説明

歯間ブラシ

【課題】ワイヤの耐久性のさらなる向上が図れる歯間ブラシを提供する。
【解決手段】捻り合わせたワイヤ14の間にフィラメントが挟持された植毛部11を備えるブラシ体10と、該ブラシ体10の前記ワイヤ14部分が取り付けられたハンドル体30とを備え、前記植毛部11と前記ハンドル体30との間に前記ワイヤ14が露出している歯間ブラシ1において、前記植毛部11は、前記ブラシ体10の先端側に位置され、歯間部に挿入された際に前記歯間部を清掃する清掃部20と、該清掃部20と前記ハンドル体30との間に位置され、前記歯間部に挿入された際に、前記フィラメントがその基端で折曲して前記ワイヤ14の露出部分を覆う保護部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯間ブラシは、主として歯ブラシでは清掃が困難な歯牙と歯牙の間の隙間(隣接歯間)を清掃するための補助清掃用具として使用されるものである。このような歯間ブラシによる清掃においては、ブラシ体を狭い隣接歯間に挿入し往復動することで、隣接歯間に堆積した歯垢等をフィラメントで絡め取りつつ除去する。
歯間ブラシは隣接歯間の形状等に応じ、SSSS(4S)、SSS(3S)、SS(2S)、S、M、L等、あるいは0〜7の記号や数字を使った数種類のサイズが用意されており、適宜、隣接歯間の形状や空隙量に合わせて使用者が選択できる。
【0003】
図6に、一般的な歯間ブラシ900の構成を示す。歯間ブラシ900は、ブラシ体910と、ブラシ体910のワイヤ14が挿入され固定されるハンドル体30とを備えるものである。ブラシ体910は、ブラシ体先端916で折り返され、螺旋状に捻り合わされたワイヤ14及びワイヤ14に挟持されたフィラメント912で構成され、ハンドル体30は、把持部32、把持部32から長さ方向に突出したヘッド部34及びヘッド部34から長さ方向に突出したノズル部36で構成されている。
このような歯間ブラシ900においては、フィラメント912が設けられた植毛部911とノズル部36との間にワイヤ14が露出した露出部915が形成されるのが通常である。
【0004】
上記構成の歯間ブラシ900では、ワイヤ14として、0.18〜0.40mm程度の細い金属が用いられ、特に細いワイヤ14を使用するS以下(4S〜S)の歯間ブラシ900においては、隣接歯間への挿入時にワイヤ14が曲がりやすい。ワイヤ14が曲がると、使用者はワイヤ14を伸ばして繰り返し使用することになる。加えて、隣接歯間の清掃時においても、露出部915でワイヤ14の曲げ・伸ばしが繰り返される。この曲げ・伸ばしの回数が増えることにより、ワイヤ14の埋め込み部分であるブラシ体基端917に応力が集中し、ワイヤ14が切れやすくなるという問題がある。
【0005】
こうした問題に対し、ワイヤの基端部側を熱可塑性樹脂で覆うことにより、略筒状の保護体を形成し、その一部が露出した状態で保護体をハンドル体に埋設した歯間ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、フィラメント下端とグリップとの間に弾性チューブ体を介在させた歯間ブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4008284号公報
【特許文献2】特開2002−253344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の歯間ブラシでは、ブラシ体が、ワイヤと保護体との境界を基点として揺動し、ワイヤと保護体との境界で破断しやすいという問題があった。また、特許文献2の歯間ブラシにおいても、ブラシ体が、ワイヤと弾性チューブ体との境界を基点として揺動するため、ワイヤと弾性チューブ体との境界で破断しやすいという問題があった。このように、従来の技術では、ワイヤとワイヤへの応力を緩和する部材との境界で破断しやすいという問題が残されており、ワイヤの耐久性のさらなる改善が求められていた。
そこで、本発明は、ワイヤの耐久性のさらなる向上が図れる歯間ブラシを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の歯間ブラシは、捻り合わせたワイヤの間にフィラメントが挟持された植毛部を備えるブラシ体と、該ブラシ体の前記ワイヤ部分が取り付けられたハンドル体とを備え、前記植毛部と前記ハンドル体との間に前記ワイヤが露出している歯間ブラシにおいて、前記植毛部は、前記ブラシ体の先端側に位置され、歯間部に挿入された際に前記歯間部を清掃する清掃部と、該清掃部と前記ハンドル体との間に位置され、前記歯間部に挿入された際に、前記フィラメントがその基端で折曲して前記ワイヤの露出部分を覆う保護部とを備えることを特徴とする。
前記保護部を構成するフィラメントは、その基端から先端までの長さが、前記植毛部の後端から前記ハンドル体までの距離よりも長いことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯間ブラシによれば、植毛部が、ブラシ体の先端側に位置され、歯間部に挿入された際に歯間部を清掃する清掃部と、該清掃部とハンドル体との間に位置され、歯間部に挿入された際に、フィラメントがその基端で折曲してワイヤの露出部分を覆う保護部とを備えるため、ワイヤの耐久性のさらなる向上が図れる。
本発明の歯間ブラシによれば、保護部を構成するフィラメントは、その基端から先端までの長さが、植毛部の後端からハンドル体までの距離よりも長いため、ワイヤの耐久性のさらなる向上が図れると共に、清掃時の違和感が生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる歯間ブラシの部分拡大図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる歯間ブラシの部分拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる歯間ブラシの部分拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる歯間ブラシの部分拡大図である。
【図6】従来の歯間ブラシの部分拡大図である。
【図7】従来の歯間ブラシの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に図面を参照して説明する。図1に示す歯間ブラシ1は、ブラシ体10と、ブラシ体10が固定されたハンドル体30とを備えるものである。
【0012】
ハンドル体30は、細長に成形された把持部32、把持部32からその長さ方向に突出したヘッド部34及びヘッド部34からその長さ方向に突出したノズル部36とで構成されたものである。ブラシ体10は、その先端(ブラシ体先端)16で折り返され螺旋状に捻り合わされワイヤ14と、ワイヤ14に挟持された第一のフィラメント21及び第二のフィラメント23とを備えるものである。ブラシ体10は、ワイヤ14がノズル部36の先端からハンドル体30に挿入され固定され、ワイヤ14とノズル部36との境界がブラシ体10の基端(ブラシ体基端)17とされたものである。
【0013】
ブラシ体10には、第一のフィラメント21がワイヤ14に挟持されてなる清掃部20と、清掃部20とノズル部36側で隣接し、第二のフィラメント23がワイヤ14に挟持されてなる保護部22とが設けられ、清掃部20と保護部22とで植毛部11が構成されている。植毛部11は、保護部22におけるワイヤ14に直交する断面(横断面)が、清掃部20の横断面より大きいものとされ、全体として、ブラシ体先端16からブラシ体基端17に向かい、段階的に拡径した形状とされている。
ブラシ体10には、植毛部11とノズル部36との間に、ワイヤ14が露出した露出部15が形成され、この露出部15の長さL1は、例えば、0.5〜5mmとされる。
【0014】
清掃部20は、横断面が略円形であり、かつブラシ体基端17からブラシ体先端16に向かい漸次縮径する形状とされている。
清掃部20の大きさは、清掃対象とする隣接歯間の形状等、即ち歯間ブラシ1のサイズを勘案して決定でき、例えば、S以下のサイズであれば、ワイヤ14の延在方向における長さが5〜15mmとされる。
【0015】
なお、歯間ブラシ1のサイズは、ISO規格(ISO−16409)に準じて定められるものである。ISO−16409による歯間ブラシのサイズは、直径が異なる複数の孔が形成されたステンレス製の平板(厚さ2mm)を用いて、次のように測定される。試験板の孔へ、植毛部の先端から後端までを挿入し、次いで植毛部を孔から抜き出す。ワイヤ14を変形することなく、植毛部11の挿入と抜き出しとができたものを通過可能と判定する。通過可能と判定された孔の直径の内、最も小さい孔の直径に基づいて、歯間ブラシ1のサイズを決定する。
例えば、2Sサイズの歯間ブラシ1は、清掃部20が2Sサイズ相当の孔を通過し、3Sサイズ相当の孔を通過しないものである。
【0016】
清掃部20において、最もブラシ体基端17寄りの横断面の直径R2は、第一のフィラメント21の剛性等を勘案して決定でき、例えば、1.5〜10mmの範囲で適宜決定され、S以下のサイズであれば、1.5〜3.5mmの範囲で適宜決定される。
また、最もブラシ体先端16寄りの横断面の直径R1は、第一のフィラメント21の剛性等を勘案して決定でき、例えば、1.5〜10mmの範囲で適宜決定され、S以下であれば、1.5〜3.5mmの範囲で適宜決定される。
【0017】
ワイヤ14の材質は、特に限定されず、例えば、バネ材等に用いられるオーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、Co−Co合金等が挙げられる。
ワイヤ14の太さは、歯間ブラシ1のサイズ等を勘案して決定でき、例えば、歯間ブラシ1がS以下であれば、0.18〜0.40mmの範囲で決定される。
S以下の歯間ブラシ1は、用いるワイヤ14の太さが特に細いため、ワイヤ14の耐久性が特に低い。このため、S以下の歯間ブラシ1において、本発明の効果が顕著に現れる。
【0018】
第一のフィラメント21の材質は特に限定されず、例えば、6−10ナイロン、6−12ナイロン等のナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン等が挙げられる。
【0019】
また、第一のフィラメント21は、単一のフィラメント糸からなるモノフィラメントであってもよいし、2以上のフィラメント糸を撚り合わせたマルチフィラメントであってもよい。
第一のフィラメント21の太さは、歯間ブラシ1のサイズに応じて決定でき、例えば、0.05〜0.15mmφ程度とされる。
第一のフィラメント21の形状は、特に限定されず、長さ方向に直交する断面が、略真円形、楕円形等の円形、三角形、四角形等の多角形等であってもよい。
【0020】
保護部22は、横断面が略円形であり、横断面の直径R3がブラシ体先端16からブラシ体基端17に向かい略同等のものである。ワイヤ14の延在方向における保護部22の長さは、歯間ブラシ1のサイズを勘案して決定でき、例えば、S以下のサイズであれば、0.3〜3mmとされる。保護部22の横断面の直径R3は、露出部15の長さL1を勘案して決定でき、例えば、1.0〜10mmとされる。
【0021】
第二のフィラメント23の材質は、第一のフィラメント21と同様である。中でも、第二のフィラメント23の材質としては、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンであれば、ワイヤ14の耐久性をさらに向上できる。
第二のフィラメント23の太さは、0.013〜0.20mmφが好ましく、0.025〜0.10mmφがより好ましい。0.013mmφ未満であると切断されやすく、0.20mmφ超であると折曲しにくくなる。加えて、第二のフィラメント23は、植毛部11が隣接歯間に挿入された際に、折曲されやすいように、第一のフィラメント21より細いことが好ましい。
第二のフィラメント23の形状は、特に限定されず、長さ方向に直交する断面が、略真円形、楕円形等の円形、三角形、四角形等の多角形等であってもよい。
また、第二のフィラメント23は、第一のフィラメント21と区別するために、第一のフィラメント21と異なる色に着色されたものであってもよい。
【0022】
本実施形態において、第二のフィラメント23は、その基端(第二のフィラメント基端)23bから先端(第二のフィラメント先端)23aまでの長さ(以下、フィラメント長ということがある)が、露出部15の長さL1よりも長いものである。第二のフィラメント23のフィラメント長を露出部15の長さL1より長いものとすることで、隣接歯間に植毛部11が挿入され、第二のフィラメント23が第二のフィラメント基端23bで折曲した際、第二のフィラメント先端23aがノズル部36に接触することで、ワイヤ14の耐久性をより向上できる。第二のフィラメント23のフィラメント長は、露出部15の長さL1よりも0.1mm以上長いことが好ましく、0.5〜3mm長いことがより好ましく、1〜2mm長いことがさらに好ましい。
なお、第二のフィラメント23のフィラメント長は、保護部22の横断面の描く仮想円Qの半径r1(図2)で表されるものとする。
【0023】
R1/R3で表される比率は、1/4〜5/6が好ましく、1/3〜1/2がより好ましい。
R2/R3で表される比率は、1/2〜1/1が好ましく、2/3〜5/6がより好ましい。1/2以上であれば、植毛部11が過度に大きくなるのを防止でき、1/1以下であれば、第二のフィラメント23のフィラメント長を十分なものとできる。
【0024】
なお、保護部22は、所望する歯間ブラシ1のサイズに応じて設計される。例えば、2Sサイズの歯間ブラシ1は、保護部22が2Sサイズ相当の孔に挿入可能であり、保護部22が2Sサイズ相当の孔を通過しないものとされている。こうして、歯間ブラシ1は、任意のサイズの孔に保護部22を挿入した際、第二のフィラメント23が、第二のフィラメント基端23bで折曲し、露出部15を覆った状態になる。なお、第二のフィラメント23の材質、長さ、植毛部22における第二のフィラメント23の本数等を調節することで、保護部22を所望のサイズの孔に挿入可能なものにできる。
【0025】
ハンドル体30の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ABS等が挙げられる。
【0026】
次に、本実施形態の歯間ブラシの使用方法について、図面を参照して説明する。図3は、植毛部10を隣接歯間に挿入した状態を示す歯間ブラシ1の拡大図である。
【0027】
まず、歯間ブラシ1の植毛部11を隣接歯間に挿入し、ワイヤ14の延在方向に往復動することにより、隣接歯間を清掃する。植毛部11をブラシ部先端16から隣接歯間に挿入すると、第一のフィラメント21は、第一のフィラメント21の先端(第一のフィラメント先端)21aがブラシ体基端17に向かい、ワイヤ14に沿って折曲される(図3)。加えて、第二のフィラメント23は、第一のフィラメント21と同様に、第二のフィラメント先端23aがブラシ部基端17に向かい、ワイヤ14に沿って折曲される。
【0028】
この際、フィラメント長の短い第一のフィラメント21が、隣接歯間内や歯牙の側面に付着している歯垢を絡め取る。一方、第二のフィラメント23は、折曲され露出部15に沿った略筒状の集合体(以下、筒状体)を形成する。この筒状体を形成した第二のフィラメント23は、ワイヤ14が屈曲する際に、第二のフィラメント23同士の摩擦抵抗により、筒状体の形状を維持しようと作用するため、ワイヤ14の屈曲を抑制する。加えて、第二のフィラメント23は、ノズル部36に接しているため、第二のフィラメント23とノズル部36との摩擦抵抗と第二のフィラメント23の弾力性とにより、ワイヤ14を屈曲しにくくする。こうして、隣接歯間の清掃中におけるワイヤ14の屈曲を抑制し、ワイヤ14の耐久性を向上させる。
【0029】
図6に示すような従来の歯間ブラシ900においては、植毛部911が隣接歯間に挿入されると、フィラメント912がワイヤ14に沿って折曲する。しかしながら、ブラシ体基端917に最も近接するフィラメント912であっても、折曲した際に、その先端912aがノズル部36に届かず、露出部915の大部分は露出した状態となる。このような状態で隣接歯間の清掃を行うと、露出したワイヤ914、特にブラシ体基端917に応力が集中し、ブラシ体基端917でワイヤ914が破断しやすくなる。
上述したように、本実施形態の歯間ブラシによれば、保護部が設けられているため、植毛部を隣接歯間に挿入した際、露出部が第二のフィラメントで覆われ、ワイヤの屈曲が抑制され、ワイヤの耐久性を向上できる。
【0030】
本実施形態によれば、第二のフィラメントのフィラメント長が、露出部の長さより長いため、ワイヤの屈曲がさらに抑制され、ワイヤの耐久性のさらなる向上が図れる。
加えて、ノズル部が歯肉や歯牙等に衝突するように歯間ブラシを操作した際には、第二のフィラメントがノズル部の先端を覆っているため、ノズル部が歯肉や歯牙等に直接接触せず、歯肉や歯牙の損傷を防止できる。
【0031】
清掃中に、露出部が歯牙に接触すると、ワイヤと口腔内との間に唾液等を電解質溶液としてガルバーニ電流が流れ、使用者に違和感を与えることがある。
本実施形態によれば、植毛部が隣接歯間に挿入されると、第二のフィラメントにより露出部15が覆われるため、清掃中に歯牙がワイヤ14に直接接触せず、使用者は、ガルバーニ電流による違和感を感じることがない。
【0032】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、清掃部が、ブラシ体先端からブラシ体基端に向かうに従い拡径する形状とされていているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図4に示す歯間ブラシ100のように、ブラシ体先端16からブラシ体基端17に向かい横断面の直径R4が略均一な清掃部120と、清掃部120と隣接する保護部22とで植毛部111が構成されたブラシ体110を備えていてもよい。S以下の歯間ブラシにおいて、直径R4は、1.5〜3.5mmが好ましい。
【0033】
上述の実施形態では、植毛部が、ブラシ体先端からブラシ体基端に向かい段階的に拡径する形状とされているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図5に示す歯間ブラシ200のように、横断面の直径がブラシ体先端16からブラシ体基端17に向かうに従って大きくなる形状の植毛部211が形成されたブラシ体210を備えていてもよい。歯間ブラシ200の植毛部211は、植毛部211においてブラシ体基端17側に形成された保護部222と、保護部222とブラシ体先端16との間に形成された清掃部220とから構成されている。保護部222を構成する第二のフィラメント223は、植毛部211を隣接歯間に挿入した際に、ワイヤ14に沿って折曲し、露出部15を覆う長さとされている。植毛部211において最もブラシ体先端16寄りの横断面の直径R5は、1.5〜3.5mmが好ましく、植毛部211において最もブラシ体基端17寄りの横断面の直径R6は、2〜7.5mmが好ましい。加えて、R5/R6は、1/5〜5/6が好ましい。
ただし、狭い隣接歯間を清掃するS以下の歯間ブラシとする観点から、植毛部の形状は、ブラシ体先端からブラシ体基端に向かい段階的に拡開する形状、即ち、保護部を構成する第二のフィラメントが、清掃部の横断面の外周輪郭から突出した形状であることが好ましい。
【0034】
上述の実施形態では、ブラシ体がハンドル体の長さ方向に延在する歯間ブラシを例にして説明したが、本発明はブラシ体を備える歯間ブラシであればその形状は限定されない。本発明は、例えば、ハンドル体の長さ方向と交差する方向にブラシ体が接続された歯間ブラシにも適用できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
下記仕様に従い、図1の歯間ブラシ1と同様の歯間ブラシを作製した。作製した歯間ブラシについて、ワイヤの耐久性及び使用感について評価し、その結果を表1に示す。
【0037】
<仕様>
・サイズ:4S
・ワイヤ径:0.20mmφ
・清掃部:ブラシ体先端側の横断面径R1;1.8mm、ブラシ体基端側の横断面径R2;2.2mm、ワイヤの延在方向の長さ;10mm
・第一のフィラメント:フィラメント径;2mil(0.05mm)、材質:ナイロン
・保護部:横断面径R3;4.0mm(フィラメント長;2.0mm)、ワイヤの延在方向の長さ;1mm、第二のフィラメントの材質:ポリエチレン
・露出部の長さL1:1mm
【0038】
(比較例1)
下記仕様に従い、図6の歯間ブラシ900と同様の歯間ブラシ、即ち清掃部のみで植毛部が構成された歯間ブラシを作製した。作製した歯間ブラシについて、ワイヤの耐久性及び使用感について評価し、その結果を表1に示す。
【0039】
<仕様>
・サイズ:4S
・ワイヤ径:0.20mmφ
・植毛部:ブラシ体先端側の横断面径;1.8mm、ブラシ体基端側の横断面径R2;2.2mm、ワイヤの延在方向の長さ;10mm、フィラメントの材質:ナイロン
・フィラメント径:2mil(0.05mm)
・露出部の長さL1:1mm
【0040】
(評価方法)
<耐久性>
4Sサイズに対し適切な歯間空隙を有する5名のパネラが、隣接歯間で各例の歯間ブラシを任意の回数往復動させた。この操作を清掃1回とし、5名のパネラが、ワイヤが破断するまで清掃を繰り返し、ワイヤが破断した際の回数の平均を耐久性として表1に示す。各回の清掃においては、歯間ブラシの往復回数、清掃する隣接歯間の場所を同じとした。
【0041】
<使用感>
5名のパネラが各例の歯間ブラシを使用し、「違和感」、「痛み」、「制御」の3項目について、下記基準により評価した。
【0042】
≪違和感≫
ブラシ体を隣接歯間に挿入し、ノズルの先端が歯肉や歯牙に接触した際の違和感を評価した。
○:違和感がない。
△:違和感が小さい。
×:違和感が大きい。
【0043】
≪痛み≫
ブラシ体を隣接歯間に挿入し、ノズルの先端が歯肉や歯牙に接触した際の痛みを評価した。
○:痛みを感じない。
△:やや痛みを感じる。
×:痛みを感じる。
【0044】
≪制御≫
隣接歯間の清掃において、歯間ブラシのノズルが歯肉又は歯牙に接触しないように、歯間ブラシの操作を制御できるか否かを評価した。
○:ノズル先端を歯肉又は歯牙に衝突させることなく操作できる。
×:ノズル先端を歯肉又は歯牙に衝突させてしまう。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1は、耐久性の評価結果が25回であり、使用感の評価がいずれの項目も「○」であった。これに対し、保護部を設けていない比較例1は、耐久回数が20回であり、使用感の評価がいずれも「△」又は「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、ワイヤの耐久性の向上、使用感の向上を図れることが判った。
【符号の説明】
【0047】
1、100、200 歯間ブラシ
10、110、210 ブラシ体
11、111、211 植毛部
14 ワイヤ
15 露出部
16 ブラシ体先端
17 ブラシ体基端
20、120、220 清掃部
21 第一のフィラメント
22、222 保護部
23、223 第二のフィラメント
23a 第二のフィラメント先端
23b 第二のフィラメント基端
30 ハンドル体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捻り合わせたワイヤの間にフィラメントが挟持された植毛部を備えるブラシ体と、該ブラシ体の前記ワイヤ部分が取り付けられたハンドル体とを備え、前記植毛部と前記ハンドル体との間に前記ワイヤが露出している歯間ブラシにおいて、
前記植毛部は、前記ブラシ体の先端側に位置され、歯間部に挿入された際に前記歯間部を清掃する清掃部と、該清掃部と前記ハンドル体との間に位置され、前記歯間部に挿入された際に、前記フィラメントがその基端で折曲して前記ワイヤの露出部分を覆う保護部とを備えることを特徴とする歯間ブラシ。
【請求項2】
前記保護部を構成するフィラメントは、その基端から先端までの長さが、前記植毛部の後端から前記ハンドル体までの距離よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の歯間ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−105824(P2012−105824A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257156(P2010−257156)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】