説明

機械装置用架台

【課題】一般的なフレーム構造からなる架台を設計変更することなく、しかも搭載する機械装置との共振を防止可能とした機械装置用架台を提供する。
【解決手段】鋼管からなる縦枠部材2Aと横枠部材2Bを縦横に組んで形成した製缶フレーム2の内部空間にコンクリート又はモルタルを充填して架台フレーム1を形成し、該架台フレームの上部2Cにこれと一体構造のコンクリート製のステージ4を形成するとゝもに、該ステージ上に前記縦枠部材の上端に固定した複数個の貫通孔5aを有する埋込部材5Aを介して機械装置の取付金具5を装着した構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械装置用架台に関し、特に駆動源を備えた機械装置から生じる振動と共振することが少ない高剛性の機械装置用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源を備えた機械装置はその回転,移動,停止,発進などによって振動や揺れが発生する。したがって、このような機械装置を支持する架台がこれらの振動や揺れと共振した場合には益々増幅され、その振動や揺れが止まるまで次工程に進めないといった事態が発生する場合がある。
【0003】
このような共振の防止を図ったものとして、例えば、特開平4−256615号公報には、一本の鋼管を縦に配置してその内部にコンクリートを充填するとゝもに、該鋼管の上下両端にリブとともに溶接された上ベース板と下ベース板をそれぞれ固定した構成のパーツフィダー架台が開示されている。これにより、架台の本体部分は高剛性となり、上ベース板の上に設置したパーツフィダーの振動と共振を起こしにくい構造となるといった効果を奏する。
【0004】
しかし、前記特開平4−256615号公報の架台は、その本体部分が内部にコンクリートを充填した一本の高剛性の鋼管を縦に配設した構成のものであるため、その上端面の面積の大きさには自ずと限界がある。したがって、この架台の上にパーツフィダーなどの機械装置を設置するためには、前記高剛性の鋼管の上端部にその上端面の面積よりも広い面積を有する上ベース板を固定し、該上ベース板の上に設置せざるを得ない。
【0005】
更には、上記上ベース板はリブとともに鋼管に溶接されてはいるが、上ベース板自体の剛性が低いこと、また前記上ベース板の周囲の大部分は自由端となるので、該上ベース板の上に設置したパーツフィダーなどの機械装置から生じる振動と共振しやすいといった問題点が依然として残されている。
【0006】
また、前記特開平4−256615号の架台では、大径の前記鋼管が主要部を占める特殊な構成となっているので、フレームを縦横に組んで形成した一般的な機械装置用の架台(同公報の図2に示す従来の架台)とは構成が根本的に相違する。したがって、前記特開平4−256615号のような構成の架台を採用する場合には改めて設計をやり直さなければならないという問題点もあった。
【0007】
このような問題点を解消するため、出願人は先に、鋼管を縦横に組んで形成したフレームの内部空間にコンクリート又はモルタルを充填する構成とすることで、設計変更を施すことなく一般的な架台構造としたフレームを形成することができるようにした機械装置用架台を出願した(実用新案登録第3097573号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−256615号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
機械装置用架台を、前記特許文献2(実用新案登録第3097573号公報)に開示された発明のような構成とすることで、上記のように、一般的なボックス型の架台であれば設計変更することなく製作できるといった効果を奏する。しかし、この特許文献2に開示されたパーツフィダーなどの機械装置を設置するためのベース板5は、フレーム2と別部材であって、フレーム2が完成した後にその上部に溶接によって装着されていること、前記ベース板5はその共振防止性能が損なわれないようにするために、ベース板5全体が架台によって支持されていること、すなわち、ベース板5はその板厚に限度があるため、フレーム2の上部面積と同等又はこれよりも狭い面積のものであることが必要である。
【0010】
上記のように、従来の架台は、板厚の厚い高剛性のベース板5を別途用意する必要があること、該ベース板5をフレーム2に装着するために溶接作業が必要であり、これらが架台の製造価格を上昇させる要因となっている。本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ベース板を高剛性で、機械装置から生じる振動と共振を起こしにくいコンクリートで形成するとゝもに、該ベース板をコンクリートで形成する際にフレームと一体成形してベース板をフレームに装着することで、廉価に製造できる機械装置用の架台を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る機械装置用架台は、鋼管からなる縦枠部材と横枠部材を縦横に組んで形成した製缶フレームの内部空間にコンクリート又はモルタルを充填して架台フレームを形成し、該架台フレームの上部にこれと一体構造のコンクリート製のステージを形成するとゝもに、該ステージ上に前記縦枠部材の上端に装着した埋込部材を介して機械装置の取付金具を装着してなり、前記埋込部材に所定間隔で複数個の貫通孔を形成して前記コンクリート製のステージが前記埋込部材により縁切りがなされていない構造としたことを特徴とする。
【0012】
上記のような構成とすることにより、鋼管を縦横に組んで形成する一般的なフレーム構造からなる架台であれば設計変更することなく、高剛性の固有振動数が大きな架台を得ることができる。その結果、機械装置を支持する架台の固有振動数が前記架台に搭載する機械装置の固有振動数と一致しない構成のものとなり、機械装置の振動による共振が少ない架台を少ない部品点数で廉価に製造できる。
【0013】
また、前記の目的を達成するため、本発明の請求項2に係る機械装置用の架台は、前記コンクリート又はモルタルがシリカフュームを混和した水硬性の高強度コンクリート又は高強度モルタルである構成とした。このような構成とすることにより、前記架台の剛性をより一層高くすることができ、機械装置用架台の共振防止性能がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る機械装置用架台を図1及び図2に示す一実施形態に基づいて詳細に説明する。図において、Aは本発明に係る機械装置用架台で、架台フレーム1と、該架台フレーム1の上部に設置したコンクリート製のステージ4とから主に構成されている。
【0015】
2は前記架台フレーム1を構成する製缶フレームで、角パイプの鋼管からなる縦枠部材2Aと横枠部材2Bとを縦横に組んで形成した直方体状のものであり、この製缶フレーム2の内部中空にコンクリート又はモルタル3を充填した構造とすることで上記架台フレーム1が形成されている。
【0016】
4は前記架台フレーム1の上部に設置したコンクリート製のステージで、該ステージ4をコンクリート3Aで形成する際前記架台フレーム1の上部に一体成形したものであり、後述する製法により形成される。5は前記ステージ4上に設置した取付金具で、前記コンクリート製のステージ4上に機械装置(図示せず)を設置する際に使用するためのものであり、所定間隔で貫通孔5a,5aを形成したコンクリートへの埋込部材5Aを介して前記架台フレーム1の上部に装着されている。なお、図中6は前記製缶フレーム2の内部中空にコンクリート又はモルタル3を充填するための充填口である。
【0017】
つぎに、本発明に係る機械装置用架台Aの製造方法を、図3乃至図5に基づいて以下詳細に説明する。図3に示すものは製缶フレーム2で、角パイプの鋼管からなる縦枠部材2Aと横枠部材2Bとを縦横に組んで形成した製缶フレーム2の完成品であり、前記縦枠部材2Aの上端面には機械装置(図示せず)を設置する際に使用する取付金具5がコンクリート埋込部材5Aを介して装着されている。なお、図中7は脚板である。
【0018】
そこで、図3に示す製缶フレーム2を、その天地を逆にして図4に示すように設置し、型枠底板8Aとその上に組み立てた型枠側板8Bとからなる型枠8の中に、前記製缶フレーム2をその上部2C側から挿入し、該製缶フレーム2をボルト(図示せず)等で型枠8に固定する(図5参照)。この時、製缶フレーム2の縦枠部材2Aの上端面にコンクリートへの埋込部5Aを介して装着した取付金具5の上面側の大部分が、型枠底板8Aに形成した凹溝(図示せず)内に埋没する構成としてある。
【0019】
製缶フレーム2を型枠8の中に図5に示す状態にセットした後、製缶フレーム2の内部中空に充填口6からコンクリート又はモルタル3を充填して架台フレーム1を形成するとゝもに、前記型枠側板8Bの側板内に上方開口部からコンクリート3Aを打設する。そして、コンクリート又はモルタル3及びコンクリート3Aが硬化した後に製缶フレーム2を型枠8から外すことで、図1及び図2に示すように、前記架台フレーム1の上部2Cに、該上部2Cと一体構造となったコンクリート製のステージ4が成形され、完成品である機械装置用架台Aが形成される。なお、前記コンクリートへの埋込部材5Aに貫通孔5aが所定間隔で多数形成されていることで、前記コンクリート製のステージ4は鋼材(埋込部材5A)による縁切りがなされない全体が一体形構造のものとなり、共振防止機能が高められる。
【0020】
ここで、前記コンクリート又はモルタル3としては、セメント類を結合材とするセメントコンクリート又はセメントモルタルの他、主に無機系の自硬性を有する不均質材料を用いる。好ましくは、前記コンクリート又はモルタルとして高強度コンクリート又は高強度モルタルを使用し、或いは膨張コンクリートや膨張モルタル,無収縮コンクリートや無収縮モルタル,高流動コンクリートや高流動モルタルを使用する。例えば、前記高強度コンクリート又は高強度モルタルとしてはシリカフュームと高性能AE減衰剤を混和したものや、更にこれを振動・加圧等により締固めたものが考えられる。
【0021】
また、前記膨張コンクリートや膨張モルタルとしてはエトリンガイトや生石灰の膨張生成力を利用し、無収縮コンクリートや無収縮モルタルとしてはノニオン系の界面活性剤を利用することが考えられる。更に、高流動コンクリートや高流動モルタルとしては高炉スラグ微粉末を添加した粉体系のものや、セルロース系等の増粘剤系の高流動コンクリートを利用することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る機械装置用架台の全体斜視図である。
【図2】図1のIIーII線断面拡大部分図である。
【図3】同機械装置用架台を構成する製缶フレームの斜視図である。
【図4】製缶フレームを天地逆にした状態の斜視図である。
【図5】製缶フレームを型枠内に挿入した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
A 機械装置用架台
1 架台フレーム
2 製缶フレーム
2A 縦枠部材
2B 横枠部材
2C 架台フレーム1の上部
3・3A コンクリート又はモルタル
4 コンクリート製のステージ
5 取付金具
5A 埋込部材
5a 貫通孔
6 充填口
7 脚板
8 型枠
8A 型枠底板
8B 型枠側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管からなる縦枠部材と横枠部材を縦横に組んで形成した製缶フレームの内部空間にコンクリート又はモルタルを充填して架台フレームを形成し、該架台フレームの上部にこれと一体構造のコンクリート製のステージを形成するとゝもに、該ステージ上に前記縦枠部材の上端に装着した埋込部材を介して機械装置の取付金具を装着してなり、前記埋込部材に所定間隔で複数個の貫通孔を形成して前記コンクリート製のステージが前記埋込部材により縁切りがなされていない構造としたことを特徴とする機械装置用架台。
【請求項2】
前記コンクリート又はモルタルがシリカフュームを混和した水硬性の高強度コンクリート又は高強度モルタルであることを特徴とする請求項1記載の機械装置用架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100905(P2013−100905A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4323(P2013−4323)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2007−196276(P2007−196276)の分割
【原出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000201504)前田製管株式会社 (35)
【Fターム(参考)】