説明

歯ブラシ用ブラシヘッド

本発明は、歯ブラシ用ブラシヘッドに関するものである。このブラシヘッドは、ブラシ本体(2)に回転可能に取り付けられたブラシディスク(3)と、ケア剤を適用するための開口部が設けられたダクト(7)と、ダクト(7)を開くためのバルブ(12)として機能し、かつブラシディスク(3)のためのピボット軸受として機能する複合部品(6)とを有している。この複合部品(6)は、その一方の端部に硬い金属製チューブ(8)を備え、この端部でダクト(7)と接続されている。複合部品(6)のもう一方の端部には、弾性素材からなるバルブ(12)が配置されている。複合部品(6)のチューブ(8)は、固定状態でブラシ本体(2)と接続されており、例えばブラシ本体(2)の中に押し込まれている。ブラシディスク(3)は、チューブ(8)に回転可能に取り付けられている。このバルブ(12)は、好ましくはスロット(13)が設けられたスロットバルブとして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ本体の中で回転可能に取り付けられているブラシディスクと、ケア剤を適用するための開口部とを有する、歯ブラシ用ブラシヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプを介してケア剤をブラシヘッドに供給できる手動歯ブラシ及び電動歯ブラシはすでに知られている。ユーザーにとって、もっとも快適であるのは、ケア剤が直接ブラシヘッドに送り出され、歯磨きの間も供給が可能な場合である。ブラシヘッドが可動ブラシディスクを有している電動歯ブラシの場合、ケア剤は、固定されたネックピースから可動ブラシディスクの中に供給されなければならない。このことは、一方で、ブラシヘッドの固定部分、可動部分及びブラシディスクの可動支持部との間における気密性に関して、困難な問題を引き起こす可能性がある。他方では、ケア剤の供給ダクトの乾燥を防ぐための措置を講じる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、回転可能に取り付けられたブラシディスクと、ケア剤を適用するための開口部が設けられたダクトとを有し、上述の困難な問題が回避される、取付けの簡単なブラシヘッドを提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、ブラシヘッドが複合部品を有しており、この複合部品は、その一方の端部に、好ましくは弾性材料からなり、例えばスロットバルブとして構成されている密閉装置を備え、もう一方の端部は、ケア剤を供給することのできるダクトと接続されている。この端部は、好ましくは、ブラシディスクのピボット軸受として適する硬質素材からなるチューブ形のスリーブを備えている。
【0005】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項の中に示されている。
【0006】
このブラシヘッドは、歯ブラシのハンドグリップ部に取り付けることのできるアタッチメントブラシの一部でもよく、しかし、また、ブラシディスクだけ交換可能である歯ブラシの一部でもよい。複合部品は、ブラシヘッドのブラシ本体と固く接続されており、このブラシヘッドの中に、ケア剤を供給するためのダクトが構成されている。
【0007】
このブラシヘッドは、口腔内を手入れする液体又はペースト状の材料を収納するための容器を有する歯ブラシ用に考案されている。この材料としては、歯を洗浄するための物質並びに口腔内の洗浄及びケアのための一般薬剤、例えば虫歯予防、歯肉炎治療、口臭予防、歯の漂白又は光沢、歯の硬質成分の再石灰化、知覚過敏の脱感作などの薬剤がある。これらのケア剤は、ダクトを介してブラシディスクに供給され、バルブを介して送り出される。ケア剤は、交換可能な袋又はカートリッジの中に充填され、ハンドグリップ部に収容しておくことができる。ケア剤の供給は、好ましくは、ユーザーが手動で操作するか、又は、例えば電気モータによって駆動するポンプを介して行われる。
【0008】
ケア剤の乾燥又は口腔内雑菌の混入を防止するため、ダクトの出口にはバルブが取り付けられている。このバルブは、2つのコンポーネントから製造されている複合部品の一部である。ブラシディスクから突き出しているコンポーネントは、弾性素材から作られている。この素材としては、エラストマー群(例えば、ゴム化合物、シリコーン、NBR又はEPDM)又は特別に熱可塑性エラストマー(TPE)がある。バルブを確実に固定し、ブラシ本体に対して密閉するために、2番目のコンポーネントには硬質素材が使用される。好ましい実施形態においては、弾性バルブがゴムから製造され、2番目のコンポーネントがスチールから製造され、加硫プロセスによって相互に固く接続される。スチールからのゴムの剥離強さは、応力が高い場合にゴムが自然にスチールから剥がれるのではなく、ゴムが裂けるほど高く調整することができる。同様のことは、2コンポーネント射出成形法で製造され、硬質プラスチック及びTPEからなる複合部品でも実施することができる。
【0009】
この複合部品は、その一方の端部にスチールチューブを備え、このチューブを通ってケア剤が供給されることが好ましい。このスチールチューブは、その一方の端部が、固定状態でブラシヘッド内に取り付けられている。スチールチューブ又は複合部品のもう一方の端部には、柔軟バルブが配置されている。これによって、チューブと弾性バルブとの間、並びにブラシ本体とバルブとの間のシール面が動いて擦れてしまうことがない。このような種類の固定によって、例えば研磨剤入りの練り歯磨きの影響で、極端に速く摩耗してしまうと思われるシール面の動きは全くなくなる。バルブは、ブラシディスクの中で十分に大きな穴を通っているので、同様に、半径方向に摩擦面はなく、したがって、柔軟バルブ本体に摩耗の発生するおそれはない。
【0010】
前面のみは、ブラシディスクと金属チューブとの間で、摩擦が生じる可動面(突合わせ面16)である。この点に関しては、しかしながら、ブラシディスクのプラスチック部分に主として生じる摩耗が機能に悪影響を与えることはない。弾性バルブ12は、好ましくは金属チューブ8の内部にあるので、金属チューブの外部シリンダー表面がブラシディスクの摺動面として機能することができる。好ましい実施形態では、ブラシディスク3の穴に、金属スリーブ9が押し込まれており、それによって、金属が金属の上で動くため、練り歯磨きの影響があっても摩耗の発生は極めて小さい。金属部品は極めて精密に製造することができるため、非常に正確なすき間嵌めを低コストで実施することができる。
【0011】
2つのコンポーネントからなる複合部品6は、好ましくはブラシ本体の中で、ケア剤が供給されるダクト7の中に押し込まれている。それでも、プレス嵌めから複合部品の緩みが生じるという場合には、複合部品をブラシディスク3によって更にその位置に保持することによって、複合部品を脱落から防止する。金属チューブ8をブラシ本体2の穴に押し込むことにより、金属チューブ8とダクト7とは、互いに密接に接続される。密閉のためのOリングのような補助部品は必要ない。
【0012】
このブラシディスクは、前面で、ブラシ本体の方向へのストッパとして、平行な突合わせ面によって一方方向に対して固定されている。この突合わせ面は、多段階で構成されている。まず、面16が、ブラシディスクの穴の下方で金属チューブを支持している。この面が摩耗した場合は、次に面17、その後に面18が、ブラシ本体2の対応する対抗面と接触する。本発明に基づき、これらの面は、摩擦半径のもっとも小さな16から、もっとも大きな18まで順番に消耗していく。これによって、新しいブラシは、摩擦損失がもっとも少ないため、最大の効率を有することが確実になる。耐用年数が上昇することによって初めて、システム内の摩擦損失はわずかに増加する。ブラシディスクのもう一方の方向への脱落は、ブラシ本体に取り付けられた金属製ロッキングピン10によって防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明を、図に示された実施例を使って更に詳しく説明する。
【図1】ブラシ本体2及び可動ブラシディスク3が設けられた、電動歯ブラシ用の交換可能なアタッチメントブラシ。この可動ブラシディスクには、周知の方法で洗浄エレメント4、5が取り付けられている。
【図2】ブラシディスク3が取り付けられているブラシ本体2を有するブラシヘッド。ディスクの中央には穴があり、この穴を通して、柔軟素材から作られた複合部品6が現れ、ブラシディスクから突き出ている。打ち込まれたロッキングピン10は、ディスク3が外れるのを防止する。
【図3】ブラシヘッドの断面。ケア剤は、アタッチメントブラシからダクト7の中に供給される。ケア剤は、そこから金属チューブ8を通り柔軟バルブ12の中へ送られ、スロット13から流れ出ることができる。金属チューブ18は、ブラシ本体2の中に押し込められている。バルブ12は、ブラシの毛4及び柔軟なエレメント5が固定されているブラシディスク3の穴から出ている。このブラシディスク3は、ブラシ本体2の上に取り付けられている。ブラシディスク3は、軸方向に、ロッキングピン10によって外れないように固定されている。金属スリーブ9は、ブラシディスクが回転するための摺動面として機能し、このスリーブは、ブラシディスク3の穴に押し込められている。金属スリーブ9は、バルブの金属チューブ8とともに、ブラシディスク3の支持部を構成している。もっとも小さな摩擦半径をもつ、ブラシ本体2に対するブラシディスク3の軸方向の突合わせ面は、面16であり、次に面17が接触する。ブラシディスクが両方の面16及び17を使い込んでしまった場合、最後に、もっとも大きな摩擦半径をもつ面18が使用される。駆動エレメント11は、好ましくは振動回転運動にブラシディスク3を置き換えることができる。
【図4】金属チューブ8及びケア剤を出すスロット13が設けられた柔軟バルブ12からなる複合部品6。柔軟素材の弾性によって、このスロット13は、通常は閉じられており、内部から圧力が加わった場合にのみ開く。したがって、このバルブはチェックバルブとして作用し、一方向にのみ開く。
【図5】金属チューブ8、弾性バルブ12及びスロット13が設けられた複合部品6の断面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ブラシヘッドの全個別部品は、考えられるすべての使用条件の下で、ブラシヘッドと確実に接続されている。口腔内の小さな、外れやすい部品は、呑み込む危険があるばかりではなく、不利な状況では肺に達してしまうおそれもある。したがって、全部品がブラシヘッドに100%固定されていることは、安全性の理由から絶対に必要である。本発明に基づいて、排出バルブに関し、このことは、回転可能なブラシディスクのマウンティング及び柔軟な排出バルブが複合部品として製造されることによって解決される。口腔内でのバルブの緩みは、上述の構造の場合、ほとんど回避される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ本体に回転可能に取り付けられたブラシディスクと、ケア剤を適用するための開口部が設けられたダクトとを有する、歯ブラシ用ブラシヘッドであって、
前記ダクト(7)を開くためのバルブ(12)として機能し、かつ前記ブラシディスク(3)のためのピボット軸受として機能する複合部品(6)を有していることを特徴とする、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記複合部品(6)は、その一方の端部に、硬質素材からなるチューブ(8)を備え、もう一方の端部に、弾性素材からなる前記バルブ(12)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記複合部品(6)の前記チューブ(8)が、固定状態で前記ブラシ本体(2)と接続されており、例えば前記ブラシ本体(2)の中に押し込まれていることを特徴とする、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記ブラシディスク(3)が前記チューブ(8)に回転可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
前記チューブ(8)が金属からなることを特徴とする、請求項2、3又は4に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
前記バルブ(12)が、スロット(13)が設けられたスロットバルブとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記バルブ(12)がゴムからなり、前記チューブ(8)がスチールからなり、該バルブ及び該チューブが加硫プロセスによって相互に固く接続されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記ブラシディスク(3)が、スリーブ(9)が押し込まれているラジアル軸受穴を有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のブラシヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−529872(P2010−529872A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511527(P2010−511527)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004476
【国際公開番号】WO2008/155025
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591027846)ブラウン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (50)
【氏名又は名称原語表記】Braun GmbH
【Fターム(参考)】