説明

殺生物剤を含んでなるハイソリッド分散液

本発明は、トラロピリル(tralopyril)、亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione)又はトリルフルアニド(tolylfluanid)あるいはそれらの組み合わせから選ばれる殺生物剤(biocide)、高分子界面活性剤、沈降防止剤及び1種もしくはそれより多いキャリヤー液(carrier liquid)を含んでなる分散液に関する。これらの分散液は、80重量%までの固体レベルを有し、防汚コーティング調製物中で用いられる場合に無塵送達系(zero−dust delivery system)を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラロピリル(tralopyril)、亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione)又はトリルフルアニド(tolylfluanid)あるいはそれらの組み合わせから選ばれる殺生物剤(biocide)、高分子界面活性剤、沈降防止剤及び1種もしくはそれより多いキャリヤー液(carrier liquid)を含んでなる分散液に関する。これらの分散液は、最高で80重量%の固体レベルを有し、防汚コーティング調製物中で用いられる場合に無塵送達系(zero−dust delivery system)を与える。
【背景技術】
【0002】
トラロピリル及び亜鉛ピリチオンのような殺生物剤は、抗バクテリア剤(antibacterial agent)、抗菌・カビ剤(antifungal agent)又は防汚剤のような多様な用途において有用な周知の化合物である。これらの殺生物剤は通常、塗料及びコーティング中で使用するための乾燥粉末として販売される。そのような乾燥粉末の欠点は、取り扱いの間にそれが塵埃を発生し、それにより特別な取り扱い装置を必要とすることであり、それは、接触するとこれらの殺生物剤が作業者の指又は手に刺激を起こし得るからである。また作業者は、これらの化合物の取り扱いの間、防塵マスク、保護メガネ、保護手袋、防護服などのような適した保護装置を身に着けなければならない。さらに、これらの殺生物剤を取り扱う時に発生する粉塵(powder dust)で作業環境を汚染しないように、典型的には局部的排気系が設置される。
【0003】
トラロピリルは、経口的消化による急性の経口的哺乳類毒性に関して28.7mg/kgのLD50を有し、亜鉛ピリチオンは、急性吸入毒性に関して1.03mg/kgのLC50(4時間)を有する。乾燥粉末形態における殺生物剤を取り扱う場合のこれらの問題が示され、無塵送達系の考案が有益であると思われた。
【発明の概要】
【0004】
塗料又はコーティング会社が用いるための無塵送達系は、好ましくは空気中で塵埃を放出せず、容易な取り扱いを可能にし、高度に濃縮され、そしてまた保存に安定であり且つ容易に注ぐことができる液体送達系である。
【0005】
殺生物剤トラロピリル、亜鉛ピリチオン及びトリルフルアニドのためのそのような液体送達系は、以下:
●分散液の合計重量に基づいて最高で80重量%の量におけるトラロピリル、亜鉛ピリチオン又はトリルフルアニド又はそれらの組み合わせから選ばれる殺生物剤、
●高分子界面活性剤;
●沈降防止剤;
●キャリヤー液;ならびに
●充填剤、結合剤、樹脂などのような場合による調製剤
を含んでなることが見出された。
【0006】
トラロピリルは、軟体動物の抑制のために欧州特許第0,312,723−A号明細書において開示され、防汚組成物におけるその使用は欧州特許第0,746,979号明細書において開示されている。該化合物は、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリルとしてのその科学名の下にも既知であり、式:
【0007】
【化1】

【0008】
により示される。
【0009】
亜鉛オマジン(zinc omadine)としても既知の亜鉛ピリチオンは、1930年代に最初に報告された配位錯体である。それは、酸素及び硫黄原子を介して亜鉛に結合する2つのピリジン−誘導キレート化リガンドを特徴とする。そのIUPAC名は、次式:
【0010】
【化2】

【0011】
により示される通り、ビス(2−ピリジルチオ)亜鉛 1,1’ジオキシドである。
【0012】
亜鉛ピリチオンは、ふけ及び脂漏性皮膚炎の処置におけるその使用に関して最も知られている。水中におけるその低い溶解度のために、それは屋外塗料ならびに白カビ(mildew)及び藻類に対する保護を与える他の製品における使用に適している。
【0013】
トリルフルアニドは広範囲の抗微生物活性を有し、化合物1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−フェニル−メタンスルフェンアミドの一般名であり、その化合物は式
【0014】
【化3】

【0015】
により示される。
【0016】
本発明の目的のために、「分散液」という用語は、液体媒体中に均一に分布する微粒子の系を指す。「界面活性剤」という用語は、2つの境界面の界面張力を低下させ、それにより液体又は固体の乳化性、展延性(spreading property)、分散性又は湿潤性を向上させるための製品を指す。「沈降防止剤」という用語は、微粒子を懸濁液中に保つために用いられる製品を指す。
【0017】
本発明の分散液中で用いるのに適した高分子界面活性剤は:
−Crodaから入手可能なAtlox 4914のようなアルキドポリエチレングリコール;及び
−Crodaから入手可能なHypermer B246及びZephrym PD2206のようなABAポリヒドロキシエステル−PEG−ポリヒドロキシエステルコポリマー
である。
【0018】
特に好ましいのは、殺有害生物剤用途に必要な承認を有する高分子界面活性剤である。例えばUSAにおいて、これは、「殺生物剤製品中で許される不活性成分:非−食品不活性成分」(“Inert ingredients permitted in pesticide products:non−food inert ingredients”)のようなリストあるいは40 CFR § 180.910 「収穫前及び後に用いられる不活性成分;許容性の要求からの免除」(“Inert ingredients used pre− and post−harvest;exemptions
from the requirement of a tolerance”)、40 CFR § 180.950 「最少危険活性及び不活性成分に関する許容性免除」(“Tolerance exemption for minimal risk active and inert ingredients”)又は40 CFR § 180.960 「ポリマー;許容性の要求からの免除」(“Polymers;exemptions from the requirement of a tolerance”)のようなEPAリストの下に、殺有害生物剤用途に関するEPA承認を必要とする。
【0019】
本発明のハイソリッド分散液中における使用に適した沈降防止剤は、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、改質ひまし油、改質セルロースポリマー、ベントナイト、ヘクトライト又は化学的に修飾された誘導体である。場合により、これらの沈降防止剤を活性化剤としてのプロピレンカーボネートと組み合わせて用いることができる。
【0020】
これらの沈降防止剤の特定の例は:
−Bentone 38はクォーターニウム 18−ヘクトライト(quaternium 18−hectorite)(CAS 12001−31−9)であり、Elementis Specialtiesから商業的に入手可能である;
−Bentone gel MIO Vは、鉱油中のクォーターニウム 18−ヘクトライト(CAS 12001−31−9)及びプロピレンカーボネートの混合物であり、Elementis Specialtiesから商業的に入手可能である;
−Tixogel MIO−1584は、クォーターニウム 90−ベントナイト(CAS 226226−22−8)とプロピレンカーボネート及び鉱油の混合物であり、Sued−Chemieから商業的に入手可能である;
−ヒュームドシリカ(熱分解法シリカとしても既知);ならびに
−超微粒炭酸カルシウム
である。
【0021】
あるいはまた、用いられるキャリヤー液に依存して、他の化学的型の沈降防止剤、例えば:
−Ircothix 2000は、Lubrizol Advanced Materialsから入手可能なカルボキシレートゲルに基づく流動学的薬剤(rheological agent)である;
−Crayvallac CVP、水素化ひまし油に基づく流動学的薬剤;ならびに
−Rhodapol 23、キサンタンゴム
を用いることができる。
【0022】
本発明のハイソリッド分散液中で用いるのに適したキャリヤー液は、イソパラフィン性溶媒、脱芳香化脂肪族炭化水素液、重芳香族炭化水素、パラフィン油、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン、フタル酸ジイソノニル及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオール又はそれらの混合物である。キャリヤー液の特別な群は、イソパラフィン性溶媒、脱芳香化炭化水素液、重芳香族炭化水素、パラフィン油、キシレン、フタル酸ジイソノニル及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオールである。
【0023】
そのようなキャリヤー液の特定の例は:
−ExxonMobilからIsopar C,E,G,H,K,L,M及びVとして入手可能なイソパラフィン性溶媒;
−ExxonMobilからExxsolの商品名の下に入手可能な脱芳香化脂肪族炭化水素液、例えばExxsol Pentane 80、Exxsol ペンチルペンタンナフタ、Exxsol ヘキサン、Exxsol ヘプタン、Exxsol イソペンタン S、Exxsol イソヘキサン、Exxsol シクロペンタン S、Exxsol D30、Exxsol D40、Exxsol D50、Exxsol D60、Exxsol D80、Exxsol D95など;
−ExxonMobilからSolvessoの商品名の下に入手可能な重芳香族炭化水素、例えばSolvesso 100、Solvesso 150、ナフタレン枯渇Solvesso 150、Solvesso 200、ナフタレン枯渇Solvesso 200、Solvesso 200 Sなど;
−Petrochem CarlessからBrisoparの商品名の下に入手可能なパラフィン油;
−アルキルベンゼン、例えばトルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン及びキシレン;
−DINP(フタル酸ジイソノニル);ならびに
−Dow ChemicalからVoranol製品として、ElastogranからLupranolとして又はHuntsmanからJeffolポリオールとして入手可能なプロピレンオキシドポリエーテルポリオール
である。
【0024】
「キャリヤー液」という用語は、単数及び複数の両方において理解されるべきであり、それは、1種より多いキャリヤー液の混合物も「キャリヤー液」という用語に包含されることが意図されているからである。
【0025】
場合による調製剤は、例えば比較的少量の殺生物剤を有する本発明のハイソリッド分散液中で用いられる不活性充填剤である。そのような不活性充填剤は、例えばタルクである。他の場合による調製剤は、例えば樹脂、例えばインドネシアゴムロジン、結合剤、例えばNeocryl B−725;DSM Neoresinsから入手可能な固体アクリル(BMA/MMA)コポリマーである。
【0026】
従って本発明は、
a)最高で80重量%の量におけるトラロピリル、亜鉛ピリチオン又はトリルフルアニド又はそれらの組み合わせから選ばれる殺生物剤;
b)0.1〜30重量%の範囲の量におけるアルキドポリエチレングリコール及びABAポリヒドロキシエステル−PEG−ポリヒドロキシエステルコポリマーから選ばれる高分子界面活性剤;
c)0.01〜10重量%の範囲の量におけるヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、改質ひまし油、改質セルロースポリマー、ベントナイト、ヘクトライト又は化学的に修飾され
たそれらの誘導体あるいはそれらの混合物から選ばれる沈降防止剤ならびに場合によりプロピレンカーボネート;
d)イソパラフィン性溶媒、脱芳香化脂肪族炭化水素液、重芳香族炭化水素、パラフィン油、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン、フタル酸ジイソノニル及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオール又はそれらの混合物から選ばれるキャリヤー液;ならびに
e)場合により他の調製剤
を含んでなる分散液を提供する。
【0027】
本発明の分散液は、合計分散液の80重量%までの高い固体レベルを有する。1つの態様において、分散液は20〜80重量%の範囲又は30〜60重量%の範囲の固体レベルを有する。
【0028】
本発明のハイソリッド分散液は、該ハイソリッド分散液を希釈する必要なく直接コーティング又は塗料の調製物中でそれらを用いることを許すレベルの粘度を有する。好ましくは、ハイソリッド分散液の粘度は、測定すると10000mPa.sより低く、より好ましくは5000mPa.sより低い。
【0029】
単純なニュートン流体の場合、粘度(η)は加えられるせん断応力(τ)と測定されるせん断速度
【0030】
【数1】

【0031】
の間の比、すなわち
【0032】
【数2】

【0033】
から与えられる。
【0034】
しかしながら上記の系は多くの場合にもっと複雑なせん断減粘性、擬似塑性流動学を示し、その場合、粘度は加えられるせん断速度に依存する。上記で挙げた値は、せん断速度の範囲で粘度を測定し、“Dispersion of Powders in Liquids.Third Edition.Parfitt 1981 Applied Science Publishers ISBN 0−85334−990−8”に記載されている通りに、粘度データをCasson式にフィッティングすることにより外挿して、極限ニュートニアン高−せん断プラトーにおける流動粘度(flow viscosity)を得ることにより決定された。
【0035】
【数3】

【0036】
式中、τはいわゆる降伏値であり、それは試料が動き始める前に加えられねばならない力であり、Aは測定されている系に依存する定数である。
【0037】
界面活性剤の量は0.1〜30重量%又は0.5〜10重量%の範囲である。
【0038】
沈降防止剤の量は、0.01〜10重量%又は0.1〜5重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
典型的な調製物の実施例:
調製物1
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまでキャリヤー液Exxsol D80と混合することにより、調製物1を調製した。次いでトリルフルアニド粉末及び沈降防止剤Bentone gel MIO−Vを連続して加え、各時点にディスクインペラー混合(disc impellor mixing)を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。
【0040】
【表1】

【0041】
調製物2
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Exxsol D80と混合することにより、調製物2を調製した。次いでトラロピリル粉末及び沈降防止剤Bentone 38を連続して加え、各時点にディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。Bentone 38を活性化するために、ローター−ステーターミキサー(rotor−stator mixer)を用いて調製物を高せん断しながら、プロピレンカーボネートを加えた。
【0042】
【表2】

【0043】
調製物3
高分子界面活性剤Atlox 4914を約60℃の温度で液化し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Exxsol D60と混合することにより、調製物3を調製した。次いで亜鉛ピリチオン粉末、トラロピリル粉末及び沈降防止剤Bentone gel MIO Vを連続して加え、各時点にディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。
【0044】
【表3】

【0045】
調製物4
高分子界面活性剤Zephrym PD 2206を、キシレン及びIsopar Kの混合物から成るキャリヤー液と、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で混合することにより、調製物4を調製した。次いでトラロピリル粉末及び沈降防止剤Bentone 38を連続して加え、各時点にディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。Bentone 38を活性化するために、ローター−ステーターミキサーを用いて調製物を高せん断しながら、プロピレンカーボネートを加えた。
【0046】
【表4】

【0047】
調製物5
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Isopar Lと混合することにより、調製物5を調製した。次いで亜鉛ピリチオン粉末及び沈降防止剤Bentone 38を連続して加え、各時点にディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。Bentone 38を活性化するために、ローター−ステーターミキサーを用いて調製物を高せん断しながら、プロピレンカーボネートを加えた。この混合物にタルクを加え、均一な分散が達成されるまでディスクインペラーを用いて系全体を再混合した。
【0048】
【表5】

【0049】
調製物6
高分子界面活性剤Atlox 4914を約60℃の温度で液化し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Solvesso 150 n.d.と混合することにより、調製物6を調製した。次いでトラロピリル粉末及び沈降防止剤Bentone gel MIO Vを連続して加え、各時点にディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化してから、次の成分を加えた。最後にインドネシアゴムロジンを、一定の混合を用いて分散液中に溶解した。
【0050】
【表6】

【0051】
比較調製物1:高分子界面活性剤なし
トラロピリル粉末をキャリヤー液に加え、ディスクインペラーミキサーを用いて均一化することにより、比較調製物1を調製した。
【0052】
【表7】

【0053】
比較調製物1は半−液体ペーストであり、撹拌可能であったが、正確に注ぐことができなかった。TAinstrumentsからのAR2000流動計を用いてこの調製物を測定することはできなかった。試料は十分に液−様ではなかったので、測定器は必要なギ
ャップにスピンドルを下すことができなかった。
【0054】
比較調製物2:沈降防止剤なし
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Exxsol D80と混合することにより、比較調製物2を調製した。次いでトラロピリル粉末を加え、ディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化した。
【0055】
【表8】

【0056】
比較調製物2は非常に液−様であり、注ぐことができ、TAinstrumentsからのAR2000流動計を用いて扱うことができた。
【0057】
比較調製物3:高分子界面活性剤なし
亜鉛ピリチオン粉末をキャリヤー液に加え、ディスクインペラーミキサーを用いて均一化することにより、比較調製物3を調製した。
【0058】
【表9】

【0059】
調製物3はチキソトロープ液であり、4cm2°コーンスピンドルを有するTAinstrumentsからのAR2000流動計によりそれを扱うことができた。調製物は沈降防止剤を含有せずに、高いcasson降伏値を示した。
【0060】
比較調製物4:沈降防止剤なし
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Isopar Mと混合することにより、比較調製物4を調製した。次いで亜鉛ピリチオン粉末を加え、ディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化した。
【0061】
【表10】

【0062】
比較調製物4は、4cm2°コーンスピンドルを有するAR2000流動計により扱うことができず、それは、試料がコーンを満たすことができない程の液体だからであった。AR2000上の二重同軸シリンダー配置(double concentric cylinder configuration)を用い、この試料を測定することが可能であった。比較調製物4は、ほとんどニュートン流れ挙動を有した。
【0063】
比較調製物5:高分子界面活性剤なし
亜鉛ピリチオン粉末をキャリヤー液に加え、スパチュラを用いて均一化することにより、比較調製物5を調製した。
【0064】
【表11】

【0065】
比較調製物5はペースト状の固体であり、ディスクインペラーミキサーを用いてそれを混合することはできなかった。
【0066】
比較調製物6:沈降防止剤なし
高分子界面活性剤Hypermer B246を約60℃の温度で溶融し、それを、均一な透明溶液が得られるまで一定の撹拌下で、キャリヤー液Isopar Mと混合することにより、比較調製物6を調製した。次いで亜鉛ピリチオン粉末を加え、ディスクインペラー混合を用いて分散液を均一化した。
【0067】
【表12】

【0068】
比較調製物6は非常に液−様の分散液であり、AR2000流動計によりそれを扱うことができた。
【0069】
粘度
流動学的測定のために、通常は4cm2°コーンアンドプレート配置(cone and plate configuration)を用い、25℃においてTA Instrument AR2000流動計を用いた(比較実施例4は、その低い粘度のために、コーンアンドプレート配置ではなくて二重同軸シリンダーを用いて測定された)。“Dispersion of Powders in Liquids.Third Edition.Parfitt 1981 Applied Science Publishers ISBN 0−85334−990−8”に記載されている通りに、粘度データをCasson式にフィッティングすることにより、下記に挙げるCasson流動粘度及びCasson降伏値を決定した。
【0070】
【表13】

【0071】
保存安定性
密封されたガラスビン中で、定温棚中で40℃において試料を保存し、試料の上部における透明な上澄み層の形成を測定することにより、標準基準で(on a regular basis)沈降の程度を評価した。これを液の全高のパーセンテージとして表わし、31日の保存後に与えられる値を下記に表中に記す。わかる通り、流動学的構造をほとんど有しておらず、且つ低いCasson降伏値を有する試料は、高い沈降速度を与えた。
【0072】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)80重量%までの量におけるトラロピリル(tralopyril)、亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione)又はトリルフルアニド(tolylfluanid)又はそれらの組み合わせから選ばれる殺生物剤;
b)0.1〜30重量%の範囲の量におけるアルキドポリエチレングリコール及びABAポリヒドロキシエステル−PEG−ポリヒドロキシエステルコポリマーから選ばれる高分子界面活性剤;
c)0.01〜10重量%の範囲の量におけるヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、改質ひまし油、改質セルロースポリマー、ベントナイト、ヘクトライト又は化学的に修飾されたそれらの誘導体あるいはそれらの混合物から選ばれる沈降防止剤ならびに場合によりプロピレンカーボネート;
d)イソパラフィン性溶媒、脱芳香化脂肪族炭化水素液、重芳香族炭化水素、パラフィン油、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン、フタル酸ジイソノニル及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオール又はそれらの混合物から選ばれるキャリヤー液;ならびに
e)場合により他の調製剤
を含んでなる分散液。
【請求項2】
殺生物剤がトラロピリルである請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
殺生物剤が亜鉛ピリチオンである請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
殺生物剤がトリルフルアニドである請求項1に記載の分散液。
【請求項5】
殺生物剤が20〜80重量%の範囲の量で存在する請求項1に記載の分散液。
【請求項6】
殺生物剤が30〜60重量%の範囲の量で存在する請求項5に記載の分散液。
【請求項7】
高分子界面活性剤の量が0.5〜10重量%の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の分散液。
【請求項8】
沈降防止剤の量が0.1〜5重量%の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の分散液。
【請求項9】
高分子界面活性剤がアルキドポリエチレングリコールである請求項1〜8のいずれかに記載の分散液。
【請求項10】
高分子界面活性剤がABAポリヒドロキシエステル−PEG−ポリヒドロキシエステルコポリマーである請求項1〜9のいずれかに記載の分散液。
【請求項11】
沈降防止剤がクォーターニウム 18−ヘクトライト(quaternium 18−hectorite)、クォーターニウム 18−ヘクトライトとプロピレンカーボネートの混合物及びクォーターニウム 90−ベントナイトとプロピレンカーボネートの混合物から選ばれる請求項1〜10のいずれかに記載の分散液。
【請求項12】
キャリヤー液がイソパラフィン性溶媒、脱芳香化炭化水素液、重芳香族炭化水素、パラフィン油、キシレン、フタル酸ジイソノニル及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオールから選ばれる請求項1〜11のいずれかに従う分散液。
【請求項13】
キャリヤー液が脱芳香化脂肪族炭化水素液から選ばれる請求項12に記載の分散液。
【請求項14】
他の調製剤が1種もしくはそれより多い不活性充填剤、樹脂又は結合剤から選ばれる請求項1〜13のいずれかに従う分散液。

【公表番号】特表2012−505176(P2012−505176A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530468(P2011−530468)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062957
【国際公開番号】WO2010/040738
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】