され、昇降フレーム3が昇降駆動される。すなわち、外側前後の各昇降ガイド211、213間で昇降路20の下部に設置された駆動モータ25の正回転駆動により、駆動軸26が正回転駆動されて、外側前後の各昇降ガイド211、213の下方に配置された各駆動側スプロケット227、228が正回転され、各駆動チェーン245、246とともに、外側前後の各昇降ガイド211、213の上方に設置された各2連式の従動側スプロケット221、222(の他方のスプロケット)上で各吊りチェーン243、244が同方向に回転されると同時に、各2連式の従動側スプロケット221、222の一方(のスプロケット)とこれに対向する各従動側スプロケット223、224との間に架け渡された各装架吊りチェーン241、242が同方向に回転されて、外側前後の各昇降ガイド211、213間で共通のカウンタウェイト23を降下する一方、昇降路20上で昇降フレーム3が上昇される。反対に、駆動モータ25の逆回転駆動により、駆動軸26が逆回転駆動されて、各駆動側スプロケット227、228が逆回転され、各駆動チェーン245、246とともに、各2連式の従動側スプロケット221、222(の他方のスプロケット)上で各吊りチェーン243、244が同方向に回転されると同時に、各2連式の従動側スプロケット221、222の一方(のスプロケット)とこれに対向する各従動側スプロケット223、224との間に架け渡された各装架吊りチェーン241、242が同方向に回転されて、外側前後の各昇降ガイド211、213間で共通のカウンタウェイト23を引き上げる一方、昇降路20上で昇降フレーム3が下降される。このようにして昇降フレーム3は自動車の入出庫階と格納階層B1、B2との間で昇降される。
【0021】
また、このリフト2の場合、自動車の入出庫に際して、昇降フレーム3と入出庫先の格納階層又は入出庫階との間で、連絡フレーム32が受け渡しされる。図1を参照すると、この場合、昇降フレーム3上の連絡フレーム32が入出庫先の格納階層B1又はB2よりも少し上方の所定の高さに達したときに昇降フレーム3の昇降動作が停止され、連絡フレーム32の各アーム41がその駆動装置42の前進駆動により連絡フレーム32の外方へ各階層の各アーム受け部40に係合する位置まで突出される。続いて昇降フレーム3が下降され、この昇降フレーム3の一対の支持フレーム31上の連絡フレーム32が入出庫先の格納階層B1又はB2のレベルに達すると同時に、連絡フレーム32の各アーム41が当該格納階層B1又はB2の各アーム受け部40に支持されて当該格納階層B1又はB2のトレー循環路100に連絡される。なお、この連絡フレーム32がリフト2の昇降フレーム3から当該格納階層B1又はB2に受け渡しされた時点で、リフト2の昇降フレーム3は昇降路20を所定の高さまで下降され、昇降フレーム3上の一対の支持フレーム31とともに連絡フレーム32から離される。このようにして入出庫先の格納階層B1又はB2で、連絡フレーム32が第1のトレー横行路101と第1のトレー縦行路103に連絡されると、この格納階層B1又はB2で入庫運転又は出庫運転又はその準備運転が実行される。この場合、第1、第2のトレー横送り装置11D、12Dと第1、第2のトレー縦送り装置13Dとにより、第1、第2のトレー横行路101、102間における一方の対角線上の端部に形成された空きスペースに向けて第1、第2のトレー列Т1、Т2を横送りする工程と、この横送りにより第1、第2のトレー横行路101、102における他方の対角線上の端部に形成された空きスペースに向けて各トレーТを縦送りする工程とを繰り返され、各トレーТがトレー循環路100上で循環移動される。このようにして連絡フレーム32上に入出庫のトレーТが乗せられると、続いて、リフト2の駆動により、昇降フレーム3が上昇される。昇降フレーム3が所定の高さまで上昇されたところから、昇降フレーム3上のトレー旋回装置33の旋回フレーム331が入出庫先の格納階層B1又はB2に受け渡しされた連絡フレーム32のトレー縦送り経路レール322間に進入され、連絡フレーム32上の入出庫のトレーТに達すると、この旋回フレーム331で連絡フレーム32上のトレーТが持ち上げられて、このトレーТが連絡フレーム32から昇降フレーム3上のトレー旋回装置33に受け渡しされる。昇降フレーム3が引き続き上昇されて、今度は昇降フレーム3上の一対の支持フレーム31が入出庫先の格納階層B1又はB2の連絡フレーム32に達すると、この一対の支持フレーム31で連絡フレーム32が入出庫先の格納階層B1又はB2から持ち上げられて離脱される。このようにして連絡フレーム32が入出庫先の格納階層B1又はB2から昇降フレーム3に受け渡しされる。続いて、リフト2の駆動が一時停止され、連絡フレーム32の各アーム41がその駆動装置42の後退駆動により連絡フレーム32の内方へ、各アーム41が各階層の各アーム受け部40に係合しない位置まで戻し入れられる。自動車の出庫運転の場合、ここでさらに、トレー旋回装置33が駆動される。旋回フレーム331がその旋回駆動装置332により旋回され、旋回フレーム331上の入出庫のトレーТが自動車の入出庫階の下方で方向転換され、自動車の前部が自動車の入出庫部における自動車の出庫方向に向けられる。続いて、リフト2の駆動により昇降フレーム3が上昇され、連絡フレーム32が自動車の入出庫階上の自動車の乗込レベルよりも少し上方の所定の高さに達したところで昇降フレーム3の上昇を停止される。続いて、連絡フレーム32の各アーム41がその駆動装置42の前進駆動により連絡フレーム32の外方へ、各アーム41が各階層の各トレー受け部40に係合する位置まで突出される。続いて、昇降フレーム3が下降され、まず連絡フレーム32が各アーム41を自動車の入出庫階の各アーム受け部40に支持されて自動車の入出庫階に受け渡しされ、次いで旋回フレーム331上のトレーТが自動車の入出庫階の自動車の乗込レベルに達すると同時に、トレーТが旋回フレーム331から連絡フレーム32に乗せ換えられる。昇降フレーム3はリフトの昇降路20を所定の高さまで下降され、昇降フレーム3上のトレー旋回装置33とともに連絡フレーム32から離される。このようにして連絡フレーム32が自動車の入出庫階に受け渡しされ、その上にトレーТが乗せられて、ここで自動車の入出庫が行われる。
【0022】
以上説明したように、このリフト2によれば、4本柱形式でありながら、駆動モータ25、駆動側スプロケット227、228、駆動チェーン245、246、及びカウンタウェイト23など、昇降チェーン24の回転駆動に必要な各機能部を、昇降路20の任意の片側一方、すなわち昇降路20を画する4面のうちの、任意の1面に集約するので、昇降フレーム3の昇降駆動機構を簡素化して、リフト2の平面積を圧縮することができる。さらに駆動モータ25を昇降路20の下部に設置するので、その据え付け及び保守点検作業を低所で行うことができ、従来の高所作業による負担を大幅に軽減して、コストの低減を図ることができる。また、この場合、従来に比べて低出力の、片軸の駆動モータ25を採用できるので、大容量の駆動モータや両軸のモータに比べて低廉で、消費電力を低く抑えることができ、両軸の駆動モータのようにブレーキ調整や交換に多くの手間を要することもない。リフト全体として、大幅なコストダウンを図ることができる。また、昇降フレーム3の昇降駆動機構を昇降路20を画する4面のうち任意の1面に集約して、他の3面の方向から選択的に任意の1方向又は複数方向に、自動車の移送経路又は入庫若しくは出庫経路を形成できるので、リフト2を自動車の格納階層上又は外部の任意の位置に設置することができ、さらに自動車の入出庫階で自動車の入出庫方向を任意に設定することができる。
【0023】
また、このリフト2の場合、特に、複数のスプロケット22をすべて共通にしているので、部品管理やメンテナンス等を容易にし、さらにカウンタウェイト23を1つにしているので、部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。また、片側一方の従動側スプロケット221、222と片側他方の従動側スプロケット223、224との間にガイドスプロケット225、226を介在して、各従動側スプロケット221・222、223・224間に架け渡された各装架吊りチェーン241、242を下方斜めに案内して、各装架吊りチェーン241、242の、各従動側スプロケット221、222、223、224上の巻き付け範囲を大きくできるので、その駆動力を向上させることができる。
【0024】
さらに、このリフト2の場合、昇降フレーム3から連絡フレーム32を入出庫先の格納階層B1又はB2に受け渡しすることにより、その格納階層B1又はB2のトレー循環路100の中断部を連絡してトレー循環路100全体を連続させるので、リフト2の連絡フレーム32を入出庫先の格納階層B1又はB2に受け渡しすると即時に、そのトレー循環路100上でトレーТを循環移動することができ、さらにその他の格納階層B2又はB1で昇降路20を開通しているので、入出庫先の格納階層B1又はB2でリフト2の連絡フレーム32上に入出庫のトレーТを移動すると即時に、このトレーТをリフト2の昇降により自動車の入出庫階へ移送することができる。したがって駐車設備1全体の動作に無駄な動作がなく、入出庫動作を迅速、かつ円滑に行うことができる。
【0025】
なお、上記実施の形態では、地下式の多層形水平循環式駐車設備に適用したリフトについて例示しているが、昇降路の四隅に4本の昇降ガイドを立て、これら昇降ガイド上に設置された複数のスプロケットを介して複数の昇降チェーンを巻き掛けて、各昇降チェーンの一端に自動車を載せる昇降部材を連結し、他端にカウンタウェイトを吊り下げ、減速機付きの駆動モータにより昇降駆動する形式のリフトを採用する機械式駐車装置であれば、地下式、地上式に拘わらず、パズル循環式、平面往復式、箱型循環式、エレベータ式など、各種形式の機械式駐車装置に同様に適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態における機械式駐車装置のリフトを駐車設備とともに示す一部省略斜視図
【図2】同リフトの具体的な構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 駐車設備
100 トレー循環路
101 第1のトレー横行路
102 第2のトレー横行路
103 第1のトレー縦行路
11 第1のトレー横送りレール
11D 第1のトレー横送り装置
12 第2のトレー横送りレール
12D 第1のトレー横送り装置
13 第1のトレー縦送りレール
13D 第1のトレー縦送り装置
B1 自動車の格納階層
B2 自動車の格納階層
Т トレー
Т1 第1のトレー列
Т2 第2のトレー列
2 リフト
20 昇降路
21 昇降ガイド
211 外側の昇降ガイド
212 内側の昇降ガイド
213 外側の昇降ガイド
214 内側の昇降ガイド
22 スプロケット
221 2連式の従動側スプロケット
222 2連式の従動側スプロケット
223 従動側スプロケット
224 従動側スプロケット
225 ガイドスプロケット
226 ガイドスプロケット
227 駆動側スプロケット
228 駆動側スプロケット
23 カウンタウェイト
24 昇降チェーン
241 装架吊りチェーン
242 装架吊りチェーン
243 吊りチェーン
244 吊りチェーン
245 駆動チェーン
246 駆動チェーン
25 減速機付きの駆動モータ
26 駆動軸
3 昇降フレーム
30 本体フレーム
31 支持フレーム
32 連絡フレーム
320 ベースフレーム
321 トレー横送り経路レール
322 トレー縦送り経路レール
33 トレー旋回装置
331 旋回フレーム
332 旋回駆動装置
4 レベルロック装置
40 アーム受け部
41 アーム
42 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の四隅に4本の昇降ガイドを立て、前記各昇降ガイド上に設置された複数のスプロケットを介して複数の昇降チェーンを巻き掛けて、前記各昇降チェーンの一端に自動車を載せる昇降部材を連結し、他端にカウンタウェイトを吊り下げ、減速機付きの駆動モータにより昇降駆動する形式の機械式駐車装置のリフトにおいて、
前記複数のスプロケットは、
前記4本の昇降ガイドのうち、
前記昇降路の任意の片側一方の各昇降ガイドの上方にそれぞれ、片側他方に立設された各昇降ガイドに向けて配置された一対の2連式の従動側スプロケットと、
前記片側他方の各昇降ガイドの上方にそれぞれ、前記各2連式の従動側スプロケットの一方に対向して配置された一対の従動側スプロケットと、
前記片側一方に立設された各昇降ガイドの下方にそれぞれ、前記各2連式の従動側スプロケットと同じ向きにして配置され、前記駆動モータにより駆動される一対の駆動側スプロケットと
を備え、
前記複数の昇降チェーンは、
前記片側一方及び片側他方の各昇降ガイドの上方に対向して配置された前記各従動側スプロケット間に巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に上方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに上方から連結される一対の装架吊りチェーンと、
前記片側一方の各昇降ガイドの上方に配置された前記各2連式の従動側スプロケットの他方に巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に上方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに上方から連結される一対の吊りチェーンと、
前記片側一方の各昇降ガイドの下方に配置された前記各駆動側スプロケットに巻き掛けられて、一端が前記昇降部材に下方から連結され、他端が前記カウンタウェイトに下方から連結される一対の駆動チェーンと
を備え、
前記駆動モータを前記昇降路の任意の片側一方でかつ下部に設置するとともに、前記駆動側スプロケット、前記駆動チェーン、及び前記カウンタウェイトを前記昇降路の任意の片側一方に配置して、前記昇降部材を昇降駆動する昇降駆動機構を、前記昇降路を画する4面のうち任意の1面に集約したことを特徴とする機械式駐車装置のリフト。
【請求項2】
昇降路を画する4面のうち、他の3面の方向から選択的に任意の1方向又は複数方向に自動車の移送経路又は入庫若しくは出庫経路が形成される請求項1に記載の機械式駐車装置のリフト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate