説明

段ボールダクト基材及び段ボールダクト部材の製造方法

【課題】部材点数を抑制しつつ組立作業を簡易かつ安定的に行える段ボールダクト基材及び部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】段ボールダクト基材1は、段ボールシート10の一辺10sに沿った縁部である下側縁部11ebに、上側縁部14etが重なる重ね代11sを区画する区画線11fを有する。上側縁部14etは、端辺に第1の組手14mが形成された段ボールシート10の縁部である。さらに、区画線11fに沿って重ね代11sを折り曲げたときに第1の組手14mと嵌合する第2の組手11mが区画線11f上に形成されるように、区画線11fから重ね代11s側に突出した凸状の切れ目11cが形成されている。段ボールダクト基材1は、ダクトを組み立てる際に上側縁部14etを下側縁部11ebの上に載置しつつ第1の組手14mと第2の組手11mとを嵌合させることにより組み立てた形状を維持することができ、専用ピンを必要としない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボールダクト基材及び段ボールダクト部材の製造方法に関し、特に組立作業を簡易かつ安定的に行える段ボールダクト基材及び段ボールダクト部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量で断熱性に優れ、リサイクルが容易なダクトとして、段ボール製ダクトが採用され始めている。段ボール製ダクトは、型抜きや折れ目の形成等の主な加工を工場で行い、平板状の基材の状態でダクトが設置される現場に搬入し、現場においては予め工場で形成された折れ目等に従って簡単に組み立てることができるため、加工精度及び搬送効率が高く、施工性にも優れている。これまでの段ボール製ダクトは、例えば矩形の直管ダクトを組み立てる際は、基材を折れ目に沿って折り曲げることにより矩形状とし、専用ピンで留めて形状を保持し、シール状のテープの離型紙を剥がして固着して、角部にアルミテープを貼ることにより形成していた(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「建築設備と配管工事」、日本工業出版、2009年2月、p.47−51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでの段ボール製ダクトは、組み立てた形状を専用ピンで留めて保持してテープを貼るため、部材点数が多くなると共に、形状を保持しながらピンを留める作業を一人で行うことが難しかった。なお、専用ピンで留める代わりに、基材を折り曲げたときに突き合わさる辺の双方に互いに嵌合する凹凸を形成しておき、この凹凸を嵌合することにより組み立てた形状を保持することも考えられるが、突き合わさる辺に形成された凹凸を嵌合させただけでは、実質的に線で接触することとなって安定性に欠け、組み立てた形状を保持することが難しい。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、部材点数を抑制しつつ組立作業を簡易かつ安定的に行える段ボールダクト基材及び段ボールダクト部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る段ボールダクト基材は、例えば図1に示すように、波形の中芯の両面が平らなライナで挟まれた段ボールシート10で形成された段ボールダクト基材1であって;段ボールシート10の一辺10sに沿った縁部である下側縁部11ebに、上側縁部14etが重なる重ね代11sを区画する区画線11fを有し;上側縁部14etは、端辺に第1の組手14mが形成された段ボールシート10の縁部であり;さらに、区画線11fに沿って重ね代11sを折り曲げたときに第1の組手14mと嵌合する第2の組手11mが区画線11f上に形成されるように、区画線11fから重ね代11s側に突出した凸状の切れ目11cが形成されている。ここで、第1の組手と第2の組手とは、1枚の段ボールシートの異なる縁部にそれぞれ形成されていてもよく、別体の2枚の段ボールシートのそれぞれの縁部に形成されていてもよい。
【0007】
このように構成すると、ダクトを組み立てる際に上側縁部を下側縁部の上に載置しつつ第1の組手と第2の組手とを嵌合させることにより、上側縁部と下側縁部とが面で接触することとなるため安定して組み立てた形状を維持することができ、専用ピンを必要とせず部材点数を抑制しつつ組立作業が簡易になる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る段ボールダクト基材は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る段ボールダクト基材1において、区画線11fに対して重ね代11s側とは反対側の本体11b側と、重ね代11s側と、に区画線11fを跨いで設けられたテープ18であって、本体11b側で段ボールシート10に貼付され、重ね代11s側に段ボールシート10との接着を防ぐ剥離紙を有するテープ18を備える。
【0009】
このように構成すると、ダクトを組み立てる際に第1の組手と第2の組手とを嵌合させた直後に予め本体側に貼付されているテープの剥離紙を剥がして上側縁部に貼り付けることにより簡便に固定することができる。また、テープが区画線を跨いで重ね代側にも剥離紙を介して設けられているので、段ボールダクト基材の状態において第2の組手まわりを保護することができる。また、搬送時等に代表されるように段ボールダクト基材が平積みされている状態においてはテープ自体も段ボールダクト基材に挟まれて保護される。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る段ボールダクト基材は、例えば図1及び図2を参照して示すと、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る段ボールダクト基材1において、段ボールシート10に形成された折り目Lfの谷折り側に、又はダクト100を形成したときに開口端となる端部10eに、弾性を有する発泡性の液状の塗料Pが塗布されている。
【0011】
このように構成すると、ダクトを組み立てた際に折り曲げた部分の断熱性能の低下を抑制することができ、又は端部をテープで塞ぐことにより発生しうる放熱を伴うヒートブリッジの発生を回避することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る段ボールダクト部材の製造方法は、例えば図6及び図7を参照して示すと、断面が矩形の直管ダクトの第1の面、前記第1の面に隣接する第2の面、前記第2の面に隣接する第3の面、前記第1の面及び前記第3の面に隣接する第4の面のうち、前記第1の面及び前記第2の面を構成可能な基材である一方基材60Aと、前記第3の面及び前記第4の面を構成可能な基材である他方基材60Fと、を用いて段ボールダクト部材600を製造する方法であって;一方基材60Aを2つの一方切断線60ALで切断して3分割する工程であって、一方切断線60ALが、第1の面64Aと第2の面61Aとの境界を形成する一方境界線LfAから見て、第1の面64A側には所定の角度θで先広がりで延び、第2の面側61Aには垂直に延びている、一方境界線LfAで折れた折れ線状に形成されている一方基材切断工程(図6(b)参照)と;他方基材60Fを2つの他方切断線60FLで切断して3分割する工程であって、他方切断線60FLが、第3の面64Fと第4の面61Fとの境界を形成する他方境界線LfFから見て、第3の面64F側には所定の角度θで先細りで延び、第4の面61F側には垂直に延びている、他方境界線LfFで折れた折れ線状に形成されていると共に、第3の面64Fの他方境界線LfFに対向する辺における2つの他方切断線60FL間の距離が一方境界線上LfAにおける2つの一方切断線60AL間の距離と等しく形成されている他方基材切断工程(図6(b)参照)と;3分割された一方基材60Aを、2つの一方切断線60ALで切断されて形成された辺のうち第1の面64Aにおける辺(64aq−64bp、64bq−64cp)同士を相互に入れ替えて(64aq−64bq、64bp−64cp)所定の角度θが隣接するように接合する一方基材接合工程(図7(a)参照)と;3分割された他方基材60Fを、2つの他方切断線60FLで切断されて形成された辺のうち第3の面64Fにおける辺(64fq−64ep、64eq−64dp)同士を相互に入れ替えて(64fq−64eq、64ep−64dp)所定の角度θが隣接するように接合する他方基材接合工程(図7(a)参照)と;前記一方基材接合工程で形成された一方接合基材と、前記他方基材接合工程で形成された他方接合基材とを嵌め合わせる嵌合工程(図7(b)参照)とを備える。ここで、前記一方基材及び前記他方基材は、典型的には、第1の組手及び第2の組手が形成される上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る段ボールダクト基材が用いられるが、第1の組手及び第2の組手が形成されずに直線状の辺同士を突き合わせて接合するものも適用可能である。
【0013】
このように構成すると、直管ダクト用の基材を用いてエルボを作成することができるのでエルボ専用の型を作成しなくて済み、部材の共用化を促進することができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る段ボールダクト部材の製造方法は、例えば図9及び図10を参照して示すと、断面が矩形の直管ダクトの一面に直管ダクトの開口面積と等しい分岐用開口70hが形成された開口付直管ダクト700を形成する開口付直管ダクト形成工程と;分岐用開口70hに、分岐用ダクト99を接続可能な取付部材78(79、80A)を取り付ける取付部材設置工程とを備える。
【0015】
このように構成すると、直管ダクト用の基材を主に用いてチーズを作成することができるのでチーズ専用の型を作成しなくて済み、部材の共用化を促進することができる。
【0016】
また、図9及び図10に示すように、段ボールダクト基材を用いて形成されたレジューサ99と;段ボールダクト基材を用いて形成された直管ダクト700であって、レジューサ99の一端が接続された開口70hが形成された直管ダクト700とを備える段ボールダクト部材(チーズ)を構成してもよい。
【0017】
このように構成すると、チーズ専用の型を作成しなくて済み、部材の共用化を促進することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ダクトを組み立てる際に上側縁部を下側縁部の上に載置しつつ第1の組手と第2の組手とを嵌合させることにより、上側縁部と下側縁部とが面で接触することとなるため安定して組み立てた形状を維持することができ、専用ピンを必要とせず部材点数を抑制しつつ組立作業が簡易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材を説明する図である。(a)は平面図、(b)はダクトに組み立てる途中の斜視図である。
【図2】ダクトに組み立てたときの端部の処理の状態を説明する図である。(a)は本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材をダクトに組み立てたときの開口端及び折り曲げ部分の処理を説明する部分斜視図、(b)は従来の段ボールダクトの端部の処理の状態を説明する縦断面図である。
【図3】ダクトの接続状況を説明する図である。(a)は接続部材をダクトに取り付けた状態の図、(b)は接続部材の原料を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る、1枚で2面分の段ボールダクト基材を説明する図である。(a)は平面図、(b)はダクトに組み立てたものの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る、1枚で1面分の段ボールダクト基材を説明する図である。(a)は垂直面の平面図、(b)は水平面の平面図、(c)はダクトに組み立てたものの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材からエルボの部材を製作する過程を説明する図である。(a)は段ボールダクト基材に切断線を罫書いたものの平面図、(b)は切断線で切断して分割したものの平面図である。
【図7】図6(b)に示すエルボの部材からエルボを組み立てる過程を説明する図である。(a)は分割した部材を接合した基材の平面図、(b)はエルボに組み立てたものの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材から別のエルボの部材を製作する過程を説明する図である。(a)は段ボールダクト基材を切断線で切断して分割したものの平面図、(b)は各部品を組み立てた状態の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材から分岐の部材を製作する過程を説明する図である。(a)は段ボールダクト基材の平面図、(b)はメイン部分を組み立てた状態の斜視図、(c)は取り出しの部分の斜視図、(d)は別の取り出しの部分の斜視図である。
【図10】図9(b)に示すメイン部分に取り付けるさらに別の取り出しの部分を説明する図であり、(a)及び(b)は段ボールシートに取り付ける部品の平面図、(c)は基材の平面図、(d)は取り出しの部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る段ボールダクト基材1を説明する。図1は、段ボールダクト基材1を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はダクトに組み立てる途中の斜視図である。段ボールダクト基材1の原料となる段ボールシート10は、波形の中芯(中しん)の両面が平らなライナで挟まれて構成されている。ライナは、段ボールシート10の表面や裏面に現れる平らな原紙である。中芯は、典型的には平らな原紙が小さい波の連続した形状に加工され、2枚のライナに挟まれている。このように構成されることで、2枚のライナの間に空気層が形成され、断熱効果が向上している。本実施の形態における段ボールシート10は、断熱効果及び加工容易性の観点から、典型的にはAフルート又はCフルート等の両面段ボールが用いられるが、断熱効果をさらに向上させつつ強度を向上させる観点からAAフルート、BAフルート、BCフルート等の複両面段ボールが用いられてもよく、あるいはAAAフルート等の複々両面段ボールが用いられてもよい(JISZ0104参照)。また、段ボールシート10は、段ボールダクト基材1が組み立てられてダクトとなったときに外側となる表面(以下「外表面」という。)に、不燃性を持たせるための不燃性シートが貼り付けられている。不燃性シートは、ダクトの内側となる表面(以下「内表面」という。)にも貼り付けられていてもよい。不燃性シートは、典型的にはアルミニウムのシートが用いられる。
【0022】
本実施の形態における段ボールシート10は、比較的小さいサイズの矩形直管ダクトの基となる材料であるとして説明する。つまり、1枚の段ボールシート10が折り曲げられることにより直管ダクトが形成されるものとして説明する。なお、比較的小さいサイズとは、段ボールシート10の製作上形成可能な大きさの上限があるところ(例えば、最大標準寸法が2000mm×1600mm)、1枚の段ボールシート10から製作可能な矩形ダクトのサイズの範囲内であることを意味している。
【0023】
段ボールダクト基材1の主原料となる段ボールシート10は長方形に形成されている。段ボールシート10には、折り目Lfとなる平行な線が3本形成されている。折り目Lfは、典型的には中芯のフルート(波)が延びる方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。折り目Lfは、谷折りとなる側のライナの表面に直線状の凹みを作ることにより形成されている。3本の折り目Lfによって段ボールシート10は4つの矩形の範囲(区域)に分割されている。本実施の形態では、折り目Lfによって形成される区域が、側端面11、底中面12、側中面13、天端面14の順で配列されることとなる。さらに、側端面11は、折り目Lfと平行な区画線11fによって本体11bと重ね代11sとに区画されている。区画線11fは、すべての部分で明示されておらずに部分的に視認できない部分があってもよい。つまり、区画線11fは、形成された凹み等の視認できる線を延長したときに把握される想像線を含む。側端面11の本体11b、底中面12、側中面13、天端面14はそれぞれダクトとなったときの4つの面に対応する。本実施の形態では、側端面11の本体11b及び側中面13がダクトとなったときの側面となり、底中面12が底面に、天端面14が上面となるが、上記4つの面は、便宜上区別するために呼称したものであり、ダクトを吊り込んだときに側端面11の本体11b及び側中面13が底面又は上面となり、底中面12及び天端面14が側面となってもよく、あるいは底中面12が上面となり、天端面14が底面となってもよい。
【0024】
天端面14の、側中面13と接する折り目Lfとは反対側の縁部である上側縁部14etの端辺10tには、端辺10tに沿って凸部14pと凹部14qが交互に連続して形成されて構成された第1の組手としての上組手14mが形成されている。本明細書における「組手」とは、2つの縁部を嵌合する構成であって、一方の縁部の凸部が他方の縁部の凹部に嵌り、一方の縁部の凹部が他方の縁部の凸部に嵌ることにより、2つの縁部が全体として嵌合するために交互に形成された凹凸の連続である。本実施の形態では、凹部の幅(端辺10tに沿った長さ)と凸部の幅とが同じ長さに形成されている。上組手14mの凸部14pの山の高さ(凹部14qの谷の深さでもある)は、段ボールシート10の厚さと同じに設計されている。上組手14mは、端辺10tから凹部14qの幅及び谷の深さ分の段ボールシート10が矩形(長方形又は正方形)に切り取られて形成されている。典型的には、凹部14qの幅が谷の深さよりも長く形成されている。
【0025】
段ボールシート10の、上側縁部14etに対向する縁部である下側縁部11ebには、区画線11fに沿って重ね代11sが折り曲げられたときに出現する第2の組手としての下組手11mを構成する切れ目11cが形成されている。下組手11mは、重ね代11sが折り曲げられる前には現れず、下側縁部11ebに一体となって混在している。重ね代11sが折り曲げられて出現する下組手11mは、上組手14mと嵌合するように形成される。つまり、切れ目11cは、下組手11mが出現したときに上組手14mと嵌合する形状に形成されている。切れ目11cは、区画線11fから重ね代11sの方に突出した凸部(下組手11mが出現したときの凸部11p(図1(b)参照))となるように形成されている。本実施の形態では、下組手11mの凸部11pが矩形となっている。凸部11pの山の高さ(凹部11qの谷の深さでもある)は、段ボールシート10の厚さと同じ長さに形成されている。凸部11pの頂部は段ボールシート10の一辺10sに達していないことが好ましい。換言すると、凸部11pの頂部と一辺10sとの間に重ね代11sが存在していることが好ましい。このように構成されていると、重ね代11sの強度の低下を抑制することができると共に重ね代11sを折り曲げるのに要する労力を軽減することができる。隣り合う凸部11pと凸部11pとの間、すなわち凹部11qの谷の底辺には、重ね代11sを折り曲げやすくする直線状の凹みが区画線11f上に形成されている。他方、凸部11pは矩形の1つの辺が区画線11fに接している状態になるが、凸部11pと区画線11fが接する部分には折り曲げやすくする凹みが形成されずに本体11bと連続した平面になっており、重ね代11sが折り曲げられても凸部11pは折り曲げられないように構成されている。換言すれば、凸部11pの境界となる区画線11fは、視認されない想像線となっている。切れ目11cは、矩形の凸部11pの4つの辺のうち区画線11fと接する辺以外の3辺が切断されて形成されている。なお、区画線11fは、下側縁部11eb内の重ね代11sを区画する境界線を兼ねている。また、一辺10sは、典型的には直線であるが、カーブし又は波打っていてもよい。
【0026】
区画線11fに沿って延びる重ね代11sの両端は、後述する接続部材を取り付ける分だけ切り取られている。段ボールダクト基材1は、ダクトに組み立てたときに、重ね代11sの部分が段ボールシート10の厚さ分だけ内表面に厚くなり、そのままだと重ね代11sと接する部分だけ接続部材がダクト内側に位置することになるが、重ね代11sの両端が切り取られていることにより、ダクト角部の外表面から接続部材までの位置関係が他の3つの角と同等になる。
【0027】
側端面11には、区画線11fに沿って延びるテープ18が設けられている。図1では、テープ18に隠れてしまう構成を明示するために便宜上テープ18を一点鎖線で表している。テープ18は、片面に接着剤が塗布されており、接着剤が塗布された面(接着剤塗布面)の幅方向で2つの区域に分割した片側に剥離紙が貼り付けられている。接着剤塗布面の一方の区域に剥離紙が貼付されていることにより、当該区域においてテープ18が段ボールシート10に接着することを防いでいる。テープ18は、典型的には基材がアルミニウムで構成されたアルミテープである。テープ18の基材は、アルミニウム以外の材料でもよいが、不燃性の材料を使用することが好ましい。テープ18は、外表面の側端面11の本体11bに接着剤塗布面が貼り付けられている。また、テープ18は、区画線11fを跨いでおり、剥離紙が重ね代11sに接するように設けられている。典型的には、接着剤塗布面と剥離紙との境界が、区画線11fに対してやや本体11b側に位置するように、テープ18が設けられている。このように剥離紙の一部が本体11b上に存在してもよいが、接着剤塗布面は重ね代11s上に存在しないようにテープ18が設けられていることが好ましい。このように構成されていると、段ボールダクト基材1をダクトに組み立てるために下組手11mに上組手14mを嵌め込む際に、テープ18で嵌め込みが阻害されることを回避することができる。また、テープ18は、重ね代11s側で凸部11pを覆う大きさ(幅)であることが好ましい。このように構成されていると、ダクトに組み立てる前の段ボールダクト基材1の状態(折り曲げる前の平板状態)のときに、凸部11pに相当する部分を保護することができる。また、複数の段ボールダクト基材1が平積みの状態で運搬される際には、テープ18自体が段ボールダクト基材1に挟まれて保護されることとなる。
【0028】
また、図2(a)に概略を示すように、段ボールシート10は、内表面側の折り目Lf上及び開口端となる端部10eに、弾性を有する発泡性の液状の塗料としての液状発泡塗料P(図1では便宜上描写を省略している)が塗布されている。液状発泡塗料Pを折り目Lf上に塗布することで、段ボールダクト基材1をダクト100に組み立てたときに、折り曲げによって潰れることに伴って段ボールシート10のライナ間の空気層が減少して断熱性能が低下することを抑制することができる。また、液状発泡塗料Pを開口端となる端部10eに塗布することで、段ボールダクト基材1が組み立てられて形成されたダクト100の複数をつなぎ合わせるときに、ダクト100内の流体の接続部からの漏洩を抑制することができると共にダクト100内の流体の冷熱又は温熱の外部への放散を抑制することができる。この放熱について補足すると、図2(b)に示す従来の段ボールダクトでは、開口端を巻くように内表面から外表面にかけてアルミテープ918を貼ることで開口端を保護していたため、比較的熱伝導率の高いアルミテープ918を介してダクト内の冷熱又は温熱がダクトの外に逃げることとなっていた。これに対して図2(a)に示す本実施の形態で用いられている液状発泡塗料Pは比較的熱伝導率が低いので、ダクト内から外への放熱を抑制することができる。
【0029】
上述のような機能を有する液状発泡塗料Pは、段ボールシート10の折り曲げに対して破損することなく変形可能なように弾性を有し、熱伝導を抑制して断熱性能を向上させるように内部に気泡を含む発泡性を有し、製作を容易にするために液状である塗料が用いられる。液状発泡塗料Pには、典型的にはウレタン塗料が用いられるが、上記の特性を持つ塗料であればウレタン塗料以外の塗料を用いてもよく、ダクトの用途に応じて適宜決定することができる。段ボールシート10への液状発泡塗料Pの塗布は、典型的には段ボールダクト基材1の製造工場で行われる。
【0030】
上記のように構成された段ボールダクト基材1は、以下のように組み立てられる。まず、段ボールダクト基材1は、上述した加工並びにテープ18の貼付及び液状発泡塗料Pの塗布が工場で行われ、図1(a)に示す平板状のものが複数積層された状態で、ダクト施工現場(ダクトが設置される場所)に搬入される。現場に搬入されたら梱包を解き、段ボールダクト基材1を取り出す。梱包されていた段ボールダクト基材1には、形状が異なるものが混在している場合もあり、このような場合は予め(工場で)当該段ボールダクト基材1が施工図上のどのダクトに該当するか部材情報を外表面に明示しておくことが好ましい。部材情報の明示は、外表面に直に記載されていてもよく(例えば隠蔽部分に設置される場合)、部材情報が記載されたテープを外表面に貼付しておいて後からテープを剥がすことにより部材情報を消去できるように構成されていてもよい。
【0031】
部材情報を頼りに組み立てようとする段ボールダクト基材1を取り出したら、区画線11f及び3本の折り目Lfに沿って折り曲げる。このとき、内表面が内側になるように、換言すれば折り目Lf上に塗布された液状発泡塗料Pが内側になるように、折り曲げる。そして、側端面11の区画線11fを折り曲げると、下組手11mが出現する。下組手11mが出現したら、折り目Lfを折り曲げることによって近づいてきている上組手14m(図1(b)参照)を下組手11mに嵌め込んで、上側縁部14etを重ね代11sに載置する。上組手14mを下組手11mに嵌め込む際は、テープ18の上側先端を外側に広げると嵌め込みやすい。このようにしても、テープ18の幅方向の半分は側端面11の本体11bに貼り付けられているので、テープ18が脱落することがない。また、上側縁部14etが重ね代11sに載置されるため、上側縁部14etと重ね代11sとが面で接触することとなって、組み立てた形状(矩形状)を維持しやすくなる。そして、上組手14mを下組手11mに嵌め込んだら、テープ18の幅方向の重ね代11s側に付いている剥離紙を剥がして上側縁部14etの外表面に貼り付ける。このとき、テープ18の半分が本体11bに貼り付けられているので、テープ18が別体で現場に搬入されたときのように上組手14mと下組手11mとの嵌合部分を押さえながらテープ18を嵌合部分に合わせる必要がなく、一人で作業しても正確かつ容易にテープ18を嵌合部分に貼り付けることができる。このように、簡便かつ安定的に段ボールダクト基材1をダクトに組み立てることができる。施工図に従って複数組み立てたダクトは、以下に説明する接続部材を用いて接続することができる。
【0032】
図3は、ダクトの接続状況を説明する図であり、(a)は接続部材21をダクト100に取り付けた状態の図、(b)は接続部材21の原料を示す平面図である。ダクト100は、段ボールダクト基材1(図1参照)を組み立てて構成されたダクトである。図3(a)に示すように、接続部材21は、アングル(山形鋼)状の部材の外側の長さ方向半分ほどに両面テープ21tが貼り付けられて構成されている。接続部材21の両面テープ21tが貼り付けられている長さは、上述した重ね代11sが切り取られた部分の区画線11fに沿った長さ以下になっている。典型的には、断面矩形のダクト100の内側の四隅に接続部材21が取り付けられる。接続部材21をダクト100に取り付ける際は、両面テープ21tの剥離紙を剥がしてダクト100の内表面に貼り付ける。
【0033】
図3(b)も併せて参照して、接続部材21の構成を説明する。接続部材21は、その長さに相当する幅を持つ帯状の段ボールシート21sを適宜切断・加工して形成される。段ボールシート21sは、接続部材21のアングル状の一辺に相当する間隔で長さ方向に折り目21fと切断線21cとが交互に形成されている。折り目21f及び切断線21cは、段ボールシート21sの長さ方向に直交する直線で互いに平行に形成されている。折り目21fは、折り目Lf(図1参照)と同様の凹み加工で形成されている。切断線21cは、概ね切れ目(切り込み)であるが、両脇の段ボールシートが分離しない程度の幅及び間隔でつながっていて、手で容易に分離できるものである。段ボールシート21sの幅の半分には、長手方向に沿って両面テープ21tが貼り付けられている。両面テープ21tの表面には剥離紙が貼り付けられており、接続部材21がダクト100に取り付けられるまで接着面が露出しないようになっている。切断線21cは、両面テープ21t上にも形成されている。両面テープ21tは、折り目21fの凹みが形成されている側とは逆の面に設けられている。接続部材21として利用する際には、1つ分を切断線21cから切り離し、両面テープ21tが外側になるように折り目21fに沿って直角に折り曲げる。このとき、折り目21f部分の凹みの裏側の両面テープ21tに直角を広げようとする張力が生ずるが、接続部材21をダクト100に取り付けたときにこの張力が接続部材21の外表面をダクト100の内表面に密着させるように作用するため好適である。
【0034】
次に図4を参照して、比較的大きいサイズの矩形直管ダクトの基となる段ボールダクト基材4を説明する。段ボールダクト基材4は、1枚当たり2つの面を持ち、2枚を組み合わせることで矩形直管ダクトが形成される。段ボールダクト基材4における比較的大きいサイズとは、上述のように、段ボールダクト基材4の原料となる段ボールシート40の製作上形成可能な大きさの上限があるところ(例えば、最大標準寸法が2000mm×1600mm)、作られる矩形ダクトの隣接する2つの面を1枚の段ボールシート40から製作可能なサイズの範囲内であることを意味している。段ボールシート40の基本的な構造(ライナ及び中芯)は、段ボールシート10(図1参照)と同様である。
【0035】
段ボールシート40は、段ボールシート10(図1参照)と比較して、底中面12及び側中面13(図1参照)に相当する部分がなく、側端面11(図1参照)に相当する縦端面41と、天端面14(図1参照)に相当する横端面44とが連接されている。縦端面41と横端面44との境界線には、折り目Lfが形成されている。縦端面41の内部には、縦端面41を重ね代41sと本体41bとに区画する区画線41fが形成されている。区画線41fは、縦端面41と横端面44との間の折り目Lfと平行に形成されている。横端面44の、折り目Lfとは反対側の縁部である上側縁部44etの端辺40tには、第1の組手としての上組手44mが形成されている。段ボールシート40の、上側縁部44etに対向する縁部である下側縁部41ebには、区画線41fに沿って重ね代41sが折り曲げられたときに出現する第2の組手としての下組手41mを構成する切れ目41cが形成されている。区画線41fに沿って延びる重ね代41sの両端は、接続部材21(図3参照)を取り付ける分だけ切り取られている。
【0036】
縦端面41の下側縁部41ebには、区画線41fに沿って延びるテープ18(便宜上一点鎖線で示す)が設けられている。テープ18は、幅方向の半分の接着剤塗布面が本体41bに貼り付けられており、残る半分の剥離紙を有する面が重ね代41sに接するように設けられている。テープ18は、区画線41fを跨いでおり、典型的には、接着剤塗布面と剥離紙との境界が、区画線41fに対してやや本体41b側に位置するように設けられている。また、段ボールシート40は、縦端面41と横端面44との間の折り目Lf上及び開口端となる端部40eに、液状発泡塗料Pが塗布されている。図4(a)では、便宜上、液状発泡塗料Pが一方の端部40eにしか示されていないが、典型的には両方の端部40eに塗布されている。
【0037】
上記のように構成された段ボールダクト基材4は、段ボールダクト基材1(図1参照)と同様、典型的には、区画線41f、折り目Lf及び切れ目41cや上組手44m等の加工並びにテープ18の貼付及び液状発泡塗料Pの塗布、部材情報の明示が工場で行われ、平積みの状態で現場に搬入される。現場に搬入されたら梱包を解き、部材情報を頼りに組み立てようとする段ボールダクト基材4を2枚(説明の便宜上ここでは不図示の符号「4A」、「4B」を用いてこれらを必要に応じて区別する)取り出したら、区画線41f及び折り目Lfに沿って内表面が内側になるように折り曲げる。縦端面41の区画線41fを折り曲げると、下組手41mが出現する。下組手41mが出現したら、一方の段ボールダクト基材4Aの上組手44mを他方の段ボールダクト基材4Bの下組手41mに嵌め込むと共に、他方の段ボールダクト基材4Bの上組手44mを一方の段ボールダクト基材4Aの下組手41mに嵌め込んで、各段ボールダクト基材4A、4Bの上側縁部44etを相手側の重ね代41sに載置する。段ボールダクト基材4を組み立てる際も、上側縁部44etが重ね代41sに載置されるために組み立てた形状(矩形状)を維持しやすく、テープ18の半分が本体41bに貼り付けられていて一人でも正確かつ容易にテープ18を嵌合部分に貼り付けることができ、簡便かつ安定的に段ボールダクト基材4をダクト400に組み立てることができる。複数組み立てたダクト400は、接続部材21(図3参照)を用いて接続することができる。
【0038】
図5に示すように、段ボールダクト基材4(図4参照)よりも大きいサイズの矩形直管ダクトの基材として、段ボールダクト基材5V、5Hとしてもよい。段ボールダクト基材5Vの原料となる段ボールシート51は縦端面41(図4参照)に相当し、段ボールダクト基材5Hの原料となる段ボールシート54は横端面44(図4参照)に相当して、2枚の段ボールシート51、54を組み合わせることにより、段ボールシート40(図4参照)と同等の2つの面を持つこととなる。それゆえ、段ボールダクト基材5V、5Hは各2枚ずつ、合計4枚を組み合わせることで矩形直管ダクトが形成される。この実施の形態では、段ボールシート51(54)1枚で矩形ダクトの1面を構成するため、ダクトの1面を段ボールシート51(54)の製作上形成可能な大きさの上限にすることができる。
【0039】
段ボールシート51は、矩形の対向する2つの縁部である下側縁部51ebに、重ね代51sと本体51bとを区画する区画線51fに沿って、重ね代51sが折り曲げられたときに出現する第2の組手としての下組手51mを構成する切れ目51cが形成されている。段ボールシート51は、下側縁部51ebが2つあるが本体51は両者に共通である。区画線51fに沿って延びる重ね代51sの両端は、接続部材21(図3参照)を取り付ける分だけ切り取られている。また、両方の下側縁部51ebには、区画線51fに沿って延びるテープ18が区画線51fを跨いで設けられている。テープ18は、幅方向の半分の接着剤塗布面が本体51bに貼り付けられており、残る半分の剥離紙を有する面が重ね代51sに接するように設けられている。また、段ボールシート51は、本体51b部分の開口端となる端部に液状発泡塗料P(図2参照)が塗布されている。他方、段ボールシート54は、矩形の対向する2つの縁部である上側縁部54etの端辺54tには、第1の組手としての上組手54mが形成されている。段ボールシート54は、開口端となる端部に液状発泡塗料P(図2参照)が塗布されている。
【0040】
上記のように構成された段ボールダクト基材5V、5Hは、段ボールダクト基材1、4(図1及び図4参照)と同様、典型的には、下組手51mを構成する凹部の底辺における区画線51f上の凹み及び切れ目51cや上組手54m等の加工並びにテープ18の貼付及び液状発泡塗料Pの塗布、部材情報の明示が工場で行われ、平積みの状態で現場に搬入される。現場に搬入されたら梱包を解き、部材情報を頼りに組み立てようとする段ボールダクト基材5V、5Hを各2枚ずつ(説明の便宜上それぞれに異なる不図示の符号「5V1」、「5H2」、「5V3」、「5H4」を付してこれらを必要に応じて区別する)取り出したら、段ボールダクト基材5V1、5V3については各区画線51fに沿って内表面が内側になるように折り曲げる。区画線51fを折り曲げると、下組手51mが出現する。下組手51mが出現したら、段ボールダクト基材5V1に対し、一方の下組手51mに段ボールダクト基材5H2の一方の上組手54mを嵌め込み、他方の下組手51mに段ボールダクト基材5H4の一方の上組手54mを嵌め込むと共に、段ボールダクト基材5V3に対し、一方の下組手51mに段ボールダクト基材5H2の他方の上組手54mを嵌め込み、他方の下組手51mに段ボールダクト基材5H4の他方の上組手54mを嵌め込む。これにより、各段ボールダクト基材5H2、5H4の上側縁部54etを各段ボールダクト基材5V1、5V3の重ね代51sに載置する。段ボールダクト基材5V、5Hを組み立てる際も、上側縁部54etが重ね代51sに載置されるために組み立てた形状(矩形状)を維持しやすく、テープ18の半分が段ボールダクト基材5H2、5H4に貼り付けられていて一人でも正確かつ容易にテープ18を嵌合部分に貼り付けることができ、簡便かつ安定的に段ボールダクト基材5V、5Hをダクト500に組み立てることができる。複数組み立てたダクト500は、接続部材21(図3参照)を用いて接続することができる。
【0041】
次に図6及び図7を参照して、段ボールダクト基材4(図4参照)と同様に構成された材料から継手の一種であるエルボを製作する例を説明する。図6は、段ボールシートからエルボの部材を製作する過程を説明する図である。図7は、エルボの部材からエルボを組み立てる過程を説明する図である。以下の説明において段ボールダクト基材4の構成について言及しているときは適宜図4をも参照することとする。この実施の形態では段ボールダクト基材4と同様に構成された2枚の段ボールシート60A、60Fを用意する。一方基材としての段ボールシート60A及び他方基材としての段ボールシート60Fには、段ボールダクト基材4における縦端面41及び横端面44に相当する縦端面61(61A、61Fの総称)及び横端面64(64A、64Fの総称)が折り目Lf(LfA、LfFの総称)によって区画されている。また、段ボールダクト基材4に倣って、横端面64の上側縁部64etの端辺60tには、第1の組手としての上組手64mが形成されており、縦端面61の下側縁部61ebには、区画線61fに沿って重ね代61sが折り曲げられたときに出現する第2の組手としての下組手61mを構成する切れ目61cが形成されている。なお、段ボールシート60A、60Fには接続部材21(図3参照)を取り付けるための切り欠きが形成されていない。
【0042】
そして図6(a)に示すように、段ボールシート60Aを長手方向で3つの部分60a、60b、60cに3分割するように切断線60ALを罫書き、段ボールシート60Fを長手方向で3つの部分60d、60e、60fに3分割するように切断線60FLを罫書く。切断線60AL、60FLは、横端面64上では端辺60tに対して所定の角度θの直線で、縦端面61上では端辺60tに直角の直線で形成されている。そして、一方の段ボールシート60Aに形成される2本の切断線60ALは、それぞれ、端辺60tの両端から等しい距離だけ内側の点を始点として、端辺60tから折り目LfAに向かって両切断線60ALの間隔が徐々に狭くなるように(換言すれば折り目LfAから見て先広がりに)形成される。ここでは、真ん中の部分60bの端辺60tに対する内角が所定の角度θとなる。所定の角度θは、エルボに組み立てられたときに、平面視における流体の導入口の面の垂線(導入面垂線)と導出口の面の垂線(導出面垂線)との角度(垂線挟角)に応じて適宜決定することができる。本実施の形態では、平面視における垂線挟角を90°としているために所定の角度θを67.5°にするが、垂線挟角を45°とする場合は所定の角度θを78.75°とすればよく、つまり所定の角度θは、(180°−(垂線挟角/2))/2の角度とすればよい。2つの切断線60ALは、折り目LfAに到達した後は下側縁部61ebの辺まで等間隔で形成される。
【0043】
また、他方の段ボールシート60Fに形成される2本の切断線60FLは、それぞれ、端辺60tの両端から、部分60a、60cの下側縁部61ebの辺に相当する長さだけ内側の点を始点として、端辺60tから折り目LfFに向かって両切断線60FLの間隔が徐々に広くなるように(換言すれば折り目LfFから見て先細りに)形成される。ここでは、真ん中の部分60eの端辺60tに対する外角(真ん中の部分60eの折り目LfFに対する内角)を所定の角度θとする。2つの切断線60FLは、折り目LfFに到達した後は下側縁部61ebの辺まで等間隔で形成される。このように形成されることで、部分60d、60fの端辺60tの長さは、部分60a、60cの下側縁部61ebの辺の長さと等しくなり、部分60d、60fの下側縁部61ebの辺の長さは、部分60a、60cの端辺60tの長さと等しくなる。また、部分60eの端辺60tの長さは、部分60bの下側縁部61ebの辺の長さと等しくなり、部分60eの下側縁部61ebの辺の長さは、部分60bの端辺60tの長さと等しくなる。各切断線60AL、60FLで切断して各部分60a〜60fに分割したものの各辺について、図6(b)に示すように符号を付けて区別する。
【0044】
そして図7(a)に示すように、一方の段ボールシート60Aを分割した部分60bの、辺64bqに部分60aの辺64aqを合わせ、辺64bpに部分60cの辺64cpを合わせて(辺同士を相互に入れ替え)、テープで接合する。辺64bqに辺64aqを合わせ、辺64bpに辺64cpを合わせる際は、裏表を逆にせず、換言すれば部分60a〜60cの向きを変えても内表面同士(外表面同士)を合わせるようにする。これにより、部分60aの所定の角度θと部分60bの所定の角度θ、及び部分60cの所定の角度θと部分60bの所定の角度θが隣接する。同様に、他方の段ボールシート60Fを分割した部分60eの、辺64epに部分60dの辺64dpを合わせ、辺64eqに部分60fの辺64fqを合わせて(辺同士を相互に入れ替え)、テープで接合する。辺64epに辺64dpを合わせ、辺64eqに辺64fqを合わせる際も、裏表を逆にせず、内表面同士(外表面同士)を合わせるようにする。これにより、部分60dの所定の角度θと部分60eの所定の角度θ、及び部分60fの所定の角度θと部分60eの所定の角度θが隣接する。なお、ここで用いるテープは、前述のテープ18(図1参照)と同様のものでよいが、剥離紙を有しておらずに巻回されているものを用いてもよい。
【0045】
各部材60a〜60fを上述のように貼り合わせたら、区画線61f及び折り目Lfに沿って内表面が内側になるように折り曲げる。縦端面61の区画線61fを折り曲げると、下組手61mが出現する。下組手61mが出現したら、部材60bの下組手61mに部材60eの上組手64mを嵌め込むと共に部材60eの下組手61mに部材60bの上組手64mを嵌め込む。また、部材60aの下組手61mに部材60dの上組手64mを嵌め込むと共に部材60dの下組手61mに部材60aの上組手64mを嵌め込み、部材60cの下組手61mに部材60fの上組手64mを嵌め込むと共に部材60fの下組手61mに部材60cの上組手64mを嵌め込む。このときも、それぞれの上側縁部64etが重ね代61sに面で接触して載置されるために組み立てた形状(矩形状)を維持しやすい。それぞれの下組手61mに上組手64mを嵌め込んだら、テープ18(図1参照)で嵌合部分を貼り付ける。このとき、区画線61fを跨ぐようにしてテープ18(図1参照)が予め半分貼り付けられている場合は、一人で組立作業をしても正確かつ容易にテープ18(図1参照)を嵌合部分に貼り付けることができ、簡便にエルボ600に組み立てることができる。
【0046】
それぞれの下組手61mに上組手64mを嵌合すると、辺61aqと辺61epとが接し、辺61bqと辺61dpとが接し、辺61bpと辺61fqとが接し、辺61cpと辺61eqとが接することとなる。これらの接した辺同士は、テープで接合される。なお、辺61ap、64ap、61dq、64dq、及び辺61cq、64cq、61fp、64fpは、開口端となる。組み立てられたエルボ600は、接続部材21(図3参照)を用いて直管ダクト等と接続することができる。このように製作されたエルボ600は、直管ダクトと同じ原料を用いているため、エルボのために別途型を起こさずに済み、部材の共用化を図ることができる。
【0047】
次に図8を参照して、変形例に係るエルボを製作する例を説明する。この実施の形態では、段ボールダクト基材1(図1参照)を原料とし、切断線66Lで切断して受部材67と嵌部材68とに分割する。ここで用いる段ボールダクト基材1は、底中面12及び天端面14の幅がW、側中面13の幅がH、側端面11の本体11bの幅がH−α(αは段ボールシート10の厚さ)であるとする。切断線66Lは、側端面11、底中面12、天端面14上では同一の仮想直線上にあり、側中面13上では天端面14上よりも幅Wに所定の長さkを加えた長さ分だけ受部材67の開口端となる端部10eの方向にずらしている。このことにより、側中面13が幅W+所定の長さk分だけ、受部材67では凹んでおり、嵌部材68では凸になっている。所定の長さkは、典型的には、重ね代11sの幅から厚さαを引いた長さである。嵌部材68の側中面13の凸の部分は、天端面14の切断線66LからW−αの位置で区画線12fが形成されている。これにより、嵌部材68の凸部の両脇の区画線12fまでの辺683A、683Bの長さはW−αとなっている。これに対し、受部材67の凹部の両脇の辺673A、673Bの長さはW+kとなっている。また、嵌部材68の側端面11は、底中面12の切断線66Lの位置から長手方向に所定の長さkだけ切り取られている。
【0048】
受部材67及び嵌部材68は、それぞれ上組手14mが下組手11mに嵌合されて組み立てられる(図8(b)参照)。そして、組み立てられた受部材67及び嵌部材68は、受部材67の辺672(及び辺674)が嵌部材68の辺683B(及び辺683A)に接するように互いに合わせられ、テープで接合される。このとき、受部材67及び嵌部材68の互いに接する辺に、組手となる対応する凹凸が形成されていてもよい。組手となる凹凸は、切断線66Lとして罫書かれて、この切断線66Lに沿って段ボールシート10が切断されることによって形成されることとしてもよい。組み立てられた受部材67及び嵌部材68が接合されると、エルボの内側の部分が、それぞれの部材に付き長さkに相当する幅に渡って開口となる。この開口を、湾曲した側壁を持つ補助部材69で塞ぐことにより、完成したエルボとなる。このように製作されたエルボは、基本的に(補助部材69を除き)直管ダクトと同じ原料を用いているため、エルボのために別途型を起こさずに済み、部材の共用化を図ることができる。
【0049】
また図示は省略するが、別の変形例に係るエルボを製作する例として以下のものが挙げられる。別の変形例に係るエルボは、図5(以下、この段落の説明においては適宜図5を参照)に示す段ボールダクト基材5V、5Hを加工して製作される。つまり、段ボールシート54をエルボの曲がりの形状に加工すると共に内周及び外周となる辺に組手となる凹部を形成する。これらの加工は典型的には工場で行われ、これを2枚用意する。他方、段ボールダクト基材5Vを、エルボの形に加工した段ボールシート54の内周に相当する長さのものと外周に相当する長さのものとに加工して、合計2枚用意する。これら合計4つの部材を組み立てることで(このとき段ボールダクト基材5Vは湾曲する)、別の変形例に係るエルボを製作することができる。なお、この要領でレジューサ等の、エルボ以外の部材も製作することができる。この要領をレジューサに適用する場合は、段ボールシート54をレジューサの異径が現れる面(以下「異径面」という。)の輪郭の形状に加工すると共にこれと直交する面(以下「直交面」という。)と接する辺に組手となる凹部を形成する。これを2枚用意する。他方、段ボールダクト基材5Vを、2つの直交面に相当する長さのものにそれぞれ加工して、合計2枚用意する。これら合計4つの部材を組み立てることでレジューサを製作することができる。
【0050】
次に図9を参照して、段ボールダクト基材4(図4参照)と同様に構成された材料から継手の一種である分岐(チーズ)を製作する例を説明する。図9は、段ボールダクト基材から分岐の部材を製作する過程を説明する図であり、(a)は段ボールダクト基材の平面図、(b)はメイン部分を組み立てた状態の斜視図、(c)、(d)は取り出しの部分の斜視図である。以下の説明において段ボールダクト基材4の構成について言及しているときは適宜図4をも参照することとする。この実施の形態では、メイン部分の構成として、段ボールダクト基材4を2つ使用する。ここで用いる段ボールダクト基材4は、縦端面41の本体41b部分の幅がH、横端面44の幅がWとなっている。そして、一方の段ボールダクト基材4に対して以下の加工を行って段ボールダクト基材7とする。つまり、段ボールダクト基材7は、縦端面41内に、長手方向に長さW(横端面44の幅Wに等しい)の開口70hが形成されている。開口70hは、段ボールダクト基材7、4を組み立てたときに取り出しとなる部分であり、取り出しの幅W(開口70hの幅W)をメイン部分の幅W(横端面44の幅W)と共通にしているのは、取り出し部分の開口面積がメイン部分の開口面積以下になることを前提としているためである。開口70hは、実質的に幅W×幅H−2α(αは厚さ)の矩形に形成されており、当該矩形の3辺が段ボールシートに接している。段ボールダクト基材7の横端面44の端辺44tに対向する辺の開口70hに接する部分には、上組手74mとなる凹凸が形成されている。
【0051】
上述のように構成された段ボールダクト基材7を段ボールダクト基材4と組み合わせ、ダクト400(図4(b)参照)を組み立てるのに倣って組み立てると、メイン部分のダクト700が製作される(図9(b)参照)。ダクト700には、1つの面に開口70hが現れている。この開口70hに、分岐される系統として接続されるダクト(不図示)に対応する取出部材78(図9(c)参照)や取出部材79(図9(d)参照)等を接続することで、チーズ(分岐部材)が構成される。取出部材78、79は、段ボールダクト基材5V(図5(a)参照)の長手方向を開口70hの幅Wに相当する長さに形成したものをベースとして、段ボールダクト基材5Vの本体51b(図5(a)参照)部分に相当する位置にカラー78j、79jが設けられて構成されている。カラー78j、79jは、接続されるダクトの内周に沿う形状となるように帯状の部材が環状に形成され、本体51b(図5(a)参照)部分に相当する面に対して実質的に垂直に設けられている。ここでいう実質的に垂直とは、接続されるダクトを差し込みやすいように、あるいは接続されたダクトが外れにくくなるように、垂直に対して内側又は外側に傾ける場合を包含することを意図している。取出部材78は角ダクトを接続する場合に用いられ、取出部材79は丸ダクトを接続する場合に用いられる。取出部材78、79のカラー78j、79jで囲まれた内部は開口となっている。取出部材78、79についても組手部分に予めテープ18(図1参照)を貼り付けておくことにより、施工の省力化を図ることができる。
【0052】
上述のように構成されたチーズ(分岐部材)は、比較的小さい取出部材78、79を別途用意するだけで、大部分を占めるメイン部分のダクト700は直管ダクトと同じ原料を用いているため、チーズのために大きな型を別途起こさずに済み、部材の共用化を図ることができる。また、メイン部分のダクト700の開口70hは取り出しのダクトサイズにかかわらず統一されているので、取出部材78、79のカラー78j、79jのサイズを変えるだけであらゆるサイズの取り出しのダクトに対応でき、共用化を促進することができる。
【0053】
次に図10を参照して、メイン部分のダクト700(図9参照)の開口70hに取り付け可能な変形例に係る取出部材80Aを説明する。図10はメイン部分に取り付けるさらに別の取出部材80Aを説明する図である。ここでの説明においては適宜図9をも参照することとする。図10(a)では、部品としての組手部材88を示しており、ダクト700の開口70hの幅Wに相当する長さを持つ帯状に形成された段ボールシートの長手方向の一方の辺に、開口70hまわりの上組手44m又は上組手74mと嵌合する凹凸が形成されている。図10(b)では、部品としての厚み調節部材89を示しており、ダクト700の縦端面41の幅Hに相当する長さを持つ帯状に段ボールシートが加工されて形成されている。
【0054】
図10(c)に示す段ボールシート80は、段ボールシート10(図1参照)を基に加工して形成されたものであり、軸方向(取出部材80Aとなったときに流体が流れる方向)の長さが、メイン部分のダクト700への差し込み代と、接続されるダクトへの差し込み代と、厚み調節部材89の幅とを加えた長さに形成されている。段ボールシート80は、主要部分が段ボールシート10(図1参照)の側端面11、底中面12、側中面13、天端面14の各部分と同様に構成された、一方横面81、一方縦面82、他方横面83、他方縦面84を有している。段ボールシート80は、一方横面81において区画線81fを境界として重ね代81sと本体81bとに区画されており、区画線81fに沿って下組手81mとなる凹凸を形成可能な切れ目が形成されている。また、段ボールシート80は、他方縦面84の1つの辺に下組手81mと嵌合する上組手84mが形成されている。段ボールシート80は、一方横面81の本体81b及び他方横面83の幅がW、一方縦面82及び他方縦面84の幅がH−2α(αは段ボールシート80の厚さ)となっている。
【0055】
段ボールシート80は、一方縦面82と他方縦面84とが、メイン部分のダクト700への差し込み代に相当する長さに渡って切除されている。これにより、メイン部分のダクト700への差し込み代に相当する長さだけ、一方縦面82及び他方縦面84は凹んでおり、逆の見方をすれば一方横面81及び他方横面83は凸になっている。そして、一方縦面82及び他方縦面84に、これらの凹の底面に沿って厚み調節部材89が取り付けられている。また、一方横面81及び他方横面83には、組手部材88が、厚み調節部材89を延長した同一仮想直線上に取り付けられている。ここで、厚み調節部材89の長さがHであるのに対して一方縦面82及び他方縦面84の幅がH−2αであるため、厚み調節部材89の両端が長さαずつ一方縦面82及び他方縦面84から飛び出るように取り付ける。長さαだけ飛び出た厚み調節部材89は、両端部は段ボールシート80に固着せずに両端を組手部材88上に重ねた状態とする。
【0056】
図10(d)に示す取出部材80Aは、組手部材88及び厚み調節部材89が取り付けられた段ボールシート80が、区画線81f及び折り目Lfで折り曲げられ、下組手81mに上組手84mが嵌合されて組み立てられることにより製作される。このように製作された取出部材80Aは、組手部材88の凹凸がダクト700の開口70hまわりの上組手74m、44mに嵌合され、ダクト700と一体でチーズ(分岐部材)を構成する。取出部材80Aとダクト700との接合部は、テープを貼り付けて隙間を塞ぐのが好適である。取出部材80Aの、ダクト700との接続部とは反対側には、レジューサ99等の分岐される系統のダクトが差し込み接続される。取出部材80Aとレジューサ99等との接合部は、テープ等で固定するのが好適である。上述のように構成された取出部材80Aは、組み立て前の平板のような状態(図10(c)参照)で現場に搬入することができるので、図9に示すチーズ(分岐部材)の利点を備えつつ運搬効率を向上させることができる。
【0057】
なお、取出部材80Aに代えて、接続部材21(図3参照)を用いてレジューサ99等の分岐される系統のダクトをダクト700の開口70hに取り付けることとしてもよい。
【0058】
以上の説明における段ボールシートは、典型的には全体が紙で製造されているが、一部又は全部が紙以外の素材で製造されていてもよい。
【0059】
以上の説明では、エルボやチーズ(分岐部材)も組手及び重ね代を用いて組み合わされるとしたが、組手及び重ね代を用いずに直線状の辺同士を突き合わせてテープで接合してもよい。換言すれば、部材の共用化や運搬効率を向上させることができる、上述したエルボやチーズ(分岐部材)は、組み立ての際に組手及び重ね代を用いずに従来のような突き合わせてテープ等で接合するものにおいても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、4、5V、5H 段ボールダクト基材
10、40、51、54 段ボールシート
10e 開口端となる端部
10s 一辺
11b、41b、51b、81b 本体
11c、41c、51c、61c 切れ目
11f、41f、51f、61f、81f 区画線
11m、41m、51m。61m、81m 下組手
11eb、41eb、51eb,61eb 下側縁部
11s、41s、51s、61s、81s 重ね代
14et、44et、54et、64et 上側縁部
14m、44m、54m、64m、84m 上組手
18 テープ
60A 一方基材
60F 他方基材
60AL 一方切断線
60FL 他方切断線
61A、61F 縦端面
64A、64F 横端面
70h 分岐用開口
78 取付部材
79 取付部材
80A 取付部材
99 レジューサ
100、400、500 ダクト
600 エルボ
700 開口付直管ダクト
LfA 一方境界線
LfF 他方境界線
θ 所定の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形の中芯の両面が平らなライナで挟まれた段ボールシートで形成された段ボールダクト基材であって;
前記段ボールシートの一辺に沿った縁部である下側縁部に、上側縁部が重なる重ね代を区画する区画線を有し;
前記上側縁部は、端辺に第1の組手が形成された段ボールシートの縁部であり;
さらに、前記区画線に沿って前記重ね代を折り曲げたときに前記第1の組手と嵌合する第2の組手が前記区画線上に形成されるように、前記区画線から前記重ね代側に突出した凸状の切れ目が形成された;
段ボールダクト基材。
【請求項2】
前記区画線に対して前記重ね代側とは反対側の本体側と、前記重ね代側と、に前記区画線を跨いで設けられたテープであって、前記本体側で前記段ボールシートに貼付され、前記重ね代側に前記段ボールシートとの接着を防ぐ剥離紙を有するテープを備える;
請求項1に記載の段ボールダクト基材。
【請求項3】
前記段ボールシートに形成された折り目の谷折り側に、又はダクトを形成したときに開口端となる端部に、弾性を有する発泡性の液状の塗料が塗布された;
請求項1又は請求項2に記載の段ボールダクト基材。
【請求項4】
断面が矩形の直管ダクトの第1の面、前記第1の面に隣接する第2の面、前記第2の面に隣接する第3の面、前記第1の面及び前記第3の面に隣接する第4の面のうち、前記第1の面及び前記第2の面を構成可能な基材である一方基材と、前記第3の面及び前記第4の面を構成可能な基材である他方基材と、を用いて段ボールダクト部材を製造する方法であって;
前記一方基材を2つの一方切断線で切断して3分割する工程であって、前記一方切断線が、前記第1の面と前記第2の面との境界を形成する一方境界線から見て、前記第1の面側には所定の角度で先広がりで延び、前記第2の面側には垂直に延びている、前記一方境界線で折れた折れ線状に形成されている一方基材切断工程と;
前記他方基材を2つの他方切断線で切断して3分割する工程であって、前記他方切断線が、前記第3の面と前記第4の面との境界を形成する他方境界線から見て、前記第3の面側には前記所定の角度で先細りで延び、前記第4の面側には垂直に延びている、前記他方境界線で折れた折れ線状に形成されていると共に、前記第3の面の前記他方境界線に対向する辺における前記2つの他方切断線間の距離が前記一方境界線上における前記2つの一方切断線間の距離と等しく形成されている他方基材切断工程と;
3分割された前記一方基材を、前記2つの一方切断線で切断されて形成された辺のうち前記第1の面における辺同士を相互に入れ替えて前記所定の角度が隣接するように接合する一方基材接合工程と;
3分割された前記他方基材を、前記2つの他方切断線で切断されて形成された辺のうち前記第3の面における辺同士を相互に入れ替えて前記所定の角度が隣接するように接合する他方基材接合工程と;
前記一方基材接合工程で形成された一方接合基材と、前記他方基材接合工程で形成された他方接合基材とを嵌め合わせる嵌合工程とを備え;
前記一方基材及び前記他方基材が請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の段ボールダクト基材で形成された;
段ボールダクト部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の段ボールダクト基材を用いて、断面が矩形の直管ダクトの一面に前記直管ダクトの開口面積と等しい分岐用開口が形成された開口付直管ダクトを形成する開口付直管ダクト形成工程と;
前記分岐用開口に、分岐用ダクトを接続可能な取付部材を取り付ける取付部材設置工程とを備える;
段ボールダクト部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106725(P2011−106725A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261602(P2009−261602)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000175803)三建設備工業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】