説明

殺菌材料と殺菌方法及び金属イオン発生装置

【課題】本発明は熱殺菌では常温に戻れば直ちに効果は消失し、また薬品による殺菌手段では子ども達を安心して砂場で遊ばせることはできない問題点があった。
【解決手段】水タンク14内に電極1、2を対設し、各電極1、2に夫々リード端子5と通電用ブラケット10を絶縁スリーブ3を介して接続し、各電極1、2を浸すように水タンク14内に注水しポンプによって循環させるようにしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工海岸、公園、保育園、小学校等における砂場、其の他活け花や浴槽水、クーリングタワー、ウオーターベッド、切削機のオイル等の水を使用する分野における水の腐敗や殺菌に関する。
【背景技術】
【0002】
近年砂場に於いて特に夏場に於ける環境衛生が悪化し、殺菌がやかましく謂われるようになってきた。
【0003】
しかし乍ら、これらの砂の殺菌には薬品による処理が考えられているが、子ども達の口に入る恐れもあり、実際には使用されていなかった。
【0004】
他に高温による砂の熱殺菌があるが常温に戻ると効果がなくなるため、各自治体でもその対応に苦慮しているのが現状である。
【0005】
また、上記砂の殺菌のみでなく活け花や浴槽水、クーリングタワーの水、ウオーターベッド、切削機のオイル混合水等は数日で交換する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例で謂われるような薬品を用いた殺菌手段では、子ども達を安心して砂場で遊ばせることはできず、また砂の熱殺菌による手段では殺菌の持続性に乏しく常温に戻れば再び元の状態になり、細菌が繁殖し衛生状態を長期に亘り維持することができない等の欠点があった。
【0007】
また活け花用水、浴槽水、クーリングタワーの冷却水、ウオーターベッド、機械工場の切削油の混合水等は早期に交換する必要があった。
【0008】
そこで本発明では上記従来の問題点の解決を図るために金属イオンを用いた殺菌材料とイオン水による殺菌手段及び金属イオン発生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
吸水性のある各種合成樹脂粉末中に銅粉を40〜60%(重量%)混練して殺菌材料とし、これを粒状(顆粒)に成形したものを砂中に混入することにより砂中の雑菌の繁殖を防止するものである。また砂の表面に金属イオンの被膜を設けても良い。
【0010】
水槽内で銅又は銀の金属イオンを溶出させてイオン水を発生させ、これを活け花用水、浴槽水、クーリングタワーの冷却水、ウオーターベッド、機械工場の切削油の混合水として利用することにより水の腐敗を防止する。
【0011】
水槽内に対設した金属電極に通電することによりイオン水を発生させる金属イオン発生装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の殺菌材料を砂と混合して約3ヵ月間放置し、子ども達を遊ばせたが砂中に細菌は全く見られなかった。
また、金属イオン発生装置によるイオン水を砂場に散布し、約10日間放置し、子ども達を遊ばせたが砂中に細菌は全く見られなかった。
【0013】
金属イオン水を使用した場合、濃度は雨等が降らなければ長期間殆ど変わらないが、雨が降るとイオン濃度が低下することがわかった。
ここで使用する本発明殺菌材料及び砂中に散布する金属イオン水は安全で人体に全く無害なものである。
【0014】
更に金属イオン発生装置によるイオン水を上記砂場の衛生管理に使用するだけでなく日常生活における水利用分野でその効果を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0015】
以下本発明について実施例により詳細に説明する。
本発明で使用する殺菌材料は合成樹脂中に銅粉を40〜60(重量%)混入し、これを押し出し成形機にて混練し乍ら、直径約2〜3mmの紐状に押し出し、更にこれを直径1〜2mmの粒状(顆粒)に成形する。
尚、合成樹脂としては、樹脂単体又は2種以上の混合樹脂を使用する。
【0016】
砂の殺菌材料は砂の比重即ち2.5に対して2.0程度にすることが最も望ましく、それは砂に混合し使用した時比重が大き過ぎると殺菌材料が砂の下部に沈んでしまい殺菌効果が著しく低減する恐れがあり、或いは全く無くなる恐れがある。
【0017】
銅粉の混合比は混合する樹脂の比重に合わせて混合し、銅粉量は40〜60(重量%)程度である。混合する樹脂は何れの種類の樹脂を用いても良いが、好ましくは吸水性の高い樹脂がより好ましい。
【0018】
次に他の一つの殺菌方法としては、銅或いは銀等の金属イオン発生装置によって発生させたイオン水を砂場に散水し、砂粒表面に金属イオンの被膜を付着形成させて砂場の殺菌を行う方法である。
【実施例2】
【0019】
以上は砂場の殺菌方法であったが、イオン水を寺院の花瓶の水として用い、自然減少量だけ補充し2ヵ月間観察したが、通常なら毎日水替えしても10日位が限界であるがイオン水では腐敗がなく花や葉が褪色せず長期間良好な状態を保つことができた。
【0020】
またイオン水を浴槽水として3ヵ月間用いたがレジオネラ菌や大腸菌が見られず、通常は3日目頃からレジオネラ菌や大腸菌が増え5日間で水の入れ替えていた。
其の他イオン水を同様にクーリングタワーの冷却水として用いるとこれまで問題となっていたレジオネラ菌や大腸菌が見られず、従って極めて衛生的な状態を保てた。
【実施例3】
【0021】
他にウオーターベッドのクッション水として用いたが3年経過しても水の腐敗はなく、これまでと異なり水の変色も見られず極めて良好な結果が得られた。その他機械工場の切削油として用いる混合水(切削油10%:水90%)に利用した場合は、通常2乃至3日程度で水の酸化(腐敗)が始まり悪臭が発生していたが、本実施例ではそうした状態とは成らず良い環境が保たれた。
【実施例4】
【0022】
以下前記金属イオン発生装置を図面に示す実施例により詳細に説明する。
図1は本発明金属イオン発生装置の縦断面図であり、金属イオン発生装置は水タンク14中に銅又は銀を60(重量%)以上含む金属からなる棒状の電極1を絶縁スリーブ3を介してボルト4により固定すると共にボルト4には、電極1に通じるリード端子5を螺着して直流電源に接続している。
【0023】
又、前記電極1と対応するように半月状の電極板2、2を対向させブラケット10に取付ボルト7、8により固定すると共に電極板2、2にはブラケット10を介して通電を図る為のリード端子6を螺着して前記電源の片方(陰極)に接続しており、ブラケット10にはキャップ13を螺着している。
【0024】
ブラケット10はフランジ9によって水タンク14の蓋15上に乗せ被せて固定し、水タンク14には所定量の水を注入し水中ポンプ12により攪拌する事によりイオン水が発生する。こうして得られたイオン水を実際に利用するにはイオン濃度を調整する必要があり、従って金属イオンの溶出時間を変えることにより利用目的に応じた濃度のイオン水が得られ、所定濃度に達した時これを水中ポンプ11によって砂場へ散布する。尚、図中符号16は吸排気孔を示す。
【0025】
前記水中タンク14内に設置した金属イオン発生用の電極1・2に一定の電流を通電することにより水中には銅を電極とした場合は銅イオン、また電極を銀電極とした場合銀イオンが発生することになり、十分な濃度に達すればポンプ11によって砂場へ散布し、細菌の発生を防止するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】金属イオン発生装置の縦断面図
【符号の説明】
【0027】
1 電極
2 電極
7 取付ボルト
8 取付ボルト
9 フランジ
11 水中ポンプ
12 水中ポンプ
13 キャップ
14 水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の単体又は2種以上の合成樹脂に純銅粉を40〜60(重量%)を混合し押出機にて紐状に押し出し、これを1〜2mmの粒状(顆粒)に成形したことを特徴とする砂の殺菌材料。
【請求項2】
砂の表面に金属イオンの被膜を設けたことを特徴とする砂の殺菌方法。
【請求項3】
金属イオンを有するイオン水を活け花其の他クーリングタワー等に用いたことを特徴とする水の殺菌方法。
【請求項4】
水中に対設した金属電極から金属イオンを発生させるようにしたことを特徴とする金属イオン発生装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−56655(P2008−56655A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89377(P2007−89377)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(392030232)
【Fターム(参考)】