説明

殺ウイルス用組成物

細菌及び真菌に対して表面上で3時間超持続する残効性を有するヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬と過酸化物との組み合わせを含む、適用時に殺細菌性、殺真菌性、及び殺ウイルス性である非染色性の組成物。担体が存在してもよい。前記殺細菌薬及び/又は殺真菌薬は、例えば、トリクロサン又は第四級アンモニウム化合物、好ましくはPVP−フェノール殺生物薬複合体(例えば、PVP−トリクロサン)又はPVAlc/第四級アンモニウム化合物複合体(例えば、PVP/塩化ベンザルコニウム)であってよい。前記過酸化物は、過酸化水素であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺ウイルス性溶液で表面を処理するための方法及び組成物に関する。前記溶液は、生物又は無生物の表面に適用可能であってよい。無生物の表面の場合には、前記溶液(最終的に乾燥されて、透明で接着性のある長期間に亘って作用する殺生物性の表面コーティングであってよい)は、適用された表面上の細菌、真菌、及びウイルスを殺滅し、好ましい実施態様では、真菌及び細菌による再侵入に対する抵抗性を表面に与える。生物の表面では、前記溶液が配置されて、無生物の表面について上述したように乾燥してよく、又は同程度の範囲の感染性の生物因子の殺滅を達成した後に表面からすすぎ落とされてよい。
【0002】
前記組成物は、病院の手術室の作業台、キッチンの作業台、及びバスルームなどの無生物の表面に適用可能である。前記組成物は、皮膚の処置及びハンドラブのための調製物として製剤化されてもよい。
【背景技術】
【0003】
本明細書全体の従来技術についてのいずれの議論も、その様な従来技術が当該技術分野において広く知られている又は一般的な常識の一部を形成していると認めるものであると解されるべきでは全くない。
【0004】
皮膚又は無生物の表面に適用されて、殺細菌若しくは殺真菌特性又はそれらの双方を与え得る、多数の組成物が知られている。これらの多数が、選択された生物に対して効果的であり、例えば、グラム陰性菌には効果的でないがグラム陽性細菌に対してのみ効果的であるが、より良好な製品は、細菌及び真菌に対して広範な効力を有する。本出願人の特許出願PCT/AU96/00224(WO 96/033748として公開)において、本出願人は、広範な細菌及び真菌に対して効果的であるポリビニルピロリドン(「PVP」)−トリクロサン複合体を開示した。
【0005】
他の特許出願PCT/AU2006/000130(WO 06/081617として公開)において、本出願人は、広範な細菌及び真菌に効果的であるポリビニルアルコール(PVAlc)−第四級アンモニウム化合物複合体を開示した。
【0006】
しかしながら、ウイルスに対して効果的な既知の安全なポリマー/殺生物薬複合体は、ヨウ素を含むもののみである。ヨウ素及びエトキシル化された非イオン性界面活性剤又はヨウ素及びポリビニルピロリドンによって形成されるような、これらの複合体は、非常に暗い茶色であり、無生物の表面及び皮膚並びに被服を染色し、このことが前記複合体を非常に不人気にしている。さらに、前記複合体中の活性殺生物薬は、非常に化学的に活性が高い物質であるヨウ素である。ヨウ素が微生物及びウイルスのみならず、全てのタンパク質及び多数の他の物質に対しても犠牲的に活性を有するため、反応性が高く、そのため残活性が短い。殺細菌性及び殺真菌性のみならず殺ウイルス性でもあり、染色することなく、且つ、安全である組成物を提供することが非常に望ましいであろう。
【0007】
加えて、上述のヨウ素複合体などの既知の組成物の多数は、ほんの1又は2時間の効力を有するのみである。数日又は数週間の残効性を有する組成物を提供することが望ましいであろう。望ましくは、前記組成物は、表面に適用される際に染色することなく、透明であるか又は実質的に目に見えず、接着性があり、且つ、耐久性があるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 96/033748
【特許文献2】WO 06/081617
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主題は、従来技術の欠点の少なくとも一部を回避又は緩和する組成物を提供することである。
【0010】
好ましい実施態様の主題は、消毒を必要とする手術室などの部屋、病院の病棟、コールドルーム、冷蔵庫、トラック、船に積むコンテナ、及び工場領域、並びに皮膚における表面上のウイルス、細菌、及び真菌を殺滅できることであり、それを単独の組成物の適用で実施することが好ましい。
【0011】
そうではないことが文脈から明らかではない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体において、用語「comprise(含む)」及び「comprising(含んでいる)」などは、排他的又は網羅的な意味ではなく、包含的な意味に解釈されるべきである。すなわち、「含むが、それらに限定されない」ことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の態様によれば、本発明は、
(1)細菌及び真菌に対して表面上で3時間超持続する残効性を有する、ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬;及び
(2)過酸化物
の組み合わせを含む、適用時に殺細菌性、殺真菌性、及び殺ウイルス性である、非染色性の組成物を提供する。
【0013】
第一の態様に係る好ましい実施態様では、前記殺細菌薬及び/又は殺真菌薬は、トリクロサンであるか又は適切な第四級アンモニウム化合物である。無生物の表面に使用するために製剤化される組成物の非常に好ましい実施態様では、残効性が12時間超、好ましくは7日超持続する。
【0014】
好ましくは、前記組成物は、(3)無生物又は生物の殺菌した表面から蒸発によって離れる担体をさらに含む。
【0015】
第二の態様によれば、本発明は、
(1)細菌及び真菌に対して無生物の表面上で12時間超持続する残効性を有する、ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬;
(2)過酸化物;及び
(3)無生物又は生物の殺菌した表面から蒸発によって離れる担体
の組み合わせを含む、適用時に、殺細菌性、殺真菌性、及び殺ウイルス性である、非染色性の組成物を提供する。
【0016】
好ましい実施態様では、第一の態様又は第二の態様に係る組成物は、無生物の表面に対する使用に適切であり、表面上に透明で乾燥した接着性を有するフィルムを残すように製剤化されてよく、長時間に亘ってウイルス、細菌、及び真菌を存在させない状態にする。他の実施態様では、本発明に係る組成物は、皮膚などの生物の表面上で使用するために製剤化され、その様な場合には、(手洗い後のすすぎに耐性がない)細菌及び真菌に対する残存殺生物効力を残す、例えば、水性のハンドウォッシュ又はアルコール性のハンドラブとして製剤化されてよい。
【0017】
第二の態様に係る1つの非常に好ましい実施態様では、広範な殺細菌薬は、フェノール性殺生物薬とともにポリビニルピロリドン(「PVP」)から形成される複合体である。非常に好ましい複合体は、適当に製剤化される際に、グラム陽性及びグラム陰性細菌に対して活性を有し、数日又は数週間に亘って効果的であるが、殺ウイルス性ではないPVP−トリクロサン複合体である。PVPの共重合体は、前記複合体中のPVPと置換し得るが、それ自体では殺ウイルス活性を与えない。本明細書で使用する用語「PVP」は、PVP及びPVP共重合体の双方を含む。
【0018】
好ましくは、PVP:フェノール性殺生物薬の比は、1:0.05から0.05:1(w/w)である。好ましくは、フェノール性殺生物薬は、0.1から1%の量で存在する。好ましくは、PVPは0.2から15%w/wのPVPの量で存在する。
【0019】
第二の非常に好ましい実施態様では、ポリビニルアルコール(「PVAlc」)−第四級アンモニウム化合物複合体が、PVP複合体と置換される。PVAlcは、ある程度加水分解されてよく、前記複合体が、任意の適切な殺生物性芳香族又は脂肪族第四級アンモニウム化合物と形成されてよい。
【0020】
好ましくは、PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比は、乾燥残留物が必要である場合には、1:0.05から1:1(w/w)の範囲にある。好ましくは、PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比は、乾燥残留物が必要でない場合には、1:1以上である。好ましくは、PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比は、乾燥残留物が必要でない場合には、1:2以上である。
【0021】
好ましくは、第四級アンモニウム化合物は、0.2から12%(w/w)の量で存在する。好ましくは、PVAlcは、0.5から30%(w/w)の量で存在する。好ましくは、第四級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウムである。
【0022】
本発明における使用に好ましい過酸化物は、望ましくは、「使用時の」希釈物で15%以下(100%過酸化水素に基づいて)の初期濃度、好ましくは5から7%、より好ましくは無生物の表面に対して6%以下の初期濃度で、及び好ましくは生物の表面に対して3%以下の濃度である、水溶液としての過酸化水素である。1つの実施態様では、前記過酸化物の濃度は1.0から3%(w/w)である。過酸化水素は、強力な酸化剤であることが知られており、好ましい殺細菌薬及び殺真菌薬などの有機分子と組み合わせ製剤化することが困難である。PVP−トリクロサン複合体が、過酸化水素などの強力な酸化剤の存在下で維持され得ることは特に驚くべきことである。過酸化物がアミンの存在下で不安定であることもよく知られており、そのため、第四級アンモニウム化合物との組み合わせが化学的に安定であることは予測されず、驚くべきことである。
【0023】
本発明に係る組成物は、即時に作用する殺ウイルス効果を提供する。しかしながら、選択された殺細菌薬との組み合わせにおいて、処理した表面の再コロニー形成を予防する残効性がある。
【0024】
第三の態様によれば、本発明は、ポリビニルピロリドン−トリクロサン複合体、過酸化水素、及び担体の組み合わせを含む組成物を提供する。
【0025】
第四の態様によれば、本発明は、ポリビニルアルコール−第四級アンモニウム化合物複合体、過酸化水素、及び担体の組み合わせを含む組成物を提供する。
【0026】
前記担体は、アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、グリコール、水、香料、着色剤などを含むが、それらに限らない、任意の適切な成分を含有してよい。
【0027】
以下においては、本発明を、とりわけ、特定の例にのみ関連する実施例によって開示する。
【0028】
下記の実施例1、2、及び3は、表面殺菌剤である。実施例4は水性の手の消毒剤であり、実施例5はアルコール性の手の消毒剤である。実施例1では、ポリビニルアルコール(「PVAlc」)−第四級アンモニウム化合物が殺細菌薬及び殺真菌薬として使用され、50%過酸化水素溶液が過酸化物である。前記担体は水であり、実施例1では任意にエタノール、非イオン性界面活性剤(Teric 164)、及びEDTAとともに製剤化されている。
【実施例】
【0029】
実施例1:PVアルコール/塩化ベンザルコニウム/過酸化物の表面殺菌剤
ポリビニルアルコール 3.0%w/w
塩化ベンザルコニウム 0.7%w/w
Teric 164 1.0%w/w
エタノール 10.0%w/w
EDTA 4Na 0.1%w/w
過酸化水素(50%) 12.0%w/w
水 100%w/wまでの残部
【0030】
PVAlcと塩化ベンザルコニウムとの適当な比は、1:0.05から1:1w/wの範囲内であり、乾燥残留物が得られるべきであるが、乾燥残留物が必要ない場合には1:1(例えば、1:2)を超えてよい。
【0031】
前記組成物は、望ましくは、0.5%から30%w/wのポリビニルアルコール及び0.2から12%w/wの塩化ベンザルコニウムを含有する。前記過酸化物は、任意の適切な濃度であってよいが、好ましくは10%w/w未満である(100%過酸化水素に基づく、本実施例では12%の50%過酸化物を使用している)。殺菌ではなく、消毒に関しては、過酸化水素の好ましい濃度範囲は1.0%から3.0%である。
【0032】
本発明における使用に適切なPVAlcは、任意の程度で加水分解されてよく、10から150kDaの範囲の分子量を有することが好ましいと解されるであろう。
【0033】
実施例2及び3は、実施例1と類似の表面殺菌剤であるが、PVP−トリクロサン殺細菌薬又は殺真菌薬を使用している。
【0034】
実施例2:PVP/トリクロサン/過酸化物の表面殺菌剤
PVP又はその共重合体 0.1%w/w
トリクロサン 0.05%w/w
エタノール 18.0%w/w
非イオン性界面活性剤 0.80%w/w
過酸化水素(50%) 12.0%w/w
水 100%w/wまでの残部
【0035】
PVPとフェノール性殺生物薬との適当な比、例えば、PVPとトリクロサンとの適当な比は1:0.05の範囲から0.05:1w/wの範囲であるべきである。
【0036】
実施例3:PVP/トリクロサン/過酸化物の表面殺菌剤
PVP又はその共重合体 1.5%w/w
トリクロサン 0.2%w/w
エタノール 18.0%w/w
非イオン性界面活性剤 0.80%w/w
過酸化水素(50%) 12.0%w/w
水 100%w/wまでの残部
【0037】
PVPとトリクロサンとの適当な比は、1:0.05の範囲から1:1の範囲であり、好ましくは1:0.05から1:1w/wの範囲であるべきである。
【0038】
実施例2及び3の組成物は、望ましくは、0.2%から15%w/wのPVP及び0.1から1%w/wのフェノール性殺生物薬、例えば、トリクロサンを含有する。
【0039】
実施例4:PVP/トリクロサン/過酸化物の手の消毒剤−水性
水 100%w/wまでの残部
粘度調整剤 1.00%w/w
エタノール 10.00%w/w
プロピレングリコール 3.00%w/w
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.00%w/w
非イオン性界面活性剤 2.00%w/w
フェノキシエタノール 2.00%w/w
香料 0.10%w/w
リン酸10% 1.80%w/w
トリクロサン 0.50%w/w
PVP又はその共重合体 0.50%w/w
過酸化水素 3.00%w/w
【0040】
PVPとトリクロサンとの比は、上述の実施例3と同様である。
【0041】
実施例5:PVP/トリクロサン/過酸化物の手の消毒剤−アルコール性
PVP又はその共重合体 0.5から5.0%w/w
トリクロサン 0.50%w/w
ジプロピレングリコール 0.80%w/w
粘度調整剤 0.50%w/w
エタノール 60.00%w/w
フェノキシエタノール 2.00%w/w
香料 0.10%w/w
青色1号(0.1%溶液) 0.30%w/w
過酸化水素 1.50%w/w
AMP95 0.04%w/w
水 100%w/wまでの残部
【0042】
例えば、酢酸ビニルとPVPとの共重合体が、PVP−トリクロサン複合体のPVPと置換されてよい。過酸化水素溶液を使用するのが簡便であるが、他の過酸化物に置換されてよい。
【0043】
比較例6、7、及び8
これらの例は、実施例1、2、及び3の各々と態様するが、過酸化水素を除いた。
【0044】
比較例9及び10
これらの例は、実施例4及び5の各々に対応するが、過酸化水素を除いた。
【0045】
以下の試験方法を使用して、前記組成物を試験した。各試験は、合格基準が下記の方法で規定されている合格/不合格の試験である。
【0046】
表面殺菌剤である製剤1、2、及び3、並びに6、7、及び8に使用した試験:
試験方法:
硬質表面殺菌剤
試験1 TGAオプションB、汚染条件
黄色ブドウ球菌(S.aureus) NCTC4163
大腸菌(E.coli) NCTC8196
緑膿菌(P.aeruginosa) NCTC6749
プロテウス・ブルガリス(P.vulgaris) NCTC4635
【0047】
細菌数は、2×10及び2×10cfu/mLであるべきである。
【0048】
4種全ての生物を使用し、3回重複して試験しても、8分で5つの回復培地のうち少なくとも2つに明らかな増殖が存在せず、且つ、18分で5つの回復培地のうち少なくとも2つで明らかな増殖が存在しない場合に、サンプルが試験に合格する。
【0049】
【表1】

【0050】
試験3 無生物の環境における表面を対象とする殺ウイルス剤の効力の標準試験方法、ASTM E1053−97
ポリオウイルスタイプ1、チャット株(Polio virus type 1、Chat strain) ATCC VR−192
A型肝炎ウイルス、HM−175株(Hepatitis A virus、HM−175 strain) ATCC VR−2093
単純ヘルペスタイプ1、F(1)株(Herpes simplex type 1、strain F(1)) ATCC VR−33
アデノウイルスタイプ2、aenoid 6株 ATCC VR−2
力価 10から10感染単位/ml
4以上の対数減少
製品の毒性が高い場合には、対数減少が3以上である。
【0051】
ハンドウォッシュ消毒剤
インビトロ試験:
試験4 化学殺菌剤及び消毒剤−化学殺菌剤及び消毒剤の基礎的な殺細菌活性の評価のための定量懸濁試験−試験方法及び要件(1相)、EN 1040:2006
緑膿菌 ATCC 5442
黄色ブドウ球菌 ATCC6538
細菌培養:1.5×10から5×10cfu/ml
対数減少:>5
【0052】
試験5 懸濁物中におけるウイルスに対する抗微生物剤の効力の試験方法、ASTM E1052−96
ポリオウイルスタイプ1、チャット株、ATCC VR−192
A型肝炎ウイルス、HM−175株、ATCC VR−2093
単純ヘルペスタイプ1、F(1)株、ATCC VR−33
アデノウイルスタイプ2、aenoid6株、ATCC VR−2
力価 10から10感染単位/ml
4以上の対数減少
製品の毒性が高い場合には、対数減少が3以上である。
【0053】
皮膚消毒剤である製剤4及び5並びに9及び10に使用した試験:
インビボ試験:
試験6 化学殺菌剤及び消毒剤−衛生のためのハンドウォッシュ−試験方法及び要件(2相/ステップ2)、EN 1499:1997
大腸菌 K12 NCTC 10538
平均対数prevalueは、5超であるべきである、
平均対数減少は、軟石鹸よりも顕著に大きいものでなければならない。
【0054】
試験7 化学殺菌剤及び消毒剤−衛生用ハンドラブ−試験方法及び要件(2相/ステップ2)、EN1500:1997
大腸菌K12 NCTC 10538
平均対数prevalueは、5超であるべきである、
製品の平均対数減少は、対照であるプロパン−2−オールよりも顕著に小さいべきである。
【0055】
各種のウイルス試験方法が、皮膚の消毒剤の殺ウイルス活性を実証する規制当局に使用されるが、これらの方法は、インビトロであり、インビボではないと解されるであろう。その様な試験方法は、ASTM E 1052−96である。
【0056】
結果
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
本発明に係るその様な更なる組成物を、例示としてのみ開示する。
【0059】
実施例11 PVP/トリクロサン/過酸化物の手用消毒剤−水性
(本実施例は実施例4に類似しているが、1.00%の尿素をペルオキシダーゼ阻害剤を含んでいる)
水 100.0%までの残部
粘度調整剤 1.00%w/w
エタノール 10.00%w/w
プロピレングリコール 3.00%w/w
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.00%w/w
非イオン性界面活性剤 2.00%w/w
尿素 1.00%w/w
フェノキシエタノール 2.00%w/w
香料 0.10%w/w
リン酸10% 1.80%w/w
トリクロサン 0.50%w/w
PVP又はその共重合体 0.50%w/w
過酸化水素 3.00%w/w
【0060】
実施例12 PVP/トリクロサン/過酸化物の手用消毒剤−アルコール性
(実施例11に関連しているが、0.50%の尿素をペルオキシダーゼ阻害剤として含んでいる)
PVP又はその共重合体 0.5から5.0%w/w
トリクロサン 0.50%w/w
ジプロピレングリコール 0.80%w/w
粘度調整剤 0.50%w/w
エタノール 60.00%w/w Steve to check
フェノキシエタノール 2.00%w/w
香料 0.20%w/w
青色一号(0.1%溶液) 0.30%w/w
過酸化水素 1.50%w/w
AMP 95 0.04%w/w
尿素 0.50%w/w
水 100.0%w/wまでの残部
【0061】
実施例13 消毒ハンドウォッシュクウォット(Quat)及び過酸化物
ポリビニルアルコール 1.0%w/w
塩化ベンザルコニウム 0.3%w/w
非イオン性界面活性剤 7.0%w/w
エタノール 10.0%w/w
EDTA 4Na 0.1%w/w
過酸化水素(50%) 6.0%w/w
水 100.0%w/wまでの残部
【0062】
実施例14 消毒アルコール性ハンドラブ
ポリビニルアルコール 0.5%w/w
塩化ベンザルコニウム 0.2%w/w
非イオン性界面活性剤 1.0%w/w
エタノール 60.0%w/w
過酸化水素(50%) 3.0%w/w
水 100.0%w/wまでの残部
【0063】
実施例15 PVP/トリクロサン/過酸化物の手用消毒剤−水性
当該製剤は実施例3に類似するが、PVPを除いている
水 100.0%までの残部
粘度調整剤 1.00%w/w
エタノール 10.00%w/w
プロピレングリコール 3.00%w/w
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.00%w/w
非イオン性界面活性剤 2.00%w/w
フェノキシエタノール 2.00%w/w
香料 0.10%w/w
リン酸10% 1.80%w/w
トリクロサン 0.50%w/w
過酸化水素 3.00%w/w
【0064】
トリクロサン硬質表面用及び皮膚用製剤は、PVP無しでは接着性フィルムを
残さないが、クウォット製剤はPVAlc無しで接着性フィルムを残す。ハンドウォッシュは、洗った後すすぎ流されるため、接着性フィルムを残さないが、トリクロサンは皮膚の脂質に溶けることによって残効性を残すと解される。クウォットハンドウォッシュは、タンパク質のカチオンの引力によって皮膚に残効性を残す。
【0065】
当業者は、適切な濃度の他のペルオキシダーゼ阻害剤、例えば、アルコール、特にエチルアルコール、又はハロゲン塩が、過酸化物を分解する傾向がある酵素を阻害するために使用してよいと本明細書の教示から理解するであろう。
【0066】
本発明に係る製剤が、使用する溶媒、界面活性剤、及び含まれる他の製剤助剤について変化してよいことが本明細書の教示から当業者には明らかであろう。任意の適切なフェノール性殺生物薬が、好ましい複合体においてトリクロサンと置換してよく、他の適切なクウォットが本明細書に例示したものと置換されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)細菌及び真菌に対して表面上で3時間超持続する残効性を有する、ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬;並びに
(2)過酸化物
の組み合わせを含む、適用時に殺細菌性、殺真菌性、及び殺ウイルス性である、非染色性の組成物。
【請求項2】
前記殺細菌薬及び/又は殺真菌薬がトリクロサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記殺細菌薬及び/又は殺真菌薬が第四級アンモニウム化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(3)無生物又は生物の殺菌した表面から蒸発によって離れる担体をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬が、細菌及び真菌に対して非生物の表面上で12時間超持続する残効性を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬がPVP−フェノール性殺生物薬複合体である、請求項1、4、又は5に記載の組成物。
【請求項7】
PVP:フェノール性殺生物薬の比が1:0.05から0.05:1(w/w)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記フェノール性殺生物薬が0.1から1%の量で存在する、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記PVPが0.2から15%w/wのPVPの量で存在する、請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記フェノール性殺生物薬がトリクロサンである、請求項6から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヨウ素を含まない殺細菌薬及び/又は殺真菌薬がPVAlc/第四級アンモニウム化合物複合体である、請求項1、4、又は5に記載の組成物。
【請求項12】
前記第四級アンモニウム化合物が塩化ベンザルコニウムである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比が、乾燥残留物が必要とされる場合に、1:0.05から1:1(w/w)の範囲にある、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比が、乾燥残留物が必要とされない場合に、1:1以上である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
PVAlc:塩化ベンザルコニウムの比が、乾燥残留物が必要とされない場合に、1:2以上である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記第四級アンモニウム化合物が、0.2から12%(w/w)の量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記PVAlcが0.5から30%(w/w)の量で存在する、請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記過酸化物が過酸化水素である、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記過酸化物が15%w/w未満の量で存在する、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記過酸化物が5から7%の量で存在する、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記過酸化物が1.0から3%の量で存在する、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
ポリビニルピロリドン−トリクロサン複合体、過酸化水素、及び担体の組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
ポリビニルアルコール−第四級複合体、過酸化水素、及び担体の組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−506488(P2011−506488A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538275(P2010−538275)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001860
【国際公開番号】WO2009/076718
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(505430366)ノヴァファーム・リサーチ・(オーストラリア)・ピーティーワイ・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】