説明

段ボールケースの仕分け装置

【課題】段ボールケースに表示する機械的に読み取る仕分け情報を簡単化する。
【解決手段】果実等の被選別物を搬送コンベヤ(9)により搬送しながら複数の選別区分に選別して取り出す選別取出部(6,7,8)を設け、段ボールケース(13)の表面部(13a)に仕分け情報を付与する仕分け情報付与装置(21)を設け、仕分け情報付与装置(21)を段ボールケース(13)表面部(13a)に穿孔する単一の針(21a)と印字する印字体(21b)により構成する。そして、針(21a)の穿孔箇所を一つの基準穿孔位置に対して縦方向及び横方向に所定距離ずらした部位を穿孔位置とし、選別取出部(6,7,8)の各選別取出箇所に対応して一個の穿孔位置をそれぞれ割り振り設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールケースの側面に針コードの仕分け情報を付与する仕分け情報付与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
選果施設において、目視判定により秀品、優品、良品等に選別する等級選別部と、秤量部と、複数の重量選別部を具備し、搬送コンベヤで果実を搬送しながら、等級情報及び階級情報に基づき重量選別部の複数の取出部に選別果実を取り出すものは、公知である。(特許文献1)。
【0003】
また、段ボールケースの側面に仕分け情報を付与する装置において、段ボールケースを搬送する搬送手段を設け、段ボールケースの表面紙に仕分け情報に応じた針コードを穿孔付与する手段を設け、搬送方向と交差する方向に移動自在に並設した副数本の針コーダにより仕分け情報付与手段を構成したものは公知である(特許文献2)。
【特許文献1】特開昭62−87293号公報
【特許文献2】特許第2925524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献2の技術では、搬送方向と交差する方向に移動自在に副数本の針コーダを並設して仕分け情報付与手段を構成しているので、仕分け情報付与手段が複雑な構成となり、また、段ボールケースには機械的に判別できる仕分け情報しか付与されているため、カメラにより仕分け情報を読み取り機械的に仕分け作業はできるが、作業者には段ボールケース内の果実の等級情報や階級情報が分かりにくく、その後の作業が不便であった。
【0005】
そこで、この発明はこのような不具合を解消し、段ボールケースに付与する機械的に読み取り可能な仕分け情報を簡単化すると共に、作業者が果実の等級情報や階級情報を容易に把握できるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、果実等の被選別物を搬送コンベヤ(9)により搬送しながら複数の選別区分に従って取り出しできる選別取出部(5,6,7,8)を設け、段ボールケース(13)の表面部(13a)に仕分け情報を付与する仕分け情報付与装置(21)を設け、前記仕分け情報付与装置(21)を段ボールケース(13)の表面部(13a)に穿孔する単一の針(21a)により構成し、前記仕分け情報付与装置(21)の針(21a)の穿孔箇所を基準の穿孔位置に対して縦方向及び横方向に所定距離ずらした複数の部位を穿孔位置とし、前記選別取出部(6,7,8)の各選別取出箇所に対応して一個の穿孔位置を割り振り設定したことを特徴とする段ボールケースの仕分け情報付与装置とする。
【0007】
前記構成によると、果実等の被選別物は搬送コンベヤ(9)で搬送されながら複数の選別区分に選別され選別取出部(5,6,7,8)から取り出される。段ボールケース(13)の表面部(13a)には仕分け情報付与装置(21)の単一の針(21a)により選別区分に対応した仕分け情報が穿孔され、段ボールケース(13)には仕分け情報に該当する選別取出部(5,6,7,8)の選別区分から被選別物が詰め込まれる。
【0008】
請求項2の発明は、仕分け情報付与装置(21)における段ボールケース(13)の表面部(13a)に穿孔する単一の針(21a)の側方に段ボールケース(13)の表面部に印字する印字体(21b)を設けたことを特徴とする請求項1記載の段ボールケースの仕分け情報付与装置とする。
【0009】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、段ボールケース13の表面部(13a)には印字体(21b)により選別区分に対応した仕分け情報が印字される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、段ボールケース(13)の表面部(13a)に穿孔する仕分け情報付与装置(21)を単一の針(21a)により構成したので、構成を簡単にすることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、段ボールケース(13)の表面部(13a)には印字により選別区分情報を表示するので、作業者の段ボールケース(13)の取り扱いが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は例えば梨やりんごの選果施設の平面図を示すもので、作業者Pの目視判定により秀品、優品、良品・並等に選別する等級選別部1と、果実の重量を検出する秤量装置2と、果実を等級及び階級ごとに取り出す選別取出部5,6,7,8と選別取出部5,6,7,8と並行して設ける空の段ボールケース13を載置する空段ボールケース載置台14とを具備している。
【0013】
等級選別部1から選別取出部5,6,7,8にかけて選別カップ9a付きの複数条の搬送コンベヤ9が設けられ、等級選別部1に搬入された果実を作業者Pが目視判定して屑物を取り除き良品だけを等級ごとの搬送コンベヤ9の選別カップ9aに載置する。
【0014】
搬送コンベヤ9の選別カップ9aに載置された果実は移送下手側の秤量部2で計量されそのデータが集中制御室のコンピュータ(図示省略)に入力され、また、カメラ3で撮像された品質情報が同様にコンピュータ(図示省略)に入力される。
【0015】
そして、搬送コンベヤ9が選別取出部5,6,7,8を通過中に作業者が載置した等級ごとの搬送コンベア9の等級情報及び秤量装置2の階級情報に基づき複数の等級(本実施例では秀・優・良・並)で、かつ各等級はそれぞれ複数の階級(本実施例ではLL・L・M・S)すなわち重量毎に選別される。例えば、選別取出部5では秀品を重量別に複数に選別区分して取り出され、選別取出部6では優品を重量別に複数に選別区分して取り出され、選別取出部7では良品を重量別に複数に選別区分して取り出され、選別取出部7では良品を重量別に複数に選別区分して取り出される。
【0016】
図2に示すように搬送コンベヤ9の搬送方向側方には選別カップ9aからの果実の取り出される受箱16を設け、さらに受箱16の側方には上下移動する昇降式詰台Hを各等級及び各階級毎それぞれに設ける。
【0017】
昇降式詰台Hは正逆転するコンベヤ17と、段ボールケース13を載置して昇降する載置台44と、作業者Pがケース載置コンベア17の搬送方向側方のスペースGに立って果実を詰め込み、詰め込み作業が終了すると、載置台44をコンベヤ17の位置まで下動し(実線に示す位置)、ケース検出装置18がケース搬出コンベヤ12に段ボールケース13が無いことを検出すると、ケース載置コンベヤ17を駆動して段ボールケース13をケース搬出コンベヤ12に送り出し、果実の詰められた段ボールケース13をケース搬出コンベヤ12により出荷コンベア40を経て出荷場所Xに向かって搬出する。なお、25は載置台の高さ位置を調節するレバーで、作業者の箱詰め作業しやすい高さに設定できる構成としている。
【0018】
次に、段ボールケース13の仕分け情報付与装置について説明する。
この仕分け情報付与装置21は、段ボールケース13側面の表面部13aに穿孔する単一の針21a、及び、段ボールケース13側面の表面部に印字する印字体21bにより構成されている。そして、搬送コンベヤ9から選別果実の取り出される選別取出部5,6,7,8にそれぞれ設ける各昇降式詰台Hの搬送始端側に仕分け情報付与装置21をそれぞれ設ける。
【0019】
仕分け情報付与装置21の針21aは、図6に示すように、基準穿孔位置Aから縦方向及び横方向に所定距離ずらした部位を穿孔位置とし、選別取出部5,6,7,8から載置台60に載置している段ボールケース13に取り出される等級の階級毎に一個の穿孔位置を割り振っている。なお、針21aの穿孔位置を円、三角形、四角形、斜線上に所定間隔隔てて設定してもよい。
【0020】
そして、図4に示すように、例えば、ソレノイドにより構成されている伸縮部材22を伸長作動して、単一の針21aを往復移動させて段ボールケース13側面の表面部13aに穿孔すると共に、印字体13bを往復移動させて段ボールケース13側面の表面部に印字し、仕分け情報を付与する構成である。
【0021】
本実施例では、コンベヤ17位置まで載置台を加工させたら段ボールケース13をコンベヤ17搬送始端側に設けている仕分け情報付与装置21側に逆転して移送するよう駆動し、次いで仕分け情報を付与してからコンベヤ17を正転してケース搬出コンベア12に段ボールケース13を移送する構成としている。
【0022】
この構成によると、段ボールケース13の表面部13aと仕分け情報付与装置21との距離を一定にすることができるため、穿孔位置がずれたり穿孔し損ねたりし難くなり段ボールケース13の穿孔位置の読み取り間違いを防止することができる。また、コンベヤ17の搬送始端側に仕分け情報付与装置21を設けることで、コンベア17の側方のスペースGを広く取ることができ、作業者の作業スペースを確保しやすい。また、コンベヤ17位置で仕分け情報を付与することで、確実に仕分け情報を付与することができる。
【0023】
また、別実施例として、コンベヤ17自体を上下動する構成とし、そのフレーム部にこの仕分け情報付与装置21を配置して、コンベヤ17と一体的に上下動するように構成し、果実の詰め込みが終了して上方から下方のケース搬出コンベヤ12まで下動する間に仕分け情報付与装置21で仕分け情報を付与するように構成してもよい。その分選別作業速度が速くなり、選別作業の能率を向上させることができる。
【0024】
印字体21bで付与する仕分け情報は秀・優・良・並の等級等級情報と重量別の階級情報とし、作業者が段ボールケース13の果実選別区分を容易に判別できて以後の取扱作業を容易にしている。
【0025】
そして、図5に示すように、ケース搬出コンベヤ12で搬出中の段ボールケース13の仕分け情報、すなわち穿孔位置をカメラ式の読み取り器23により読み取り、コンピュータ(図示省略)に入力し、段ボールケース13を該当出荷コンベア40で搬出位置まで搬出するように構成している。なお、図7の13bは仕分け情報のマーキングエリアを示すものである。
【0026】
次に図10、図11の基づいて別実施例の選果施設について説明する。
搬送コンベヤ90の上方には空ケース搬送コンベヤ110を設けて、選別取出部50,60,70,80の選別取出部である各選別取出コンベヤ50a,60a,70a,80a,の各部位に空の段ボールケース13を搬送可能に構成し、選別取出コンベヤ50a,60a,70a,80aの側方の空ケース載置台140,140に空の段ボールケース13を載置する。作業者Pは選別取出コンベヤ50a,60a,70a,80a,の部位に空の段ボールケース13を運び、選別取出コンベヤ50a,60a,70a,80a,に選別された果実を段ボールケース13に詰める構成としている。
【0027】
また、印字ケース240を図9に示すように構成する。印字ケース240を外側印字ケース240aと、内側印字ケース240bとで構成し、外側印字ケース240aに対して内側印字ケース240bを挿入及び取り外し自在に構成する。
【0028】
また、外側印字ケース240aと内側印字ケース240bはそれぞれ一方を開放状態に形成し、内側印字ケース240bの挿入奥部にインク補給部270を設け、インク補給部270の上側に仕分け情報付与装置210の印字体210bを取り付けを設置する。
【0029】
このように構成することにより、外側印字ケース240aから内側印字ケース240bを取り外した状態で、インク補給部270にインクの補給をすることができ、インクの補給作業が容易にできる。また、作業者は段ボールケースを目の前の印字ケース240に抜き差しするだけで印字を打てるので作業がしやすい。なお、インク補給部270と内側印字ケース240bとを一体化して構成してもよい。
【0030】
また、仕分け情報付与装置210を図8のように構成してもよい。段ボールケース13を上方から下方に向けて挿入できるように印字ケース240を並列配置し、印字ケース240の広い面を相互に隣接接合し、長さ調節自在のスタンド260により所定高さに支持する。この印字ケース240の底部に印字体210からなる仕分け情報付与装置210を配設し、作業者が空の段ボールケース13を印字ケース240に押し込み、印字体210により印字し、仕分け情報を付与する。このように構成することにより、狭い場所に多数の印字ケース240を設置でき、一箇所で多数の仕分け情報を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】選果施設の平面図。
【図2】ケース載置コンベヤ側面図。
【図3】搬送コンベアの搬送方向から見た選別取出部の側面図。
【図4】選別取出部の平面図。
【図5】段ボールケースの仕分け装置のブロック図。
【図6】仕分け情報付与装置の針による穿孔位置を示す図。
【図7】段ボールケースの斜視図。
【図8】(A)印字ケースの斜視図。 (B)印字ケースの正面図。
【図9】印字ケースを分解した切断側面図。
【図10】選果施設の別実施例の平面図。
【図11】選果施設の別実施例の正面図。
【符号の説明】
【0032】
1 等級選別部
2 秤量部
3 カメラ
6 選別取出部
7 選別取出部
8 選別取出部
9 搬送コンベヤ
12 ケース搬出コンベヤ
13 段ボールケース
13a 段ボールケースの表面部
21 仕分け情報付与装置
21a 針
21b 印字体
22 伸縮部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実等の被選別物を搬送コンベヤ(9)により搬送しながら複数の選別区分に従って取り出しできる選別取出部(5,6,7,8)を設け、段ボールケース(13)の表面部(13a)に仕分け情報を付与する仕分け情報付与装置(21)を設け、前記仕分け情報付与装置(21)を段ボールケース(13)の表面部(13a)に穿孔する単一の針(21a)により構成し、前記仕分け情報付与装置(21)の針(21a)の穿孔箇所を基準の穿孔位置に対して縦方向及び横方向に所定距離ずらした複数の部位を穿孔位置とし、前記選別取出部(6,7,8)の各選別取出箇所に対応して一個の穿孔位置を割り振り設定したことを特徴とする段ボールケースの仕分け情報付与装置。
【請求項2】
仕分け情報付与装置(21)における段ボールケース(13)の表面部(13a)に穿孔する単一の針(21a)の側方に段ボールケース(13)の表面部に印字する印字体(21b)を設けたことを特徴とする請求項1記載の段ボールケースの仕分け情報付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−309435(P2006−309435A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130013(P2005−130013)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】