説明

歯や舌の健康指導用縫いぐるみ型着衣

【課題】 歯や舌の健康指導ツールとしては、パネルやシート或いは映像等、平面的且つ静態的なものであるが故に、歯や歯茎の状態の変化や歯並びの変化、また、虫歯の状態など、様々な歯の状態及び、特に舌の運動を一体的にして立体的且つ可動的に同時表現することにより、パフォーマンス性と注目度を高め、もって健康知識を高めることは難しいという課題があった。
【解決手段】 着衣本体1の前身ごろ前面に上唇3及び下唇4を開口状態に配置し、該上唇3及び下唇4に沿って上歯茎9及び下歯茎10を形成すると共に、上歯茎9及び下歯茎10の夫々に貼着手段11を設け、該貼着手段11に歯列を構成すべき規定数の歯8を分離独立して着脱自在に貼着可能とし、且つ健常歯の他、虫歯・歯垢・損傷等歯の異なる態様のパーツをもって構成し、更に病変を着色表現した部分歯茎12を前記貼着手段11に着脱自在に貼着可能にすると共に、口腔中央に手動自在な袋状の舌13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯や舌の健康指導に関するセミナーや講演会或いはキャンペーン、また、保育園や幼稚園・小学校或いは歯科診療所や高齢者介護施設などにおいて使用する指導用着衣に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯や舌の健康指導に用いるツールは、歯や舌の形態や状態をパネルやシート或いは平面図形、或いはコンピュータの映像若しくはプロジェクター等を用いる平面的なツールであり、且つ静態的なものが主流である。
【先行技術文献】
【0003】
先行技術文献としては、その一例として「登録実用新案登録第3147645号」歯みがき指導シートがあり、その要約においては、「歯垢の付着状態や口腔内の歯周状態を記入しうるシートを被貼着物に貼着可能とすることにより、シートを鏡の周辺に貼着して、指導内容が記載されたシートと鏡に映された口腔内の状態とを歯みがき時に目視して見比べることを可能とし、歯科衛生士によるブラッシング指導を自宅において容易に再現できるブラッシングシートを提供する」なるものが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術によれば、前記の背景技術で述べるように平面的且つ静態的なものであるが故に、歯や舌の形態や状態を平面的に表現することができても、歯周病による歯茎の状態の変化や歯並びの状態の変化、また、虫歯の状態などの他、高齢化による口腔機能障害の中でも特に舌の運動能力の低下に伴う咀嚼や嚥下障害を防止するための舌の体操やトレーニング方法など、様々な歯の状態や舌の運動を一元的且つ立体的且つ動態的にして、更にリアル且つ興味をもって印象的にメモリーさせることが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、発明者は次の手段を開発した。即ち、エプロンのような着衣の前身ごろに開口した口部を設け、その口部の上唇部及び下唇部に厚みの有る立体的な上唇及び下唇を夫々形成すると共に赤色などの色彩を施し、更に上顎部及び下顎部に上歯茎部及び下歯茎部を形成し、且つ、その上下歯茎部の夫々に貼着手段を並設すると共に、この貼着手段に虫歯や歯垢等様々な歯の疾患や状態を表現した厚みがある立体的な歯のパーツ規定数を、着脱自在に貼着可能とすることにより、様々な口腔内の歯の状態を可変的に表現する。また同時に、上下歯茎においては歯と同様に、歯周病による歯茎の色調などを表現するために、別途に病的色調を施した部分歯茎を前記貼着手段に適宜に着脱自在に貼着可能とする。更に、開口した口内に横一文字に切開部を設け、この切開部に、1端に開口部を設けた袋状の舌を下垂させると共に、この開口部から舌の内部に手を差し入れて上下左右に可動自在とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の最も効果的な作用は、パネルやシート等の平面的ツールや映像による指導ではなく、歯科衛生士などの指導員若しくはその補助者が本発明を着用して立体像として指導に当れる点である。即ち、指導員が自ら、或るいはその補助者が本発明を着用すること自体に注目が集中してインパクトが生ずること。更に、様々な歯や歯茎の状態を表現する歯のパーツや部分歯茎のパーツを立体的(例えば綿を入れて厚みを持たせる)に構成し、これ等を、歯周病や歯の疾患の説明に併せて、上下歯茎部に並設した貼着手段に適宜に貼着することによって、様々な歯の状態や歯茎の状態を可変的且つリアルにしかもユーモアに表現することができる他、可動自在な舌を指人形の如く操ることによってパフォーマンス性を高めることにより、リラックス効果と共に注目度が飛躍的に高まり、更に、本発明を指導員が着用して、あたかも縫ぐるみ人形のようなアクションを演出することによって生ずるエンターテイメント効果と相まって、その指導が知識的というよりも印象的にメモリーされることから、記憶の定着性が極めて高くなり、歯の健康指導や舌の体操や機能トレーニング指導がより効果的に行える。また、幼児や保育園児、また、幼稚園児や小学校児童の歯の保健教育を興味深く実施することができるのみならず、引いては保護者に対して興味を逸らすことなく指導ができるため、歯の健康指導に関するセミナーや講演会或いはキャンペーン、また、保育園や幼稚園・小学校に限らず、歯科診療所や高齢者介護施設等において使用することにより従来技術と比べて効用効果が格段に高くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 正面図
【図2】 側面断面図
【図3】 部分側断面図
【図4】 歯及び部分歯茎の貼着部分を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
歯科衛生士或いはその補助者が本発明を自ら着用して、あたかも縫いぐるみ人形のようにパフォーマンスを行いつつ、着脱自在の歯や部分歯茎、また可動自在な舌を用いて歯や歯茎の状態或いは舌の運動をリアルに表現しながら説明しアピールしていくことが、本発明の最も効果的な実施形態である。
【実施例】
【0009】
本発明を1実施例により説明すれば、1は着衣本体であってエプロン等の被服である。2は切開部であって着衣本体1の前身ごろ中央部に横一文字に設けたものである。3は上唇、4は下唇であって、該上唇3及び下唇4は前記切開部2を軸にして上下に口を開いた形態で配置したものであり、内部に膨張材(例えば綿)5を入れて厚みをもたせたものである。6は上顎歯列、7は下顎歯列であって上下の歯列を構成する。歯8は個々に分離し且つ夫々が独立して上歯茎9及び下歯茎10に夫々設けた貼着手段11(例えばベルクロ)によって規定数を規定位置に着脱自在に貼着可能に構成する。また、歯8は虫歯や歯垢或いは損傷など、およそ歯科診療の対象となる様々な態様の歯のパーツによって編成されるものであって、歯8の内部に膨張材(例えば綿)5を入れて膨らみをもたせる。12は部分歯茎であって、上歯茎9及び下歯茎10に設けた前記貼着手段11に着脱自在に貼着されるべきものであり、また、該部分歯茎12は、健康な歯茎に対して不健康な歯茎を表現するためのパーツであることから、例えば歯槽膿漏の歯茎を表現するために赤紫の色彩を施すなど病理現象を表す色彩を施したものが複数存在させたものである。13は舌であって、該舌13は、袋状にして開口部14を設け、該開口部14を前記切開部2に下垂状態に取り付けたもので、該開口部14から袋状の舌13の中に手を差し入れて可動自在とする。また、舌13はパフォーマンス性を高めるために赤色を施すことが望ましく、同様に上唇3、下唇4、歯8、上歯茎9、下歯茎10の夫々にも適宜に色彩を施すことが好ましい。15は咽頭であって、口腔内をよりリアルに演出するためのアクセサリーである。
【産業上の利用可能性】
【0010】
歯の状態や舌の運動は、歯や舌の健康そのものに限らず、人体全体の健康維持と密接に関係するファクターをもっていることは言を待たないところであり、これがため、歯の日や歯の週間を設けて歯の健康維持の大切さをアピールし、また、歯科診療所に於いて、或いは保育園・幼稚園・小学校のみならず、高齢者介護施設等に於いても歯の健康の大切さを様々なツールを使用して、歯の健康管理への意識の高揚や知識の普及に努めている現状に鑑み、より効果的なツールの開発が求められているところである。本発明は前記発明の効果に記載するとおり、歯の健康維持に止まらず、同時に舌の健康維持についても極めて有効なアピール効果を有するツールとして産業上の利用可能性は極めて高いものである。
【符号の説明】
【0011】
1、着衣本体
2、切開部
3、上唇
4、下唇
5、膨張材
6、上顎歯列
7、下顎歯列
8、歯
9、上歯茎
10、下歯茎
11、貼着手段
12、部分歯茎
13、舌
14、開口部
15、咽頭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着衣本体1の前身ごろ前面に上唇3及び下唇4を開口状態に配置し、該上唇3及び下唇4に沿って上歯茎9及び下歯茎10を形成すると共に、上歯茎9及び下歯茎10の夫々に貼着手段11を設け、該貼着手段11に歯列を構成すべき規定数の歯8を分離独立して着脱自在に貼着可能とし、且つ歯8は健常歯の他、虫歯・歯垢・損傷等歯の異なる態様のパーツをもって構成し、更に病変を着色表現した部分歯茎12を前記貼着手段11に着脱自在に貼着可能にすると共に、口腔中央に手動自在な袋状の舌13を設けたことを特徴とする歯や舌の健康指導用縫いぐるみ型着衣。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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