説明

歯顎顔面のX線CT画像の表示方法、X線CT断層撮影装置、およびX線画像表示装置

【課題】歯科医師が通常見慣れているパノラマ画像と類似したCT画像を表示する。
【解決手段】X線CT撮影装置MまたはX線CT画像表示装置M2において、X線CT撮影した被写体oの顎顔面のX線CT画像を表示するX線CT画像の表示方法であって、
顎顔面に関心領域rを指定するステップ、歯列弓DAを頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に関心領域rの指定により関心領域rを正視したX線CT画像を画像処理手段85により生成するステップ、関心領域rを正視したX線CT画像を表示手段88に表示するステップからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体をCT撮影し、そのCT撮影データから所望の関心領域のCT画像を生成して表示する断層面表示方法、表示装置、および撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体をX線撮影したCT撮影データから、その被撮影領域のCT画像を生成する場合には、原理的に任意のスライス面を設定できる。しかしながら、従来、その被撮影領域の一部分である観察すべき関心領域に対して適切な方位のスライス面を設定する作業は煩わしく、時間を要するものであった。
そのような問題の解決を意図した従来技術の例として、次の特許文献1には、再構成した被撮影領域の3次元データから、複数方向のCT画像を予め切り出して準備しておき、互いにスライス面が直交した複数のCT画像を配列表示し、表示しているCT画像上でカーソルを移動させると、そのカーソルに対応したスライス面のCT画像を逐次入れ替えて表示する方法が開示されている。
また、特許文献2には、1画面上に歯列弓のパノラマ画像と、アキシャル断層面(Z面に平行)とを同時に表示し、アキシャル断層面に対してオブリークラインを選択すると、そのオブリークラインに対応したオブリーク断層面が表示される画像診断装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−11000号公報
【特許文献2】特開平08−215192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の方法では、得られるCT画像のスライス面は、歯科医師が通常見慣れている視線方向に対応したものとは異なっており、その部位の位置や視線方向が直ちに理解しにくいという問題があった。また、特許文献2の装置では、一旦アキシャル断層面を表示し、その断層面の画像に対して、オブリークラインを選択する必要があり、手間が掛かっていた。
本発明は、そのような問題の解決を課題としており、歯科医師が通常見慣れているパノラマ画像と類似したCT画像を表示する方法、装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、第1の発明として請求項1に記載のX線CT画像の表示方法は、X線CT撮影装置またはX線CT画像表示装置において、X線CT撮影した被写体の顎顔面のX線CT画像を表示するX線CT画像の表示方法であって、前記顎顔面に関心領域を指定するステップ、歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を画像処理手段により生成するステップ、前記関心領域を正視したX線CT画像を表示手段に表示するステップ、からなることを特徴とする。
ここで云う歯列弓正視情報は、解剖学における歯列弓の全体または一部の形状を数学的に表現した歯列弓モデルや、関心領域rの歯列弓の全体または一部における位置情報に対して、正視方向vを予め登録したデータテーブル(ルックアップテーブル)等がある。このような歯列弓正視情報は、予め準備しておいても、撮影した歯列弓の画像データを画像処理して生成しても、歯列弓の形状を実測して生成してもよい。
【0005】
また請求項2に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1において、前記関心領域を指定するステップが、全顎を対象としたX線CT撮影における正視表示対象領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項2において、前記X線CT撮影により得られた前記被写体の3次元領域の3次元CTデータを再構成し、前記3次元領域について、相互に直交するX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像を表示手段に表示するステップを更に有し、前記関心領域を指定するステップが、前記X断層面、Y断層面、Z断層面の少なくともいずれかにおいて関心領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項2において、前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像を表示手段に表示するステップを更に有し、前記関心領域を指定するステップが、前記複数のX線透視画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1において、前記関心領域を指定するステップが、前記顎顔面の一部を対象とした局所X線CT撮影における撮影対象領域を関心領域として指定するステップであることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記被写体に対し、前記X線CT撮影とは別にX線パノラマ撮影を行ってパノラマ画像を生成するステップと、生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示するステップを更に有し、前記関心領域を指定するステップが、前記パノラマ画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像のうち、被写体の歯列弓のパノラマ断層を形成する画像データを合成してパノラマ画像を生成するステップと、生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示するステップを更に有し、前記関心領域を指定するステップが、前記パノラマ画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記関心領域を指定するステップが、前記歯列弓の形状を示すイラストにおいて関心領域を指定するステップであることを特徴とする。
【0012】
請求項9に記載のX線CT画像の表示方法は、請求項1から8のいずれかにおいて、前記関心領域を正視したX線CT画像が、X線CT断層面画像または3次元CTボリューム画像の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0013】
第2の発明として請求項10に記載のX線CT撮影装置は、X線発生器と、X線検出器と、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体の顎顔面に対して相対的に移動させる移動手段と、被写体保持手段と、前記被写体のX線CT画像を表示するX線CT撮影装置において、前記顎顔面に関心領域を指定する関心領域指定手段と、歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を生成する画像処理手段と、前記関心領域を正視したX線CT画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項11に記載のX線CT撮影装置は、請求項10において、前記移動手段を駆動し、前記被写体の全顎領域を対象としたX線CT撮影を行うX線CT撮影装置であって、前記関心領域指定手段により正視表示対象領域を関心領域として指定することを特徴とする。
【0015】
請求項12に記載のX線CT撮影装置は、請求項11において、前記画像処理手段により、前記X線CT撮影により得られた前記被写体の3次元領域の3次元CTデータを再構成し、前記3次元領域について、相互に直交するX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像を表示手段に表示し、前記関心領域指定手段により、前記X断層面、Y断層面、Z断層面の少なくともいずれかにおいて関心領域を指定することを特徴とする。
【0016】
請求項13に記載のX線CT撮影装置は、請求項11において、前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像を表示手段に表示し、前記複数のX線透視画像において前記関心領域を指定することを特徴とする。
【0017】
請求項14に記載のX線CT撮影装置は、請求項10において、前記移動手段を駆動し、前記顎顔面の一部を対象とした局所X線CT撮影を行うX線CT撮影装置であって、前記関心領域指定手段により撮影対象領域である局所を関心領域として指定することを特徴とする。
【0018】
請求項15に記載のX線CT撮影装置は、請求項10から12のいずれかにおいて、前記移動手段を駆動し、前記被写体に対し、前記X線CT撮影とは別にX線パノラマ撮影を行って前記画像処理手段によりパノラマ画像を生成し、生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示し、前記パノラマ画像において前記関心領域を指定することを特徴とする。
【0019】
請求項16に記載のX線CT撮影装置は、請求項10から12のいずれかにおいて、前記画像処理手段により、前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像のうち、被写体の歯列弓のパノラマ断層を形成する画像データを合成してパノラマ画像を生成し、生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示し、前記パノラマ画像において前記関心領域を指定することを特徴とする。
【0020】
請求項17に記載のX線CT撮影装置は、請求項10から12のいずれかにおいて、前記歯列弓の形状を示すイラストを表示するイラスト表示部を備え、前記イラストにおいて関心領域を指定することを特徴とする。
【0021】
請求項18に記載のX線CT撮影装置は、請求項10から17のいずれかにおいて、前記表示手段に表示される前記関心領域を正視したX線CT画像が、X線CT断層面画像または3次元CTボリューム画像の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0022】
第3の発明として請求項19に記載のX線CT画像表示装置は、X線CT撮影した被写体の顎顔面のX線CT画像を表示するX線CT画像表示装置において、前記顎顔面に関心領域を指定する関心領域指定手段と、歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を生成する画像処理手段と、前記関心領域を正視したX線CT画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
また、X線CT画像表示装置は、可搬型記憶媒体に格納された撮影データ等を受け入れて、同様の表示方法を実行する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、被写体に関心領域を指定すると、歯列弓正視情報を基に関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を画像処理手段により生成して表示するが、そのX線CT画像では、その関心領域を見る視線の方向が、歯科医師が見慣れているパノラマ画像においてその関心領域を見る場合と一致したものになるので、関心領域がどの歯顎顔面のどの位置にあるのか直感的に理解できる。
また、正視X線CT画像としてX線CT断層面画像を表示する場合には、その画像に複数の歯牙の断層面が表示されるので、更に理解しやすくなる。そして、正視X線CT画像として3次元CTボリューム画像を表示する場合には、関心領域が正面を向いた状態で表示されるので、その位置を探す必要がない。
また、X線CT画像表示装置が、可搬型記憶媒体に格納された撮影データ等を受け入れる構成とした場合には、遠隔地に設置されたX線CT撮影装置と組み合わせることも可能になり、X線CT画像表示装置を柔軟に運用できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、患者の顎顔面をCT撮影するX線CT撮影装置の実施例を説明する。
図1は、X線CT撮影装置Mの基本構成を説明するブロック図である。X線CT撮影装置Mは、X線CT撮影装置本体M1と、X線CT画像表示装置M2を備え、通信ケーブルによってデータを送受信する構成になっている。
【0026】
X線CT撮影装置本体M1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oとされる顎顔面を保持する被写体保持手段40と、支持手段30ないし被写体保持手段40を駆動する駆動部60と、撮影装置本体制御部70とを備えており、撮影装置本体制御部70には操作パネル74が付加されている。この操作パネル74は、後述するように、関心領域rを指定するのに用いてもよい。この場合、歯列弓DAの形状を示す図2(c)に示すようなイラストp#2を表示するイラスト表示部として機能するようにしてもよい。本願において、イラストをスカウトに用いる場合、そのイラストを表示する上述の操作パネル74や表示手段88、表示手段88´等はイラスト表示部として機能する。
【0027】
X線発生部10は、X線を照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線ビームBの広がりを規制するスリット等からなる照射野制御手段12とで構成されており、X線検出部20は、2次元的に広がったCCDセンサ等からなるX線検出器21を設けたカセット22で構成されている。カセット22はX線検出部20に対して着脱自在であるが、X線検出器21をカセット22を介さずにX線検出部20に固定的に設けてもよい。駆動部60は、支持手段30の旋回軸30cないし被写体保持手段40を協働して水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yと、支持手段30ないし被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zと、支持手段30を回転させる旋回用モータ60rとを備えている。撮影装置本体制御部70は、駆動部60を制御する制御プログラムを含んだ各種制御プログラムを実行するCPU71と、X線発生部10を制御するX線発生部制御手段72と、X線検出部20を制御するX線検出部制御手段73とを備えている。操作パネル74は、小型液晶パネルや複数の操作釦で構成されている。図2に示す操作パネル74の入力手段74´としては、操作釦のほか、キーボード、マウス、タッチペン等の入力手段を用いることもできる。後に図2に関して述べるように、操作パネル74が液晶モニタ等のディスプレイからなる表示手段88´を備えるようにしてもよい。
例えば表示手段88´に、X線CT撮影装置本体M1の操作に必要な文字や画像等の情報を表示するようにしてもよいし、後述するX線CT画像表示装置M2と接続して、X線CT画像表示装置M2の表示手段88に表示される表示内容が表示手段88´にも表示されるようにしてもよく、表示手段88に表示される文字や画像の上でマウス等によるポインタ操作などを通してX線CT撮影装置本体M1に各種の指令ができるようにしてもよい。
なお、X線発生部10、X線検出部20、支持手段30、被写体保持手段40、駆動部60は、X線発生器11、X線検出器21を被写体oに対して相対的に移動させる移動手段65として機能する。
【0028】
X線CT撮影装置本体M1は、操作パネル74、あるいはX線CT画像表示装置M2からの指令に従って、歯列弓DAのパノラマ撮影や、歯列弓DAの全体ではないが、歯列弓DAの一部を含めた被撮影領域(撮影対象領域)rrを撮影する局所的なCT撮影や、歯列弓DAの全体を含めた被撮影領域(撮影対象領域)rrを撮影する広域的なCT撮影を選択的に実行する。また、各種指令や座標データ等を表示装置M2から受信する一方、撮影した画像データをX線CT画像表示装置M2に送信する。
【0029】
図2(a)、図2(b)はそれぞれ、X線CT撮影装置Mのより具体的な正面図と、側面図、図2(c)は、操作パネル74の表示手段88´における表示例である。
【0030】
図2(a)、図2(b)に示したX線CT撮影装置本体M1は、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oである人体の頭部を固定するホルダを備えたシート状に形成された被写体保持手段40とを備え、この支持手段30、被写体保持手段40は、アーチ状に形成された固定フレーム90に変位可能に取り付けられている。より具体的には、支持手段30は、チェーン駆動部61により、図2(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降フレーム91を介して、固定フレーム90に取り付けられており、その昇降フレーム91には、支持手段30の旋回軸30cを、図2(a)と図2(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル62が内蔵されている。被写体保持手段40は、図2(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降手段63によって底部を下方から支持されており、固定フレーム90の底部には、その昇降手段63を、図2(a)、図2(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル64が内蔵されている。また、固定フレームの支柱部には、液晶モニタ、小型液晶パネル等で構成された表示手段88´や、複数の操作釦等で構成された入力手段74´を設けた操作パネル74が取り付けられている。なお、旋回用モータ60r、チェーン駆動部61、XYテーブル62のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、昇降手段63、XYテーブル64のX軸モータ60x、Y軸モータ60yは、駆動部60を構成している。
【0031】
図2Aは、X線CT撮影装置Mのより具体的な別の実施例である。
このX線CT撮影装置本体M1は、図2(a)、図2(b)に示したX線CT撮影装置本体M1と同様、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30を備えている。
基台91´に立設した支柱90´に対し、支持手段30を垂下した、上部フレーム91aと下部フレーム91bを前方に突出した略コの字形状の昇降フレーム91が図示しない昇降機構で昇降可能に設けられ、昇降フレーム91には図2(a)、図2(b)に示したX線CT撮影装置本体M1と同様、支持手段30の回転軸を水平移動させる図示しないXYテーブル62が内蔵されている。
下部フレーム91bは、被写体oである人間の頭部を左右から固定するイヤロッド、顎を固定するチンレストなどからなる被写体保持手段40を備える。
図2Aに示したX線CT撮影装置本体M1は、防X線室100内に収容され、防X線室100の壁の外側には、図2(a)、図2(b)に示したX線CT撮影装置本体M1と同様、小型液晶パネルを設けた操作パネル74が取り付けられている。
また、図2Aに示したX線CT撮影装置本体Mは、図2(a)に示したX線CT撮影装置本体Mと同様、X線CT画像表示装置M2を備え、通信ケーブルによってデータを送受信する構成になっている。
図1で示したX線撮影装置Mの移動手段65については、上記の構成例を含め、次のように様々な構成例が考えられる。
構成例1…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60zのみ設け、被写体保持手段40を移動させる駆動部は設けない。
構成例2…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例3…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例4…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60z、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yのみ設ける。
構成例5…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60zを設け、X軸モータ60x、Y軸モータ60yのうちの一方を、支持手段30に設け、他方を被写体保持手段に設けて被写体oに対してX線発生器11、X線検出器21を水平移動させる。
構成例6…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zを設け、X軸モータ60x、Y軸モータ60yのうちの一方を、支持手段30に設け、他方を被写体保持手段に設けて被写体oに対してX線発生器11、X線検出器21を水平移動させる。
以上の他にも様々な構成例が考えられる。すなわち、X線発生器11、X線検出器21を被写体oに対して相対的に移動させる方向が同じであるなら、支持手段30側を駆動する要素と被写体保持手段40側を駆動する要素が重複しても構わないし、一方を省略しても構わない。重複する場合は双方の移動量を総合できるので、相対的移動の量を大きくしたり、移動パターンの多様化をすることが可能という利点があり、一方を省略する場合はコスト面、制御負担の軽減の利点がある。
【0032】
図3は、X線CT撮影装置本体M1による顎顔面のパノラマ撮影の仕組みを説明する原理図である。X線発生部10において、X線発生器11の前方に設けられた照射野制御手段12は、形状を異ならせた複数のスリットを形成したスリット板12aで構成されており、左右にスライドさせることでスリットのいずれかを選択し、選択したスリットによってX線発生器11から照射されたX線ビームBの広がりを制限する仕組みになっている。パノラマ撮影では、細形スリットが選択され、その形状に対応したX線細隙ビームNBが、X線検出部20のX線検出器21に向かって照射される。そして、その状態で支持手段30を旋回させ、X線細隙ビームNBによって顎顔面を走査しつつ、X検出器21の検出面の領域Faに投影された透過画像をパノラマ撮影データとして蓄積することにより、パノラマ撮影が実行される。
【0033】
図4は、X線CT撮影装置本体M1による顎顔面の広域CT撮影の仕組みを説明する原理図、である。広域CT撮影では、スリット板12aに形成された複数のスリットから矩形スリットが選択され、その形状に対応した矩形のX線広域ビームCBが、X線検出部20のX線検出器21に向かって照射される。図4A(a)、図4A(b)に示しているように、X線広域ビームCBによる被撮影領域(撮影対象領域)rrは、全顎を対象とするため、歯列弓DA全体を含む広がりを有している。そして、支持手段30の旋回軸30cの延長線30c1を歯列弓DAの内側の地点に固定し、X線広域ビームCBが照射されている状態で、支持手段30を少なくとも半回転以上旋回させながら、X検出器21の検出面の領域Fcに投影された透過画像を被写体oのCT撮影データとして蓄積することにより、広域CT撮影が実行される。
【0034】
また、図4A(a)は、撮影中の被写体oである頭部を頭頂から見下ろした状態の図であり、図4A(b)は図4A(a)の頭部を右側面から見た状態の図である。X線発生器11とX線検出器21は旋回軸30c、延長線30c1を中心に旋回し、図4A(a)の例では、X線発生器11は、図示の矢印の方向に旋回する。支持手段30が360°旋回してCT撮影する場合は、図4A(b)の側面視で断面が6角形の形状になっている点線で囲まれた領域が常にX線広域ビームCBによって照射されるが、この部分が被撮影領域(撮影対象領域)rrとなる。
【0035】
図5は、X線CT撮影装置本体M1による顎顔面の局所CT撮影の仕組みを説明する原理図である。局所CT撮影では、スリット板12aに形成された複数のスリットから矩形小型スリットが選択され、その形状に対応した矩形のX線局所ビームCNが、X線検出部20のX線検出器21に向かって照射される。X線局所ビームCNの高さを調整するために、スリット板12aには、高さを異ならせた複数の矩形小型スリットを設けてもよい。X線局所ビームCNによる被撮影領域(撮影対象領域)rrは、関心領域rとして歯列弓DAの全部ではないが、その一部を含む広がりを有している。
【0036】
そして、図5Aに示しているように、支持手段30の旋回軸30cの延長線30c1を関心領域rの中心に固定し、X線局所ビームCNが照射されている状態で、支持手段30を少なくとも半回転以上旋回させながら、X検出器21の撮像面の領域Fbに投影された透過画像をCT撮影データとして蓄積することにより、局所CT撮影が実行される。
広域CT撮影、局所CT撮影いずれにおいても、CT撮影中、旋回軸30cを関心領域rの中心に固定しない方式も可能である。
例えば、上述のX−Yテーブル62を利用して、CT撮影中、旋回軸30cは移動するが、X線発生器11とX線検出器21の旋回中心が旋回軸30cとは別の箇所に生じるように制御して、その旋回中心が関心領域rの中心に来るように設定してもよい。
さらにX線コーンビームの広がりの対称軸上のX線が撮影対象領域の中心を外れた位置を通過するようにオフセットさせ、撮影対象領域の一部のみを撮影しつつ、撮影対象領域全体のX線撮影データを少なくとも180°以上得る周知のオフセットスキャンの方式を採用してもよい。
すなわち、CT撮影中、旋回するX線コーンビームの照射野の旋回中心が関心領域rの中心に来るように撮影できればよい。
【0037】
X線CT画像表示装置M2は、例えばコンピュータやワークステーションで構成されており、表示装置本体80には、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示手段88や、キーボード、マウス等で構成された操作手段86が付加されている。表示手段88に表示された文字や画像の上でのマウスでのポインタ操作等を通じて各種指令を与えることが可能である。表示手段88はタッチパネルで構成することもできるので、この場合、表示手段88は操作手段86を兼ねる。
操作手段86は関心領域rを指定する手段として機能する。表示手段88の画面上に表示された画像に対して操作手段86の操作を加えることで関心領域rを指定する構成の場合は、操作手段86と表示手段88が関心領域指定手段として機能する。このように、なんらかの形で関心領域の指定に用いられる手段が関心領域指定手段である。表示装置本体80は、各種プログラムを実行するCPU81と、ハードディスク等で構成され、各種撮影データや画像等を記憶する記憶手段82と、座標計算を行う座標処理手段83と、画像生成手段84とを備えている。ここに、記憶手段82、座標処理手段83、画像生成手段84は画像処理手段85を形成する。記憶手段82には、後述する歯列弓正視情報等も記憶される。
記憶手段82には、パノラマ撮影から得たパノラマ撮影データ、CT撮影から得たCT撮影データ、スカウト画像として表示できるイラストを生成するイラストイメージデータ、後述のように、X線広域ビームを2方向から照射して得た投影画像、歯列弓正視情報、生成した正視X線CT画像などを記憶することもできる。
【0038】
ここに表示手段88は、文字や記号を含む画像を表示する。表示手段88は関心領域指定手段として、歯列弓DAを表したスカウト画像を表示し、そのスカウト画像上で関心領域rの指定操作を受ける一方、CT撮影データから生成された正視X線CT画像(後述する)等を表示する。座標処理手段83は、広域的なCT撮影においては、歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置の計算の実行等を行い、局所的なCT撮影においては、歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置の計算を実行するだけでなく、歯列弓モデルdmに対して特定された関心領域rの位置に基づいて、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるように座標計算を実行し、算出した座標データをX線CT撮影装置本体M1に送信して、被写体oの位置決めを実行させる。スカウト画像を、X線CT撮影装置本体M1の操作パネル74の表示手段88´に表示するようにしてもよい。
【0039】
その位置決めは、支持手段30の回転中心(旋回軸30c)と被写体oとを、撮影を行う空間の所定の位置に配置し、座標処理手段83から送信されてきた座標データに基づいて、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるように、支持手段30と被写体保持手段40とを移動させることによりなされる。なお、被写体o、支持手段30は、相対的な位置関係が満たされればよいので、被写体保持手段40と支持手段30とのいずれか一方を移動させる構成としてもよい。
【0040】
X線CT画像撮影装置Mは、上記の構成とすることにより、以下に説明する顎顔面のX線CT画像の表示方法を実行することができる。
なお、X線CT画像表示装置M2は、同様の構成とした複数のX線CT撮影装置本体M1と多対一に接続してもよい。また、ケーブルで接続されていない他のX線CT撮影装置本体M1で撮影した撮影データ等を、CDロム等の可搬型記憶媒体を通じて受け入れて、同様の表示方法を実行するように構成してもよい。
【0041】
本発明による顎顔面のX線CT画像の表示方法は、歯列弓DAを含んだ被写体oのCT撮影データを処理して、X線CT画像を表示する装置において実行されるもので、X線CT撮影は、広域CT撮影と、局所CT撮影とに大別される。
【0042】
広域CT撮影は、歯列弓DAの全体を含めた顎顔面のほぼ全域を撮影するものである。この場合、顎顔面に関心領域rを指定することにより、関心領域rを正視したX線CT画像(以後、正視X線CT画像と呼ぶ)として表示される範囲、すなわち正視表示対象箇所の指定を行い、予め撮影されたCT撮影データを画像処理して、正視表示対象領域の正視X線CT画像を表示する。関心領域rの指定については、各種画像を表示し、その画像上で行う構成や、画像を用いずに、例えばコード等によって特定の歯牙thを指定する構成等が可能である。
【0043】
一方、局所CT撮影は、歯列弓DAの全体ではなく、その一部、例えば歯牙が2〜3本並ぶ領域を含んだ顎顔面を局所的に撮影するものである。この場合、関心領域rの指定を受け付けると、その関心領域rが実際の被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるように撮影条件を設定して局所的なX線CT撮影を実行する。関心領域rの指定については各種画像を表示し、その画像上で行う構成や、画像を用いずに、例えばコード等によって特定の歯牙thを指定する構成や、位置付用のガイドビームとなる可視光ビーム、あるいは目盛付スケール等を利用して目視で行う構成が可能である。その後、得られたCT撮影データから、関心領域rを頬側から舌側に向かって正視したX線CT画像を生成して表示する。
【0044】
広域CT撮影と局所CT撮影のいずれの場合でも、関心領域rを頬側から舌側に向かっ
て正視する正視方向vは、後述するように、歯列弓DAの3次元形状の歯列弓モデルdmより求めること、あるいは、関心領域rの部位毎に予め正視方向vを登録したデータテーブル(ルックアップテーブル)を参照することによって求めることが可能である。
後述するが、歯列弓モデルdmは歯列弓DAの全体または一部の形状を数学的に表現した関数として規定できる。
歯列弓モデルdmは、標準的な歯列弓の形状を想定して規定してもよいし、または撮影した歯列弓の画像データを画像処理して得た形状のデータより個別に規定してもよい。または歯列弓の形状を実測して得たデータより個別に規定してもよい。
本発明では、そのような歯列弓モデルdm、歯列弓モデルdmを基にした座標データやデータテーブル、正視方向vを導くのに必要な情報、正視方向vそのもの等、正視に関する情報を歯列弓正視情報と総称する。
歯列弓DAは湾曲しているために、対象部位ごとに正視方向vが異なる。歯列弓正視情報は、所望の対象部位を正視するための情報である。
歯列弓正視情報は、対象部位を正視するための情報であるので、必ずしも具体的な正視方向vを定める必要はなく、対象部位を正視できるスライス位置の情報であってもよい。
【0045】
X線CT撮影装置M、より具体的にはX線CT撮影装置本体M1の存在する3次元空間において、歯列弓モデルdmが想定ないし設定される位置は、座標情報、位置情報として把握でき、同様に、指定される関心領域rの3次元空間中の位置も、座標情報、位置情報として把握できるので、本発明では、それら歯列弓モデルdmの座標情報、位置情報と、関心領域rの座標情報、位置情報に基づいて、関心領域rを正視した正視X線CT画像を生成する。
【0046】
そのような例として、広域CT撮影を行って得られたCT撮影データから被写体oに関するCT撮影データを得る場合の処理を説明する。この処理では、歯列弓モデルdmの座標情報、位置情報も、関心領域rの座標情報、位置情報も把握されているので、後述する方法で関心領域rを指定すると、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置が特定できる。歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置が特定されると、次に述べるように、正視方向vやスライス位置slが設定できる。正視方向vやスライス位置slが設定されると、被写体oに関するCT撮影データを画像処理して関心領域rを正視した正視X線CT画像に再構成することができる。
【0047】
次いで、局所CT撮影を行って得られたCT撮影データから被写体oに関するCT撮影データを得る場合の処理を説明する。この処理では、後述する方法で関心領域rを指定すると、X線CT撮影装置本体M1の機械的構成により、被写体位置付けが行われ、指定された関心領域rを撮影対象とした局所CT撮影が行われる。このとき、歯列弓モデルdmの座標情報、位置情報も、関心領域rの座標情報、位置情報も把握されるので、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置が特定できる。歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置が特定されると、次に述べるように、正視方向vやスライス位置slが設定できる。正視方向vやスライス位置slが設定されれば、被写体oに関するCT撮影データを画像処理して関心領域rを正視した正視X線CT画像に再構成することができる。
【0048】
ここで、図23、図23A〜図23Eを用いて歯列弓モデルdmと関心領域rの基本的な関係を詳述する。これらは、関心領域rの指定の方法を、それぞれ異なる例に従って説明する平面図で、理解を容易にするために、下顎における歯列をなす歯牙thを輪切りにしたスライス面を平面視している。そして、歯牙th、顎骨jb、顎関節jjからなる一般的形状の歯列弓DAが模式的に示され、この歯列弓DAに関する歯列弓モデルdmが設定されている。
【0049】
歯列弓モデルdmの形状は、図15について後述するように、様々なものが考えられるが、、歯列弓DAの湾曲形状、または少なくとも歯列弓DAの湾曲形状に沿う形状を有している。さらに詳細な例としては、歯列弓DAの各歯牙thの中央を横切る、馬蹄形状、または略馬蹄形状の、例えば歯科のパノラマX線撮影におけるパノラマ断層と同様または類似の形状を有しており、例えば、後述の図17(b)に示される3次元空間中の空間的位置に想定ないし設定される。歯列弓モデルdmの取得方法も、後述するように、様々なものが考えられる。歯列弓モデルdmは、一般的形状の歯列弓DAを基に形成しても、個別の歯列弓DAを実測した値から得ても、画像解析から得てもよいが、その詳細については詳述する。
【0050】
歯列弓DAは、図23、図23A〜図23Eに示しているように、列をなす歯牙thの部分では頬側に凸をなして湾曲し、最も奥の歯牙th48の近傍から顎関節jjに向かう部分では、頬側に向かって外側に開く形状となっている。そのため、歯列弓モデルdmは、そのような歯列弓DAの形状に合わせて、歯列弓DAの舌側と頬側の間のほぼ中央の地点を結ぶ湾曲形状となる。より具体的には、歯列弓モデルdmは、歯列を形成する複数の歯牙thの中央部分を結び頬側に凸をなす放物線状の曲線と、最も奥の歯牙th48から顎関節jjに向かう近傍で舌側に凸をなし、歯牙th48の中央と顎関節jjの中央を結ぶ線からなる湾曲形状となっている。
無論、個体によって特殊な形状の歯列弓DAが存在することもあり、その場合にはその特殊な形状の歯列弓DAをもとに歯列弓モデルdmを形成しても構わない。
上述の記載から解るとおり、本願においては顎関節jjの部分についても適用できる。
顎関節は重要な診断部位であり、特に注目して診断対象とする場合もありうる。
【0051】
関心領域rは、外縁が平面視で真円の形状であり、3次元的には、その外縁を上下に伸長した円柱の形状をとるものとし、その中心をrcとする。
【0052】
図23の例では、歯牙th44に注目し、歯牙th44の中央の、歯列弓モデルdmの形成する線上に関心領域rの円の中心rcを一致させて関心領域rを指定しており、この場合には、中心rcにおける歯列弓モデルdmの接線TGを算出あるいは設定し、接線TGに垂直な、歯列弓を頬側から舌側に向けて正視する方向を正視方向vとして算出または設定できる。
【0053】
正視方向vは、基本的には、歯列弓DAの湾曲に対して法線の方向である。これは、図示の接線TGに対して直交する方向であるが、必ずしも厳密な法線方向としなくとも、ほぼ法線方向であればよい。しかしながら、関心領域rを正視している感覚が得られるように正視方向vを設定することは必要である。
具体的には、正視方向vの接線TGに対してなす角度の許容範囲として、図23に図示の状態の正視方向vに対しプラスマイナス30°の範囲内、好ましくはプラスマイナス10°の範囲内、より厳密にはプラスマイナス5°の範囲内に設定される。つまり、接線TGに対する正視方向vの角度が90°とすれば、60°〜120°の範囲、好ましくは80°〜100°の範囲、より厳密には85°〜95°の範囲である。
ここで、そのような正視方向vが算出または設定されれば、つまり正視方向vが決定されれば、CT撮影データを再構成して、正視方向vから見たX線画像として、正視方向vから見た所望のスライス位置slが断層面となった断層面画像を生成したり、正視方向vから見た3次元CTボリューム画像を生成したりすることでを生成することが可能である。なお、本願でいう3次元CTボリューム画像はボリュームレンダリング像である。
なお、正視X線CT画像を断層面画像で生成する場合、各スライス位置におけるスライス面つまり断層面を、例えば歯列弓DAの湾曲に沿った曲面等の任意の曲面に設定しても、平面に設定してもよい。
【0054】
図23Aの例では、最も奥の歯牙th48を関心領域rとして指定しているが、この場合、歯列弓モデルdmの接線は、頬側に凸をなす線ではなく、舌側に凸をなす線となる。しかし、接線TGに垂直な、歯列弓を頬側から舌側に向けて正視する方向を正視方向vとして算出あるいは設定できることは、図23の例と同様である。
なお、頬側から舌側に向けて正視の意味であるが、歯列弓を裏側から観察したい場合も
考えうるので、この場合を排斥するものではない。
この場合は頬側から舌側にマイナス方向に向かう方向、つまり舌側から頬側に向かう方向ということになる。
すなわち、頬側から舌側に向けて正視する方向のベクトルとして、マイナスのベクトルも
含まれてよい。
【0055】
関心領域rを正視方向vから正視した断層面画像を生成する場合、断層面の位置つまりスライス位置slは任意であり、接線TGの位置に設定しても、図23Bのように、図23における接線TGをわずかに舌側に平行移動した位置に設定してもよい。なお、CT撮影データを再構成してそのスライス位置slにおける、上下に展開する断層面画像を生成することは、画像処理により可能である。
【0056】
図23における接線TGの位置にスライス位置slを設定すると、スライスの対象となる歯牙thは、th44のほか、th44の前後、近辺のth42、th43、th45、のみであるが、図23Bに示す位置にスライス位置slを設定すると、th41、th42、th43、th44、th45、th46をスライスの対象とすることができ、スライスできる歯牙thの範囲を広げることができる。ただし、スライス位置slは歯牙thを全く外れた位置に設定するより、正視X線CT画像となる断層面画像に複数の歯牙thが示される位置に設定することが好ましい。
【0057】
図23Cの例では、歯牙th44に注目しているが、関心領域rは、その中心rcを歯牙th44の中央の、歯列弓モデルdmの線上の点Thcと一致させずに、漠然と関心領域rが歯牙th44を含むように指定している。このように、関心領域rの指定においては、必ずしも関心領域rの円の中心rcを目標歯牙thの中央と一致するように指定する必要はない。この場合、中心rcより垂線の足pl1を最短で下ろせる歯列弓モデルdmへの接線TGを算出し、この接線TGを基準とするスライス位置slの設定をすることが考えられる。仮に、歯列弓モデルdmと関心領域rの円の中心rcとの位置関係によって垂線の足pl1が複数下ろせる場合があるとしても、例えば前歯中央に近い方を選択するなど、予め優先順位を設定することで対処するように構成できる。なお、図23Cに示した状態で、垂線の足pl1のとる方向と、正視方向vとは一致している。
【0058】
図23Dの例においては、関心領域rの外縁をなす円clと歯列弓モデルdmとの2つの交点tp1、tp2を通過する直線ln1の、交点tp1、tp2の中間の点lmdを算出し、歯列弓モデルdmからその中間の点lmdに垂線の足を下ろせる歯列弓モデルdm上の地点thmを求め、地点thmにおける歯列弓モデルdmへの接線TGを算出または設定することにより、上述と同様に、この接線TGを基準としてスライス位置slを設定する。
【0059】
なお、スライス位置slの設定は任意なので、逐一詳述しないが、上記例の他、様々な設定方法がある。例えば、上記の例では関心領域rの形状として真円、円柱を想定したが、任意の形状として、例えば円の中心rcに相当する、関心領域rの概ね中央の箇所rc´を任意に関心領域rの中に設定してもよい。また、関心領域rの形状には、点も含まれる。
【0060】
図23Dのように関心領域rの外縁のなす線clと歯列弓モデルdmとの2つの交点tp1、tp2を通過する線ln1を基にスライス位置slを設定する構成の場合は、関心領域rを任意の形状とした場合でも、関心領域rの外縁のなす線さえ把握していればよく、円の中心rcまたはこの中心rcに相当する点さえ不要である。
【0061】
正視方向vやスライスの位置slを、逐一計算せずに得る方法もある。
図23Eの例は、その方法の1つであって、歯列弓モデルdmを、複数の歯牙thが比較的直線状にならんだ区間に注目し、一点鎖線と矢印で示す区間ar1〜9に分けて、区間ごとに正視方向v1〜9またはスライス位置sl1〜9を予め設定しておいてもよい。
【0062】
このとき、図23の例と同様に、関心領域rが真円ないし円柱の形状をとるものとし、その真円、円柱の中心をrcとして、歯列弓モデルdmの形成する線上に関心領域rの円の中心rcを一致させて関心領域rを指定するものとする。この場合、指定した関心領域rの円の中心rcが歯列弓モデルdmの区間ar7にあれば、自動的に正視方向v7を選択するように構成できる。更に、正視方向v7に直交したスライス位置sl7a、sl7b、sl7c等の適宜の位置でスライスするように構成してもよい。また、正視方向vの選択をする構成ではなく、自動的にスライス位置sl7が選択されるように構成することも考えられる。
【0063】
スライス位置sl7は必ずしも正視方向v7から演算しなくともよい。例えば区間ar7において、歯牙th43の歯軸付近の1点と、歯牙th44の歯軸付近の1点とを結ぶ線を設定し、その線にスライス位置slを設定することができる。ここで、スライス位置slは、任意の角度に設定できるが、関心領域rを正視している感覚が得られるように設定することが必要である。
【0064】
正視方向vやスライス位置slは、歯列弓DAの3次元形状に基づく歯列弓モデルdmの形状から関心領域rの指定ごとに演算して求めてもよく、関心領域rの部位ごとに予め正視方向vやスライス位置slを設定したデータテーブル(ルックアップテーブル)を参照して求めてもよい。
【0065】
なお、スライス位置sl1〜9を示す直線は、いたずらに図を複雑にしないために短い線分で示してあるが、この直線で示される区間ar1〜9のそれぞれの範囲内のみしかスライス処理をしないという意味ではない。例えば、スライス位置sl7におけるスライスが区間ar7以外の部分に及んでもよい。
【0066】
また、歯牙th毎に正視方向vやスライス位置slを設定しても、歯列弓モデルdmを点に細分して、点ごとに正視方向vやスライス位置slを設定してもよい。また、歯牙th毎に正視方向vやスライス位置slを設定してもよい。また、上述したように、関心領域rの形状には、点も含まれる。すなわち、関心領域rの指定は、必ずしも2次元に広がりのある領域として指定せずに、点としての指定も可能である。そして、スライスされた断層面の画像は、関心領域r内の領域のみの画像を生成してもよく、関心領域r以外の部分も含む画像を生成してもよい。
【0067】
次いで、正視方向vを求める方法を、図23、図23A〜図23Eについて説明した構成に従って補足説明する。
【0068】
まず、歯列弓モデルdmを用いて正視方向vを求める方法であるが、歯列弓モデルdmは、歯列弓DAの全体または一部の形状を数学的に表現した関数として規定できる。すなわち、歯列弓モデルdmは歯列弓DAの形状を簡略的に関数化したもので、図15(a)に示すように、基本的形状は、歯列弓DAの周知のパノラマ断層に相当する部分、または歯列弓DAの舌側と頬側の中央の層からなる標準曲面dm#1の馬蹄形状をとるが、歯列弓DAに沿った形状であれば、任意の形状を歯列弓モデルdmとして設定できる。そのため、歯列弓モデルdmは、図15(b)に示すように、歯列弓DAと同様な馬蹄形状の湾曲を有した標準曲面dm#1であっても、曲面とする替わりに、図15(c)に示すように平面を複数箇所で山折りにした標準複合面dm#2であってもよい。標準曲面dm#1や標準複合面dm#2は薄層のものでも、厚みがあるものでもよい。
歯列弓モデルdmを上記のような面でとらえる場合、正視方向vは、歯列弓モデルdm上のある1点において、周囲の歯列弓モデルdmの面に対して直交する方向として設定することができる。
図15(c)の例で説明する。正視方向vは、3次元空間におけるある地点paとある地点pbとを結ぶ線pvに沿うものであると考える。線pvは、歯列弓モデルdm#2に対してある1点ptで交差する。
1点ptは関心領域rの中心またはほぼ中心にある地点である。歯列弓モデルdm#2の面上で、1点ptに対する頭頂と足を結ぶ体軸方向に沿う方向vdと、体軸方向と直交する方向hdが考えられる。線pvは、歯列弓モデルdm#2の面上、方向vdに対しても方向hdに対しても直交する。正視方向vは、このような線pvに沿う方向として設定される。ただし、前述したように、正視方向vは、関心領域rを正視している感覚が得られるように設定されればよいので、必ずしも厳密に直交する方向を設定しなくとも、ほぼ直交する方向であればよい。
正視方向vは歯列弓DAの湾曲に対して法線またはほぼ法線の方向でもある。
図15(b)についても図15(c)と同様に正視方向vが考えられる。
ただし、厳密には図15(b)の歯列弓モデルdm#1は曲面なので、歯列弓モデルdm#1と正視方向v(線pv)が交差する1点ptにおいて、歯列弓モデルdm#1の面と接する接線を想定して、その接線に対して直交する方向を正視方向vとして設定すればよい。
従来より、パノラマ撮影においては、細隙X線ビームを歯列弓にできるだけ直交するように入射させているが、その入射方向を正視方向vとして設定してもよい。
【0069】
また、標準曲面dm#1や標準複合面dm#2を更に単純化した、すなわち標準曲面dm#1や標準複合面dm#2を2次元平面に投影した、図15(d)に示す標準曲線dm#3、図15(e)に示す標準複合線dm#4であってもよい。歯列弓モデルdmは標準的なものを準備しておけばよいが、患者の体格、年齢、性別等を考慮して拡大、縮小等を行えば、より良好な結果が得られる。なお、歯列弓モデルdmとしては、予め準備した標準的なものや、上記CT撮影データ等、歯列弓DAの画像データを画像処理して得た個別のものや、被写体oの歯列弓DAの形状を実測して得た個別のもの等が考えられる。
【0070】
歯列弓モデルdmは、具体的には図17(b)について後述するように、X線CT撮影装置本体M1の空間的位置ないしX線CT撮影装置本体M1が占める空間的座標に対する空間的位置に、または空間的座標として設定されている。歯列弓モデルdmの空間的位置ないし空間的座標は、X線CT撮影が行われる場所の空間的位置ないし空間的座標ともいえる。
【0071】
図15(a)は歯列弓DA、図15(b)〜図15(e)は、それぞれ歯列弓モデルdmの具体例で、順に標準曲面dm#1、標準複合面dm#2、標準曲線dm#3、標準複合線dm#4を示している。
【0072】
なお、歯列弓モデルdmは、単純な馬蹄形状には限定されない。例えば、図24(a)は上顎の歯列弓DA1のうち、歯牙thの部分のみを実線とし、右側方から見たところを示し、図24(b)は正面から見たところを示しているが、図24(a)に示しているように、この上顎の歯列弓DAにおいては、前歯th11、31は根尖から斜め前方に歯頚の方に伸びるので、歯列弓モデルdmの形状も、図24(c)の形状に適合させるべく、前歯に相当する部分については、裾が広がった形状とするのが好適である。
【0073】
図24(c)、(d)、(e)はそのような図24(a)(b)に示す歯列弓DAに適合させた歯列弓モデルdmの例であり、図24(c)は歯列弓モデルdmを右側方から見たところを、図24(b)は正面から見たところを、図24(e)は歯列弓モデルdmの斜視図である。このように、歯列弓モデルdmの形状は、実情に合わせて適宜に設定できる。
【0074】
次いで、画像解析することによって歯列弓モデルdmを得る手順を説明する。例えばCT撮影データから再構成した顎顔面の3次元CTデータを高さ方向にスライスすると、歯列弓DAの部分では、各歯牙thの横断面が馬蹄形状に分布したX線CT断層面画像p#4や、顎骨の横断面のX線CT断層面画像p#4が得られる。そこで、その横断面の分布態様を画像解析すれば、歯列弓DAの形状を把握することができるので、その把握した形状との差分が最小になるような標準曲面dm#1等を、例えば最小二乗法等によって決定すればよい。
【0075】
図16(a)〜図16(d)は、そのような画像解析の一例として、CT撮影データを再構成した3次元CTデータ(a)を異なる高さでスライスした複数のX線CT断層面画像p#4(b)〜(d)の例を示している。ここでは、図示のように広域CT撮影より得られたCT撮影データを用いることができるが、図21に関して後述するように、局所CT撮影より得られたCT撮影データを用いてもよい。
【0076】
図示したX線CT断層面画像p#4(b)には、各歯牙thの中央部分の横断面が馬蹄形状に分布している様子が示されている。また、X線CT断層面画像p#4(c)には、各歯牙thの歯根部分の横断面と、下顎骨の横断面が馬蹄形状に分布している様子が示され、X線CT断層面画像p#4(d)には、下顎骨の横断面が馬蹄形状に分布している様子が示されている。従って、これらの分布状態を画像解析により検出すれば、歯列弓DAの形状を知ることができ、その形状に従って歯列弓モデルdmを規定できる。
【0077】
また、被写体oのや歯列弓DAの形状を実測することにより歯列弓モデルdmを得ることもできる。例えば、図17(a)、(b)に示しているように、X線撮影時に被写体oを保持する被写体保持手段40の保持部を、被写体oに合わせて可変調整できるようにしておき、その調整値から歯列弓DAの形状を推定するような方法が可能である。このとき、被写体保持手段40の保持部を、被写体oに合わせて可変調整した調整値と、歯列弓モデルdmとの相関関係は、予め調査して準備しておく必要がある。
【0078】
図17(a)、(b)においては、頭部を挟む2本のイヤロッドが可動であり、頭部のサイズに合わせて2本のイヤロッドの幅が拡大縮小できる。この2本のイヤロッドの開度にしたがって、歯列弓モデルdmの形状を変更するように構成できる。具体的には、2本のイヤロッドの開度が大の場合、歯列弓モデルdmの形成する弧が大きい歯列弓モデルdmを設定し、2本のイヤロッドの開度が小の場合、歯列弓モデルdmの形成する弧が小さい歯列弓モデルdmを設定する。
【0079】
なお、図示するように、X線CT撮影装置本体M1が存在する3次元空間において、被写体保持手段40の空間的位置すなわちX線CT撮影装置本体M1の空間的位置に対し、歯列弓モデルdmが設定されている。歯列弓モデルdmの空間的位置は、X線CT撮影が行われる場所の空間的位置ともいえる。歯列弓DAの形状の実測は、これ以外の方法も考えられる。例えば頭部を固定した状態で患者に平面状の感圧センサを噛ませ、圧力が高く測定された箇所の2次元座標情報ないし3次元座標情報を得て歯列弓DAの湾曲形状を検出してもよい。
【0080】
図6は、上記広域CT撮影に係る基本手順を説明するフロー図である。
この基本手順は、関心領域rを指定するステップ(1090)、指定された関心領域rに対応した歯列弓正視情報から関心領域rの正視方向vを決定するステップ(1140)、CT撮影データから、関心領域rを正視した正視X線CT画像である断層面画像や3次元CTボリューム画像を生成するステップ(1150)、生成した正視X線CT画像を表示するステップ(1160または1170)からなる。ここに、関心領域rは、正視した状態で表示させたい範囲、つまり正視表示対象領域であり、顎顔面の一部、具体的には歯列弓DAの一部に関心領域rを指定する。
【0081】
関心領域rを指定する方法としては、表示手段88に表示した、歯列弓DAを表したスカウト画像上で関心領域rの指定をする方法等、関心領域rの指定を画像上で行う方法でも(ステップ1030)、歯列弓DAの各部位に割り当てた部分コード等で関心領域rの指定をする等、表示手段88に表示したスカウト画像を用いない方法でもよい(ステップ1080)。これらの方法については後で詳述する。
【0082】
上述したように、正視方向vやスライス位置slは、歯列弓DAの3次元形状に基づく歯列弓モデルdmの形状から算出してもよく(ステップ1100、1110、1120→1115→1140)、関心領域rの部位ごとに予め正視方向vやスライス位置slを設定したデータテーブル(ルックアップテーブル)を参照してもよい(ステップ1130→1140)。
【0083】
以下は、関心領域rの指定に関する詳細な説明である。関心領域rの指定、すなわち表示対象領域の指定では、上記のように、スカウト画像を用いて行う方法と、スカウト画像を用いない方法とがあるが、まず前者について説明する。
【0084】
関心領域rを指定操作するためのスカウト画像には、予め撮影した被写体oのパノラマ撮影データから生成した顎顔面領域のパノラマ画像p#1、予め準備した歯列弓DAの平面図等のイラストイメージデータからなる歯列のイラストp#2、予め撮影したCT撮影データから生成した顎顔面領域のパノラマ画像p#1、X線透視画像p#3、X線CT断層面画像p#4、3次元CTボリューム画像p#5等を用いることができる。
【0085】
これを図6のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
パノラマ画像p#1の生成は、図6のフロー図におけるステップ1010に示している。また、イラストp#2の生成は、ステップ1020に示している。透視画像p#3の生成は、ステップ1025に示している。3次元CTボリューム画像p#5の生成は、ステップ1040に示している。パノラマ画像p#1の生成は、ステップ1060に示している。
いずれも、スカウト画像を表示するのはステップ1030で、スカウト画像を用いた関心領域rの指定はステップ1090でなされる。
なお、スカウト画像の上で関心領域rが指定操作されたときに、その関心領域rの範囲を、スカウト画像の上に枠として表示するようにすれば、その範囲を直感的に把握できて利便性が高くなる。
【0086】
図7は、スカウト画像とされるパノラマ画像p#1の例で、実際には3次元的に湾曲した歯列弓DAが、平面的に展開表示されている。このパノラマ画像p#1上には、オペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定され、その範囲が四角形の枠によって示されている。ここで、パノラマ画像p#1の代わりに、パノラマ画像p#1をイラスト化した、図示しない歯列のイラストp#2を用いてもよい。イラストp#2は、記憶手段82に記憶したイラストイメージデータから生成することができ、生成したイラストp#2は、パノラマ画像p#1と同様、スカウト画像として表示する。このイラストp#2の生成は、図6のフロー図におけるステップ1020に示し、イラストp#2のスカウト画像としての表示はステップ1030に示している。
【0087】
図8は、スカウト画像とされるイラストp#2の別の例で、標準的な歯列弓DAの平面図であり、オペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示され、それらの交点の位置に、円状の枠で囲まれた関心領域rが指定される。この場合、関心領域rの垂直位置とその範囲は上下歯牙部分が含まれるように予め設定されたものになる。
【0088】
図9は、スカウト画像とされるX線透視画像p#3の例で、正面、側面の2つのX線透視画像p#31、p#32であり、それぞれにオペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定され、その範囲が四角形の枠によって示されている。
X線CT撮影においては、支持手段30の旋回の微小角度ごとに被写体oの透視画像p#3を取得してCT撮影データとするので、正面、側面において、それぞれの透視画像p#3を得ることができる。
【0089】
図10は、スカウト画像とされるX線CT断層面画像p#4の例である。
X線CT断層面画像p#4は、CT撮影データを画像処理して得られた被写体oの3次元領域の3次元CTデータを再構成し、その3次元領域について、相互に直交する断層面のX線CT断層面画像p#4として、Z断層面の画像を表示するX線CT断層面画像(Z断層面画像)p#41、Y断層面の画像を表示するX線CT断層面画像(Y断層面画像)p#42、X断層面の画像を表示するX線CT断層面画像(X断層面画像)p#43が組み合わされて表示されている。3つのX線CT断層面画像p#4には、オペレータの移動操作に応じて移動するXカーソルxc、Yカーソルyc、Zカーソルzcが重ねて表示されている。カーソルxc〜zcは、X線CT断層面画像p#4上では、それぞれX断層面、Y断層面、Z断層面の投影線になっている。なお、初期設定では、X線CT断層面画像p#41において前歯が図示の真下を向くように表示される。
ここを図6のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
Z断層面画像p#41の生成は、図6のフロー図におけるステップ1070に示している。また、Z断層面画像p#41をスカウト画像として表示することはステップ1030に、スカウト画像を用いた関心領域rの指定はステップ1090に示している。
【0090】
関心領域rは、カーソルxc、yc、zcの交点rpによって指定されるが、カーソルxc、yc、zcのいずれかが移動操作されたときには、操作されたカーソルxc、yc、zcに対応した位置の断層面の画像が表示されるように、操作に従って、X線CT断層面画像p#4を変更表示する。また、このとき関心領域rの指定操作を受け付けるが、その指定操作は、例えばマウスで交点rpをダブルクリックする等により実行できる。
【0091】
また、X線CT断層面画像p#4には、別のスカウト画像として、3次元CTボリューム画像p#5が並べて表示されている。この3次元CTボリューム画像p#5は、3次元CTデータを構成する各ピクセルに、濃度値に応じて色情報、透明度情報を付加してから、表示方向に沿って重ね合わるようなレンダリング処理によって得られる。また、3次元CTボリューム画像p#5には、上下左右の回転ボタンb3も重ねて表示されており、その操作により画像を自在に回転させることができる。これは、3次元CTデータに対する表示方向を回転操作に応じて変化させ、変化させたあとの表示方向に従って3次元CTデータを再レンダした画像によって更新表示することによりなされる。更に、3次元CTボリューム画像p#5には、カーソルxc、yc、zcも重ねて表示されている。カーソルxc、yc、zcは、それぞれX断層面、Y断層面、Z断層面を示すので、3次元CTボリューム画像p#5においては、面として表示されている。この3次元CTボリューム画像p#5では、回転ボタンb3や、カーソルxc、yc、zcを適宜操作することにより、関心領域rを所望の位置に指定することができる。
【0092】
ここで、スカウト画像とされるパノラマ画像p#1について補足説明する。パノラマ画像p#1は、被写体oを予め撮影したパノラマ撮影データから生成してもよいが、広域CT撮影のデータがあれば、その一部を利用して生成してもよい。この別の方法を以下に説明する。
【0093】
図11は、前述の広域CT撮影において被写体o、X線発生器11、X線検出器21を見下ろした平面図で、被写体oに対するX線発生器11とX線検出器21の位置関係は、被写体oの中心を旋回中心Cとして、X線発生器11とX線検出器が旋回することにより位置LC1、LC2、LC3の順に変位していく。X線発生器11とX線検出器21は中心Cを中心に旋回する。図4A(a)の例では、X線発生器11とX線検出器21は、図示の矢印の方向に旋回する。X線CT撮影においては、支持手段30の旋回の微小角度ごとに被写体oの透視画像p#3を取得していき、CT撮影データとするので、各位置LC1、LC2、LC3において、それぞれの透視画像p#3を得ることができる。
【0094】
ここで、X線検出器21の検出面でX線広域ビームCBを検出して得られる透視画像p#3の中に、位置LC1においてはP1、位置LC2においてはP2、位置LC3においてはP3の成分が含まれることがわかる。P1、P2、P3の成分は、患者の体軸方向に細長いX線細隙ビームNBの成分である。ここで、X線検出器21の検出面の中央地点をMDとすると、位置LC1において、成分P1は中央地点MDより検出面に向かって右寄りの位置にあり、位置LC2において、成分P2は中央地点MDより検出面に向かって左寄りの位置にあり、位置LC3において、成分P3は検出面に向かって中央地点MDとほぼ一致する位置にあることがわかる。
【0095】
これに対して、図12は、従来の軌道によるパノラマ撮影の様子を示す平面図で、歯列弓DA´に対するX線発生器11´とX線検出器21´の位置関係は、歯列弓DAを挟んでX線発生器11´とX線検出器21´が旋回することにより左顎にX線照射する位置から前歯中央にX線照射する位置まで位置LC1´、LC2´、LC3´の順に変位していく。曲線ENは、X線細隙ビームNBの軌跡によって描かれた包絡線である。図12の例では、X線発生器11とX線検出器21は、歯列弓DAを間に挟んだ状態で支持手段30が移動する旋回軸30c、旋回軸30cの延長線30c1を中心に旋回しつつ変位していく。
【0096】
図11と図12とを比較すると、成分P1は成分P1´とほぼ同一の成分、成分P2は成分P2´とがほぼ同一の成分、成分P3は成分P3´とほぼ同一の成分になっている。従って図13に示すように、成分P1、P2、P3のような、パノラマ画像p#1の成分を少しずつスライドさせながら重ね合わせて合成する(シフト可算する)とパノラマ画像p#1になる。図示においては、パノラマ画像p#1のPx´の部分は基本的に図示の成分Pxに相当する部分からなり、成分Pxに、その隣接する成分がシフト加算されてPx´の部分が生成される。なお、パノラマ画像p#1の生成には、例えば、本出願人による先行技術である特開2000−139902におけるオルソX線コーンビームを用いる技術を応用可能してもよい。
【0097】
これを、図6のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
成分P1、P2、P3のような、パノラマ画像p#1の成分を抽出して合成し、パノラマ画像p#1を生成することは、図6のフロー図におけるステップ1050、1060に示している。また、パノラマ画像p#1をスカウト画像として表示することはステップ1030に、スカウト画像を用いた関心領域rの指定はステップ1090に示している。
【0098】
もちろん、X線CT撮影装置本体M2において、前述のXYテーブル62またはXYテーブル64の少なくとも一方と支持手段30の総合運動により、図12の従来の軌道によるパノラマ撮影を行っても構わない。
【0099】
より具体的には、被写体保持手段40は固定のまま、支持手段30を旋回させつつ、XYテーブル62により支持手段30の旋回軸30cを移動させ、X線発生器11のX線管のX線発生の焦点とX線検出器21の検出面の中央地点MDの結ぶ直線が包絡線を描くように撮影する、従来の軌道によるパノラマ撮影を行うようにしてもよい。
【0100】
あるいは、支持手段30の旋回軸30cは固定して、支持手段30を旋回させつつ、XYテーブル64により被写体保持手段40を移動させることにより、被写体oから見ると、X線発生器11のX線管のX線発生の焦点とX線検出器21の検出面の中央地点MDの結ぶ直線が包絡線を描くよう、支持手段30が相対的に移動するパノラマ撮影を行ってもよい。
【0101】
また、支持手段30を旋回させつつ、XYテーブル62による旋回軸30cの移動とXYテーブル64による被写体保持手段40の移動を同時に行い、被写体oから見ると、X線発生器11のX線管のX線発生の焦点とX線検出器21の検出面の中央地点MDの結ぶ直線が包絡線を描くよう、支持手段30が相対的に移動するパノラマ撮影を行ってもよい。
【0102】
次に、関心領域rを、表示手段に表示したスカウト画像ではないイラストp#2で指定する別の方法について述べる。
【0103】
図14は、図2(a)に示した操作パネル74上に配された歯列弓DAを表したイラストp#2の例である。イラストp#2は、塗料で描いてあっても、薄い層の樹脂で形成して貼り付けてあっても、3次元形状の模型でもよい。ここで、各歯牙thにはコード「11」〜「18」、「31」〜「38」、「21」〜「28」、「41」〜「48」が付記されており、更に、各歯牙thに対応したボタンbtがその周囲に配置され、各ボタンbtの上面にも同様なコードが付記されている。ここでは、いずれかのボタンbtが操作されると、コードが割り当てられた各歯牙thの標準的な位置に関心領域rが指定される。そのため、各歯牙thには標準的な位置が予め設定されている。
これを、図6のフロー図におけるステップと関連して説明すると、次の通りである。
コード「11」〜「18」、「31」〜「38」、「21」〜「28」、「41」〜「48」、各ボタンbtは位置指定ツールであり、この位置指定ツールによる位置指定は、図6のフロー図におけるステップ1080でなされる。位置指定による関心領域rの指定はステップ1090でなされる。
【0104】
しかし、関心領域rの指定では、イメージを用いない方法も可能なので、その例を説明する。図14の例では、関心領域rを指定するためにイラストp#2を用いたが、各歯牙thに上記コードが予め割り当てられていれば、必ずしも操作パネル74にイラストp#2等を配しておく必要はないので、操作パネル74または操作手段86で、歯牙thに割り当てたコードを選択して関心領域rを指定する構成としてもよい。
この場合、イラストp#2を、装置の任意の場所に表示して、オペレータが必要に応じて参照できるようにしてもよい。
イラストp#2やボタンbtは、操作パネル74に配してもよいが、別体の操作ボックス75を操作パネル74とは別にX線CT撮影装置Mに設け、または接続して、その操作ボックス75上に配するようにしてもよい。
【0105】
これを、図6のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
歯牙thに割り当てたコードは、位置指定ツールであり、この位置指定ツールによる位置指定は、図6のフロー図におけるステップ1080でなされる。また、位置指定による関心領域rの指定はステップ1090でなされる。
【0106】
任意の形状の歯列弓モデルdmを予め準備できることは、既に述べたとおりである。予め準備した歯列弓モデルdmを持つことは、図6のフロー図におけるステップ1100に示している。
【0107】
また、画像解析することによって歯列弓モデルdmを得るようにしてもよいことは、既に述べたとおりである。画像解析で得た歯列弓モデルdmを持つことは、図6のフロー図におけるステップ1110に示している。また、被写体oや歯列弓DAの実測によって歯列弓モデルdmを得るようにしてもよいことは、既に述べたとおりである。被写体oや歯列弓DAの実測で得た歯列弓モデルdmを持つことは、図6のフロー図におけるステップ1120に示している。
【0108】
ところで、歯列弓モデルdmに対して、関心領域rの位置を特定することで、関心領域rの正視方向vを求めることができるのであるが、歯列弓モデルdmに対して、関心領域rの位置を特定するには、スカウト画像における指定位置すなわち座標を、歯列弓モデルdmにおける座標に対応させることないし変換することが必要である。
そのための座標処理は予め規定しておくことができる。例えばスカウト画像がパノラマ画像p#1である場合、パノラマ撮影においては、画像として生成されるパノラマ断層が3次元空間中に設定されている。このパノラマ断層を歯列弓モデルdmとすることができる。
【0109】
このパノラマ断層を画像化したパノラマ画像p#1は、歯列弓モデルdmの標準曲面を平面に引き伸ばしたものに相当するので、パノラマ画像p#1における指定位置すなわち座標と歯列弓モデルdmにおける座標を対応させ、パノラマ画像p#1における特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
前述のように、パノラマ画像p#1の代わりに、パノラマ画像p#1をイラスト化した、図示しない歯列のイラストp#2を用いる場合には、イラストp#2は、前述のように標準的な形状の歯列弓モデルdmを平面に引き伸ばしたものとして、イラストp#2における特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
またスカウト画像が歯列弓DAの平面図を模したイラストp#2であれば、その形状は、歯列弓モデルdmの標準曲面を上方から見たときの形状に対応しており、イラストp#2で示される歯列弓DAのほぼ中央の、パノラマ断層に相当する部分に歯列弓モデルdmが重なるように設定されている。イラストp#2における特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0110】
図23、図23A〜図23Eについて既に詳述したが、正視X線CT画像の正視方向vは、関心領域rの位置での、歯列弓モデルdmの中央曲線に対する法線方向が好適であり、図15(b)〜図15(e)では、矢印で示されている。この正視方向vは、歯列弓モデルdmに対して関心領域rの位置が特定されれば、歯列弓モデルdmの形状に基づいて容易に算出または設定することができる。
【0111】
ここに、歯列弓モデルdmに対して関心領域rの位置を特定することは、図6のフロー図におけるステップ1115に示している。なお、正視方向vは、必ずしも厳密な法線方向でなくともよいが、関心領域rを正視している感覚が得られるようにすることが必要である。また、歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置が特定すると、正視方向vやスライス位置slが設定できる点は、図23、図23A〜図23Eや図15で述べたのと同じである。
【0112】
正視方向vは、歯牙thの選択情報や関心領域rの位置情報から直接的に求めることも可能であり、以下、それについて説明する。
【0113】
図18(a)は、標準的な歯列弓DAに属した各歯牙thに対する正視方向vを示した図面であり、各歯牙thには、図14と同様のコードが付されている。図18(a)においては、上顎のみを示し、正視方向vはコード「31」〜「38」の歯牙thにのみ付して示しているが、他の歯牙thについても同様である。歯列弓DAの湾曲は歯列弓モデルdmで示される。なお、図18(b)はコード「31」の歯牙thを拡大した図で、歯列弓DAの湾曲、すなわち歯列弓モデルdmに対する接線TGに直角な正視方向vを示している。これらの図のように、各歯牙thに対する正視方向vは予め決まっているので、各歯牙thと、その歯牙thに対する正視方向vとを対応させたルックアップテーブル等を予め準備しておけば、正視すべき歯牙thのコードを選択するだけで、直ちに正視方向vを得ることができる。また、各歯牙thと、その歯牙thに対する図23、図23A〜図23Eで述べたようなスライス位置slとを対応させたルックアップテーブルを準備するようにしてもよい。また、関心領域rとして指定可能な各位置と、その位置における正視方向vまたはスライス位置slとを対応させたルックアップテーブルとしてもよい。ここで、歯牙thに割り当てたコード選択は、操作パネル74または操作手段86で行う構成としてもよい。
【0114】
なお、ルックアップテーブルを持つことは、図6のフロー図におけるステップ1130に示している。
【0115】
また、正視すべき歯牙thのコードと、関心領域rの指定との連携をとるようにしてもよい。すなわち、図14に示すボタンbtの操作やコードの入力で歯牙thを選択すると、その歯牙thを含んだ関心領域rを自動的に指定し、その関心領域の位置情報によってルックアップテーブルを参照する構成、あるいは、関心領域rを指定すると、その関心領域rの中央部にある歯牙thを自動的に選択し、その歯牙thの選択情報によってルックアップテーブルを参照するような構成も可能である。なお、このようなルックアップテーブルは、歯列弓モデルdmと同様に、歯列弓DAの画像データを画像処理や、歯列弓DAの形状を実測することにより得ることもできる。
【0116】
これを、図6のフロー図におけるステップと関連して説明すると、次の通りである。
以上で説明したように、関心領域rの指定はいろいろ方法があるが、いずれの場合でも、指定された関心領域rに対応した歯列弓正視情報から関心領域rの正視方向vまたはスライス位置slを決定することは、図6のフロー図におけるステップ1140に示している。
【0117】
次いで、本発明によって表示される正視X線CT画像について説明する。ここに、正視X線CT画像は、CT撮影データをコンボリューション法等により逆投影して再構成した被写体oの3次元領域の3次元CTデータから生成される画像であり、その3次元CTデータをスライスしたX線CT断層面画像p#4や、3次元CTデータをレンダリングした3次元CTボリューム画像p#5等が含まれるが、それらに限定される訳ではない。CT撮影では、位置決めされた被写体oを撮影しているため、再構成された3次元CTデータにおける歯列弓DAの配置は既知である。従って、正視X線CT画像として、X線CT断層面画像p#4を生成するには、正視方向vに対応した断層面を選択し、選択したスライス面によって3次元CTデータを関心領域rの位置でスライスすればよい。このとき、正視X線CT画像は、CT撮影データから生成される相互に直交したX断層面、Y断層面、Z断層面の3つのX線CT断層面画像p#41〜p#43のいずれかとして生成し、その3つの画像を組み合わせて同時に表示するようにしてもよい。また、正視X線CT画像となるX線CT断層面画像p#4は、顎顔面領域の関心領域rを含んだ広域的なものでもよく、関心領域rに限定した局所的なものでもよい。
【0118】
図19(a)は、その正視X線CT画像とされるX線CT断層面画像p#4の例であって、3つのX線CT断層面画像p#41〜p#43の内、X線CT断層面画像p#42が正視X線CT画像になっている。そのためX線CT断層面画像p#42では、関心領域r内の歯列弓DAの長手方向がX線CT断層面画像p#41に示されたYカーソルycに概ね沿うような角度で表示されている。このX線CT断層面画像p#42と、図10でスカウト画像の例として示したX線CT断層面画像p#42、p#43と比較すると、特徴的な差異は、前者のY軸が、関心領域rで歯列弓DAと直交する方向に向いている(正視方向v)なのに対して、後者のY軸は、関心領域rで歯列弓DAと斜めに交わる方向に向いている点である。そのため、正視X線CT画像であるX線CT断層面画像p#42では、関心領域rが、歯科医師の通常見慣れているパノラマ画像p#1の対応部位と極めて類似した態様で表示されている。
【0119】
なお、図19(a)では、CT撮影データから生成した、斜め方向から見た顎顔面の3次元CTボリューム画像p#5も組み合わせて表示している。しかしながら、その代わりに、図19(b)に示しているような、正視X線CT画像として生成した3次元CTボリューム画像(正視3次元CTボリューム画像)p#5を表示してもよい。このような3次元CTボリューム画像p#5は、3次元CTデータを構成する各ピクセルに、濃度値に応じて色情報、透明度情報を付加してから、正視方向vで見た画像になるように重ね合わせればよい。なお、ここでの3次元CTボリューム画像p#5は、顎顔面の全体を含んだ広域的なものでもよく、関心領域rに限定した局所的なものでもよい。
正視X線CT画像の表示に関しては、上述のように広域的なものでも局所的なものでもよいので、図19のような画像を表示してもよいし、後述の図22のような画像を表示してもよい。
これを図6のフロー図におけるステップと関連して説明すると、次の通りである。
関心領域rを正視した正視X線CT画像を生成することは、図6のフロー図に示している。
また、断層面画像p#4を正視X線CT画像を表示することは、ステップ1160に示しており、正視3次元CTボリューム画像を正視X線CT画像dpとして表示することは、ステップ1170に示している。
【0120】
以上、歯列弓DAの全体を含めた歯顎顔面のほぼ全域を撮影する広域CT撮影による例を説明したが、上記構成は、歯列弓DAの全体でなく、歯列弓DAの一部を撮影するCT撮影にも応用できる。例えば、歯列弓DAの右半分を撮影するCT撮影、左半分を撮影するCT撮影、前歯寄りの領域を撮影するCT撮影、奥歯寄りの領域を撮影するCT撮影を行った場合でも、その領域に適合する歯列弓モデルdmさえ準備すれば上記と同様に正視X線CT画像を得ることができる。
【0121】
次いで、図20のフロー図に係る構成を説明する。このフロー図は、関心領域rとして指定された部位の局所撮影を行い、そのCT撮影データから、正視X線CT画像を生成し表示する基本手順を説明するフロー図である。
【0122】
基本手順は、関心領域rを指定するステップ(2040)、指定された関心領域の位置に基づいて、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるようにCT撮影を実行するステップ(2050)、指定された関心領域rに対応した歯列弓正視情報から関心領域rの正視方向v、またはスライス位置slを決定するステップ(2090)、CT撮影データから、正視X線CT画像である断層面画像を生成するステップ(2100)、正視X線CT画像である3次元CTボリューム画像を表示するステップ(2110または2120)からなる。ここで、歯列弓正視情報は、上記歯列弓モデルdmや、ルックアップテーブルを含んでいる。
【0123】
関心領域rを指定する方法としては、関心領域rの指定をスカウト画像で行う方法でも(ステップ2015)、歯列弓DAの部分コード等で関心領域rを指定するなど、画像を用いない方法でもよい(ステップ2030)。
【0124】
正視方向vは、歯列弓DAの3次元形状に基づく歯列弓モデルdmの形状から算出してもよく(ステップ2060、2070→2065→2090)、関心領域rの位置情報等によってルックアップテーブルを参照してもよい(ステップ2080→2090)。
【0125】
ここで、関心領域rを指定する方法を詳細に説明する。まず、歯列弓DAを表したスカウト画像で関心領域rの指定をする方法について述べる。
【0126】
スカウト画像には、予め撮影した被写体oのパノラマ撮影データから生成した顎顔面領域のパノラマ画像p#1や、予め準備した歯列弓DAの平面図等のイラストp#2や、2方向のX線透視画像p#3等を用いることができる。また、その表示したスカウト画像で関心領域rが指定操作されたときには、その関心領域rの位置を歯列弓モデルdmに対して特定すると共に、その関心領域rの範囲を、スカウト画像に枠として表示する。もちろん、歯列弓モデルdmとしては、予め準備した標準的な歯列弓モデルdmや、被写体oの歯列弓DAの形状を実測して得た個別の歯列弓モデルdmを用いることができる。
パノラマ画像p#1の代わりに、パノラマ画像p#1をイラスト化した、図示しないイラストp#2を用いてもよい。
【0127】
スカウト画像としてパノラマ画像p#1を用いる例について説明すると、前述のX線細隙ビームBNを照射するパノラマ撮影の方法で、予め記憶させたパノラマ断層撮影軌道に従ってX線発生器11とX線検出器21とを移動させることで、パノラマ撮影データを得ることができる。そして、このパノラマ撮影データから顎顔面領域のパノラマ画像p#1を生成し、図7で説明したように表示手段88に表示させる。スカウト画像として表示するパノラマ画像の例は、図7に示すパノラマ画像p#1と同じパノラマ画像である。このパノラマ画像p#1上で、オペレータは、マウス操作によりポインタを移動調整させ、関心領域rを指定する。
【0128】
スカウト画像として表示するパノラマ画像p#1上で特定の位置を指定すると、その位置の座標に合わせてX線発生器11とX線検出器21の旋回中心が設定される。そして、関心領域rの指定により、X線発生器11とX線検出器21の旋回中心が関心領域rの中心に来るように、支持手段30または被写体保持手段40の少なくとも一方が、移動調整される。
その後、被写体oの周囲でX線発生器11とX線検出器21を旋回させ、局所CT撮影を実行する。指定された関心領域rの位置に基づいて、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるように局所CT撮影を実行することで、CT撮影データを得ることができる。
【0129】
局所CT撮影では、上述のように、X線発生器11とX線検出器21の旋回中心が関心領域rの中心に来るように、支持手段30または被写体保持手段40の少なくとも一方が、移動調整される。X線発生器11とX線検出器21の旋回中心と支持手段30の旋回中心が一致する場合は、支持手段30の旋回中心を設定すればよい。
旋回中心の設定は、具体的には前述のXYテーブル62による支持手段30の移動調整、または前述のXYテーブル64による被写体保持手段40の移動調整、またはXYテーブル62による支持手段30の移動調整と前述のXYテーブル64による被写体保持手段40の移動調整を共に行うことにより、被写体oの歯列弓DAに対する撮影対象領域の位置を相対的に移動調整させることで行う。
【0130】
本発明では、被写体oが撮影を行うための好適な位置に来るよう被写体o、支持手段30の少なくとも一方を位置付けることを被写体位置付けと呼ぶ。上述のように、支持手段30、被写体保持手段40の少なくとも一方を移動させて調整することも被写体位置付けであるが、被写体oまたは支持手段30、被写体oまたは支持手段30の双方の移動の必要がない場合では、単に被写体oを被写体保持手段40に被写体oを保持させればよく、この場合に単に被写体oを被写体保持手段40に被写体oを保持させることも被写体位置付けに含まれる。
【0131】
スカウト画像としては、図8に示すのと同じイラストp#2を用いてもよい。イラストp#2は標準的な歯列弓DAの平面図であり、オペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示され、それらの交点の位置に、円状の枠で囲まれた関心領域rが指定される。関心領域rを指定した後の局所CT撮影は、上述のパノラマ画像p#1をスカウト画像として生成表示する構成において、スカウト画像上で関心領域rの位置指定をした後と同様である。
【0132】
これを図20のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
パノラマ画像p#1の生成は、図20のフロー図におけるステップ2010に示しており、このパノラマ画像p#1をスカウト画像として表示するのはステップ2015に示している。
【0133】
パノラマ画像p#1の代わりに、パノラマ画像p#1をイラスト化した、図示しない歯列のイラストp#2を用いるとき、そのイラストp#2の生成は、ステップ2025に示している。そして、このイラストp#2をスカウト画像として表示することは、ステップ2015に示している。
【0134】
スカウト画像として図8に示すのと同様のイラストp#2を用いるとき、そのイラストp#2の生成は、ステップ2025に示している。そして、このイラストp#2をスカウト画像として表示することは、ステップ2015に示している。
【0135】
なお、ここで実行する局所CT撮影は、被照射範囲が関心領域rのみに限定されているので、被爆量を減少させる観点からは望ましい撮影である。
【0136】
また、スカウト画像として、図9で説明したのと同様に、図9に示すのと同じ透視画像p#3を用いることも可能である。ここで用いられる透視画像p#3は、前述のX線広域ビームを2方向から照射すれば、投影画像として得ることができる。そして、2方向の透視画像p#3上で、オペレータは、マウス操作によりポインタを移動調整させ、関心領域rを指定する。その後の局所CT撮影は上述のパノラマ画像p#1をスカウト画像として生成表示する構成において、スカウト画像上で関心領域rの位置指定をした後と同様である。
【0137】
なお、透視画像p#3は2方向に限らず、複数方向から投影した透視画像であれば、2方向以上であっても構わない。
【0138】
指定された関心領域rの歯列弓モデルdmに対する位置を特定するためには、歯列弓モデルdmの座標を、CT撮影を行う空間の座標の中に設定する必要がある。
後述するように、歯列弓モデルdmとしては、基本的には広域CT撮影において述べた歯列弓モデルdmと同様なものを用いればよいので、2方向の透視画像p#3をスカウト画像として用いる構成の場合、例えば図17(a)、(b)に示したような、被写体保持手段40の空間的位置に対し、歯列弓モデルdmを設定するようにしてもよい。
これを図20のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
2方向の透視画像p#3の生成は、図20のフロー図におけるステップ2020に示している。
そして、この2方向の透視画像p#3をスカウト画像として表示することはステップ2015に示している。なお、関心領域rの指定はステップ2040に示しており、局所CT撮影の実行はステップ2050に示している。
【0139】
また、従来技術として、X線CT撮影装置Mにおいて局所CT撮影を実行する際に、被写体oの前方から、被撮影領域(撮影対象領域)rrの位置をZ軸方向にガイドするために水平な広がりを有したZ位置ガイド光と、被撮影領域(撮影対象領域)rrの位置をY軸方向にガイドするために垂直な広がりを有したY位置ガイド光を照射し、かつ被写体oの左右から、被撮影領域(撮影対象領域)rrの位置をX軸方向にガイドするために垂直な広がりを有したX位置ガイド光を照射して、それらのガイド光による共通の交点(実際に共通の交点は、オペレータからは見えないので、その位置を推測する)の位置に被撮影領域(撮影対象領域)rrを設定する技術が知られている。
Z位置ガイド光、Y位置ガイド光、X位置ガイド光の共通の交点は、位置指定データより被撮影領域(撮影対象領域)rrの位置を示すように設定されている。オペレータは、関心領域rがその被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれるよう、被写体oの位置付け調整をする。
これを、図20のフロー図に関連して説明すると、次の通りである。
Z位置ガイド光、Y位置ガイド光、X位置ガイド光は位置指定のツールであり、被写体oの位置付けは、図20のフロー図におけるステップ2030に示している。この位置付けにより、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれることになり、局所CT撮影が行われるので、位置指定は関心領域rの指定でもあり、ステップ2040に相当する。局所CT撮影の実行は、ステップ2050に示している。
【0140】
局所CT撮影実行のための被写体位置付けに、歯列弓の模式図を用いて位置付けする方法が考えられ、この位置付けにより関心領域rの指定をすることも可能である。
図2に示す操作パネル74の表示手段88´に、図2(c)に示すように、歯列弓DAを模式図のイラストp#21で示した位置付け用のイラストp#2を表示する。このイラストp#21には、撮影対象領域を示す円のイラストp#22が重ねて表示されている。撮影対象領域のイラストp#22には、例えば矢印のような、正視方向vを示す方向表示v´を重ねて表示してもよい。
【0141】
前述のXYテーブル62による支持手段30の移動調整、または前述のXYテーブル64による被写体保持手段40の移動調整、またはXYテーブル62による支持手段30およびXYテーブル64による被写体保持手段40の双方の総合運動による移動調整により、被写体oの歯列弓DAに対する撮影対象領域の位置が相対的に調整でき、その移動調整の変位量に従って、歯列弓模式図のイラストp#21に対する撮影対象領域のイラストp#22の位置が移動するようになっている。
前述の入力手段74´の操作により、歯列弓模式図のイラストp#21に対する撮影対象領域のイラストp#22の位置を移動操作できるようにして、移動操作に連動して前述のXYテーブル62による支持手段30の移動調整、または前述のXYテーブル64による被写体保持手段40の移動調整ができるように構成してもよい。
歯列弓模式図のイラストp#21は、歯列弓モデルdmに対応しているので、関心領域rとして撮影対象領域を指定すると、関心領域rの歯列弓モデルdmに対する位置関係が特定できる。
【0142】
この構成により、関心領域rの局所CT撮影を行うべく被写体oを位置付けすることにより撮影対象領域を指定することで、正視方向vを特定することができる。このように位置付けした後に局所CT撮影を行い、得られたCT画像データより関心領域rを正視した正視X線CT画像の表示が可能である。
【0143】
これを図20のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
歯列弓模式図のイラストp#21、撮影対象領域のイラストp#22、入力手段74´は位置指定のツールであり、被写体oの位置付けはすなわち位置指定であるので、その位置指定は、図20のフロー図におけるステップ2030でなされる。この位置付けにより、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれ、その後、局所CT撮影が行われるので、位置指定は関心領域rの指定でもあり、ステップ2040に相当する。
なお、局所CT撮影の実行は、ステップ2050でなされる。
【0144】
また、図14に従って説明したのと同様に、イラストp#2付きの操作パネルを用いて関心領域rの指定をしてもよい。ボタンbtの操作によりコードの指定をすると、コードが割り当てられた各歯牙thの標準的な位置が指定され、位置付けがなされる。そのため、各歯牙thには標準的な位置が予め設定されている。
【0145】
関心領域rの指定の際に、イメージを用いない方法も可能である。例えば、操作手段86で、歯牙thに割り当てたコードを選択して位置指定し、関心領域rを指定する構成としてもよい。関心領域rは、その選択された歯牙thの標準的な位置に位置付けされる。その後の局所CT撮影は上記と同様である。
これを図20のフロー図の各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
イラストp#2や、操作パネル75のボタンbt、操作手段86、歯牙thに割り当てたコードは位置指定のツールであり、被写体oの位置付けはすなわち位置指定である。従って、20のフロー図におけるステップ2030に相当する。この位置付けにより、関心領域rが被撮影領域(撮影対象領域)rrに含まれ、局所CT撮影が行われるので、位置指定は関心領域rの指定でもあり、ステップ2040に相当する。なお、局所CT撮影の実行は、ステップ2050でなされる。
【0146】
次いで、正視方向vを求める方法については、基本的には歯列弓モデルdmとして広域CT撮影において述べた歯列弓モデルdmと同様なものを用いればよい。
【0147】
広域CT撮影の場合は、関心領域rの指定は、表示対象領域の指定の意味があったが、局所CT撮影の場合は、関心領域rの指定は、被撮影領域(撮影対象領域)rrの指定の意味を持つ。その差はあるが、局所CT撮影の場合は結局被撮影領域(撮影対象領域)rrを表示対象領域にすればよいのであり、局所CT撮影において被撮影領域(撮影対象領域)rrを指定することをもって、表示対象領域の指定とすればよい。被撮影領域(撮影対象領域)rrを指定する意味の関心領域rの指定と、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置を特定するための関心領域rの指定とを別個の作業として、双方行うようにすることも考えられるが、関心領域rの指定を2回行わねばならず、1回の指定をもって被撮影領域(撮影対象領域)rrの指定および歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置の特定とする構成が好適である。歯列弓モデルdmに対して関心領域rの位置を特定するという構成は共通なので、正視方向vやスライス位置slの設定も広域CT撮影の場合と基本的に同じである。
【0148】
それゆえ、正視方向vやスライス位置slの設定に、例えば図23、図23A〜図23Eや図15で示した構成を用いることができる。
【0149】
前述のように、関心領域rの指定があればX線CT撮影装置本体M1の機械的構成により、被写体位置付けが行われ、指定された関心領域rを撮影対象とした局所CT撮影が行われるのであるが、歯列弓モデルdmの座標情報、位置情報も、関心領域rの座標情報、位置情報も把握されるので、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置も特定できる。歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置が特定されると、正視方向vやスライス位置slが設定できる。
【0150】
例えば、スカウト画像がパノラマ画像p#1である場合、パノラマ撮影においては、画像として生成されるパノラマ断層が3次元空間中に設定されている。このパノラマ断層を歯列弓モデルdmとすることができる。このパノラマ断層を画像化したパノラマ画像p#1は、歯列弓モデルdmの標準曲面を平面に引き伸ばしたものに相当するので、パノラマ画像p#1における指定位置すなわち座標と歯列弓モデルdmにおける座標を対応させ、パノラマ画像p#1における特定の位置(座標)を指定することにより、撮影対象領域の指定ができるのであるが、同時に対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように構成できる。
【0151】
撮影対象領域の指定としての関心領域rの指定と別に、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置の特定のための関心領域rの指定を行うようにしてもよく、例えば、パノラマ画像p#1において関心領域rを指定して撮影対象領域の指定を行い、更にその指定作業とは別に、パノラマ画像p#1において関心領域rを同じ位置に指定して歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置の特定をさせるようにすることも考えられるが、関心領域rの指定を2回行わねばならず、1回の指定で撮影対象領域の指定と歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置の特定の双方が完了するように構成した方が好適である。
【0152】
前述のように、パノラマ画像p#1の代わりに、パノラマ画像p#1をイラスト化した、図示しないイラストp#2を用いて関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、イラストp#2は、前述のように標準的な形状の歯列弓モデルdmを平面に引き伸ばしたものとして、イラストp#2における特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように構成できる。
【0153】
またスカウト画像が歯列弓DAの平面図を模したイラストp#2を用いて関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、その形状は、歯列弓モデルdmの標準曲面を上方から見たときの形状と対応しており、イラストp#2で示される歯列弓DAのほぼ中央の、パノラマ断層に相当する部分に歯列弓モデルdmが重なるように設定されている。
イラストp#2における特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0154】
スカウト画像として、図9で説明したのと同様に、図9に示すのと同じ透視画像p#3を用いて関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、2方向の透視画像p#3上で特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0155】
Z位置ガイド光、Y位置ガイド光、X位置ガイド光を用いて関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、Z位置ガイド光、Y位置ガイド光、X位置ガイド光共通の交点の位置(座標)が検出できるよう、支持手段30、被写体保持手段40の移動量を検出できる検出手段を設け、被写体位置付けに従って撮影対象領域の位置(座標)が検出できるように構成できる。被写体位置付けで特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0156】
局所CT撮影実行のための被写体位置付けに、図2(c)に示す位置付け用のイラストp#21に撮影対象領域を示す円のイラストp#22を重ねて表示して関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、XYテーブル62による支持手段30の移動調整、または前述のXYテーブル64による被写体保持手段40の移動調整の調整量を検出できる検出手段を設け、被写体位置付けに従って撮影対象領域の位置(座標)が検出できるように構成できる。この構成において、被写体位置付けで特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0157】
操作手段86で、歯牙thに割り当てたコードを選択して位置指定し、関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、コード選択で特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0158】
また、図14に従って説明したのと同様に、イラストp#2付きの操作パネルを用いてボタンbtの操作により関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成の場合、ボタンbtの操作により特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0159】
関心領域rの指定の際に、イメージを用いず、例えば、操作手段86で、歯牙thに割り当てたコードを選択して位置指定し、関心領域rすなわち撮影対象領域を指定する構成とした場合、コード選択により特定の位置(座標)を指定することにより、対応する歯列弓モデルdmにおける特定の座標が指定されるように設定できる。
【0160】
いずれの場合も、歯列弓モデルdmの座標情報、位置情報も、関心領域rの座標情報、位置情報も把握されるので、歯列弓モデルdmの座標、位置に対して関心領域rの座標、位置も特定できる。
【0161】
歯列弓モデルdmには、例えば図23、図23A〜図23Eや図15で示したような、一般的形状の歯列弓DAより予め準備した歯列弓モデルdmを用いることができ、この歯列弓モデルdmに対して関心領域rの座標、位置を特定することは歯列弓モデルdmと関心領域rの位置的関係を特定することであり、図20のフロー図におけるステップ2060、2065に相当する。
【0162】
歯列弓モデルdmの座標、位置に対する関心領域rの座標、位置が特定される点、正視方向vやスライス位置slが設定できる点は、図23、図23A〜図23Eや図15で述べたのと同じである。
【0163】
例えば図23、図23A〜図23Eや図15で示したような、正視方向vやスライス位置slの設定は、指定された関心領域rに対応した歯列弓正視情報から関心領域の正視方向vやスライス位置slの設定をすることであり、図20のフロー図におけるステップ2090に相当する。
【0164】
正視方向vやスライス位置slが設定されると、被写体oに関する局所CT撮影によるCT撮影データを画像処理して関心領域rを正視した正視X線CT画像に再構成することができる。関心領域rを正視した正視X線CT画像の再構成は図20のフロー図におけるステップ2100に相当する。
【0165】
広域CT撮影において図18(a)で説明したと同様、各歯牙thに対する正視方向vを定めておいて、各歯牙thに図14と同様のコードを付する構成としておいてもよい。各歯牙thと、その歯牙thに対する正視方向vとを対応させたルックアップテーブル等を予め準備しておけば、正視すべき歯牙thのコードを選択するだけで、直ちに正視方向vを得ることができる。また、各歯牙thと、その歯牙thに対する図23、図23A〜図23Eで述べたようなスライス位置slとを対応させたルックアップテーブルを準備するようにしてもよい。また、関心領域rとして指定可能な各位置と、その位置における正視方向vまたはスライス位置slとを対応させたルックアップテーブルとしてもよい。
【0166】
歯牙thに割り当てたコード選択は、操作パネル74または操作手段86で行う構成としてもよい。
また、正視すべき歯牙thのコードと、関心領域rの指定との連携をとるようにしてもよい。すなわち、広域CT撮影において図14で説明したと同様、ボタンbtの操作やコードの入力で歯牙thを選択すると、その歯牙thを含んだ関心領域rを自動的に指定し、その関心領域の位置情報によってルックアップテーブルを参照する構成、あるいは、関心領域rを指定すると、その関心領域rの中央部にある歯牙thを自動的に選択し、その歯牙thの選択情報によってルックアップテーブルを参照するような構成も可能である。なお、このようなルックアップテーブルは、歯列弓モデルdmと同様に、歯列弓DAの画像データを画像処理や、歯列弓DAの形状を実測することにより得ることもできる。
【0167】
この場合のコード、ルックアップテーブルおよびコード、ルックアップテーブルで指定される正視方向vまたはスライス位置slは、関心領域rに対応した歯列弓正視情報であるので、これらを用いて正視方向vまたはスライス位置slを決定することは図20のフロー図におけるステップ2080、2090に示している。
【0168】
また、正視方向vを求める別の方法として、画像解析によって正視方向vを求める方法もある。
例えば、図21に示しているように、関心領域rの局所CT撮影が完了し、再構成した3次元CTデータから、複数のスライス画像データを得たとする。スライス画像データの中には、図示したZH3のスライス面の画像のように、舌側の顎骨LIと頬側の顎骨LOが鮮明に現れているものもある。このように、舌側の顎骨LIと頬側の顎骨LOが鮮明に現れている画像を画像ソフトウェアのパターン認識により検出し、検出した画像の中で、顎骨LIと頬側の顎骨LOの線を認識して、その概ね中央の線CLを算出する。ここで、線CLが湾曲していたとしても、関心領域rの中央またはほぼ中央P1における線CLへの接線TGが算定できる。正視方向vは接線TGに直交する方向となる。
【0169】
CT撮影データを再構成してそのスライス位置slにおける、上下に展開する断層面画像を生成することは、画像処理により可能である。
【0170】
関心領域rを正視方向vから正視した断層面画像を生成する場合、断層面の位置つまりスライス位置slをどの位置に設定するかについては任意であり、接線TGの位置にスライス位置slを設定してもよいが、図23、図23A〜図23Eで述べたのと同様、別の位置に設定してもよい。
【0171】
また、上述のように、別の高さにある顎骨LIと頬側の顎骨LOをパターン認識することもできるので、中央の線CLを上下に連続させ、面を形成して歯列弓モデルdmとすることができる。接線TGも同様に上下に連続させて面を形成することができるので、この面を正視表示の断層面としてもよい。
【0172】
この場合の画像解析によって、顎骨LIと頬側の顎骨LOの線を認識し、その概ね中央の線CLを算出することは、歯列弓モデルdmを画像解析で得ることである。すなわち、中央の線CLは歯列弓モデルdmの一種である。これは、図20のステップ2070に相当する。また、関心領域rの中央またはほぼ中央P1における線CLへの接線TGを算定することは歯列弓モデルdmと関心領域rとの位置的関係を特定することであり、図20のステップ2065に相当する。接線TGに直交する正視方向vまたはスライス位置slを求めることは、指定された関心領域rに対応した歯列弓正視情報から関心領域rの正視方向vまたはスライス位置slを決定することであり、図20のステップ2090に相当する。
【0173】
以下、そのような基本手順によって表示される正視X線CT画像の例を説明する。
図22(a)は、その例として、関心領域rを含んだ被撮影領域(撮影対象領域)rrを局所CT撮影したCT撮影データから生成された、互いに直交したZ断層面、Y断層面、X断層面のX線CT断層面画像p#41〜p#42を示している。その内のX線CT断層面画像p#42が、正視X線CT画像で、関心領域r内の歯列弓DAの長手方向がYカーソルycに概ね沿うような角度で表示されている。また、カーソルxc、yc、zcのいずれかが移動操作されたときには、操作されたカーソルxc、yc、zcに対応した位置の断層面の画像が表示されるよう、X線CT断層面画像p#4を操作にしたがって変更表示する。なお、各歯牙thに付記されているコード「T26」、「T27」、「T28」は、図14で各歯牙thに割り当てられているコード「26」、「27」、「28」と同様なコードである。
【0174】
図22(a)では、局所CT撮影したCT撮影データから生成した、斜め方向から見た3次元CTボリューム画像p#5を表示しているが、その代わりに、図22(b)のように、正視X線CT画像として生成した3次元CTボリューム画像p#5を表示してもよい。
これを図20のフロー図における各ステップと関連して説明すると、次の通りである。
正視X線CT画像dpを生成することは、ステップ2100に示している。また、正視X線CT画像として断層面画像p#4を表示することは、ステップ2110に示しており、正視X線CT画像として、3次元CTボリューム画像p5を表示することは、ステップ2120に示している。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明によるX線CT撮影装置Mの基本構成を説明するブロック図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ、X線CT撮影装置のより具体的な正面図と側面図であり、(c)は、操作パネルにおける表示例である。
【図2A】X線CT撮影装置のより具体的な別の実施例の外観図である。
【図3】顎顔面のパノラマ撮影の仕組みを説明する原理図である。
【図4】顎顔面の広域CT撮影の仕組みを説明する原理図である。
【図4A】(a)、(b)はそれぞれ、顎顔面の広域CT撮影の仕組みを説明する平面図と立面図である。
【図5】顎顔面の局所CT撮影の仕組みを説明する原理図である。
【図5A】顎顔面の局所CT撮影の仕組みを説明する平面図である。
【図6】本発明の広域CT撮影に係る基本手順を説明するフロー図である。
【図7】スカウト画像とされるパノラマ画像の例である。
【図8】スカウト画像とされるイラストの例である。
【図9】スカウト画像とされるX線透視画像の例である。
【図10】スカウト画像とされるX線CT断層面画像の例である。
【図11】広域CT撮影において被写体、X線発生器、X線検出器を見下ろした平面図である。
【図12】従来の軌道によるパノラマ撮影の様子を示す平面図である。
【図13】パノラマ画像の成分からパノラマ画像を生成する原理を説明する図面である。
【図14】歯列弓を表したイラストの他の例である。
【図15】(a)は歯列弓、図15(b)〜図15(e)は、それぞれ歯列弓モデルの具体例である。
【図16】(a)〜(d)は、画像解析の原理を説明する図面である。
【図17】(a)歯列弓の形状を推定するための被写体保持手段の仕組みを説明する図面であり、(b)は、被写体保持手段と歯列弓モデルとの位置関係を説明する図面である。
【図18】(a)は、歯列弓に属した各歯牙に対する正視方向を示した図面であり、(b)は歯牙の拡大図である。
【図19】(a)は関心領域を正視したX線CT断層面画像の例であり、(b)は、関心領域を正視した3次元CTボリューム画像の例である。
【図20】本発明の局所CT撮影に係る基本手順を説明するフロー図である。
【図21】(a)〜(d)は、画像解析の原理を説明する図面である。
【図22】(a)は、(a)は関心領域を正視したX線CT断層面画像の他の例であり、(b)は、関心領域を正視した3次元CTボリューム画像の他の例である。
【図23】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する平面図である。
【図23A】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する他の平面図である。
【図23B】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する他の平面図である。
【図23C】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する他の平面図である。
【図23D】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する他の平面図である。
【図23E】歯列弓モデルと関心領域の関係を説明する他の平面図である。
【図24】(a)、(b)はそれぞれ、歯列弓の正面図と側面図であり、(c)、(d)、(e)はそれぞれ、歯列弓モデルの側面図と正面図と斜視図である。
【符号の説明】
【0176】
11 X線発生器
21 X線検出器
40 被写体保持手段
65 移動手段
85 画像処理手段
86 操作手段(関心領域指定手段)
88 表示手段
DA 歯列弓
M X線CT撮影装置
M2 X線CT画像表示装置
o 被写体
r 関心領域
v 正視方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT撮影装置またはX線CT画像表示装置において、X線CT撮影した被写体の顎顔面のX線CT画像を表示するX線CT画像の表示方法であって、
前記顎顔面に関心領域を指定するステップ、
歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を画像処理手段により生成するステップ、
前記関心領域を正視したX線CT画像を表示手段に表示するステップ、
からなることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記関心領域を指定するステップが、全顎を対象としたX線CT撮影における正視表示対象領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記X線CT撮影により得られた前記被写体の3次元領域の3次元CTデータを再構成し、前記3次元領域について、相互に直交するX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像を表示手段に表示するステップを更に有し、
前記関心領域を指定するステップが、前記X断層面、Y断層面、Z断層面の少なくともいずれかにおいて関心領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項4】
請求項2において、
前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像を表示手段に表示するステップを更に有し、
前記関心領域を指定するステップが、前記複数のX線透視画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記関心領域を指定するステップが、前記顎顔面の一部を対象とした局所X線CT撮影における撮影対象領域を関心領域として指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかにおいて、
前記被写体に対し、前記X線CT撮影とは別にX線パノラマ撮影を行ってパノラマ画像を生成するステップと、
生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示するステップを更に有し、
前記関心領域を指定するステップが、前記パノラマ画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかにおいて、
前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像のうち、被写体の歯列弓のパノラマ断層を形成する画像データを合成してパノラマ画像を生成するステップと、
生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示するステップを更に有し、
前記関心領域を指定するステップが、前記パノラマ画像において関心領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかにおいて、
前記関心領域を指定するステップが、前記歯列弓の形状を示すイラストにおいて関心領域を指定するステップであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかにおいて、
前記関心領域を正視したX線CT画像が、X線CT断層面画像または3次元CTボリューム画像の少なくともいずれかであることを特徴とするX線CT画像の表示方法。
【請求項10】
X線発生器と、X線検出器と、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体の顎顔面に対して相対的に移動させる移動手段と、被写体保持手段と、前記被写体のX線CT画像を表示するX線CT撮影装置において、
前記顎顔面に関心領域を指定する関心領域指定手段と、
歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を生成する画像処理手段と、
前記関心領域を正視したX線CT画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記移動手段を駆動し、前記被写体の全顎領域を対象としたX線CT撮影を行うX線CT撮影装置であって、前記関心領域指定手段により正視表示対象領域を関心領域として指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記画像処理手段により、前記X線CT撮影により得られた前記被写体の3次元領域の3次元CTデータを再構成し、前記3次元領域について、相互に直交するX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像を表示手段に表示し、
前記関心領域指定手段により、前記X断層面、Y断層面、Z断層面の少なくともいずれかにおいて関心領域を指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項13】
請求項11において、
前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像を表示手段に表示し、
前記複数のX線透視画像において前記関心領域を指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項14】
請求項10において、
前記移動手段を駆動し、前記顎顔面の一部を対象とした局所X線CT撮影を行うX線CT撮影装置であって、前記関心領域指定手段により撮影対象領域である局所を関心領域として指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項15】
請求項10から12のいずれかにおいて、
前記移動手段を駆動し、前記被写体に対し、前記X線CT撮影とは別にX線パノラマ撮影を行って前記画像処理手段によりパノラマ画像を生成し、
生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示し、
前記パノラマ画像において前記関心領域を指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項16】
請求項10から12のいずれかにおいて、
前記画像処理手段により、前記X線CT撮影により得られた前記被写体に対する異なる角度からの複数のX線透視画像のうち、被写体の歯列弓のパノラマ断層を形成する画像データを合成してパノラマ画像を生成し、
生成した前記パノラマ画像を表示手段に表示し、
前記パノラマ画像において前記関心領域を指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項17】
請求項10から12のいずれかにおいて、
前記歯列弓の形状を示すイラストを表示するイラスト表示部を備え、
前記イラストにおいて関心領域を指定することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項18】
請求項10から17のいずれかにおいて、
前記表示手段に表示される前記関心領域を正視したX線CT画像が、X線CT断層面画像または3次元CTボリューム画像の少なくともいずれかであることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項19】
X線CT撮影した被写体の顎顔面のX線CT画像を表示するX線CT画像表示装置において、
前記顎顔面に関心領域を指定する関心領域指定手段と、
歯列弓を頬側から舌側に向かって正視する方向に関する歯列弓正視情報を基に前記関心領域の指定により前記関心領域を正視したX線CT画像を生成する画像処理手段と、
前記関心領域を正視したX線CT画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするX線CT画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図23E】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−259822(P2008−259822A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40533(P2008−40533)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】