説明

歯科製品、及び歯科製品の輸送のための保持システムの組立て体

【課題】 歯科製品(4)、及び歯科製品(4)を一時的に保持するための保持システムの組立て体を提供する。
【解決手段】 保持システムは、歯科製品(4)を間に挟むための第一と第二部分(1,5)を含む。第一部分(1)は、歯科製品(4)の一方の側の形状に対して実質的に補完的である形状を備えており、第二部分(5)は、歯科製品(4)の他方の側を第二部分(5)に対して解放可能に結合するために配置されている。本発明はさらに、歯の美感を改善する方法に関する。この方法は、組立て体から歯科製品(4)を歯の上に直接再配置することにより歯科製品(4)を歯の上に置くことを含み、そこでは組立て体の部分(5)が歯科製品(4)を歯の上に置くための道具として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科製品、及び歯科製品の一時的保持のための保持システムの組立て体に関する。本発明はまた、歯の美感を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆のような歯科製品はこわれやすいことが多い。歯科製品の製造と人の口腔内への最終配置の間に、これらの歯科製品は、損傷が起こらないような方法で輸送されることが必要である。
【0003】
人の口腔内に置かれることが必要である補綴物、被覆、及び他の歯科製品のような歯科製品は、今日、歯科医のいすが置かれている場所とは異なる場所で製造されることが多い。従って、歯科製品は、製造位置から「配置位置」に輸送されることが必要である。かかる歯科製品は繊細な品目であるかもしれず、もし輸送のために注意深く包装されないなら損傷されることがある。
【0004】
歯科製品が、全歯を多かれ少なかれ置換する歯科用インプラントに関するものであるとき、歯科製品は非常にこわれやすいと考えられることができない。これは、包装の方法が必ずしも主として歯科製品の破砕を避けることに集中されていないことを意味する。
【0005】
US5558230,US5538428、及びUS5368160は、歯科用インプラントシステムのための包装及び配送システムを記載し、そこでは製造位置と「配置位置」の間の輸送のために使用される容器内に歯科用インプラントを位置決めするためにねじが使用されることが多い。関連した人の口腔内の歯科用インプラントの配置のためにいずれにしても治癒ねじが必要なことが多いので、かかる包装は非常に効率的でありうる。インプラントを容器内に固定するためのねじはそのとき治癒ねじと同じであることができる。
【0006】
しかし、歯科製品が、薄いセラミック歯被覆のような非常に薄くてかつおそらく非常にこわれやすい製品にまで関係する場合、例えばねじを使用する締め付けまたは固定機構のいずれの形の使用も避けられることが必要であり、またはそのような使用は全く不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、歯科製品が薄いセラミック歯被覆のようなこわれやすい歯科製品である場合に、歯科製品、及び歯科製品を一時的に保持するための保持システムの組立て体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、歯科製品、及び歯科製品を一時的に保持するための保持システムの組立て体を提供し、そこでは保持システムは歯科製品を間にはさむための第一及び第二部分を含む。第一部分は歯科製品の一方の側とぴったりと適合するための形状を備えている。歯科製品の一方の側とぴったりと適合するためのかかる形状は、歯科製品の一方の側に補完的な形状、例えば歯科被覆の個別化された形状であることができる。ぴったりと適合するための形状は、歯科製品を受ける患者の歯の少なくとも一部分の形状を持つことができる。第二部分は、歯科製品の別の側を第二部分に対して解放可能に結合するために配置される。保持システムの第一部分と歯科製品の一方の側の間のぴったりした適合を提供することにより、歯科製品を第一部分に対して「ぴったりと適合して」歯科製品を保持することができ、歯科製品と第一部分の間の位置関係に安定性を与える可能性を提供する。歯科製品の別の側を第二部分に対して解放可能に結合することにより、歯科製品と第二部分の間の固定した位置関係を得ることができる。従って、解放可能な結合が歯科製品と第二部分の間に形成されることができる。
【0009】
本発明の一実施態様では、第一部分と第二部分は、組立て体が組み立てられた状態にあるときに互いに解放可能に固定可能である。歯科製品は、そのとき、実際に第一と第二部分間にはさまれて非常に安定な位置に保持されることができる。これは、歯科製品の好適な輸送を可能にする。
【0010】
本発明による組立て体の一実施態様では、第一部分は人の一組の歯の少なくとも歯部の模型を含む。模型のこの部分は、理想的には、歯科製品がその歯部の上に口腔内で置かれるときに存在する歯部に相当する。歯科製品は、人の一組の歯のその歯部にぴったりと適合するように設計されているので、この歯部は歯科製品の一方の側との最適なぴったりした適合を提供するであろうし、それ自体、歯科製品がその歯部に対して適切に保持されるときに最適な安定性を提供するであろう。
【0011】
さらに、歯科製品を歯科医または他の熟練者に配送するこの方法は、歯科製品が配置されることが必要である場所に関して考え違いを避けるであろう。
【0012】
さらに、組立て体の第一部分の一部として模型を提供することは、歯科製品の製造位置において、歯科製品が設計されかつ製造された歯部とのその適合に関して、歯科製品の品質のチェックを助けるであろう。それはまた、歯科製品、及び歯科製品を保持するための保持システムの組立て体を提供する効率的な方法であり、それ自体模型は、とにかく取り付けチェックのため及び着色及び/または施釉層のような仕上げ層の完成のために作られなければならないことが多いであろう。
【0013】
本発明による組立て体の一実施態様では、第二部分は歯科製品の歯に対する配置時に第二部分を手動で保持するためのつかみ保持器を持つ。これは、歯科製品が人の口腔内に配置されるときに歯科製品を保持するために他の道具を全く必要としないという利点を持つ。
【0014】
本発明による組立て体の一実施態様では、第二部分は箔を含む。これは、歯科製品の第二部分に対しての結合時に変形応答を必要とするよりむしろ、第二部分がその形状を歯科製品に採用することを確実にする。箔の性質、特にそのシート状挙動、柔軟性、厚さ、及びシートの面内の強度は、歯科製品上に望ましくない歪を与えることなしに歯科製品を第一部分の上に固定することができることを確実にする。
【0015】
本発明による組立て体の一実施態様では、第二部分は透明である。これは、歯科製品並びに第一部分の多くが第二部分を除去しなくても目に見えたままであるという利点を持つ。さらに、それは、保持システムから関連する人の口腔への歯科製品の輸送に対して、さらにはその人の一組の歯の意図した歯部の上への歯科製品の正確な配置に対しても、第二部分を操作することにより、おそらくいかなる他の道具の必要もなくても、可能にするであろう。これは、もし透明な第二部分がまた、輸送道具として及び配置道具として使用されたとしても、歯科製品が常に目に見えるからである。さらに、人の口腔内の歯科製品の直接的な包囲が歯科製品の配置時に常に目に見えるから、さらに歯科製品の正確かつ迅速な配置を容易にする。
【0016】
本発明による組立て体の一実施態様では、箔はテープである。テープの性質は、それが少なくとも一方の側に接着剤を持つことである。これは、一方では箔を歯科製品の上に結合することを、かつ他方では箔の第一部分の上への粘着を容易にし、第一と第二部分の一緒の固定を容易にする。
【0017】
本発明による組立て体の一実施態様では、箔は、静電保持により歯科製品を模型上に保持させられる。これは、接着剤のようないかなる追加の化合物の使用の必要性も避ける。
【0018】
箔は、静電結合に加えてまたはその代替として箔を光硬化結合により及び/または減圧結合により歯科製品を模型上に保持させることも可能である。
【0019】
本発明による組立て体の一実施態様では、箔が、例えば光硬化結合または箔を減圧結合によって、歯科製品を模型上に保持させる場合、箔は、それ自身歯科製品とぴったりと適合する位置関係にある第一部分とぴったりと適合させることで個別化される。それ自体、歯科製品は一つより多い側面で保持システムの第一及び第二部分によりぴったりと適合され、このこわれやすい歯科製品の輸送のために形成された中空部の設計を最適化する。歯科製品があつらえた包袋内に効果的に保持されるときにはさみ込みは完全である。さらに、かかる箔は、箔を一組の歯の適合部分上に置くことにより歯科製品の人の口腔内の配置のために使用されることができる。箔が歯科製品上に置くための及び/または箔を歯科製品及び/または第一部分から除去するためのつかみ保持器を持つことが好ましい。これはさらに、箔及び歯科製品の取り扱いを最適化する。
【0020】
本発明による組立て体の一実施態様では、模型は、模型を支持するための支持体と組み合わされる。支持体及び模型は、互いに対して位置的に固定されるかまたは固定可能である。その実施態様では、組立て体はさらに容器を含む。支持体は、模型を容器内に安定に保持するための寸法を持つ。これは、模型及び歯科製品が安定なままであることを確実にするために模型も歯科製品もどちらもかかる容器と接触して置かれる必要がないことを確実にする。模型と歯科製品の全てのさらなる固定は、支持体が固定位置に保持されることを確実にすることにより実行されることができる。
【0021】
本発明はまた、歯の美感を改善する方法に向けられており、その方法は、かかる組立て体からの歯科製品を歯の上に直接再配置することにより歯科製品を歯の上に配置することを含み、そこでは組立て体の部分が歯科製品を歯の上に配置するための道具として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明はさらに、図面を参照して説明されるであろう。
【0023】
【図1】図1は、本発明による組立て体の一実施態様の第一部分を示す。
【0024】
【図2】図2は、本発明による組立て体の一実施態様の第一部分と歯科製品を示す。
【0025】
【図3】図3は、本発明による組立て体の一実施態様の第一部分、歯科製品、及び第二部分を示す。
【0026】
【図4】図4は、本発明による組立て体の一実施態様を示す。
【0027】
【図5】図5は、本発明による組立て体の一実施態様を示す。
【0028】
【図6】図6は、本発明による組立て体の一実施態様の使用を示す。
【0029】
【図7】図7は、本発明による組立て体の一実施態様を概略的にかつ断面で示す。
【0030】
【図8】図8は、矢印Aの方向に見たときの容器蓋のない図7に示された実施態様の上面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の特別の実施態様が今や添付図面を参照して説明されるであろう。しかし、この発明は、多くの異なる形で実現されることができ、ここに記載された実施態様に限定されるものとして解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施態様は、この開示が完璧かつ完全であるように、かつ本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に例示された実施態様の詳細な説明に使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。図面において、同様の数字は同様の要素を示す。
【0032】
図のそれぞれは、歯科製品、及び歯科製品を一時的に保持するための保持システムの完全な組立て体、またはかかる組立て体の一部を示す。本発明による組立て体の利点は、歯科製品がこわれやすい製品に関する組立て体で最も顕著である。かかるこわれやすい歯科製品の例は被覆である。かかる被覆はまた、ラミネートと呼ばれることができる。以下において、被覆に対してのみ言及されるであろうが、それは限定として解釈されるべきでない。ラミネートもまた、被覆という用語により包含される。
【0033】
歯科医学界では、被覆は、歯の美感を改善するために歯の表面を覆って置かれる修復材料の薄い層である。改善が予め決められた歯の色の改善にのみ関係する場合、被覆は非常に薄くすることができる。ある実施態様では、被覆はガラスセラミックから作られることができる。特に、かかる薄い被覆は非常にこわれやすくかつそれを破損なしに取り扱うことが困難であるであろう。さらに、本発明の実施態様では、被覆またはラミネートは下部構造のない歯科製品であり、すなわち被覆またはラミネートは、ラミネートまたは被覆を強化するいかなる中間下部構造もなしに歯の表面に直接置かれる。歯冠またはブリッジのような他の歯科補綴物はコーピングまたはブリッジ下部構造のような下部構造の上に被覆層を含むことができ、そこでは被覆層は下部構造またはコーピングの上に幾つかの層で付与され、続いて焼結される。しかし、下部構造の上のかかる被覆は、強度問題を被らず、取り扱うのに特にこわれやすくない。
【0034】
図1は、本発明による保持システムの第一部分1を示す。第一部分1は、歯科製品の一方の側にぴったりと適合するための形状を備えている(図1には示されていない)。示されたように、この例では、第一部分1は一組の歯3の模型2を含む。しばしば、模型2は、人の口腔内に存在するような一組の歯の全体に相当する一組の歯3を含まないであろう。むしろ、模型2は、歯科製品4が付与されるであろう少なくとも一つの歯3または歯部を含む、人の一組の歯の上方前部のような人の歯3の一部の組にのみ相当する一組の歯3を含む。模型2はその歯部のみを含むことさえ可能である。
【0035】
図2(a)は、第一部分1の正面図を示す。図2(b)は、図2(a)に示された一組の歯3内の歯3の一つを覆うことを意図されている被覆4の前部を示す。この実施態様では、被覆4は前歯3を覆う。図2(a)には、被覆4の位置が同じ参照番号により示され、濃い線で描かれている。
【0036】
被覆4が設計されかつ製造された歯3の模型2は、被覆4の一方の側にぴったりと適合するための形状を持つ第一部分1を最も好適に提供することは明らかであるだろう。しかし、歯科製品4が設計されかつ製造された歯部を提供するのと異なる方法で第一部分1が歯科製品4の一方の側とぴったりと適合するための形状を与えることもまた可能である。例えば、歯科製品4の一方の側が簡単な数学式により記載されるような明確な幾何学形状を持つ状況では、第一部分1は、歯科製品4のその形状にぴったりと適合するための形状を、その側を非常に同じ数学式に基づいて直接製造することにより与えることができる。それらの状況では、人の一組の歯3の模型2、またはその一部に依存する必要がない。歯科製品の一方の側にぴったりと適合するための形状は、歯科製品の一方の側に補完的である形状、例えば歯科用被覆の個別化された形状であることができる。ぴったりと適合するための形状は、歯科製品を受ける患者の歯の少なくとも一部分の形状を持つことができる。
【0037】
図3は、本発明による組立て体を示し、それは保持システムの第一部分1及び歯科製品4に加えて、保持システムの第二部分5も持つ。この実施態様では、第二部分5は箔を含む。明らかに、歯科製品4は第一部分1と第二部分5の間にはさまれる。なぜならば、それは、歯科製品4が付与される歯に相当する歯と箔の間に位置するからである。箔はテープを含むことができる。図3に示されるように、第一部分1と第二部分5は互いに解放可能に固定される。従って、第二部分5は、第二部分を歯科製品に解放可能に固定及び/または結合するための手段を含むことができる。第二部分5は、この例では、一方の側に接着剤を与えられており(図示せず)、それは、第二部分5を第一部分1に解放可能に固定することを可能にし、かつ歯科製品4の一方の側(ここでは被覆4)を第二部分5に対して解放可能に結合することを可能にする。従って、解放可能な結合は、歯科製品と第二部分の間に形成されることができる。
【0038】
好ましくは、第二部分5は透明であり、従って歯科製品4(この例では被覆4)は第二部分5を通して見られることができ、重要なことに、模型2の他の部分に対するその位置関係も見られることができる。これは、品質制御(すなわち被覆4が前の一組の歯3に、例えば位置及び/または色に関して、正しく適合しているかどうか)を可能にする。
【0039】
第二部分5は、ここまで例としておそらく接着剤を与えられた箔として述べられたけれども、箔はまた、他の手段により第一部分1の上に少なくとも一つの歯科製品4を保持させることができる。例として我々は減圧結合及び/または静電結合を挙げる。両方法はそれ自体公知である。例えば、減圧結合は熱成形ユニットにより提供されることができ、そこでは変形可能な素材が予熱され、中間に被覆4を持つ第一部分1の上に配置され、次いで真空ポンプを起動することにより変形され、それにより素材は第一部分1により支持されている被覆4に解放可能に結合する。次いで、変形された素材は希望の形状に削って仕上げられることができる。かかる減圧成形装置は、例えばDreve、ドイツから、商品名Vacfomat U,Vacformat 2000及びDruformat Scanの下で入手可能である。静電箔またはフィルム、接着剤を持つフィルム、樹脂系及び光硬化系の両方のような結合フィルムは、例えば3M、米国から入手可能である。
【0040】
図4は、本発明による組立て体の一実施態様を示し、そこでは第二部分5は、歯科製品4の配置時に第二部分5を手動で保持するためのつかみ保持器6を備えている。特に箔が模型2を取り付けるために硬化されかつ予備成形されることができる材料のものである実施態様では、かかるつかみ保持器6を第二部分5に接着することによりまたはかかるつかみ保持器6を第二部分5に純粋に機械的に取り付けることによりつかみ保持器6を付与することは困難でないであろう。つかみ保持器6は、歯科医/歯科熟練者が第二部分5を歯被覆4を予め決められた人の歯の上に配置するための道具として使用することを望む状況では特に有用である。被覆により覆われるべき歯の上に及び/または歯と接触させられる被覆4の側の上に結合材料を設け、かつ被覆4が被覆4により覆われる歯を実際に覆うように第二部分5を位置させかつ保持するとき、第二部分5の透明性並びにつかみ保持器6の設置は有利であることがわかる。
【0041】
歯科製品はここまでは単一部品製品として述べられたけれども、歯科製品は多数の部品を含むことも十分に可能である。図5に示されるように、歯科製品が多数の歯被覆4に関係することも十分に可能である。各歯被覆4はセラミック材料からなり、多分少なくとも0.08mm、0.2mm未満、0.14mm未満、または0.1mm未満の厚さを持つ板状物であることができる。また、セラミック材料が透明または半透明であることも可能である。これは、被覆4を予め決められた歯の上に正確に配置する可能性をさらに改善するであろう。予め決められた歯の色改善は、次いで色剤を結合材料に添加することにより実現されることができる。セラミック材料は、そのとき結合材料に添加された色剤が歯の外観に、その色に関して貢献することができるように少なくともある程度まで半透明であるガラスセラミックを含むことができる。
【0042】
被覆4の厚さは平均厚さである。種々の位置で被覆4はより薄くまたはより厚くすることができる。例えば、被覆4は、溝またはすじのようなより自然に見える種々の構造を含むことができる。追加的にまたは代替的に、歯被覆4は被覆4のより自然な見え方のためにまたは例えば摩滅によって人の歯牙の失われた特徴を再現するために前面に組織(テキスチャ)を含めることができる。また、被覆4の縁はより薄い。従って、被覆を製造するデータを提供することは、かかる構造または組織データを提供することを含むことができる。組織または構造データは、例えば予め規定された及び/または使用者が規定した構造または組織が発生されるユーザーインターフェースを使用して自動的に提供されまたは設計されることができる。
【0043】
セラミック材料はLi−二ケイ酸ガラスセラミックのようなガラスセラミック材料であることができる。Li−二ケイ酸ガラスセラミックは高い強度を持ち、それは、こわれやすい製品を取り扱うための改善された可能性を提供する。かかるガラスセラミックは、例えばIvoclar Vivadent、リヒテンシュタインから商品名IPS e.maxの下で入手可能である。代替的に、セラミック材料はマイクロ波焼結酸化アルミニウムを含むことができる。
【0044】
ある実施態様では、被覆4は、均一組成を持つガラスセラミックの単一層を含む。任意選択的に、非セラミック着色及び/または施釉層が被覆4の少なくとも一方の側の上に付加されることができる。
【0045】
ある実施態様では、歯被覆は、人の予め決められた歯の上への付与前に、おそらく歯被覆4を付与する歯科熟練者への配送前であっても結合材料により予備処理される。通常の被覆を用いて、結合材料は、典型的に被覆が付与される歯に付与され、被覆4は次いでその歯の上に配置され、結合材料は例えば光硬化によって硬化される。本発明の実施態様によれば、結合材料は、少なくとも部分的に、例えば歯被覆4を結合するために使用される全結合材料の25〜75%で歯被覆4に付与される。予備処理は歯被覆4の製造設備でまたは歯科技術者により実行されることができる。歯に面する後ろ側のような歯被覆4の少なくとも一方の側の予備処理は、以下の行程の少なくとも一つを含むことができる:歯被覆4の浄化;化学的及び/または機械的連結表面を準備するための腐食ゲルの付与;輸送保護としてシランによる封止のために準備された腐食された表面を準備する;シラン処理された表面を得るためにシラン処理工程を適用する;シラン処理された表面の上に結合材料の少なくとも一つの層を付与する;歯頸及び/または切縁着色のためのような着色材料の、先立つ結合材料の上部への付与、または結合材料内に混合しての付与;結合材料を被覆4に付与する;及び結合材料を歯科熟練者への配送のために光硬化する。
【0046】
実施態様はまた、歯被覆4を受けるための歯の熟練者による予備処理を含むことができる。熟練者による予備処理は次の工程の少なくとも一つを含むことができる:歯の準備されていない(すなわち実質的に非研摩の前面)表面の例えばイソプロパノールによる浄化;歯表面の腐食ゲル、例えばフッ化物腐食ゲル、フッ化水素腐食ゲル等による腐食;腐食された歯表面のシラン処理;及びもし25〜75%が歯被覆4に付与されたなら25〜75%のような結合材料の残りのかつ最後には合計100%となる歯の表面上への付与。歯の表面へ付与された結合材料は透明または白色のような無彩色を持つことができ、それにより被覆4に付加された着色剤により与えられた外観は実質的に影響されない。
【0047】
本発明の実施態様はまた、被覆手順のために次の工程の少なくとも一つを含むことができる:硬化された結合材料を予備処理された被覆4に与える;結合材料を含む歯の表面の上に歯被覆4を付与する;被覆4を調整する;及び結合材料を持つ表面間の連結を例えば光硬化によって硬化する。
【0048】
図6(a)に示されるように、歯科製品が一組の歯3のための複数の歯被覆4に関係する本発明による組立て体の実施態様では、図6(b)に示されるように、第二部分5を第一部分1から分離するとき、第二部分5に結合された歯被覆4のそれぞれは、被覆4が付与されなければならない一組の歯に手動で輸送される。そのとき被覆4のそれぞれを、一時に一つの予め決められた歯にのみまたは対応する歯被覆4に結合材料を付与することにより、または歯被覆4のそれぞれを同時に予め決められた歯上に付与することにより個々に配置することができ、それにより「いす時間(chair time)」を減らし、被覆4が互いに対する相対位置を妨げることなしに付与される可能性を改善する。
【0049】
図7及び8は、模型2が模型2を支持するために支持体7と関連している実施態様の二つの断面を概略的に示す。図8は、図7の矢印Aの方向に見たときの(容器蓋を持たない)図7に示された実施態様の上面図を示す。図7は、図8の矢印Bの方向に見た断面を示す。支持体7及び模型2は、互いに対して位置的に固定されている。示された実施態様では、第一部分は単一片部品に関し、すなわち支持体7と模型2は一体的に互いに連結されている。しかし、支持体7と模型2は、互いに固定されるかまたは固定可能である二つの別個の部品であることも可能である。図7及び8に概略的に示された組立て体はさらに容器8を含む。支持体7は、模型2を容器8内に安定に保持するための寸法を持つ。容器8は、その目的のために例えば内部に肩9を備えることができ、その下に支持体7の縁10が留められることができる。容器8の材料は、容器の部分のわずかな曲げを可能にする熱可塑性のものであることができる。これは、図7に示されるように支持体7を配置することを可能にし、留め機構またはスナップ嵌め、または閉鎖容器8を提供するために従来技術で既知のいずれかの他の機構により容器8を容器蓋12で閉じることを可能にする。
【0050】
示されるように、組立て体が組立て体の組み立てた状態での郵便配送のために包袋11と組み合わされることがさらに可能である。包袋11は、組立て体を組み立てた状態でしっかりと取り囲むための緩衝材料を備えている。かかる留め機構は、従来技術で既知のような空気クッション(図示せず)を備えた材料に関することができる。このようにして歯科製品は、特にそれがこわれやすい被覆に関するとき、例えば世界の一つの端の場所から世界の別の端の場所へ輸送されることができ、たとえ歯科製品に損傷が起こることがあったとしてもごくわずかである。
【0051】
第一部分1は、歯の表面を含む人の口腔の少なくとも一部分の印象を取ること、印象、または印象を使用する模型鋳造を走査すること、及び人の歯牙の仮想模型を得るために走査データを処理することにより提供されることができる。仮想模型は、次いで被覆4及び第一部分1の両方のために製造データを計画するために使用されることができる。次いで、第一部分は、例えばCAM工程のように、例えばラピッドプロトタイピング及び/またはフライス削りのように製造される。従って、第一部分1及び被覆4は、補完形状を持つ表面をおそらくその間の結合材料のための余地とともに持つであろう。
【0052】
本発明は、上で述べた実施態様に限定されない。多くの修正及び異なる実施態様が可能である。これらのそれぞれは、添付請求項により規定される本発明の枠内にあることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科製品(4)、及び歯科製品(4)を一時的に保持するための保持システムの組立て体において、保持システムが歯科製品(4)を間にはさむための第一及び第二部分(1,5)を含み、さらに第一部分(1)が歯科製品(4)の一方の側の形状に少なくとも部分的に補完的である形状を備えており、第二部分(5)が歯科製品(4)の別の側を第二部分(5)に対して解放可能に結合するために配置されていることを特徴とする組立て体。
【請求項2】
第一部分(1)及び第二部分(5)が、組立て体が組み立てられた状態にあるときに互いに対して解放可能に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の組立て体。
【請求項3】
第一部分(1)が一組の歯(3)の少なくとも歯部の模型(2)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組立て体。
【請求項4】
第二部分(5)が、歯に対する歯科製品(4)の配置時に第二部分(5)を手動で保持するためのつかみ保持器(6)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項5】
第二部分(5)が透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項6】
第二部分(5)が箔を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項7】
箔がテープを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の組立て体。
【請求項8】
箔が、箔を光硬化結合、静電結合、及び/または減圧結合することにより模型(2)上に歯科製品(4)を保持させられていることを特徴とする請求項6または7に記載の組立て体。
【請求項9】
模型(2)が、模型(2)を支持するための支持体(7)と組み合わされており、支持体(7)と模型(2)が、互いに対して位置的に固定されているかまたは固定可能であり、組立て体が容器(8)をさらに含み、支持体(7)が、模型(2)を容器(8)内に安定に保持するための寸法を持つことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項10】
容器(8)が、組み立てられた状態での組立て体の郵便配送のための包袋(11)と組み合わされ、包袋(11)が、容器(8)をぴったりと包囲するための緩衝材料を備えていることを特徴とする請求項9に記載の組立て体。
【請求項11】
歯科製品(4)が少なくとも一つの歯被覆(4)を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項12】
少なくとも一つの歯被覆(4)のそれぞれが、セラミック材料からなり、板状であり、かつ少なくとも0.08mmの板厚を持ち、さらにその厚さが0.2mm未満、0.14mm未満、または0.1mm未満であり、さらに歯被覆(4)が任意選択的に予備処理された結合材料を含むことを特徴とする請求項11に記載の組立て体。
【請求項13】
セラミック材料が半透明であることを特徴とする請求項12に記載の組立て体。
【請求項14】
歯科製品(4)が、一組の歯(3)のために複数の歯被覆(4)を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の組立て体。
【請求項15】
歯の美感を改善する方法であって、この方法が請求項1〜14のいずれか一つに記載の組立て体からの歯科製品(4)を歯の上に直接再配置することにより歯科製品(4)を歯の上に配置することを含み、さらに組立て体の部分(5)が歯科製品(4)を歯の上に配置するための道具として使用されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531987(P2012−531987A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518823(P2012−518823)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004168
【国際公開番号】WO2011/003609
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(506260386)ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー (42)
【Fターム(参考)】