説明

段ボールシートの品質検査装置及び品質検査方法

【課題】 反り等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷においても見当ずれ検査を正確に実施可能な検査技術を提供する。
【解決手段】 段ボールシートの品質検査装置は、段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置について、該所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶する記憶手段と、見当マークが印刷された印刷面を撮像する撮像手段と、照明手段と、撮像されて得られる画像データに基づき、印刷された見当マークの所定の位置について、該所定の位置に対する相対位置を見当マーク相対位置として検出する検出手段と、検出された見当マーク相対位置と記憶手段に記憶されている基準値とを対比することにより、段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する幅方向に沿った見当ずれ量を算出する演算手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの見当ずれを検出する装置及び品質検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多色印刷においては、各色版の位置がずれる見当ずれが生じる場合がある。見当ずれとは、各印刷ユニット間での印刷物に対する印刷のずれである。見当ずれが生じた場合、印刷物の絵柄や文字にずれが生じ、視覚的に問題となるため、被印刷物に見当マークを用いて見当合わせが行われる。
【0003】
見当マークを用いた見当合わせの方法の従来技術として、版下等のセンター位置に形成される十字、またはT字に対し、所定ピッチで複数の細線を互いに平行に配置した第1及び第2の細線群を付加した見当マークを用い、印刷各版を重ね合わせた場合、第1の細線群と第2の細線群との各細線のうち、所定位置の細線同士が一致したときに見当があったものと判断する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、 互いに中心が一致した相似形の基準色のマークと測定色のマークとを有するカラー印刷用見当マークを用紙に印刷し、上記用紙に印刷した基準色のマークと測定色のマークの相対的な位置ずれを見当ずれとして判定することによって、カラー印刷の色ずれを目視で簡単に判断できるようにする方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−164724公報
【特許文献2】特開2007−106042公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、段ボールシートに印刷する場合、シートのサイズが大きいため、印刷ずれも大きくなる。また、段ボールシートにおいては、製造工程中における糊、水蒸気の使用によって、段ボールの歪みが印刷前にすでに存在するばかりでなく、段ボールシートにフレキソ印刷を行う場合、流動性の高い水性インキが用いられることによって、段ボールシートに伸び、縮み、反り等が発生する。伸び、縮み、反り等の変形は、特に段ボールシートの端辺に生じやすく、従来技術においては、段ボールシートの印刷における上記の変形による見当ずれを正確に検出することが困難であった。
したがって、本発明の目的は、反り等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷においても見当ずれ検査を正確に実施可能な検査技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る品質検査装置は、前記段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶する記憶手段と、前記見当マークが印刷された前記段ボールシートの印刷面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像する領域を照明する照明手段と、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された見当マークの所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を見当マーク相対位置として検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記見当マーク相対位置と前記記憶手段に記憶されている基準値とを対比することにより、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向に沿った見当ずれ量を算出する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第1の態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、前記演算手段が、前記見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定し、
前記見当ずれ量が、予め定めた許容値の範囲内でない場合に、前記見当ずれ量に係るデータを出力する出力手段をさらに備える。
【0009】
第3の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第2の態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、前記記憶手段が、前記段ボールシートの少なくとも前記搬送方向に対して両端側の位置に印刷されるべき複数の見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶し、前記演算手段が、前記検出手段によって検出された複数の見当マークの前記見当マーク相対位置を、それぞれ対応する基準値と対比し、前記複数の見当マークにおける前記段ボールシートの搬送方向における平均の見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向における平均の見当ずれ量を算出して、前記平均の見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。
【0010】
第4の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、前記記憶手段が、段ボールシートの基準寸法を記憶するとともに、前記検出手段が、前記画像データから段ボールシートの角部の位置を検出し、前記演算手段が、前記検出手段により検出された段ボールシートの角部の位置から印刷された前記段ボールシートの寸法を算出し、該段ボールシートの寸法と前記基準寸法とのずれ量に基づき前記基準値を補正して、前記見当ずれ量を算出する。
【0011】
第5の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第2の態様から第4の態様のいずれかの態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、前記記憶手段が、前記段ボールシートに印刷する見当マークの予め定められた基準色濃度レベルを記憶し、前記検出手段が、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された前記見当マークの色濃度レベルを検出し、前記演算手段が、前記見当マークの色濃度レベルを基準色濃度レベルと対比することにより色濃度レベルのずれを算出して、前記色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定し、前記出力手段が、前記色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内でない場合に、前記色濃度レベルのずれに係るデータを出力する。
【0012】
第6の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第2の態様から第5の態様のいずれかの態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、前記撮像手段は、前記段ボールシートの全面を撮像する。
【0013】
第7の態様に係る段ボールシートの品質検査装置は、第6の態様に係る段ボールシートの品質検査装置であって、 前記記憶手段が、前記段ボールシートに印刷されるべき基準画像を記憶し、前記検出手段が、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された画像を検出し、前記演算手段が、前記検出手段によって検出された前記段ボールシートに印刷された画像と前記記憶手段に記憶されている基準画像とを対比して良否を判定する。
【0014】
第8の態様に係る段ボールシートの品質検査方法は、段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶する記憶工程と、前記見当マークが印刷された前記段ボールシートを撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された見当マークの所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を見当マーク相対位置として検出する検出工程と、前記検出工程によって検出された前記見当マーク相対位置と前記記憶手段に記憶している基準値とを対比することにより、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向に沿った見当ずれ量を算出し、前記見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する演算工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
第1から第4の何れの態様に係る段ボールシートの品質検査装置によっても、段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置の、段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として見当ずれ量を算出するので、反り等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷においても見当ずれを正確に検出することが可能となる。
【0016】
第2の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、見当ずれ量が、予め定めた許容値の範囲内でない場合に、見当ずれ量に係るデータを出力させるので、印刷機に対して見当ずれ量に係るデータを印刷機にフィードバックさせることが可能となる。
【0017】
第3の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、段ボールシートに生じた伸び、縮み、反りの影響が大きい、搬送方向に対する両端側の位置に印刷された見当マークの段ボールシートの搬送方向における平均の見当ずれ量及び該搬送方向と直交する段ボールシートの幅方向における平均の見当ずれ量を算出するので、段ボールシートに生じた伸び、縮み、反り等による見当ずれ量をより正確に把握することが可能となる。
【0018】
第4の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、伸び、縮み、反り、沈みの等の原因により段ボールシートの大きさが変動した場合においても、見当ずれ量の誤差を少なくすることが可能となる。
【0019】
第5の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、反り等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷において見当ずれ検査と色濃度レベルのずれ検査を正確かつ同時に行うことができるので、印刷の品質及び生産効率をより向上させることが可能となる。
【0020】
第6の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、撮像手段が段ボールシートの全面を撮像するので、段ボールシートの全面の検査を一度にすることができ、検査のスピード及び処理量を大幅にアップすることが可能になる。
【0021】
第7の態様に係る段ボールシートの品質検査装置によれば、見当ずれ検査と合わせて段ボールシートに印刷された画像の図柄の検査を実施することができるため、印刷された段ボールシートの品質検査の質および速度を向上させることが可能となる。
【0022】
第8の態様に係る段ボールシートの品質検査方法によれば、第1の態様に係る段ボールシートの品質検査装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態である段ボールシートの品質検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】品質検査装置を公知の印刷装置に取り付けた例の概略図である。
【図3】段ボールシートの四隅周辺に見当マークが印刷された段ボールシートの例を示す図である。
【図4】基準値を説明するための図である。
【図5】段ボールシート上の隅部付近に印刷された見当マークに見当ずれが生じた例を示す図である。
【図6】品質検査装置が、一枚の段ボールシートの見当ずれ検出及び色濃度検出を実施する手順を示すフローチャートである。
【図7】段ボールシートの搬送方向及び幅方向に縮みが生じた場合の例を示す図である。
【図8】品質検査装置が、一枚の段ボールシートの見当ずれ検出、色濃度検出及び図柄のずれ検出を実施する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について、本発明をより詳細に説明する。
[第1実施形態]
<段ボールシートの品質検査装置の構成>
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態である段ボールシートの品質検査装置50の電気的構成を示すブロック図である。図2は、品質検査装置50を公知の印刷装置100に取り付けた例の概略図である。品質検査装置50は、印刷された段ボールシート3を被検査対象物として、撮像手段に相当するCCD(荷電結合素子)カメラ13で光学的に読み取ったデータと版(デザイン)データとを比較し、見当ずれ及び色濃度ずれの欠陥を検出するものである。
【0026】
図1に示すように、品質検査装置50は、制御部11、記憶部12、CCDカメラ13、照明部14、入力部15、通信部18、及び表示部19をバスライン20に接続して構成されている。
【0027】
制御部11は、例えばCPUにより構成され、後述する記憶部12に記憶されるプログラムを実行することにより品質検査装置50全体の動作を決定し、品質検査装置50全体に指令を与える。また、制御部11は、後述する演算部16及び検出部17の機能も実現する。
【0028】
図2に示すように、品質検査装置50は、印刷した段ボールシート3の上面を撮像するCCDカメラ13を有する。撮像手段に相当するCCDカメラ13は、段ボールシート3の上面に固定して配置されており、印刷物である段ボールシート3の段ボールシート3の全面を撮像する。段ボールシート3の全面を撮像することにより、段ボールシートの全面の検査を一度にすることができ、検査のスピード及び処理量を大幅にアップすることが可能になる。検査を行う対象となる見当マークの撮像部分をピックアップして見当ずれを検査する。また、この段ボールシートの全面を撮像した画像を用いて、図柄の検査を行うことも可能である。また、撮像領域にあわせて撮像手段を移動させる必要がなく、撮像手段を固定して配置することができる。さらに、部分的に撮像する場合には、撮像の度にタイミングを図る工程や、版データに基づき撮像領域を決定する工程が必要であるが、一度に全面を撮像するのでこのような工程が不要となる。
【0029】
なお、撮像手段としては、CCDカメラ13以外にも、例えば公知のイメージセンサカメラ等を使用することもできる。照明部14は、上面のCCDカメラ13が撮像する領域を照明する。
【0030】
記憶部12は、例えば半導体メモリ等の記憶装置により構成され、CCDカメラ13から入力された画像データ、制御部11で実行されるプログラム、及び該プログラムを実行する際に必要な情報等を記憶する。入力部15は、ユーザの操作による各種機能の選択を含む種々の入力に用いられるものである。入力部15は、たとえば数字あるいは文字などの情報を入力するための操作パネル、あるいはキーボードなどの入力装置によって構成される。
【0031】
演算部16は、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向に沿った見当ずれ量の双方を算出する。なお、演算部16は、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び幅方向に沿った見当ずれ量のいずれか一方を算出してもよい。
【0032】
検出部17は、CCDカメラ13で撮像されることによって得られる画像データに基づき、段ボールシート3の角部の位置、並びに見当マークの位置を検出する。
【0033】
通信部18は、LAN、インターネット等のネットワークを介して該ネットワークに接続された印刷機との間で、段ボールシートの寸法の情報、印刷ユニットの情報、版データの情報等、各種データの送受信を行う。通信部18は、後述するようにデータの出力手段としても機能する。
【0034】
表示部19は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置によって構成され、制御部11から指示される情報を表示する。表示部19は、後述するように通信部18と同様、データの出力手段としても機能する。
【0035】
図2に示すように、品質検査装置50は、LAN、インターネット等のネットワーク30を介して印刷機100に接続されている。多色印刷が可能な印刷機100は、例えば四色刷りであり、各色に対応して四つの印刷ユニット21,22,23,24を備えている。印刷ユニット21,22,23,24は、矢印Fで示す段ボールシート3の搬送方向に向かって、1色目インキ用印刷ユニット、2色目インキ用印刷ユニット、3色目インキ用印刷ユニット、4色目印刷ユニットとされる。
【0036】
各印刷ユニットにおいては、版胴25と、圧胴26と、版胴25にインクを供給して転写させるインク転写用ロール27と、インク転写用ロール27にインク30を供給するインクパン28とが備えられている。インク転写用ロール27は、表面にセルが彫刻され版胴25に一定量のインクを供給する。印刷においては、段ボールシート3が各印刷ユニット21,22,23,24を通過しつつ版胴25と、圧胴26により印圧を加えられて異なった色の画像が段ボールシート3に刷り込まれ、最終印刷ユニット24を出たところで印刷が終了する。そして、後述するように、印刷機100では、品質検査装置50により算出された見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内でない場合に、見当ずれ量に基づいて、X−Y軸二次元方向の印刷位置の調整が行われる。
<見当ずれ検出>
【0037】
次に、段ボールシート3の見当ずれ検出方法について説明する。
【0038】
演算部16は、検出部17により検出した印刷後の段ボールシート3の端辺上の所定の位置と印刷された見当マーク1上の予め定められた基準位置との相対位置である見当マーク1の相対位置を算出する。そして、これを記憶部12に記憶している基準値と対比することにより、段ボールシート3の搬送方向F、すなわちY方向における見当ずれ量及び搬送方向Fと直交する段ボールシート3の幅方向、すなわちX方向における見当ずれ量を算出する。
【0039】
本実施形態においては、カラーの版データに基づいて、段ボールシート3に印刷されたカラーの見当マークの見当ずれを検出する。見当ずれ検出は、例えば、刷り出し時に行われ、見当ずれ検出結果に基づいて印刷位置の調整が行われる。品質検査装置50は、段ボールシート3の特定位置(例えば、段ボールシート3の四隅の糊代付近など)に見当確認を目的として見当マークが印刷され、走行する段ボールシート3の印刷面をCCDカメラ13によって撮像し、画像データを取得する。そして、段ボールシート3のエッジを基準として見当ずれ量を算出し、見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。そして、見当ずれ量または前記色濃度レベルのずれが、予め定めた許容値の範囲内でない場合に、見当ずれ量に係るデータまたは色濃度レベルのずれに係るデータを出力させ、印刷機100の各印刷ユニット21〜24に対して見当ずれデータのフィードバックを可能とするものである。
【0040】
まず、見当マークの版データ(デザインデータ)及び段ボールシート3の寸法データが入力部19または通信部18から入力されて記憶部12に記憶される。検出部17が、版データ及び段ボールシート3の寸法データに基づき、段ボールシート3の端辺上の所定の位置と、段ボールシート3に印刷されるべき見当マーク上の所定の位置との相対位置を基準値として検出する。そして、記憶部12が該基準値を記憶する。なお、基準置は、入力部19から直接入力してもよい。
【0041】
図3は、段ボールシート3の四隅(隅部O1,O2,O3,O4)周辺に見当マーク1が印刷された段ボールシート3の例を示す図である。Fは搬送(印刷)方向である。本実施形態においては、見当マーク1は、多色刷りが行われる段ボールシート3に使用される印刷色のインキを用いた第1色部〜第4色部で構成されている。図3には、4色に対応した4つの見当マーク(1a〜1p)の例が示されている。具体的には、1色目の見当マークが1a,1e,1i,1m,2色目の見当マーク1b,1f,1j,1n,3色目の見当マークが1c,1g,1p,1o,4色目の見当マークが1d,1h,1l,1pである。
【0042】
本実施形態においては、見当マーク1が段ボールシート3の複数の隅部領域に複数個印刷されている例を示しているが、見当マーク1の位置はこれに限られるものではなく、段ボールシート3の一ヶ所に見当マークを複数個印刷してもよいし、段ボールシート3の複数の領域に各1つの見当マークを印刷してもよい。また、段ボールシート3に見当マーク1つのみを印刷してもよい。本実施形態のように、段ボールシートに生じた伸び、縮み、反り、沈みの影響が大きい、段ボールシートの搬送方向に対して両端側の位置に印刷された見当マークにおける見当ずれ量を算出することによって、段ボールシートに生じた伸び、縮み、反り、沈み等による見当ずれ量をより正確に把握することが可能となる。
【0043】
次に、検出部17が、段ボールシート3に印刷されるべき見当マーク2上の所定の位置の、段ボールシート3の端辺上の所定の位置に対する相対位置である基準値を検出する。そして、基準値は、記憶部12に記憶される。図4は、基準値を説明するための図である。ここでは、印刷されるべき見当マーク2aを例として説明する。本実施形態においては、Y軸は印刷方向と平行に延び、X軸は印刷方向と直交する方向、すなわち、段ボールシート3を横切って側方に延びるものとする。また、本実施形態においては、段ボールシート3の端辺上の所定の位置を隅部O1とし、印刷されるべき各見当マークの所定の位置は、各見当マークの重心の位置とする。見当マーク2aの重心2atと隅部O1との相対位置をXY座標で表すものとする。隅部O1を原点(0,0)とし、見当マーク2aの重心の座標を(x2a,y2a)とすると、見当マーク2aの基準値は、X=x2a,Y=y2aとなる。
【0044】
図5は、段ボールシート3上の隅部O1付近に印刷された見当マーク1a〜1dに見当ずれが生じた例を示す図である。2a〜2dの破線で示されるマークは、版データに示される見当マーク1a〜1dの印刷されるべき位置を示している。すなわち、見当マーク1a〜1dの印刷位置と、2a〜2dの破線で示される見当マーク2a〜2dの位置とのずれが見当ずれとなる。検出部17は、走行する段ボールシート3の印刷面をCCDカメラ13によって撮像されることによって得られた画像データに基づき、印刷後の段ボールシート3の隅部O1と印刷された見当マーク1の重心の位置を検出する。印刷された見当マーク1aを例として説明すると、見当マーク1aの重心1atと隅部O1との相対位置である見当マーク相対位置は、隅部O1を原点(0,0)とするXY座標で表すものとする。隅部O1を原点(0,0)とし、見当マーク1aの重心の座標を(x1a,y1a)とすると、見当マーク1aの見当マーク相対位置は、X=x1a,Y=y1aとなる。
【0045】
次に、演算部16が、検出部17によって検出された見当マーク1aの見当マーク相対位置(重心1atの相対位置)と基準値(段ボールシート3に印刷されるべき見当マーク2aの重心2atの相対位置)とを対比することにより、段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量及び搬送方向と直交する段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における見当ずれ量を算出する。
【0046】
具体的には、見当マーク2aの基準値がX=x2a,Y=y2aであり、見当マーク相対位置は、X=x1a,Y=y1aであることから、見当マーク1aの段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における見当ずれ量sx1aは、sx1a=x2a−x1aとなる。
また、段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量sy1aは、sy1a=y2a−y1aとなる。
【0047】
そして、演算部16は、段ボールシート3に印刷された各色の複数の見当マーク1における段ボールシート3の搬送方向における平均の見当ずれ量及び該搬送方向と直交する段ボールシート3の幅方向における平均の見当ずれ量を演算して、当該印刷のずれ量とする。具体的には、図3に示した段ボールシート3の四隅の各々に印刷された1色目の見当マーク1a,1e,1i,1mにおける見当ずれは、見当マーク1a,1e,1i,1mの段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における見当ずれ量をそれぞれsx1a,sx1e,sx1i,sx1mとすると、1色目の見当マークにおける段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量Wxは、
Wx=(sx1a+sx1e+sx1i+sx1m)/4となる。
【0048】
また、1色目の見当マーク1a,1e,1i,1mの段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における平均の見当ずれ量をそれぞれsy1a,sy1e,sy1i,sy1mとすると、段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量Wyは、
【0049】
Wy=(sy1a+sy1e+sy1i+sy1m)/4となる。同様にして、2色目の見当マーク1b,1f,1j,1nの幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量Px、搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量Py、3色目の見当マーク1c,1g,1p,1oの幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量Rx、搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量Ry、4色目の見当マーク1d,1h,1l,1pの幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量Bx、搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量Byを算出する。
【0050】
演算部16は、各色の見当マークの幅方向(X軸方向)における見当ずれ量Wx,Px,Rx,Bx及び各色の見当マークの搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量Wy,Py,Ry,Byを算出すると、見当ずれ量Wx,Px,Rx,Bx,Wy,Py,Ry及びByが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。
【0051】
そして、見当ずれ量Wx,Px,Rx,Bx,Wy,Py,Ry及びByが予め定めた許容値の範囲外である場合、表示部19に見当ずれ量に係るデータが表示される。印刷機100の各色に対応する印刷ユニット21,22,23,24のいずれかに送信され、印刷機100では、送信された見当ずれ量のデータに基づいて、X−Y軸二次元方向の印刷位置の調整が行われる。
<色濃度ずれ検出>
【0052】
次に、品質検査装置50は、印刷された段ボールシート3の見当マーク1をCCDカメラ13で光学的に読み取ったデータと、版(デザイン)データとを比較し、色濃度ずれを検出する。色濃度ずれの検出は、各色の見当マーク1ごとに行われ、本実施形態においては、段ボールシート3に使用される印刷色である第1色、第2色、第3色、第4色のインキのそれぞれの見当マーク1ごとに行われる。
【0053】
まず、検出部17が、入力部19または通信部18から入力された見当マークの版データに基づき、段ボールシート3に印刷する見当マーク1の予め定められた基準色濃度レベルを検出する。そして、基準色濃度レベルは、記憶部12に記憶される。また、検出部17は、CCDカメラ13で撮像されることによって得られた画像データに基づき、段ボールシート3に印刷された見当マーク1の色濃度レベルを検出する。
【0054】
次に、演算部16が、見当マーク1の色濃度レベルを基準色濃度レベルと対比することにより、色濃度レベルのずれを算出する。色濃度レベルの比較方法としては、版データのエリア画像と見当マーク1の画像データのエリア画像とを所定の大きさの領域に分割し、対応する分割画像の双方の色濃度レベルを比較してもよいし、比較する画像データの画像の解像度が同じときには、対応する画素毎に色濃度レベルを比較してもよい。また、その他の公知方法によって検出することもできる。
【0055】
次に、色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。図3に示す本実施形態の場合、段ボールシート3には、4色に対応した4つの見当マーク(1a〜1p)の例が示されているが、同じ色の複数の見当マーク1が印刷される場合には、色ごとに見当マーク1の色濃度レベルを平均または補正して、平均の色濃度レベルが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。具体的には、1色目第1色については、見当マーク1a,1e,1i,1mの色濃度レベルを平均して判定する。2色目第2色については、見当マーク1b,1f,1j,1nの色濃度レベルを平均して判定する。3色目第3色については、見当マーク1c,1g,1P,1oの色濃度レベルを平均して判定する。4色目第4色については、見当マークが1d,1h,1l,1pの色濃度レベルを平均して判定する。
【0056】
そして、出力手段としての表示部19は、色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内でない場合に、印刷機100に色濃度レベルのずれに係るデータを表示する。
【0057】
また、通信部18が、色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内でない場合に、印刷機100に色濃度レベルのずれに係るデータを印刷機100の各色に対応する印刷ユニット21,22,23,24のいずれかに送信する。
【0058】
本実施形態においては、伸び、縮み、反り、沈みの等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷において見当ずれ検査と色濃度レベルのずれ検査を正確かつ同時に行うことができるので、印刷の品質及び生産効率をより向上させることが可能となる。
<段ボールシートの検査手順>
【0059】
図6は、品質検査装置50が、一枚の段ボールシートの見当ずれ検出及び色濃度検出を実施する手順を示すフローチャートである。品質検査装置50が、段ボールシート3の品質検査を行う指示を受け、制御部11に伝達したとき、ステップS1に移る。ステップS1で、見当マークの版データが入力部19または通信部18から入力されて、ステップS2に移る。
【0060】
ステップS2では、検出部17が、版データ及び段ボールシート3の寸法データに基づき、段ボールシート3に印刷されるべき見当マーク上の所定の位置との相対位置を基準値として検出する。
【0061】
ステップS3では、走行する段ボールシート3の印刷面をCCDカメラ13によって撮像し、画像データを取得する。
【0062】
ステップS4では、検出部17が、画像データに基づき、印刷された見当マーク1の重心の位置を検出する。
【0063】
ステップS5では、演算部17が、見当ずれ量を算出し、予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。そして、許容値の範囲内である場合はステップS7へ移り、許容値の範囲内でない場合はステップS6へ移る。
【0064】
ステップS6では、見当ずれ量に係るデータ及び許容値の範囲内でない旨の警告が表示部19に表示される。また、見当ずれ量に係るデータを通信部18から、印刷機100に送信し、印刷機100に直接フィードバックさせるようにしてもよいし、生産管理システムにおける管理コンピュータに見当ずれ量に係るデータを送信し、印刷機の制御を行ってもよい。さらに、音声、ランプ、又はブザーなどにより警告する警告手段を更に設け、見当ずれ量色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内でない場合に、警告を行うようにしてもよい。
【0065】
ステップS7では、検出部17が、CCDカメラ13で撮像されることによって得られた画像データに基づき、段ボールシート3に印刷された見当マーク1の色濃度レベルを検出する。
【0066】
ステップS8では、演算部16が、見当マーク1の色濃度レベルを基準色濃度レベルと対比して、色濃度レベルのずれを算出し、色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する。そして、許容値の範囲内でない場合はステップS6へ移り、許容値の範囲内である場合は本処理を終了する。
【0067】
なお、同じ版データを繰り返し使用する場合は、ステップS3から処理を実行してもよい。また、本実施形態は、試し刷りにおける見当ずれ量の算出を対象としているが、本処理は、任意の見当ずれ検査として実行したり、本刷りにおいて、見当ずれの監視を目的として、ステップS3以降の処理を繰り返し実行してもよい。特に、色濃度レベルのずれ検査を本刷りにおいて繰り返し実行することによって、印刷機におけるインク濃度の監視を行うことが可能となる。
【0068】
本実施形態においては、見当ずれ量Wx,Px,Rx,Bx,Wy,Py,Ry及びByが予め定めた許容値の範囲外である場合、見当ずれ量に係るデータが表示部19に表示される。そして、表示されたデータに基づいて、印刷機100の各色に対応する印刷ユニット21,22,23,24において、X−Y軸二次元方向の印刷位置の調整が行われる。
【0069】
本発明の品質検査装置50によれば、伸び、縮み、反り、沈み等の歪みが生じやすい段ボールシートの印刷においても見当ずれを正確に検出することが可能となる。また、見当ずれ量または前記色濃度レベルのずれが、予め定めた許容値の範囲内でない場合に、見当ずれ量に係るデータまたは色濃度レベルのずれに係るデータを出力するので、印刷機に対して見当ずれ量に係るデータまたは色濃度レベルのずれに係るデータをフィードバックさせることが可能となる。
<変形例>
【0070】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0071】
本実施形態においては、段ボールシート3の端辺上の所定の位置を隅部O1として基準値を検出して見当ずれ量を算出したが、さらに、隅部O1以外の位置(例えば、隅部O2や段ボールシート3の重心、また、段ボールシートのエッジ上の点など)に対する相対位置を基準値として見当ずれ量を算出し、複数の基準値に基づく各見当マークの見当ずれ量を平均化して、見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0072】
また、段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量又は搬送方向(矢印F、Y軸方向)における平均の見当ずれ量を算出する場合に、最も大きいずれ量や、予め定めた標準偏差以上のずれ量を有する見当マークの値をはずして平均化した値を平均の見当ずれ量とみなして、平均の見当ずれ量の誤差を小さくするようにしてもよい。また、段ボールシートの浮き沈みの状態に応じて、各見当マークのずれ量に所定の係数を乗じた後に平均化して、平均の見当ずれ量とみなしてもよい。
【0073】
また、段ボールシート3に印刷されたすべての複数の見当マーク1における段ボールシート3の搬送方向における平均の見当ずれ量及び該搬送方向と直交する段ボールシート3の幅方向における平均の見当ずれ量を演算して、当該印刷のずれ量としてもよい。具体的には、図3に示した段ボールシート3の四隅の各々に4つの見当マーク1が印刷された段ボールシート3の場合における見当ずれは、見当マーク1a〜1pの段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における見当ずれ量をそれぞれsx1a,sx1b,sx1c,・・・sx1pとすると、段ボールシート3の幅方向(X軸方向)における平均の見当ずれ量Sxは、
Sx=(sx1a+sx1b+sx1c,・・・+sx1p)÷16となる。一方、見当マーク1a〜1pの段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における見当ずれ量をそれぞれsy1a,sy1b,sy1c,・・・sy1pとすると、段ボールシート3の搬送方向(矢印F、Y軸方向)における平均の見当ずれ量Syは、
Sy=(sy1a+sy1b+sy1c,・・・+sy1p)÷16となる。
そして、Sx及びSyが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0074】
また、本発明は、段ボールシートの両面印刷を行う場合においても見当ずれを正確に検出することが可能である。
【0075】
また、図示しない給紙手段により、印刷装置100に段ボールシートを給紙する段階で生じる段ボールシートの位置ずれを考慮し、予め基準値又は見当マーク相対位置を補正してもよい。例えば、基準値の補正は、CCDカメラ13の撮像画像における中心線、あるいは図示しない製函機ラインのスロッタにおける中心線を基準として段ボールシートの位置ずれ量を測定し、この位置ずれ量に基づいて補正することができる。
【0076】
また、段ボールシート3に生じた伸び、縮み、反り、沈みの等の原因により段ボールシートの大きさが変動した場合においては、予め記憶部12に記憶させた段ボールシート3の基準寸法に基づいて基準値を補正して、見当ずれ量を算出してもよい。具体的には、検出部17が、画像データから実際に印刷され、大きさが変動した段ボールシート3Aの端辺又は角部の位置を検出し、演算部16が、検出部17により検出した段ボールシート3Aの端辺又は角部の位置から印刷された段ボールシート3Aの寸法を算出する。そして、段ボールシート3Aの寸法と基準寸法とのずれ量に基づき基準値を補正して、見当ずれ量を算出してもよい。
【0077】
図7は、段ボールシートの搬送方向及び幅方向に縮みが生じた場合の例を示す図である。図7(a)は、基準寸法の段ボールシート3(隅部O1,O2,O3,O4)を示し、(b)は、搬送方向及び幅方向に縮みが生じた場合の段ボールシート3(隅部O5,O6,O7,O8)のを概略的に示した図である。例えば、段ボールシートの搬送方向の基準値については、隅部O1(0,0)及び隅部O3(xO3,yO3)間の距離と、隅部O5(xO3,yO3)及び隅部O7(xO3,yO3)間の距離とを比較して収縮率を求め、さらに、隅部O2(xO2,yO2)及び隅部O4(xO4,yO4)間の距離と、隅部O6(xO6,yO6)及び隅部O8(xO8,yO8)間の距離とを比較して収縮率を求める。そして、両者の収縮率の平均値を段ボールシートの搬送方向の基準値に乗じた値を搬送方向における補正した基準値としてもよい。また、段ボールシートの幅方向の基準値についても同様に、隅部O1(0,0)及び隅部O2(xO2,yO2)間の距離と、隅部O5(xO5,yO5)及び隅部O6(xO6,yO6)間の距離とを比較して収縮率を求め、さらに、隅部O3(xO3,yO3)及び隅部O4(xO4,yO4)間の距離と、隅部O7(xO7,yO7)及び隅部O8(xO8,yO8)間の距離とを比較して収縮率を求める。そして、両者の収縮率の平均値を段ボールシートの幅方向の基準値に乗じた値を幅方向における補正した基準値としてもよい。本変形例によれば、伸び、縮み、反り、沈みの等の原因により段ボールシートの大きさが変動した場合においても、見当ずれ量の誤差を少なくすることが可能となる。
【0078】
また、段ボールシートを全面撮像した画像を用いて段ボールシートに印刷された画像の良否を判定してもよい。具体的には、記憶部12が、段ボールシートに印刷されるべき基準画像となる版データを記憶する。そして、検出手段が、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された画像を検出し、演算部16が、検出部17によって検出された段ボールシートに印刷された画像と記憶部12に記憶されている基準画像とを対比して良否を判定する。
【0079】
図8は、品質検査装置50が、一枚の段ボールシートの見当ずれ検出、色濃度検出及び段ボールシートに印刷された画像の良否の判定を実施する手順を示すフローチャートである。品質検査装置50が、段ボールシート3の品質検査を行う指示を受け、制御部11に伝達したとき、ステップT1に移る。なお、図9のステップT1〜ステップT8は、図6のステップS1〜S8に、それぞれ対応するので、説明は省略する。
【0080】
ステップT9では、段ボールシート3に印刷された画像と記憶部12に記憶されている基準画像とを対比して良否の判定が行われる。まず、CCDカメラ13により段ボールシート3を全面撮像されることによって得られる画像データに基づき、検出部17が、段ボールシート3に印刷された画像を検出する。
【0081】
また、記憶部12には、入力された版データから段ボールシートに印刷されるべき基準画像図柄の位置、形状、及び色調や色濃度など、色に係るデータを基準値として記憶されており、演算部16が検出部17によって検出された画像の位置、形状及び色等について基準値とを対比することにより印刷された画像の良否を判定する。例えば、演算部16は、検出部17によって検出された段ボールシートに印刷された画像と記憶部12に記憶されている基準画像とを対比して文字の重複、線図の欠け、位置ずれ、画像の歪み、画像サイズの変化(縦横比の比率の変化)、色調や形状のずれ等の項目により良否を判定する。そして、許容値の範囲内である場合は、良品として本処理を終了し、許容値の範囲内でない不良品として判断してステップT10へ移る。
【0082】
ステップT10では、印刷された画像が良品でない旨の警告が表示部19に表示される。また、許容範囲でない項目に係るデータを表示部19に表示させたり、通信部18から、許容範囲でない項目に係るデータを印刷機100に送信し、印刷機100に直接フィードバックさせるようにしてもよい。さらに、音声、ランプ、又はブザーなどにより警告する警告手段を更に設け、印刷された画像が良品でない場合に、警告を行うようにしてもよい。なお、基準画像は、版データの他、すでに印刷を行った良品の印刷物のデータから得るようにしてもよい。
【0083】
本変形例においては、見当ずれ検査と合わせて、段ボールシートに印刷された画像の図柄の検査を実施することができるため、印刷された段ボールシートの品質検査の質および速度を向上させることが可能となる。
【0084】
なお、上記実施形態ならびに変形例で説明した構成は、矛盾が生じない限り適宜一部の構成を入れ換えてもよい。これらの変形例によっても、前記実施の形態と同様の効果を、達成することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 見当マーク
3 段ボールシート
11 制御部
12 記憶部
13 CCDカメラ
14 照明部
15 入力部
16 演算部
17 検出部
18 通信部
19 入力部
21,22,23,24 印刷ユニット
50 品質検査装置
100 印刷機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶する記憶手段と、
前記見当マークが印刷された前記段ボールシートの印刷面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像する領域を照明する照明手段と、
前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された見当マークの所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を見当マーク相対位置として検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記見当マーク相対位置と前記記憶手段に記憶されている基準値とを対比することにより、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向に沿った見当ずれ量を算出する演算手段と、
を備えることを特徴とする段ボールシートの品質検査装置。
【請求項2】
前記演算手段が、前記見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定し、
前記見当ずれ量が、予め定めた許容値の範囲内でない場合に、前記見当ずれ量に係るデータを出力する出力手段をさらに備える請求項1に記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項3】
前記記憶手段が、前記段ボールシートの少なくとも前記搬送方向に対して両端側の位置に印刷されるべき複数の見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶し、
前記演算手段が、前記検出手段によって検出された複数の見当マークの前記見当マーク相対位置を、それぞれ対応する基準値と対比し、前記複数の見当マークにおける前記段ボールシートの搬送方向における平均の見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向における平均の見当ずれ量を算出して、前記平均の見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する請求項2に記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項4】
前記記憶手段が、段ボールシートの基準寸法を記憶するとともに、
前記検出手段が、前記画像データから段ボールシートの角部の位置を検出し、
前記演算手段が、前記検出手段により検出された段ボールシートの角部の位置から印刷された前記段ボールシートの寸法を算出し、該段ボールシートの寸法と前記基準寸法とのずれ量に基づき前記基準値を補正して、前記見当ずれ量を算出する請求項1〜3の何れかに記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項5】
前記記憶手段が、前記段ボールシートに印刷する見当マークの予め定められた基準色濃度レベルを記憶し、
前記検出手段が、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された前記見当マークの色濃度レベルを検出し、
前記演算手段が、前記見当マークの色濃度レベルを基準色濃度レベルと対比することにより色濃度レベルのずれを算出して、前記色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定し、
前記出力手段が、前記色濃度レベルのずれが予め定めた許容値の範囲内でない場合に、前記色濃度レベルのずれに係るデータを出力する請求項2〜4の何れかに記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、前記段ボールシートの全面を撮像する請求項2〜5の何れかに記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項7】
前記記憶手段が、前記段ボールシートに印刷されるべき基準画像を記憶し、
前記検出手段が、前記撮像手段で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された画像を検出し、
前記演算手段が、前記検出手段によって検出された前記段ボールシートに印刷された画像と前記記憶手段に記憶されている基準画像とを対比して良否を判定する請求項6に記載の段ボールシートの品質検査装置。
【請求項8】
段ボールシートに印刷されるべき見当マーク上の所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を基準値として記憶する記憶工程と、
前記見当マークが印刷された前記段ボールシートを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像されることによって得られる画像データに基づき、前記段ボールシートに印刷された見当マークの所定の位置について、前記段ボールシートの所定の位置に対する相対位置を見当マーク相対位置として検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出された前記見当マーク相対位置と前記記憶手段に記憶している基準値とを対比することにより、前記段ボールシートの搬送方向に沿った見当ずれ量及び該搬送方向と直交する前記段ボールシートの幅方向に沿った見当ずれ量を算出し、前記見当ずれ量が予め定めた許容値の範囲内であるか否かを判定する演算工程と、
を備えることを特徴とする段ボールシートの品質検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240400(P2012−240400A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115805(P2011−115805)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000109200)ダックエンジニアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】