説明

機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置

【課題】 大型の反射鏡を装備できるようにする。
【解決手段】 建屋1の1階部分の前側壁1a左寄り位置に入出庫口2を設け、建屋1内にターンテーブル8を備えて、車両積載用パレット6をターンテーブル8上で、ケージ5の中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫口2との間で入出庫作業を行うことができる垂直循環方式の機械式駐車装置を形成する。建屋後側壁1bに、反射鏡12の左右幅方向の一端部を揺動自在に取り付ける。反射鏡12を建屋1の後側壁1bに接近させる姿勢と、入出庫口2からターンテーブル8上のパレット6への車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢との間で移動させる反射鏡駆動機構14を、建屋後側壁1b寄り位置に設けたピット18内に備える。建屋1内でケージ5を垂直循環させるときには、反射鏡駆動機構14により予め反射鏡12を建屋後側壁1bの近傍へ後退させることで干渉する虞を解消させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブル内蔵式の垂直循環方式の機械式駐車装置のうち、車両積載用パレットをケージ中心線方向に対して斜めに旋回させた状態で車両の入出庫作業を行わせる形式の機械式駐車装置にて、入庫する車両の運転者が車両積載用パレット上における自車位置を確認できるようにするための機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
限られた敷地に効率よく車両を駐車するための設備の1つとして、図4にその一例の概略を示す如き垂直循環方式の機械式駐車装置が知られている。
【0003】
すなわち、上記垂直循環方式の機械式駐車装置は、図4に示す如く、地上に建屋1を立設し、車両乗り入れ階となる上記建屋1の1階部分の中央部前面に、入出庫口2が設けてある。上記建屋1の内部には、建屋上部に配したスプロケット(図示せず)と、建屋下部に配したスプロケット3との間にチェーン4を無端状に掛け回し、該チェーン4の周方向所要間隔位置に、車両積載用パレット6を保持するためのケージ5を、アタッチメント7を介してそれぞれ吊り下げた構成としてある。又、図示してないが、上記建屋2内の上部所要個所には、上記建屋上部側のスプロケット(図示せず)を介して上記チェーン4を回転駆動するための駆動装置を備えた構成としてある。
【0004】
以上の構成としてある垂直循環方式の機械式駐車装置に車両を入庫させる場合は、上記図示しない駆動装置によりチェーン4を回転駆動させて、空の車両積載用パレット6が保持されているケージ5を、上記建屋1の1階部分まで下降させて、入出庫口2の内側に配置させる。次に、上記入出庫口2の外側に待機させておいた車両を、該入出庫口2を通して建屋1内へ進入させた後、上記入出庫口2の内側に配置してあるケージ5に保持された空のパレット6上へ乗り入れることで入庫作業を行うようにしてある。
【0005】
一方、車両を出庫させるときには、上記図示しない駆動装置によりチェーン4を回転駆動させて、出庫対象となる車両が積載された車両積載用パレット6を保持しているケージ5を、上記建屋1の1階部分まで吊り下ろして入出庫口2の内側に配置させた後、上記車両を上記パレット6から乗り出させ、入出庫口2を通して建屋1の外方へ出るようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
更に、垂直循環方式の機械式駐車装置には、図5(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、入出庫口2の内側となる建屋1の1階部分に、ターンテーブル8を設置してなる構成として、建屋1の1階部分まで下降させたケージ5に保持されている車両積載用パレット6を、上記ターンテーブル8により一旦持ち上げて、ケージ5内で水平に旋回(回転)させることができるようにした構成とすることも提案されている。この種のターンテーブル内蔵型の垂直循環方式の機械式駐車装置によれば、入出庫口2の内側にて、車両9が積載してあるパレット6を、上記ターンテーブル8により一旦ケージ5から持ち上げ、水平方向に回転させた後、ケージ5上に降ろすことで、上記車両9を前後方向に反転できることから、車両9の入庫作業及び出庫作業を、共に車両9の前進運転で実施できる構成としてある(たとえば、特許文献2参照)。なお、2aは上記入出庫口2に装備された開閉扉を示す。
【0007】
又、上記垂直循環方式の機械式駐車装置では、通常、建屋1における入出庫口2と車両積載用パレット6を挟んで対向する後側壁部(奥側の壁部)に、大型の反射鏡を備えて、車両の入庫作業時に上記入出庫口2を通って車両積載用パレット6へ乗り入れる車両の運転者が、上記反射鏡に映る自車のタイヤの位置を確認しながら、車両を上記パレット6上の適切な車両積載位置へ導くことができるようにしてある(たとえば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0008】
ところで、近年では、立地条件上の制約等により、垂直循環方式の機械式駐車装置の入出庫口2を、建屋1の四方の壁面の中央部に設けることが困難な場合がある。この場合の対策としては、図5(イ)(ロ)(ハ)に示した如きターンテーブル内蔵型の垂直循環方式の機械式駐車装置を更に発展させて、図6に示す如き構成とすることが考えられる。すなわち、図6に示す如く、建屋1の1階部分にターンテーブル8を内蔵してなる形式の垂直循環方式の機械式駐車装置における建屋1の四方の壁のうち、ケージ5の中心線方向に平行な一方の壁部を前側壁1aとし、該前側壁1aの左右幅方向の一側寄り位置、たとえば、前壁部1aの左側寄り位置に入出庫口2を設けるようにする。更に、上記ターンテーブル8が、車両の入出庫作業を行うときには建屋1の1階部分まで下降させたケージ5に保持されている車両積載用パレット6を一旦持ち上げた後、ケージ5内で水平に所要角度旋回させて、該パレット6を、その中心線方向が上記入出庫口2の中央に向くように配置させた状態で保持できる機能を有するものとする。かかる構成とすれば、入庫作業時は、先ず、空の車両積載用パレット6が保持されているケージ5を、上記建屋1の1階部分まで下降させた後、上記ターンテーブル8により上記空のパレット6をケージ5の中心線方向に対して斜めに旋回させて、該パレット6の中心線方向が上記入出庫口2の中央に向く状態としておく。これにより、車両を、上記建屋前側壁1aの左寄り位置に設けてある入出庫口2を通してケージ5の中心線方向に対して所要角度傾斜した斜め方向から建屋1内に進入させた後、そのまま上記パレット6上へ乗り入れさせることができ、その後、上記車両を積載したパレット6を、上記ターンテーブル8により該パレット6の中心線方向がケージ5の中心線方向と一致するまで旋回させた後、ケージ5上に降ろすことで該ケージ5に車両を積載してなるパレット6を保持させるようにすることが考えられる。
【0009】
又、出庫作業時には、出庫対象となる車両が積載された車両積載用パレット6を保持しているケージ5を、上記建屋1の1階部分まで吊り下ろした後、ターンテーブル8により上記出庫対象車両が積載されたパレット6を、該出庫対象車両が入出庫口2の方を向くようにケージ5の中心線方向に対して斜めに旋回させた後、上記車両を上記パレット6から上記入出庫口2を通して建屋1の外方へ乗り出させるようにすることが考えられる。
【0010】
更に、上記の如きターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージ中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行うようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置にて、特許文献3又は4に記載されている如き車両入庫用の反射鏡を設けることが考えられる。この場合には、上記したように車両積載用パレット6に対する車両の乗り入れ方向が、ケージ5の中心線方向に対して斜め方向に傾いているため、この車両乗り入れ方向が、建屋1における入出庫口2と車両積載用パレット6を挟んで対向する後側壁(奥側の壁)1bの内面に対しても斜め方向になっていることに鑑みて、図6に示す如く、上記建屋1の後側壁1bの内側に、反射鏡10を、上記車両乗り入れ方向にほぼ正対する方向(正対方向からやや下向きの傾斜方向を含む)に配設する必要が生じる。11は該反射鏡10の背面側を、建屋後側壁1bの内面に取り付けるための取付部材を示す。
【0011】
【特許文献1】特開2004−346515号公報
【特許文献2】特開平9−287309号公報
【特許文献3】実開平6−62136号公報
【特許文献4】特開2002−327549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上記図6に示したように、ターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージ中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行うようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置における建屋1の後側壁1bの内側に、反射鏡10を、上記車両乗り入れ方向にほぼ正対するように配設した構成とすると、該反射鏡10は、幅方向の一端側(図上右端側)が建屋1の後側壁1b部より建屋1の内側となる前方へ突出することとなる。このために、上記反射鏡10を実際に設ける場合には、該反射鏡10が、図7(イ)に二点鎖線で示す如き車両積載用パレット6を保持したケージ5を建屋1内で垂直方向に循環移動させるときの移動軌跡と干渉しないようにすることが要求され、その結果、上記反射鏡10は、図7(ロ)に示す如く、建屋1の内側寄りに位置することとなる右寄り部分の上部を大きく切り欠く必要が生じる。したがって、上記反射鏡10は、その面積が制限されてしまい、入出庫口2を通って車両積載用パレット6上へ乗り入れる車両の運転者による自車のタイヤの位置の確認が行い難くなってしまう。
【0013】
なお、特許文献3には、左右1対の縦長矩形状の反射鏡を、支柱に、反射鏡の背面に具備したクロスヒンジ機構を介して前後、左右方向へ姿勢調整可能に取り付け、更に、上記クロスヒンジ機構の各ヒンジにモータをそれぞれ連結した構成として、上記各モータの駆動により上記反射鏡の姿勢調整を行わせるようにする考えは示されている。しかし、これは、上記各反射鏡の中央部の背面に上記クロスヒンジ機構を取り付けているものであるため、上記各反射鏡は、該各反射鏡の中央部の背面側を中心として前後、左右方向へ傾動するに過ぎない。したがって、たとえかかる反射鏡の構成を、上記図6に示したターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージ中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行うようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置の入庫用の反射鏡に採用しても、車両積載用パレット6を保持したケージ5を建屋1内で垂直方向に循環移動させるときの移動軌跡と干渉する虞を避けるためには、該反射鏡の上部を切り欠く必要を解消できるものではない。
【0014】
そこで、本発明は、ターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージの中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行うようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置においても、車両積載用パレットを保持したケージを建屋内で垂直方向に循環移動させるときの移動軌跡と干渉する虞を生じることなく大型の反射鏡を設置できる機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して建屋1階部分にターンテーブルを内蔵して、車両積載用パレットを上記ターンテーブルによりケージの中心線方向より異なる斜め方向に旋回させて入出庫作業を行うことができるようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置における上記建屋の後側壁に、反射鏡の左右幅方向の一端部を揺動自在に取り付けて、該反射鏡の左右幅方向の他端側を前後方向へ移動できるようにし、更に、上記反射鏡を、左右幅方向の他端側が上記建屋の後側壁に接近する格納姿勢と、上記ターンテーブル上の車両積載用パレットへ入出庫口から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢との間で移動させるための反射鏡駆動機構を備えた構成とする。
【0016】
又、上記構成における反射鏡の左右幅方向の一端部を、ターンテーブル上にて車両積載用パレットを該パレットの中心線方向が入出庫口の中央に向くように配置させたときに該パレットの最も建屋後側壁寄りとなる角部の近傍となる建屋の後側壁に取り付けるようにした構成とする。
【0017】
更に、上記各構成において、反射鏡駆動機構を、建屋の1階部分における後側壁寄り位置に反射鏡の下端よりも所要寸法低い底面レベルとなるよう設けたピットの内側に設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)建屋1階部分にターンテーブルを内蔵して、車両積載用パレットを上記ターンテーブルによりケージの中心線方向より異なる斜め方向に旋回させて入出庫作業を行うことができるようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置における上記建屋の後側壁に、反射鏡の左右幅方向の一端部を揺動自在に取り付けて、該反射鏡の左右幅方向の他端側を前後方向へ移動できるようにし、更に、上記反射鏡を、左右幅方向の他端側が上記建屋の後側壁に接近する格納姿勢と、上記ターンテーブル上の車両積載用パレットへ入出庫口から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢との間で移動させるための反射鏡駆動機構を備えた構成、具体的には、反射鏡の左右幅方向の一端部を、ターンテーブル上にて車両積載用パレットを該パレットの中心線方向が入出庫口の中央に向くように配置させたときに該パレットの最も建屋後側壁寄りとなる角部の近傍となる建屋の後側壁に取り付けるようにした構成としてあるので、反射鏡駆動機構により、車両の入庫時には、上記反射鏡を、上記ターブル上の車両積載用パレットへ入出庫口から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させることができる。又、車両の入庫操作や出庫操作に伴って建屋内で各車両積載用パレットを保持したケージを垂直循環させるときには、反射鏡駆動機構により上記反射鏡を予め建屋の後側壁の近傍となる格納姿勢まで後退させることで、該反射鏡が、上記建屋内で垂直循環する各ケージと干渉する虞を解消できる。したがって、上記反射鏡の形状を大型化することが可能になることから、車両の入庫操作時には、該大型の反射鏡を、車両乗り入れ方向に正対させる姿勢とすることで、入出庫口から車両積載用パレット上へ乗り入れる車両の運転者による自車のタイヤの位置の確認を容易なものとすることができて、車両の入庫作業の容易性を向上させることが可能となる。
(2)反射鏡駆動機構を、建屋の1階部分における後側壁寄り位置に反射鏡の下端よりも所要寸法低い底面レベルとなるよう設けたピットの内側に設けるようにした構成とすることにより、該反射鏡駆動機構を、ターンテーブルにより旋回させるパレット等の建屋の1階部分に配設される各種機器と干渉することなく配置するのに有利な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図3は本発明の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置の実施の一形態として、図6に示したと同様のターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージの中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行うことができるようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置と同様の構成における建屋1の後側壁の所要個所に、大型の矩形状の反射鏡12を一体に支持する支持枠13の左右幅方向の一端部(図では左端部)を、水平方向に揺動自在に取り付ける。更に、上記反射鏡12及び支持枠13を、該反射鏡12及び支持枠13の左右幅方向の他端側(図では右端部)を建屋1の後側壁1bに接近させた格納姿勢と、ターンテーブル8上の車両積載用パレット6へ入出庫口2から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢との間で作動させるための反射鏡駆動機構14を備えた構成とする。
【0021】
詳述すると、上記ターンテーブル8上にて車両積載用パレット6を該パレット6の中心線方向が入出庫口2の中央に向くように配置させたときに該パレット6の最も建屋後側壁1b寄りとなる角部の近傍で、且つ上記パレット6の旋回軌跡よりも外側となる建屋1の後側壁1bの内側所要位置に、上記反射鏡12の上下方向寸法とほぼ対応した寸法で上下方向に延びる支柱部材15を配置して、該支柱部材15を、取付部材16を介して上記建屋1の後側壁1bの内面に固定する。更に、上記支柱部材15には、上記反射鏡12とほぼ同一の矩形状としてある上記支持枠13の左端部を、ヒンジ17を介して水平方向に揺動自在に取り付け、該支持枠13の前面側に、反射鏡12を、必要に応じてやや下向きに傾斜させて取り付ける。
【0022】
上記反射鏡駆動機構14は、たとえば、建屋1の1階部分における後側壁1b寄り位置に、上記反射鏡12の揺動レベルよりも低位置に設けるようにする。具体的には、建屋1の1階部分における後側壁1b寄り位置に、上記反射鏡12の下端よりも所要寸法低い底面レベルを備えたピット18を設け、該ピット18内の所要個所に設置した支持台20上に、水平方向に配置したアクチュエータ19の基端部を水平方向に回動自在に支持させる。更に、上記ピット18内にて上記反射鏡12の格納姿勢と展開姿勢との間の下方となる位置に、支承部材22を設置して、該支承部材22に、上記ピット18内にて上下方向に延びる回転軸21の下端部を回転自在に保持させ、該回転軸21における上記アクチュエータ19と対応する高さ位置の外周面に、水平方向に所要寸法延びるリンクアーム23の基端部を一体に取り付けると共に、該リンクアーム23の先端部に、上記アクチュエータ19の作動ロッド19aの先端部を回動自在に連結する。
【0023】
更に、上記回転軸21の上端部の外周面には、上記リンクアーム23と所要角度ずれた配置で水平方向に所要寸法延びるリンクアーム24の基端部を取り付けると共に、該リンクアーム24の先端部を、上記支持枠13の自由端となる右端寄りの背面側下端部に下方へ所要寸法突出するよう取り付けた連結部材25上のブラケット26に、回動自在に連結する。これにより、上記アクチュエータ19の作動ロッド19aを収縮作動させることで、リンクアーム23を介して上記回転軸21を図1(ロ)における時計回り方向へ回転させ、該回転軸21を中心として上記リンクアーム24を時計回り方向へ旋回させることで、該リンクアーム24の先端部にブラケット26と連結部材25を介して連結してある上記反射鏡12の支持枠13の右端部を、上記ヒンジ17を中心に時計回り方向へ回動させることで、上記支持枠13と一体に上記反射鏡12を、ターンテーブル8上の車両積載用パレット6へ入出庫口2から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対する姿勢まで展開作動させることができるようにしてある。
【0024】
一方、上記アクチュエータ19の作動ロッド19aを図1(ロ)に示す如き状態から図1(ハ)に示す如き状態へ伸長作動させて、リンクアーム23を介して上記回転軸21を図上反時計回り方向へ回転させることにより、該回転軸21を中心として上記リンクアーム24を反時計回り方向へ旋回させることができ、該リンクアーム24の先端部にブラケット26と連結部材25を介し連結してある上記反射鏡12の支持枠13を、上記ヒンジ17を中心に反時計回り方向へ回動させるようにする。これにより上記支持枠13と一体の上記反射鏡12を、建屋1の後側壁1bに接近させる姿勢まで格納作動させることができるようにしてある。
【0025】
図2における27は各車両積載用パレット6の両側部に起伏可能に装備してあるドアプロテクターであり、上記ターンテーブル8上で上記パレット6をその中心線方向が入出庫口2の中央を向くように配置するときに、建屋1の1階部分における上記パレット6の左右両側位置と対応する個所に設けてあるドアプロテクター駆動ユニット28によってのみ倒伏作動できるようにしてある。したがって、上記パレット6を、その中心線方向が入出庫口2の中央を向くよう配置するとき以外のとき、すなわち、ターンテーブル8によってパレット6を旋回させる際や、パレット6を対応するケージ5に保持させて建屋1内で垂直循環させる際には、上記ドアプロテクターが27が常に起立状態とされるようにして、上記機械式駐車装置に入庫された車両のドアが、半ドア等の原因により万一開いたとしても、該車両が積載されているパレット6からはみ出す虞を確実に阻止できるようにしてある。
【0026】
又、入出庫口2には、開閉扉2aを備えた構成としてある。その他、図6に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0027】
以上の構成としてある機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置を装備してなるターンテーブル内蔵型の垂直循環方式の機械式駐車装置を使用する場合は、図3に作業手順のフローを示す如く、先ず、車両の運転者等の作業者が、入庫操作又は出庫操作の開始を選択する(ステップ1:S1)。
【0028】
上記ステップ1(S1)にて入庫作業が選択された場合は、先ず、入出庫口2の内側の建屋1階部分にて、ターンテーブル8によってケージ5の中心線方向に対して斜め方向に旋回されて中心線方向が入出庫口2の中央に一致するよう配置されている車両積載用パレット6が空か、否かを判断し(ステップ2:S2)、上記パレット6が空の場合には、上記入出庫口2の開閉扉2aを開作動させた後(ステップ3:S3)、該入出庫口2より上記ターンテーブル8上の空のパレット6へ車両を乗り入れて入庫を行う(ステップ4:S4)。この際、上記ターンテーブル8上のパレット6がその中心線方向を入出庫口2の中央に一致させて配置されているときには、上記反射鏡12を、入出庫口2から車両をパレット6へ乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対するよう配置させることができるため、上記入出庫口2を通って上記ターンテーブル8上の空のパレット6へ乗り入れる車両の運転者は、乗り入れ対象となる空のパレット6の奥側に配されている上記反射鏡12に映る自車のタイヤの位置を確認しながら、車両を上記空のパレット6上の適切な車両積載位置へ導いて載置させることが可能となる。しかる後、上記車両の運転者が建屋1より退出してから、上記入出庫口2の開閉扉2aを閉じて(ステップ5:S5)、入庫操作を終了する。
【0029】
一方、上記ステップ2(S2)においてターンテーブル8上のパレット6が空ではなく、既に車両が載置されていると判断された場合は、上記作業者が、上記ターンテーブル8上のパレット6以外の空となっている呼び出したいパレット6の番号を指定するようにする(ステップ6:S6)。このようにして呼び出したいパレット6の番号が指定されると、先ず、入庫用反射鏡12の駆動機構14のアクチュエータ19を伸長作動させて、上記反射鏡12を、建屋1の後側壁の近傍に位置する格納姿勢となるように後退させる(ステップ7:S7)。次に、ドアプロテクター駆動ユニット28により上記ターンテーブル8上のパレット6の左右両側部に装備してある各ドアプロテクター27を起立作動させた後(ステップ8:S8)、上記ターンテーブル8により、該ターンテーブル8上のパレット6を、建屋1の1階部分に吊り下ろされているケージ5と中心線方向が一致するように旋回させてから、ケージ5上に降ろして該ケージ5に保持させる(ステップ9:S9)。次いで、従来の垂直循環方式の機械式駐車装置と同様に、図示しない駆動装置によるチェーンの回転駆動を行わせて各ケージ6を建屋1内で垂直循環させて(ステップ10:S10)、上記ステップ6(S6)で指定した番号のパレット6を保持したケージ5が、建屋1の1階部分まで吊り下ろされて着床されるようにする(ステップ11:S11)。この際、上記反射鏡12は、上記ステップ7(S7)で予め建屋1の後側壁近傍まで後退させた格納姿勢としてあるので、上記建屋1内にて垂直循環させるケージ5と干渉する虞はない。
【0030】
その後、上記建屋1の1階部分まで吊り下ろされたケージ5に保持されている上記指定された番号のパレット6を、ターンテーブル8により一旦持ち上げた後、ケージ5内で水平に所要角度旋回させて、該パレット6を、その中心線方向が上記入出庫口2の中央に向くように配置させ(ステップ12:S12)、次いで、ドアプロテクター駆動ユニット28により上記ターンテーブル8上のパレット6の左右両側部に装備してある各ドアプロテクター27を倒伏作動させた後(ステップ13:S13)、上記入庫用反射鏡12の駆動機構14のアクチュエータ19を収縮作動させることで、上記反射鏡12を、上記中心線方向が入出庫口2の中央に向くように配置させたパレット6上へ入出庫口2から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対する姿勢となるように展開させる(ステップ14:S14)。
【0031】
しかる後、上記ステップ3(S3)へ戻って上記入出庫口2の開閉扉2aを開作動させた後(ステップ3:S3)、該入出庫口2より上記ターンテーブル8上の上記ステップ6(S6)で指定した空のパレット6へ車両を乗り入れて入庫を行うようにする(ステップ4:S4)。この場合にも、上記ステップ14で展開させた反射鏡12が、入出庫口2から車両をパレット6へ乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対するように配置されていることから、上記入出庫口2から上記ターンテーブル8上の空のパレット6へ乗り入れる車両の運転者は、上記反射鏡12に映る自車のタイヤの位置を確認しながら、車両を上記空のパレット6上の適切な車両積載位置へ導いて載置させることが可能となる。
【0032】
その後は、上記と同様に、車両の運転者が建屋1より退出してから、上記入出庫口2の開閉扉2aを閉じて(ステップ5:S5)入庫操作を終了するようにする。
【0033】
又、上記ステップ1(S1)で出庫操作の開始が選択された場合は、上記ステップ6(S6)へ直接進んで、作業者が出庫対象となる車両が載置されているパレット6の番号を、呼び出したいパレット6の番号として指定する。これにより、上記ステップ7(S7)〜ステップ14(S14)と同様の手順でそれぞれのステップの操作が行われることで、上記出庫対象車両を積載したパレット6が、建屋1の1階部分のターンテーブル8上にて、パレット6の中心線方向が入出庫口2の中央に向くように配置されるようにする。なお、この出庫操作の場合には、ステップ12(S12)において建屋1の1階部分まで吊り下ろされたケージ5に保持されている出庫対象車両が載置されたパレット6をターンテーブル8によって旋回させるときに、該パレット6に載置されている出庫対象車両が上記入出庫口2に前向きで臨むように、上記パレット6を旋回させる向き及び角度を設定できるようにしてあるものとする。
【0034】
したがって、その後、上記ステップ3(S3)へ戻って上記入出庫口2の開閉扉2aを開作動させると(ステップ3:S3)、上記パレット6上の車両は、前進運転で上記入出庫口2を通して建屋1の外部へ乗り出させて出庫させた後(ステップ4:S4)、上記入出庫口2の開閉扉2aを閉じて(ステップ5:S5)、出庫操作を終了するようにする。なお、上記入庫操作又は出庫操作の終了後は、上記ステップ1(S1)にて次の入出庫操作の開始が選択されるまでそのまま待機させるようにすればよい。
【0035】
このように、本発明の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置によれば、アクチュエータ19の伸縮作動を適宜切り換えることで、上記反射鏡12を、ターンテーブル8上の車両積載用パレット6へ入出庫口2から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢と、建屋1の後側壁1bに接近させる格納姿勢とを自在に切り換えることができるため、車両の入庫操作や出庫操作に伴って建屋1内で各車両積載用パレット6をそれぞれ保持したケージ5を垂直循環させる際には、反射鏡12を予め建屋1の後側壁1bの近傍となる格納姿勢まで自動的に後退させるようにすることで、該反射鏡12が、上記建屋1内で垂直循環させる各ケージ5と干渉する虞を解消できる。したがって、上記反射鏡12の形状を大型の矩形状とすることができることから、車両の入庫操作時には、該大型の矩形状としてある反射鏡12を、車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢に配置させることで、入出庫口2から車両積載用パレット6上へ車両を乗り入れて入庫操作を行う際の運転者による自車のタイヤの位置の確認を容易なものとすることができる。よって、ターンテーブル8内蔵型で且つ車両積載用パレット6をケージ5の中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行う形式の垂直循環方式の機械式駐車装置における車両の入庫作業の容易性を向上させることが可能となる。
【0036】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、反射鏡12は、車両積載用パレット6へ乗り入れる車両の運転者の位置から上記パレット6上における自車のタイヤの位置が確認できる大きさとしてあれば、縦寸法、横寸法、縦横比等は適宜変更してもよい。
【0037】
反射鏡駆動機構14は、建屋1の後側壁1bに左右幅方向の一端部を水平方向に揺動自在に取り付けた支持枠13に一体に支持させてある反射鏡12を、建屋1の後側壁1bに接近させる格納姿勢と、ターンテーブル8上の車両積載用パレット6へ入出庫口2から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢の2つの姿勢をとることができるように動かすことができ、更に、ターンテーブル8により旋回させるパレット6等の建屋1の1階部分に配設される各種機器と干渉することなく配置できれば、アクチュエータ19の伸縮作動により上記反射鏡12の支持枠13を直接押し引きして動かしたり、
伸縮作動するアクチュエータ19に代えて、モータのような出力軸の回転で出力する形式の駆動装置により回転軸21を回転させることで、該回転軸21の回転をリンクアーム24を介し反射鏡12の支持枠13に伝えて動かすようにする等、駆動装置の形式や駆動力の伝達機構はいかなるものを採用してもよい。
【0038】
上記実施の形態では、建屋1の前側壁1aの左寄り位置に入出庫口2を備えた形式のターンテーブル内蔵型の垂直循環方式の機械式駐車装置について説明したが、入出庫口2の位置が建屋1の前面中央部に設けることができなくて、車両積載用パレットをケージの中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行う形式の垂直循環方式の機械式駐車装置であれば、入出庫口2の位置は多少左右にずれていてもよく、この場合には、上記反射鏡12を車両乗り入れ方向に正対するよう展開させるときの角度を適宜調整すればよい。又、建屋1の前側壁1aの右寄り位置に入出庫口2を備えた形式の機械式駐車装置に適用する場合には、本発明の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置の装置構成を左右で反転させて適用するようにすればよい。
【0039】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は概略正面図、(ロ)は反射鏡を展開姿勢とした状態を示す概略平面図、(ハ)は反射鏡を格納姿勢とした状態を示す概略平面図である。
【図2】図1の入庫用反射鏡装置を備えたターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージの中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行う形式の垂直循環方式の機械式駐車装置の1階部分の概要を示す平面図である。
【図3】図2の機械式駐車装置にて入庫操作と出庫操作を行う場合の手順のフローを示す図である。
【図4】従来の垂直循環方式の機械式駐車装置を示す概略斜視図である。
【図5】従来のターンテーブル内蔵型の垂直循環方式の機械式駐車装置の1階部分を示すもので、(イ)は入庫した車両を載置したパレットをケージで保持した状態を、(ロ)はターンテーブルによりパレットを持ち上げた状態を、(ハ)は車両をパレットごと前後に回転させた後、ケージ上へ降ろした状態をそれぞれ示す概略側面図である。
【図6】ターンテーブル内蔵型で且つ車両積載用パレットをケージの中心線方向に対し斜め旋回状態として入出庫作業を行う形式として考えられる垂直循環方式の機械式駐車装置の1階部分の概要を示す平面図である。
【図7】図6の機械式駐車装置の反射鏡設置部分を拡大して示すもので、(イ)は切断側面図、(ロ)は反射鏡の正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 建屋
1a 前側壁
1b 後側壁
2 入出庫口
2a 開閉扉
5 ケージ
6 車両積載用パレット
8 ターンテーブル
12 反射鏡
14 反射鏡駆動機構
18 ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋1階部分にターンテーブルを内蔵して、車両積載用パレットを上記ターンテーブルによりケージの中心線方向より異なる斜め方向に旋回させて入出庫作業を行うことができるようにしてある垂直循環方式の機械式駐車装置における上記建屋の後側壁に、反射鏡の左右幅方向の一端部を揺動自在に取り付けて、該反射鏡の左右幅方向の他端側を前後方向へ移動できるようにし、更に、上記反射鏡を、左右幅方向の他端側が上記建屋の後側壁に接近する格納姿勢と、上記ターンテーブル上の車両積載用パレットへ入出庫口から車両を乗り入れるときの車両乗り入れ方向に正対させる展開姿勢との間で移動させるための反射鏡駆動機構を備えた構成を有することを特徴とする機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置。
【請求項2】
反射鏡の左右幅方向の一端部を、ターンテーブル上にて車両積載用パレットを該パレットの中心線方向が入出庫口の中央に向くように配置させたときに該パレットの最も建屋後側壁寄りとなる角部の近傍となる建屋の後側壁に取り付けるようにした請求項1記載の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置。
【請求項3】
反射鏡駆動機構を、建屋の1階部分における後側壁寄り位置に反射鏡の下端よりも所要寸法低い底面レベルとなるよう設けたピットの内側に設けるようにした請求項1又は2記載の機械式駐車装置の入庫用反射鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150906(P2008−150906A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341728(P2006−341728)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)