説明

段ボール箱を用いた希釈法及びフラップ開放支持枠

【課題】 ペースト糊が保持された段ボール箱等のように耐水性袋を内部に保持させた段ボール箱を用いて同じ濃度の希釈とする希釈法を得る。
【解決手段】 耐水性袋を内部に保持させた上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱を用いた希釈法であって、段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、この立設状態を保持させる支持枠を装着する工程と、耐水性袋の開口縁部をフラップの上端を跨いで掛け渡し、前記耐水性袋の開口端縁部を固定する工程と、耐水性袋内部に予め定められた水を加えて、これを撹拌する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐水性袋を内部に保持させた段ボール箱を用いた希釈法に関し、更に、段ボール箱の上部開口の中央で閉じるフラップを立設状態で支持する支持枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の段ボール箱の多くのものは、上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる。この段ボール箱には種々の製品を梱包して保存・搬送・市販されるが、中でも壁紙施工用接着剤は、ペースト状接着剤(以下、ペースト糊と記す)を防水袋内に充填し、これを段ボール箱に保持させたものがある。このようなペースト糊は、水を加えて良く混合し、規定の濃度にして使用される。
【0003】
例えば、高粘度溶液用攪拌羽根(特許文献1)を撹拌棒(特許文献2)に装着して、電気ドリル等の回転力によってペースト糊の糊液を調整することが行われている。
【0004】
【特許文献1】実公平07−028913号公報
【特許文献2】特開2003−210964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペースト糊の調整は、糊付作業現場又はその近傍で行われる。この場合、希釈するための容器が必要となる。しかしながら、一度に大量の糊液を調整する場合には、多数の容器が必要となり、容器が少なければ、使用している容器が終了するのを待って新たな糊液を調整する必要があった。また、希釈する度に、容器を清潔に洗浄しないと、容器内にバクテリア等が繁殖し、次に希釈する糊液が腐敗するおそれがあった。その他、希釈する際、前回希釈した糊が残存していると、容器内の希釈水量が解らず、希釈水を計量できる容器を別に準備しないと、一定の希釈率にすることは困難であった。
【0006】
本発明は、例えば、ペースト糊が保持された段ボール箱等のように耐水性袋を内部に保持させた段ボール箱を用いて同じ濃度の希釈とする希釈法を得ることを目的とする。更に、この希釈法に使用することのできる開放支持枠を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明に係る段ボール箱を用いた希釈法は、耐水性袋を内部に保持させた上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱を用いた希釈法であって、
前記段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、この立設状態を保持させる支持枠を装着する工程と、
前記耐水性袋の開口縁部をフラップの上端を跨いで掛け渡し、前記耐水性袋の開口端縁部を固定する工程と、
被希釈物を収容した前記耐水性袋内部に予め定められた水を加えて、これを撹拌する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明に係る段ボール箱を用いた希釈法は、請求項1に記載の耐水性袋内部に加える水の量を示す印が、前記段ボール箱の内壁、フラップ内壁、又は開放支持枠に記されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明に係る段ボール箱フラップ開放支持枠は、上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持する支持枠において、
前記支持枠は、
立設状態の前記1組以上のフラップに合致する枠形状と、
前記枠形状の段ボール箱側に形成された立設状態のフラップの頂端に装着されるフラップホールド部とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明に係る段ボール箱フラップ開放支持枠は、請求項3に記載のフラップホールド部が、立設状態のフラップの外側を押さえる外方片と、立設状態のフラップの内側を押さえる内方片とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明に係る段ボール箱フラップ開放支持枠は、請求項1又は2に記載の立設状態のフラップの頂端に装着した支持枠上端を跨いで掛け渡した段ボール箱内部に保持された耐水性袋の開口縁部を保持する緊締バンドのガイド溝が、前記支持枠の側壁に連続的又は不連続的に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明した通り、例えば、ペースト糊が保持された段ボール箱等のように耐水性袋を内部に保持させた段ボール箱を用いて同じ濃度とすることのできる希釈法を得ることができる。更に、この希釈法に使用することのできる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持することのできる開放支持枠を得ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の段ボール箱フラップ開放支持枠を用いた希釈法は、耐水性袋を内部に保持させた上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱を用いた希釈法であって、前記段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、この立設状態を保持させる支持枠を装着する工程と、前記耐水性袋の開口縁部をフラップの上端を跨いで掛け渡し、前記耐水性袋の開口端縁部を固定する工程と、被希釈物を収容した前記耐水性袋内部に予め定められた水を加えて、これを撹拌する工程とを備える。これにより、段ボール箱のフラップを含む高さ分まで容器として利用することができるため、例えば、希釈用の容器のない現場でも、同じ希釈量の糊液を調整することができる。
【0014】
また、好ましくは、耐水性袋内部に加える水の量を示す印が、前記段ボール箱の内壁、フラップ内壁、又は開放支持枠に記されている。即ち、耐水性袋を保持する段ボール箱の容積は保持する段ボール箱によって決定される。そのため、段ボール箱の容積に応じた印を段ボール箱の内壁、フラップ内壁、又は開放支持枠に記すことにより、必要な量の水を添加することができる。
【0015】
本発明の希釈法において使用する支持枠としては、段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、この立設状態を保持させるものであればよい。従って、隣接するフラップ同士を連結するものであってもよいが、より好ましくは、立設状態の1組以上のフラップに合致する枠形状を有するものである。
【0016】
本発明の希釈法において使用する支持枠としては、更に、フラップの上端を跨いで掛け渡した耐水性袋の開口端縁部を固定する手段を支持枠に備えているものが好ましい。固定手段としては、粘着材によるもの等種々のものが考慮されるが、バンドの緊締が最も簡便で確実な固定が可能である。緊締されるバンドとしては、紐部材、ゴムバンド等が選択される。
【0017】
本発明においては、上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持する支持枠であって、前記支持枠は、立設状態の前記1組以上のフラップに合致する枠形状と、前記枠形状の段ボール箱側に形成された立設状態のフラップの頂端に装着されるフラップホールド部とを備えた段ボール箱フラップ開放支持枠である。これにより、1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持することができる。
【0018】
本発明のフラップホールド部は、好ましくは、立設状態のフラップの外側を押さえる外方片と、立設状態のフラップの内側を押さえる内方片とを備える。これら外方片と内方片とは、不連続的又は連続的に形成させる。連続的に形成されればフラップホールド部は溝状となる。また、装着しやすいように、一部の外方片の先端部を外向きに曲折したり、一部の内方片の先端部を内向きに曲折したりしてもよい。
【0019】
更に、本発明の支持枠は、好ましくは、立設状態のフラップの頂端に装着した支持枠上端を跨いで掛け渡した段ボール箱内部に保持された耐水性袋の開口縁部を保持する緊締バンドのガイド溝が、前記支持枠の側壁に連続的又は不連続的に形成されている。これにより、段ボール箱内部の耐水性袋を容器として利用することができる。この場合、耐水性袋は段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、前記耐水性袋の開口縁部を立設状態のフラップの上端を跨いで掛け渡すことのできる大きさであればよい。
【0020】
耐水性袋としては、撹拌する工程の際に被希釈物を収容するものであればよく、その素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニール、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリプロピレン等の材質のものが利用される。また、これら材質を単独だけでなく積層してもよく、更に金属蒸着したものをも用いることができる。更に、容器として利用する場合には、微小な傷が付いても破断しないような厚さのものが用いられる。
【0021】
本発明の段ボール箱フラップ開放支持枠は、段ボール箱のフラップを立設状態で確実に支持することができればよく、材質には何らこだわらない。例えば、金属、樹脂、木製、セラミック製、紙製等のものが選択することができるが、後述するように希釈容器として耐水性袋を用いる場合には、紙製の材質では充分な耐水処理を施す必要がある。
【0022】
また、支持枠は、変形不能な枠構造でもよいが、組み立てて枠構造とするものでもよい。その場合には、枠構造として充分な強度を有する必要がある。
【実施例】
【0023】
図1は本発明の段ボール箱フラップ開放支持枠の一実施例の構成を示す平面図である。図2は図1の正面図である。図3は図1のAA断面図である。図に示す通り、本実施例の支持枠10は、上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持するものである。
【0024】
具体的には、支持枠10は立設状態の2組のフラップに合致する矩形状の枠形状を有し、支持枠10の段ボール箱側には、立設状態の2組のフラップの頂端に装着されるフラップホールド部11を備える。
【0025】
フラップホールド部11は、立設状態のフラップの外側を押さえる外方片12と、立設状態のフラップの内側を押さえる内方片13とが不連続的に配されている。また、支持枠の側壁には、段ボール箱内部に保持された耐水性袋の開口縁部を保持する緊締バンドのガイド溝14が、前記支持枠10の4角に形成されている。
【0026】
図4は図1に示した段ボール箱フラップ開放支持枠を用いた希釈法の概要図である。図に示す通り、被希釈物としてのペースト糊42を耐水性袋としてのビニール袋43内に封止し、このビニール袋43を保持した段ボール箱41がある。段ボール箱41の4つのフラップ45を立設状態にして、その頂部に支持枠10を装着する。
【0027】
段ボール箱41内部のペースト糊42を封止したビニール袋43の開口縁部を引き延ばし、支持枠10上端を跨いで掛け渡し、ビニール袋43の開口端縁部を広げて支持枠10の側壁に沿わせて、ビニール袋43の上から緊締バンド46のガイド溝14にバンドを掛け渡してビニール袋を支持枠10に固定する。
【0028】
ビニール袋43の内部に半分以上の容量の水を加えて、内部のペースト糊42を撹拌羽根50で撹拌して溶かす。尚、攪拌羽根50はビニール袋43を傷付けないように羽根の全周囲をガードするものを使用する方がよい。ペースト糊42が溶けた後、支持枠10の内周面下縁まで水を加えて、規定の量とし、軽く撹拌して所定の濃度の糊液が調整される。
【0029】
また、ビニール袋43内部に加える水の量を示す印として支持枠10の内周面下縁を用いたが、状況に応じて、段ボール箱の内壁やフラップ内壁等に印を施して、この印を用いても良い。
【0030】
以上のように、単にペースト糊42とこれを保持する段ボール箱41のみでは、希釈率の高い糊液はできないが、本実施例の開放支持枠を用いることにより、段ボール箱41のフラップを含む高さ分まで容器として利用することができる。このため、希釈用の容器のない現場でも、同じ希釈量の糊液を調整することができる。また、容器を希釈毎に洗浄する必要がなく、バクテリア等による腐敗のおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の段ボール箱フラップ開放支持枠の一実施例の構成を示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のAA断面図である。
【図4】図1に示した段ボール箱フラップ開放支持枠を用いた希釈法の概要図である。
【符号の説明】
【0032】
10…支持枠、
11…フラップホールド部、
12…外方片、
13…内方片、
14…緊締バンド用ガイド溝、
41…段ボール箱、
42…ペースト糊、
43…ビニール袋、
45…フラップ、
46…緊締バンド、
50…攪拌羽根、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐水性袋を内部に保持させた上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱を用いた希釈法であって、
前記段ボール箱の1組以上のフラップを立設させ、この立設状態を保持させる支持枠を装着する工程と、
前記耐水性袋の開口縁部をフラップの上端を跨いで掛け渡し、前記耐水性袋の開口端縁部を固定する工程と、
被希釈物を収容した前記耐水性袋内部に予め定められた水を加えて、これを撹拌する工程とを備えたことを特徴とする段ボール箱を用いた希釈法。
【請求項2】
前記耐水性袋内部に加える水の量を示す印が、前記段ボール箱の内壁、フラップ内壁、又は開放支持枠に記されていることを特徴とする請求項2に記載の段ボール箱を用いた希釈法。
【請求項3】
上部開口を対向する1組以上のフラップを折って閉じる段ボール箱のフラップ同士を立設状態で支持する支持枠において、
前記支持枠は、
立設状態の前記1組以上のフラップに合致する枠形状と、
前記枠形状の段ボール箱側に形成された立設状態のフラップの頂端に装着されるフラップホールド部とを備えたことを特徴とする段ボール箱フラップ開放支持枠。
【請求項4】
前記フラップホールド部が、立設状態のフラップの外側を押さえる外方片と、立設状態のフラップの内側を押さえる内方片とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の段ボール箱フラップ開放支持枠。
【請求項5】
前記立設状態のフラップの頂端に装着した支持枠上端を跨いで掛け渡した段ボール箱内部に保持された耐水性袋の開口縁部を保持する緊締バンドのガイド溝が、前記支持枠の側壁に連続的又は不連続的に形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の段ボール箱フラップ開放支持枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−63357(P2007−63357A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249277(P2005−249277)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(591012738)ヤヨイ化学工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】