説明

段積み装置

【課題】複数の台車を適切に段積みできる段積み装置を提供する。
【解決手段】段積み装置1は、台車2の車輪支持体を台車本体に対して回転させて車輪の向きを変更する回転可能な向き変更用回転体31を備える。段積み装置1は、機枠11内で昇降可能な昇降体71と、昇降体71とともに昇降可能で支持位置に位置した状態で台車2の台車本体を支持する支持体72とを備える。段積み装置1は、昇降体71とともに昇降可能で規制位置に位置した状態で車輪の向き変更後の台車2の車輪支持体が台車本体に対して回転することを規制する規制体を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の台車を段積みする段積み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された段積み装置が知られている。
【0003】
この従来の段積み装置は、機枠内で昇降可能な門型の昇降体と、昇降体の両脚部の下端部に設けられ支持位置および非支持位置に移動可能であり支持位置に位置した状態で台車を支持する台車保持用爪である支持体と、機枠の底部に機枠の入口開口部より奥部に伸びる台車案内レールとを備えている。
【0004】
そして、この段積み装置にて段積みされる台車は、フレームの後部側に立設された左右一対の把手を有し、各把手の上部には上積みされる台車のフレームを位置ずれなく受け入れる段積係合部が形成され、フレームの前部側には上積みされる台車のフレームを保持する段積係合部が設けられ、これら前後の段積係合部によって上下台車間の位置ずれが防止される。
【特許文献1】特開平11−59906号公報(図1、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の段積み装置では、位置ずれ防止用の段積係合部を前後に有する台車であれば段積みできるが、例えばそのような前後の段積係合部を有しない台車の場合には段積みできないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、複数の台車を一の台車の車輪が他の台車の台車本体上に載置される状態に適切に段積みできる段積み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の段積み装置は、台車本体と、この台車本体に上下方向の軸を中心として回転可能に設けられた車輪支持体と、この車輪支持体にて回転可能に支持された車輪とを有する複数の台車を、一の台車の車輪が他の台車の台車本体上に載置される状態に段積みする段積み装置であって、車輪が載置された状態で回転することにより車輪支持体を台車本体に対して回転させて車輪の向きを変更する向き変更用回転体と、昇降可能な昇降体と、この昇降体とともに昇降可能で、かつ支持位置および非支持位置に移動可能であり、支持位置に位置した状態で台車本体を支持する支持体と、前記昇降体とともに昇降可能で、かつ規制位置および非規制位置に移動可能であり、規制位置に位置した状態で車輪の向き変更後の台車の車輪支持体が台車本体に対して回転することを規制する規制体とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の段積み装置は、請求項1記載の段積み装置において、規制体は、支持体が支持位置に位置した状態時に、規制位置に移動することにより車輪に当接して車輪支持体の台車本体に対する回転を規制するものである。
【0009】
請求項3記載の段積み装置は、請求項2記載の段積み装置において、台車は、少なくとも前後左右4つの車輪を有し、向き変更用回転体は、後側の2つの前記車輪の向きを前側の2つの前記車輪の向きとは反対になるように変更し、規制体は、前記各車輪に当接して車輪支持体の台車本体に対する回転を規制するものである。
【0010】
請求項4記載の段積み装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の段積み装置において、向き変更用回転体は、上面上に車輪が載置された状態で回転する回転板部と、この回転板部の上面に立設され、互いに離間対向する対をなす車輪ガイド板部とを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、向き変更用回転体にて車輪の向きが変更された台車の車輪支持体が台車本体に対して回転することを規制体が規制するため、複数の台車を一の台車の車輪が他の台車の台車本体上に載置される状態に適切に段積みできる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、規制体は支持体が支持位置に位置した状態時に規制位置に移動することにより車輪に当接して車輪支持体の台車本体に対する回転を規制するため、規制体にて車輪支持体の台車本体に対する回転を適切に規制できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、少なくとも前後左右4つの車輪を有する複数の台車を一の台車の車輪が他の台車の台車本体上に載置される状態に適切に段積みできる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、対をなす車輪ガイド板部間に車輪を位置させた状態で回転板部を回転させることにより、車輪の向きを適切に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の段積み装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図6において、1は段積み装置で、この段積み装置1は、複数の台車2を上下方向に複数段状に段積みする段積み動作(スタッカー動作)および段積みされた複数の台車2を1台ずつ切り出す切り出し動作(1台切出動作)等を行う台車スタッカーである。
【0017】
台車2は、図14に示すように、ケース等の荷物(図示せず)が上面上に載置される外形略矩形状で略板状の台車本体3と、台車本体3の4つの角部に上下方向の軸6を中心として回転可能に設けられた車輪支持体4と、各車輪支持体4にて水平方向の軸7を中心として回転可能に支持された前後左右4つの自在車輪である車輪5とを有している。台車本体3は、荷物が上面上に載置される外形略矩形状で前後方向にやや長手状の水平板部8と、水平板部8の外周端部に立設された立設板部である鉛直板部9とを有している。水平板部8には、前後方向にやや長手状の2つの孔部8aが形成されている。
【0018】
そして、複数の台車2は、段積み装置1の段積み動作に基づき、一の台車(上下に隣接する台車のうちの上側の台車)2の前後左右4つの車輪5が他の台車(上下に隣接する台車のうちの下側の台車)2の台車本体3の水平板部8の4つの角部の上面上にその上面に直接接触して載置される状態として段積み領域10に段積みされる(図2等参照)。
【0019】
この段積みの際、前後左右4つの車輪5は、内向きの状態で、平面視で台車本体3の外周端部から外方に突出しておらず、台車本体3の水平板部8上に直接載置され、鉛直板部9との接触により水平板部8上からの落下が防止される。
【0020】
なお、図14から明らかなように、台車2の移動時には、台車2の前後左右4つの車輪5は、移動方向に対して後方を向いた状態となり、後側の2つの車輪5は、その略半部が平面視で台車本体3の後端部から後方に向って突出している。また、図8に示されるように上下方向の軸6の軸芯を通る縦軸線Yと水平方向の軸7の軸芯を通る横軸線Xとは交差せず、横軸線Xは、縦軸線Yより移動方向後方に位置する。
【0021】
段積み装置1は、フレーム材等により箱形状に形成され内部に空間部である段積み領域10を有する機枠11を備えている。機枠11の一方の側面には台車入口部12が開口形成され、機枠11の他方の側面下部には台車出口部13が開口形成されている。
【0022】
台車入口部12の一部である両側部分は、互いに離間対向する一対の手動ガイドゲート等の開閉体14にて開閉可能となっている(図6参照)。各開閉体14は、機枠11に上下方向の軸15を中心として開位置および閉位置に略90度回転可能に設けられている。
【0023】
両開閉体14が閉位置に位置して台車入口部12の両側部分が閉じられた状態で台車2が機枠11内の段積み領域10に段積みされるが、例えば作業者の手作業等にて既に段積みされた台車2を機枠11内の段積み領域10に搬入供給する場合や、段積み領域10が段積みされた台車2で満杯になった場合等には、両開閉体14を開位置まで回転させて台車入口部12全体を開口させる。
【0024】
また、機枠11の台車入口部12の下部に連通した入口側待機領域16の底部には、台車2の車輪5を案内する一対の第1案内レール21が敷設されている。各第1案内レール21は、台車入口部12側に向って上り傾斜状の傾斜状部分21aと、この傾斜状部分21aの上端に連設された水平状部分21bとにて構成されている。各第1案内レール21は、車輪5を案内する案内底面22と、案内底面22の幅方向両端部に立設され互いに離間対向し車輪5が案内底面22上から落下することを防止する一対の案内側面23とを有している。
【0025】
さらに、段積み領域10の底部と機枠11の台車出口部13に連通した出口側待機領域17の底部とにわたって、台車2の車輪5を案内する一対の第2案内レール26が全長にわたって水平状に敷設されている。各第2案内レール26は、第1案内レール21と同様、車輪5を案内する案内底面27と、案内底面27の幅方向両端部に立設され互いに離間対向し車輪5が案内底面27上から落下することを防止する一対の案内側面28とを有している。
【0026】
そして、第1案内レール21の案内終端部と第2案内レール26の案内始端部との間には、台車2の後側の2つの車輪5が上面上に載置された状態で台車2の軸6と同一直線上に位置する上下方向の軸(図示せず)を中心つまり縦軸線Yを中心として略180度回転することにより、車輪支持体4を台車本体3に対して軸6を中心に回転させて後側の2つの車輪5の向きを前側の2つの車輪5の向きとは反対になるように変更する一対の回転テーブル等の向き変更用回転体31が配設されている。すなわち、向き変更用回転体31は、段積み領域10の底部であって台車入口部12に近接して配設されている。
【0027】
各向き変更用回転体31は、図7および図8に示すように、向き変更用回転体31を回転させる回転体駆動手段であるロータリーシリンダ32の回転部33に取り付けられている。各向き変更用回転体31は、ロータリーシリンダ32の作動により台車2の車輪5が上面上に載置された状態で回転する略円板状の回転板部34を有し、この回転板部34がロータリーシリンダ32の回転部33の上面に水平状に取り付けられ、この回転板部34の上面が第1案内レール21の水平状部分21bの案内底面22および第2案内レール26の案内底面27と同一面上に位置している。
【0028】
また、回転板部34の一方側上面上には、案内底面22上を移動してきた車輪5が間に挿入される互いに離間対向する一対の車輪ガイド板部35が立設されている。各車輪ガイド板部35は、台車2の車輪5の移動方向(図7中、矢印方向)に対して平行状に位置する第1板部分35aと、車輪5の移動方向に向って離間距離が減少するように車輪5の移動方向に対して傾斜状に位置する第2板部分35bとにて構成されている。
【0029】
また一方、段積み装置1は、台車2を機枠11内の段積み領域10に搬入する台車搬入時に、入口側待機領域16に位置した台車2を台車入口部12を通過させて段積み領域10まで、すなわち例えばシリンダ式のストッパ手段40に当接するまで案内レール21,26上を移動方向(搬送方向)に沿って移動させる第1台車移動手段41を備えている。また、段積み装置1は、台車2を機枠11内の段積み領域10から搬出する台車搬出時に、段積み領域10に位置した台車2を台車出口部13を通過させて出口側待機領域17まで第2案内レール26上を移動方向(搬送方向)に沿って移動させる第2台車移動手段42を備えている。出口側待機領域17まで移動した台車2は、ストッパ手段であるアンチバックストッパ43との当接により、反移動方向つまり機枠11の台車出口部13側への移動が規制される(図3参照)。
【0030】
ここで、第1台車移動手段41は、図9に示すように、入口側待機領域16内の位置および段積み領域10内の位置に移動可能なアタッチユニット等の移動体46と、この移動体46を台車2とともにガイド部48に沿って移動させる移動体駆動手段であるロッドレスのシリンダ47とを有している。
【0031】
移動体46は、本体部材49と、本体部材49に水平方向の軸50を中心として回転可能に設けられ台車本体3の孔部8aに挿通された状態で台車本体3に引掛り係合する引掛り部材51と、本体部材49に設けられ引掛り部材51との当接により引掛り部材51が必要以上に回転するのを規制する軸状の第1ストッパ部材52とを有している。引掛り部材51は、略板状に形成され、中央の連結部53が軸50を介して本体部材49に回転可能に連結され、一端部に錘部材54が取り付けられている。また、本体部材49には、錘部材54との当接により引掛り部材51が必要以上に回転するのを規制する軸状の第2ストッパ部材55が設けられている。
【0032】
そして、移動体46の引掛り部材51が錘部材54の自重によって鉛直方向に沿った鉛直状態になっている際に、台車2が例えば作業者の手作業等にて入口側待機領域16に供給されると、引掛り部材51は、台車本体3の移動方向前面にて押されて軸50を中心として一方向に略90度回転する。その後、引掛り部材51は、台車本体3から離れると、錘部材54の自重によって他方向に略90度回転して元の鉛直状態に復帰し、引掛り部材51の他端部である上端部が台車本体3の孔部8aに挿通された状態となり、引掛り部材51が台車本体3の内面に引掛り係合する。そして、シリンダ47の作動によって引掛り部材51が移動すると、この引掛り部材51とともに台車2が機枠11内のシリンダ式のストッパ手段40に当接するまで水平な移動方向に沿って移動し、こうして移動体46の移動により台車2が段積み領域10に搬入される。なお、台車2の搬入後、移動体46の引掛り部材51は、シリンダ47の作動により元の入口側待機領域16内の位置まで移動する。
【0033】
第2台車移動手段42は、第1台車移動手段41と同一構成のもので、段積み領域10内の位置および出口側待機領域17内の位置に移動可能なアタッチユニット等の移動体46と、この移動体46を台車2とともにガイド部48に沿って移動させる移動体駆動手段であるロッドレスのシリンダ47とを有している。移動体46は、本体部材49、引掛り部材51、第1ストッパ部材52、第2ストッパ部材55および錘部材54を有している。そして、シリンダ47の作動に基づく移動体46の移動により台車2が段積み領域10から搬出される。
【0034】
アンチバックストッパ43は、図10に示すように、略板状に形成されたもので、一端面に当接面61を有し、支持部材62に水平方向の軸63を中心として略10度回転可能に取り付けられている。また、アンチバックストッパ43は、中央より一端側寄りの部分が軸63を介して支持部材62に取り付けられているため、自重に基づく回転により一端側に向ってつまり台車2の移動方向に向って上り傾斜状の傾斜状態となる。
【0035】
そして、アンチバックストッパ43が自重によって傾斜状態になっている際に、台車2が第2台車移動手段42にて段積み領域10から搬出されると、この搬出途中で、アンチバックストッパ43は、台車本体3にて押されて軸63を中心として一方向に略10度回転し、その後、台車本体3から離れると、自重によって他方向に略10度回転して元の傾斜状態に復帰し、当接面61が台車本体3の移動方向後面と対向した状態となる。その結果、当接面61と台車本体3の後面との当接により、出口側待機領域17の台車2が反移動方向に向って移動するのを規制する。
【0036】
また一方、段積み装置1は、機枠11内つまり段積み領域10で昇降可能な昇降体71と、昇降体71とともに昇降可能でかつ支持位置および非支持位置に移動可能であり支持位置に位置した状態で台車本体3を下方から支持する一対のフォーク等の支持体72と、昇降体71とともに昇降可能でかつ規制位置および非規制位置に移動可能であり規制位置に位置した状態で向き変更用回転体31による車輪5の向き変更後の台車2の車輪支持体4が台車本体3に対して回転することを規制する複数、例えば4つの車輪ロックバー等の規制体73とを備えている。
【0037】
各昇降体71は、図11ないし図13に示すように、機枠11内で昇降可能な昇降フレーム等で、この昇降体71は機枠11のガイド部74に沿って上限位置、中間位置および下限位置に昇降可能となっている。各昇降体71は、図13等に示されるように、昇降体71を昇降させる上下方向に伸縮可能な昇降体駆動手段75に取り付けられている。
【0038】
昇降体駆動手段75は、例えば互いに連結された伸縮可能な2本のシリンダ、つまり第1シリンダ76および第2シリンダ77にて構成されている。第1シリンダ76は、シリンダ本体76aとこのシリンダ本体76a内に対して出入りするロッド76bとを有し、このロッド76bの上端部が昇降体71に取り付けられている。第2シリンダ77は、第1シリンダ76のシリンダ本体76aの下端部に上端部が取り付けられたシリンダ本体77aとこのシリンダ本体77a内に対して出入りするロッド77bとを有し、このロッド77bの下端部がシリンダ支持部78に取り付けられている。
【0039】
そして、図13(a)に示すように第1シリンダ76および第2シリンダ77の両方が伸びた状態時には昇降体71は上限位置に位置し、図13(b)に示すように第1シリンダ76が縮んだ状態かつ第2シリンダ77が伸びた状態時には昇降体71は中間位置に位置し、図13(c)に示すように第1シリンダ76および第2シリンダ77の両方が縮んだ状態時には昇降体71は下限位置に位置する。
【0040】
また、図11および図12に示されるように、各昇降体71の下端部には、支持体72を支持位置および非支持位置に水平方向に沿って移動させる水平方向に伸縮可能な支持体駆動手段である支持体用シリンダ81が取り付けられている。
【0041】
支持体用シリンダ81は、昇降体71の下端部に取り付けられたシリンダ本体81aと、このシリンダ本体81a内に対して出入りするロッド81bとを有している。そして、支持体用シリンダ81のロッド81bの先端部には、支持体用シリンダ81の作動により台車2の台車本体3の下方に対して進退可能、つまり支持位置および非支持位置に移動可能な支持体72が取り付けられている。
【0042】
各支持体72は、台車2の移動方向である案内レール21,26の案内方向に沿って長手状で鉛直状の取付板部82を有し、この取付板部82が支持体用シリンダ81のロッド81bの先端部に取り付けられている。取付板部82の下端部の複数箇所、例えば2箇所には、台車本体3の下方に入り込んだ状態で台車本体3を支持する爪部である支持板部83が対向側に向かって突設されている。
【0043】
さらに、各支持体72の取付板部82の長手方向両端部には、規制体73を規制位置および非規制位置に水平方向に沿って移動させる水平方向に伸縮可能な規制体駆動手段である規制体用シリンダ86が取り付けられている(図11参照)。
【0044】
規制体用シリンダ86は、支持体72の取付板部82の端部に取り付けられたシリンダ本体86aと、このシリンダ本体86a内に対して出入りするロッド86bとを有している。そして、規制体用シリンダ86のロッド86bの先端部には、規制体用シリンダ86の作動により台車2の車輪5に対して接離可能、つまり規制位置および非規制位置に移動可能な規制体73が取り付けられている。
【0045】
各規制体73は、例えば支持体72が支持位置に位置した進出状態時に規制位置に移動することにより車輪5に直接当接して車輪支持体4の台車本体3に対する回転を規制する丸軸状の棒状部87を有している。つまり規制体73の棒状部87にて車輪5が台車本体3に対してロックされる。また、棒状部87の基端部が規制体用シリンダ86のロッド86bの先端部に取り付けられ、棒状部87の先端側は支持体72の取付板部82より台車2側に突出し、棒状部87の取付板部82からの突出長さと支持板部83の取付板部82からの突出長さとが略同じである。
【0046】
また、段積み装置1は、シリンダ32,47,76,77,81,86等を制御する制御手段(図示せず)を備え、この制御手段には複数の検知手段である光学系センサ等が電気的に接続されている。すなわち例えば段積み装置1は、在席センサ91、搬入確認センサ92、在席センサ93、搬入確認センサ94、在席センサ95、満杯センサ96および満杯解除センサ97等を備えている。
【0047】
次に、上記段積み装置1の動作等を説明する。
【0048】
例えば作業者が手作業で台車2を入口側待機領域16に供給すると、台車2は、前側の2つの車輪5が第1案内レール21の傾斜状部分21aを登りきった時点で、台車本体3の内面と第1台車移動手段41の移動体46の引掛り部材51との引掛り係合によって停止する。このとき、在席センサ91がオンし、入口側待機領域16への供給完了となる。
【0049】
そして、この引掛り部材51が台車本体3の内面に引掛り係合した状態で第1台車移動手段41のシリンダ47が作動すると、台車2は、段積み領域10に搬入され、ストッパ手段40に当接して停止する。
【0050】
このとき、在席センサ93がオンし搬入確認センサ92がオフで段積み領域10への搬入完了となる。在席センサ93がオンし所定時間経過後に搬入確認センサ92がオンの場合は異常とする。段積み領域10に搬入された台車2の前後左右4つの車輪5は、移動方向に対して後方を向いた状態となっている。
【0051】
そして、出口側待機領域(台車ピックアップ領域)17に先行する台車2が待機していない場合には、第2台車移動手段42のシリンダ47が作動することにより、台車2は、段積み領域10から搬出されて出口側待機領域17に搬入される。
【0052】
このとき、在席センサ95がオンし搬入確認センサ94がオフで出口側待機領域17への搬入完了となる。在席センサ95がオンし所定時間経過後に搬入確認センサ94がオンの場合は異常とする。出口側待機領域17に搬入された台車2は、アンチバックストッパ43にて逆流が防止される。
【0053】
一方、出口側待機領域17に台車2が待機している場合には、台車2は段積み領域10で一時的に待機し、ロボットハンド等にて次工程に移送されることによって出口側待機領域17から台車2がなくなると、台車2は第2台車移動手段42のシリンダ47の作動により段積み領域10から出口側待機領域17へ搬送される。
【0054】
また、入口側待機領域16、段積み領域10および出口側待機領域17に台車2が待機している場合において、所定時間経過したときには、段積み動作を行い、段積み領域10に台車2を段積みする。なお、作業者が強制段積み用のボタンを押し操作した際に、段積み動作を行うようにしてもよい。
【0055】
また、台車2が段積み領域10に段積みされた状態時に、入口側待機領域16に台車2が供給されず、出口側待機領域17から台車2がなくなった場合には、切り出し動作を行い、段積み領域10の台車2を出口側待機領域17へ1台ずつ切り出す。
【0056】
さらに、段積み領域10に段積みされた台車2の段数が規定段数になると、満杯センサ96がオンし、段積み動作を停止する。このとき、段積み領域10への台車2の搬入を止め、段積み領域10の台車2を出口側待機領域17へ切り出すか、両開閉体14を開位置まで回転させて台車入口部12全体を開口させ、段積みされた台車2を段積み領域10から取り出す。
【0057】
なお、入口側待機領域16からの再搬入は、満杯解除センサ97がオフになるまでは受付しないようになっている。また、台車入口部12全体を開口させて段積み済みの台車2を段積み領域10に搬入することも可能であるが、段積み領域10に台車2がない場合に限る。
【0058】
次に、図15を参照しつつ、段積み動作について説明する。
【0059】
図15(a)には段積み領域10に搬入された1台の台車2が示され、段積み動作の開始前は、実線で示されるように、台車2の前後左右4つの車輪5は、移動してきた移動方向に対して後方(反移動方向)を向いた状態となっている。
【0060】
そして、台車2を段積みする場合には、まず、図15(a)の2点鎖線で示すように、後側の2つの車輪5の向きが前側の2つの車輪5の向きとは反対になるように変更され、後側の車輪5が前方を向きかつ前側の車輪5が後方を向いた状態になる。つまり、台車2の前後左右4つの車輪5は、内側を向き、平面視で台車本体3の外周端から外方に突出しない段積み可能な非突出状態になる。
【0061】
すなわち、ロータリーシリンダ32の作動に基づいて向き変更用回転体31が回転すると、向き変更用回転体31上に載置された後側の2つの車輪5が上下方向の軸6を中心として車輪支持体4とともに台車本体3に対して略180度回転し、後側の2つの車輪5の向きが前側の2つの車輪5の向きと反対になる。
【0062】
次いで、図15(b)に示すように、昇降体71が下限位置に位置した状態で、支持体用シリンダ81が作動すると、支持体72が非支持位置から支持位置に移動し、その結果、支持体72の支持板部83が台車2の台車本体3の下方の4箇所に進出し、規制体73の棒状部87が台車2の前後左右4つの車輪5と対向する。
【0063】
続いて、支持体72が支持位置に位置した状態で、規制体用シリンダ86が作動すると、規制体73が非規制位置から規制位置に移動し、その結果、規制体73の棒状部87が台車2の前後左右4つの車輪5と当接して車輪支持体4の台車本体3に対する回転を規制し、台車2の前後左右4つの車輪5が規制体73にて台車本体3に対してロックされる。
【0064】
次いで、図15(c)に示すように、第1シリンダ76および第2シリンダ77を作動させて昇降体71を下限位置から上限位置に上昇させると、台車2は、車輪5が規制体73の棒状部87にてロックされた状態のまま、支持体72の支持板部83にて支持されて所定高さ位置まで持ち上げられる。また、持ち上げられた台車2の下方には、次の台車2が入口側待機領域16から搬入される。
【0065】
続いて、図15(d)に示すように、第1シリンダ76のみを作動させて昇降体71を上限位置から中間位置に下降させると、台車2は、下方の次の台車2上に載置される。すなわち、上側の台車2の前後左右4つの車輪5が、下側の台車2の台車本体3の水平板部8の4つの角部の上面上に直接接触して載置される。
【0066】
その後、規制体用シリンダ86が作動すると、規制体73が規制位置から非規制位置に移動し、その結果、規制体73の棒状部87が車輪5から離れ、規制体73による車輪5のロックが解除される。
【0067】
次いで、図15(e)に示すように、支持体用シリンダ81が作動すると、支持体72が支持位置から非支持位置に移動し、その結果、支持体72の支持板部83が台車本体3の下方から退避し、規制体73の棒状部87が車輪5との対向位置から退避する。
【0068】
続いて、図15(f)に示すように、第2シリンダ77のみを作動させて昇降体71を中間位置から下限位置に下降させた後、支持体用シリンダ81および規制体用シリンダ86を順次作動させる。そして、第1シリンダ76および第2シリンダ77を作動させて昇降体71を上限位置まで上昇させれば、段積みされた2台の台車2が所定高さ位置まで持ち上げられ、その下方には次の台車2が搬入される。このような動作の繰り返しにより段積み領域10に複数台の台車2が段積みされる。
【0069】
次に、図16を参照しつつ、切り出し動作について説明する。
【0070】
図16(a)には昇降体71が上限位置に位置した状態で、支持位置に位置した支持体72の支持板部83にて支持された段積み済みの台車2が示されている。
【0071】
そして、この段積みされた台車2を切り出す場合、図16(b)に示すように、第1シリンダ76および第2シリンダ77を作動させて昇降体71を上限位置から下限位置まで下降させると、段積みされた台車2が昇降体71とともに下降し、最下段の台車2の前側の車輪5が第2案内レール26上に載置され、最下段の台車2の後側の車輪5が向き変更用回転体31上に載置される。
【0072】
次いで、規制体用シリンダ86の作動で規制体73を規制位置から非規制位置に移動させることにより規制体73の棒状部87による車輪5のロックを解除した後、支持体用シリンダ81の作動で支持体72を支持位置から非支持位置に移動させることにより支持板部83を台車本体3の下方から退避させる。
【0073】
その後、図16(c)に示すように、昇降体71を下限位置から中間位置まで上昇させた後、支持体72を支持位置に移動させ、その後、規制体73を規制位置に移動させて車輪5をロックする。
【0074】
次いで、図16(d)に示すように、昇降体71を中間位置から上限位置に上昇させると、段積みされた台車2は、支持体72の支持板部83にて支持されて所定高さ位置まで持ち上げられ、最下段の台車2から離れる。
【0075】
そして、最下段に位置していた1台の台車2は、第2台車移動手段42のシリンダ47が作動することにより段積み領域10から搬出されて切り出される。このとき、台車2の後側の車輪5は、向き変更用回転体31上で略180度回転して後方を向いた状態に向き変更してから第2案内レール26上を移動する。なお、後側の車輪5が向き変更用回転体31上で向き変更せず前方を向いた状態のまま第2案内レール26上を移動する構成でもよい。このような動作の繰り返しにより段積み済みの台車2が1台ずつ切り出される。
【0076】
そして、このような段積み装置1によれば、向き変更用回転体31にて車輪5の向きが変更された台車2の車輪支持体4が台車本体3に対して軸6を中心として回転することを規制体73が規制するため、複数の台車2を一の台車2の車輪5が他の台車2の台車本体3上に載置される状態に適切に段積みでき、よって、複数台の台車2を機枠11内の段積み領域10にスペース効率良くかつ安定的に段積みできる。
【0077】
また、規制体73は支持体72が支持位置に位置した状態時に規制位置に移動することにより車輪5に直接当接して車輪支持体4の台車本体3に対する軸6を中心とする回転を規制するため、規制体73にて車輪支持体4の台車本体3に対する回転を適切に規制できる。
【0078】
さらに、向き変更用回転体31の対をなす車輪ガイド板部35間に車輪5を位置させた状態で回転板部34を回転させることにより、台車2の車輪5の向きを適切に変更できる。
【0079】
なお、上記実施の形態では、規制体73が車輪5に当接して車輪支持体4の台車本体3に対する回転を規制する構成について説明したが、例えば規制体73が車輪支持体4に当接して車輪支持体4の台車本体3に対する回転を規制する構成でもよい。
【0080】
また、規制体73が支持体72に規制体用シリンダ86を介して設けられた構成には限定されず、規制体73が昇降体71に設けられた構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施の形態に係る段積み装置の平面図である。
【図2】同上段積み装置の側面図である。
【図3】図1のIII矢視図である。
【図4】図2のIV矢視図である。
【図5】図2のV矢視図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】同上段積み装置の向き変更用回転体の平面図である。
【図8】同上向き変更用回転体の側面図である。
【図9】同上段積み装置の第1台車移動手段の側面図である。
【図10】同上段積み装置のアンチバックストッパの側面図である。
【図11】同上段積み装置の要部平面図である。
【図12】同上段積み装置の要部側面図である。
【図13】同上段積み装置の昇降体駆動手段の側面図である。
【図14】同上段積み装置にて段積みされる台車の斜視図である。
【図15】段積み動作の説明図である。
【図16】切り出し動作の説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1 段積み装置
2 台車
3 台車本体
4 車輪支持体
5 車輪
6 軸
31 向き変更用回転体
34 回転板部
35 車輪ガイド板部
71 昇降体
72 支持体
73 規制体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体と、この台車本体に上下方向の軸を中心として回転可能に設けられた車輪支持体と、この車輪支持体にて回転可能に支持された車輪とを有する複数の台車を、一の台車の車輪が他の台車の台車本体上に載置される状態に段積みする段積み装置であって、
車輪が載置された状態で回転することにより車輪支持体を台車本体に対して回転させて車輪の向きを変更する向き変更用回転体と、
昇降可能な昇降体と、
この昇降体とともに昇降可能で、かつ支持位置および非支持位置に移動可能であり、支持位置に位置した状態で台車本体を支持する支持体と、
前記昇降体とともに昇降可能で、かつ規制位置および非規制位置に移動可能であり、規制位置に位置した状態で車輪の向き変更後の台車の車輪支持体が台車本体に対して回転することを規制する規制体と
を備えることを特徴とする段積み装置。
【請求項2】
規制体は、支持体が支持位置に位置した状態時に、規制位置に移動することにより車輪に当接して車輪支持体の台車本体に対する回転を規制する
ことを特徴とする請求項1記載の段積み装置。
【請求項3】
台車は、少なくとも前後左右4つの車輪を有し、
向き変更用回転体は、後側の2つの前記車輪の向きを前側の2つの前記車輪の向きとは反対になるように変更し、
規制体は、前記各車輪に当接して車輪支持体の台車本体に対する回転を規制する
ことを特徴とする請求項2記載の段積み装置。
【請求項4】
向き変更用回転体は、
上面上に車輪が載置された状態で回転する回転板部と、
この回転板部の上面に立設され、互いに離間対向する対をなす車輪ガイド板部とを有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の段積み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−6503(P2010−6503A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165778(P2008−165778)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】