説明

機械式駐車装置の入庫ガイド

【課題】 車両のタイヤやホイールが接触しても、タイヤ、ホイール側及びガイド側の双方に損傷が生じ難くする。
【解決手段】 建屋2の入出庫口3内側のプラットホーム9上に、左右1対の支持部材23を、車両移乗用位置に配した車両積載用パレット7の左右両端部位置にそれぞれ対応させて設ける。各支持部材23上の支持軸部24aに、ナイロンロール22を回転自在に取り付けて左右の入庫ガイド21を形成する。左右の入庫ガイド21の内側を通過できるように車両17の左右方向位置を調整させることで、車両積載用パレット7上への適正な乗り入れ位置へガイドさせる。万一、車両17のタイヤやホイールが入庫ガイド21に接触するときには、その接触個所をナイロンローラ22とさせることで、ホイールやタイヤの傷付きを防止させると共に、ナイロンローラ22自体に作用する荷重は、その回転によって逃がすようにさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両をプラットホームから車両積載用パレット上へ乗り入れて入庫させる形式の機械式駐車装置にて、上記プラットホーム上の車両を、車両積載用パレットへの適正な乗り入れ位置へガイドするための機械式駐車装置の入庫ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
限られた敷地に効率よく車両を駐車するための設備として、垂直循環方式、エレベータ方式、水平循環方式、平面往復方式等の各種機械式駐車装置が知られている。この種の機械式駐車装置では、車両を入庫させる際に、該車両をプラットホームから車両積載用パレット上に直接乗り入れさせ、しかる後、この入庫車両をパレットごと移動させて所要個所へ収容させるようにした形式のものがある。
【0003】
たとえば、図3は垂直循環方式の機械式駐車装置1の一例の概略を示すもので、地上に建屋2を立設し、車両乗り入れ階となる上記建屋2の1階部分の中央部前面に、入出庫口3が設けてある。上記建屋2の内部には、建屋上部に配したスプロケット(図示せず)と、建屋下部に配したスプロケット4との間にチェーン5を無端状に掛け回し、該チェーン5の周方向所要間隔位置に、車両積載用パレット7を受けるためのケージ6を、アタッチメント8を介してそれぞれ吊り下げた構成としてある。又、図示してないが、上記建屋2内の上部所要個所には、上記建屋上部側のスプロケット(図示せず)を介して上記チェーン5を回転駆動するための駆動装置を備えた構成としてある。
【0004】
更に、上記チェーン5の最下端部と対応する位置までケージ6を下降させると、該ケージ6に保持されている車両積載用パレット7の上面が、上記建屋2の入出庫口3と同レベルに配置されるようにしてある。これにより、上記建屋2の1階部分における入出庫口3側の床をプラットホーム9として、該プラットホーム9と、上記チェーン5の最下端部位置まで下降させたケージ6に保持されている車両積載用パレット7との間で、車両の移乗(乗り入れ及び乗り出し)を行うことができる構成としてある。
【0005】
以上の構成としてある垂直循環方式の機械式駐車装置1に車両を入庫させる場合は、先ず、上記図示しない駆動装置によりチェーン5を回転駆動させて、空の車両積載用パレット7が保持されているケージ6を、上記建屋2の1階部分まで下降させて、上記空のパレット7を、上記入出庫口3の内側で且つその上面が上記プラットホーム9と同レベルとなる車両移乗用の位置に配置させる。
【0006】
次に、上記入出庫口3の外側に待機させておいた車両を、該入出庫口3を通して建屋2内へ進入させた後、プラットホーム9から上記車両移乗用位置に配してある空のパレット7上へ乗り入れるようにしてある。その後、上記と同様の手順を繰り返すことで、空の車両積載用パレット7を上記入出庫口3の内側の車両移乗用位置に順次配置させると共に、該各空のパレット7上へ、プラットホーム9から車両をそれぞれ乗り入れさせるようにして入庫作業を行わせるようにしてある。
【0007】
一方、車両を出庫させるときには、上記図示しない駆動装置によりチェーン5を回転駆動させて、出庫対象となる車両が積載された車両積載用パレット7を保持しているケージ6を、上記建屋2の1階部分まで吊り下して入出庫口3の内側の車両移乗用位置に配置させ、しかる後、上記車両を上記パレット7上からプラットホーム9へ乗り出させて、入出庫口3から建屋2の外方へ出すようにしてある。
【0008】
ところで、上記入庫作業時に入出庫口3の内側の車両移乗用位置に配置させた車両積載用パレット7上へプラットホーム9より車両を乗り入れるときには、上記車両積載用パレット7の幅方向中央位置に、入庫させる車両の幅方向中央位置を合わせる必要がある。
【0009】
そのために、従来は、上記車両移乗用位置に配置させた車両積載用パレット7の幅方向両端部と対応するプラットホーム9上の左右両側位置に、1対のタイヤガイド10を設けて、入庫させる車両の左右のタイヤが上記左右のタイヤガイド10の内側を通過できれば、該車両の幅方向中央位置が、上記車両積載用パレット7の幅方向中央部にほぼ合致するようにしてある。これにより、車両をプラットホーム9より空の車両積載用パレット7の上側へ乗り入れて入庫させるときには、上記左右のタイヤガイド10を目標にして、プラットホーム9上における車両の左右方向の位置を調整することで、該車両を、車両移乗用位置に配置してある車両積載用パレット7に対する適正な乗り入れ位置へガイドして、入庫する車両のタイヤが上記車両積載用パレット7の左右方向の端に乗り上げる虞を未然に防止できるようにしてある。
【0010】
上記タイヤガイド10は、通常、上下方向に延びる円柱形状とすると共に、上端を半球状に丸めた形状とされている(たとえば、特許文献1参照)。更に、上記タイヤガイド10は、鉄製、あるいは、ゴム製のものが従来一般的に用いられてきている。
【0011】
又、図4はエレベータ方式の機械式駐車装置1aの一例の概略を示すものである。該エレベータ方式の機械式駐車装置1aは、上記垂直循環方式の機械式駐車場1と同様に、地上に建屋2を立設し、車両乗り入れ階となる上記建屋2の1階部分の中央部前面に、入出庫口3が設けてある。上記建屋2内の中央部には、上記入出庫口3に通じるケージ昇降経路11が上下方向に形成してある。該ケージ昇降経路11内には、建屋2の上部に設けた昇降駆動装置13によりワイヤロープ等の吊り下げ部材14を介して昇降可能なエレベータケージ12が備えてある。更に、上記建屋2内における上記ケージ昇降経路11の左右両側部に、車両格納棚15が、上下方向所要間隔で多段に階層状に設けてあり、上記エレベータケージ12に具備した受け渡し装置16により、該各車両格納棚15と上記エレベータゲージ12の間で車両積載用パレット7の受け渡しを行うことができるようにしてある。
【0012】
なお、図示してないが、上記ケージ昇降路11の底部には、上記エレベータケージ12を吊り降ろすためのピットが設けてあり、該ピットまで上記エレベータケージを吊り降ろすことで、エレベータケージ12上にセットされる車両積載用パレット7を、その上面が入出庫口2と同レベルとなる車両移乗用の位置に配置できるようにしてある。これにより、入出庫口3の内側部分をプラットホームとして、上記図示しないピットまで吊り下ろしたエレベータケージ12上の車両積載用パレット7との間で車両17の乗り入れ、乗り出しを行うことができるようにしてある。18は入出庫口3の外部に設けたターンテーブルである。
【0013】
以上の構成としてあるエレベータ方式の機械式駐車装置1aを用いて車両17を入庫させる場合は、先ず、所要の車両格納棚15より空の車両積載用パレット7をエレベータケージ12上へ受け渡してセットさせた後、該エレベータケージ12をケージ昇降路11の底部の図示しないピットへ吊り降ろして、上記エレベータケージ12上の空のパレット7を、入出庫口3の内側の車両移乗用位置に配置させる。次いで、上記入出庫口3の外側に待機させておいた車両17を、該入出庫口3を通して建屋2内へ進入させた後、図示しないプラットホームから上記車両移乗用位置に配してある空のパレット7上へ乗り入れるようにした後、該車両17を積載したパレット7を、エレベータケージ12により元の車両格納棚15まで戻すよう搬送して格納させるようにしてある。一方、車両17の出庫は、上記入庫操作とは逆の手順で行うようにしてある(たとえば、特許文献2参照)。
【0014】
このようなエレベータ方式の機械式駐車装置1aにおいても、プラットホームより空の車両積載用パレット7の上側へ乗り入れて入庫させる車両17を適正な乗り入れ位置へガイドするために、上記車両移乗用位置に配置させた車両積載用パレット7の幅方向両端部と対応させてプラットホーム上の左右両側位置に、上記垂直循環方式の機械式駐車装置1のタイヤガイド10と同様の入庫用のガイドを設けることが一般に行われている。
【0015】
更に、上述した垂直循環方式やエレベータ方式の機械式駐車装置1,1a以外の水平循環方式、平面往復方式等の各種機械式駐車装置においても、車両をプラットホームから車両積載用パレットの上側へ乗り入れて入庫させ、しかる後、該パレットごと移動させて所要の収容個所へ収納させるようにしてある形式の機械式駐車装置では、プラットホーム上に、上述したタイヤガイド10と同様の入庫用のガイドを設けて、入庫させる車両を、該プラットホーム上にて、車両移乗用位置に配置してある車両積載用パレット上へ乗り入れるための適正な乗り入れ位置にガイドできるようにした構成が広く一般的に採られている。
【0016】
【特許文献1】特開2004−346515号公報
【特許文献2】特開2004−278199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、従来用いられているタイヤガイド10のうち、鉄製のタイヤガイド10は、安価であり、又、損傷が生じ難いという点では優れている。しかし、上記鉄製のタイヤガイドに車両のタイヤやホイールが接触すると、タイヤやホイール側に傷が付く可能性があるというのが実状である。
【0018】
一方、ゴム製のタイヤガイド10によれば、車両のタイヤやホイールが該ゴム製のタイヤガイドと接触しても、タイヤやホイール側に傷が付く虞は抑制できるが、該ゴム製のタイヤガイドに対して車両のホイール等が強く押し付けられると、ゴムが割れる等、タイヤガイド側に破損が生じる可能性があるというのが実状である。更に、上記ゴム製のタイヤガイドは、高価であるためコストが嵩んでしまう。
【0019】
そこで、本発明は、車両のタイヤやホイールが接触しても損傷し難く、且つ接触したタイヤやホイール側に傷が付く虞も低減でき、しかも、コストの削減化を図ることも可能な機械式駐車装置の入庫ガイドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を解決するために、車両をプラットホームより車両積載用パレットへ乗り入れさせた後、該パレットごと所要個所に収容するようにしてある機械式駐車装置の上記車両積載用パレットへの車両乗入位置となる上記プラットホーム上の左右両側に、1対の支持部材をそれぞれ設けて、該各支持部材における上下方向の支持軸部に、回転体を回転自在にそれぞれ取り付けた構成とする。
【0021】
又、上記構成における支持部材を、固定部材と上端に支持軸部を有する軸部材とからなるものとし、回転体の外径を、固定部材よりも大きくなるようにすると共に、該回転体の上下方向の厚み寸法を、支持軸部の長さ寸法よりも大きくなるようにした構成とする。
【0022】
更に、上記各構成において、回転体の中心部に設けた軸孔を、支持部材の支持軸部に上方より嵌合させた後、該支持軸部の上端に、上記回転体の軸孔よりも大径の押え部材を取り外し可能に取り付けた構成とする。
【0023】
上述の各構成における回転体を樹脂製ローラとし、より具体的には、該樹脂製ローラを、ナイロンローラとした構成とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の機械式駐車装置の入庫ガイドによれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)車両をプラットホームより車両積載用パレットへ乗り入れさせた後、該パレットごと所要個所に収容するようにしてある機械式駐車装置の上記車両積載用パレットへの車両乗入位置となる上記プラットホーム上の左右両側に、1対の支持部材をそれぞれ設けて、該各支持部材における上下方向の支持軸部に、回転体を回転自在にそれぞれ取り付けた構成としてあるので、プラットホーム上にて、上記左右の回転体と支持部材とからなる入庫ガイドを目標として、車両移乗用位置に予め配置してある車両積載用パレットへの乗り入れを行わせるための車両の位置を、適正な乗り入れ位置にガイドすることができる。又、万一、入庫ガイドの回転体に対して車両のタイヤやホイールが接触しても、回転体に作用する荷重は、該回転体の回転により逃がすことができる。
(2)更に、上記回転体を、樹脂製ローラとした構成とすれば、入庫ガイドの樹脂製ローラに車両のタイヤやホイールが接触するときに、該タイヤやホイール側に傷が付く虞をなくすことができることから、入庫ガイド側に損傷が生じる虞をより確実に抑制できる。
(3)支持部材を、固定部材と上端に支持軸部を有する軸部材とからなるものとし、回転体の外径を、固定部材よりも大きくなるようにすると共に、該回転体の上下方向の厚み寸法を、支持軸部の長さ寸法よりも大きくなるようにした構成とすることにより、入庫ガイドにおいて車両のタイヤやホイールに接触する虞のある部分を回転体のみに限定できるため、上記車両のタイヤやホイールとの接触時に該タイヤやホイールに傷が生じる虞をより確実に低減できる。
(4)回転体の中心部に設けた軸孔を、支持部材の支持軸部に上方より嵌合させた後、該支持軸部の上端に、上記回転体の軸孔よりも大径の押え部材を取り外し可能に取り付けた構成とすることにより、上記回転体の着脱が容易になるため、回転体に万一損傷や摩耗が生じた場合にも容易に交換することができて、入庫ガイドの保守を容易なものとすることができる。
(5)回転体を樹脂製ローラ、たとえば、ナイロンローラとすることにより、車両のホイールと接触しても該ホイールに傷を付けない程度の柔らかさを備えると共に、車両のタイヤと接触しても該タイヤに傷を付けない程度の摩擦係数の低さを備え、更に、車両のタイヤを介して該車両の重量が荷重として作用しても容易に割れを生じない程度の圧縮強度の高さを備えた回転体を容易に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1(イ)(ロ)及び図2は本発明の機械式駐車装置の入庫ガイドの実施の一形態として、図4に示したと同様のエレベータ方式の機械式駐車装置1aに適用した場合を示すもので、建屋2の1階部分の底部中央部にエレベータケージ12を吊り降ろすためのピット19を備えると共に、該ピット19と建屋2の入出庫口3との間に、上記ピット19へ吊り降ろしたエレベータケージ12上にセットされている車両積載用パレット7との間で車両17の乗り入れ、乗り出しを行うためのプラットホーム20を備え、且つ上記エレベータケージ12を上記ピット19へ吊り降ろすことにより車両移乗用位置に配置される該エレベータケージ12上の車両積載用パレット7の左右両端部の手前側近傍位置となる上記プラットホーム20上の左右位置に、左右1対の支持部材23をそれぞれ設置すると共に、該各支持部材23の上側に、回転体としての樹脂製ローラ、たとえば、ナイロンローラ22をそれぞれ水平方向に回転自在に取り付けて、該ナイロンローラ22と支持部材23とにより機械式駐車装置の入庫ガイド21を構成する。
【0027】
詳述すると、上記左右の各支持部材23は、たとえば、一端(上端)に上記ナイロンローラ22を支持するための支持軸部24aを有する軸部材24と、該軸部材24を鉛直状態にして軸心部に収納して固定保持するようにした円筒状の固定部材25とからなる構成としてあり、上記軸部材24を、固定部材25を介して上記プラットホーム20上の所定位置に固定し、上記支持軸部24aを上方へ突出させるようにする。
【0028】
上記ナイロンローラ22は、上記固定部材25の外径よりもやや大きい外径を有し、且つ厚み寸法が、上記軸部材24の支持軸部24aの長さ寸法よりも所要寸法大きくなるようにしてある。更に、該ナイロンローラ22の中心部には、上記軸部材24の支持軸部24aを挿通させる軸孔22aを設けると共に、該軸孔22aの上端縁部に、径を所要寸法拡大してなる拡径部22bを形成した構成としてある。これにより、上記ナイロンローラ22の軸孔22aを、上記支持部材23の支持軸部24aに対して上方より嵌合させ、更に、上記ナイロンローラ22の拡径部22b内に、軸孔22aよりも大径としてある円盤状の押え部材26を上方から落し込むように挿入して、該押え部材26を、上記支持軸部24aの上端面に、取り外し可能にボルト27により固定することで、該支持軸部24aの外周に、上記ナイロンローラ22を回転自在に取り付けて支持させることができるようにしてある。しかも、上記支持部材23に上記ナイロンローラ22を取り付けた状態で、該ナイロンローラ22よりも外周側及び上側に、支持部材23の一部が突出することがないようにしてある。
【0029】
その他の構成は図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0030】
以上の構成としてある入庫ガイド11を具備したエレベータ方式の機械式駐車装置1aに対して車両17を入庫させる場合は、図4に示したものと同様に、予め、所要の車両格納棚(図示せず)からエレベータケージ12上へ空の車両積載用パレット7を受け渡した後、該空の車両積載用パレット7を載せたエレベータケージ12を、建屋2の底部のピット19まで下降させて、上記空の車両積載用パレット7を、入出庫口3の内側の車両移乗用位置へ配置しておく。次に、入出庫口3の外側に待機させておいた車両17を、入出庫口3を通して建屋2内に進入させる。次いで、プラットホーム20上にて、該プラットホーム20上に設けてある上記の左右1対の入庫ガイド21を目標にして、車両17の左右のタイヤが、上記左右の入庫ガイド21の内側を通過できるように車両17の左右方向位置を調整した後、上記車両17をプラットホーム20より上記車両移乗用位置に配置してある空の車両積載用パレット7上へ乗り入れさせるようにする。これにより、入庫する車両17を、上記車両積載用パレット7に対する適正な乗り入れ位置へガイドできることから、上記入庫する車両17のタイヤが上記車両積載用パレット7の左右方向の端に乗り上げる虞を未然に防止できるようにしてある。
【0031】
万一、上記左右の入庫ガイド21に車両17のタイヤやホイールが接触しても、該入庫ガイド21では、最上部及び最外周部に位置しているのは上記ナイロンローラ22であるため、上記車両17のタイヤやホイールと接するのは、ナイロンローラ22に限定される。この際、上記ナイロンローラ22は、車両17のホイールよりも柔らかい材質であると共に、摩擦係数が比較的小さいため、上記左右の入庫ガイド21との接触によって、車両17のタイヤやホイール側に傷が生じる虞は低くなる。更に、上記ナイロンローラ22は圧縮強度が高く、しかも回転自在としてあるため、上記車両17のタイヤやホイールがナイロンローラ22に押し付けられても、該ナイロンローラ22が受動的に回転されることで、該ナイロンローラ22に作用する荷重を逃がすことが可能になることから、該ナイロンローラ22に損傷が生じる虞は小さくなる。
【0032】
更に、上記ナイロンローラ22に損傷が生じたり、摩耗が生じた場合には、上記ボルト27を緩めて押え部材26を取り外すことで、ナイロンローラ22を支持部材23の支持軸部24aより取り外し、しかる後、新たなナイロンローラ22を上記とは逆の手順で支持部材23に回転自在に取り付けるようにして、上記ナイロンローラ22の交換を行うようにすればよい。
【0033】
このように本発明の機械式駐車装置の入庫ガイド21によれば、該入庫ガイド21を目標として、プラットホーム20上の車両17の位置を、車両移乗用位置に配置してある車両積載用パレット7への適正な乗り入れ位置にガイドすることができ、この際、万一、入庫ガイド21に対して車両17のタイヤやホイールが接触しても、該タイヤやホイール側に傷が付く虞を低減できると同時に、入庫ガイド21側に損傷が生じる虞も抑制できる。しかも、入庫ガイド21にて上記車両17のタイヤやホイールに接触する虞のある部分はナイロンローラ22に限定できると共に、該ナイロンローラ22は交換が容易なものとしてあるため、入庫ガイド21の保守を容易なものとすることができる。
【0034】
更に、一般の機械式駐車装置では、パレットを移動可能に支持する支持部等に、ナイロンローラは多く用いられており、そのため、保守を行うための交換用のナイロンローラも常時ストックされている。このことに鑑みて、上記入庫ガイド21で用いるナイロンローラ22として、上記一般の機械式駐車装置で多く用いられているナイロンローラと共通の規格のものを用いるようにすれば、上記入庫ガイド21用のナイロンローラ22として新たな規格のものを別途調達したり、保守用にストックしておく必要をなくすことができて、製造や保守に要するコストの削減化を図ることが可能になる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、ナイロンローラ22は、支持部材23の支持軸部24aに回転自在に取り付けることができ、且つ支持部材23よりも大径としてあれば、その外周部の断面形状が軸心方向の両端面と滑らかに連続する円弧形状となっていたり、ほぼ球形のもの等、いかなる形状のナイロンローラ22を採用してもよい。
【0036】
上記支持部材23の固定部材25は、ナイロンローラ22の外周部よりも内側に収まる大きさとしてあれば、いかなる形状としてあってもよい。
【0037】
上記実施の形態では、入庫ガイド21に用いる回転体を樹脂製ローラとし、具体的にはナイロンローラ22とするものとして示したが、車両17のホイールと接触しても該ホイールに傷を付けない程度の柔らかさを備えると共に、車両17のタイヤと接触しても該タイヤに傷を付けない程度の摩擦係数の低さを備え、更に、車両17のタイヤを介して該車両17の重量が荷重として作用しても容易に割れを生じない程度の圧縮強度の高さを備えた樹脂であれば、ナイロン以外の材質からなる樹脂製ローラを用いるようにしてもよく、更には、樹脂以外の材料による回転体としてもよい。
【0038】
車両17を入庫させるときに、該車両17をプラットホームより該プラットホームの奥側の車両移乗用位置に配置してある車両積載用パレット7に乗り入れる形式の機械式駐車装置であれば、垂直循環方式、水平循環方式、平面往復方式等、エレベータ方式以外の機械式駐車装置にも適用できる。更に、上記車両積載用パレット7に車両17を乗り入れさせるためのプラットホームがいかなる位置に配されている機械式駐車装置にも適用でき、更には、上記車両積載用パレット7に車両17を乗り入れさせるためのプラットホームとは別に、車両積載用パレット7から車両17を乗り出させて出庫させるためのプラットホームを備えた形式の機械式駐車装置にも適用できる。
【0039】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の機械式駐車装置の入庫ガイドの実施の一形態を示すもので、(イ)は機械式駐車装置のプラットホーム部分を示す概略平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視拡大図である。
【図2】図1の入庫ガイドを備えた機械式駐車装置の1階部分の概要を示す平面図である。
【図3】従来の垂直循環方式の機械式駐車装置を示す概略斜視図である。
【図4】従来のエレベータ方式の機械式駐車装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1,1a 機械式駐車装置
7 車両積載用パレット
17 車両
20 プラットホーム
21 機械式駐車装置の入庫ガイド
22 ナイロンローラ(樹脂製ローラ、回転体)
22a 軸孔
22b 拡径部
23 支持部材
24 軸部材
24a 支持軸部
25 固定部材
26 押え部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両をプラットホームより車両積載用パレットへ乗り入れさせた後、該パレットごと所要個所に収容するようにしてある機械式駐車装置の上記車両積載用パレットへの車両乗入位置となる上記プラットホーム上の左右両側に、1対の支持部材をそれぞれ設けて、該各支持部材における上下方向の支持軸部に、回転体を回転自在にそれぞれ取り付けた構成を有することを特徴とする機械式駐車装置の入庫ガイド。
【請求項2】
支持部材を、固定部材と上端に支持軸部を有する軸部材とからなるものとし、回転体の外径を、固定部材よりも大きくなるようにすると共に、該回転体の上下方向の厚み寸法を、支持軸部の長さ寸法よりも大きくなるようにした請求項1記載の機械式駐車装置の入庫ガイド。
【請求項3】
回転体の中心部に設けた軸孔を、支持部材の支持軸部に上方より嵌合させた後、該支持軸部の上端に、上記回転体の軸孔よりも大径の押え部材を取り外し可能に取り付けた請求項1又は2記載の機械式駐車装置の入庫ガイド。
【請求項4】
回転体を、樹脂製ローラとした請求項1、2又は3記載の機械式駐車装置の入庫ガイド。
【請求項5】
樹脂製ローラを、ナイロンローラとした請求項4記載の機械式駐車装置の入庫ガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150905(P2008−150905A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341727(P2006−341727)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)