説明

歯科用修復材組成物

【課題】歯冠用レジン、人工歯、レジンインレ−等のレジン系補綴材料、コンポジットレジン、フィシャ−シ−ラント等のレジン系充填材料等に好適に利用できる機械的特性、透明性、X線不透過性に優れた歯科用修復材組成物を提供する。
【解決手段】フルオレン系重合性単量体(A)を含む歯科用修復材組成物。単量体(A)と異なる他の重合性単量体を一緒に含有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用修復材組成物に関する。更に詳しくは、歯冠用レジン、人工歯、レジンインレ−等のレジン系補綴材料、コンポジットレジン、フィッシャ−シ−ラント等のレジン系充填材料等に好適に利用できる機械的特性、透明性、X線不透過性等に優れた新規な歯科用修復材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歯科治療において歯牙欠損の修復には歯冠用レジン、レジンインレ−、レジンアンレ−、人工歯、デンチャ−等のレジン系補綴材料が、窩洞の充填にはコンポジットレジン、フィッシャ−シ−ラント等のレジン系充填材料が無機系及び金属系の歯科材料に代わり多用されている。レジン系材料は一般に、重合性単量体、無機粉末などの充填材粉体及び重合開始剤等を配合したペ−ストで供され、その硬化体の特性は充填材粉体の充填率や平均粒径によって決定されることが多い。例えば、平均粒子径が100μm程度のガラス粉体を充填材として配合したペ−ストは、機械的強度は優れているが粒子径が余りにも大きいため研磨性が悪く、光沢感のある表面が得られ難いと云う欠点や、口腔内で硬化物表面のマトリックスレジン部分が選択的に磨耗しガラス粉体が突出してヤスリ状になるため、対合する人歯や歯科材料等を磨耗させたり、マトリックスレジン部分がガラス粉体部分より先に磨耗するため光が乱反射して光沢感が失われたりする等の問題点が指摘されている。
【0003】
そこで、上記の問題点を解決するため、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4には粒子径が0.1〜1μmの範囲にあり、粒度分布が揃った真球状の無機充填材を使用する方法が提案されている。この無機充填材は、真球体でしかも粒度が揃っているため、重合性単量体に高配合でき、機械的強度や表面の光沢性が優れる等の利点がある。しかしながら、真球状の無機充填材粉体を配合しているためレジンへの投錨効果が不定形型の無機充填材粉体よりも劣り、マトリックスレジンから真球状の無機充填材が脱落し易いと云う欠点が指摘されている。また、無機充填材として粒子径が0.1μm以下の超微粒子の無機充填材を使用する方法も提案されている。この粉体を使用すると、表面の光沢性が良く、対合物を磨耗させない等の利点があるが、無機充填材の表面積が大きいため、高配合しようとすると、ペ−スト粘度が上昇し、配合量を低下させるとペ−ストがべたついてスパチュラへ付着するためペ−ストの操作性が悪化する問題や機械的強度が低い欠点がある。
【0004】
そこで、特許文献5では、0.1μm以下の無機充填材粉体を重合性単量体で被覆し重合した充填材(以下複合充填材と云う)を使用する方法で上記の問題点を解決しようとする試みがなされている。この方法によって作製された複合充填材は、(メタ)アクリレート系重合性単量体中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を使用しているため、エチレン性不飽和基の全てが重合することなく、その一部が残存する。そして、この複合充填材を配合した歯科用修復材料は、複合充填材表面に残存するエチレン性不飽和基とマトリックスを構成する重合性単量体とが共有結合するため、硬化体の機械的強度が向上し、更に、複合充填材の脱落がないため、耐摩耗性に優れる利点があるが、この複合充填材自体が非常に硬くて脆いため、硬化体が破折し易く、耐衝撃性に劣る欠点が指摘されている。
【0005】
この脆さを改善するため、特許文献6には分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有するアクリル系重合性単量体にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ−トとジイソシアネ−トの2:1付加物、またはポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−トの混合物と無機充填粉体を混練した後、重合し、粉砕した複合充填材粉体が開示されている。この特許に記載されている複合充填材粉体は、特許文献5に記載されている複合充填材粉体より脆さは改善されるが、その効果は未だ不十分である。また、ウレタン結合を有する重合性単量体から構成される歯科用組成物(特許文献7および特許文献8参照)、ポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレート系単量体から構成される歯科用組成物並びに複合充填材、及びこの複合充填材を配合した歯科用組成物(特許文献9および特許文献10参照)は、機械的強度は優れているものの、熱や光等で変色劣化が発生する危険性がある。また、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート系単量体から構成される歯科用組成物(特許文献11および特許文献12参照)は、硬化体が硬脆いため、歯科用修復材組成物として利用した場合、耐破折性等の機械的特性が十分であるとは言い難い。
これらの、歯科用修復材組成物硬化体の機械的特性を改善する目的で、ビスクレゾ−ルフルオレン化合物を含む医療用組成物が提案されている(特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)。この組成物を使用すれば安全性が高く、しかも高強度の硬化体が得られる特徴があるが、重合条件や組成比によっては重合性が悪化する問題も含んでいる。
【特許文献1】特開昭62−89701号公報
【特許文献2】特公昭62−86003号公報
【特許文献3】特公平1−57082号公報
【特許文献4】米国特許第4764497号
【特許文献5】特開昭56−20066号公報
【特許文献6】特開昭60−71621号公報
【特許文献7】特開昭57−85355号公報
【特許文献8】特開平5−262615号公報
【特許文献9】特開平7−80736号公報
【特許文献10】特開平5−246819号公報
【特許文献11】特開昭57−35505号公報
【特許文献12】特開昭63−183904号公報
【特許文献13】特開平6−16799公報
【特許文献14】特開2000−178114号公報
【特許文献15】特開2000−178115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、歯科用修復材組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、歯冠用レジン、人工歯、レジンインレ−等のレジン系補綴材料、コンポジットレジン、フィシャ−シ−ラント等のレジン系充填材料等に好適に利用できる機械的特性、透明性、X線不透過性等に優れた新規な歯科用修復材組成物を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的および利点は、本発明によれば、フルオレン系重合性単量体(A)を含有することを特徴とする歯科用修復材組成物によって達成される。ここで、フルオレン系重合性単量体(A)としては下記式(1)で表わされるものが好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。
また、本発明の組成物は、フルオレン系重合性単量体(A)と異なるその他の重合性単量体(A)を含有することが好ましい。
そして、上記単量体(A)と単量体(A)の重量比(単量体(A1)/(A2))が5/95〜95/5であることが特に好ましい。
更に、本発明の組成物は粉体(B)を含有することが好ましい。
この粉体(B)は、単量体(A)と単量体(A)の合計100重量部に対して、10〜900重量部含有することが好ましい。
また、本発明の歯科用修復材組成物には重合開始剤(C)が含有されていることが好ましい。その量は、単量体(A)と単量体(A)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。
そして、これらの硬化体はJIS T6514に準拠した際に、厚み1.5mmにおいてX線不透過性がアルミ当量で100%以上であることが好ましく、また、厚み1.5mmの硬化体の800nmでの光線透過率が15%以上であることも好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、フルオレン骨格を持つ重合性単量体を使用することにより、歯冠用レジン、人工歯、レジンインレ−等のレジン系補綴材料、コンポジットレジン、フィシャ−シ−ラント等のレジン系充填材料等に好適に利用できる機械的特性、透明性、X線不透過性に優れた新規な歯科用修復材組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、特に説明がない限り、化合物名や官能基名において「(メタ)アクリレート」とあるは、「アクリレート、及び/又は、メタクリレート」の意である。
本発明の歯科用修復材組成物は、上記式(1)で示されるフルオレン系重合性単量体(A)を含むことを特徴とする。
およびRの炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基が特に好ましい。
本発明の歯科用修復材組成物中には、上記式(1)で示されるフルオレン系重合性単量体(A)が、好ましくは5〜50、より好ましくは10〜50、更に好ましくは15〜50重量%含まれる。前記数値範囲の下限値を下回ると、X線不透過性の高い粉体を充填し、JIS T6514に準拠して、厚み1.5mmの硬化体としたとき、X線不透過性がアルミ等量で100%以上を超えても、厚み1.5mmの硬化体の800nmでの光線透過率が15%以上である透明性のある硬化体とすることが困難になるため好ましくなく、上限値を上回ると式(1)の単量体の配合量が高くなり硬化体が堅脆くなるので好ましくない。
【0014】
上記式(1)の単量体(A)は粘度が約十数万mPa・s(50℃)のように非常に高粘度であるため、単量体(A)と異なるその他の重合性単量体(A)と適宜混合し、使用用途に合った粘度に調整して使用することが好ましい。単量体(A)としては、従来公知のものであれば、その種類は特に限定されるものではなく種々の重合性単量体が用いられる。好ましくは下記に示す重合可能な単官能性、二官能性及び多官能性(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物が適宜選択される。その一例を示すと、次のとおりである。
【0015】
(i)単官能重合性単量体:
メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、イソ−ブチル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチル(メタ)アクリレ−ト、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレ−ト、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコ−ルアセトアセテ−ト(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシン、N−(メタ)アクリロイルグリシン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアルデヒドエチルアセタール等のビニルエーテル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のアルケニルベンゼン;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル;(メタ)アクリルアルデヒド、3−シアノ(メタ)アクリルアルデヒド等の(メタ)アクリルアルデヒド類;(メタ)アクリルアミド、N−スクシン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸等の(メタ)アクリル酸もしくはそれらの金属塩;アシッドホスホエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル燐酸等の燐酸エステル基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩;アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩である。
【0016】
(ii)二官能重合性単量体:
下記式(2)
【0017】
【化2】

【0018】
ここで、yは3〜20の整数で、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子もしくはメチル基を表す、で示される単量体。例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、エイコサンジオール等のジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)メチレンのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導されるウレタン系重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族含有ジイソシアネート化合物との付加物から誘導される芳香族環とウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体;2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニル)プロパン等の芳香族環とエーテル結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体が挙げられる。
【0019】
(iii)三官能重合性単量体:
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ホスファゼン骨格を持つトリ(メタ)アクリレ−ト、イソシアヌル酸骨格を持つトリ(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
【0020】
(iv)四官能重合性単量体:
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、またジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネト、ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)メチレンのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジ(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニルモノマーから誘導されるウレタン系重合性単量体が挙げられる。
【0021】
(v)五官能以上重合性単量体:
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和基を5個以上有する重合性単量体、特公平7−80736号報に記載されているエチレン性不飽和基を6個有するポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレ−ト、エチレン性不飽和基を7個以上有する重合性単量体等が挙げられる。
二官能以上の重合性単量体には、その他に、例えばトリエチレングリコールアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレートジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートジメタクリレートのようにメタクリレート基とアクリレート基を一分子中に併せ持つ化合物も含まれる。
【0022】
その他の重合性単量体(A)のなかで、粘度(25℃)が10,000mPa・s以下、好ましくは5,000mPa・s以下、更に好ましくは2,000mPa・s以下の重合性単量体、例えば、トリエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)トリ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト等の二官能以上の脂肪族系の重合性単量体等が好ましく用いられる。
ここで、上記単量体(A)と単量体(A)の混合比は使用用途や機械的特性、審美性等を勘案して適宜決定すればよいが、単量体(A)/単量体(A)の重量比は、好ましくは5/95〜90/5、より好ましくは、30/95〜70/5、更に好ましくは40/90〜60/10である。また、この比が50/50以上であると、高屈折率の歯科用修復材組成物硬化体の製造が可能になり、X線不透過性の高い粉体を充填しても、透明感やX線不透過性の高い硬化体を得ることができるので特に好ましい。
【0023】
本発明の歯科用修復材組成物には粉体(B)を添加してもよい。本発明に使用される粉体(B)としては、無機粉体(B1)やポリマ−やオリゴマ−と無機粉体との複合粉体(B2)等が挙げられる。粉体(B)の形状としては、球状体であっても不定形体であってもよく、公知のものが使用できる。無機粉体(B1)としては、例えば周期律第I、II、III、IV族、遷移金属及びそれらの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、珪酸塩、及びこれらの混合物、複合塩等が挙げられる。例えば、二酸化珪素、ストロンチュウムガラス、ランタンガラス、バリュウムガラス等のガラス粉末等のセラミックス粉体、石英粉体、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、バリウム塩、ガラスビーズ、フッ化バリウム、鉛塩、タルクを含有するガラス粉末、コロイダルシリカ、シリカゲル、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、その他のセラミックス粉体等である。また、必要に応じて、ガラス繊維やウイスカ、炭素繊維等の繊維状無機物を添加してもよい。また、無機粉体(B1)はそのまま使用しても差し支えないが、上記した分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート系単量体(A)及び/または(A)と無機粉体(B1)を混合し、硬化させたものを粉砕して粉体としたオリゴマ−やポリマ−と無機粉末との複合粉体(B2)を使用してもよい。上記無機粉体(B1)はマトリックスレジンと親和性を高めるため、下記のシランカップリング材等の表面処理剤で疎水化することが好ましい。また、複合粉体(B2)も同様に疎水化したり、複合粉体(B2)と反応する重合性単量体、例えば、グリシジル(メタ)アクリレ−ト等で処理してもよい。表面処理剤としては、公知のものが使用でき、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤、または相当するジルコニウムカップリング剤、チタニウムカップリング剤等を挙げることができる。表面処理方法としては、例えばボ−ルミル、V−ブレンダ−、ヘンシェルミキサ−等で表面処理剤単独、表面処理剤をエタノ−ル水溶液等の有機溶剤と水とが均一に混合した有機溶剤含有の水溶液で希釈したものを粉体(B)に添加して混合した後、50℃〜150℃で数分間〜数時間熱処理する方法(乾式法)、粉体(B)をエタノ−ル等の有機溶剤、またはエタノール水溶液等の有機溶剤と水とが均一に混合した溶液、もしくは水に加えてスラリ−状にし、上記の表面処理剤を加えて室温〜還流温度で数分間〜数時間処理し溶媒をデカンテーションやエバポレーション等公知の方法で除去した後、50℃〜150℃で数時間熱処理する方法(湿式、スラリ−法)、高温の無機粉末に表面処理剤をそのまま、または上記の水溶液を直接噴霧する方法(スプレ−法)を挙げることができる。各シラン処理剤や粉体(B)の性状を加味した方法で適宜処理すればよい。また、粉体(B)に表面処理剤を添加し、本発明の歯科用修復材組成物配合する方法(インテグラルブレンド法)も利用できる。もちろん、市販品が既に表面処理されている粉体(B)に更に表面処理を追加しても良い。尚、上述のエタノール水溶液は中性であっても酸性であってもよい。粉体(B)に対する表面処理剤の量は、無機充填材100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜15重量部であり、0.1〜10重量部が特に好ましい。もちろん、本発明の修復材組成物に無機粉体(B1)と複合粉体(B2)を一緒に配合してもよい。ここで、無機粉体(B1)または複合粉体(B2)中に配合される無機粉体(B1)が例えば、Sr,Ba、Ra、Zr、Hf、La等の重元素を含むと、X線不透過性粉体(B)が得られるので、好ましく利用できる。
【0024】
また、粉体(B1)の平均粒子径は硬化表面の光沢性、透明性を付与すれば制限ないが、好ましくは0.01〜100μmの範囲であり、より好ましくは0.01〜50μmで、更に好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.01〜5μmである。粉体(B2)の平均粒子径も上記の特性を発揮するならば、特に限定されないが、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.01〜80μm、特に好ましくは0.01〜50μmである。また、上記粉体(B)の充填量は臨床上の用途や、透明感やX線不透過性等の性能を勘案して適宜決定すればよいが、好ましくは単量体(A)及び/または単量体(A)の合計100重量部に対して、10〜900重量部、より好ましくは50〜900重量部、更に好ましくは100〜900重量部である。
【0025】
本発明の歯科用修復材組成物は、重合開始剤(C)を含むことが好ましい。
重合開始剤(C)としては、光重合開始剤(C1)、熱重合開始剤(C2)、レドックス開始剤(C3)等公知の重合開始剤が使用可能である。
光重合開始剤(C1)としては、光増感剤単独または光増感剤と光重合促進剤の組み合わせが使用できる。光増感剤としては、例えばベンジル、カンファーキノン等のα−ジケトン化合物、α−ナフチル、p,p'−ジメトキシベンジル、ペンタジオン、1,4−フェナントレンキノン、ナフトキノン、ジフェニルトリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド等の紫外光あるいは可視光で励起され重合を開始する公知の化合物が挙げられる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用してもよい。このなかで、カンファーキノン、ジフェニルトリメチルベンゾイルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシドまたはその誘導体が特に好ましく使用される。
【0026】
また、光重合開始剤(C1)を使用する際には、光重合促進剤を併用することが好ましくい。光重合促進剤の例としては、p−トルエンスルフィン酸またはそのアルカリ金属;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸メチル、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−N−ブトキシエチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸2−N−ブトキシエチル、p−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、p−N,N−ジエチルアミノベンゾニトリル、p−N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルエタノールアミン等の第三級アミン、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミン;上記第三級アミンまたは第二級アミンと、クエン酸、リンゴ酸、2−ヒドロキシプロパン酸との組み合わせ;5−ブチルアミノバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。特に、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−N−ブトキシエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンもしくはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の重合性基を有する脂肪族系第三級アミン、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミンが好ましく用いられる。特に本発明の歯科用修復材組成物の硬化を速やかに完結させようとする場合には、光増感剤と光重合促進剤との組み合わせが好ましく、カンファーキノンと、(1)p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−N−ブトキシエチル等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物またはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の重合性基を有する脂肪族系第三級アミンまたはN−フェニルグリシン、N−フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミンとの組み合わせ;(2)アシルホスフィンオキシドとの組み合わせ;(3)アシルホスフィンオキサイドとp−トルエンスルフィン酸またはアルカリ金属塩との組み合わせ;(4)芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物とアシルホスフィンオキシドまたはアシルホスフィンオキサイドとの組み合わせ;(5)芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物とp−トルエンスルフィン酸のアルカリ金属塩との組み合わせ等が好ましく用いられる。重合促進剤の配合量は光硬化性能が促進されれば限定されないが、好ましくは光重合開始剤100重量部に対して1〜200重量部の範囲で使用される。
【0027】
熱重合開始剤(C2)としては有機過酸化物、ジアゾ系化合物等が好ましく使用できる。重合を短時間で効率良く行いたい場合には、80℃での分解半減期が10時間以下である化合物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルネオデカネート、クメンパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化スルホネートが挙げられる。
【0028】
ジアゾ系化合物としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4, 4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等を挙げることができる。特にベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルがより好ましい。
【0029】
また、ベンゾイルペルオキサイド等の有機過酸化物とN,N−ジメチル−p−トルイジン等の第三級アミン等の還元剤とを組み合わせ、常温付近で重合を開始するレドックス開始剤(C3)も使用可能である。
なお、光重合開始剤(C1)、熱重合開始剤(C2)およびレドックス開始剤(C3)を任意に組み合わせて使用しても何ら問題はない。
重合開始剤(C)の添加量は、本発明の歯科用修復材組成物が臨床上問題なく硬化する量であれば制限はないので、硬化体の機械的特性や硬化前後の色調を勘案して適宜決定すれば良いが、好ましくは、単量体(A1)と単量体(A)の合計100重量部に対して、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜8重量部、更に好ましくは0.01〜5重量部である。
【0030】
一般に、X線不透過性と光透過性が共に高いコンポジットレジン等の歯科用修復材を作製するためには、できるだけX線不透過性の高い粉体使用し、しかもマトリクスモノマ−やその硬化体の屈折率をこの粉体の屈折率に可能な限り近似させることが望ましい。しかし、歯科用レジンに通常使用されるモノマ−やその硬化体の屈折率は、X線不透過性の高い粉体の屈折率より低いため、X線不透過性の高い歯科用修復材組成物ができたとしても、このペ−ストもしくは硬化体の光透過率が低いために透明感が劣り、審美性が損なわれる欠点がある。しかし、本発明の歯科用修復材組成物では、屈折率の高いマトリックスモノマ−を使用するため、X線不透過性が高い粉体を充填しても透明感を損なわず、且つX不透過性の高いものとなる。ここで、本発明の歯科用修復材組成物の光透過率と、X線不透過性は臨床的に不都合のない範囲であれば制限ないが、好ましくはJIS T6514に準拠し、厚み1.5mm硬化体のX線不透過性がアルミ当量で、好ましくは100%以上、より好ましくは110%以上、更に好ましくは130%以上である。また、厚み1.5mmの硬化体の800nmの光線透過率が、好ましくは15%以上、好ましくは17%以上、更に好ましくは20%以上である。この組成物に顔料等を添加すると透明性が低下する場合があるので、上記数値は歯科用修復材組成物が顔料を含まない場合のものである。
尚、本発明の歯科用修復材組成物には、安定剤、紫外線吸収剤、有機系や無機系等の顔料、染料、粘度調整剤、骨材等の他の化合物を添加しても差し支えない。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明の内容を実施例で具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0032】
実施例、比較例に使用した化合物を示す。
(1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(下記式(3)で表わされる化合物:A−BPEF)
【0033】
【化3】

【0034】
(2)2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis−GMA)
(3)トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト(3G)
(4)2,2−ビス(4−メタクリロキシポリオキシフェニル)プロパン(2.6E)
(5)カンファ−キノン(CQ)
(6)4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMBE)
【0035】
製造例1(表面処理化GM8235)
1Lのエタノ−ルを入れたセパラブスフラスコにGM8235(平均粒径1μmのバリウムガラス粉体:ショット社製、屈折率1.55、X線不透過性:ISO4049、2mm厚みで220%)100gを投入し、スリ−ワンモ−タ−で攪拌して懸濁させた。γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3gと、精製水15gを入れて攪拌しながら2時間還流させた。懸濁液をエバポレ−タ−に移し替え、溶媒を除去した。得られた粉体を窒素雰囲気下80℃で48時間減圧乾燥した。乾燥した粉体をボ−ルミルで解砕し、表面処理化したGM8235粉体を得た。
【0036】
実施例1
A−BPEF 21g、3G 7g、CQ 0.09g、DMEB 0.09gを混合して均一なモノマ−溶液(25℃での屈折率:1.538)を調整した。乳鉢にモノマ−溶液3.5gを入れ、アエロジルR972(表面処理化コロイダルシリカ、平均一次粒子径:0.016μm)0.65gを添加、混練してペ−スト化した。次いで、表面処理化GM8235 5.85gを添加し、混練してペ−スト化した後、真空中でペ−スト中の気泡を除去してペーストを製造した。
得られたペ−ストは下記の方法にて評価した。結果を表1に示す。
【0037】
(1) 光線透過率の測定:断面(15mm×25mm)×厚さ1.5mmの穴の開いたテフロン(登録商標)モ−ルドにペ−ストを充填し、スライドグラスで両面を覆った後、α―Light(モリタ製作所製)で前記ガラス板(厚さ1.25mm)に接して3分間光重合した。得られた硬化をUV−160A((株)島津製作所製)にて800nmでの光透過性を測定した。
(2) X線不透過性:直径15mm、厚さ1.5mmの穴の開いたテフロン(登録商標)モ−ルドにペ−ストを充填し、スライドグラスで両面を覆った後、α―Light((株)モリタ製作所製)で前記ガラス板(厚さ1.25mm)に接して3分間光重合した。JIST6514に準拠し、DCX−100(朝日レントゲン(株)製)にてアルミ当量を測定した。
(3)曲げ強度:断面(2mm×25mm)×2mmの穴の開いたテフロン(登録商標)モ−ルドにペ−ストを充填し、スライドグラスで両面を覆った後、α―Light(モリタ製作所製)で前記ガラス板(厚さ1.25mm)に接して3分間光重合した。試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、オ−トグラフAGS−2000G((株)島津製作所製)にてクロスヘッドスピ−ド1mm/minで曲げ強度を測定した。
【0038】
比較例1
A−BPEFをBis−GMAに変えた以外は実施例1と同法にてペ−ストを作製し、光透過率、X線不透過性、曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
尚、モノマ−溶液の25℃での屈折率は1.523であった。
【0039】
比較例2
A−BPEFを2.6Eに変えた以外は実施例1と同法にてペ−ストを作製し、光透過率、X線不透過性、曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
尚、モノマ−溶液の25℃での屈折率は1.516であった。
【0040】
【表1】

【0041】
表1より、実施例1のモノマ−(A−BPEF)を使用すると、歯科用モノマ−のなかでも高屈折率の範疇に入るBis−GMA、2.6Eを使用した比較例と比べて、X線不透過性を付与したまま、光線透過率が高くて透明性に優れ、しかも曲強度に優れる歯科用修復材組成物の作製が可能であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるフルオレン系重合性単量体(A)を含有することを特徴とする歯科用修復材組成物。
【化1】

(式中、R1、2は、互に独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【請求項2】
フルオレン系重合性単量体(A)と異なるその他の重合性単量体(A)をさらに含有する請求項1に記載の歯科用修復材組成物。
【請求項3】
フルオレン系重合性単量体(A)/その他の重合性単量体と(A)の重量比が5/95〜95/5である請求項2に記載の歯科用修復材組成物。
【請求項4】
粉体(B)をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用修復材組成物。
【請求項5】
フルオレン系重合性単量体(A)とその他の重合性単量体(A)の合計100重量部に対して、粉体(B)を10〜900重量部含有する請求項4に記載の歯科用修復材組成物。
【請求項6】
重合開始剤(C)を更に含有する請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用修復材組成物。
【請求項7】
フルオレン系重合性単量体(A)とその他の重合性単量体(A)の合計100重量部に対して、重合開始剤(C)を0.1〜10重量部さらに含有する請求項6に記載の歯科用修復材組成物。
【請求項8】
JIS T6514に準拠した厚み1.5mmの硬化体のX線不透過性がアルミ等量で100%以上であり、そして、厚み1.5mmの硬化体の800nmでの光線透過率が15%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の歯科用修復材組成物。

【公開番号】特開2008−24637(P2008−24637A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198465(P2006−198465)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(592093578)サンメディカル株式会社 (61)
【Fターム(参考)】