説明

歩行型管理機

【課題】部品点数が少なく、以ってコスト削減及び組立性を向上させた歩行型管理機を提供する。
【解決手段】伝動ケース10は、ダイキャストによって一体に形成されていると共に、エンジンから下方に延びる出力軸及び耕耘装置の駆動部を収容するための空間部11を有している。出力軸を挿入する挿入口11cには、エンジンを取付けるための取付部15が一体に形成されていると共に、その後方には、機体上方に延びた操作ハンドルを取付けるハンドル取付部13aが形成されている。また、ハンドル取付部13aの近傍には、把手としての孔部13bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型の管理機に係り、詳しくは、伝動ケースの構成に関する
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン本体の下方側に動力を取り出すための出力軸を延設する、いわゆるバーチカルエンジンを搭載し、該出力軸の下端部に設けられた円筒ウォームにより、回転軸に取付けられたウォームホイールを回転させることにより駆動する歩行型管理機が案出されている(特許文献1参照)。このように、バーチカルエンジンを管理機に搭載すると伝動構成が簡単になり、伝動ケース自体の構成も簡素化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3420454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、このような管理機は、比較的に小型であるため、例えば、乗用車のトランクや、トラックの荷台に作業者が機体を持って積込まれるが、上記特許文献1記載の管理機のように、機体に作業者が把持する把手が設けられていないと、機体を持上げにくかった。また、このような把手を機体に設けようとすると、把手を取付けるための部品が必要となり、部品点数が増加すると共に、組立工数も増加するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、伝動ケースに作業者が把持する把手としての孔部を一体に形成したことによって、上記課題を解決した歩行型管理機を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エンジン(2)と、該エンジン(2)からの動力が伝達され、前記エンジン(2)の下方にて上下方向に延びる出力軸(3)と、前記出力軸(3)からの動力に基づいて耕耘爪(21)を回転駆動させて圃場を耕耘する耕耘装置(20)と、前記エンジン(2)の後方側で上方に延設された操作ハンドル(30)と、を備えた歩行型管理機(1)において、
前記エンジン(2)の出力軸(3)を収容しかつ、その下方側にて前記出力軸(3)からの動力が伝達される前記耕耘装置(20)の駆動部(24)を収容する空間部(11)を有すると共に、該空間部(11)の後方側に設けられた前記操作ハンドル(30)の取付部(13a)の近傍に孔部(13b)を設けて把手とした伝動ケース(10)を備えた、ことを特徴とする。
【0007】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、エンジンの出力軸及び耕耘装置の駆動部を収容する空間部の後方側に孔部を設け、該孔部を作業者が管理機を持つ際の把手としたことによって、わざわざ別に把手を形成する必要がなく、部品点数の削減に寄与することができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の第1の実施形態に係る歩行型管理機の側面図。
【図2】本願発明の第1の実施形態に係る歩行型管理機の平面図。
【図3】本願発明の第1の実施形態に係る歩行型管理機の伝動ケースの側面図。
【図4】本願発明の第2の実施形態に係る歩行型管理機の側面図。
【図5】図4において操作ハンドルを折畳んだ状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係る歩行型管理機1について説明をする。なお、以下の説明中においてその方向は、作業状態の作業者を基準とするものとする。
【0011】
<第1の実施形態>
[歩行型管理機の概略]
まず、歩行型管理機1の全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、歩行型管理機1は、動力を取出すための出力軸3を、その下方側に向けて上下に延設したバーチカル型のエンジン2と、該出力軸3からの動力を受けて駆動する耕耘装置20と、これら出力軸3及び耕耘装置20の駆動部24を収容する伝動ケース10と、を有している。
【0012】
また、エンジン2の後方側において、上記伝動ケース10には、作業中に土中に埋没して使用される抵抗棒40及び尾輪41が取付けられていると共に、上方に向けて延設された操作ハンドル30が固定されている。該操作ハンドル30は、伝動ケース10に取付けられるハンドルフレーム32と、2又状に分かれて形成されたハンドル本体31と、から構成されており、ハンドル本体31の後端部には、それぞれ作業者が握持する左右の握持部31a,31aが設けられている。
【0013】
また、上記ハンドル本体31は、ハンドルフレーム32に対して回動支点34を中心として機体側に回転自在に取付けられており、上方に向けて伸展した作業位置(図1の位置)と、前方に折畳まれた収納位置とに固定可能に構成されている。
【0014】
一方、上記耕耘装置20は、その駆動部24として、出力軸3の下端に設けられた円筒ウォーム4と、該円筒ウォームと噛合してウォームギヤを形成するウォームホイール23と、このウォームホイール23が取付けられた回転軸22とを有しており、この回転軸22の左右両端部には、図2に示すように耕耘軸28が取付けられている。耕耘軸28には、その先端部が機体内側及び機体外側にそれぞれ屈曲した複数の耕耘爪21が取付けられており、耕耘装置20は、エンジン2から出力軸3に出力された回転が、その回転方向を上記円筒ウォーム4及びウォームホイール23により変えられて、回転軸22及び耕耘軸28伝達されると共に、該耕耘軸28により耕耘爪21が回転駆動することにより圃場を耕耘するようになっている。
【0015】
ついで、上記伝動ケース10の構成について、図1及び図3に基づいて詳しく説明する。伝動ケース10は、鉄、アルミなどの部材をダイキャストによって加工して一体に構成されており、その内部に上記出力軸3及び耕耘装置20の駆動部24を収納するための空間部11が形成されている。該空間部11は、伝動ケース10の前端で円筒状に上下に延設された出力軸収納部11aと、該出力軸収納部11aから機体後方側に連続し、耕耘装置20の駆動部24を収納する駆動部収納部11bと、から構成されており、略々L字状にケース14が膨出して形成されている。
【0016】
また、上記出力軸収納部11aは、その上端部が漏斗状に広がって出力軸3を挿入するための挿入口11cを形成していると共に、その側縁を、略々矩形のフランジ状に形成してエンジン2をボルトによって取付けるための取付部15としている(図2も合わせて参照)。即ち、エンジン2を取付けるための取付部15を挿入口11cと一体に形成している。
【0017】
なお、上記空間部11は、上記挿入口11cの他に、その底部もウォームホイール23を収納するために開口しており、この底部はケース16によって蓋されている。
【0018】
一方、上記空間部11を覆おうケース14は、機体後方側に連続して延設されており、接続部12を形成している。この接続部12は、ケース14に上端部(取付部15)から駆動部収納部11aの中途部(r部)にかけて上下に設けられており、その上端縁12bは水平方向に延びていると共に、下端縁12cは機体後方側に行くに従って上方へと延設せれている。また、その中央部には、凹部12aが形成されていると共に、この凹部12aから回転軸22が差し込まれる挿通穴17に亘ってリブ19が形成されている。
【0019】
上記接続部12には、上述した下端部12cと略同じ勾配で機体上部後方側へと更に延設された延設部13が連続しており、この延設部13には、操作ハンドル30のハンドルフレーム32を取付けるハンドル取付部13aが形成されていると共に、該ハンドル取付部13aに沿った形で把手としての孔部13bが、該ハンドル取付部13aに近接して設けられている。
【0020】
このハンドル取付部13aは、ハンドルフレーム32の形状にそってパイプ状に形成された凹部の端部に、該ハンドルフレーム32を固定するためのボルト孔が設けられたものであり、取付けられたハンドルフレーム32が出力軸22の中心を向くように斜め下方に向けて傾斜して構成されている。また、延設部13の後端部はハンドル取付部13aの上端に向かって垂直に延びており、この後端部には、上述した抵抗棒40を取付けるためのアッタチメント取付部13cが形成されている。
【0021】
上述したように、伝動ケース10は、出力軸3を挿入するための挿入口11cにエンジン取付部15を一体に形成すると共に、該挿入口11cの後方側にある延設部13にハンドル取付部13aを設け、これらエンジン取付部15及びハンドル取付部13aを伝動ケースに一体に形成したことによって、エンジン2及び操作ハンドル30を伝動ケース10に取付ける部品が必要なくなり、部品点数の削減に寄与することができる。
【0022】
また、出力軸3の後方側で耕耘装置20の駆動部24を収容するように空間部11を形成すると共に、該空間部11からハンドル取付部13aに向かって後部情報に連続して延設するように伝動ケース10(接続部12)を形成したことによって、ケース全体の強度を高めることができる。
【0023】
更に、ハンドル取付部13aの近傍に孔部13bを設け、この孔部13bを作業者が把持する把手とすると共に、この孔部13bを操作ハンドル30の折畳み方向とは逆側(本実施形態では、ハンドル本体31が機体側に折畳まれるため、機体下方側)に設けたことによって、作業者はこの把手を持って容易に管理機1を車などに積み込める。また、わざわざ別に管理機1を持つための把手を形成する必要がなく、部品点数の削減に寄与することができると共に、上記エンジン2を取付ける部材及び操作ハンドル30を取付ける部材が必要なくなったことと相俟って、コスト削減及び組立性の向上を図ることができる。
【0024】
<第2の実施形態>
ついで、本発明に係る歩行型管理機1の第2の実施形態について、図4及び図5に基づいて説明をする。なお、この第2の実施形態は、操作ハンドル30の折畳み方向及び把手としての孔部13bを有していない点で第1の実施形態と相異しており、その他の点では同一構成であるため、これら該第1の実施形態との相違点についてのみ説明をする。
【0025】
図4及び図5に示すように、操作ハンドル30は、菊座34を緩めることによって、後方側(オペレータ側)に折畳み可能に構成されていると共に、
伝動ケース10の延設部13には、該操作ハンドル30の折畳み方向とは反対の前方側(機体側)に、L字状のハンドル50を装着するための取付部13dが形成されている。また、延設部13の上記取付部13dとは反対側には、抵抗棒40を差し込む形で保持するホルダ部13eが設けられている。
【0026】
このように、管理機1を把持するための把手部材13b,50を、操作ハンドル30の折畳み方向とは逆側の延設部13に形成すると、作業者は折畳んだハンドル本体33が邪魔になることなく、管理機を持つことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 歩行型管理機
2 エンジン
3 出力軸
10 伝動ケース
11 空間部
11c 挿入口
13a ハンドル取付部
13b 孔部
15 エンジン取付部
20 耕耘装置
21 耕耘爪
24 駆動部
30 操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンからの動力が伝達され、前記エンジンの下方にて上下方向に延びる出力軸と、前記出力軸からの動力に基づいて耕耘爪を回転駆動させて圃場を耕耘する耕耘装置と、前記エンジンの後方側で上方に延設された操作ハンドルと、を備えた歩行型管理機において、
前記エンジンの出力軸を収容しかつ、その下方側にて前記出力軸からの動力が伝達される前記耕耘装置の駆動部を収容する空間部を有すると共に、該空間部の後方側に設けられた前記ハンドルの取付部の近傍に孔部を設けて把手とした伝動ケースを備えた、
ことを特徴とする歩行型管理機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate