説明

歯科治療ユニット

【課題】根管長測定に使用するプローブ線を術者の近傍に配置されているワークテーブルに効果的に取り付け可能とし、もって、根管長測定作業を効率化し、更には、根管長測定用プローブの紛失等を防止する。
【解決手段】根管長測定用プローブ線42を収容するプローブ線巻取り具は、ワークテーブル8の側面S又は前面Fに一体的に又は面テープその他任意所望の手段により取り付けられている。図1(B)に示した巻取り装置は、ワークテーブル8の側面又は前面に取り付けられる基板50に、所定の間隔を隔てて突出する2本のバー51,52から成り、これら2本のバー51,52間に、根管長測定プローブ線42を巻き付けて取り付ける。図1(C)に示した巻取り装置は、ワークテーブル8の側面S又は前面Fに糸巻取りボビン(糸巻き)60を設け、このボビン60に根管長測定プローブ線42を巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療ユニット、より詳細には、根管長測定具を具備する歯科治療ユニットにおいて、根管長測定に使用するプローブ(根管長測定用リード線)を該歯科治療ユニットに効果的に収納可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、歯科治療ユニットの一例を説明するための全体構成図で、該歯科治療ユニットは、治療椅子1、スピットン2、給排水及びコントロールボックス3、無影灯4、インスツルメントホルダー5、インスツルメント6、インスツルメントホース7、ワークテーブル8、フットスイッチ9等から成り、インスツルメントホルダー5には、歯科治療において使用する種々のインスツルメント6が収納されており、周知のように、歯科治療に当り、患者は椅子1に座り、頭を安頭台に固定して治療を受ける。治療中、術者は、治療椅子1を上下動、倒起動、傾斜動等させて、患者を治療しやすい姿勢にして治療を行う。
【0003】
歯科治療に当り、術者は、治療椅子1を倒して、或いは、更に、椅子全体を傾斜、上下動させて治療しやすい状態にした後、患者の頭部後側或いは側部より治療を行うものであり、その際、ワークテーブル8を手元に引き寄せて、治療に必要なインスツルメント6をインスツルメントホルダー5より取り出して治療を行う。ワークテーブル8の上には、治療に必要な薬剤、ピンセット、鋏、ミラー、ガーゼ等が載せてあり、施術中、術者は、これら部品を頻繁にワークテーブルから取り上げたり、戻したりする。
【0004】
図3は、本発明が適用される歯科治療ユニットの一例を説明するための要部外観図で、図中、1は歯科治療椅子で、該治療椅子1は、図2に示した歯科用治療椅子と同様、上下動、倒起動、傾斜動等を行うものである。10は補助テーブル(サイドテーブル)で、該補助テーブル10は、例えば、図示のように、治療椅子1の後部から側方に延長しかつ回動可能なアーム11の先端部にピン12により回動可能に取り付けられている。アーム11は、常時は、矢印A方向に押し込まれ、治療椅子1の後部に隠れてしまい、椅子の上下動,倒起動,傾斜動等に影響することなく、該治療椅子1の後部に収納されている。歯科治療時は、周知のように、治療椅子を倒して根管長測定,根管拡大,その他、症状に応じた歯科治療を行う。
【0005】
図4は、根管長測定(根尖位置検出)装置の一例を説明するための要部構成図で、図中、13は根尖位置(又は根管長)測定ファイル、20は根尖位置(又は根管長)を測定しようとする歯牙、21は根管、14はストッパー、15は口唇、16は根管長測定ファイル13或いは根管拡張リーマ(歯牙切削バー)等に電気的に接続測定する電極端子(クリップ)、17は対向電極端子、18は測定電極端子16に連通する測定電極端子用リード線、19は口唇15に引っかけられた対向電極17に連通する対向電極端子リード線、30はこれらリード線18,19が接続された根尖位置測定装置本体、31は根尖位置検出表示部で、周知のように、ファイル(又はリーマ)13に測定電極端子16を接触させた状態で、ファイル11を根管21内に挿入していった時の根尖位置検出表示部31の指針位置よりファイル13の先端が根尖位置に達したことを知り、その状態でストッパー14を歯牙20に当たる位置まで動かして口腔外に取り出し、ものさしでファイルの先端からストッパーまでの長さの測定をするものがあるが、ファイル13の先端が根尖位置に近づくと、根尖位置検出表示部31の指針が振れ始めるので、これよりファイル(根管拡大の場合は、歯牙切削バー)先端13が根尖位置に近づいたことを知ることができる(なお、根尖孔位置を電気的に検出する方法としては、特公昭62−2187号公報をはじめ、多数の公報が公開されているので、その詳細については省略する)。
【0006】
図3において、30は前述のごとき根尖位置測定装置で、該根尖位置測定装置30は、補助テーブル10に一体的に設けられており、好ましくは、該補助テーブル10に軸32を中心に回動可能に取り付けられ、使用時、所望の角度にして指針を見やすくするようになっている。この場合にも、回動軸32は、任意所望の周知手段によって、所望の回動位置に保持可能になっている。また、40は前述の測定用電極端子用リード線18及び対向電極端子用リード線19を巻取るための巻取り手段で、これらリード線は、常時は、該巻取り手段40により巻取られて補助テーブル10内に収納されている。
【0007】
しかし、測定電極端子16,対向電極端子17等は、患者の口腔内に入れて使用するものであるため、患者毎に消毒済のものを取り替えて使用する必要があり、そのため、該巻取り装置40に巻取られるリード線(測定電極用リード線及び対向電極用リード線)41と前記測定電極端子用リード線18及び対向電極端子用リード線19に接続されるリード線42とを接続ジャック43,44により分離可能とするとともに、接続ジャック43が補助テーブル10の端面に当り、それ以上巻取られないようにしておくと、測定電極端子用リード線18及び対向電極端子リード線19は一本のリード線(プローブ線)42によりリード線41から切り離すことができ、オートクレーブ等の滅菌を行うことができ、その際、一体のリード線42に測定電極端子用リード線18と対向電極端子用リード線19が接続されているので、これらのリード線が分離,紛失するようなことがなく、オートクレーブで作業が非常にしやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のごとき根管長測定具を内蔵する歯科治療ユニットにおいて、根管長測定に使用するプローブは、常時は、根管長測定具から分離され、歯科治療ユニット外の任意所定の場所に置くようにしているが、その置き場所を診療(施術)位置近傍に確保することが困難であった。
【0009】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、根管長測定に使用するプローブ線を術者の近傍に配置されているワークテーブルに効果的に取り付け可能とし、もって、根管長測定作業を効率化し、更には、根管長測定用プローブの紛失等を防止するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、根管長測定具を内蔵する歯科治療ユニットにおいて、ワークテーブルの側面又は前面に、根管長測定時に前記根管長測定具に接続されて使用されるプローブ線を巻回して収容するプローブ線巻取り具を有することを特徴としたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プローブ線巻取り具は、前記ワークテーブルの側面又は前面から所定の間隔をもって延出する2本のバーであって、該2本のバー間に前記プローブ線が巻き付けられるものであることを特徴としたものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記プローブ線巻取り具は、前記ワークテーブルの側面又は前面から延出する単一の糸巻きボビンであることを特徴としたものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記糸巻きボビンは、前記ワークテーブル内に収納可能であることを特徴としたものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記糸巻きボビンは、回転可能であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、根管長測定具を具備した歯科治療ユニットにおいて、常時(非使用時)は、根管長測定器から分離されている根管長測定用プローブ線を、診療時、術者の近傍に配置されるワークテーブルに取り付けておくようにしたので、根管長測定(根尖位置検出)作業を効率よく行うことができ、また、プローブの紛失等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1(A)は、本発明が適用された歯科治療ユニットの例を説明するための要部構成図で、図中、8はワークテーブルで、本発明による根管長測定用プローブ線を収容するプローブ線巻取り具は、該ワークテーブル8の側面S又は前面Fに一体的に又は面テープその他任意所望の手段により取り付けられている。
【0017】
図1(B)に示した巻取り装置は、ワークテーブル8の側面又は前面に取り付けられる基板50に、所定の間隔を隔てて突出する2本のバー51,52から成り、これら2本のバー51,52間に、前述の根管長測定プローブ線42を巻き付けて取り付けるようにしたものであり、図1(C)に示した巻取り装置は、ワークテーブル8の側面S又は前面Fに糸巻取りボビン(糸巻き)60を設け、このボビン60に根管長測定プローブ線42を巻き付けるようにしたものである。
【0018】
このようにしておくと、根管長測定を行わない時は、これら根管長測定プローブ線を、これらバー間或いはボビンに巻き付けておくことにより、該プローブ線を術者の近傍に配置されているワークテーブルに効果的に収容しておくことができ、使用したい時、つまり、根管長を測定しようとする時(或いは、根尖位置を検出したい時)は、該ワークテーブルから容易に取り出して使用することができる。
【0019】
図1(B)に示したバー51,52は、図示のように、基板50に予め取り付けておき、この基板50をワークテーブルに取り付けるようにしてもよいが、直接ワークテーブル8に取り付けるようにしてもよい。また、図1(C)に示したボビン60は、ワークテーブル8の側面又は前面に固定して取り付けておいてもよいが、ワークテーブル内に設けられた固定軸61に対して軸方向に移動可能に取り付けることにより、プローブ線を巻き付けた後、ボビン60をプローブ線ごとワークテーブル内又はワークテーブルの下部に押し込んで収容し、使用する時は、該ボビン60を引き出してプローブ線を取り外して使用するようにしてもよい。
【0020】
更には、ボビン60を前記固定軸61に対して回動可能に取り付けておくことにより、プローブ線をボビンに巻き付ける時或いは巻戻す時に、該ボビン60を回転することにより、プローブ線42を巻き付けたり、巻戻したりすることができ、プローブ線を固定バー間或いは固定(回転不可)ボビンに巻き付ける場合に比して巻き付け・巻戻し作業が楽になる。
【0021】
なお、以上には、根管長測定(根尖位置検出)電極側のプローブ線18と対向(口唇)電極側プローブ線19とを一体的にした例について説明したが、これらが別々に構成され、2本のプローブ線から成るものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用された歯科治療ユニットの例を説明するための要部構成図である。
【図2】歯科治療ユニットの一例を説明するための全体構成図である。
【図3】本発明が適用される歯科治療ユニットの一例を説明するための要部外観図である。
【図4】根尖位置検出(根管長測定)装置の一例を説明するための要部構成図である。
【符号の説明】
【0023】
1…治療椅子、14…ストッパー、15…口唇、16…根管長測定(根尖位置検出)電極端子、17…対向(口唇側)電極端子、18…根管長測定(根尖位置検出)電極端子用リード線、19…対向(口唇側)電極端子リード線、20…歯牙、21…根管、31…根尖位置検出表示部、42…プローブ線(根管長測定(根尖位置検出)用リード線)、50…取り付け基板、51,52…プローブ線巻き付けバー、60…プローブ線巻き付けボビン、61…ボビン取り付け軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根管長測定具を内蔵する歯科治療ユニットにおいて、ワークテーブルの側面又は前面に、根管長測定時に前記根管長測定具に接続されて使用されるプローブ線を巻回して収容するプローブ線巻取り具を有することを特徴とする歯科治療ユニット。
【請求項2】
前記プローブ線巻取り具は、前記ワークテーブルの側面又は前面から所定の間隔をもって延出する2本のバーであって、該2本のバー間に前記プローブ線が巻き付けられるものであることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療ユニット。
【請求項3】
前記プローブ線巻取り具は、前記ワークテーブルの側面又は前面から延出する単一の糸巻きボビンであることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療ユニット。
【請求項4】
前記糸巻きボビンは、前記ワークテーブル内に収納可能であることを特徴とする請求項3に記載の歯科治療ユニット。
【請求項5】
前記糸巻きボビンは、回転可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の歯科治療ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−236873(P2007−236873A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67523(P2006−67523)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】