説明

歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置

歯の電気化学的白色化は金属塩溶液を歯に適用し、続いて酸化剤を歯に適用し、電流を歯に伝達し、酸化剤を活性化及び還元して歯の白色化を実施する。装置は、第一端(112)及び第二端(114)を有する、物質を歯に適用するアプリケータ(100)、及びアプリケータ(100)内に置くための酸化剤を含み、アプリケータ(100)は第一端(112)に取り付けられた正電荷の第一電極(118)及び第二端(114)に取り付けられた負電荷の第二電極(122)を含み、酸化剤は電流を歯に伝達したときに活性化及び還元を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯を電気化学的に白色化すること、特に歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置に関する。本発明は、(電気化学的活性化及びレドックス反応によって)歯の白色化を実施するために短時間で安全で低いレベルの電流を歯に直接伝達することと組み合わせて、酸化剤を歯に適用することに基づく。本発明の実施は、歯白色化酸化剤を歯に対して安全に適用、送出、又は分配するための優れた制御を与え、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすことを最小にする。本発明は、製造するのに簡単かつ安価であり、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によって、又は歯科医院以外の対象自体によって実施するのに簡単かつ安価であり、商業的に利用可能である。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野及び技術の文脈において、「歯を白色化する(又は歯白色化)」は、一般的に化学的(例えば酸化、還元)及び/又は物理的(例えば機械的、熱的、照射、電気的)工程、手順、技術、又は処置を単独で又は組み合わせて、適用し、歯(即ち、一本の歯又は二本以上の歯)に白色を与える及び/又は歯を白色に戻すことをもたらすことに関する。
【0003】
歯を白色化するために幅広い種類の様々な化学的及び/又は物理的工程、手順、技術又は処置を単独で又は組み合わせて実施される従来技術の教示が多すぎるほど存在し、それぞれの従来技術の教示は様々な特別な利点及び欠点を具備する。
【0004】
例えば、歯を白色化するために、口腔適用又は処置の適切な濃度及び条件での過酸化水素及び/又は他の相対的に強い酸化剤の使用は、最も一般的に教示され、実践されている。かかる「化学的酸化」型の歯白色化技術の間、歯は酸化剤にさらされ、それによって酸化剤は還元され、次に酸化し、おそらく歯を変色する様々な物質(ほとんど有機物質から構成される)を化学的に分解する。しかしながら、歯を白色化するためのかかる技術の適用は一般的に、酸化剤に及び/又は歯に酸化剤を適用、送出もしくは分配するために使用される手段に、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面を偶然に又は防止できずに、望ましくなくさらすことを伴う。さらに、歯を白色化するためのかかる技術の適用は通常、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によってなされる実施を要求し、通常、歯科医院以外の対象自体によって実施可能ではない。
【0005】
歯を白色化するための技術において酸化剤を使用する莫大な量の従来技術の教示にかかわらず、実在する技術を改良し、新しい技術(それは、歯に歯白色化酸化剤を適用、送出、又は分配する制御を改良し、それは、酸化剤に、並びに歯に酸化剤を適用、送出、又は分配するために使用される手段に、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面をさらすことを最小にすることを伴う)を突き止めるための継続する要求がある。
【0006】
従って、上述したような及び他の様々な制限及び欠点を含まない、歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置に対して幅広く認識される必要性があり、それを持つことは極めて有利であるだろう。また、実施にあたって歯に対する歯白色化酸化剤の安全な適用、送出、又は分配の優れた制御を与え、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすのを最小にする、このような発明に対する必要性がある。さらに、製造が簡単でかつ安価であり、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によって又は歯科医院以外の対象自体によって実施することが簡単で、安全でかつ安価であり、そして商業的に適用可能である、このような発明に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、歯を電気化学的に白色化すること、特に歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置に関する。本発明は、(電気化学的活性化及びレドックス反応によって)歯の白色化を実施するために短時間で安全で低いレベルの電流を歯に直接伝達することと組み合わせて、酸化剤を歯に適用することに基づく。本発明の実施は、歯白色化酸化剤を歯に対して安全に適用、送出、又は分配するための優れた制御を与え、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすことを最小にする。本発明は、製造するのに簡単かつ安価であり、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によって、又は歯科医院以外の対象自体によって実施するのに簡単かつ安価であり、商業的に利用可能である。
【0008】
本発明の一側面によれば、歯を電気化学的に白色化する方法であって、以下のことを含む方法が提供される:
金属塩溶液を歯に適用する;
酸化剤を、前記金属塩溶液にさらされた歯に適用する;及び
電流を歯に伝達し、前記酸化剤を活性化及び還元して歯の白色化を実施する。
【0009】
本発明の別の態様によれば、以下のものを含む、歯を白色化するための装置が提供される:
物質を歯に適用するために好適なアプリケータ、但し前記アプリケータは第一端及び第二端を有する;
前記アプリケータの前記第一端に取り付けられた第一電極;
前記アプリケータの前記第二端に取り付けられた第二電極、但し前記第一電極及び前記第二電極は前記アプリケータを通って電流を伝達するように構成される;及び
前記アプリケータ内に設置するために好適な酸化剤、但し前記酸化剤は、前記酸化剤を通る前記電流の伝達で活性化及び還元を受けるように構成される。
【0010】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、金属塩溶液は硝酸銀溶液、水酸化パラジウム溶液、塩化パラジウム溶液、塩化チタン溶液、及び塩化銅溶液からなる群から選択される。
【0011】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、金属塩溶液の適用は酸化剤の適用及び電流の伝達に先行する。
【0012】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、金属塩溶液の適用後に歯を蒸留水で洗浄することを含む。
【0013】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、金属塩溶液の適用は前処理トレーを使用してなされ、前処理トレーは口内への金属塩溶液の漏出を防止するように設計されている。
【0014】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、酸化剤の適用は歯白色化剤の適用を含む。
【0015】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、歯白色化剤は過酸化水素を含む。
【0016】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、酸化剤は白色化溶液、白色化ゲル、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含む溶液、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含むゲル、過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含む溶液、及び過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含むゲルからなる群から選択される。
【0017】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約0.001ボルト〜約12ボルト、より好ましくは約3ボルト〜約9ボルトの範囲の電圧でなされる。
【0018】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約0.001ミリアンペア(mA)〜約30ミリアンペア(mA)の範囲の電流でなされる。
【0019】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約5ミリアンペア(mA)〜約15ミリアンペア(mA)の範囲の電流でなされる。
【0020】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は再充電可能な電池によってなされるか、あるいは酸化剤を適用するための装置に埋め込まれた使い捨て電池によってなされる。
【0021】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、アプリケータは歯科用トレーである。
【0022】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、アプリケータは歯ブラシである。
【0023】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、酸化剤は歯白色化剤である。
【0024】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、歯白色化剤は過酸化水素を含む。
【0025】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、第一端は後方湾曲壁であり、第一電極は正に帯電されている。
【0026】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、第一電極は平坦な金属ストリップである。
【0027】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、装置は、第一電極を歯から隔離するためのスペーサを前記第一電極上にさらに含む。
【0028】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、スペーサは生体適合性プラスチック材料からなる。
【0029】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、第二端は前方壁であり、第二電極は負に帯電されている。
【0030】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、第二電極はばね機構をさらに含む。
【0031】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、前方壁は少なくとも三つの負に帯電された電極を含み、少なくとも三つの電極の各々は単一の歯の少なくとも一部分に前記部分上の接触領域で接触するように構成される。
【0032】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、接触領域は最小にされている。
【0033】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、歯科用トレーは封止リップをさらに含む。
【0034】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、装置は電源をさらに含み、電源は外部電源又は再充電可能な電池又はアプリケータ内に埋め込まれた使い捨て電池である。
【0035】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約0.001ボルト〜約12ボルトの範囲の電圧でなされる。
【0036】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約3ボルト〜約9ボルトの範囲の電圧でなされる。
【0037】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約0.001ミリアンペア(mA)〜約30ミリアンペア(mA)の範囲の電流に対してなされる。
【0038】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、電流の伝達は約5ミリアンペア(mA)〜約15ミリアンペア(mA)の範囲の電流に対してなされる。
【0039】
以下に記載される本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、アプリケータは、ジグザグ形状又は輪郭を有する封止リップを含む上部分を含む。
【0040】
他に特記しない限り、ここで使用される全ての技術的な科学用語は本発明が属する分野の熟練者の一人によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。ここで記載されたものと同様の又は均等の方法及び材料は本発明の実施又は試験に使用されることができるが、好適な方法及び材料は以下に記載される。矛盾する場合には、特許明細書が定義を含め支配するだろう。さらに、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、制限を意図しない。
【0041】
本発明は添付図面を参照して例としてのみここに記載される。特に図面を詳細に参照すると、示された詳細は例示によるものであり、かつ本発明の好ましい実施形態の図示説明の目的のためであり、そして本発明の原理及び概念的側面の記載を容易に理解され最も有用であると思われるものを提供するために与えられることが強調される。この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要であるもの以上に詳細に本発明の構成の詳細を示す試みはなされず、図面とともになされる記載は本発明の幾つかの形が実際にどのように具体化されうるかを当業者に明らかにするだろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態に従った、歯を電気化学的に白色化するための装置の等測図である。
【0043】
【図2】図2a及び2bは、本発明の好ましい実施形態に従った、図1の電気化学的歯白色化装置の横断面図である。
【0044】
【図3】図3a及び3bは、本発明の別の好ましい実施形態に従った、歯を電気化学的に白色化するための装置の概略的横断面図である。
【0045】
【図4】図4a及び4bは、本発明のさらに別の好ましい実施形態に従った、歯を電気化学的に白色化するための装置の概略的横断面図である。
【0046】
【図5】図5は、本発明の別の好ましい実施形態に従った、歯を電気化学的に白色化するための電気化学的歯ブラシの図である。
【0047】
【図6】図6は、本発明に従った、接続された又は閉鎖された構成で交換可能/再充電可能な電源を示す、歯を電気化学的に白色化するための電気化学的装置の別の例示的な好ましい実施形態の透視図を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明に従った、接続されていない又は開放された構成で交換可能/再充電可能な電源を示す、歯を電気化学的に白色化するための電気化学的装置の別の例示的な好ましい実施形態の透視図を示す概略図である。
【0048】
【図8】図8は、特に「ジグザグ」形状又は輪郭を有する封止リップを示す、図6及び7に示された電気化学的歯白色化装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、歯を電気化学的に白色化すること、特に歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置に関する。本発明は、(電気化学的活性化及びレドックス反応によって)歯の白色化を実施するために短時間で安全で低いレベルの電流を歯に直接伝達することと組み合わせて、酸化剤を歯に適用することに基づく。本発明の実施は、歯白色化酸化剤を歯に対して安全に適用、送出、又は分配するための優れた制御を与え、歯でない口腔内要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすことを最小にする。本発明は、製造するのに簡単かつ安価であり、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によって、又は歯科医院以外の対象自体によって実施するのに簡単かつ安価であり、商業的に利用可能である。
【0050】
本発明の主要な側面は、以下の主な手順、構成要素及びその機能を含む、歯を電気化学的に白色化するための方法を提供する:歯に金属塩溶液を適用し、歯に酸化剤を適用し、歯に電流を伝達して酸化剤を活性化及び還元し、歯の白色化を実施する。
【0051】
本発明の別の主要な側面は、以下の主な構成要素及びその機能を含む、歯を電気化学的に白色化するための装置を提供する:歯に物質を適用するために好適なアプリケータ(但し、アプリケータは第一端及び第二端を有する)、アプリケータの第一端に取り付けられた第一電極、アプリケータの第二端に取り付けられた第二電極(但し、第一電極及び第二電極はアプリケータを通って電流を伝達するように構成される)、及びアプリケータ内に設置するための好適な酸化剤(但し、酸化剤は、酸化剤を通る電流の伝達で活性化及び還元を受け、それによって歯の白色化を実施するように構成される)。
【0052】
本発明は、幾つかの側面を含み、歯を白色化する従来技術の教示に対して新規性及び進歩性を持つ特別な技術的特徴を含む。
【0053】
本発明の主要な側面は、電気化学的歯白色化装置の構造及び機能、続いて操作、及び電気化学的歯白色化方法の実施がそれだけで完備し、電気化学的に白色化される歯に対して局在化されることである。即ち、歯を白色化するために電気化学的歯白色化装置の操作時に形成されかつ活性化された電気化学的回路は、処置される歯に歯白色化酸化剤を電気化学的に適用、送出、又は分配するために非口腔内の身体の部分を全く必要としないし、関与しない。
【0054】
本発明の実施は、歯に歯白色化酸化剤を安全に適用、送出、又は分配する制御に優れ、歯でない口腔内構成要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすことを最小にする。
【0055】
前述の新規性及び進歩性の側面に加えて、本発明は、製造するのに簡単かつ安価であり、歯科医院の歯科医によって又は歯科医院以外のものによって実施することが簡単、安全かつ安価である。
【0056】
本発明は、本明細書において他で特別に述べない限り、以下に示す記載、添付図面、及び実施例に述べた、方法の操作又は実施の、手順、工程、及び副工程の順序又は配列、及び数の詳細、又は装置の集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び構成形状、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料のタイプ、組成、構成、配置、順序、及び数の詳細にその用途を限定されないことが理解される。従って、本発明は、他の実施形態であることができ、様々な方法で実践又は実施されることができる。本明細書で図示して記載されたものと同様又は均等である、手順、工程、副工程、及びシステムユニット、システムサブユニット、装置、集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び形状構成、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料は、本発明を実践又は試験するために使用されることができるが、好適な手順、工程、副工程、及びシステムユニット、システムサブユニット、装置、集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び形状構成、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料は、本明細書中で図示して記載され、例示される。
【0057】
また、本開示全体を通して本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的言葉、用語、及び/又は表現は、本明細書において他で特別に規定又は言及しない限り、本発明が属する技術分野の技術の熟練者によって一般に理解されるのと同一又は同様の意味を持つことが理解されるべきである。本開示全体を通して本明細書中で使用される語法、用語法、及び表記は説明の目的のためであって、限定して見なされるべきでない。さらに、本明細書で使用される用語「約」は関連する値の±10%を示す。さらに、上記の背景技術で導入、規定、記載及び/又は例示される全ての技術的及び科学的言葉、用語及び/又は表現は本発明の好ましい実施形態、実施例、及び添付の請求項の記載に均等に又は同様に適用可能である。
【0058】
本発明に従った、歯を電気化学的に白色化するための例示的好適実施形態、代替的好適実施形態、特別な構成、及びその追加の任意及び任意の側面、特徴又は特長の手順、工程、副工程、及び装置及び材料、集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び構成形状、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料、並びに操作及び実施は以下の図示の記載及び添付図面を参照してより良く理解される。以下の図示の記載及び添付図面の全体を通して、同じ参照符号は同じ集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び構成形状、及び周辺装置、ユーティリティ、化学試薬、付属品、及び材料を示す。
【0059】
本発明の方法及び装置の以下の図示の記載において、開示された発明の適切な「具体化」の利用及び実施を十分に理解するために必要とされる、主要な手順、工程、及び副工程、及び主要な集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び構成形状、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料が含まれる。従って、当業者にすぐ知られるか及び/又は本発明の分野に属する従来技術及び技術文献で入手可能である、本発明の実施を具体化することに関して二次的に重要である、様々な可能な予備的な、中間的な、最小の、及び/又は任意の、手順、工程、及び/又は副工程、及び/又はシステムユニット、システムサブユニット、装置、集成体、副集成体、機構、構造、構成要素、要素、及び構成形状、及び周辺装置、ユーティリティ、付属品、化学試薬、及び材料は多くても手短かにしか明細書に記載されない。
【0060】
本発明は、歯を電気化学的に白色化するための方法及び装置に関する。
【0061】
電気化学的理論、原理、及びその実践、及び関連及び関係する用途及びその対象は、幅広い種類の多数の異なる分野及び領域の技術で現在実践されている。本発明の範囲、意味、及び分野又は領域を確立する目的のため、本明細書の以下において本発明を開示するために使用されかつ関連する技術の選択された規定及び例示的な用語の使用方法が与えられる。
【0062】
電気化学−酸化、還元、及びイオン化の反応
用語「電気化学」は一般に、化学反応をもたらすための電気エネルギーの使用又は化学反応による電気エネルギーの発生を取扱う科学として規定される。さらに、もし化学反応が外部電圧によって起こるなら、又はもし電圧が化学反応によって起こるなら、そのとき化学反応は、電気化学的反応である。
【0063】
一般に、電気化学は酸化、還元、及びイオン化の化学反応のタイプを取扱う。一般に、酸化反応は化学種(原子、分子、ラジカル又はイオン)による電子の損失に基づいた化学反応である。一般に、還元反応は化学種(原子、分子、ラジカル又はイオン)による電子の取得に基づく化学反応である。酸化反応及び還元反応の対の又は相補的な組み合わせは一般に「レドックス」反応として言及される。一般に、イオン化は化学種(原子、分子、ラジカル又はイオン)をイオンに変換する工程を指し、また、イオン化される化学種(原子、分子、ラジカル)の状態(但し、イオンは正味の(正又は負の)電荷を有する原子、原子群又は分子である)を指す。一般に、「イオン化可能物質」は、イオン化される化学種の正味の電荷の変化があるように、イオン化されることができる化学種(原子、分子、ラジカル)であるか又はそれを含む物質を指す。
【0064】
一般に、酸化剤(「oxidizer」又は「oxidant」)としても知られる酸化剤(「oxidizing agent」)は(原子及び/又は分子の)酸素をすぐに引き渡す化学化合物を指す。酸化剤はまた、レドックス化学反応において電子を取得(受領)する物質を指し、それによって酸化剤は還元される。
【0065】
上で前述したように、本発明の分野及び技術の文脈において、「歯の白色化」(又は歯白色化)は一般に、化学的(例えば酸化、還元)及び/又は物理的(例えば機械的、熱的、照射、電気的)工程、手順、技術、又は処置を単独で又は組み合わせて実施することを任意の数だけ適用して、歯(即ち、一本の歯又は二本以上の歯)を白色に戻す及び/又は歯に白色を与えることを指す。
【0066】
まず図1を参照されたい。図1は、本発明の好ましい実施形態による、歯への酸化剤の適用時に起こる電気化学的レドックス反応のために好適である電気化学的歯白色化装置41としても本明細書で言及される装置41の等測図である。装置41は、例えば内部に歯の浸漬のための過酸化水素の溶液形態のような過酸化水素の形態であるか又はそれを含む酸化剤を保持するように設計された処置トレーを含む。限定されない態様では、酸化剤の幾つかの追加の例は、白色化溶液、白色化ゲル、過酸化カルバミドの溶液又はそれを含む溶液、過酸化カルバミドのゲル又はそれを含むゲル、過ホウ酸ナトリウムの溶液又はそれを含む溶液、及び過ホウ酸ナトリウムのゲル又はそれを含むゲルからなる群から選択される。
【0067】
装置41は、典型的な歯科用トレーと同様の形状を有し、端区域47で一緒に接合された後方湾曲壁43及び前方湾曲壁45を含む。スペーサ又はくぼみ55は、後方湾曲壁43と前方湾曲壁45の間に構成され、歯に適用されるべき物質、特に酸化剤(例えば過酸化水素溶液又はゲル又は同種の酸化溶液又はゲル)を保持又は含有するために役立つ。後方湾曲壁43は正に帯電された電極49を含む。正に帯電された電極49は、後方湾曲壁43の内部分に取り付けられた薄い可撓性金属ストリップを含む。好ましい実施形態では、正に帯電された電極49はステンレス鋼から構成される。代替実施形態では、電極49はプラチナ、金、又は他の好適な導電性金属、又は金属めっきでめっきされた金属の如き不活性導電性材料から構成される。スペーサ51は、電極49に沿って位置され、装置41内の過酸化水素溶液のような酸化剤と電極49の間の接触を与えながら、電極49と装置41内に位置された歯の間の接触を妨げるように設計される。スペーサ51はプラスチックの如き絶縁材料から構成される。
【0068】
前方湾曲壁45は、接触電極53(それは負に帯電された電極である)を含み、装置41内の歯の前方の少なくとも一部と直接接触して位置されるように設計される。負に帯電された接触電極53は、ばね状機構によって前方湾曲壁45に取り付けられ、接触電極53と歯前方の少なくとも一部の間の接触を確実にする。好ましくは、少なくとも三つの接触電極53が使用され、それぞれが異なる歯の前方の少なくとも一部に接触するように設計される。接触電極53と歯の間の接触領域は最小にされる。好ましい実施形態では、装置41は封止リップ57をさらに含む。
【0069】
代替実施形態では、装置41は加熱可能なプラスチックから構成され、それは設置時に歯及び歯肉上で成形されることができる。Vaseline(登録商標)の如き接着剤又は反発物質を使用して封止をさらに確実にしてもよい。
【0070】
図2a及び2bを参照されたい。それらは図1に示される線A−A及びB−Bのそれぞれに沿った装置41の横断面図である。図2aに示されるように、スペーサ51は歯の後部に接触してもよく、一方(負に帯電された)接触電極53は歯の前方の少なくとも一部に接触するように設計される。図2bに示されるように、スペーサ51は固定され、接触電極はばね状機構によって前方湾曲壁45に取り付けられ、ばね状の性質及び挙動を接触電極53に与える。図2bに示された例示的実施形態では、ばね状の性質及び挙動は、接触電極53を例えば45度の角度で置くことによって達成される。あるいは、実際のばねを使用してばね状の性質及び挙動を接触電極53に与えてもよい。好ましい実施形態では、三つの接触電極53は三つの異なる歯に接触する。接触電極53の接触領域は、水電気分解の競合反応(即ち、水の電気分解)の発生を避けながら歯に電流を伝達するように最小である。
【0071】
図1,2a,及び2bに示されるように、電気化学的歯白色化装置41は平坦な形状又は輪郭を有する封止リップ57を含む。本発明の電気化学的歯白色化装置41の別の例示的な好適実施形態では、封止リップ57は例えば図8に示すような「ジグザグ」形状又は輪郭を持つ。図8は、特に「ジグザグ」形状又は輪郭を有する封止リップ108を示す、図6及び7に示された電気化学的歯白色化装置100を示す概略図である。
【0072】
図3a及び3bを参照されたい。それらはそれぞれ、本発明の別の実施形態による、歯を白色化するための装置40の概略図及び断面図である。装置40は上部トレー42a及び下部トレー42bを含む一組のトレー42を含み、それらのそれぞれはその内部で歯を浸漬するために例えば過酸化水素の溶液形態のような過酸化水素の形態であるか又はそれを含む酸化剤を保持するためのくぼみ44を有する。
【0073】
図3に示すように、トレー42はプラグ及びそこに位置された電極46を有し、それらは導電線48を介して電力源50に接続される。電極はステンレス鋼、プラチナ、金、又は他の好適な導電性材料の如き不活性導電性材料から構成される。好ましい実施形態では、トレー42は生体適合性プラスチック材料の如き非導電性材料から構成される。酸化剤、例えば歯を白色化するための過酸化水素溶液のような過酸化水素の形態と反応しないいかなる生体適合性プラスチック材料もトレー42a及び42bの構成の材料として使用してもよいことは注目されるべきである。
【0074】
トレー42及びくぼみ44は標準的なサイズの歯科用トレーに従って寸法決定される。一つの実施形態では、上部及び下部トレー42は折り曲げブリッジ52を介して互いに接続され、それは折り曲げブリッジ52の領域においてトレーを折り曲げることによって両方のトレー42が歯上に同時に位置されることを可能にする。電極コネクタ54はプラグ56を介して又は他の好適な手段を介して電極48を電力源50に接続する。プラグ56は電力源50に適合するように設計される。さらに、上部及び下部トレー42はソケット58及びソケットコネクタ59を介して互いに接続可能である。ソケット58は、トレー42が折り曲げブリッジ52で折り曲げられるとき、図3aに示されるように、他のトレー、例えばトレー42aの外部リム上に位置されるソケットコネクタ59が二つのトレー42を接続して電気化学的回路を完成するように、トレー42の一つ、例えばトレー42bの外部リム上に位置される。別の実施形態では、トレー42は互いに接続されない。
【0075】
一つの実施形態では、図3aに示されるように、装置40は標準的なAC/DC変換器を有する通常の電力源に接続される。別の実施形態では、再充電可能な電池(1〜12ボルト)が使用される。図4a及び4bに示されたさらに別の実施形態では、容易に輸送可能な使い捨て電池60が装置40に埋め込まれる。
【0076】
本発明の明細書中に図示して記載された実施形態の全てにおいて、電気化学回路は電気化学的歯白色化装置41又は40を通して流れ、使用者の口腔内でない身体の部分を通して流れないことはすぐに明らかであるはずである。この方法では、酸化剤による酸化作用は増大されることができ、従って歯を白色化するために歯による酸化剤の吸収を増大する。さらに、本発明の代替実施形態では、異なるサイズの電気化学的歯白色化装置41又は40は異なるサイズの個人のために与えられる。
【0077】
図5を参照されたい。それは本発明の別の実施形態による電気化学的歯白色化歯ブラシ70の図である。歯ブラシ70は、内部に電池74を有する取っ手72、及びその反対端のヘッド部分75を含む。ヘッド部分75は、その下端部にブラシの毛の部分76を含み、さらに二つの電極78(即ち、上部端上の正に帯電された電極78a及びブラシの毛の領域の負に帯電された電極78b)を有する。電気化学的回路は完成され、電流は正に帯電された電極78a、ブラシの毛の部分76と接触する歯の少なくとも一部、及び負に帯電された電極78bを通して伝達される。歯ブラシは、歯を白色化するために、歯をその中で磨くために、例えば過酸化水素のゲル又はペースト形態の如き過酸化水素の形態である又はそれを含む酸化剤とともに使用されることができる。歯ブラシ70の電気化学的回路、及び伝達される電流は、使用者の口腔内でない身体の部分を通って流れない。
【0078】
図6及び7は、本発明による、接続された又は閉鎖された構成(図6)、及び分離された又は開放された構成(図7)の交換可能な/再充電可能な電力源を示す、歯を電気化学的に白色化するための電気化学的歯白色化装置100の別の例示的好適実施形態の透視図を示す概略図である。
【0079】
図6及び7では、電気化学的歯白色化装置100は、本発明の好適実施形態による、歯を白色化するための酸化剤を含む電気化学的レドックス反応のために使用可能である。装置100は、本発明が歯を白色化するために実施されるとき、歯を浸漬するために、例えば過酸化水素の溶液形態の如き過酸化水素の形態であるか又はそれを含む酸化剤を保持するように設計されたトレーを含む。
【0080】
電気化学的歯白色化装置100では、処置トレー102は上部104及び下部106を有する。図6及び7に示されるように、上部104は、図1,2a及び2bを参照して前に上述した電気化学的歯白色化装置41の封止リップ57と同様の封止リップ108を含むことが好ましい。封止リップ108は、歯肉に接触する、従って封止トレー102を歯肉上に接触するように設計され、歯の電気化学的白色化の間に使用される溶液又はゲル組成物の漏出を実質的に防止する。図6及び7に示されるように、封止リップ57は平坦な形状又は輪郭を有する。電気化学的歯白色化装置100の別の例示的な好適実施形態では、封止リップ108は例えば図8に示されるように「ジグザグ」形状又は輪郭を特徴とする。
【0081】
電気化学的歯白色化装置100では、下部106は空間110を含み、その中で歯は電気化学的歯白色化手順を実施するために適切に位置付けられる。本発明の一つの実施形態では、トレー102はプラスチック材料から構成される。あるいは、生体適合性の接着材料(例えば蜜ろう)を封止リップ108に添加して歯肉上へのトレー102の封止を確保してもよい。
【0082】
電気化学的歯白色化装置100は、端区域116で一緒に接合された前方湾曲壁112及び後方湾曲壁114を含む典型的な歯科用トレーと同様な形状を持つ。後方湾曲壁112は正に帯電された電極118を含む。正に帯電された電極118は、後方湾曲壁112の内部分に取り付けられた薄い可撓性金属ストリップから構成される。好ましい実施形態では、電極118はステンレス鋼から構成される。代替実施形態では、電極118はプラチナ、金、又は他の好適な導電性金属、又は金属めっきでめっきされた金属のような不活性導電性材料から構成される。スペーサ120は、電極118に沿って位置され、装置100内の過酸化水素溶液のような酸化剤と電極118の間の接触を与えながら、装置100内に位置される歯と電極118の間の接触を妨げるように設計される。スペーサ120はプラスチックのような絶縁材料から構成される。
【0083】
前方湾曲壁114は、負に帯電された接触電極122を含み、装置100内の歯の前方と直接接触して位置されるように設計される。負に帯電された接触電極122はばね状機構によって前方湾曲壁114に取り付けられ、接触電極と歯の前方の少なくとも一部の間の接触を確実にする。好ましくは、少なくとも三つの接触電極122が使用され、それらのそれぞれは異なる歯の前方の少なくとも一部に接触するように設計される。接触電極122と歯の間の接触領域は最小にされる。代替実施形態では、装置100は加熱可能なプラスチックから構成され、それは設置時に歯及び歯肉上に形成されることができる。Vaseline(登録商標)のような接着剤又は反発物質を使用して歯肉上への処置トレー102の封止をさらに確実にしてもよい。
【0084】
例示的な好適実施形態では、図6及び7に示すように、電気化学的歯白色化装置100は、約0.001ボルト〜約12ボルトの範囲で作動する使い捨て又は再充電可能な電池を含む携帯電流供給ユニット124bを含む。携帯電流供給ユニット124bは接続装置124aを介して装置100に作動可能に(物理的にかつ電気的に)接続可能である。好ましくは、接続装置124aは前方湾曲壁114の中央部に接続されるか又は取り付けられる。携帯電流供給ユニット124bは例えば雌型構成の電気接触装置126(図7)を介して接触装置124aの一部として含まれる雄型構成の電気接触又はリード装置(図示せず)に物理的にかつ電気的に接続可能である。好ましくは、携帯電流供給ユニット124bは、「パワーオン」の状態、即ち携帯電流供給ユニット124bが電流を電気化学的歯白色化装置100に活動的に供給する状態を示し、それによって電気化学的歯白色化装置100が歯を電気化学的に白色化するための「オン」モードであることを示すために、携帯電流供給ユニット124bの外部端に位置される挿入区域によって示されるような光窓又は表示光を含む。
【0085】
上述したように、歯を電気化学的に白色化するための方法は以下の主要な手順、及びその構成要素及び機能を含む:歯に金属塩溶液を適用し、歯に酸化剤を適用し、歯に電流を伝達して酸化剤を活性化及び還元し、歯の白色化を実施する。
【0086】
従って、上述の電気化学的歯白色化装置による、歯を電気化学的に白色化する方法は本発明の一実施形態によれば以下の通りである。最初に、予備処置手順として、歯は専門的なクリーニングによって又は通常の歯ブラシを使用して徹底的にクリーニングされる。次に、歯は蒸留水で洗浄される。
【0087】
次いで、活性化溶液として機能する金属触媒溶液は、金属の濃度が約0.01重量%〜約3重量%の範囲であるような蒸留水の量で、例えば銀、銅、チタン、又はパラジウムの様々な量の金属又は金属塩、溶液を溶解することによって製造される。代替的な例示的好適実施形態では、金属、又は金属塩、溶液は硝酸銀、水酸化パラジウム、塩化パラジウム、又は塩化銅、塩又は他の好適な活性化剤を含むことができる。一つの特別な例では、100mgの硝酸銀が10mlの蒸留水に溶解される。さらに別の特別な例では、50mgの塩化銅は10mlの蒸留水に溶解される。
【0088】
本願発明の同じ出願人に譲渡された「Ion Exchange Dental Device And Method」の名称のPCT国際公開No.WO 2005/062710に記載されかつ図3に示された予備処置トレー30のような予備処置トレーは、好ましくは歯の全てが吸収材料、例えばスポンジと接触するような方法で歯の上に置かれる。予備処置トレーの封止リップは、予備処置トレーを封止し、口内への溶液の漏出を防止するために、歯肉と接触して置かれる。次いで、予め測定した量の金属触媒(活性化)溶液が注射又は他の充填手段によって予備処置トレー中に導入され、歯と溶液の間の完全な接触が約1分間行われる。あるいは、既知の量の金属触媒(活性化)溶液が、トレーを口内に置く前に予備処置トレー中に置かれる。予備処置後、予備処置トレーは、活性化溶液の口中へのこぼれを避けることに注意しながら、口から除去される。次いで、歯は再び蒸留水で洗浄される。
【0089】
歯の予備処置後、白色化処置が開始される。酸化剤、例えば過酸化水素を含む商業的歯白色化ゲル又は溶液のような歯白色化剤、又は他の好適な酸化剤(例えばイオン、遊離ラジカル供与体)は電気化学的歯白色化装置の上で図示して記載された実施形態のいずれか一つのトレーに置かれ、次いでトレーは全ての歯が酸化剤(白色化剤)と接触するような方法で歯の上に置かれる。限定されない方法では、酸化剤の追加の例は白色化溶液、白色化ゲル、過酸化カルバミドの溶液又はそれを含む溶液、過酸化カルバミドのゲル又はそれを含むゲル、過ホウ酸ナトリウムの溶液又はそれを含む溶液、及び過ホウ酸ナトリウムのゲル又はそれを含む溶液からなる群から選択される。いかなる数のこれらの例示的酸化剤も本発明を実施するために使用されてもよい。
【0090】
電気化学的歯処置装置の電気化学的回路は次いで、約0.001ボルト〜約12ボルトの範囲の電圧を使用して電力源によって活性化される。好ましい実施形態では、電圧は約3ボルト〜約9ボルトの範囲である。電気化学的回路は、予め決められた時間、例えば約3分〜約20分の範囲の時間、開いたままである。好ましくは、電気化学的回路を流れる電流は約30ミリアンペア(mA)を越えない。好ましくは、歯に電流を伝達して酸化剤を活性化及び還元し、歯の白色化を実施することは、約0.001ミリアンペア(mA)〜約30ミリアンペア(mA)の範囲、より好ましくは約5ミリアンペア(mA)〜約15ミリアンペア(mA)の範囲の電流に対してなされる。好ましくは、電流の伝達は、再充電可能な電池を使用することによって、あるいは酸化剤を適用するために使用される電気化学的歯白色化装置内に埋め込まれた使い捨て電池を使用することによってなされる。
【0091】
本発明の追加の目的、利点、及び新規な特徴は、限定されることを意図しない以下の実施例を調査すると当業者に明らかになるだろう。さらに、上で示され、特許請求の範囲でクレームされた本発明の様々な実施形態及び側面は以下の実施例において実験的な支持を見出す。
【実施例】
【0092】
上の記載とともに限定されない様式で本発明を説明する以下の実施例を参照されたい。
【0093】
歯の電気化学的歯白色化
これは、上で図示して記載された歯を電気化学的に白色化する発明を実施する例である。
【0094】
実 験 手 順
新しく抜き取られた人の歯を、使用前に汚染除去のために練り歯磨きで洗浄した。歯は三群(即ち、A群、B群及びC群)に分割された。各群の歯は以下のように15分間、19%(重量/重量)過酸化水素ゲルに浸漬された:
1.練り歯磨きでクリーニング。
2.脱イオン水で洗浄。
3.歯の色の決定。
4.予備処置あり又はなし(各群参照)。
5.脱イオン水。
6.19%(重量/重量)過酸化水素ゲルで15分処置。
7.脱イオン水で洗浄。
8.歯の色の決定。
【0095】
A群(コントロール、n=7試料):予備処置なし、歯は19%過酸化水素ゲルに15分間浸漬、電流なし。
【0096】
B群(n=7試料):予備処置あり、電流あり、歯は19%過酸化水素に15分間浸漬。
【0097】
C群(n=7試料):予備処置なし、電流あり、歯は19%過酸化水素に15分間浸漬。
【0098】
・ 予備処置=金属塩溶液に30〜60秒間、歯を浸漬。
・ 過酸化水素=過酸化水素、化学純度、35%(Finkelman Ltd製)。
【0099】
Δ=処置後の歯の色−処置前の歯の色に相当する歯の色のデルタ又は変化。
歯の色は値重視型の歯の色相のガイドタブ(Vita,Zahnfabrik,ドイツ)を使用して決定された。色相タブは製造者によって示唆された順序で配置され、各色相タブは1〜16(Bl,A1,B2,・・・,など)の数値範囲を割り当てられた。歯の色を決定するために、歯の標本が黒の背景上に置かれた。
【0100】

【0101】
実 験 結 果
上記の実験に対する結果は以下の表1にまとめられる。
【0102】

【0103】
B群からの歯は、歯白色化手順の適用後の歯の色において最も大きな平均変化(即ち、6.4)を示した。A群(コントロール)及びC群からの歯は、それぞれ示された実験制御条件下で歯の色において有意に低い平均変化(それぞれ2.4及び1.9)を示した。
【0104】
本発明は、上で図示して記載し例示したように、幾つかの有益かつ有利な側面、特徴、及び特長を有し、それらは上で図示して記載した新規性及び進歩性の主な側面に及び/又はその結果に基づいている。
【0105】
本発明の実施は、歯に歯白色化酸化剤を安全に適用、送出、又は分配する優れた制御を与え、歯でない口腔内構成要素、例えば歯肉及び組織外部表面を酸化剤にさらすことを最小にする。
【0106】
本発明は、製造するのに簡単かつ安価であり、歯科医院で治療される対象とともに歯科医によって、又は歯科医院以外の対象自体によって実施するのに簡単かつ安価であり、商業的に利用可能である。
【0107】
従って、上で示した新規性及び進歩性、及び有益かつ有利な側面、特徴、及び特長に基づいて、本発明は歯白色化の処置のために現在知られている技術の欠点及び制限にうまく対処して克服し、その範囲を広げる。
【0108】
明確化のため別個の実施形態で記載される本発明の特定の特徴は単一の実施形態を組み合わせて与えられてもよいことが認識される。逆に、簡潔さのため単一の実施形態で記載される様々な特徴の発明は別個に又はいかなる好適なサブコンビネーションで与えられてもよい。
【0109】
本発明はその特定の実施形態と結合して記載されたが、多くの代替例、変更例及び変形例が当業者に明らかであることは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にある全てのかかる代替例、変更例及び変形例を包含することを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯を電気化学的に白色化する方法であって、以下のことを含む方法:
金属塩溶液を歯に適用する;
酸化剤を、前記金属塩溶液にさらされた歯に適用する;及び
電流を歯に伝達し、前記酸化剤を活性化及び還元して歯の白色化を実施する。
【請求項2】
前記金属塩溶液が硝酸銀溶液、水酸化パラジウム溶液、塩化パラジウム溶液、塩化チタン溶液、及び塩化銅溶液からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属塩溶液の適用が前記酸化剤の適用及び前記電流の伝達に先行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属塩溶液の適用後に歯を蒸留水で洗浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属塩溶液の適用が前処理トレーを使用してなされ、前記前処理トレーが口内への前記金属塩溶液の漏出を防止するように設計されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤の適用が歯白色化剤の適用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記歯白色化剤が過酸化水素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化剤が白色化溶液、白色化ゲル、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含む溶液、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含むゲル、過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含む溶液、及び過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含むゲルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電流の伝達が約0.001ボルト〜約12ボルトの範囲の電圧でなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電流の伝達が約3ボルト〜約9ボルトの範囲の電圧でなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電流の伝達が約0.001ミリアンペア(mA)〜約30ミリアンペア(mA)の範囲の電流でなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電流の伝達が約5ミリアンペア(mA)〜約15ミリアンペア(mA)の範囲の電流でなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記電流の伝達が再充電可能な電池によってなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電流の伝達が前記酸化剤を適用するための装置に埋め込まれた使い捨て電池によってなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
以下のものを含む、歯を白色化するための装置:
物質を歯に適用するために好適なアプリケータ、但し前記アプリケータは第一端及び第二端を有する;
前記アプリケータの前記第一端に取り付けられた第一電極;
前記アプリケータの前記第二端に取り付けられた第二電極、但し前記第一電極及び前記第二電極は前記アプリケータを通って電流を伝達するように構成される;及び
前記アプリケータ内に設置するために好適な酸化剤、但し前記酸化剤は、前記酸化剤を通る前記電流の伝達で活性化及び還元を受け、それによって歯の白色化を実施するように構成される。
【請求項16】
前記アプリケータが歯科用トレーである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記アプリケータが歯ブラシである、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記酸化剤が歯白色化剤である、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記歯白色化剤が過酸化水素を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記酸化剤が白色化溶液、白色化ゲル、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含む溶液、過酸化カルバミドからなるか又はそれを含むゲル、過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含む溶液、及び過ホウ酸ナトリウムからなるか又はそれを含むゲルからなる群から選択される、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記第一端が後方湾曲壁であり、前記第一電極が正に帯電されている、請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記第一電極が平坦な金属ストリップである、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第一電極を歯から隔離するためのスペーサを前記第一電極上にさらに含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記スペーサが生体適合性プラスチック材料からなる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第二端が前方壁であり、前記第二電極が負に帯電されている、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
前記第二電極がばね機構をさらに含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記前方壁が少なくとも三つの前記負に帯電された電極を含み、前記少なくとも三つの電極の各々が単一の歯の少なくとも一部分に前記部分上の接触領域で接触するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記接触領域が最小にされている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記歯科用トレーが封止リップをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項30】
電源をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項31】
前記電源が外部電源である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記電源が再充電可能な電池である、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記電源が前記アプリケータ内に埋め込まれた使い捨て電池である、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記電流の伝達が約0.001ボルト〜約12ボルトの範囲の電圧でなされる、請求項15に記載の装置。
【請求項35】
前記電流の伝達が約3ボルト〜約9ボルトの範囲の電圧でなされる、請求項15に記載の装置。
【請求項36】
前記電流の伝達が約0.001ミリアンペア(mA)〜約30ミリアンペア(mA)の範囲の電流に対してなされる、請求項15に記載の装置。
【請求項37】
前記電流の伝達が約5ミリアンペア(mA)〜約15ミリアンペア(mA)の範囲の電流に対してなされる、請求項15に記載の装置。
【請求項38】
前記アプリケータが、ジグザグ形状又は輪郭を有する封止リップを含む上部分を含む、請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−542301(P2009−542301A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517605(P2009−517605)
【出願日】平成19年7月1日(2007.7.1)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000811
【国際公開番号】WO2008/001388
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509002109)フルオリネックス アクティヴ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】