説明

歯ブラシ

多角形の頂点に配置される少なくとも3つの長手方向に伸びた柔軟な支柱(16、17、18)を有するハンドル(11)を有し、ここで支柱の間の隙間には支柱同士を連結するエラストマー(114)材料が存在する、歯ブラシ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシ、特に歯ブラシのハンドル構成に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは周知の物品であり、通常はヘッドとグリップハンドルとを有し、一般にその間に細いネック領域があり、このすべてがヘッド−ハンドル長手方向に沿って配置されている。通常、歯ブラシは主に、硬いプラスチック材料、例えばポリプロピレンまたはスチロールアクリルニトリル(「SAN」)でできている。多くは2成分歯ブラシといわれ、そのようなプラスチックでできた部分(例えば一体的に作られたヘッド、およびハンドルの主要構造部、ならびに何らかの中間ネック部、本明細書では「骨格」と呼ぶ)、ならびに、軟質の弾性的なエラストマー(例えばSantopreneTMなどの熱可塑性エラストマー)でできた部分(例えばこれがグリップハンドルの一部を構成し、握りやすくする、審美的外観を改善する、または柔軟性に影響を及ぼす)を有する。かかる歯ブラシは、例えば、特許文献1〜4などに開示されている。
【0003】
歯ブラシヘッドは、一般的に、毛などの口腔衛生部分を有し、それらはヘッドから植毛方向に突き出ている。かかる口腔衛生部分は一般に細長いものである。本明細書において用いる「植毛方向」という用語は、任意の種類の細長い口腔衛生部分が伸長する方向を指す。
【0004】
通常、歯ブラシを製造する方法では、その構造の硬質プラスチック材料部分、いわゆる「骨格」を最初に、一般に射出成形により製造する。次にこのプラスチック部分を、エラストマー材料部分の形状を規定する金型キャビティーに封入し、流体状態の第2成分のエラストマー材料をこの金型キャビティー内に注入して、エラストマー材料部分を形成する。通常、プラスチック材料骨格は、この第2の材料を受けるための1以上のキャビティーを有するように形成される。
【特許文献1】米国特許第5,054,154号
【特許文献2】米国特許第6,292,973号
【特許文献3】米国特許第5,735,012号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 336 641号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歯ブラシを改良するに当たっての現行の課題は、例えば、過剰な歯磨き力を吸収するために歯ブラシの性能を改良すること、使用者の手の輪郭に当てはまるようにすること、および使用者の手中にあるときの感触を改善することなどである。本発明は、こうした課題の解決に取り組む。本発明の他の目的および効果は以下の記載から自明である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、歯ブラシは、歯ブラシヘッドに連結されているまたは連結可能な第1端部、および長手方向でこれと反対側にある第2端部を有する細長いハンドルを含んでなり、このハンドルは少なくとも3つの長手方向に伸びた柔軟な支柱を有し、前記支柱は長手方向に垂直な平面上に描かれた多角形の頂点に配置され、支柱の間の隙間には支柱同士を連結するエラストマー材料が存在する。
【0007】
2以上の、好ましくはすべての支柱が、ハンドルの第1端部および第2端部の近傍で会合することが適当である。支柱は、互いに、および歯ブラシのヘッドと、およびハンドル−ヘッド間のネック部分と、一体的に製造される。
【0008】
例えば一実施形態においては、三角形である多角形の頂点に配置される、3つのそのような支柱があってもよい。そのような三角形は正三角形または二等辺三角形であることが適当である。二等辺三角形については、2つの等しい辺の間の二等分線は、適切には植毛方向と同じまたはそれと反対を指す。
【0009】
例えば一実施形態においては、第1端部と第2端部の間に長手方向の中間点があってもよく、第1端部と中間点との間にハンドルの第1部分があり、そして第2端部と中間点との間にハンドルの第2部分があり、かつ、第1部分と第2部分における多角形のそれぞれの幾何学的配置(orientation)は、長手方向に垂直な反転軸に沿って反転していてもよい。かかる実施形態では、それぞれの多角形は、前記2つの部分において寸法が異なってもよい。
【0010】
例えばこの実施形態において、ヘッドは、そこから長手方向に対して横断方向(いわゆる「植毛方向」)に突き出す毛などの歯清掃部材を有してもよく、前記反転軸は、歯清掃部材が突き出す方向に平行でありうる。例えば、多角形は三角形であってもよく、第1部分で底辺−頂点方向は植毛方向とは反対の方向を向き、第2部分で底辺−頂点方向は植毛方向を向いていてもよい。
【0011】
この実施形態において、支柱は、長手方向に沿って、波形の形状であってもよく、そのことにより前記の支柱は第1端部と第2端部の間の長手方向の中間点において、前記2つの端部が位置するように描かれる平面を横切る。そのような平面は、一般に、ヘッドからの歯清掃部材、例えば毛、の方向に垂直でありうる。
【0012】
支柱は、そして好ましくはヘッドやあらゆるネック部分は、好ましくは、歯ブラシが慣用的に製造されるポリプロピレンやポリアミドのような典型的なプラスチック材料から製造される。エラストマー材料は、適当には、歯ブラシに慣用的に使用される種類の熱可塑性エラストマー材料であり、例えばいわゆる「Santoprene」材料である。エラストマー材料は適当には軟質の材料であり、例えば典型的にはショアA硬度が5〜30の範囲、典型的には約20である。
【0013】
本明細書に開示する歯ブラシハンドルは、公知の種類の歯ブラシヘッドに適している。本明細書における「歯ブラシヘッド」なる用語は、毛、エラストマー口腔衛生部分および他の口腔衛生部分が組み込まれたヘッドを含む。
【0014】
本発明の歯ブラシは、射出成形の従来方法により製造することができ、その方法では最初に歯ブラシのプラスチック材料部分を射出成形工程により製造し、次いで第2段階でこうした歯ブラシのプラスチック材料部分を射出成形金型の中に封入し、歯ブラシのエラストマー材料部分がプラスチック材料部分と接触するように形成する。この第2段階における射出成形の圧力と温度を選択することにより、エラストマー材料をプラスチック材料にしっかり結合させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の歯ブラシハンドルの構成は、使用者の手に収まる際のハンドルの柔軟性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これより本発明を、図面を参照しながら例示のみの目的で説明する:
図1および図3は、それぞれ、本発明の歯ブラシの側面図および平面図を示す。
【0017】
図2および図4 は、エラストマーが存在しない場合の本発明の歯ブラシのプラスチック材料骨格の、図1および図3に対応する側面図および平面図を示す。
【0018】
図5、図6および図7は、それぞれ、線A−A、B−BおよびC−Cにおける断面図を示す。
【0019】
図1および図3を参照すると、歯ブラシ10全体が示されており、これは歯ブラシヘッド13に連結された第1端部12、および長手方向でこれと反対側にある第2端部14を有する細長いハンドル11を有する。歯ブラシ10には、全体的な長手方向L−Lがあり、これに沿ってヘッドとハンドルがある。ヘッド13は歯清掃部材15を有し、これはヘッドから、矢印により示される長手方向L-Lに垂直な方向(いわゆる「植毛方向」)に突き出た毛である。
【0020】
図2、図4、図5、図6および図7でより明確に確認することができるように、ハンドル11は、3つの長手方向に伸びる柔軟な支柱16、17、18を有し、該支柱は長手方向L-Lに垂直な平面上に描かれた二等辺三角形の頂点に配置されている。ヘッド13および支柱16、17、18は、歯ブラシに一般的に使用されるようなあるグレードのポリプロピレンなどのプラスチック材料から、一体的に製造される。支柱16、17、18は一般的には断面が長方形であり、かつ厚さ約1〜2 mmである。支柱は3つとも、ハンドル11の第1端部12および第2端部13の近傍で会合している。図6に示すB−Bにおける断面図は、支柱16、17、18がこの点では連結されていないことを示すが、別の構成ではこれらの支柱はここで一体的に連結されていてもよい。断面図では円形として示されているが、ハンドル11は、使用者が歯ブラシハンドルを握るのに都合のよいまたは心地よいどのような断面形であってもよい。
【0021】
ハンドル11とヘッド12の間にはネック部分19があり、これもまたプラスチック材料から一体的に製造される。
【0022】
ハンドル11の第1端部12と第2端部14との間には長手方向の中間点110があり、第1端部12と中間点110との間にはハンドル11の第1部分111が、そして第2端部14と中間点110との間にはハンドル11の第2部分112がある。図5においてより明確に示されているように、ハンドル11の第1部分111では、支柱16、17、18の三者間の配置は、三角形の頂点が、矢印により示される植毛方向とは反対の方向を向くように配置される。図7においてより明確に示されているように、ハンドル11の第2部分112では支柱16、17、18の三者間配置は、頂点が、矢印により示される植毛方向を向くように配置されており、このため、2つの部分111、112における三者間配置の相対的な向きは、長手方向L-Lに垂直でかつ植毛方向に平行な反転軸に沿って反転している。しかしながら、前記2つの三角形は寸法(例えば2つの部分111、112中のそれらの辺の長さ)が異なり、また、前記2つの三角形の相対的な向きは示されているそれと逆であり得る。
【0023】
示されているように、支柱16、17、18は、長手方向に沿って、滑らかに湾曲した波形の形状であり、そのため、2つの端部12、14の間の長手方向の中間点において、支柱16、17、18は、互いに反対側にある2つの端部12と端部14が位置するように描かれる平面(図2中の点線「P」により示される)を横切る。平面Pは、通常、ヘッド13からの毛15の方向に対して垂直である。
【0024】
支柱16、17、18の間の隙間113には、エラストマー材料114があり、これが支柱16、17、18を連結し、かつ球状の端部分111、112および中間点110の付近の細くなったくびれ部分を有する歯ブラシハンドルの外形を規定する。エラストマー材料114は、歯ブラシに慣用的に使用される種類の熱可塑性エラストマー材料であり、例えばいわゆる「Santoprene」材料である。エラストマー材料は適切には、例えば一般的にはショアA硬度が5〜30の範囲、典型的には約20である、軟質の材料である。エラストマー性材料114は、着色されたまたは無色の、透明または半透明材料であってもよく、それにより歯ブラシの内部構造、すなわち3つの支柱16、17、18を、審美上の特徴として、見ることができる。
【0025】
本発明の歯ブラシは、射出成形の方法により製造され、該方法では最初にプラスチック材料部分13、16、17、18、19を射出成形工程により製造し、次いで第2段階では少なくとも歯ブラシのプラスチック材料部分16、17、18を射出成形金型の中に封入し、歯ブラシのエラストマー材料部分114がプラスチック材料部分16、17、18と接触するように成形される。この第2段階における射出成形の圧力と温度を選択することにより、エラストマー材料114をプラスチック材料部分16、17、18にしっかり結合させることができる。
【0026】
示されているように、支柱16、17、18は十分に細いため使用者が加える手の圧力の元で柔軟であり、この柔軟性はエラストマー材料114の存在により高められる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の歯ブラシの側面図を示す。
【図2】エラストマーが存在しない場合の本発明の歯ブラシのプラスチック材料骨格の、図1に対応する側面図を示す。
【図3】本発明の歯ブラシの平面図を示す。
【図4】エラストマーが存在しない場合の本発明の歯ブラシのプラスチック材料骨格の、図3に対応する平面図を示す。
【図5】図2の線A−Aにおける断面図を示す。
【図6】図2の線B−Bにおける断面図を示す。
【図7】図2の線C−Cにおける断面図を示す。
【符号の説明】
【0028】
10 歯ブラシ全体
11 ハンドル
12 第1端部
13 歯ブラシヘッド
14 第2端部
15 歯清掃部材
16 支柱
17 支柱
18 支柱
19 ネック部分
110 長手方向の中間点
111 第1部分
112 第2部分
113 支柱の間の隙間
114 エラストマー材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシヘッドに連結されているまたは連結可能な第1端部、および長手方向でこれと反対側にある第2端部を有する細長いハンドルを有する歯ブラシであって、該ハンドルが少なくとも3つの長手方向に伸びた柔軟な支柱を有し、それらの支柱が長手方向に対して垂直な平面上に描かれる多角形の頂点に配置され、該支柱の間の隙間に支柱同士を連結するエラストマー材料が存在する、前記歯ブラシ。
【請求項2】
2以上の支柱がハンドルの第1端部および第2端部の近傍で会合している、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
すべての支柱がハンドルの第1端部および第2端部の近傍で会合している、請求項3に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
支柱は、互いに、および歯ブラシのヘッドと、およびハンドル−ヘッド間のネック部分と、一体的に製造されたものである、請求項1、2または3に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
三角形の頂点に配置される3つの支柱がある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
三角形が正三角形または二等辺三角形である、請求項5に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
第1端部と第2端部との間に長手方向の中間点があり、第1端部と中間点との間にハンドルの第1部分があり、第2端部と中間点との間にハンドルの第2部分があり、かつ、該第1部分と第2部分における多角形のそれぞれの幾何学的配置(orientation)が、長手方向に垂直な反転軸に沿って反転している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
ヘッドが、ヘッドから長手方向に対して横断方向に突き出した歯清掃部材を有し、かつ反転軸が歯清掃部材の突き出す方向に平行である、請求項7に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
多角形が三角形であり、かつ、第1部分において底辺−頂点方向が植毛方向と反対の方向を向き、第2部分において底辺−頂点方向が植毛方向と反対の方向を向いている、請求項7または8に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
支柱が長手方向に沿って波形の形状であり、そのことにより支柱が、互いに反対側にある2つの端部の間の長手方向の中間点において、前記2つの端部が位置するように描かれる平面を横切る、請求項7、8、または9に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
エラストマー材料が、5〜30の範囲のショアA硬度を有する熱可塑性エラストマー材料である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−544785(P2008−544785A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518751(P2008−518751)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006414
【国際公開番号】WO2007/003387
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(501390806)グラクソスミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (20)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline Consumer Healthcare GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】