説明

残り湯利用システム

【課題】給湯システムを利用して簡易且つ見栄え良く構築できる残り湯利用システムを提供する。
【解決手段】給湯器6と浴槽2に設けられた給水口7とを接続する給水路9に設けられる接続部と、該接続部に一端部が接続されると共に他端部が浴室1の隣室3に設置された洗濯機5に接続される接続路22とを備える。接続路22は洗濯機5から前記隣室3と浴室1との間の壁23に通された後に浴室1に設けられたカウンター16の内部に導入され、この後に前記接続部に接続される。前記給湯器6を給水路9を介して給水口7に連通させて給湯器6から浴槽2への給水を可能にする。前記給水口7を給水路9及び接続路22を介して洗濯機5に連通させて、洗濯機5に設けられたポンプ21を用いて浴槽2の残り湯を洗濯機5へ供給可能にする。前者の給水可能状態と後者の残り湯供給可能状態とを切り替える切替手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽内の残り湯を洗濯機で利用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、浴槽内の残り湯を浴室の隣室に設置された洗濯機に供給するシステムが開示されている。この残り湯利用システムは、ジェットバスシステムが有する循環管路に分岐管路を介して洗濯機が接続され、循環管路に設けられたジェットバス用ポンプにより浴槽内の残り湯を洗濯機に供給できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−180714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが特許文献1は、浴槽にジェットバスの設備を設けることを前提としたものであり、ジェットバスシステムを利用しない場合には浴槽内の残り湯を洗濯機に供給するシステムを浴槽に設けられる設備を利用して構築できない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、給湯システムを利用して簡易且つ見栄え良く構築できる残り湯利用システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の残り湯利用システムは以下の構成を有する。給湯器6と浴槽2に設けられた給水口7とを接続する給水路9に設けられる接続部と、該接続部に一端部が接続されると共に他端部が浴室1の隣室3に設置された洗濯機5に接続される接続路22とを備える。接続路22は洗濯機5から前記隣室3と浴室1との間の壁23に通された後に浴室1に設けられたカウンター16の内部に導入され、この後に前記接続部に接続される。前記給湯器6を給水路9を介して給水口7に連通させて給湯器6から浴槽2への給水を可能にする。前記給水口7を給水路9及び接続路22を介して洗濯機5に連通させて、洗濯機5に設けられたポンプ21を用いて浴槽2の残り湯を洗濯機5へ供給可能にする。前者の給水可能状態と後者の残り湯供給可能状態とを切り替える切替手段を備える。
【0007】
この残り湯利用システムは、給湯システムが有する給水路9と、残り湯吸い込み用のポンプ21を有する洗濯機5とを接続路22で接続すると共に前記切替手段を設けることにより、簡易に構築できる。また、洗濯機5から壁23を通して浴室1内に導入された接続路22は、カウンター16の内部に導入した後に接続部に接続されるため、接続路22をカウンター16で隠して浴室1の見栄えを良くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、浴槽内の残り湯を洗濯機に供給する残り湯利用システムを利用して簡易且つ見栄え良く構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態の残り湯利用システムを示す説明図である。
【図2】同上の残り湯利用システムを示す側面図である。
【図3】他の実施形態の残り湯利用システムを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2に示される本実施形態の残り湯利用システムは、浴室1に設置された浴槽2に給湯する給湯システムを利用して、浴槽2内の残り湯を浴室1の隣室3に設置された洗濯機5に供給するものである。
【0011】
前記給湯システムは、給湯器6と、浴槽2に設けられた給水口7と、一端が給水口7に接続されると共に他端が給湯器6の出水口8に接続される給水路9とで構成されている。
【0012】
給湯器6の入水口10は水源となる水道に水供給管11を介して接続され、水供給管11には給湯器6への給水の有無を切り替える電磁弁からなる開閉弁12が設けられている。
【0013】
給水路9は、浴室1内において露出しないよう浴室1に設置した設置物の内部に形成された収納空間に収納されている。前記収納空間としては、浴槽2の洗い場側に着脱自在に設けられるエプロン13と浴槽2の槽壁15との間に形成された空間や、浴室壁17に突設されたカウンター16の内部、浴槽2の槽壁15とエプロン13側を除く三方の浴室壁17との間に形成された空間等が挙げられる。
【0014】
図示例ではカウンター16が浴槽2のエプロン13と隣室3側の浴室壁17(以下、この浴室壁17を特に他の浴室壁17と区別する場合は浴室壁17aと記載する)の間に架け渡されるように設けられている。また、給水路9が浴室外に設置された給湯器6から浴室壁17を通してカウンター16に導入されてエプロン13に通され、この後、槽壁15に設けられた給水口7に接続されている。給水路9はカウンター16内において水平又は浴槽2側に向かって下り勾配がつくよう若干傾斜した横向きに伸び、これにより給水路9内に残水が残り難い構造とされる。
【0015】
洗濯機5には、ホースの端部を着脱自在に接続可能なホース接続口18が設けられている。ホース接続口18には洗濯機5内に設けられた取水路19の一端部が接続され、取水路19の他端部は洗濯機5に内装された洗濯槽20内に臨んでいる。取水路19には残り湯吸い込み用のポンプ21が設けられている。
【0016】
ポンプ21を用いて浴槽2内の残り湯を洗濯槽20に取り入れるには、ホース接続口18に図示しない残り湯取水用のホースの一端部を接続すると共に該ホースを浴室1の出入り口に通してその他端部を浴槽2内の残り湯に漬け、ポンプ21を駆動する。このようにすると、ポンプ21により、浴槽2内の残り湯が前記ホース及び取水路19を介して洗濯槽20に供給される。
【0017】
本実施形態の残り湯利用システムは、給水路9に接続部を設けると共に該接続部と洗濯機5とを接続路22で接続することにより構築されている。
【0018】
浴室1と隣室3との間の壁23は、隣室3の浴室1側の壁をなす間仕切壁25と浴室壁17aとからなる。
【0019】
接続路22を施工するにあたって、間仕切壁25の浴槽2の上面より高い上部、及び、浴室壁17aの下部のカウンター16に対向する箇所には、壁出し金具26、27が設けられる。
【0020】
給水路9の浴槽2近傍に位置する中途部には三方向電磁弁29が設けられている。三方向電磁弁29が有する三つのポート29a〜29cのうち、第一ポート29aは給湯器6側の給水路9aに接続され、第二ポート29bは浴槽2側の給水路9bに接続されている。
【0021】
三方向電磁弁29の第三ポート29cには接続路22の一端部が接続され、接続路22の他端部は洗濯機5に接続されている。すなわち前記接続部は三方向電磁弁29の第三ポート29cで構成されている。
【0022】
接続路22は、洗濯機5から壁出し金具26を介して間仕切壁25と浴室壁17aの間に導入され、この後、壁出し金具27を介して浴室1のカウンター16の内部に導入され、次にエプロン13に通されて槽壁15とこの周囲の浴室壁17やエプロン13との間に形成される浴槽周囲空間30に導入され、この空間30において三方向電磁弁29の第三ポート29cに接続される。なお、接続路22はカウンター16内において水平又は浴槽2側に向かって下り勾配がつくよう若干傾斜した横向きに伸び、これにより接続路22内に残水が残り難い構造とされる。また、三方向電磁弁29はカウンター16の内部に設けてもよく、すなわちこの場合は、接続路22がカウンター16の内部において第三ポート29cに接続される。
【0023】
接続路22の少なくとも洗濯機5から壁出し金具26までの部分はホース31で構成され、その他の部分は、配管若しくはホース又は配管とホースの両者で構成される。接続路22は、ホース31の端部を前記残り湯取水用のホースに代えて洗濯機5のホース接続口18に接続することで、洗濯機5に接続される。図示例のホース31は、接続路22の洗濯機5から壁出し金具26までの部分を構成している。
【0024】
なお、ホース31は接続路22の洗濯機5から壁出し金具27までの部分、あるいは接続路22の洗濯機5から三方向電磁弁29までの部分を構成するものであってもよい。また壁出し金具26はホース31を接続しない状態においてキャップ等を取り付けることで閉塞されるようにしてもよい。
【0025】
ここで、図2の例では、壁出し金具26を介して壁23内に導入された接続路22を下位のカウンター16の内部に導入するために、間仕切壁25と浴室壁17の間において下方に伸ばしている。しかし、図3のように接続路22を浴室1内において下方に伸ばしてカウンター16に導入してもよい。
【0026】
図3の例では、壁出し金具27を浴室壁17において壁出し金具26に対向する位置に設けている。また、浴室壁17のカウンター16の上方位置に浴室1内側に露出した壁出し金具27を覆うと共に下端がカウンター16に至るまで形成された小物収納部材等からなる突設物32を設けている。そして、接続路22を壁出し金具27から突設物32内に導入し、突設物32内を通してカウンター16の内部に導入している。このようにすると、浴室壁17や間仕切壁25を建て込んだ後に接続路22を施工するにあたって、接続路22を露出させることなく容易にカウンター16の内部にまで導くことができる。このため、本発明の残り湯利用システムを既設の建物に設ける場合に好適である。
【0027】
前記給湯システムを用いて浴槽2に給湯するには、開閉弁12を開くと共に三方向電磁弁29の第三ポート29cを閉じて、給湯器6を運転する。このようにすると給湯器6で加熱された湯は、給水路9に流入した後、三方向電磁弁29及び給水口7を経て浴槽2に吐出される。この給湯を停止するには開閉弁12を閉じればよい。
【0028】
また、浴槽2内の残り湯を洗濯機5に取り入れるには、三方向電磁弁29の第一ポート29aを閉じた状態で洗濯機5のポンプ21を運転すればよい。このようにすると、浴槽2内の残り湯は、給水口7を介して給水路9に流入し、この後、三方向電磁弁29を通過して、ホース接続口18から取水路19を経て洗濯槽20内に流入する。
【0029】
すなわち、三方向電磁弁29は、給湯器6を給水路9を介して浴槽2に連通させた給水可能状態と、給水口7を給水路9及び接続路22を介して洗濯機5に連通させ且つ給湯器6側の給水路9aを閉じた残り湯供給可能状態とに切り替える切替手段を構成している。
【0030】
このように浴槽2内の残り湯を洗濯機5に供給することで、この残り湯を用いて洗濯ができる。なお、給湯器6、開閉弁12、及び三方向電磁弁29は、浴室1や隣室3等に設けられた図示しない操作器により操作される。
【0031】
以上説明した本実施形態の残り湯利用システムは、給水路9と洗濯機5を接続路22で接続すると共に三方向電磁弁29のような切替手段を設けることで、簡易に構築できる。すなわち、この残り湯利用システムは、給湯システムが有する給水路9と、洗濯機5が有する残り湯吸い込み用のポンプ21を利用して構築されたシステムと言える。
【0032】
また、建物の新設時や改築時において、給湯システムの給水路9に三方向電磁弁29と、接続路22の三方向電磁弁29からホース31が着脱自在に連結される連結部(すなわち図1の例における壁出し金具26)までの部分を予め施工しておくとよい。このようにすれば、後に洗濯機5と前記連結部とをホース31で接続するだけで簡単に残り湯利用システムを構築できる。
【0033】
また、洗濯機5から壁23を通して浴室1内に導入された接続路22は、カウンター16の内部に導入した後に三方向電磁弁29からなる接続部に接続されるため、接続路22をカウンター16で隠して浴室1の見栄えを良くすることができる。
【0034】
また、接続路22は間仕切壁25の浴槽2の上面より高い位置に設けられた壁出し金具26を介して浴室1側に導入されるので、浴槽2内の湯水が意図せずに給水路9及び接続路22を介して洗濯機5側に逆流して洗濯機5側に流出することも防止できる。
【0035】
なお、本実施形態では、給水口7を給水路9及び接続路22を介して洗濯機5に連通させると共に接続部よりも給湯器6側の給水路9の水の流れを遮断する切替手段を三方向電磁弁29で構成した。しかし、切替手段はこれに限定されるものではなく、例えば接続部よりも給湯器6側の給水路9と、接続路22との夫々に電磁弁からなる開閉弁を設け、これら開閉弁で切替手段を構成する等してもよい。また、給水路9に給湯器6の水を浴槽2に供給するポンプを設けてもよい。さらに、浴槽2と給湯器6を戻り管で接続し、該戻り管と給水路9で構成した循環路に循環用ポンプを設け、循環用ポンプで浴槽2内の水を循環させると共に、この水を給湯器6で加熱して追い炊きを行えるようにしてもよい。この他、本発明は主旨を外れない範囲で適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 浴室
2 浴槽
3 隣室
5 洗濯機
6 給湯器
7 給水口
9 給水路
16 カウンター
21 ポンプ
22 接続路
23 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と浴槽に設けられた給水口とを接続する給水路に設けられる接続部と、該接続部に一端部が接続されると共に他端部が浴室の隣室に設置された洗濯機に接続される接続路とを備え、接続路は洗濯機から前記隣室と浴室との間の壁に通された後に浴室に設けられたカウンターの内部に導入され、この後に前記接続部に接続され、前記給湯器を給水路を介して給水口に連通させて給湯器から浴槽への給水を可能にする給水可能状態と、前記給水口を給水路及び接続路を介して洗濯機に連通させて、洗濯機に設けられたポンプを用いて浴槽の残り湯を洗濯機へ供給可能にする残り湯供給可能状態とを切り替える切替手段を備えることを特徴とする残り湯利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−153442(P2011−153442A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14803(P2010−14803)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】