機能性シート
【課題】薄い繊維シートを素材とするものでありながら、優れたクッション作用、遮蔽機能、吸水機能を備えた機能性シートを得る。
【解決手段】本発明に係る機能性シート1は、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で構成される。素材シート5は、柔軟性を有する繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成する。凹凸構造シート6の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定する。
【解決手段】本発明に係る機能性シート1は、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で構成される。素材シート5は、柔軟性を有する繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成する。凹凸構造シート6の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性シートに関する。
本発明に係る機能性シートは、手術や検診などを行う際に着用される医療用ガウンの素材としても適用できる。また、本発明に係るシートは、化粧時において着用される化粧用ガウンのほか、毛染めやパーマ時において着用される美容用ガウンの素材としても適用できる。
また、本発明に係る機能性シートは、点滴や注射等における腕等の載置マット、或いはCT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットなどのように、医療現場において使用される医療用シートしても適用できる。
【背景技術】
【0002】
この種の医療用の機能性シートの従来例としては、例えば特許文献1、2などを挙げることができる。特許文献1では、吸水性の不織布からなる吸水層と、合成樹脂製の防水層とで病院用床シートを構成している。特許文献2では、超吸収性繊維で不織ウェブを形成し、その裏材料として防水性を有する層を設けている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−129405号公報
【特許文献2】特開平03−174062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、先のような繊維からなる層と合成樹脂からなる層で構成される二層構造のシートにより、手術や検診時において着用される使い捨て用の医療用ガウンを作製することを考えた。しかし、上述のような特許文献に記載のシートで医療用ガウンを作製した場合には、ガウンが透けて肌が見えることが懸念され、患者や受診者に羞恥心や不安感を与えやすく、患者等に心理的な大きな負担を与えるおそれがある。すなわち、各特許文献に記載のシートで医療用ガウンを作製した場合には、ガウンが透けて肌が見えるおそれがある。当該不具合は、シートの厚み寸法、特に繊維からなる層の厚み寸法を大きくすることで解決できるが、その場合には、製造コストが高く付き、使い捨ての医療用ガウンとしては不適となる。
同様の問題は、化粧時において着用される化粧用ガウンのほか、毛染めやパーマ時において着用される美容用ガウンにおいても生じる。すなわち、人体肌や衣服が透けるほどに薄いシートで化粧用ガウンや美容用ガウンを作製した場合には、使用者が頼りなく感じ、安っぽく感じるおそれがある。一方、シートの厚み寸法を大きくすると、製造コストが高く付き、使い捨ての化粧用ガウンや美容用ガウンとしては不適となる。
【0005】
また、先のような繊維からなる層と合成樹脂からなる層を単に積層してなる二層構造のシートは、クッション性に乏しく、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の使い捨ての処理マットとしては適さない。加えて、シート全体の吸水性能が、平面的な繊維からなる層の吸水性能に拠るため、良好な吸水性能を付与することができず、採血や点滴などにおける腕等の載置マットとしても適さない。
【0006】
本発明の目的は、材料コストが少なくて済むより薄い繊維シートを素材にして構成してあるにもかかわらず、肌や衣服がガウンを介して透けて見えるのを確実に防止して、手術や検診を受ける患者や受診者等の使用者の心理的な不安・負担、或いは化粧等をする使用者の心理的な不安・負担を著しく軽減でき、したがって、医療用ガウン、化粧用ガウン、或いは美容用ガウンの低コスト化と、ガウンの隠蔽機能の強化という相反する課題を両立し得る、機能性シートを得ることにある。
【0007】
本発明の目的は、薄い繊維シートを素材とするものでありながら、優れたクッション作用を具備しており、したがって、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の使い捨ての処理マットとして好適な医療用の機能性シートを得ることにある。
【0008】
本発明の目的は、薄い繊維シートを素材とするものでありながら、液滴の拡散流出を効果的に防ぐことができ、したがって、採血や点滴などにおける腕等の載置マットとして好適な医療用の機能性シートを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、図1に示すように、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6からなる機能性シートを対象とする。図4に示すように、素材シート5は、柔軟性を有する繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成されている。そして、図1に示すように、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定されていることを特徴とする。なお、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の8〜10倍(8倍以上、10倍以下)の範囲にあることが最適である。
繊維シート2の具体例としては、パルプ等の植物繊維、ナノ繊維、極細繊維、或いは各種合成繊維、又はこれら繊維の二種以上の繊維の混合繊維で形成されるウエットティッシュ状のシートを挙げることができる。
複数枚の樹脂フィルム2を、繊維シート2上に積層してもよい。
【0010】
図5に示すように、複数枚の素材シート5を積層して、ブランク積層体7が形成されており、このブランク積層体7にエンボス加工を施した形態とすることができる。
【0011】
図5に示すように、各素材シート5の外面に貼着部8がホットメルト加工により形成されており、かかる貼着部8が形成された複数枚の素材シート5を積層して、ブランク積層体7が形成されており、このブランク積層体7にエンボス加工を施して、凹凸構造シート6が形成されている形態を採ることができる。
貼着部8の形成箇所としては、素材シート5のコーナー部に形成するように、素材シート5の外面に部分的に形成する形態ほか、素材シート5の外面の全面に線状或いは点状に貼着部8を形成する形態を採ることができる。また、貼着部8は、点、線、あるいは文字状に形成することができる。
貼着部8を構成するホットメルト樹脂の具体例としては、エチレン、ブテン1をランダム共重合して非結晶のポリオレフィン樹脂をベースとするオレフィン系、エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体をベースとするEVA系、熱可撓性エラストマーをベースとするゴム系のほか、アクリル樹脂をベースとするアクリル系のホットメルトを挙げることができる。
【0012】
前記繊維シート2を着色されたものとし、前記樹脂フィルム3を透明又は半透明とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る機能性シートでは、繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで素材シート5を形成し、該素材シート5のシート面にエンボス加工を施して凹凸構造シート6を形成し、該凹凸構造シート6で機能性シート1を形成した。かかる凹凸構造シート6によれば、エンボス突起10・11の凸面および凹面で光を乱反射させることができるので、該機能性シート1に遮蔽機能を与えることができる。これにより、材料コストが少なくて済むより薄い繊維シート2を基布として素材シート5を形成した場合でも、機能性シート1に遮蔽機能を付与することができる。
したがって、本発明に係る機能性シート1を医療用ガウン21(図8および9参照)に適用した場合には、薄い繊維シート2を基布として素材シート5を形成した場合でも、肌がガウン21を介して透けて見えるのを確実に防止でき、使い捨て使用される検診用のガウン21の低コストを実現しながら、遮蔽機能に優れた医療用ガウン21を得ることができる。同様の作用効果は、本発明に係る機能性シート1を化粧用ガウンや美容用ガウンの素材として適用した場合にも同様である。図10および図11に示されるような化粧用や美容業用のケープの素材として適用した場合にも同様である。
【0014】
加えて、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で機能性シート1を形成していると、凹凸構造に由来するクッション性を機能性シート1に付与することができる。したがって、本発明に係る機能性シート1は、良好な体圧分散効果を発揮し、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットなどのように、医療現場において使用される医療用シートして好適なものとなる。
【0015】
加えて、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で機能性シート1を形成していると、凹凸構造の分だけ繊維シート2の表面積の増大を図ることができるので、機能性シート1の吸水作用の増大化を図ることができる。したがって、本発明に係る機能性シート1は、点滴や注射等における腕等の載置マットとして好適なものとなる。また、凹凸構造シート6の凹部により液体を溜めることができるので、先の吸水作用と相俟って、機能性シート1は良好な保水作用を発揮する。
【0016】
凹凸構造シート6の厚み寸法(T)を、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定したのは以下のような理由に拠る。すなわち、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍未満である場合には、凹凸構造としたことに由来する遮蔽性、クッション性、又は吸水性などの増加を図ることができず、良好な遮蔽機能等を機能性シート1に付与することができない。一方、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の20倍を超えた場合には、素材シート5が破損するおそれがある。
【0017】
複数枚の素材シート5を積層して得られるブランク積層体7にエンボス加工を施すと、個々の素材シート5に対してエンボス加工を行う場合に比べて、エンボス加工に要する手間を著しく削減できる、また、エンボス加工を行うことによって、積層された機能性シート1どうしを塑性変形されたエンボス突起10・11で一体化された積層体9を得ることができるので、流通過程や使用現場において機能性シート1がばらばらになるのを防いで、積層体9の取り扱いを簡便化できる。積層体9が占める体積を小さくして、輸送や保管に要するスペースを小さくできる利点もある。積層体9の形態で包装することができるので、一枚ごとに機能性シート1を包装する形態に比べて包装の簡素化を図ることができ、包装コストを大幅に低減できる利点もある。
【0018】
各素材シート5の外面に貼着部8を形成してあると、エンボス加工時における位置ずれを防止することができるので、凹凸構造シート6の精度向上を図ることができる。加えて、素材シート5が不用意にばらばらになることを、貼着部8により防ぐことができるので、流通過程や使用現場における機能性シート1の取り扱い性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態) 図1ないし図6に本発明に係る機能性シートの実施形態を示す。図1おいて機能性シート1は、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してある。繊維シート2は、植物繊維、ナノ繊維、極細繊維、或いは各種合成繊維、又はこれら繊維の混合物からなるものであり、ティッシュペーパー状に形成されており、その平均的な厚み寸法は、0.05〜0.2mmである。また、樹脂フィルム3は厚みが5〜21μmの透明なポリエチレンフィルムで形成してあり、着色された繊維シート2の色を視認することができる。着色された繊維シート2の色は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。
【0020】
単に繊維シート2の外面に透明の樹脂フィルム3をラミネートした素材シート5(図4参照)は、繊維シート2が薄いこともあって使用状態において、遮蔽性に欠ける。かかる遮蔽性の向上を図るために、本発明では、素材シート5にエンボス加工を施して、図2に示すような凹凸構造シート6とし、当該凹凸構造シート6を機能性シート1としている。
【0021】
詳しくは、機能性シート1においては、図1および図2に示すように、シート面の表裏のそれぞれに、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11を形成している。このように、エンボス突起10・11を形成すると、機能性シート1を外面から見るとき、エンボス突起10・11の凸面および凹面において樹脂フィルム3が乱反射し、磨りガラスを介して見る時のように輪郭を大きくぼかすことができ、したがって、機能性シート1の遮蔽性を大幅に向上できる。因みに、繊維シート2の厚みを大きくすることによっても遮蔽性の向上を図ることができるが、この場合には機能性シート1のコストが嵩むことになる。
【0022】
図1に示すように、エンボス突起10・11の上下端部で規定される凹凸構造シート6(機能性シート1)の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定されている(2t≦T≦20t)。本実施形態では凹凸構造シート6(機能性シート1)の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の約8倍に設定した。
凹凸構造シート6の厚さ寸法を、素材シート5の厚さ寸法の2倍以上、20倍以下としたのは以下のような理由に拠る。すなわち、凹凸構造シート6の厚さ寸法が、素材シート5の厚さ寸法の2倍未満である場合には、凹凸構造としたことに由来する遮蔽性、クッション性、又は吸水性などの増加を図ることができず、良好な遮蔽機能等を機能性シート1に付与することができない。一方、凹凸構造シート6の厚さ寸法が、素材シート5の厚さ寸法の20倍を超えた場合には、エンボス加工時に素材シート5が破損するおそれがある。
【0023】
以上のような構成からなる機能性シート1は、図3に示すような工程を経て製造することができる。繊維シート2を連続して繰り出しながら、その表面に連続して繰り出される樹脂フィルム3を積層し、上下一対のラミネートローラ15・15で樹脂フィルム3を繊維シート2に固定(ラミネート)する。次に上下一対のロータリーカッター16・16で切断加工を施して、長方形状に切断して、図4に示すような素材シート5を得る。次に、得られた各素材シート5の四隅のコーナー部にホットメルト加工により貼着部を形成したのち、複数枚(5枚前後)の素材シート5を積層して、図5に示すようなブランク積層体7を形成する。次に、フランク積層体7を上下一対のエンボスローラ17・17の間に通してエンボス加工を施し、図6に示すように、複数枚の凹凸構造シート6が積層された機能性シート1の積層体9を得た。
【0024】
上記のように、ブランク積層体7に対してエンボス加工を施すと、個々の素材シート5に対してエンボス加工を行う場合に比べて、エンボス加工に要する手間を著しく削減できる。さらに、エンボス加工に先立って貼着部8を形成していると、エンボス加工時における素材シート5の位置ズレを防いで、精度良くブランク積層体7に対してエンボス加工を行うことができる。これにて各凹凸構造シート6(機能性シート1)の凹凸形状の寸法精度の向上を図ることができるので、機能性シート1の品質向上を図ることができる。
【0025】
さらに、先の貼着部8による一体化作用に加えて、図6に示すように隣接する凹凸構造シート6どうしを塑性変形されたエンボス突起10・11により一体化することができるので、図6に示すような積層体9の形態で流通させることができ、流通時あるいは使用現場での取り扱いを簡便化できる。使用現場では、積層体9から機能性シート1を一枚ずつ剥離して使用すればよい。積層体9の形態で包装することができるので、一枚ごとに機能性シート1を包装する形態に比べて包装の簡素化を図ることができ、包装コストを大幅に低減できる利点もある。
【0026】
以上のような平面視で長方形状を呈している機能性シート1は、図7に示すような、点滴や注射等における腕等の載置マット20として利用できる。この場合には、繊維シート2に由来する吸水作用が発揮されるため、繊維シート2側を上面として使用することが好ましい。また、凹凸構造の凹部に液が溜まることに由来する保水作用も期待でき、先の吸水作用と相俟って、機能性シート1は良好な保水作用を発揮するものとなる。
【0027】
機能性シート1の外形寸法を大きくすることで、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットとしても使用できる。この場合には、凹凸構造に由来する良好な体圧分散効果が期待できる。なお、以上のような処理マットとして使用する場合には、繊維シート2側を上面として使用することが好ましい。これは、繊維シート2の方が樹脂フィルム3よりも肌触りが良いことに拠る。
【0028】
(第2実施形態) 図8および図9に、本発明に係る機能性シート1を、医療用ガウンに適用した第2実施形態を示す。図8において医療用ガウン21は、縦長四角形状の機能性シート1の上辺近傍に頭を通すための装着孔22を開口して、貫頭衣状に形成してある。図8において、装着孔22より下側の部分は、胸部を覆う前面部23となり、装着孔22より上側の部分は、肩山および背中上部を覆う肩部24となる。装着孔22は、左右方向に沿う長軸を備えた楕円孔で形成されており、その左右および背面側中央のそれぞれに、頭の通過を容易化する3個の切込25が形成されている。この医療用ガウン21を使用する場合には、図9に示すように、装着孔22に頭を通して、前面部23で受診者の胸部を覆う。
【0029】
医療用ガウン21を構成する機能性シート1は、先の第1実施形態と同様であり、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してあり(図1参照)、肌と接触する側に繊維シート2が配置されている。繊維シート2は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。
【0030】
機能性シート1のシート面の表裏には、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11が形成されている(図1参照)。このようにエンボス突起10・11を形成すると、医療用ガウン21を外面から見るとき、エンボス突起10・11の凸面および凹面において樹脂フィルム3が乱反射し、磨りガラスを介して見る時のように輪郭を大きくぼかすころができ、したがって、医療用ガウン21の遮蔽性を大幅に向上できる。因みに、繊維シート2の厚みを大きくすることによっても、肌が透けて見えるのを防止できるが、その場合には医療用ガウン21のコストが嵩むことになる。
【0031】
かかる医療用ガウン21は、先の第1実施形態と略同様の過程を経て製造することができ、図8に示すように、複数枚の医療用ガウン21が積層された積層体9の形態で運送や保管に供され、使用に際しては、積層体9から一枚ずつ医療用ガウン21である機能性シート1を剥離すればよい。
【0032】
上記実施形態においては、医療用ガウンについて説明したが、このガウンは、美容室での毛染め処理等において着用される美容業用のガウンとしても適用できる。化粧時に着用される化粧用ガウンとしても適用できる。
【0033】
(第3実施形態) 図10および図11に、本発明に係る機能性シート1を、美容業用のケープ30に適用した第3実施形態を示す。かかるケープ30は、図10に示すように、首が通される中央開口部31と、該中央開口部31に連通する後拡がりテーパー状の切欠き32とを有しており、平面視で有端リング状の全体形状を呈している。切欠き32を構成する対向する内辺33・33の一辺には、該内辺33に沿って複数個の貼着部34が形成されており、両辺を重ね合わせて固定することにより、図11に示すように、肩を覆う略円錐形に保形することができる。
【0034】
ケープ30を構成する機能性シート1は、先の第1実施形態と同様であり、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してあり(図1参照)、図11における使用形態における下方側に繊維シート2が配置されている。繊維シート2は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。機能性シート1のシート面の表裏には、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11が形成されている(図1参照)。
これ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
上記実施形態では、ローラ形態の樹脂フィルム3から繰り出され樹脂フィルム3を繊維シート2に重ね合わせて、ラミネートしていたが、本願発明はこれに限られず、押出成形機から押し出された樹脂フィルムを繊維シート2に重ね合わせてもよい。液状の樹脂を繊維シート2上に塗布することにより、樹脂フィルムを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る機能性シートの縦断側面図である。
【図2】機能性シートの外観斜視図である。
【図3】機能性シートの製造方法を説明するための図である。
【図4】素材シートの外観斜視図である。
【図5】ブランク積層体の外観斜視図である。
【図6】機能性シートを積層してなる積層体の縦断側面図である。
【図7】本発明に係る機能性シートが適用された載置マットの使用形態を示す図である。
【図8】本発明の機能性シートが適用された医療用ガウンの積層体における状態を示す図である。
【図9】医療用ガウンの使用状態を示す図である。
【図10】本発明の機能性シートが適用されたケープを示す平面図である。
【図11】ケースの使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 機能性シート
2 繊維シート
3 樹脂フィルム
5 素材シート
6 凹凸構造シート
7 ブランク積層体
8 貼着部
9 積層体
10 エンボス突起
11 エンボス突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性シートに関する。
本発明に係る機能性シートは、手術や検診などを行う際に着用される医療用ガウンの素材としても適用できる。また、本発明に係るシートは、化粧時において着用される化粧用ガウンのほか、毛染めやパーマ時において着用される美容用ガウンの素材としても適用できる。
また、本発明に係る機能性シートは、点滴や注射等における腕等の載置マット、或いはCT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットなどのように、医療現場において使用される医療用シートしても適用できる。
【背景技術】
【0002】
この種の医療用の機能性シートの従来例としては、例えば特許文献1、2などを挙げることができる。特許文献1では、吸水性の不織布からなる吸水層と、合成樹脂製の防水層とで病院用床シートを構成している。特許文献2では、超吸収性繊維で不織ウェブを形成し、その裏材料として防水性を有する層を設けている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−129405号公報
【特許文献2】特開平03−174062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、先のような繊維からなる層と合成樹脂からなる層で構成される二層構造のシートにより、手術や検診時において着用される使い捨て用の医療用ガウンを作製することを考えた。しかし、上述のような特許文献に記載のシートで医療用ガウンを作製した場合には、ガウンが透けて肌が見えることが懸念され、患者や受診者に羞恥心や不安感を与えやすく、患者等に心理的な大きな負担を与えるおそれがある。すなわち、各特許文献に記載のシートで医療用ガウンを作製した場合には、ガウンが透けて肌が見えるおそれがある。当該不具合は、シートの厚み寸法、特に繊維からなる層の厚み寸法を大きくすることで解決できるが、その場合には、製造コストが高く付き、使い捨ての医療用ガウンとしては不適となる。
同様の問題は、化粧時において着用される化粧用ガウンのほか、毛染めやパーマ時において着用される美容用ガウンにおいても生じる。すなわち、人体肌や衣服が透けるほどに薄いシートで化粧用ガウンや美容用ガウンを作製した場合には、使用者が頼りなく感じ、安っぽく感じるおそれがある。一方、シートの厚み寸法を大きくすると、製造コストが高く付き、使い捨ての化粧用ガウンや美容用ガウンとしては不適となる。
【0005】
また、先のような繊維からなる層と合成樹脂からなる層を単に積層してなる二層構造のシートは、クッション性に乏しく、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の使い捨ての処理マットとしては適さない。加えて、シート全体の吸水性能が、平面的な繊維からなる層の吸水性能に拠るため、良好な吸水性能を付与することができず、採血や点滴などにおける腕等の載置マットとしても適さない。
【0006】
本発明の目的は、材料コストが少なくて済むより薄い繊維シートを素材にして構成してあるにもかかわらず、肌や衣服がガウンを介して透けて見えるのを確実に防止して、手術や検診を受ける患者や受診者等の使用者の心理的な不安・負担、或いは化粧等をする使用者の心理的な不安・負担を著しく軽減でき、したがって、医療用ガウン、化粧用ガウン、或いは美容用ガウンの低コスト化と、ガウンの隠蔽機能の強化という相反する課題を両立し得る、機能性シートを得ることにある。
【0007】
本発明の目的は、薄い繊維シートを素材とするものでありながら、優れたクッション作用を具備しており、したがって、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の使い捨ての処理マットとして好適な医療用の機能性シートを得ることにある。
【0008】
本発明の目的は、薄い繊維シートを素材とするものでありながら、液滴の拡散流出を効果的に防ぐことができ、したがって、採血や点滴などにおける腕等の載置マットとして好適な医療用の機能性シートを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、図1に示すように、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6からなる機能性シートを対象とする。図4に示すように、素材シート5は、柔軟性を有する繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成されている。そして、図1に示すように、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定されていることを特徴とする。なお、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の8〜10倍(8倍以上、10倍以下)の範囲にあることが最適である。
繊維シート2の具体例としては、パルプ等の植物繊維、ナノ繊維、極細繊維、或いは各種合成繊維、又はこれら繊維の二種以上の繊維の混合繊維で形成されるウエットティッシュ状のシートを挙げることができる。
複数枚の樹脂フィルム2を、繊維シート2上に積層してもよい。
【0010】
図5に示すように、複数枚の素材シート5を積層して、ブランク積層体7が形成されており、このブランク積層体7にエンボス加工を施した形態とすることができる。
【0011】
図5に示すように、各素材シート5の外面に貼着部8がホットメルト加工により形成されており、かかる貼着部8が形成された複数枚の素材シート5を積層して、ブランク積層体7が形成されており、このブランク積層体7にエンボス加工を施して、凹凸構造シート6が形成されている形態を採ることができる。
貼着部8の形成箇所としては、素材シート5のコーナー部に形成するように、素材シート5の外面に部分的に形成する形態ほか、素材シート5の外面の全面に線状或いは点状に貼着部8を形成する形態を採ることができる。また、貼着部8は、点、線、あるいは文字状に形成することができる。
貼着部8を構成するホットメルト樹脂の具体例としては、エチレン、ブテン1をランダム共重合して非結晶のポリオレフィン樹脂をベースとするオレフィン系、エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体をベースとするEVA系、熱可撓性エラストマーをベースとするゴム系のほか、アクリル樹脂をベースとするアクリル系のホットメルトを挙げることができる。
【0012】
前記繊維シート2を着色されたものとし、前記樹脂フィルム3を透明又は半透明とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る機能性シートでは、繊維シート2と、該繊維シート2の片面にラミネートされる樹脂フィルム3とで素材シート5を形成し、該素材シート5のシート面にエンボス加工を施して凹凸構造シート6を形成し、該凹凸構造シート6で機能性シート1を形成した。かかる凹凸構造シート6によれば、エンボス突起10・11の凸面および凹面で光を乱反射させることができるので、該機能性シート1に遮蔽機能を与えることができる。これにより、材料コストが少なくて済むより薄い繊維シート2を基布として素材シート5を形成した場合でも、機能性シート1に遮蔽機能を付与することができる。
したがって、本発明に係る機能性シート1を医療用ガウン21(図8および9参照)に適用した場合には、薄い繊維シート2を基布として素材シート5を形成した場合でも、肌がガウン21を介して透けて見えるのを確実に防止でき、使い捨て使用される検診用のガウン21の低コストを実現しながら、遮蔽機能に優れた医療用ガウン21を得ることができる。同様の作用効果は、本発明に係る機能性シート1を化粧用ガウンや美容用ガウンの素材として適用した場合にも同様である。図10および図11に示されるような化粧用や美容業用のケープの素材として適用した場合にも同様である。
【0014】
加えて、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で機能性シート1を形成していると、凹凸構造に由来するクッション性を機能性シート1に付与することができる。したがって、本発明に係る機能性シート1は、良好な体圧分散効果を発揮し、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットなどのように、医療現場において使用される医療用シートして好適なものとなる。
【0015】
加えて、素材シート5のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート6で機能性シート1を形成していると、凹凸構造の分だけ繊維シート2の表面積の増大を図ることができるので、機能性シート1の吸水作用の増大化を図ることができる。したがって、本発明に係る機能性シート1は、点滴や注射等における腕等の載置マットとして好適なものとなる。また、凹凸構造シート6の凹部により液体を溜めることができるので、先の吸水作用と相俟って、機能性シート1は良好な保水作用を発揮する。
【0016】
凹凸構造シート6の厚み寸法(T)を、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定したのは以下のような理由に拠る。すなわち、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍未満である場合には、凹凸構造としたことに由来する遮蔽性、クッション性、又は吸水性などの増加を図ることができず、良好な遮蔽機能等を機能性シート1に付与することができない。一方、凹凸構造シート6の厚み寸法(T)が、素材シート5の厚み寸法(t)の20倍を超えた場合には、素材シート5が破損するおそれがある。
【0017】
複数枚の素材シート5を積層して得られるブランク積層体7にエンボス加工を施すと、個々の素材シート5に対してエンボス加工を行う場合に比べて、エンボス加工に要する手間を著しく削減できる、また、エンボス加工を行うことによって、積層された機能性シート1どうしを塑性変形されたエンボス突起10・11で一体化された積層体9を得ることができるので、流通過程や使用現場において機能性シート1がばらばらになるのを防いで、積層体9の取り扱いを簡便化できる。積層体9が占める体積を小さくして、輸送や保管に要するスペースを小さくできる利点もある。積層体9の形態で包装することができるので、一枚ごとに機能性シート1を包装する形態に比べて包装の簡素化を図ることができ、包装コストを大幅に低減できる利点もある。
【0018】
各素材シート5の外面に貼着部8を形成してあると、エンボス加工時における位置ずれを防止することができるので、凹凸構造シート6の精度向上を図ることができる。加えて、素材シート5が不用意にばらばらになることを、貼着部8により防ぐことができるので、流通過程や使用現場における機能性シート1の取り扱い性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態) 図1ないし図6に本発明に係る機能性シートの実施形態を示す。図1おいて機能性シート1は、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してある。繊維シート2は、植物繊維、ナノ繊維、極細繊維、或いは各種合成繊維、又はこれら繊維の混合物からなるものであり、ティッシュペーパー状に形成されており、その平均的な厚み寸法は、0.05〜0.2mmである。また、樹脂フィルム3は厚みが5〜21μmの透明なポリエチレンフィルムで形成してあり、着色された繊維シート2の色を視認することができる。着色された繊維シート2の色は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。
【0020】
単に繊維シート2の外面に透明の樹脂フィルム3をラミネートした素材シート5(図4参照)は、繊維シート2が薄いこともあって使用状態において、遮蔽性に欠ける。かかる遮蔽性の向上を図るために、本発明では、素材シート5にエンボス加工を施して、図2に示すような凹凸構造シート6とし、当該凹凸構造シート6を機能性シート1としている。
【0021】
詳しくは、機能性シート1においては、図1および図2に示すように、シート面の表裏のそれぞれに、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11を形成している。このように、エンボス突起10・11を形成すると、機能性シート1を外面から見るとき、エンボス突起10・11の凸面および凹面において樹脂フィルム3が乱反射し、磨りガラスを介して見る時のように輪郭を大きくぼかすことができ、したがって、機能性シート1の遮蔽性を大幅に向上できる。因みに、繊維シート2の厚みを大きくすることによっても遮蔽性の向上を図ることができるが、この場合には機能性シート1のコストが嵩むことになる。
【0022】
図1に示すように、エンボス突起10・11の上下端部で規定される凹凸構造シート6(機能性シート1)の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の2倍以上、20倍以下に設定されている(2t≦T≦20t)。本実施形態では凹凸構造シート6(機能性シート1)の厚み寸法(T)は、素材シート5の厚み寸法(t)の約8倍に設定した。
凹凸構造シート6の厚さ寸法を、素材シート5の厚さ寸法の2倍以上、20倍以下としたのは以下のような理由に拠る。すなわち、凹凸構造シート6の厚さ寸法が、素材シート5の厚さ寸法の2倍未満である場合には、凹凸構造としたことに由来する遮蔽性、クッション性、又は吸水性などの増加を図ることができず、良好な遮蔽機能等を機能性シート1に付与することができない。一方、凹凸構造シート6の厚さ寸法が、素材シート5の厚さ寸法の20倍を超えた場合には、エンボス加工時に素材シート5が破損するおそれがある。
【0023】
以上のような構成からなる機能性シート1は、図3に示すような工程を経て製造することができる。繊維シート2を連続して繰り出しながら、その表面に連続して繰り出される樹脂フィルム3を積層し、上下一対のラミネートローラ15・15で樹脂フィルム3を繊維シート2に固定(ラミネート)する。次に上下一対のロータリーカッター16・16で切断加工を施して、長方形状に切断して、図4に示すような素材シート5を得る。次に、得られた各素材シート5の四隅のコーナー部にホットメルト加工により貼着部を形成したのち、複数枚(5枚前後)の素材シート5を積層して、図5に示すようなブランク積層体7を形成する。次に、フランク積層体7を上下一対のエンボスローラ17・17の間に通してエンボス加工を施し、図6に示すように、複数枚の凹凸構造シート6が積層された機能性シート1の積層体9を得た。
【0024】
上記のように、ブランク積層体7に対してエンボス加工を施すと、個々の素材シート5に対してエンボス加工を行う場合に比べて、エンボス加工に要する手間を著しく削減できる。さらに、エンボス加工に先立って貼着部8を形成していると、エンボス加工時における素材シート5の位置ズレを防いで、精度良くブランク積層体7に対してエンボス加工を行うことができる。これにて各凹凸構造シート6(機能性シート1)の凹凸形状の寸法精度の向上を図ることができるので、機能性シート1の品質向上を図ることができる。
【0025】
さらに、先の貼着部8による一体化作用に加えて、図6に示すように隣接する凹凸構造シート6どうしを塑性変形されたエンボス突起10・11により一体化することができるので、図6に示すような積層体9の形態で流通させることができ、流通時あるいは使用現場での取り扱いを簡便化できる。使用現場では、積層体9から機能性シート1を一枚ずつ剥離して使用すればよい。積層体9の形態で包装することができるので、一枚ごとに機能性シート1を包装する形態に比べて包装の簡素化を図ることができ、包装コストを大幅に低減できる利点もある。
【0026】
以上のような平面視で長方形状を呈している機能性シート1は、図7に示すような、点滴や注射等における腕等の載置マット20として利用できる。この場合には、繊維シート2に由来する吸水作用が発揮されるため、繊維シート2側を上面として使用することが好ましい。また、凹凸構造の凹部に液が溜まることに由来する保水作用も期待でき、先の吸水作用と相俟って、機能性シート1は良好な保水作用を発揮するものとなる。
【0027】
機能性シート1の外形寸法を大きくすることで、CT、MRIなどの検査台上に受診者が横臥姿勢となって検査を受ける際の処置マットとしても使用できる。この場合には、凹凸構造に由来する良好な体圧分散効果が期待できる。なお、以上のような処理マットとして使用する場合には、繊維シート2側を上面として使用することが好ましい。これは、繊維シート2の方が樹脂フィルム3よりも肌触りが良いことに拠る。
【0028】
(第2実施形態) 図8および図9に、本発明に係る機能性シート1を、医療用ガウンに適用した第2実施形態を示す。図8において医療用ガウン21は、縦長四角形状の機能性シート1の上辺近傍に頭を通すための装着孔22を開口して、貫頭衣状に形成してある。図8において、装着孔22より下側の部分は、胸部を覆う前面部23となり、装着孔22より上側の部分は、肩山および背中上部を覆う肩部24となる。装着孔22は、左右方向に沿う長軸を備えた楕円孔で形成されており、その左右および背面側中央のそれぞれに、頭の通過を容易化する3個の切込25が形成されている。この医療用ガウン21を使用する場合には、図9に示すように、装着孔22に頭を通して、前面部23で受診者の胸部を覆う。
【0029】
医療用ガウン21を構成する機能性シート1は、先の第1実施形態と同様であり、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してあり(図1参照)、肌と接触する側に繊維シート2が配置されている。繊維シート2は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。
【0030】
機能性シート1のシート面の表裏には、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11が形成されている(図1参照)。このようにエンボス突起10・11を形成すると、医療用ガウン21を外面から見るとき、エンボス突起10・11の凸面および凹面において樹脂フィルム3が乱反射し、磨りガラスを介して見る時のように輪郭を大きくぼかすころができ、したがって、医療用ガウン21の遮蔽性を大幅に向上できる。因みに、繊維シート2の厚みを大きくすることによっても、肌が透けて見えるのを防止できるが、その場合には医療用ガウン21のコストが嵩むことになる。
【0031】
かかる医療用ガウン21は、先の第1実施形態と略同様の過程を経て製造することができ、図8に示すように、複数枚の医療用ガウン21が積層された積層体9の形態で運送や保管に供され、使用に際しては、積層体9から一枚ずつ医療用ガウン21である機能性シート1を剥離すればよい。
【0032】
上記実施形態においては、医療用ガウンについて説明したが、このガウンは、美容室での毛染め処理等において着用される美容業用のガウンとしても適用できる。化粧時に着用される化粧用ガウンとしても適用できる。
【0033】
(第3実施形態) 図10および図11に、本発明に係る機能性シート1を、美容業用のケープ30に適用した第3実施形態を示す。かかるケープ30は、図10に示すように、首が通される中央開口部31と、該中央開口部31に連通する後拡がりテーパー状の切欠き32とを有しており、平面視で有端リング状の全体形状を呈している。切欠き32を構成する対向する内辺33・33の一辺には、該内辺33に沿って複数個の貼着部34が形成されており、両辺を重ね合わせて固定することにより、図11に示すように、肩を覆う略円錐形に保形することができる。
【0034】
ケープ30を構成する機能性シート1は、先の第1実施形態と同様であり、着色された繊維シート2と、繊維シート2の外面(片面)にラミネートされる樹脂フィルム3とで形成してあり(図1参照)、図11における使用形態における下方側に繊維シート2が配置されている。繊維シート2は、美観と清潔感を発揮するために淡い色で着色されており、例えば彩度を落とした青、ピンク、クリーム色などに着色してある。機能性シート1のシート面の表裏には、直径寸法が2ないし3mmの半球殻状のエンボス突起10・11が形成されている(図1参照)。
これ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
上記実施形態では、ローラ形態の樹脂フィルム3から繰り出され樹脂フィルム3を繊維シート2に重ね合わせて、ラミネートしていたが、本願発明はこれに限られず、押出成形機から押し出された樹脂フィルムを繊維シート2に重ね合わせてもよい。液状の樹脂を繊維シート2上に塗布することにより、樹脂フィルムを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る機能性シートの縦断側面図である。
【図2】機能性シートの外観斜視図である。
【図3】機能性シートの製造方法を説明するための図である。
【図4】素材シートの外観斜視図である。
【図5】ブランク積層体の外観斜視図である。
【図6】機能性シートを積層してなる積層体の縦断側面図である。
【図7】本発明に係る機能性シートが適用された載置マットの使用形態を示す図である。
【図8】本発明の機能性シートが適用された医療用ガウンの積層体における状態を示す図である。
【図9】医療用ガウンの使用状態を示す図である。
【図10】本発明の機能性シートが適用されたケープを示す平面図である。
【図11】ケースの使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 機能性シート
2 繊維シート
3 樹脂フィルム
5 素材シート
6 凹凸構造シート
7 ブランク積層体
8 貼着部
9 積層体
10 エンボス突起
11 エンボス突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材シート(5)のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート(6)からなる機能性シートであって、
素材シート(5)が、柔軟性を有する繊維シート(2)と、該繊維シート(2)の片面にラミネートされる樹脂フィルム(3)とで形成されており、
凹凸構造シート(6)の厚み寸法が、素材シート(5)の厚み寸法の2倍以上、20倍以下に設定されていることを特徴とする機能性シート。
【請求項2】
複数枚の素材シート(5)を積層して、ブランク積層体(7)が形成されており、
このブランク積層体(7)にエンボス加工を施してある請求項1記載の機能性シート。
【請求項3】
各素材シート(5)の外面に貼着部(8)がホットメルト加工により形成されており、
かかる貼着部(8)が形成された複数枚の素材シート(5)を積層して、ブランク積層体(7)が形成されており、このブランク積層体(7)にエンボス加工を施して、凹凸構造シート(6)が形成されている請求項2記載の機能性シート。
【請求項4】
前記繊維シート(2)が着色されており、
前記樹脂フィルム(3)が透明又は半透明である、請求項1、2又は3記載の機能性シート。
【請求項1】
素材シート(5)のシート面にエンボス加工を施してなる凹凸構造シート(6)からなる機能性シートであって、
素材シート(5)が、柔軟性を有する繊維シート(2)と、該繊維シート(2)の片面にラミネートされる樹脂フィルム(3)とで形成されており、
凹凸構造シート(6)の厚み寸法が、素材シート(5)の厚み寸法の2倍以上、20倍以下に設定されていることを特徴とする機能性シート。
【請求項2】
複数枚の素材シート(5)を積層して、ブランク積層体(7)が形成されており、
このブランク積層体(7)にエンボス加工を施してある請求項1記載の機能性シート。
【請求項3】
各素材シート(5)の外面に貼着部(8)がホットメルト加工により形成されており、
かかる貼着部(8)が形成された複数枚の素材シート(5)を積層して、ブランク積層体(7)が形成されており、このブランク積層体(7)にエンボス加工を施して、凹凸構造シート(6)が形成されている請求項2記載の機能性シート。
【請求項4】
前記繊維シート(2)が着色されており、
前記樹脂フィルム(3)が透明又は半透明である、請求項1、2又は3記載の機能性シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−30246(P2010−30246A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197543(P2008−197543)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390022851)
【出願人】(000169983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390022851)
【出願人】(000169983)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]