説明

歌唱採点システムおよびプログラム

【課題】ユーザの歌唱力を考慮した採点を行うことができるようにし、ユーザの歌唱力を基準としてどの程度の採点なのかといったことを知ることができるようにする。
【解決手段】ユーザによる楽曲の歌唱に係る音声について区間毎に評価値を算出し、これを歌唱ユーザのパラメータ正確性に基づいて修正した後、各評価値の統計をとることで最終的な採点結果を算出する。パラメータ正確性は、楽曲の区間それぞれにおける理想パラメータの種類毎にその理想パラメータの音声が正確に発声できるか,つまり歌唱ユーザの理想パラメータに対する歌唱力を示す。パラメータ正確性が低い区間の評価値は相対的に低くなりがちだが、歌唱力の低いユーザにとっては歌唱力なりに上手く歌唱していることも考えられるため、このような区間の評価が高くなるように修正したうえで採点結果を算出することで、その区間の評価値に歌唱ユーザの歌唱力を反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが歌唱した楽曲についての採点を行う歌唱採点システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からユーザが歌唱した楽曲についての採点を行うことが行われており、近年では、楽曲のもつ特性に応じた精度の高い採点を行うことなども提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2005−107333号公報
【特許文献2】特開2007−233307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、歌唱ユーザとは無関係に全て同じ基準で採点が行われており、採点結果を他の歌唱ユーザの採点結果と比較するうえでは有用であるが、その採点結果は、歌唱ユーザの歌唱力が考慮されたものではないため、歌唱ユーザの歌唱力を基準としてどの程度の結果なのか(具体的な例でいえば、歌唱力なりに上手く歌えたかなど)といったことを知るために用いることはできない。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、歌唱ユーザの歌唱力を考慮した採点を行うことができるようにし、歌唱ユーザの歌唱力を基準としてどの程度の採点なのかといったことを知ることができるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためには、歌唱採点システムを以下に示す第1の構成(請求項1)のようにすることが考えられる。
【0006】
この構成においては、ユーザが楽曲を歌唱してなる音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間において発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記理想パラメータに対する前記歌唱パラメータの正確性(区間正確性)を特定する区間正確性特定手段と、該区間正確性特定手段により特定された区間正確性それぞれについて、前記理想パラメータの種類毎に統計をとることにより、該当ユーザが前記理想パラメータで規定される音声を発声した際の正確性(パラメータ正確性)を、前記理想パラメータの種類毎に特定するパラメータ正確性特定手段と、該パラメータ正確性特定手段により特定された前記理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、該パラメータ正確性を特定する契機となった楽曲を歌唱したユーザに対応づけて記憶部に記憶させるユーザ記憶手段と、ユーザが採点対象の楽曲(採点対象楽曲)を歌唱してなる音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出する区間評価手段と、該区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段が記憶部に記憶させたパラメータ正確性のうち、その評価の契機となった採点対象楽曲を歌唱した歌唱ユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正する評価修正手段と、該評価修正手段による修正後の評価値それぞれについて、前記採点対象楽曲の全区間で統計をとることにより、前記歌唱ユーザが前記採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果を算出する歌唱採点手段と、を備えている。
【0007】
そして、前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段により記憶部に記憶させられた前記歌唱ユーザのパラメータ正確性のうち、その区間における前記理想パラメータについてのパラメータ正確性の低さに応じて評価が高くなるように修正する、ように構成されている。
【0008】
このように構成された歌唱採点システムによれば、ユーザによる楽曲の歌唱に係る音声について区間毎に評価値を算出し、これを歌唱ユーザのパラメータ正確性に基づいて修正した後、各評価値について統計をとることにより、最終的な歌唱に対する採点結果を算出することができる。
【0009】
このパラメータ正確性は、歌唱ユーザが過去に歌唱した楽曲に基づいて特定されたものであって、楽曲の区間それぞれにおいて規定される理想パラメータの種類毎に、その理想パラメータの音声が正確に発声できるか,つまり歌唱ユーザの理想パラメータに対する歌唱力を示すものである。
【0010】
そうすると、パラメータ正確性が低いほど歌唱力が低いことになるため、このような歌唱力の低いパラメータ正確性に対応する区間についての評価値は、相対的に低くなりがちだが、歌唱力の低いユーザにとっては歌唱力なりに上手く歌唱していることも考えられる。この場合、歌唱ユーザの歌唱力を基準にするのであれば、その区間についての評価値が低いままで採点結果が算出されてしまうことは好ましいことではない。
【0011】
そこで、上記構成では、そのような区間における評価値の評価が高くなるように修正したうえで採点結果を算出することにより、その区間についての評価値が低いままで採点結果が算出されてしまうことを防止することができる。その結果、これら評価値について統計をとった採点結果を、歌唱ユーザの歌唱力を考慮した採点結果とすることができるようになる。
【0012】
こうして算出された採点結果は、歌唱ユーザの歌唱力が反映されているといえことから、これにより歌唱ユーザの歌唱力を基準としてどの程度の採点なのか,具体的にいえば歌唱力なりに上手く歌えていたかといったことを知るのに適したものとなっている。
【0013】
この構成において歌唱パラメータ,理想パラメータにおける「区間」とは、音声を時系列に沿って分割したものであり、例えば、楽曲における1以上の小節からなる区間や、音声を音の推移で表した場合における各音の区間などのことである。
【0014】
この後者のように、音声を音の推移で表した場合における各音の区間について区間正確性を特定するためには、上記構成を以下に示すようにした第2の構成(請求項2)とすることが考えられる。
【0015】
この構成において、前記区間正確性特定手段は、ユーザが楽曲を歌唱してなる音声を音の推移で表した場合における各音の区間それぞれについて、該区間における音の高さおよび長さで規定される歌唱パラメータを、同じ区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記区間正確性を特定する。
【0016】
この構成であれば、各音の区間それぞれにおける音の高さおよび長さで規定される歌唱パラメータを、同じ区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の区間正確性を特定することができる。
【0017】
また、上記各構成において、区間正確性を特定する際に用いる「楽曲を歌唱してなる音声」は、あらかじめ歌唱採点システムの備える記憶部に記憶されている,または,外部から取得した歌唱データで示されるものとすればよい。
【0018】
この場合において、歌唱データが、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声,を特定可能であれば、上記各構成を以下に示す第3の構成(請求項3)のようにするとよい。
【0019】
この構成において、前記区間正確性特定手段は、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声,を特定可能な歌唱データに基づき、該歌唱データで特定される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、前記取得した歌唱データで特定される楽曲における同じ区間で発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記理想パラメータに対する前記区間正確性を特定している。そして、前記ユーザ記憶手段は、前記パラメータ正確性特定手段により特定された前記理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、該パラメータ正確性を特定する契機となった歌唱データで特定されるユーザに対応づけて記憶部に記憶させる。
【0020】
この構成であれば、歌唱データで示される音声を「楽曲を歌唱してなる音声」として区間正確性を特定することができ、また、この区間正確性に基づいて特定した理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、その歌唱データで特定されるユーザに対応づけて記憶部に記憶させることができる。
【0021】
また、この構成においては、楽曲を歌唱するに際し、その楽曲について設定された音の高さ(いわゆるキー)または長さ(テンポ)が任意に変更されていることも考えられるため、その変更を考慮したうえで区間正確性を特定できるようにすることが望ましい。
【0022】
そのための構成として、例えば、前記歌唱データが、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、その楽曲についてあらかじめ定められた音の高さまたは長さを変更して歌唱した場合におけるその変更後の音の高さまたは長さを特定可能なデータである場合には、上記第3の構成を以下に示す第4の構成(請求項4)のようにするとよい。
【0023】
この構成において、前記区間正確性特定手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記変更後の音の高さまたは長さを特定可能な歌唱データである場合に、その歌唱データで特定される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さとした場合における前記理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記区間正確性を特定する。
【0024】
この構成であれば、ユーザが楽曲の歌唱に際してその楽曲について設定された音の高さまたは長さを変更していたとしても、各区間の歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さに対応する理想パラメータと対比することにより、適切な区間正確性を特定することができる。
【0025】
また、この構成では、さらに、歌唱データに基づいて、ユーザが楽曲の歌唱に際して音の高さまたは長さを変更したこと,および,その変更量を検出する変更検出手段を備え、区間正確性特定手段が、各区間の音声に関する歌唱パラメータを、前記変更検出手段により検出された変更量に応じた理想パラメータ(その区間における理想パラメータを変更量だけ異ならせたもの)と対比することにより、区間毎の前記区間正確性を特定する、こととすればよい。
【0026】
また、上記各構成において区間毎の評価値を算出する際に用いる「採点対象楽曲を歌唱してなる音声」は、あらかじめ歌唱採点システムの備える記憶部に記憶されている,または,外部から取得した歌唱データで示されるものとすればよい。
【0027】
この場合において、歌唱データが、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声を特定可能であれば、上記各構成を以下に示す第5の構成(請求項5)のようにするとよい。
【0028】
この構成において、前記区間評価手段は、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声,を特定可能な歌唱データで示される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、前記取得した歌唱データで特定される楽曲における同じ区間で発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出している。そして、前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段が記憶部に記憶させたパラメータ正確性のうち、その評価に用いられた前記歌唱データで特定されるユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正する。
【0029】
この構成であれば、歌唱データで示される音声を「採点対象楽曲を歌唱してなる音声」として区間毎の評価値を算出することができ、また、この評価値を、その歌唱データで特定されるユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正することができる。
【0030】
また、この構成においては、外部から取得した歌唱データ全てを、区間毎の評価値の算出に用いることとすればよいが、歌唱データで特定される楽曲が採点対象楽曲である場合にのみ区間毎の評価値の算出に用いることとすればよい。
【0031】
そのための構成として、例えば、歌唱データが、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、ユーザが採点対象楽曲として歌唱した楽曲であるか否かを特定可能なデータである場合には、上記第5の構成を以下に示す第6の構成(請求項6)のようにするとよい。
【0032】
この構成においては、前記区間評価手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記採点対象楽曲として歌唱した楽曲である旨を特定可能な歌唱データである場合に、その歌唱データで示される楽曲を前記採点対象楽曲として、該楽曲についての区間毎の評価値を算出する。
【0033】
この構成であれば、歌唱データで特定される楽曲が採点対象楽曲である場合にのみ区間毎の評価値を算出し、この評価値に基づいて最終的な採点結果を算出することができる。
【0034】
また、上記第5,第6の構成においては、楽曲を歌唱するに際し、その楽曲について設定された音の高さ(いわゆるキー)または長さ(テンポ)が任意に変更されていることも考えられるため、その変更を考慮したうえで区間正確性を特定できるようにすることが望ましい。
【0035】
そのための構成として、例えば、前記歌唱データが、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、その楽曲についてあらかじめ定められた音の高さまたは長さを変更して歌唱した場合におけるその変更後の音の高さまたは長さを特定可能なデータである場合には、上記第5,6の構成を以下に示す第7の構成(請求項7)のようにするとよい。
【0036】
この構成において、前記区間評価手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記変更後の音の高さまたは長さを特定可能な歌唱データである場合に、該歌唱データで示される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さとした場合における前記理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出する。
【0037】
この構成であれば、ユーザが楽曲の歌唱に際してその楽曲について設定された音の高さまたは長さを変更していたとしても、各区間の歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さに対応する理想パラメータと対比することにより、適切な区間毎の評価値を算出することができる。
【0038】
また、上記各構成における「区間正確性」は、区間毎の理想パラメータに対する歌唱パラメータの正確性,換言すれば理想パラメータに対する歌唱パラメータの類似度であるため、これから特定される「パラメータ正確性」についても、その区間正確性で規定される類似度の統計をとることで特定できる。
【0039】
具体的な統計の手法としては、例えば、区間正確性それぞれを理想パラメータの種類毎に平均化することが考えられ、このための構成としては、例えば、上記各構成を以下に示す第8の構成(請求項8)のようにするとよい。
【0040】
この構成において、 前記パラメータ正確性特定手段は、前記区間正確性特定手段により特定された区間正確性それぞれを、前記理想パラメータの種類毎に平均化することにより、該当ユーザにおける前記パラメータ正確性を、前記理想パラメータの種類毎に特定する。
【0041】
この構成であれば、区間正確性それぞれについて理想パラメータの種類毎に平均化することにより、理想パラメータの種類毎のパラメータ正確性を特定することができる。
【0042】
また、上記各構成における区間毎の評価値は、各区間における歌唱パラメータを、同じ区間における理想パラメータと対比することにより算出したものであればよく、その具体的な値については特に限定されない。
【0043】
例えば、歌唱パラメータの理想パラメータに対する類似度やズレ量を示す値として評価値を算出することが考えられ、これらの場合、こうして算出した評価値を、該当パラメータ正確性が低いほど採点結果に占める評価値としての重み付けが軽くなるように修正したうえで、これらの統計をとった採点結果が算出されることとなる。
【0044】
これらの場合における統計のとり方としては、評価値として類似度を算出する場合であれば、例えば、類似度を平均化することが考えられ、この平均化された類似度を採点結果とすればよい。また、評価値としてズレ量を算出する場合であれば、例えば、評価値全てを基準となる点数(満点)から減算して残された値を採点結果とすればよい。
【0045】
この後者のようにズレ量を評価値として算出する場合の具体的な構成としては、上記各構成を以下に示す第9の構成(請求項9)のようにすることが考えられる。
【0046】
この構成において、前記区間評価手段は、各区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間における理想パラメータと対比することにより、該理想パラメータに対する前記歌唱パラメータのズレ量を示す値を評価値として区間毎に算出して、前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、該当する前記理想パラメータについてのパラメータ正確性に応じて低くなるように修正して、前記歌唱採点手段は、前記評価修正手段による修正後の評価値全てを基準点数から減算することにより、該減算後に残った点数を、前記歌唱ユーザが前記採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果として算出する。
【0047】
この構成であれば、理想パラメータに対する歌唱パラメータのズレ量である評価値の合計を基準点数から減算し、そうして残された値を採点結果として算出することができる。
【0048】
なお、上記各構成における歌唱採点システムは、1つの装置として構成してもよいし、それぞれ通信可能に接続された複数の装置が協調して動作するように構成してもよい。
【0049】
また、上記課題を解決するためには、上記第1〜第9のいずれかにおける全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム(請求項10)としてもよい。
【0050】
このプログラムを実行するコンピュータシステムであれば、上記第1〜第9のいずれかに係る歌唱採点システムの一部を構成することができる。
【0051】
なお、上述したプログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介して歌唱採点システム,各サーバや、これを利用するユーザ等に提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
カラオケシステム1は、周知のコンピュータシステムからなるサーバ2と、1以上のカラオケ装置3それぞれとが、ネットワーク100を介して通信可能に接続されてなるものである。
【0053】
サーバ2は、サーバ全体を制御する制御部21,各種情報を記憶する記憶部23,ネットワーク100を介した通信を制御する通信部25,キーボードやディスプレイなどからなるユーザインタフェース(U/I)部27,記録メディアを介して情報を入出力するメディアドライブ29などを備えており、本発明の難易度推定システムとしての機能が実装されている。
【0054】
カラオケ装置3は、装置全体を制御する制御部31,演奏楽曲の伴奏内容および歌詞を示す楽曲データや映像データなどを記憶する記憶部33,ネットワーク100を介した通信を制御する通信部35,各種映像の表示を行う表示部41,複数のキー・スイッチなどからなる操作部43,マイク45からの音声の入力とスピーカ47からの音声の出力とを制御する音声入出力部49などを備えている。
(2)サーバ2による処理
以下に、サーバ2の制御部21が内蔵メモリまたは記憶部23に記憶されたプログラムに従って実行する各種処理について説明する。
(2−1)履歴蓄積処理
はじめに、いずれかのカラオケ装置3から歌唱データを受信する(s110)ことにより開始される履歴蓄積処理の処理手順を図2に基づいて説明する。
【0055】
この歌唱データは、カラオケ装置3のユーザがカラオケ装置3に対するログイン操作を行ったうえで、そのユーザが楽曲を歌唱した後に送信されてくるデータであり、その歌唱に係る音声の時系列に沿った音高の推移パターンを示すものである。
【0056】
また、この歌唱データは、その歌唱に係る楽曲およびユーザそれぞれの識別情報(楽曲番号,ユーザID)と、その歌唱時にカラオケ装置3側で設定されていたキーを示すキー情報と、その歌唱に係る楽曲を採点するか否かを示す採点情報と、が付加された状態で送信されてくる。
【0057】
この履歴蓄積処理が起動されると、まず、その起動に際して受信した歌唱データに付加された楽曲番号に基づき、その楽曲(以降「歌唱楽曲」という)において発声すべき正しい音声を示す理想データが、記憶部23における理想データ用の記憶領域にあらかじめ記憶されている複数種類の理想データの中から読み出される(s120)。
【0058】
次に、上記s120にて読み出された理想データが、本履歴蓄積処理の起動に際して受信された歌唱データに付加されていたキー情報に基づいて変更される(s130)。
【0059】
ここでは、歌唱データに付加されていたキー情報が、歌唱楽曲においてあらかじめ定められたキー(原曲キー)と異なる設定に変更された旨を示すものである場合にのみ、上記s120にて読み出された理想データで示される音声が変更される。
【0060】
この変更は、理想データで示される音声を各音(本実施形態では音符)の区間毎に分割した単位区間それぞれにおいて発生すべき音声に関する理想パラメータが、キー情報で示されるキーに応じたパラメータとなるように修正することで実現される。具体的にいえば、単位区間それぞれにおける理想パラメータが、そのキー設定で歌唱楽曲が再生された場合における理想パラメータに変更される。
【0061】
次に、本履歴蓄積処理の起動に際して受信した歌唱データで示される音声と、上記s120にて読み出されて上記s130にて変更された理想データで示される音声と、の対比により、音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した単位区間毎の区間正確性が特定される(s140)。
【0062】
ここでは、歌唱データで示される音声の単位区間それぞれについて、その単位区間の音声に関する歌唱パラメータが、理想データで示される音声の同じ単位区間において発生すべき音声に関する理想パラメータと対比され、これにより、単位区間毎の理想パラメータに対する歌唱パラメータの正確性(以降「区間正確性」という)が特定される。
【0063】
具体的には、理想パラメータに対する歌唱パラメータの音高としての近似度合いや、音高が変化するタイミングの時間的な近似度合いが、その単位区間における区間正確性として特定され、本実施形態では、その近似度合いが所定のしきい値以上である場合を区間正確性「Yes」,しきい値未満である場合を区間正確性「No」として特定するように構成されている(図3参照)。なお、この近似度合に応じた区間正確性として、「0」〜「1」の間の値を特定することとしてもよい。
【0064】
次に、本履歴蓄積処理の起動に際して受信した歌唱データに付加されたユーザIDに対応するユーザの歌唱履歴データが、記憶部23における歌唱履歴データ用の記憶領域から読み出される(s150)。
【0065】
この歌唱履歴データとは、あらかじめユーザ登録されたユーザが理想パラメータで規定される音声を発声した場合の正確性(以降「パラメータ正確性」という)を理想パラメータの種類毎に集計した結果を示すデータであり、該当ユーザそれぞれのユーザIDに対応づけられた状態で記憶部23に記憶されている(図4参照)。この歌唱履歴データは、理想パラメータそれぞれのパラメータ正確性に基づいて、該当ユーザがどの程度楽曲を正確に歌唱できていたのかを規定するものであり、各パラメータ正確性としての値が大きいほど、該当ユーザが理想パラメータに従った歌唱を正確に行えることを示すものとなる。
【0066】
なお、このs150の時点で該当するユーザIDに対応するユーザの歌唱履歴データが記憶部23に記憶されていない場合、このs150では、データの実体がない(つまり集計前の)歌唱履歴データが、該当するユーザIDに対応するものとして生成されたうえで、これが読み出される。
【0067】
そして、上記s140にて特定された単位区間毎の区間正確性に基づいて、上記s150にて読み出された歌唱履歴データが更新される(s160)。
【0068】
ここで、上記s140にて読み出された歌唱履歴データで示される単位区間毎の区間正確性は、図4に示すように、音高(音の高さ)と音価(音の長さ)とで規定される理想パラメータ毎に、その理想パラメータに対応する単位区間の区間正確性が「Yes」と特定された特定回数と、区間正確性の特定が行われた総回数と、の比を示すものとなっている。
【0069】
そのため、このs160では、上記s140にて特定された単位区間毎の区間正確性のそれぞれについて、その区間正確性が「Yes」であれば、その単位区間に対応する理想パラメータの特定回数および総回数の両方(分子,分母)に「1」が加算され、また、区間正確性が「No」であれば、同理想パラメータの総回数(分母)のみに「1」が加算される。こうして、該当ユーザの区間正確性それぞれが理想パラメータの種類毎に平均化され、そのユーザにおける理想パラメータの種類毎にパラメータ正確性が集計された状態となる。
【0070】
なお、区間正確性それぞれを「0」〜「1」の間の値として特定されるようにした場合、このs160では、理想パラメータの種類毎に区間正確性を平均化することにより、パラメータ正確性を集計することとすればよい。
(2−2)歌唱採点処理
続いて、いずれかのカラオケ装置3から歌唱データとして、歌唱に係る楽曲を採点する旨を示す採点情報の付加されたものを受信する(s210)ことにより、上記履歴蓄積処理と並行して実行される歌唱採点処理の処理手順を図5に基づいて説明する。
【0071】
この歌唱採点処理が起動されると、まず、本歌唱採点処理の起動に先立って受信した歌唱データに付加されたユーザIDのユーザ(以降「歌唱ユーザ」という)に対応づけて記憶部23に記憶されている歌唱履歴データが読み出される(s210)。
【0072】
次に、本歌唱採点処理の起動に際して受信した歌唱データに付加された楽曲の楽曲番号に基づき、その楽曲(以降「採点対象楽曲」という)において発声すべき正しい音声を示す理想データが、記憶部23における理想データ用の記憶領域にあらかじめ記憶されている複数種類の理想データの中から読み出される(s220)。
【0073】
次に、上記s220にて読み出された理想データが、本歌唱採点処理の起動に際して受信した歌唱データに付加されていたキー情報に基づいて変更される(s230)。
【0074】
ここでは、歌唱データに付加されていたキー情報が、歌唱楽曲においてあらかじめ定められたキー(原曲キー)と異なる設定であった旨を示すものである場合にのみ、上記s220にて読み出された理想データで示される音声が変更される。
【0075】
この変更は、理想データで示される音声を各音(本実施形態では音符)の区間毎に分割した単位区間それぞれにおいて発生すべき音声に関する理想パラメータが、キー情報で示されるキーに応じたパラメータとなるように修正することで実現される。具体的にいえば、単位区間それぞれにおける理想パラメータが、そのキー設定で歌唱楽曲が再生された場合における理想パラメータに変更される。
【0076】
次に、本歌唱採点処理の起動に際して受信した歌唱データで示される音声と、上記s220にて読み出されて上記s230にて変更された理想データで示される音声と、の対比により、音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した単位区間毎の評価値が特定される(s240)。
【0077】
ここでは、歌唱データで示される音声の単位区間それぞれについて、その単位区間の音声に関する歌唱パラメータが、理想データで示される音声の同じ単位区間において発生すべき音声に関する理想パラメータと対比され、これにより、単位区間毎の評価値が算出される。本実施形態では、各単位区間i(i=1〜I)において、理想パラメータに対する歌唱パラメータのズレ量を示す値が評価値diとして特定される。
【0078】
なお、このs240では、各単位区間iにおいて、理想パラメータに対する歌唱パラメータの類似度を示す値を、この類似度が大きいほど高い評価であることを示す評価値diとして特定することとしてもよい。
【0079】
次に、上記s240にて算出された評価値それぞれが、上記s212にて読み出された歌唱履歴データで示されるパラメータ正確性に基づいて修正される(s250)。
【0080】
ここでは、上記s240にて算出され区間毎の評価値diそれぞれに対し、歌唱ユーザのパラメータ正確性のうち、その区間における理想パラメータについてのパラメータ正確性P(i)に応じた重み付けが行われる。具体的には、評価値diに対応するパラメータ正確性P(i)が小さい,つまり理想パラメータに従った歌唱を正確に行えない状態であるほど重み付けが小さくなるように評価値diが修正される。本実施形態のように、理想パラメータに対する歌唱パラメータのズレ量を評価値diとして算出している場合であれば、評価値diが該当するパラメータ正確性P(i)との積を示す値(=P(i)・di)に修正される。
【0081】
次に、上記s250にて修正された評価値diそれぞれについて、採点対象楽曲の全区間で統計をとった値が、歌唱ユーザが採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果として算出される(s260)。
【0082】
ここでは、上記250により修正された評価値全てを基準点数100から減算することにより、そうして減算した後に残った点数が、歌唱ユーザが採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果として算出される。
【0083】
具体的な算出方法としては、評価値それぞれをdiとし、その評価値に対応する区間における理想パラメータについてのパラメータ正確性をP(i)とし、基準点数を100とした場合に、以下に示す式1により算出することが考えられる。
【0084】
【数1】

なお、評価値diとして類似度を特定するように構成した場合には、全ての評価値diを平均化した値を採点結果として算出することとすればよい。
【0085】
そして、上記s260にて算出された採点結果が、歌唱データを送信してきたカラオケ装置3へと返信された後(s270)、本歌唱採点処理が終了する。この採点結果を受信したカラオケ装置3では、その採点結果の表示部41による表示が行われることとなる。
(3)作用,効果
このように構成されたカラオケシステム1のサーバ2によれば、ユーザによる楽曲の歌唱に係る音声について区間毎に評価値を算出し(図5のs240)、これを歌唱ユーザのパラメータ正確性に基づいて修正した後(同図s250)、各評価値について統計をとることにより、最終的な歌唱に対する採点結果を算出することができる(同図s260)。
【0086】
このパラメータ正確性は、歌唱ユーザが過去に歌唱した楽曲に基づいて特定されたものであって(図2のs110〜s160)、楽曲の区間それぞれにおいて規定される理想パラメータの種類毎に、その理想パラメータの音声が正確に発声できるか,つまり歌唱ユーザの理想パラメータに対する歌唱力を示すものである(図3参照)。
【0087】
そうすると、パラメータ正確性が低いほど歌唱力が低いことになるため、このような歌唱力の低いパラメータ正確性に対応する区間についての評価値は、相対的に低くなりがちだが、歌唱力の低いユーザにとっては歌唱力なりに上手く歌唱していることも考えられる。この場合、歌唱ユーザの歌唱力を基準にするのであれば、その区間についての評価値が低いままで採点結果が算出されてしまうことは好ましいことではない。
【0088】
そこで、上記構成では、このような区間における評価値の評価が高くなるように修正したうえで採点結果を算出することにより(図5のs250,s260)、その区間についての評価値が低いままで採点結果が算出されてしまうことを防止することができる。その結果、これら評価値について統計をとった採点結果を、歌唱ユーザの歌唱力を考慮した採点結果とすることができるようになる。
【0089】
こうして算出された採点結果は、歌唱ユーザの歌唱力が反映されているといえことから、これにより歌唱ユーザの歌唱力を基準としてどの程度の採点なのか,具体的にいえば歌唱力なりに上手く歌えていたかといったことを知るのに適したものとなっている。
【0090】
また、上記実施形態においては、各音の区間それぞれにおける音の高さおよび長さで規定される歌唱パラメータを、同じ区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の区間正確性を特定することができる(図2のs140)。
【0091】
また、上記実施形態においては、歌唱データで示される音声を「楽曲を歌唱してなる音声」として区間正確性を特定することができ(図2のs140)、また、この区間正確性に基づいて特定した理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、その歌唱データで特定されるユーザに対応づけて記憶部23に記憶させる(歌唱履歴データを更新する)ことができる(図2のs160)。
【0092】
また、上記実施形態においては、ユーザが楽曲の歌唱に際してその楽曲について設定された音の高さまたは長さを変更していたとしても、各区間の歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さに対応する理想パラメータに変更することができるため(図2のs130)、こうして変更した理想パラメータと対比することにより、適切な区間正確性を特定することができる(同図s140)。
【0093】
また、上記実施形態においては、歌唱データで示される音声を「採点対象楽曲を歌唱してなる音声」として区間毎の評価値を特定することができ(図5のs240)、また、この評価値を、その歌唱データで特定されるユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正することができる(同図s250)。
【0094】
また、上記実施形態においては、歌唱データで特定される楽曲が採点対象楽曲である場合にのみ歌唱採点処理を起動し(図5参照)、区間毎に算出した評価値に基づいて最終的な採点結果を算出することができる。
【0095】
また、上記実施形態においては、ユーザが採点対象楽曲の歌唱に際してその楽曲について設定された音の高さまたは長さを変更していたとしても、各区間の歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さに対応する理想パラメータに変更することができるため(図5のs230)、こうして変更した理想パラメータと対比することにより、適切な区間毎の評価値を算出することができる(同図s240)。
【0096】
また、上記実施形態においては、区間正確性それぞれについて理想パラメータの種類毎に平均化することにより(図2のs160)、理想パラメータの種類毎のパラメータ正確性を特定することができる。
【0097】
また、上記実施形態においては、理想パラメータに対する歌唱パラメータのズレ量である評価値の合計を基準点数から減算し、そうして残された値を採点結果として算出することができる(図5のs260)。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0098】
例えば、上記実施形態においては、カラオケシステム1のサーバ2が本発明の歌唱採点システムとして構成されている場合を例示したが、このサーバ2による処理の一部,例えば履歴蓄積処理の一部または全部や歌唱採点処理の一部または全部を、カラオケ装置3など他の装置と協調して実施することにより、全体として歌唱採点システムとして機能するようにできることはいうまでもない。
【0099】
また、上記実施形態においては、歌唱パラメータ,理想パラメータにおける「単位区間」が、音符で規定される音を時系列に沿って分割したものである場合を例示した。しかし、この「単位区間」としては、例えば、楽曲における1以上の小節からなる区間であってもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、履歴蓄積処理(図2),歌唱採点処理(図5)が、カラオケ装置3からの歌唱データを受信した場合に実行されるように構成されたものを例示した。しかし、これら処理については、記憶部23などにあらかじめ記憶された歌唱データに基づき、ユーザの操作などに起因する外部からの指令を受けたタイミングで実行開始されるように構成してもよい。
(5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、サーバ2は、本発明における歌唱採点システムに相当し、図2のs140は、本発明における区間正確性特定手段に相当し、同図s160は、本発明におけるパラメータ正確性特定手段ユーザ記憶手段に相当し、図5のs240は、本発明における区間評価手段に相当し、同図s250は、本発明における評価修正手段に相当し、同図s260は、本発明における歌唱採点手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】カラオケシステムの全体構成を示すブロック図
【図2】履歴蓄積処理を示すフローチャート
【図3】単位区間毎の区間正確性を特定する様子を概念的に示した図
【図4】歌唱履歴データのデータ構造を示す図
【図5】歌唱採点処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0102】
1…カラオケシステム、2…サーバ、3…カラオケ装置、21…制御部、23…記憶部、25…通信部、27…部、29…メディアドライブ、31…制御部、33…記憶部、35…通信部、41…表示部、43…操作部、45…マイク、47…スピーカ、49…音声入出力部、100…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが楽曲を歌唱してなる音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間において発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記理想パラメータに対する前記歌唱パラメータの正確性(区間正確性)を特定する区間正確性特定手段と、
該区間正確性特定手段により特定された区間正確性それぞれについて、前記理想パラメータの種類毎に統計をとることにより、該当ユーザが前記理想パラメータで規定される音声を発声した際の正確性(パラメータ正確性)を、前記理想パラメータの種類毎に特定するパラメータ正確性特定手段と、
該パラメータ正確性特定手段により特定された前記理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、該パラメータ正確性を特定する契機となった楽曲を歌唱したユーザに対応づけて記憶部に記憶させるユーザ記憶手段と、
ユーザが採点対象の楽曲(採点対象楽曲)を歌唱してなる音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出する区間評価手段と、
該区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段が記憶部に記憶させたパラメータ正確性のうち、その評価の契機となった採点対象楽曲を歌唱した歌唱ユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正する評価修正手段と、
該評価修正手段による修正後の評価値それぞれについて、前記採点対象楽曲の全区間で統計をとることにより、前記歌唱ユーザが前記採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果を算出する歌唱採点手段と、を備えており、
前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段により記憶部に記憶させられた前記歌唱ユーザのパラメータ正確性のうち、その区間における前記理想パラメータについてのパラメータ正確性の低さに応じて評価が高くなるように修正する、ように構成されている
ことを特徴とする歌唱採点システム。
【請求項2】
前記区間正確性特定手段は、ユーザが楽曲を歌唱してなる音声を音の推移で表した場合における各音の区間それぞれについて、該区間における音の高さおよび長さで規定される歌唱パラメータを、同じ区間における理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記区間正確性を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の歌唱採点システム。
【請求項3】
前記区間正確性特定手段は、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声,を特定可能な歌唱データに基づき、該歌唱データで特定される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、前記取得した歌唱データで特定される楽曲における同じ区間で発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記理想パラメータに対する前記区間正確性を特定しており、
前記ユーザ記憶手段は、前記パラメータ正確性特定手段により特定された前記理想パラメータの種類それぞれについてのパラメータ正確性を、該パラメータ正確性を特定する契機となった歌唱データで特定されるユーザに対応づけて記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歌唱採点システム。
【請求項4】
前記歌唱データが、楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した楽曲,および,該楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、その楽曲についてあらかじめ定められた音の高さまたは長さを変更して歌唱した場合におけるその変更後の音の高さまたは長さを特定可能なデータである場合において、
前記区間正確性特定手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記変更後の音の高さまたは長さを特定可能な歌唱データである場合に、その歌唱データで特定される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さとした場合における前記理想パラメータと対比することにより、区間毎の前記区間正確性を特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の歌唱採点システム。
【請求項5】
前記区間評価手段は、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声,を特定可能な歌唱データで示される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、前記取得した歌唱データで特定される楽曲における同じ区間で発声すべき正しい音声に基づく理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出しており、
前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、前記ユーザ記憶手段が記憶部に記憶させたパラメータ正確性のうち、その評価に用いられた前記歌唱データで特定されるユーザに対応するパラメータ正確性に基づいて修正する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の歌唱採点システム。
【請求項6】
前記歌唱データが、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、ユーザが採点対象楽曲として歌唱した楽曲であるか否かを特定可能なデータである場合において、
前記区間評価手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記採点対象楽曲として歌唱した楽曲である旨を特定可能な歌唱データである場合に、その歌唱データで示される楽曲を前記採点対象楽曲として、該楽曲についての区間毎の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の歌唱採点システム。
【請求項7】
前記歌唱データが、採点対象楽曲を歌唱したユーザ,該歌唱した採点対象楽曲,および,該採点対象楽曲を歌唱してなる音声だけでなく、その楽曲についてあらかじめ定められた音の高さまたは長さを変更して歌唱した場合におけるその変更後の音の高さまたは長さを特定可能なデータである場合において、
前記区間評価手段は、当該歌唱採点システム外部から取得した歌唱データが、前記変更後の音の高さまたは長さを特定可能な歌唱データである場合に、該歌唱データで示される音声を時系列に沿って所定区間毎に分割した場合における区間それぞれについて、該区間の音声に関する歌唱パラメータを、その変更後の音の高さまたは長さとした場合における前記理想パラメータと対比することにより、区間毎の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の歌唱採点システム。
【請求項8】
前記パラメータ正確性特定手段は、前記区間正確性特定手段により特定された区間正確性それぞれを、前記理想パラメータの種類毎に平均化することにより、該当ユーザにおける前記パラメータ正確性を、前記理想パラメータの種類毎に特定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の歌唱採点システム。
【請求項9】
前記区間評価手段は、各区間の音声に関する歌唱パラメータを、該区間における理想パラメータと対比することにより、該理想パラメータに対する前記歌唱パラメータのズレ量を示す値を評価値として区間毎に算出して、
前記評価修正手段は、前記区間評価手段により算出された区間毎の評価値それぞれを、該当する前記理想パラメータについてのパラメータ正確性に応じて低くなるように修正して、
前記歌唱採点手段は、前記評価修正手段による修正後の評価値全てを基準点数から減算することにより、該減算後に残った点数を、前記歌唱ユーザが前記採点対象楽曲を歌唱した場合の採点結果として算出する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の歌唱採点システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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