説明

殺菌機能付便器

【課題】安全かつより確実に殺菌を行うことのできる殺菌機能付便器を提供する。
【解決手段】便器本体1に設けられている、軸方向に進退自在であるノズル2の噴射孔3から人体局部に洗浄水を噴射して局部洗浄する局部洗浄装置4のノズル2に、便器内部を殺菌するための殺菌灯を備え、この殺菌灯が紫外LED5からなる。そして、紫外LED5をノズル2の軸回りに回転自在に設けた。そして、複数の紫外LED5をノズル2に設けた。そして、ノズル2が、紫外線によって劣化しない無機材料によってなる。そして、便器本体1の上側開口部9を開閉する便蓋6の一部を透明にし、その透明部7に蛍光体を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、殺菌機能の付いた便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2005−23554公報(特許文献1)に示されるように、紫外LEDによって便器やその周辺の部材を殺菌する殺菌機能付便器は知られている。この殺菌機能付便器は図4に示すように、便蓋6が閉じられると、60秒間だけ、紫外LED5からなる殺菌灯が発光する。この紫外LED5の発光により、紫外線が便器本体1の内側面に照射されて、殺菌が行われる。又、便蓋6が閉じられると、70秒間だけ、表示用LED11が発光する。
【特許文献1】特開2005−23554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開2005−23554公報に示される上記従来例の殺菌機能付便器にあっては、便蓋6の裏面側に紫外LED5を露呈するように設けているので、便座8の裏面等に殺菌効果を及ばせるのが困難である。又、紫外LED5が固定された位置に設けられているので、特定の部位のみしか殺菌効果が及ばない。又、従来はノズルの原料として樹脂が主に使われているが、樹脂は紫外線により殺菌を行うことにより劣化してしまう。又、紫外線によって殺菌を行っている時は、使用者に紫外線が及ばないように表示用LED11を用いているが、これは便蓋6の作成に手間がかかる上に、殺菌中であるということを認識しにくい。又、便蓋6の裏面側に紫外LED5が露呈するように配置されたことで使用者が紫外LED5を視認できてしまうので、紫外線に対して意識してしまい、不安になるという問題もある。
【0004】
本願発明は上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、安全かつより確実に殺菌を行うことのできる殺菌機能付便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、便器本体に設けられている、軸方向に進退自在であるノズルの噴射孔から人体局部に洗浄水を噴射して局部洗浄する局部洗浄装置のノズルに、便器内部を殺菌するための殺菌灯を備え、この殺菌灯を紫外LEDとしている。
【0006】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の殺菌機能付便器において、殺菌灯をノズルの軸回りに回転自在に設けたことを特徴としている。
【0007】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の殺菌機能付便器において、複数の殺菌灯をノズルに設けたことを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか1項記載の殺菌機能付便器において、ノズルが、紫外線によって劣化しない無機材料によってなることを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか1項記載の殺菌機能付便器において、便器本体の上側開口部を開閉する便蓋の一部を透明にし、その透明部に蛍光体を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願請求項1記載の発明の殺菌機能付便器においては、ノズルが軸方向に進退自在であるため、ノズルに備えた紫外LEDもノズルの軸方向に進退自在となる。よって、便器内部に対して全体的に紫外線を照射することができる。又、便座よりも下側に紫外LEDが位置しているので、上側に照射すれば便座裏等の紫外線を照射しにくい部位に対しても効果的に照射することができる。又、紫外LEDや局部洗浄装置を使用していないときは、ノズルは引っ込むので紫外LEDは使用者に視認できない位置におさまり、紫外LEDが見えることにより使用者が不安になることもなく安心して使用できる。
【0011】
本願請求項2記載の発明の殺菌機能付便器においては、特に、殺菌灯をノズルに軸回りに回転自在に設けているため、広範に紫外線を照射できる。
【0012】
本願請求項3記載の発明の殺菌機能付便器においては、特に、複数の殺菌灯をノズルに設けているため、より広範に紫外線を照射できる。
【0013】
本願請求項4記載の発明の殺菌機能付便器においては、特に、ノズルが紫外線によって劣化しない無機材料によって出来ているので、紫外線が照射されてもノズルが劣化せず、信頼性が向上する。
【0014】
本願請求項5記載の発明の殺菌機能付便器においては、特に、便器本体の上側開口部を開閉する便蓋の一部を透明にし、その透明部に蛍光体を設けているため、殺菌灯使用時においては、その透明部の蛍光体が発光し、使用者が、殺菌灯が駆動していることを明確に視認できる。これにより、使用者が誤って紫外線を浴びることを防ぐことができる。また、蛍光体を設けた透明部を備えるだけでよいので、細かい部品を用いた施工や電気配線をしたりせずに済み、施工性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1〜3は、本願請求項1〜5全てに対応した一実施形態である殺菌機能付便器を示している。
【0017】
この殺菌機能付便器は、便器本体1に設けられている、軸方向に進退自在であるノズル2の噴射孔3から人体局部に洗浄水を噴射して局部洗浄する局部洗浄装置4のノズル2に、便器内部を殺菌するための殺菌灯を備え、この殺菌灯が紫外LED5からなる。そして、この紫外LED5をノズル2の軸回りに複数、回転自在に設けている。そして、ノズル2が、紫外線によって劣化しない無機材料によってなる。そして、便器本体1の上側開口部9を開閉する便蓋6の一部を透明にし、その透明部7に蛍光体を設けている。
【0018】
以下、この実施形態の殺菌機能付便器をより具体的詳細に説明する。
【0019】
図1〜3に示すように、この殺菌機能付便器は、便器本体1と、便器本体1の一端に設けられている局部洗浄装置4と、便器本体1に取り付けられた便座8及び便蓋6からなる。
【0020】
便器本体1は陶器や樹脂等からなり、上側開口部9の縁で、便座8及び便蓋6をそれぞれ開閉自在に支持している。便座8は樹脂等により一体化されて形成されている。便蓋6には中央部に透明性を有する樹脂等により形成された透明部7があり、この透明部7と共にその他の非透明部が一体化されて形成されている。この透明部7には紫外線が照射された時に発光する蛍光体を設けている。又、便蓋6は便器本体1の上側開口部9を完全に覆い隠すように閉じる。
【0021】
人体局部に洗浄水を噴射して局部洗浄するための局部洗浄装置4は、便器本体1の上側開口部9の縁に設けられている。この局部洗浄装置4は、ノズル2を軸方向に進退自在かつ軸回りに回転自在に動かすためのノズル装置10を内部に有する。このノズル2は無機材料であるセラミックス、ステンレス、ガラス等からなり、先端付近には洗浄水を使用者の局部に対して噴射するための噴射孔3が設けられている。この噴射孔3は先端付近の上側に位置する。又、ノズル2の先端付近には複数の紫外LED5が設けられている。この紫外LED5は先端付近の下側であって、便器本体1内部に紫外線を照射できるように位置する。
【0022】
したがって、この実施形態の殺菌機能付便器においては、ノズル2が軸方向に進退自在であるため、ノズル2に備えた紫外LED5もノズル2の軸方向に進退自在となる。よって、便器内部下側に対して全体的に紫外線を照射することができる。又、紫外LED5や局部洗浄装置4を使用していないときは、ノズル2は使用者に視認できない位置に納まるため、紫外LED5が見えることにより使用者が不安になることもなく、安心して使用できる。
【0023】
又、紫外LED5をノズル2に軸回りに回転自在に設けているため、上側にも紫外線を照射することが可能となる。更に、便座8よりも下側に紫外LED5が位置しているので、上側に照射することで便座裏等の紫外線を照射しにくい部位に対しても照射することができる。紫外LED5を備えたノズル2が進退自在かつ回転自在に動作するため、便器本体1の形を選ぶこと無く、便器内部全体に対して広範に紫外線を照射することができる。
【0024】
又、複数の紫外LED5をノズル2に設けているため、より広範に紫外線を照射できる。
【0025】
又、ノズル2が紫外線によって劣化しない無機材料であるセラミックス、ステンレス、ガラス等から出来ているので、紫外線が照射されてもノズル2が劣化せず、信頼性が向上する。
【0026】
又、便器本体1の上側開口部9を開閉する便蓋6の一部を透明にし、その透明部7に蛍光体を設けているため、紫外LED5使用時においては、その透明部7の蛍光体が発光し、使用者が、紫外LED5が駆動していることを明確に視認できる。これにより、使用者が誤って紫外線を浴びることを防ぐことができる。又、蛍光体を設けた透明部7を備えるだけでよいので、細かい部品を用いた施工や電気配線をしたりせずに済み、施工性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の一実施形態である殺菌中の殺菌機能付便器を示す断面図。
【図2】同殺菌中の殺菌機能付便器を示す斜視図。
【図3】同殺菌機能付便器のノズルが収納されている状態を示す全体斜視図。
【図4】従来例である殺菌機能付便器を示す側面図。
【符号の説明】
【0028】
1 便器本体
2 ノズル
3 噴射孔
4 局部洗浄装置
5 紫外LED
6 便蓋
7 透明部
8 便座
9 上側開口部
10 ノズル装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に設けられている、軸方向に進退自在であるノズルの噴射孔から人体局部に洗浄水を噴射して局部洗浄する局部洗浄装置のノズルに、便器内部を殺菌するための殺菌灯を備え、この殺菌灯が紫外LEDからなる殺菌機能付便器。
【請求項2】
殺菌灯をノズルの軸回りに回転自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の殺菌機能付便器。
【請求項3】
複数の殺菌灯をノズルに設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の殺菌機能付便器。
【請求項4】
ノズルが、紫外線によって劣化しない無機材料によってなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の殺菌機能付便器。
【請求項5】
便器本体の上側開口部を開閉する便蓋の一部を透明にし、その透明部に蛍光体を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の殺菌機能付便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−170051(P2007−170051A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369394(P2005−369394)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】