説明

機能性分解ゴマの製造方法

【課題】有効活用されていないゴマ搾油ミールを酵素分解して機能性分解ゴマを生成する。機能性分解ゴマは芳香を保全し、リノール酸などの不飽和脂肪酸、リグナン類縁体を中心とするセサモール、セサミノール、セサミンの天然抗酸化作用や、必須ミネラル、ビタミンEなど微量成分多く保有し、生活習慣病、老化防止、動脈硬化や高血圧予防、美肌効果、細胞機能低下防止などの機能性に富んだ食品素材や洗剤として有効活用できる、機能性分解ゴマペーストの製法を提供する。
【解決手段】ゴマ搾油ミールを各種酵素の酵素反応により硬い植物組織を機械的微粉砕装置と相乗作用して酵素分解を施し、繊維素、タンパク質、フィチン酸を分解してミネラルの利用率を高め、芳香を保全し、必要によりトレハロースを添加して離水を防止し、高付加価値化を図って人の健康と環境に寄与する機能性食品素材として機能性分解ゴマを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴマ搾油ミールの多くは豊富な栄養素を含有しながら飼料や肥料に使われて食品としてはほとんど利用されていない。
このゴマ搾油ミールを食品の素材や洗剤などに有効活用する発明の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴマの含有油脂51.9%のうち、約15〜20%が他の栄養素と共にゴマ搾油ミールとして排出され、油性物のため取り扱いが難しく利用が妨げられている。
このゴマ搾油ミールを有効に活用して高付加価値化しようといろいろと図られており、ゴマ搾油ミール利用の発明は多く提案されている。(例えば平1−206956号公開)はゴマ搾油ミールからタンパク質を回収されているが他の栄養素は残々渣として排出され未利用になっている。
また、酵素処理技術も活用されが単一反応処理が多く、ゴマ搾油ミール又は規格等外ゴマのすべてを有効利用されているものはない。
搾油ミールの利用についてはいろいろと提案、発明がなされているが限定されたものが多くすべてをリサイクル・ゼロエミションして有効利用し高付加価値化されたものは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開平1−206956号
【特許文献2】特許平1−135892号
【特許文献3】特願2000−124308号
【特許文献4】特願2003−398944号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】並木満夫・小林貞作編(1989)ゴマの科学・朝倉書店
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゴマ製油の副産物として生成する大量のゴマ搾油ミールは低価値のまま有効活用されていない。このゴマア搾油ミールを機能性に優れた食品素材や洗剤として高付加値化し、リサイクル・ゼロエミションして有効活用できる機能性分解ゴマを製造しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、下記構成の機能性分解ゴマの製造方法である。
ゴマ種子油脂の搾油は主成分である脂肪酸とグリセリンのエステルからなるトリグリセリドが98%も含まれおり脂質区分から圧搾して脂質を搾油するが、完全に搾油することが出来ず、搾油ミールには良質の不飽和脂質がゴマの所有する15〜20%も残されており、またその他含有する栄養素のタンパク質、繊維質、糖質、ミネラル、ビタミンは搾油ミールに含まれてすべて排出されている。
【0007】
ゴマ搾油ミールに対してpH4.0〜7.0の水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素の存在下で酵素反応を施して酵素分解し、かつ上記酵素の添加量及び反応条件は、添加量が0.01〜1.0重量%、反応温度が40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の平均粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、タンパク質、食物繊維を多く含む分解ゴマペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【0008】
ゴマ搾油ミールに対してpH4.0〜7.0の加水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素とタンパク質分解酵素の存在下で酵素反応を施して酵素分解し、かつ上記の酵素の添加量が0.01〜1.0重量%、反応温度が40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、を多く含むゴマ分解ペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマぺ−ストの製造方法。
【0009】
ゴマ搾油ミールに対して、水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素を加えて酵素反応を施した後、タンパク質分解・フィチン酸分解混合酵素の存在下で結合してミネラルとキレ−トタンパク質と複合体を形成して不溶性となっているリン酸モノエステルを酵素分解し、かつ上記酵素の添加量及び反応条件は、添加量が0.01〜1.0重量%、pH4.0〜7.0、反応温度が40〜55℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の平均粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、必須ミネラルを多く含む分解ゴマペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【0010】
請求項1〜請求項3の酵素反応条件は、加水量は2.0〜3.0倍水、酵素添加量は0.01〜1.0重量%、pH4.0〜7.0、反応温度は40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、酵素反応と液中で機械微粉砕を相乗的に作用し含有固形物の粒径を80mesh pass以下に篩別し、加熱殺菌してゴマ油脂、タンパク質、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、ミネラル、ビタミンを多く含む分解ゴマぺーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【0011】
請求項1〜請求項4の機能性分解ゴマぺーストは、−20℃以下に冷凍保存をする、またタンパク質変性抑制、油脂の変敗抑制、離水防止、冷凍耐性、矯味・矯臭作用をもつ糖類トレハロースを用いて品質の保全と優良化を図ることができる、かつ0.5〜5.0重量%トレハロースを添加混合しゴマ搾油ミールを機能性食材・洗剤に有効利用することを特徴する機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【0012】
機能性分解ゴマペーストを生成する過程に於いてサイクロデキストリン及び/又はクラスターデキストリンを0.1〜3.0重量%添加してゴマの香気の包接や異臭のマスキングを施し、かつスプレードライヤー又はダブルドラムドライヤーで150℃〜160℃、5〜20秒、瞬間乾燥することによって機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマ粉末の製造方法。
【0013】
ゴマの硬い植物組織を崩壊し低分子に分解する酵素は、Rhizopussp.属菌株の産生するペクチナーゼ、へミセルラーゼと繊維素分解酵素Tricboderma viride属菌株及びAspergillus niger属菌株の産生するセルラーゼ、ヘミセルラーゼの混合酵素で高力価を含有しており、添加量は0.05〜0.4重量%、ゴマの植物組織を崩壊し硬い繊維素を分解してすべてを食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性ゴマ分解ペースト及び微粉末の製造方法。
【0014】
ゴマのタンパク質を分解する酵素は、Rhizopus oryzae属菌株の産生するプロテアーゼ及びペプチダーゼであり、中性領域で有効に作用し添加量は0.01〜0.5重量%でタンパク質の低分子化能に優れ、苦みの消去に有効であるタンパク質分解酵素で分解し、ゴマのタンパク質からペプチド・アミノ酸を食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性ゴマ分解ペースト及び微粉末の製造方法。
【0015】
タンパク質分解酵素・フィチン酸分解酵素混合酵素は、Rhizopus oryzae属菌株とAspergillus oryzae属菌株より産生される酸性及び中性プロテアーゼ・ペプチダーゼとAspergillus niger属菌株の産生するフイターゼの混合酵素で、pH4.5〜7.0で作用し、温度は40〜60℃、添加量は0.01〜0.5重量%で、ミネラルとキレ−ト結合してタンパク質と複合体を形成して不溶性となっているリン酸モノエステルとタンパク質を分解してミネラルの吸収性を高め、ペプチド・アミノ酸と共に食品素材・洗剤として有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペースト及び微粉末の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によりゴマ搾油ミールをリサイクルして有効活用し高付加価値化して機能性分解ゴマを生成する。
酵素反応と液中で機械的微粉砕を相乗的に作用させて低分子に分解し、有用物質に変換してまるごと機能性分解ゴマを生成し食品の素材や洗剤として有効活用することができる。
40〜50%のタンパク質も含み滑らかで美味しい栄養豊富な機能性食材となり、抗酸化性成分と生理活性は生活習慣病を予防し、製麺、製菓、製パン、調味料、介護食品、洗剤などの製品として、人々の健康を守り、リサイクル・ゼロエミションを進めて環境に役立ち、有効利用して広く社会に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
【図3】本発明の実施機械的微細装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態としては、図に示す通りである。
本発明の一態様を実施例によって説明する。
本発明の実施の形態としては
図1は、ゴマ搾油ミールに対して、水と植物組織崩壊酵素・繊維素分解酵素混合酵素及びタンパク質分解酵素溶液の存在下で酵素分解を施して機能性分解ゴマペーストを生成し、−20℃以下で凍結保存する方式。
図2は、機能性分解ゴマペーストにサイクロデキストリン及び/又クラスターデキストリンを添加し芳香を包接し、これを瞬間乾燥装置ダブルドラムドライヤー及び/またスプレードライヤーで乾燥し、微粉砕して機能性分解ゴマ微粉末を生成する製造方式。
図3は、酵素分解反応促進する機械装置で、攪拌、微粉砕、水冷式温度調整、循環等の機能を有し、固形物粒子の表面部の更新と表面積の増大と、それに伴う酵素との接触面積の増大を図り搾油ミールと酵素反応を相乗的に高めて、反応時間を大幅に短縮し、優れた食感、食味を有する機能性分解ゴマを効率よく製造する。(以下バイオミルリアクターと称する)
【0019】
本発明の機能性分解ゴマペーストの製造方法は、原料ゴマ搾油ミールをバイオミルリアクタータンクに投入し、原料に対して2.0〜3.0倍の水を加水して物組織崩壊酵素・繊維素分解酵素混合酵素及び蛋白質混合酵素0.2〜0.35重量%、トレハロースを0.5〜5.0重量%添加して酵素分解を施し、かつ酵素分解条件は、pH4.0〜7.0、温度40〜60℃、酵素反応時間は60〜90分、液中で機械的微粉砕と相乗作用を施して低分子に分解し、次に80mesh の電動篩いを通して容器に充填、加熱殺菌し冷却後、凍結保存し機能性分解ゴマペーストを生成する製造方法。
【0020】
機能性分解ゴマ粉末の製造方法は、機能性分解ゴマペーストにサイクロデキストリン及び/又はクラスターデキストリン0.1〜3.0重量%を添加混合して5〜20秒の瞬間加熱乾燥を施し、微粉砕して80mesh以下に電動篩いを通して機能性分解ゴマ微粉末を生成する製造方法。
【0021】
本発明方法で使用される植物組織崩壊酵素と繊維素分解混合酵素はは植物組織を崩壊し、食物繊維を低分子に分解する酵素であって、ゴマ搾油粕に多く含まれているペクチン、セルロース、ヘミセルロースなどの分子構造の長い不溶性食物繊維などを低分子に分解する酵素であり、プロトペクチなーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等である。
ゴマは多くの細胞によって形成されているが、(1)種実の外皮は、プロトペクチン、ペクチン、ヘミセルロ−スで構成されており、その硬い外皮(ペクチン、ヘミセルロースの複合体)はプロトペクチナーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼによって分解され、
(2)内皮はセルロースが多く粗繊維で、子葉は多数の細胞で形成されており、各細胞はペクチンで相互に接着されている。
ゴマペクチン質によって構成されている細胞をペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、が細胞をバラバラにして露出させ、内皮と細胞壁を2種類のセルラーゼによって分解することができる。
【0022】
ゴマには無機成分が豊富に含まれ、とりわけカルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛が多いのが特徴で貴重な栄養素である。
【0023】
残存胚乳組織の薄層には必須アミノ酸を多く含むタンパク質が多い。
タンパク質分解酵素プロテアーゼ、プロテーダーゼを加えてタンパク質を分解して旨味に変換すると共に苦みを消去して食味の向上を図ることができる。
タンパク分解酵素プロテアーゼは、タンパク質、ペプチドに作用して、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、タンパク分解酵素エンドペプチダーゼはタンパク質を、ポリペプチドに作用して大まかに分解し、低分子ペプチドを生成する。エキソペプチダーゼはペプチドに作用して、アミノ酸を生成する。
プロテアーゼはパパイン、プロラインなどの植物起源のもの、パンクレアチン、
レニンなどの動物起源のもの、微生物(カビ,細菌、酵母)起源のももがある。
本発明のタンパク分解酵素はAspergillus oryzaeと Rhizopus oryzae属の糸状菌でありる。
【0024】
ゴマ油脂の栄養機能はエネルギー源である。油脂は子葉細胞中に蓄積されおり、不飽和脂肪酸のリノール酸、オレイン酸が多い。さらに油脂中には、抗酸化物質セサモールなどが含まれており他の植物油脂とは異なる最大の特徴である。加えてビタミンE含量が多く油脂の安定と抗酸化力を高めている。
【0025】
本発明では、液中での酵素反応とバイオミルリアクターとの相乗作用によりゴマ搾油ミールの硬い固形物の表面積を増大しそれに伴う酵素溶液との接触面積の増大が図られて酵素反応効率を格段に高め、またこれにより反応時間を大幅に短縮させて固形物の微細化が進み製品の食感・食味の優良化が高められる。
【0026】
機能性分解ゴマぺーストは、−20℃以下に冷凍保存し輸送する、またタンパク質変性抑制、油脂の変敗抑制、離水防止、冷凍耐性、矯味・矯臭作用をもつ糖類トレハロースを用いて品質の保全と優良化を図ることができ、かつ0.5〜5.0重量%トレハロースを添加混合してゴマ搾油ミールを機能性食材・洗剤に有効利用することができる。
【0027】
機能性分解粉末を生成する過程に於いてゴマの芳香が飛散する。
芳香を保全し雑味を包接して品質を向上するためにサイクロデキストリン及び/又はクラスターデキストリンの包接剤を添加して機能性分解ゴマ微粉末を製造することができる。
【0028】
高純度含水結晶トレハロースはブドウ糖2分子がα、α−1,1で結合した、非還元性の糖質である。タンパク質の変性抑制、耐熱・耐酸性、脂肪酸分解抑制、離水・保水性向上、油脂の変敗抑制、矯味・矯臭作用を有して機能性分解ゴマペースト及び粉末を補けることができる。
【0029】
クラスターデキストリンは、高度分岐環状糖質で狭い分子糧分布、高い水溶性と溶液安定性、粘性、乾燥特性を有し、味質改良材、物性改良剤、粉末化基材として機能性分解ゴマペースト及び粉末を補けることができる。
以下に、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は機能性分解ゴマペーストの製造工程図である。
原料ゴマ搾油ミール1.5kgに対して3.75L(2.5倍水)を加水してバイミルリアクターに投入し、植物組織崩壊酵素・繊維素分解酵素混合酵素10.5gを添加してタンパク質分解酵素5.3gを添加し、この混合懸濁物を45℃に温度保持し、前記各酵素による酵素反応と攪拌及びコロイドミルによる液中で機械的微粉砕の相乗作用により90分間作用させて電動篩機で80meshを通し、篩上ゴマミールは別に乾燥・微粉砕して添加混合し、耐熱PP袋に充填して80℃、10分間加熱殺菌を施し機能性分解ゴマペースト4.98Lを生成した。次に水に冷却して−20℃以下で凍結保存した。
【実施例2】
【0031】
原料ゴマ搾油ミール1.5kgに対して4.500L(3倍水)を加水してバイオミルリアクターに投入し、植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素を12gを添加し、pH7.0、温度45℃に調整し攪拌及びコロイドミルによるバイオリアクターの相乗作用により40分間作用させた後、タンパク質分解・フィチン酸分解混合酵素9gとトレハロース600gを添加し、続いて40分酵素反応を継続作用して酵素分解を施し、電動篩80meshを pass して6.1Lの機能性分解ゴマペーストを生成した。
【0032】
機能性分解ゴマペ−ストを官能評価を女子5名、男子5名計10名で評価した。
【表1】



【0033】
ゴマの成分分析表
【表2】



【実施例3】
【0034】
図2に示す機能性分解ゴマ粉末製造工程図である。
原料ゴマ搾油ミール1.5kgに対して4.500L(3倍水)を加水してバイオミルリアクターに投入し、植物組織崩壊酵素・繊維素分解混合酵素12gとタンパク質分解酵素とタンパク質分解酵素Rhizopusmigerプロテアーゼ、プロテザーゼ6g及びクラスターデキストリン600gを添加混合してpH7.0.温度45℃に調整し、前記各酵素による酵素反応と攪拌及びコロイドミルによるバイオリアクターの相乗作用により90分間作用させて80mesh pass させて6.0Lの機能性分解ゴマペーストを生成した。
次に150℃の瞬間加熱乾燥機ダブルドライャーで10秒間加熱乾燥を施し、ボールミルを用いて微粉砕し1.8kgの機能性分解ゴマ微粉末を生成した。
【0035】
機能性分解ゴマ微粉末を官能評価を女子5名、男子5名計10名で評価した。
【表3】

【0036】
機能性分解ゴマ粉末の分析表
【表4】

【実施例4】
【0037】
1Lのペットボトルに機能性分解ゴマペースト50mlと水50ml入れて混合し、苛性ソーダ30gを加えて蓋を開けたままペットボトル軽く振り発熱するのでボトルの底を冷却しながら苛性ソーダが完全に溶解してから、ゴマ油を230g加えボトルの蓋を閉めて液体がドロドロになるまでよく振騰した。30分後液体が重くどろりとしたところで液体を型に流し込み、3日後に取り出し、更に1カ月以上熟成させて日陰で風乾して255gの機能性ゴマ石鹸を生成した。
【実施例5】
【0038】
黒大全豆乳700gと機能性分解黒ゴマ粉末120g及び小麦粉180g膨潤・溶解し、これに凝固剤グルコノ・デルタ・ラクトン(GDL)3gを加えて混捻機でよく混捻し、これを径2.0mmの押し機で押し出し60℃、20分加熱凝固し充填包装し80℃、30分殺菌し冷却して50g、20袋の機能性黒ゴマ豆乳麺を生成した。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、ゴマの搾油ミールを有効活用して高付加価値化して機能性の高い食品素材の生成にある。搾油粕には豊富な栄養素と機能性を含有おり、約20〜30%の未搾油脂はエネルギーとして、またリノール酸、オレイン酸含有量が高く、しかもトコフェロールやリグナン系抗酸化物質により酸化に対して安定しており、これら必須脂肪酸の作用は子宮、血管、気管支などの平滑筋の収縮・弛緩作用、血小板の凝集作用、炎症作用などをもつホルモン様物質である前駆物質として貴重で在る。また多価不飽和脂肪酸の生理作用として血奬コレステロールを正常に保ち、上昇したコレステロールを低下させる作用をもっている。またゴマ搾油ミールには40〜50%のタンパク質が含有されておりタンパンパク質のアミノ酸組成はFAO/WHOの標準に比較するとリジンが不足しているがメチオニンの含量は高く、逆に大豆はメチオニンがやや不足しておりリジンは比較的多いいのでゴマのタンパク質と大豆のタンパク質を同時に摂取すれば互いに不足しているアミノ酸を補足して栄養価値が大きく改善される。
炭水化物はグルコースとフルクトースを少量含有するのみで大部分は植物繊維である。植物繊維は整腸作用ほか動脈硬化、糖尿病、大腸癌などの生活習慣病の予防効果があり、ミネラルは特にカルシウムが際立って多く、日本人の食事に不足するカルシウムを補う意味では重要である。しかしながらフィチン酸を多く含有しているためにミネラルの利用率を妨げ、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などとキレート結合して食品利用率を阻害するので酵素分解して改善を図った。ゴマのビタミンは、E、B1,B2,ナイアシンなど人の栄養上重要なビタミンを高濃度に含有しており、この貴重なゴマ搾油ミールを酵素分解して上記の機能性を有する製麺、製パン、製菓、氷菓、調味料、介護食、洗髪剤など人の健康と環境に役立つ機能性分解ゴマとして社会に提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:粉砕機能ミル
2:攪拌機能
3:温度調整タンク
4:循環パイプ
5:モーター
6:原料タンク
7:製品出口
8:原料入口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴマ搾油ミールに対してpH4.0〜7.0の水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素の存在下で酵素反応を施して酵素分解し、かつ上記酵素の添加量及び反応条件は、添加量が0.01〜1.0重量%、反応温度が40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の平均粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、タンパク質、食物繊維を多く含む分解ゴマペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【請求項2】
ゴマ搾油ミールに対してpH4.0〜7.0の加水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素とタンパク質分解酵素の存在下で酵素反応を施して酵素分解し、かつ上記の酵素の添加量が0.01〜1.0重量%、反応温度が40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、を多く含むゴマ分解ペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマぺ−ストの製造方法。
【請求項3】
ゴマ搾油ミールに対して、水と植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素を加えて酵素反応を施した後、タンパク質分解・フィチン酸分解混合酵素の存在下でミネラルとキレ−ト結合してタンパク質と複合体を形成して不溶性となっているリン酸モノエステルを酵素分解し、かつ上記酵素の添加量及び反応条件は、添加量が0.01〜1.0重量%、pH4.0〜7.0、反応温度が40〜55℃、反応時間は60〜90分とし、含有固形分の平均粒径は80mesh assである、ゴマ油脂、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、必須ミネラルを多く含む分解ゴマペーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の酵素反応条件は、加水量は2.0〜3.0倍水、酵素添加量は0.01〜1.0重量%、pH4.0〜7.0、反応温度は40〜60℃、反応時間は60〜90分とし、酵素反応と液中で機械微粉砕を相乗的に作用し含有固形物の粒径を80mesh pass以下に篩別し、加熱殺菌してゴマ油脂、タンパク質、ペプチド・アミノ酸、食物繊維、ミネラル、ビタミンを多く含む分解ゴマぺーストを生成して機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の機能性分解ゴマぺーストは、−20℃以下に冷凍保存をする、またタンパク質変性抑制、油脂の変敗抑制、離水防止、冷凍耐性、矯味・矯臭作用をもつ糖類トレハロースを用いて品質の保全と優良化を図ることができる、かつ0.5〜5.0重量%トレハロースを添加混合してゴマ搾油ミールを機能性食材・洗剤に有効利用することを特徴する機能性分解ゴマペーストの製造方法。
【請求項6】
機能性分解ゴマペーストを生成する過程に於いてサイクロデキストリン及び/又はクラスターデキストリンを0.1〜3.0重量%添加してゴマの香気の包接や異臭のマスキングを施し、かつスプレードライヤー又はダブルドラムドライヤーで150℃〜160℃、5〜20秒、瞬間乾燥することによって機能性食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマ粉末の製造方法。
【請求項7】
ゴマの硬い植物組織を崩壊し低分子に分解する酵素は、Rhizopussp.属菌株の産生するペクチナーゼ、へミセルラーゼと繊維素分解酵素Tricboderma viride属菌株及びAspergillus niger属菌株の産生するセルラーゼ、ヘミセルラーゼの混合酵素で高力価を含有しており、添加量は0.05〜0.4重量%、ゴマの植物組織を崩壊し硬い繊維素を分解してすべてを食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性ゴマ分解ペースト及び微粉末の製造方法。
【請求項8】
ゴマのタンパク質を分解する酵素は、Rhizopus oryzae属菌株の産生するプロテアーゼ及びペプチダーゼであり、中性領域で有効に作用し添加量は0.01〜0.5重量%でタンパク質の低分子化能に優れ、苦みの消去にも有効であるタンパク質分解酵素で分解し、ゴマのタンパク質からペプチド・アミノ酸を食品素材・洗剤に有効利用することを特徴とする機能性ゴマ分解ペースト及び微粉末の製造方法。
【請求項9】
タンパク質分解酵素・フィチン酸分解酵素混合酵素は、Rhizopusoryzae属菌株とAspergillus oryzae属菌株より産生される酸性及び中性プロテアーゼ・ペプチダーゼとAspergillus niger属菌株の産生するフイターゼの混合酵素で、pH4.5〜7.0で作用し、温度は40〜60℃、添加量は0.01〜0.5重量%で、ミネラルとキレ−ト結合してタンパク質と複合体を形成して不溶性となっているリン酸モノエステルとタンパク質を分解してミネラルの吸収性を高め、ペプチド・アミノ酸と共に食品素材・洗剤として有効利用することを特徴とする機能性分解ゴマペースト及び微粉末の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−252634(P2010−252634A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103006(P2009−103006)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(592121952)澤産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】