説明

歯科用冷却具

【課題】 急性歯髄炎などによる激しい歯痛が生じた際の緊急措置としては、従来から、冷凍したアイスパック等を顔面に当てて、患部を間接的に冷やす方法が用いられている。しかしながら、この方法では患部に対する冷却力が弱いため、充分な鎮痛効果が得られない場合がある。
【解決手段】 歯科用冷却具は、筒状の患部接触部201と、袋状の冷却剤格納部202が一体成型された構成になっている。患部接触部201と冷却剤格納部202はプラスチックフィルムで形成されており、その内部には冷却剤203が密封されている。急性歯髄炎などによる激しい歯痛が生じた際には、予め冷凍しておいた歯科用冷却具の患部接触部201を軽く噛めば、患部を簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却でき、優れた鎮痛効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却具に関し、特に歯痛などを緩和するための歯科用冷却具に関する。
【背景技術】
【0002】
急性歯髄炎や慢性化膿性歯髄炎などに伴う激痛を緩和するための緊急措置としては、従来から、鎮痛薬の服用、あるいは患部を冷やす方法が用いられている。患部を冷やすには、氷と水を入れて密封したビニール袋やゴム袋(いわゆる氷嚢)、または、清涼飲料やアルコール飲料や食物などを冷却するために広く用いられている家庭用アイスパック(保冷材)などを用いることができる。
【0003】
図16aに、一般的なアイスパック001の斜視図を概念的に示す。図16bは、図16aの位置A−A’でアイスパック001を横方向に切断した断面の概念図であり、厚さ1mm程度のプラスチックフィルムで形成された袋状の密閉容器002の中に、冷却剤003が封入されている。通常は、図16cに示すように、冷凍したアイスパック001を薄手の布で包んだ後、これを患部付近の顔面(頬、顎、唇)004に密着させる。従来から、水溶性ポリマーなどの蓄熱容量の大きい物質を含有するゲル状の冷却剤(特許文献1、2参照)、および硝酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩と水を混合する際に生じる吸熱現象を利用した冷却剤(特許文献3、4参照)が知られており、一般に普及している。前者は、使用する前に冷凍しておく必要があるが、後者は事前の冷凍操作を必要としない。また、歯痛を緩和するための歯科用冷却具としては、例えば特許文献5と6が公開されている。
【特許文献1】特開2005−213307
【特許文献2】特開平6−122871
【特許文献3】特開平6−65564
【特許文献4】特開平9−13021
【特許文献5】特開平11−199474
【特許文献6】特開2005−237627
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷却方法では、顔面の皮膚を介して、患部を間接的に冷やすため、充分な冷却効果(鎮痛作用)が得られない場合があった。また、上記アイスパックを手や顔面に長時間当てていると、手や顔の皮膚が凍傷になってしまう危険性もあった。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、急性歯髄炎などに伴う激しい歯痛が生じている患部近傍だけを、顔面の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却できる歯科用冷却具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、冷却剤を内包する密閉容器から成り、人間の口の中に挿入可能に構成されている歯科用冷却具が提供される。
【0007】
前記密閉容器の内部は、複数個の冷却剤格納室に分割することができる。また、前記密閉容器は、患部接触部と冷却剤格納部とで構成することができ、また、前記患部接触部の体積を、前記冷却剤格納部の体積よりも小さくすることができる。
【0008】
本発明の歯科用冷却具は、例えば、直径約8mm、長さ約5cmの筒状の患部接触部と、横幅約5cm、長さ約10cm、厚さ約2cmの袋状の冷却剤格納部が一体成型された構造にすることができ、各部は、厚さ約1mmのプラスチックフィルムなどで構成することができ、この中に上述した一般的な冷却剤を密封することができる。事前の冷凍操作を要する冷却剤を用いた場合は、本発明の歯科用冷却具を冷蔵庫で予め冷凍しておけば、急性歯髄炎などによる激痛が生じた際には、患部接触部を軽く噛むことによって、患部を簡単かつ直接的に冷却できる。冷却効果の持続時間は、冷却剤格納部の大きさや冷却剤の選択によって適宜設定することができる。
【0009】
前記患部接触部と前記冷却剤格納部のなす角度は60度以上、好ましくは90度以上にすることができる。このような構成にすることにより、患部を冷却する際に、冷却剤格納部と顔面との不必要な接触機会を著しく低減できる。
【0010】
また、前記密閉容器の内部に、前記冷却剤の他に、熱伝播用の媒体を封入することができる。このような構成にすることによって、患部接触部と冷却剤格納部との間の熱伝導性が向上し、患部をより効果的に、かつ持続的に冷却することが可能になる。
【0011】
また、前記密閉容器の内壁の一部分と、前記熱伝播用の媒体の表面の一部分とが密着している構成にすることができる。このような構成にすることにより、患部と患部接触部との熱伝導性が向上するだけでなく、患部接触部の容器が歯によって破断された場合にも、冷却剤を誤って飲み込んでしまう危険性を著しく低減できる。
【0012】
また、前記熱伝播用の媒体は、ステンレスやアルミなどの金属、あるいはSiやGeなどの半導体、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムから成る多層構造体、あるいはこれらの材料から成る粒状体で構成することができる。このような構成にすることにより、患部接触部と冷却材格納部との熱伝搬特性を向上できる。
【0013】
また、前記歯科用冷却具を二つ以上連結した状態で一体成型した構成にすることができる。このような構成にすることにより、冷却持続時間を増加することが可能になる。
【0014】
また、前記密閉容器と、これを支持するための取っ手とが一体成型された構成にすることができる。このような構成にすることにより、冷凍された本冷却具を長時間持ち続けることが容易になるだけでなく、冷却剤格納部の、体温による温度上昇を抑制できるため、冷却効果の持続性能を向上できる。
【0015】
また、本冷却具は、飲み込み防止用の停止板を具備した構成にすることができる。このような構成にすることにより、本冷却具を使用中に誤って飲み込んでしまったり、喉につかえたりするという事故を防止することが可能になる。
【0016】
本発明によれば、棒状、あるいは平板状、あるいは筒状の患部接触部と、棒状、あるいは平板状、あるいは筒状の冷却部とが一体成型された構造を有する歯科用冷却具が提供される。このような構成にすることにより、歯痛が生じた際には、前記冷却部を、氷水などを入れた容器に浸した後、前記患部冷却部を軽く噛むことにより、患部近傍だけを、顔の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却することができる。
【0017】
また、前記冷却部の表面は、複数の屈曲点を有する構成にすることができる。このような構成にすることにより、冷却部の表面積が増加するため、冷却部を氷水などに浸した際の、冷却部の冷却性能が著しく向上する。
【0018】
本発明によれば、前記歯科用冷却具と、この冷却具を冷却するための冷却容器と、この冷却容器の中に冷却剤を密封するための蓋とで構成され、かつ、前記冷却具の冷却部が前記蓋をその内側に向かって貫通しており、かつ、前記冷却具と前記蓋とが一体成型されている歯科用冷却具が提供される。このような構成にすることにより、夜間に歯痛が生じた場合などに、横になった状態でも、冷却容器から冷却材が漏れ出ることを心配することなく、患部近傍だけを、顔の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却することが可能になる。
【0019】
本発明によれば、前記冷却部が前記密閉式容器の蓋をその内側に向かって貫通しており、かつ、前記冷却部と前記蓋とが一体成型されており、かつ、前記冷却部と前記蓋の寸法が、市販されている各種飲料用密閉式容器のいずれかの蓋と容器の寸法規格に準拠している歯科用冷却具が提供される。このような構成にすることにより、前記冷却部を冷却するための密閉式容器として、市販されている各種飲料用密閉式容器を有効利用することが可能になる。
【0020】
前記密閉容器の一端部の形状、あるいは前記患部接触部の一端部の形状が、棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型に構成することができる。このような構成にすることにより、例えば歯茎が腫れた場合には、患部接触部のL字型やT字型の棒状部分を、ガーゼなどの薄手の布を介して歯茎に接触させることによって、患部近傍を効果的に冷却することができる。
【0021】
また、前記棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型になっている部分の少なくとも一部分の表面形状は、平面、あるいは凸曲面、あるいは凹曲面で構成することができる。このような構成にすることにより、患部接触部と歯茎の接触面積が増加するため、患部に対する冷却効果を向上できる。
【0022】
また、前記棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型になっている部分の少なくとも一部分の形状が平板状になっており、その平板状部分の厚さが1cm以下、好ましくは3mm程度であるように構成することができる。このような構成にすることによって、歯痛が生じた場合などに、口を大きく開けることなく、この平板部分を軽く噛むことによって、患部近傍だけを、顔面の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に冷却できる。
【0023】
また、前記密閉容器は、ポリエチレンなどの水不溶性プラスチックフィルムの単層膜あるいは多層膜、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた多層膜、あるいはアルミなどの金属の薄板で形成され、かつ、これらの単層膜や多層膜や金属薄板の膜厚が場所によって異なる構成にすることができる。このような構成にすることにより、例えば、患部に接触させる部分以外の膜厚を厚くすることができる。その結果、患部以外の皮膚に対する不必要かつ過度な冷却を抑制することが可能になる。
【0024】
また、前記患部接触部と前記冷却部の少なくとも一部分は、ステンレスやアルミなどの金属、あるいは金属めっきしたプラスチック、あるいは金属めっきしたセラミックス、あるいはSiやGeなどの半導体、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた多層構造体で構成することができる。このような構成にすることにより、冷却剤と冷却部、および冷却部と患部接触部との熱伝播特性を向上できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の歯科用冷却具を用いれば、激しい歯痛が生じている患部を、顔面の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却でき、充分な鎮痛作用が得られ、また、抜歯などで生じた歯茎の腫れを、簡単かつ迅速に沈静化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1aは、本実施の形態における歯科用冷却具の一例を示す斜視図である。横幅と厚さが約1cm、長さが約10cmの筒型の密閉容器101の中に、水と水溶性ポリマーなどを含有するゲル状の冷却剤102が封入されている。この密閉容器は、市販されているアイスパックなどと同様に、ポリエチレンやナイロンなどのプラスチックフィルムで形成されている。従って、本実施形態における歯科用冷却具は、通常のアイスパックと同様の慣用的な製造方法(製袋、充填)を用いて製造することができる。歯痛が発生した際には、この密閉容器101の端を挟むように軽く噛めば、患部を直接冷却できる。口を大きく開けずに密閉容器101を簡単に噛めるように、密閉容器101の横幅は約1cm、厚さは約8mm、長さは約10cmに設定してある。密閉容器101の長さが短すぎると、冷却効果の持続時間が減少するだけでなく、使用中に誤って容器を飲み込んでしまう危険性が生じるため、この例では10cmに設定した。密閉容器101の大きさは、冷却効果の持続時間、本冷却具の扱いやすさ、および家庭用冷蔵庫の冷凍室の大きさなどを考慮して適宜設定できる。
【0028】
図1bは、図1aに示した密閉容器101に、長さが約3cmのプラスチック製の取っ手103を一体成型した例を示す斜視図である。取っ手103部分を指先で持つことにより、冷凍した密閉容器101を扱いやすくなる。また、密閉容器101に直接触れないため、冷却剤102の温度上昇を抑制できる。その結果、冷却効果の持続時間が増加する。
【0029】
図1cの右図は、図1bに示した位置A−A’で本冷却具を縦方向に切断した断面を示す概念図であり、図1cの左図は、図1bに示した位置B−B’で本冷却具を縦方向に切断した断面を示す概念図である。図1dと図1eは、図1cと同様の断面構造において、患部に直接接触させる部分104の容器材料の膜厚を約1mmに設定し、患部以外の皮膚(唇など)に触れる部分105の膜厚を約3mmと厚くした例を示している。図1eは、冷却効果の持続時間を増加させるために、冷却剤102の内容量を増加した構造になっている。
【0030】
(第2の実施の形態)
図2a、図2b、および図2cは、図1bに示した位置A−A’で上記冷却具を縦方向に切断した断面を示す概念図であり、冷却効果持続時間の増加を目的として、冷却剤102を格納する領域を複数の冷却剤格納室106に分割した構造を例示している。図2dと図2eは、図1bに示した位置B−B’で上記冷却具を縦方向に切断した断面を示す概念図であり、図2dと図2eは図2cに対応している。
【0031】
(第3の実施の形態)
図3aは、密閉容器101の内部に、熱伝播用の媒体107を封入した構造の断面を示す概念図である。断面の位置と方向は、図1cなどと同様である。熱伝播用の媒体107は、ステンレスやアルミなどの金属、あるいは、SiやGeなどの半導体、あるいは、アルミなどの金属箔とプラスチックフィルムから成る多層構造体、あるいは後述するように、これらの材料から成る直径約1mm以下の粒状体などで構成できるが、ここに示した例では、厚さ約2mmのアルミ製の板を用いている。患部に接触させる部分の密閉容器の材料と媒体107を密着成型することにより、患部と媒体107の間、および媒体107と冷却剤102の間の熱伝導性が向上するため、患部に対する持続的冷却能力が向上する。
【0032】
上記の密着成型に加えて、さらに、図3b、図3c、および図3dに示すように、冷却剤格納室106と上記媒体107の間に隔壁108を設けることによって、本冷却具の使用中に、プラスチック製の容器を歯で破断してしまった場合にも、冷却剤が口の中に流れ込む可能性を低減できる。隔壁108は、密閉容器101と同じ材料で形成できる。図3cは、密閉容器101と同じ材料、または異なる材料109を用いて媒体107の表面を被覆した後に、媒体部分と冷却剤格納室部分を一体成型した構造を示している。図3dは、媒体107の表面が露出した状態で、媒体107と密閉容器101を一体成型した構造を示している。
【0033】
図3eから図3hは、媒体107と冷却剤102との接触面積を増やすために、媒体107に細長い棒110を設けた構造を示している。図3eと図3fは、図3aの媒体構造を、この考え方に基づいて改良した例であり、図3gと図3hは、図3bの媒体構造を、この考え方に基づいて改良した例である。図3fと図3hの構造では、棒110を取っ手103に固定することによって、冷却剤102が液化した状態における本冷却具の構造安定化を図っている。また、図3には、媒体107と冷却剤格納室106の厚さを同程度の値に設定した場合を例示しているが、両者の値は同じである必要はなく、例えば、媒体107の厚さを約2mm、冷却剤格納室の厚さを約2cmに設定することなども可能である。
【0034】
(第4の実施の形態)
図4aは、図1から図3に示した歯科用冷却具に、飲み込み事故防止用の停止板111を設けた構造を示す斜視図である。図4aに示した位置A−A’で停止板111を縦方向に切断した断面図を図4bに、図4aに示した冷却具を位置B−B’で縦方向に切断した断面図を図4cと図4dに示す。図4aには、厚さ約5mmのポリウレタン製の板を直径約3cmの円形に加工した停止板111を例示しているが、停止板111には、ポリウレタン以外にも、スポンジやゴムなどの材料を用いることもできる。また、停止板111の形状は、半円形や楕円形、あるいは三角形などの多角形、あるいは十字形などでも良い。停止板111の外周寸法は、冷却部101を噛んだ状態で、停止板111の少なくとも一部分が上下いずれかの唇を覆う程度の大きさを有していれば良く、密閉容器101を奥歯で噛んだ状態において、停止板111と鼻との接触を避けることができるような形状と大きさであることが望ましい。図4bに示した例では、停止板111の中央部に、直径約1cmの穴112を設けてあるが、この穴は、必ずしも停止板111の中心に位置している必要はない。
【0035】
図4cと図4dに例示した円筒型の密閉容器101の直径は約8mm、停止板の穴の直径は約1cmであり、取っ手103の直径は、密閉容器101との接合位置から他端に向かって、約8mmから約12mmまで直線的に変化している。その結果、密閉容器101の先端を、停止板111の穴112に図の右側から挿入すると、停止板111を、停止板111の材料の弾力性によって、取っ手103と密閉容器101の接合位置付近に固定することができる。また、図4dに示すように、取っ手113の端付近に、高さ2mm程度の凸部113を設けておくこともできる。取っ手103を用いない場合には、密閉容器101の一端部の寸法に、上記の取っ手103と同じような変化を与えるか、あるいは、停止板111に設ける穴112の大きさを適切に設定すれば、停止板111の弾力性を用いて、上記と同じ要領で、停止板111を密閉容器101の適切な位置に固定することが出来る。
【0036】
図4eは、取っ手103に、停止板111をより確実に固定するための構造を示している。この例では、直径約3cmの円形の停止板111と、直径約1cm、長さ約5cmの棒114とが一体成型されている。この停止板111と棒114は共にプラスチック製であり、各部品を個別に製造した後に接着して製造することも可能である。例えば、取っ手103に雌ネジ、棒114に雄ネジを設けておくことによって(逆も可)、両者をネジ止めして確実に固定することができる。以上説明したように、密閉容器101、あるいは取っ手103に停止板111を装着することによって、本冷却具を使用している際に、密閉容器101を誤って飲み込んだり、喉につかえたりするという事故を、未然に防止することができる。
【0037】
(第5の実施の形態)
図5aは、本実施の形態における歯科用冷却具の一例を示す斜視図である。この例における密閉容器は、患部接触部201と冷却剤格納部202が一体成型された構造になっている。患部接触部201は、直径約8mm、長さ約5cmの円柱状または角柱状になっており、冷却剤格納部202は、横幅約6cm、縦幅約10cm、厚さ約2cmの袋状になっている。冷却剤格納部202の平面形状は、四角形などの多角形に限定される必要はなく、円形や楕円形などでも良い。この密閉容器の中に、水、あるいは、水と水溶性ポリマーなどを含有するゲル状の冷却剤203を封入する。この歯科用冷却具は、市販されているアイスパックなどと同様に、ポリエチレンなどのプラスチックフィルムを用いて、慣用的な製造方法(製袋、充填)で製造できる。歯髄炎などが発症した際には、家庭用冷蔵庫であらかじめ冷凍しておいたこの歯科用冷却具の、患部接触部201を歯で挟むように軽く噛むことによって、口を大きく開けることなく、患部を直接的に、かつ簡単に冷却することができる。本実施の形態における冷却剤格納部202の体積は、例えば、第一の実施例の密閉容器101よりも大きいため、冷却効果の持続時間が著しく増加する。
【0038】
図5aに示した位置A−A’で横方向に切断した断面の概念図を、図5bと図5cに示す。図5bは、患部接触部201と冷却剤格納部202との間に隔壁がない構造を、図5cは隔壁がある構造を示している。図5cのような構造は、患部接触部201と冷却剤格納部202を個別に製造した後、両者を慣用的なヒートシールや接着剤などを用いて形成できる。
【0039】
(第6の実施の形態)
図6は、図5に示した密閉容器の異なる形態の例を示す斜視図である。密閉容器をポリエチレンやポリ塩化ビニルなどのプラスチック膜で形成する場合、上述した方法で患部を直接冷却するためには、患部接触部201のプラスチック膜の膜厚は、できるだけ薄くすることが望ましい。しかしながら、患部接触部201は患部に直接接触するため、患部接触部201の内部の冷凍されて固化していた冷却剤は、患部との接触時間の増加と共に液化する。また、冷却剤の種類によっては、冷凍しても固化しない物もある。従って、上記プラスチック膜の膜厚を熱伝導性の観点から薄く設定した場合、患部接触部の機械的強度が低下することは避けられない。また、冷却剤格納部202は、通常、手で支えるため、冷凍した冷却剤の温度は体温によって上昇する。この温度上昇を抑制するために、冷却剤格納部202に、図1bに示したような取っ手を取り付ける方法も有効であるが、患部接触部201と冷却剤格納部202の構造を安定させるためには、上記プラスチック膜の膜厚を適切厚さに設定することが望ましい。
【0040】
図6aは、患部接触部201と冷却剤格納部202の一部分に、機械的強度の高い補強膜204を用いた例を示している。この補強膜204としては、膜厚が1mm程度で、機械的強度が高いプラスチック膜を用いることができる。図6bは、補強膜204の範囲を、冷却剤格納部202の端まで、帯状に延長した構造を示している。図6aと図6bは、帯状の補強膜204を、患部接触部201と冷却剤格納部202の側面に配置した例を示しているが、補強膜204は、患部接触部201と冷却剤格納部202の上面と下面に設けることも可能である。
【0041】
図6cは、補強膜204の範囲をさらに拡大して、患部接触部201と冷却剤格納部202の片面を、補強膜204で全体的に覆った構造を示している。図6dは、患部接触部201以外の、ほとんど全ての部分を補強膜204で覆った構造を示している。図6eは、図6dに示した構造と同様の構造を実現するための、一つの方法を示す斜視図である。この例では、膜厚約1mmのプラスチック膜で補強膜204をあらかじめ製造しておき、この中に、膜厚約0.5mmのプラスチック膜で形成された密閉容器205を挿入する。補強膜204の大きさは、冷凍時における冷却剤の体積膨張に伴う密閉容器208の体積膨張を考慮して、適宜設定することができる。また、密閉容器205だけを冷凍し、これを、冷凍していない補強膜204の中に挿入して使用することもできる。
【0042】
(第7の実施の形態)
図7は、患部接触部201と冷却剤格納部202との位置関係を示す概念図であり、図5aに示した位置A−A’で横方向に切断した断面構造に対応している。同じ位置で縦方向に切断した場合も同様の概念図になる。患部接触部201と冷却剤格納部202を一体成型する位置は、冷却剤格納部202の一側面の中央部付近や端部付近を適宜選択できる。また、患部接触部201の表面と冷却剤格納部202の表面のなす角度θ、θ1、あるいはθ2の大きさを概ね90度以上に設定することによって、患部を冷却する際に、冷凍された冷却剤格納部202と、頬の皮膚などとの不必要な接触機会を低減することができる。
【0043】
(第8の実施の形態)
図8は、患部接触部201と冷却剤格納部202の容器の内部に熱伝播用の媒体206を封入した構造を示す断面図である。図8の断面構造は、図5aに示したA−A’で横方向に切断した断面構造に対応している。図8aに例示した媒体206は、厚さ約1mmのアルミ製の板であるが、媒体206は、ステンレスやアルミなどの金属、あるいは、SiやGeなどの半導体、あるいは、アルミなどの金属箔とプラスチックフィルムから成る多層構造体、あるいはこれらの材料から成る粒状体で形成することもできる。このような構成にすることによって、冷凍された冷却剤203と媒体206との間、および媒体206と患部接触部201の容器材料との間の熱伝導性が向上する。従って、患部接触部201内の冷却剤の温度が体温によって上昇した場合でも、媒体206は、冷却剤格納部202内の冷却剤203によって冷却されているため、患部をより効果的に、かつ持続的に冷却することが可能になる。
【0044】
図8aに示した板状の媒体206の寸法が小さすぎると、冷却剤203が液化している状態では、媒体206が冷却剤格納部202の中へ抜け出てしまうため、図8aに示した各部の寸法を適切に設定して、冷却剤格納部202内部における媒体206の可動範囲を限定することが望ましい。例えば、a≒b+2mm,c≒d+2mm、e≒f+2mm、およびh>eとすることができる。また、図8aには、g≒3hとした場合を例示しているが、gとh、およびcの寸法は、冷却剤の種類や、冷却効果の継続時間などを考慮して設定することができる。
【0045】
図8b、図8c、および図8dは、冷却剤格納部202内の冷却剤と媒体206との熱伝播特性を向上させるために、媒体206の形状を改良した例を示している。図8bの媒体206は短冊状に加工してあり、図8cの媒体206の表面には、複数個の窪み207を設けてある。窪み207の替わりに、複数個の穴を開けることも出来る。図8dの例では、複数の棒状、あるいは板状の媒体206を用いており、媒体206の一端を患部接触部201の容器材料と一体成型して固定してある。もう一方の端は、必ずしも固定する必要はないが、図8dに示したように、プラスチック製の取っ手208の中に埋め込んで固定すれば、構造がより安定する。取っ手208は、冷却剤格納部202の容器材料で代替することも可能である。図8cと図8dの例では、患部接触部201の容器材料と媒体206を密着成型してあるため、患部接触部201の容器を使用中に歯で破断してしまった場合にも、冷却剤を誤って飲み込んでしまう可能性が著しく低下する。
【0046】
図8eは、上記の板状あるいは棒状の媒体206を、直径1mm程度の金属粒209で置き換えた例を示している。このような構成においても、冷却剤が液化した状態では、金属粒209が密閉容器の中を移動できるため、高い熱伝播作用が得られる。冷却剤の中に混入させる金属粒209の数は、患部接触部201と冷却剤格納部202の容積、および冷却剤203の特性などを考慮して最適化できる。また、金属粒209の形状は特に限定されず、球状や半球状、あるいは立方体や直方体、あるいは円柱状など、どのような形状でも良いが、その大きさは、直径1mm程度、長さ2mm程度の円柱の中に収まる程度であることが望ましい。金属粒209は、図1から図4に示した歯科用冷却具にも適用可能である。
【0047】
(第9の実施の形態)
図9aは、本実施の形態における歯科用冷却具の一例を示す斜視図である。この例では、平板状の患部接触部301と、筒状の冷却部302とが一体成型されている。患部接触部301の大きさは、横幅約1cm、厚さ約2mm、長さ約5cmであり、冷却部302の大きさは、直径約1cm、長さ約10cmであり、共にアルミ製である。筒状の冷却部302の内部は、A’側の端が開放状態の空洞になっており、また、A側には、後述する目的のために、通気孔303を設けてある。筒状の冷却部302を、空洞のない棒状あるいは平板状の棒で置き換えた場合には、この通気孔303は不要になる。位置A−A’で縦方向に切断した断面構造の概念図を、図9bと図9cに示す。図9bの冷却部302は、内部に空洞304を設けた筒状であり、図9cの冷却部302は、内部に空洞のない棒状である。いずれの構造も、各種金属製品の慣用的な加工技術を用いて製造することができる。
【0048】
歯髄炎などが生じた場合には、図9dに示すように、冷却部302を、氷水305などを入れた容器306に浸した後、患部接触部301の平板部分を軽く噛むことにより、患部だけを、顔の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却することができる。冷却部302の空洞304の端に通気穴303を設けておけば、冷却部302の空洞304内に氷水305が容易に侵入するため、冷却部302をより速やかに冷却できる。患部接触部301と冷却部302のなす角度θは特に規定されないが、約90度から180度の間に設定することが好ましい。また、患部接触部301と冷却部302の接続部分に関節要素部品を設ければ、角度θを可変にすることもできる。患部接触部301と冷却部302の少なくとも一部分は、ステンレスやアルミなどの金属、あるいは金属めっきしたプラスチック、あるいは金属めっきしたセラミックス、あるいはSiやGeなどの半導体、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた多層構造体で形成することができる。
【0049】
(第10の実施の形態)
図10aから図10fは、図9cと同様の断面構造を示す概念図である。図10に示した例では、冷却部302の表面に複数の屈曲点を設け、氷水などの冷却剤と冷却部302との接触面積を増加することによって、冷却部302の冷却性能の向上を図っている。図10には棒状の冷却部302を示しているが、板状や筒状でも同様であり、また、図に示したジグザグ構造の長さや高さなどは、規則的である必要はない。いずれの構造も、各種金属製品の慣用的な加工技術を用いて製造することができる。
【0050】
(第11の実施の形態)
図11aと図11bは、図9に示した冷却具と、冷却剤を封入するための密閉容器とを組み合わせた歯科用冷却具を示す斜視図である。この歯科用冷却具は、氷水などの冷却剤を入れるための容器306と、この容器を密閉するための蓋307、および、図9に示した棒状、あるいは板状、あるいは筒状の冷却具で構成される。容器306と蓋307の直径は約5cm、容器306の深さは約10cmであり、容器306と蓋307にはアルミやプラスチックなどの材料を用いることができる。冷却部302は、蓋307を内側に向かって貫通した状態で蓋307と一体成型されており、両者の接合部分はシール材を用いて密封できる。また、容器306と蓋307の両方に、ねじ山308を形成しておき、容器306に氷水などを入れた後、図11bに示すように、蓋307を用いて容器306を密封する。これらの構造は、各種家庭用品などと同様の慣用的な加工技術を用いて製造することができる。このような構成にすることにより、夜間に突然歯痛が生じた場合などに、身体を横たえて使用しても、容器306から氷水などの冷却材が漏れ出ることを心配することなく、患部近傍だけを、顔の皮膚を介さずに、簡単かつ直接的に、かつ持続的に冷却することができる。
【0051】
(第12の実施の形態)
上記の容器306は、市販されている各種飲料用密閉式容器(所謂パウチ容器など)で代替することも可能である。図12aは、市販されている健康飲料用の密閉式容器(スクリューキャップ付パウチ容器)306を用いた構成の一例を示す斜視図である。アルミラミネート製、あるいはプラスチック製の容器306の横幅は約8cm、長さは約12cm、厚さは約3cmである。患部接触部301、冷却部302、および蓋307の大きさは、上記の容器306の寸法規格を前提として設定してあり、プラスチック製の蓋307の中央部を、患部接触部301と冷却部302からなるアルミ製の棒が貫通している。このアルミ製の棒は、蓋307を境にして患部接触部301と冷却部302に分割される。注入口310から容器306の中に適量の水道水を注入し、冷却部302を容器306の中に挿入した後、スクリュー式の蓋307を回して栓をすれば、冷却部302と水を容器306の中に密封できる。アルミ製の棒と蓋307の接合部分はシール材309を用いて密封することができる。アルミ製の棒の横幅は約5mm、厚さは約2mm、患部接触部301の長さは約5cm、冷却部302の長さは約10cmであり、蓋307の大きさは、直径が約2cm、長さが約3cmである。蓋307とその内側に形成するねじ山を、上記の飲料用密閉式容器306の注ぎ口310のねじ山308の寸法規格に準拠して製造すれば、図12bに示すように、冷却部302を冷却するための容器として、上記の飲料用密閉式容器306を有効活用することができる。
【0052】
図13に、蓋307と上記のアルミ製の棒が一体成型された歯科用冷却具の斜視図、および断面構造の概念図を示す。図13bは、図13aの位置A−A’で縦方向に切断した断面を、図13cは、位置A−A’で横方向に切断した断面を示しており、図13dは、位置B−B’で縦方向に切断した断面を示している。本冷却具は、上記のアルミ製の棒が挿入できる穴とねじ山311を形成した蓋307に、上記のアルミ製の棒を挿入し、所定の位置でシール剤309を用いて両者を固定、封止することによって形成できる。また、上記のアルミ製の棒と蓋307との接合部分の、アルミ製の棒の表面状態を粗くなるように表面加工しておけば、シール材309を使用せずに、慣用的なヒートシールによって一体成型することもできる。また、図12と図13には、患部接触部301が直線状の平板構造を例示してあるが、この部分を、図9aのような、折り曲がった構造にすることもできる。また。冷却部302の形状を図10のように変形することもできる。
【0053】
以上説明した歯科用冷却具の、筒状の密閉容器101の一端部、あるいは、患部接触部201、あるいは301の一端部の形状は、棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型にすることができる。また、上記の棒型、あるいは平板型、あるいは、L字型、あるいはT字型になっている部分の、少なくとも一部分の表面形状を、平面状、あるいは凸曲面状、あるいは凹曲面状にすることができる。図14と図15は、上記の改良を施した構造を示す斜視図である。このような構成にすることより、例えば歯茎が腫れた場合には、図14bから図14fに示した、患部接触部のL字型やT字型の棒状部分115を、ガーゼなどを介して、歯茎に直接接触させることによって、患部近傍のより広い面積を効果的に冷却することができる。また、例えば、図15cに示したように、棒状の患部接触部とT字型の患部接触部とを併せ持つ構成にすれば、本冷却具の汎用性が向上する。また、図14と図15に示した歯科用冷却具の内部に、図3と図9に示した例と同様に、熱伝播用の媒体を挿入すれば、上述したように、患部と冷却剤との熱伝導性が向上する。また、図14と図15に示した歯科用冷却具にも、図6に示した保護膜204や図8に示した取っ手208を適宜付与することができる。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、細部の構成は種々変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図と断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す斜視図と断面図。
【図5】本発明の第5の実施の形態を示す斜視図と断面図。
【図6】本発明の第6の実施の形態を示す斜視図。
【図7】本発明の第7の実施の形態を示す概念図。
【図8】本発明の第8の実施の形態を示す断面図。
【図9】本発明の第9の実施の形態を示す斜視図と断面図。
【図10】本発明の第10の実施の形態を示す断面図。
【図11】本発明の第11の実施の形態を示す斜視図。
【図12】本発明の第12の実施の形態を示す斜視図。
【図13】本発明の第12の実施の形態を示す斜視図と断面図。
【図14】本発明の他の実施の形態を示す斜視図。
【図15】本発明の他の実施の形態を示す斜視図。
【図16】一般的なアイスパックの構造と使用方法の例を示す概念図。
【符号の説明】
【0055】
001 アイスパック
002 密閉容器
003 冷却剤
004 患部付近の顔面(頬、顎、唇)
101 筒型の密閉容器
102 冷却剤
103 取っ手
104 患部に直接接触させる部分
105 患部以外の皮膚(唇など)に触れる部分
106 冷却剤格納室
107 熱伝播用の媒体
108 隔壁
109 密閉容器101と同じ材料または異なる材料
110 細長い棒
111 飲み込み事故防止用の停止板
112 穴
113 凸部
114 棒
115 患部接触部のL字型やT字型の棒状部分
201 患部接触部
202 冷却剤格納部
203 冷却剤
204 補強膜
205 密閉容器
206 熱伝播用の媒体
207 窪み
208 取っ手
209 金属粒
301 患部接触部
302 筒状の冷却部
303 通気孔
304 空洞
305 氷水
306 容器
307 蓋
308 ねじ山
309 シール材
310 注ぎ口
311 蓋側のねじ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却剤を内包する密閉容器から成り、人間の口の中に挿入可能に構成されている歯科用冷却具。
【請求項2】
請求項1に記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器の内部が複数個の冷却剤格納室に分割されている歯科用冷却具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器が患部接触部と冷却剤格納部とから構成されている歯科用冷却具。
【請求項4】
請求項3に記載の歯科用冷却具において、前記患部接触部の体積が前記冷却剤格納部の体積よりも小さい歯科用冷却具。
【請求項5】
請求項3または4に記載の歯科用冷却具において、前記患部接触部と前記冷却剤格納部のなす角度が60度以上である歯科用冷却具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器の内部に、熱伝播用の媒体が封入されている歯科用冷却具。
【請求項7】
請求項6に記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器の内壁の一部分と、前記熱伝播用の媒体の表面の一部分とが、密着している歯科用冷却具。
【請求項8】
請求項6または7に記載の歯科用冷却具において、前記熱伝播用の媒体が、ステンレスやアルミなどの金属、あるいはSiやGeなどの半導体、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムから成る多層構造体、あるいはこれらの材料から成る粒状体で構成されている歯科用冷却具。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の歯科用冷却具が、二つ以上連結した状態で一体成型されている歯科用冷却具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器と、これを支持するための取っ手とが、一体成型されている歯科用冷却具。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の歯科用冷却具が、飲み込み防止用の停止板を具備している歯科用冷却具。
【請求項12】
棒状、あるいは平板状、あるいは筒状の患部接触部と、棒状、あるいは平板状、あるいは筒状の冷却部とが一体成型された構造を有する歯科用冷却具。
【請求項13】
請求項12に記載の歯科用冷却具において、前記冷却部の表面が複数の屈曲点を有する歯科用冷却具。
【請求項14】
請求項12または13に記載の歯科用冷却具と、この冷却具を冷却するための冷却容器と、この冷却容器の中に冷却剤を密封するための蓋、とで構成され、かつ、前記冷却具の冷却部が前記蓋をその内側に向かって貫通しており、かつ、前記冷却具と前記蓋とが一体成型されている歯科用冷却具。
【請求項15】
請求項12または13に記載の歯科用冷却具の冷却部が、密閉式容器の蓋をその内側に向かって貫通しており、かつ、前記冷却部と前記蓋とが一体成型されており、かつ、前記冷却部と前記蓋の寸法が、市販されている各種飲料用密閉式容器のいずれかの蓋と容器の寸法規格に準拠している歯科用冷却具。
【請求項16】
請求項1から11のいずれかに記載の歯科用冷却具における密閉容器の一端部の形状、あるいは請求項12から15のいずれかに記載の歯科用冷却具における患部接触部の一端部の形状が、棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型になっている歯科用冷却具。
【請求項17】
請求項16に記載の歯科用冷却具において、棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型になっている部分の、少なくとも一部分の表面形状が、平面、あるいは凸曲面、あるいは凹曲面になっている歯科用冷却具。
【請求項18】
請求項16に記載の歯科用冷却具において、棒型、あるいは平板型、あるいはL字型、あるいはT字型になっている部分の、少なくとも一部分の形状が平板状になっており、その平板状部分の厚さが1cm以下である歯科用冷却具。
【請求項19】
請求項1から11、あるいは16から18のいずれかに記載の歯科用冷却具において、前記密閉容器が、ポリエチレンなどの水不溶性プラスチックフィルムの単層膜あるいは多層膜、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた多層膜、あるいはアルミなどの金属の薄板で形成され、かつ、これらの単層膜や多層膜や金属薄板の膜厚が場所によって異なる歯科用冷却具。
【請求項20】
請求項12から18のいずれかに記載の歯科用冷却具において、前記患部接触部と前記冷却部の少なくとも一部分が、ステンレスやアルミなどの金属、あるいは金属めっきしたプラスチック、あるいは金属めっきしたセラミックス、あるいはSiやGeなどの半導体、あるいはアルミなどの金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた多層構造体、で形成されている歯科用冷却具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−18199(P2008−18199A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215000(P2006−215000)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(506270101)
【Fターム(参考)】