説明

残液検知装置及び方法並びに超音波探触子取付治具

【課題】配管内の残液を確実に検知できること。
【解決手段】超音波を送信しその反射波を受信する超音波探触子11と、この超音波探触子11を保持すると共に、超音波探触子11を配管1の外表面5の底部に、その送受信部16が外表面5の底部に密着するように取り付ける取付治具12と、超音波探触子11からの波形データを入力し、超音波探触子11が超音波を送信した後、配管1の内表面6で反射しその配管1の肉厚内を伝播する反射波と、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、残水2中を伝播する反射波の波形データから残水2の有無及びその残水2の水位を検知するデータ処理部13と、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の内側空間に残留した残液を、超音波を用いて検知する残液検知装置及び方法、並びに超音波を送受信する超音波探触子を配管に取り付ける超音波探触子取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントの定期点検や改造工事において、既設配管を切断する作業が数多くなされている。このような作業では、排水処理を行った後に配管のアイソレ(隔離)の実施状況を確認し、その後更に、ホースやバケツなどによる残水漏洩対策を行っている。
【0003】
しかしながら、排水処理を実施しても、想定した残水量の算定ミスなどがあると、残水受けバケツから残水が溢れる事態が稀に発生することがある。さらに、残水が有害物質や放射性物質を含んだ汚染水の場合は、残水が漏れることがあってはならない。そこで、配管の切断前に、配管中に残水がどの程度あるかを確認できれば、残水の漏洩を未然に防止することが可能になる。
【0004】
従来、液体収容部内に収容された液体の液面に超音波を送信し、その反射波を受信することで液体収容部内の液位を計測する超音波液位計が、特許文献1に開示されている。また、貯水タンク内の水を静電容量式の水位センサを用いて検出する技術が、特許文献2に開示されている。更に、配管内の残水をサーモカメラなどを用いて検知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−9519号公報
【特許文献2】特開2009−110714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1及び2に記載の技術は、液体収容部内の液体の液面に超音波を直接送信したり、貯水タンク内の水に電極を直接接触させて、液位(水位)を直接計測するものであり、配管内の液体を配管の外部から検知することができない。
【0007】
また、配管内の残水をサーモカメラなどを用いて検知する技術では、残水が高温状態にあるときには可能であるが、残水温度が常温まで低下した状態では、この残水を検知することができないのが現状であった。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、配管内の残液を確実に検知できる残液検知装置及び方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、超音波探触子を配管の外表面の底部に安定して取り付けることができると共に、配管内の残液を高精度に検知できる超音波探触子取付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る残液検知装置は、超音波を送信しその反射波を受信する超音波探触子と、この超音波探触子を保持すると共に、この超音波探触子を配管の外表面の底部に、その送受信部が前記外表面の底部に密着するように取り付ける取付治具と、前記超音波探触子からの波形データを入力し、前記超音波探触子が超音波を送信した後、前記配管の内表面で反射しその配管の肉厚内を伝播する反射波と、前記配管内の残液の液面で反射しこの残液中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、前記残液中を伝播する反射波の波形データから前記残液の有無及びその液面位置を検出するデータ処理部と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る残液検知方法は、超音波を送信しその反射波を受信する超音波探触子を、配管の外表面の底部に、その送受信部が前記外表面の底部に密着するように取り付け、前記超音波探触子が超音波を送信した後、前記配管の内表面で反射しその配管の肉厚内を伝播する反射波と、前記配管内の残液の液面で反射しこの残液中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、前記残液中を伝播する反射波の波形データから前記残液の有無及びその液面位置を検出することを特徴とするものである。
【0012】
更に、本発明に係る超音波探触子取付治具は、超音波探触子を収容する収容空間が設けられると共に、配管の外表面の底部との接触面が前記底部の形状に対応して形成された治具本体と、この治具本体の前記接触面に設置され、前記治具本体を磁力により前記配管の外表面の底部に着脱可能に取り付ける磁石と、前記治具本体に位置調整可能に装着されたキャップと前記収容空間に収容された前記超音波探触子との間に介在されて、前記超音波探触子の送受信部を前記配管の外表面の底部に密着させるための押付力を付与すると共に、前記超音波探触子を前記治具本体に保持する弾性体と、を有して構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る残液検知装置及び方法によれば、超音波探触子が超音波を送信した後、配管の内表面で反射しその配管の肉厚内を伝播する反射波と、前記配管内の残液の液面で反射しこの残液中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、前記残液中を伝播する反射波の波形データから残液の有無及びその液面位置を検出するので、配管内の残液を確実に検知できる。
【0014】
また、本発明に係る超音波探触子取付治具によれば、治具本体を磁石の磁力により配管の外表面の底部に着脱可能に取り付けることで、治具本体に保持された超音波探触子を配管の外表面の底部に着脱可能に且つ安定して取り付けることができる。また、治具本体内に保持された超音波探触子の送受信部を、弾性体の押付力によって配管の外表面の底部に密着させることで、送受信部から送信される超音波により配管内の残液を高精度に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る残液検知装置の一実施形態である残水検知装置を示す構成図。
【図2】図1のII−II線の矢印で示す方向から目視した矢視図。
【図3】図1の配管の内側空間に残水が存在しない状態での超音波の伝播状況を説明する説明図。
【図4】図1の配管の内側空間に残水が存在する状態での超音波の伝播状況を説明する説明図。
【図5】図1の配管の内側空間に残水が存在する状態で超音波が送受信されたときに、表示装置に表示された反射波の波形データの一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る残液検知装置の一実施形態である残水検知装置を示す構成図である。
【0017】
この図1に示す残液検知装置としての残水検知装置10は、水平に配置された配管1、特に炭素鋼やステンレス鋼などの金属製の配管1内に残留した残液としての残水2を、超音波を用いて配管1の外側から非破壊で検知するものであり、超音波探触子11、超音波探触子取付治具としての取付治具12、データ処理部13、表示装置14、及びデータベース15を有して構成される。
【0018】
超音波探触子11は、超音波を送信しその反射波を受信する送受信部16を備えて構成される。この送受信部16から送信された超音波は、例えば10MHzまたは5MHzのパルス状超音波である。また、この送受信部16から送信される超音波が、配管1の内側空間4に残留した残水2の液面としての水面3に対し直交するように、後に詳説する取付治具12によって、超音波探触子11が配管1の外表面5に取り付けられる。超音波探触子11の送受信部16にて受信された超音波の反射波の波形データは、探触子ケーブル17を経てデータ処理部13へ出力される。
【0019】
ここで、図3に示すように、配管1の内側空間4に残水2が存在しない場合には、配管1(金属)から空気への超音波の透過率が約0.002%であるため、超音波探触子11の送受信部16から配管1へ送信された超音波は、ほとんど全てが配管1の内表面6で反射する。この反射波7Aは配管1の肉厚内を伝播し、一部が超音波探触子11の送受信部16にて受信されると共に、図示しないが、大部分が配管1の外表面5で再び反射して、配管1の肉厚内で反射を繰り返す。
【0020】
また、図4に示すように、配管1の内側空間4に残水2が存在する場合には、配管1(金属)から残水2(水)への超音波の透過率が約5%であるため、超音波探触子11の送受信部16から配管1へ送信された超音波は、一部が残水2中に透過し、残りが配管1の内表面6で反射する。配管1の内表面6にて反射した反射波7Aは、前述の如く配管1の肉厚内で反射を繰り返す。また、残水2中に透過した超音波は、残水2の水面3で反射する。この反射波7Bは残水2中を伝播し、一部が超音波探触子11の送受信部16にて受信されると共に、図示しないが、大部分が配管1の内表面6で再び反射して残水2中に至り、この残水2中で反射を繰り返す。
【0021】
上述のような超音波の伝播速度は、配管1の肉厚内では高速(例えば約5900m/秒)であり、残水2中では低速(例えば1480m/秒)であって、大きく相違する。このため、超音波探触子11の送受信部16は、超音波を送信した後、配管1の内表面6で反射しこの配管1の肉厚内を伝播する反射波7A(図4)と、配管1の内側空間4に残留した残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7B(図4)とを時間差をもって受信する。
【0022】
前記取付治具12は、図1及び図2に示すように、超音波探触子11を保持すると共に、この超音波探触子11を配管1の外表面5の底部に、その送受信部16が上記外表面5の底部に密着するように取り付けるものであり、治具本体20、磁石21、キャップ22、及び弾性体としてのスプリング23を有して構成される。
【0023】
治具本体20には、超音波探触子11を収容する収容空間24が形成されている。また、この治具本体20の上面は、配管1の外表面5の底部に接触する接触面25であり、この接触面25は、配管1の外表面5の底部の形状に対応して湾曲面またはV字形状に形成されている。更に、治具本体20における接触面25の下部で、収容空間24の上部を形成する部分は、超音波探触子11の被当接面18に当接可能なストッパ部26として形成されている。超音波探触子11にスプリング23の付勢力が作用したとき、この超音波探触子11の被当接面18がストッパ部26に当接することで、超音波探触子11は治具本体20に保持される。
【0024】
磁石21は、治具本体20の接触面25に埋設され、配管1の軸方向Oに平行に複数本、本実施形態では2本設けられる。これらの磁石21の磁力によって、治具本体20の接触面25を配管1の外表面5の底部に着脱可能に磁着させて、治具本体20を配管1の外表面5の底部に取り付ける。
【0025】
キャップ22は、有底筒形状に形成されて、治具本体20の収容空間24の下部に設置される。更に、このキャップ22は、軸方向、即ち収容空間24内に収容された超音波探触子11の軸方向Pに沿って位置調整可能に、治具本体20にねじ結合されて装着される。
【0026】
スプリング23は、キャップ22の内部に配置され、治具本体20の収容空間24に収容された超音波探触子11とキャップ22との間に圧縮された状態で介在される。従って、このキャップ22の付勢力は、治具本体20の接触面25が配管1の外表面5の底部に磁着された状態で、超音波探触子11の送受信部16を配管1の外表面5の底部に密着させるための押圧力として機能する。この押圧力は、キャップ22を超音波探触子11の軸方向Pに沿って移動させることで調整される。
【0027】
また、治具本体20の接触面25が配管1の外表面5の底部に磁着されていないときには、スプリング23の付勢力は、超音波探触子11の被当接面18を治具本体20のストッパ部26に当接させて超音波探触子11の飛び出しを防止し、超音波探触子11を治具本体20の収容空間24内に保持する。
【0028】
前記データ処理部13は、超音波探触子11に探触子ケーブル17を用いて接続され、超音波探触子11の送受信部16が超音波を送信した時刻と、送受信部16が受信した反射波7A及び7Bの波形データなどを超音波探触子11から入力する。データ処理部13に入力された反射波7A、7Bの波形データは、データ処理部13に接続された表示装置14の画面に、図5に示すように表示される。
【0029】
更に、データ処理部13は、超音波探触子11が超音波を送信した後、配管1の内表面6で反射しその配管1の肉厚内を伝播する反射波7A(図5に波形データAとして表示される)と、配管1の内側空間4に残留した残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7B(図5に波形データBとして表示される)とを時間差をもって受信したとき、残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBから、残水2の有無、及び残水2の液面位置としての水位を検出する。
【0030】
つまり、まず、データ処理部13は、配管1内の残水2の水面3で反射し残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBが存在している場合に、配管1の内側空間4に残水が存在すると判断する。次に、データ処理部13は、超音波探触子11の送受信部16が超音波を送信してから、配管1内の残水2の水面3で反射し残水2中を伝播する反射波7Bを受信するまでの時間と、水中を伝播する超音波の伝播速度とを用いて、配管1の内側空間4に残留した残水2の水位を演算する。
【0031】
尚、図5に示す表示装置14の画面上の横軸(時間軸)は、残水2中を伝播する超音波の伝播速度を用いて、残水2の水位を示す液位軸としての水位軸に変更して設定されてもよい。
【0032】
ところで、配管1の内側空間4に残留する残水2の水面3が低い場合には、配管1の内表面6で反射し配管1の肉厚内を伝播する反射波7Aを超音波探触子11が受信する受信時刻と、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7Bを超音波探触子11が受信する受信時刻との時間差が減少して、データ処理部13は、これらの両反射波7A、7Bの波形データA、Bを明確に識別することができない場合がある。このような場合に対処するために、残水検知装置10は、データ処理部13に接続して前記データベース15を備えると共に、データ処理部13が反射波識別ルーチンを実行する。
【0033】
つまり、データベース15は、内側空間4に残水2が存在しない配管1(図3)に対し、この配管1の外表面5に取付治具12を用いて取り付けられた超音波探触子11が超音波を送信したときに、配管1の内表面6で反射しこの配管1の肉厚内を伝播して超音波探触子11に受信された反射波7Aの波形データAを、肉厚の異なる配管1毎に記録するものである。ただし、このデータベース15の機能を、データ処理部13内の記録装置(不図示)が実行してもよい。
【0034】
また、データ処理部13が実行する反射波識別ルーチンは、超音波探触子11が受信した実際の配管1における反射波7A、7Bの波形データA、Bから、この実際の配管1の肉厚と同一の肉厚の配管1における前述のデータベース15に記録された反射波7Aの波形データAを差し引くことで、実際の配管1の内側空間4に残留する残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBを抽出するルーチンである。
【0035】
この反射波識別ルーチンによって、配管1の内表面6で反射しこの配管1の肉厚内を伝播する反射波7Aの波形データAが除去され、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBのみが残るので、データ処理部13は、この抽出した残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBから、前述と同様にして、残水2の有無と、残水2の水位を演算する。
【0036】
次に、作用を説明する。
まず、取付治具12の治具本体20における収容空間24内に超音波探触子11を収容し保持した状態で、この取付治具12の治具本体20における接触面25を配管1の外表面5の底部に磁着して、超音波探触子11を配管1の外表面5の底部に取り付ける。この取付状態では、超音波探触子11の送受信部16が配管1の外表面5の底部に密着した状態になる。
【0037】
次に、超音波探触子11の送受信部16から超音波をパルス状に送信する。すると、配管1の内表面6で反射しこの配管1の肉厚内を伝播した反射波7Aと、配管1の内側空間4に残留した残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播した反射波7Bとが、時間差をもって超音波探触子11の送受信部16に受信される。
【0038】
データ処理部13は、超音波探触子11の送受信部16が受信した、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播した反射波7Bの波形データBから、配管1内の残水2の有無を判定し、その残水2の水位を演算して検出する。残水2の有無が不明確な場合には、データ処理部13は、反射波識別ルーチンを実行して、配管1内の残水2の水面3で反射し残水2中を伝播した反射波7Bの波形データBを抽出して、この抽出した波形データBから残水2の有無と、残水2の水位を検出する。
【0039】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)超音波探触子11の送受信部16が超音波を送信した後、配管1の内表面6で反射しその配管1の肉厚内を伝播する反射波7Aと、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7Bとを時間差をもって受信したとき、データ処理部13は、配管1内の残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBから、残水2の有無及びこの残水2の水位を検出する。このため、配管1内の残水2を確実に検知できる。このように配管1内の残水量を検知できるので、配管1の切断時に残水2の漏洩を防止することが可能になり、例えば、放射性を帯びた残水2や有害物質を含んだ残水2の漏洩による汚染を確実に防止できる。
【0040】
(2)データベース15には、内側空間4に残水2が存在しない配管1に対して、この配管1の外表面5に取付治具12を用いて取り付けられた超音波探触子11が超音波を送信したとき、この配管1の内表面6で反射しこの配管1の肉厚内を伝播して超音波探触子11に受信された反射波7Aの波形データAが、肉厚の異なる配管1毎に記録されている。
【0041】
そして、配管1の内側空間4に残留する残水2の水面3が低い場合には、データ処理部13は、超音波探触子11が受信した実際の配管1における反射波7A、7Bの波形データA、Bから、この実際の配管1の肉厚と同一の肉厚の配管1におけるデータベース15に記録された反射波7Aの波形データAを差し引くことで、実際の配管1の内側空間4に残留する残水2の水面3で反射しこの残水2中を伝播した反射波7Bの波形データBを抽出する。
【0042】
従って、データ処理部13は、この抽出された反射波7Bの波形データBから、実際の配管1の内側空間4に残留した残水2の有無を判定し、その残水2の水位を検出する。この結果、配管1の内側空間4に残留する残水2が少ない場合でも、その残水2の有無と、残水2の水位を正確に検出することができる。
【0043】
(3)表示装置14の画面(図5)上の横軸(時間軸)を、残水2中を伝播する超音波の伝播速度を用いて、配管1内の残水2の水位を示す水位軸に変更して設定してもよい。この場合には、表示装置14の画面に表示された、配管1内の残水2の水面3で反射しその残水2中を伝播する反射波7Bの波形データBの横軸(水位軸)の位置から、配管1内の残水2の水位を容易且つ迅速に検出できる。
【0044】
(4)取付治具12の治具本体20を磁石21の磁力により配管1の外表面5の底部に着脱可能に磁着することで、治具本体20内に保持された超音波探触子11を配管1の外表面5の底部に着脱可能に且つ安定して取り付けることができる。また、治具本体20内に保持された超音波探触子11の送受信部16を、スプリング23の付勢力によって配管1の外表面5の底部に押圧して密着させることで、送受信部16から送信される超音波により配管1内の残水2を高精度に検知できる。
【0045】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。例えば、上記実施形態では弾性体がスプリング23の場合を述べたが、板ばねやゴムなどであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 配管
2 残水(残液)
3 水面(液面)
5 外表面
6 内表面
7A、7B 反射波
10 残水検知装置(残液検知装置)
11 超音波探触子
12 取付治具(超音波探触子取付治具)
13 データ処理部
14 表示装置
15 データベース
16 送受信部
20 治具本体
21 磁石
22 キャップ
23 スプリング(弾性体)
24 収容空間
25 接触面
A、B 波形データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信しその反射波を受信する超音波探触子と、
この超音波探触子を保持すると共に、この超音波探触子を配管の外表面の底部に、その送受信部が前記外表面の底部に密着するように取り付ける取付治具と、
前記超音波探触子からの波形データを入力し、前記超音波探触子が超音波を送信した後、前記配管の内表面で反射しその配管の肉厚内を伝播する反射波と、前記配管内の残液の液面で反射しこの残液中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、前記残液中を伝播する反射波の波形データから前記残液の有無及びその液面位置を検出するデータ処理部と、を有することを特徴とする残液検知装置。
【請求項2】
前記データ処理部内またはこのデータ処理部に接続されたデータベースには、残液が存在しない配管の肉厚内を伝播する反射波の波形データが、肉厚の異なる配管毎に記憶され、
前記データ処理部は、実際の配管における反射波の波形データから、この実際の配管の肉厚と同一の肉厚の配管における前述の記憶された反射波の波形データを差し引くことで、実際の配管内の残液中を伝播する反射波の波形データを抽出し、この抽出した波形データから前記残液の有無及びその液面位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の残液検知装置。
【請求項3】
前記データ処理部から入力された反射波の波形データを表示する表示装置では、時間軸が、残液中を伝播する反射波の伝播速度を用いて、残液の液面位置を示す液位軸に変更して設定されたことを特徴とする請求項1または2に記載の残液検知装置。
【請求項4】
超音波を送信しその反射波を受信する超音波探触子を、配管の外表面の底部に、その送受信部が前記外表面の底部に密着するように取り付け、
前記超音波探触子が超音波を送信した後、前記配管の内表面で反射しその配管の肉厚内を伝播する反射波と、前記配管内の残液の液面で反射しこの残液中を伝播する反射波とを時間差をもって受信したとき、前記残液中を伝播する反射波の波形データから前記残液の有無及びその液面位置を検出することを特徴とする残液検知方法。
【請求項5】
超音波探触子を収容する収容空間が設けられると共に、配管の外表面の底部との接触面が前記底部の形状に対応して形成された治具本体と、
この治具本体の前記接触面に設置され、前記治具本体を磁力により前記配管の外表面の底部に着脱可能に取り付ける磁石と、
前記治具本体に位置調整可能に装着されたキャップと前記収容空間に収容された前記超音波探触子との間に介在されて、前記超音波探触子の送受信部を前記配管の外表面の底部に密着させるための押付力を付与すると共に、前記超音波探触子を前記治具本体に保持する弾性体と、を有して構成されたことを特徴とする超音波探触子取付治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−251836(P2012−251836A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123753(P2011−123753)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】