説明

機械式駐車装置

【課題】専用の駆動源を用いることなくパレットの連結器を通過させるための切欠部を開閉する。停止ポジションの数を従来よりも減らす。
【解決手段】入出庫部3のプラットホーム4には、切欠部4bを開閉するように上下方向に揺動する可動蓋装置30が設けられている。可動蓋装置30は、パレット15がプラットホーム4に形成された矩形開口を上方に通過するときにパレット15の連結器16によって上向きに押されることで切欠部4bを開いてその状態を保持し、パレット15が矩形開口を下方に通過するときにパレット15の連結器16によって下向きに押されることで切欠部4bを閉じるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関し、詳しくは、パレットを旋回させる機能を有する昇降リフトにより車両を載せたパレットを昇降させ、入手車部と駐車空間とを行き来することで、車両の入出庫を行う機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式駐車装置において、パレットを旋回させる機能を有する昇降リフトにより車両を載せたパレットを昇降させ、入手車部と駐車空間とを行き来することで、車両の入出庫を行うタイプのものがある。下記特許文献1には、このようなタイプの機械式駐車装置が開示されている。
【0003】
図1は、特許文献1に開示された機械式駐車装置50の全体構成図である。この機械式駐車装置50は、車両51を載せる複数枚の長方形のパレットPと、車両51が入退場する入出庫部52と、複数枚のパレット51を各々の連結器53で連結したまま水平方向に移送する駐車空間54と、入出庫部52と駐車空間54とを連絡するリフト昇降路55と、リフト昇降路55を昇降する昇降リフト56とを備えている。昇降リフト56には、パレット51を旋回させる機能とパレットを昇降させる機能をもつパレット持上げ旋回装置57が搭載されている。図1において、パレット51の長辺方向は紙面に垂直な方向に向いており、パレット51の短辺方向は図の左右方向に向いている。
【0004】
駐車空間54は、互いに平行に配置された2列の横移送路58と、この横移送路58の両側に配置された互いに平行な2列の縦移送路59とを備えており、横移送路58と縦移送路59とが交互に接続されて矩形循環路が形成されている。
各パレット51の両長辺部には、各パレット51を横方向に連結するための連結器53が設けられている。
【0005】
駐車空間54には上層と下層が設けられている。各層において、各パレット51の連結器53は、同じ層の他のパレット51の連結器53と係合及び分離できるように構成されている。これにより、各層において、隣接するパレット51同士が連結されている。各層の各横移送路58には横送り装置60が設置され、横送り装置60によりパレット51が横方向に移送されるようになっている。また、各層の縦移送路59には縦送り装置61が設置され、縦送り装置61によりパレット51が縦方向に移送されるようになっている。
【0006】
図2は、図1における入出庫部52の平面図である。入出庫部52の乗入れ床63には、パレットPの形状よりも僅かに大きい矩形開口64aを有するデッキ64が設けられている。デッキ64のうちパレット51の長辺側対応箇所に乗降デッキ64bを有している。乗降デッキ64bは、利用者の乗降時の通路となる部分である。乗降デッキ64bの矩形開口64a側の端縁には、昇降リフト56がリフト昇降路55を昇降して駐車空間54と入出庫部52との間を行き来する時に、パレット51に設けられた連結器53が、乗降デッキ64bに干渉しないようにするためのコ字状の切欠部64cが形成されている。
【0007】
図3は、図1に示した機械式駐車装置50において、昇降リフト56がパレット51を載せて最上昇位置まで上昇した状態を示す図である。
図2及び図3に示すように、切欠部64cには、昇降リフト56がリフト昇降路55を昇降して駐車空間54と入出庫部52との間を行き来する時には、パレット51の連結器53が切欠部64cを通過するように退避する一方、パレット51の車路面が入出庫部52の乗入れ床63と面一になる入出庫乗入れレベルL2に位置した車両入出庫時には、切欠部64cを覆うように進出する可動式のカバー装置66が進退可能に設けられている。
【0008】
このカバー装置66は、切欠64c部を覆うカバー体67と、カバー体67を揺動させる揺動機構68と、カバー体67が進退移動するように揺動機構を駆動する揺動駆動源(モータ)とを備えている。なお、図2及び図3では、揺動機構と揺動駆動源の図示は省略されている。
【0009】
一方、下記特許文献2では、図3と同様の構成において、パレット持上げ旋回装置57を、昇降リフト56の昇降時には昇降リフト56の上面から突出しないように最下降位置である退避レベルL1に位置させ、車両方向転換時には昇降リフト56上面から突出させて最上昇位置である持上げ旋回レベルL3に位置させ、車両入出庫時にはパレットPの車路面が入出庫部52の乗入れ床63と面一になるように昇降リフト56上面から突出させて最下降位置と最上昇位置との間の中間位置である入出庫乗入れレベルL2に位置させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−291493号公報
【特許文献1】特開2008−261149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1において提案された上述したカバー装置66は、カバー体67を駆動するための専用の駆動源(揺動駆動源)が必要であるため、製造コストが高く、機構も複雑となる。
特許文献2において提案された上述したパレット持上げ旋回装置57では、停止ポジションとして、退避レベル、旋回レベル、入出庫乗入れレベルの3つの位置が設定されているが、停止ポジションの数が多いため、その分、制御が複雑になる。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、専用の駆動源を用いることなくパレットの連結器を通過させるための切欠部を開閉することができる可動蓋装置を備えた機械式駐車装置を提供することを課題とする。また、本発明は、昇降リフトに搭載されたパレット昇降装置の停止ポジションの数を従来よりも減らすことができる機械式駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題を解決するため、本発明は、長辺部に連結器が突出して設けられ車両を載せる複数枚のパレットと、車両が入退場する入出庫部と、車両を格納する駐車空間を形成するものであって複数枚のパレットを各々の連結器で連結して水平方向に移送する格納部と、前記入出庫部と前記格納部とを連絡するリフト昇降路を昇降しパレットを旋回させる機能を有する昇降リフトとを備えた機械式駐車装置において、前記入出庫部の床を形成するプラットホームには、パレットが上下に通過可能な矩形開口が形成され、前記プラットホームの前記矩形開口側の端縁には、矩形開口をパレットが上下に通過するときに前記連結器が通過できるようにするための切欠部が形成され、前記入出庫部のプラットホームには、前記切欠部を開閉するように上下方向に揺動する可動蓋装置が設けられ、前記可動蓋装置は、パレットが矩形開口を上方に通過するときにパレットの連結器によって上向きに押されることで切欠部を開いてその状態を保持し、パレットが矩形開口を下方に通過するときにパレットの連結器によって下向きに押されることで切欠部を閉じるように構成されている、ことを特徴とする。
【0014】
上記の本発明の構成によれば、パレットを旋回させる高さまで上昇させるためにパレットが矩形開口を上方に通過するとき、パレットの連結器よって可動蓋装置が押されて蓋が立つ方向に揺動することで切欠部が開いてその状態が保持されるので、連結器が切欠部を通過できる。
また、パレットの旋回後、パレットを下降させるためにパレットが矩形開口を下方に通過するとき、パレットの連結器によって可動蓋装置が押されて蓋が倒れる方向に揺動することで切欠部が閉じる。
このように、可動蓋装置は、パレットの昇降に伴う連結器に上下動によって押されて揺動するので、専用の駆動源を用いることなく、切欠部を開閉することができる。このため、製造コストが安く、機構も簡単にできる。
【0015】
また、上記の機械式駐車装置において、前記可動蓋装置は、前記切欠部を開閉するように揺動自在に設けられた蓋本体と、切欠部を閉じる第1位置又は切欠部を開く第2位置に前記蓋本体を保持する位置保持手段とを備え、前記位置保持手段は、前記蓋本体が第1位置よりも下がることを阻止するともに前記蓋本体が第2位置を超えて開くことを阻止するストッパと、一端が蓋本体に固定され他端がプラットホームに固定された引張バネとを有し、前記引張バネは、前記蓋本体が所定回転位置よりも第1位置側に位置するときは蓋本体を第1位置に保持する方向に引っ張り、前記蓋本体が所定回転位置よりも第2位置側に位置するときは蓋本体を第2位置に保持する方向に引っ張るように配置されている。
【0016】
上記の構成によれば、位置保持手段がストッパと引張バネにより構成されるので、切欠部を閉じる第1位置と切欠部を開く第2位置のいずれかに蓋本体を保持する機構を簡単な構成で実現できる。
【0017】
また、上記の機械式駐車装置において、前記昇降リフトは、パレットを載せるパレット支持体を介して昇降リフト上でパレットを昇降させるパレット昇降装置を備え、該パレット昇降装置は、パレット支持体と一体的に昇降する昇降体を有し、パレット旋回装置によりパレットを旋回させるときは最上昇位置である旋回レベルにパレット支持体が位置するように昇降体を位置させ、パレットを旋回させるとき以外は最下降位置である退避レベルにパレット支持体が位置するように昇降体を位置させる。
【0018】
上記の構成によれば、パレット昇降装置の停止ポジションとして、旋回レベルとホームポジションの2つの位置が設定されおり、3つの位置を設定する従来(特許文献1)と比較して、停止ポジションの数を減らしているので、制御が簡単となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、専用の駆動源を用いることなくパレットの連結器を通過させるための切欠部を開閉することができる。また、停止ポジションの数を従来よりも減らすことで制御を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1に開示された機械式駐車装置の全体構成図である。
【図2】図1に示した機械式駐車装置の入出庫部の平面図である。
【図3】図1に示した機械式駐車装置において昇降リフトがパレットを載せて最上昇位置まで上昇した状態を示す図である。
【図4】本発明の機械式駐車装置の実施形態の全体構成図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明の機械式駐車装置において昇降リフトがパレットを載せて最上昇位置まで上昇した状態を示す図である。
【図7】本発明の機械式駐車装置における可動蓋装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図4は、本発明の機械式駐車装置1の実施形態の全体構成図である。この機械式駐車装置1は、長辺部に連結器16が突出して設けられ車両2を載せる複数枚のパレット15と、車両2が入退場する入出庫部3と、車両2を格納する駐車空間を形成するものであって複数枚のパレット15を各々の連結器16で連結して水平方向に移送する格納部6と、入出庫部3と格納部6とを連絡するリフト昇降路7を昇降しパレット15を旋回させる機能を有する昇降リフト8とを備えている。図1において、パレット15の長辺方向は紙面に垂直な方向に向いており、パレット15の短辺方向は図の左右方向に向いている。
【0023】
ここで、図5は、図4のV−V線断面図である。入出庫部3には車両2が入退場するときの出入口となる入出庫口3aが設けられており、入出庫口3aにはこれを開閉する入出庫扉5が設けられている。
入出庫部3の床を形成するプラットホーム4には、パレット15が上下に通過可能な矩形開口4aが形成されている。パレット15と矩形開口4aとの隙間をできるだけ小さくするため、矩形開口4aの大きさは、パレット15よりも僅かに大きく設定されている。
【0024】
プラットホーム4において、矩形開口4aの長辺部(パレット15の長辺部に対応する部分)側の端縁には、矩形開口4aをパレット15が上下に通過するときに連結器16が通過できるようにするためのコ字状の切欠部4bが形成されている。
また入出庫部3のプラットホーム4は、切欠部4bを開閉するように揺動する可動蓋装置30を備えている。この可動蓋装置30の詳細については、後述する。
【0025】
図4に戻って説明する。格納部6には上層6Aと下層6Bが設けられている。格納部6は、各層において、互いに平行に配置された2列の横移送路12と、この横移送路12の両側に配置された互いに平行な2列の縦移送路14とを備えており、横移送路12と縦移送路14とが交互に接続されて矩形循環路が形成されている。
【0026】
各パレット15の両長辺部には、各パレット15を横方向に連結するための連結器16が設けられている。両長辺部において連結器16は長辺方向に間隔をおいて複数(通常は2つ)設けられている。連結器16はフック状に形成されており、フック状の先端の向きが各パレット15の左右で互いに上下逆向きになるように取り付けられている。
【0027】
各層において、各パレット15の連結器16は、同じ層の他のパレット15の連結器16と係合及び分離できるように構成されている。これにより、各層において、隣接するパレット15同士が連結されている。各層の各横移送路12には図示しない横送り装置が設置され、この横送り装置によりパレット15が横方向(図1で左右方向)に移送されるようになっている。また、各層の縦移送路14には図示しない縦送り装置が設置され、この縦送り装置によりパレット15が縦方向(図1で紙面に垂直方向)に移送されるようになっている。
【0028】
このように構成された格納部6は、上下各層の矩形循環路において、各パレット15を各々の連結器16で連結し、かつ左右の縦移送路14の対角位置にパレット15が無い空スペースを1つずつ形成した状態で、1パレット分ずつ横移送方向と縦移送方向に交互にピッチ送りして水平循環させて移送するようになっている。
【0029】
昇降路7には、ほぼその全長にわたる長さの支柱9が鉛直に設置されており、この支柱9に沿って昇降リフト8が昇降するようになっている。昇降リフト8は、図示しないチェーン駆動機構に接続されており、リフト駆動源10(モータ)によりチェーン駆動機構を駆動することで昇降動作する。この昇降動作は、図示しない制御装置によって制御される。
【0030】
また昇降リフト8は、パレット15を旋回させる機能と、パレット15を昇降リフト8上で昇降させる機能とを有している。これらの機能は、昇降リフト8に搭載された後述するパレット旋回装置23とパレット昇降装置20により実現される。
【0031】
上層6Aと下層6Bとでは、パレット15に設けられた連結器16のパレット長辺方向の位置が異なっている。このため、下層6Bのパレット15を下層6Bから入出庫部3の間で昇降リフト8により昇降させるときに、昇降リフト8上のパレット15の連結器16は上層6Aのパレット15の連結器16と干渉することなく上下に通過することができる。
【0032】
上記のように構成された機械式駐車装置1は、昇降リフト8により、入出庫部3と格納部6との間でパレット15を上下に移送し、格納部6によりパレット15を水平移送することで、車両2を格納するようになっている。また、車両2の入庫時又は出庫時に、パレット15が入出庫部3に位置する状態で車両2を載せたパレット15を旋回させることで、車両2を前進出庫させることができる。
【0033】
図6は、機械式駐車装置1において昇降リフト8がパレット15を載せて最上昇位置まで上昇した状態を示す図である。図6において、(A)はパレット昇降装置20が退避レベルに位置している状態を示し、(B)はパレット昇降装置20が旋回レベルに位置している状態を示す。
パレット15の下面には、縦移動用車輪26が設けられている。また、図6では図示ないが、パレット15の下面には横移動用車輪27が設けられている(図4参照)。
【0034】
図6に示すように、昇降リフト8は、リフトフレーム17、ガイドローラ18、パレット昇降装置20及びパレット旋回装置23を備える。
【0035】
リフトフレーム17は、水平フレーム17aと、水平フレーム17aの支柱9側の端部に連結された垂直フレーム17bと、両端が水平フレーム17aと垂直フレーム17bに連結された斜めフレーム17cとからなる。水平フレーム17a上には、パレット15の縦移動用車輪26を案内するための縦移送用レール28が設けられている。なお、17a水平フレーム上には、パレット15の横移動用車輪27を案内するための図示しない横移送用レールも設けられている。
【0036】
ガイドローラ18は、リフトフレーム17に上下方向に間隔を置いた位置に取り付けられ、支柱9に沿って転がるように支柱9と係合し、リフトフレーム17を支柱9に沿って上下に案内する。リフトフレーム17は上述したチェーン駆動機構に連結されている。
【0037】
パレット昇降装置20は、パレット15を載せるパレット支持体24を介して昇降リフト8上でパレット15を昇降させるための装置である。パレット昇降装置20は、パレット支持体24と一体的に昇降する昇降体21を有している。昇降体21を昇降駆動する機構は、駆動モータと、チェーン機構、ベルト機構、ラックアンドピニオン機構、ボールねじ機構などの動力変換機構とを組み合わせたものや、油圧シリンダやリニアモータのような直動アクチュエータによって実現できる。
【0038】
パレット旋回装置23によりパレット15を旋回させるときは、パレット昇降装置20は、図6(B)に示すように、最上昇位置である旋回レベルL2にパレット支持体24が位置するように昇降体21を位置させる。
【0039】
パレット昇降装置20は、パレット15を旋回させるとき以外は、図6(A)に示すように、最下降位置である退避レベルL1(ホームポジション)にパレット支持体24が位置するように昇降体21を位置させる。パレット15を旋回させるとき以外としては、車両2の入退場時、昇降リフト8の昇降時、昇降リフト8と格納部6との間でパレット15を受け渡すときがある。なお、パレット昇降装置20は、図示しない制御装置によって制御される。
【0040】
パレット昇降装置20がパレット支持体24を退避レベルL1に位置させているとき、パレット15は、縦移動用車輪26と横移動用車輪27(図4参照)がそれぞれ縦移送用レール28と横移送用レールの上に載ることで、支持されるようになっている。
【0041】
パレット旋回装置23は、パレット支持体24を介してパレット15を旋回させるための装置である。パレット旋回装置23は、図示しない駆動モータを備え、駆動モータの回転駆動により旋回することで、パレット支持体24を旋回させることができる。図6中、符号a1は、パレット旋回装置の旋回中心を示している。
このように構成されているので、昇降リフト8がパレット15を入出庫部3に位置させているときに、パレット昇降装置20によりパレット支持体24を旋回レベルL2に位置させた状態でパレット旋回装置23によりパレット支持体24を旋回させることで、その上に載っているパレット15を旋回させることができる。
【0042】
上述したように、入出庫部3のプラットホーム4には、切欠部4bを開閉するように揺動する可動蓋装置30が設けられている。可動蓋装置30は、パレット15が矩形開口4aを上方に通過するときにパレット15の連結器16によって上向きに押されることで切欠部4bを開いてその状態を保持し、パレット15が矩形開口4aを下方に通過するときにパレット15の連結器16によって下向きに押されることで切欠部4bを閉じるように構成されている。
【0043】
図7は、可動蓋装置30の構成を示す図であり、図6のA部拡大図に相当する。図7において、(A)は可動蓋装置30が倒れている状態を示し、(B)は可動蓋装置30が起きている状態を示す。可動蓋装置30は、蓋本体31と位置保持手段32とを備える。
【0044】
蓋本体31は、切欠部4bを開閉するように上下方向に揺動自在に設けられている。図7中の符号a2は蓋本体31の揺動中心であり、(A)では水平姿勢に対して開く方向に僅かに傾いた状態の蓋本体31を破線で示し、(B)では起立姿勢に対して閉じる方向に僅かに傾いた状態の蓋本体31を破線で示している。
【0045】
図示例の蓋本体31は、切欠部4bを閉じたときにプラットホーム4ともに床面を形成するトッププレート31aと、トッププレート31aの下面に設けられ水平方向に延びる水平部31bと、水平部31bにおける揺動中心a2寄りの位置から鉛直下方に延びる鉛直部31cと、水平部31bの基端部(図7で右端部)かつ鉛直部31cの上部から切欠部4bの奥側に向かって突出する突出部31dとを有する。
【0046】
水平部31bの下面は、蓋本体31が水平姿勢である状態で連結器16が上方に移動してきたときに連結器16に当たる当接下面となっている。
鉛直部31cの矩形開口4a側の面(図7で左側面)は、蓋本体31が起立姿勢である状態で連結器16が下方に移動してきたときに連結器16と当たる当接側面となっている。
【0047】
位置保持手段32は、切欠部4bを閉じる位置(図7(A)に示す蓋本体31の位置であり、以下、第1位置という)又は切欠部4bを開く位置(図7(B)に示す蓋本体31の位置であり、以下、第2位置という)に蓋本体31を保持する機能を有する。
【0048】
図示例の構成において、位置保持手段32は、蓋本体31が第1位置よりも下がることを阻止するとともに蓋本体31が第2位置を超えて開くことを阻止するストッパ34と、蓋本体31に一端が固定され他端がプラットホーム4に固定された引張バネ33とを有する。
【0049】
ストッパ34は、具体的には、蓋本体31が第1位置よりも下がることを阻止する第1ストッパ34aと、蓋本体31が第2位置を超えて開くことを阻止する第2ストッパ34bとからなる。
図7(A)に示すように第1ストッパ34aは蓋本体31の鉛直部31cの側面に当たって、蓋本体31がそれ以上、下に傾かないように阻止する。図7(B)に示すように第2ストッパ34bは蓋本31体の突出部31dの先端に当たって、蓋本体31がそれ以上開かないように阻止する。
【0050】
図7中、符号e1は引張バネ33の一端側の固定点であり、符号e2は引張バネ33の他端側の固定点である。図示例の構成では、同一部品の異なる位置に第1ストッパ34a及び第2ストッパ34bとして機能する部位がそれぞれ設けられているが、第1ストッパ34a、第2ストッパ34bは異なる部品で構成されてもよい。
【0051】
引張バネ33は、蓋本体31が所定回転位置よりも第1位置側に位置するときは蓋本体31を第1位置に保持する方向に引っ張り、蓋本体31が所定回転位置よりも第2位置側に位置するときは蓋本体31を第2位置に保持する方向に引っ張るように配置されている。ここで、上記の所定回転位置は、固定点e1と固定点e2を結ぶ直線上に蓋本体31の揺動中心a2が位置するときの蓋本体31の回転位置である。
【0052】
すなわち、蓋本体31が所定回転位置よりも第1位置側に姿勢が傾いていれば引張バネ33の弾性力により常に第1位置側に回転する方向(図7でa2を中心に反時計回り)に回転力が作用する。一方、蓋本体31が所定回転位置よりも第2位置側に姿勢が傾いていれば引張バネ33の弾性力により常に第2位置側に回転する方向(図7でa2を中心に時計回り)に回転力が作用する。
【0053】
次に、上記のように構成された可動蓋装置30の動作について説明する。
前提として、昇降リフト8によりパレット15を入出庫部3まで上昇させ、そこで停止し、パレット15及び可動蓋装置30が図7(A)の状態になっているとする。
この状態から、上述したパレット昇降装置20(図6参照)によりパレット15を上昇させていくと、パレット15の連結器16が蓋本体31の水平部31bの下面に当たり、連結器16の上昇に伴って蓋本体31が上向きに押されて回転する。図7(A)ではその過程におけるパレット15、連結器16及び蓋本体31の位置を破線で示している。
【0054】
そして、蓋本体31がさらに回転し、上述した所定回転位置よりも第2位置(起立姿勢となる位置)側に姿勢が傾くと、引張バネ33の作用により、蓋本体31が図7(B)に示すように起立姿勢となり、その状態が保持される。
パレット15を旋回させる高さまで上昇させたら、上述したパレット旋回装置23(図6参照)を駆動してパレット15を180°旋回させる。
【0055】
次に、パレット昇降装置20によりパレット15を下降させていくと、パレット15の連結器16が蓋本体31の鉛直部31cの側面に当たり、連結器16の下降に伴って蓋本体31が下向きに押されて回転する。図7(B)ではその過程におけるパレット15、連結器16及び蓋本体31の位置を破線で示している。
そして、蓋部材がさらに回転し、上述した所定回転位置よりも第1位置(水平姿勢となる位置)側に姿勢が傾くと、引張バネ33の作用により、蓋本体31は図7(A)に示すように水平姿勢に戻り、その状態が保持される。
【0056】
上述した本発明の機械式駐車装置1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0057】
パレット15を旋回させる高さまで上昇させるためにパレット15が矩形開口4aを上方に通過するとき、パレット15の連結器16よって可動蓋装置30が押されて蓋が立つ方向に揺動することで切欠部4bが開いてその状態が保持されるので、連結器16が切欠部4bを通過できる。一方、パレット15の旋回後、パレット15を下降させるためにパレット15が矩形開口4aを下方に通過するとき、パレット15の連結器16によって可動蓋装置30が押されて蓋が倒れる方向に揺動することで切欠部4bが閉じる。
このように、可動蓋装置30は、パレット15の昇降に伴う連結器16に上下動によって押されて揺動するので、専用の駆動源を用いることなく、切欠部4bを開閉することができる。このため、製造コストが安く、機構も簡単にできる。
【0058】
また本実施形態によれば、位置保持手段32がストッパと引張バネ33により構成されているので、切欠部4bを閉じる第1位置と切欠部4bを開く第2位置のいずれかに蓋本体31を保持する機構を簡単な構成で実現できる。
【0059】
また本実施形態によれば、パレット昇降装置20の停止ポジションとして、旋回レベルと退避レベル(ホームポジション)の2つの位置が設定されおり、3つの位置を設定する従来(特許文献1)と比較して、停止ポジションの数を減らしているので、制御が簡単となる。
【0060】
なお、上述した本実施形態に対して、例えば、以下のような改変を加えてもよい。
(A)図4に示した格納部6は上層6Aと下層6Bの2層構成であったが、1層あるいは3層以上の多層構造であってもよい。
(B)図6に示した昇降リフト8は、パレット昇降装置20を備えたものであったが、パレット昇降装置20はなくてもよい。この場合、パレット15の昇降動作は昇降リフト8により行うことになる。
【0061】
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
1 機械式駐車装置
2 車両
3 入出庫部
3a 入出庫口
4 プラットホーム
4a 矩形開口
4b 切欠部
5 入出庫扉
6 格納部
6A 上層
6B 下層
7 昇降路
8 昇降リフト
9 支柱
10 リフト駆動源
12 横移送路
14 縦移送路
15 パレット
16 連結器
17 リフトフレーム
17a 水平フレーム
17b 垂直フレーム
17c 斜めフレーム
18 ガイドローラ
20 パレット昇降装置
21 昇降体
23 パレット旋回装置
24 パレット支持体
26 縦移動用車輪
27 横移動用車輪
28 縦移送用レール
30 可動蓋装置
31 蓋本体
31a トッププレート
31b 水平部
31c 鉛直部
31d 突出部
32 位置保持手段
33 引張バネ
34 ストッパ
34a 第1ストッパ
34b 第2ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺部に連結器が突出して設けられ車両を載せる複数枚のパレットと、車両が入退場する入出庫部と、車両を格納する駐車空間を形成するものであって複数枚のパレットを各々の連結器で連結して水平方向に移送する格納部と、前記入出庫部と前記格納部とを連絡するリフト昇降路を昇降しパレットを旋回させる機能を有する昇降リフトとを備えた機械式駐車装置において、
前記入出庫部の床を形成するプラットホームには、パレットが上下に通過可能な矩形開口が形成され、
前記プラットホームの前記矩形開口側の端縁には、矩形開口をパレットが上下に通過するときに前記連結器が通過できるようにするための切欠部が形成され、
前記入出庫部のプラットホームには、前記切欠部を開閉するように上下方向に揺動する可動蓋装置が設けられ、
前記可動蓋装置は、パレットが矩形開口を上方に通過するときにパレットの連結器によって上向きに押されることで切欠部を開いてその状態を保持し、パレットが矩形開口を下方に通過するときにパレットの連結器によって下向きに押されることで切欠部を閉じるように構成されている、ことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記可動蓋装置は、前記切欠部を開閉するように揺動自在に設けられた蓋本体と、切欠部を閉じる第1位置又は切欠部を開く第2位置に前記蓋本体を保持する位置保持手段とを備え、
前記位置保持手段は、前記蓋本体が第1位置よりも下がることを阻止するともに前記蓋本体が第2位置を超えて開くことを阻止するストッパと、一端が蓋本体に固定され他端がプラットホームに固定された引張バネとを有し、
前記引張バネは、前記蓋本体が所定回転位置よりも第1位置側に位置するときは蓋本体を第1位置に保持する方向に引っ張り、前記蓋本体が所定回転位置よりも第2位置側に位置するときは蓋本体を第2位置に保持する方向に引っ張るように配置されている、請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記昇降リフトは、パレットを載せるパレット支持体を介して昇降リフト上でパレットを昇降させるパレット昇降装置を備え、
該パレット昇降装置は、パレット支持体と一体的に昇降する昇降体を有し、パレット旋回装置によりパレットを旋回させるときは最上昇位置である旋回レベルにパレット支持体が位置するように昇降体を位置させ、パレットを旋回させるとき以外は最下降位置である退避レベルにパレット支持体が位置するように昇降体を位置させる、請求項1又は2記載の機械式駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−255243(P2010−255243A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105188(P2009−105188)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)